IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-冷却貯蔵庫 図1
  • 特開-冷却貯蔵庫 図2
  • 特開-冷却貯蔵庫 図3
  • 特開-冷却貯蔵庫 図4
  • 特開-冷却貯蔵庫 図5
  • 特開-冷却貯蔵庫 図6
  • 特開-冷却貯蔵庫 図7
  • 特開-冷却貯蔵庫 図8
  • 特開-冷却貯蔵庫 図9
  • 特開-冷却貯蔵庫 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175877
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F25D21/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093954
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】景山 和幸
(57)【要約】
【課題】作業者が送風機を操作することなく、結露が生じ易い状況において、送風機を確実に動作させることが可能な冷却貯蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵室12を有する箱体11と、貯蔵室12を冷却するための冷却装置14と、箱体11の表面11Bに沿って送風することが可能な送風機25と、送風機25の動作を制御する制御部28と、を備え、制御部28は、表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定する判定処理と、判定処理において、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定された場合に、送風機25を動作させる送風機動作処理と、を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する箱体と、
前記貯蔵室を冷却するための冷却装置と、
前記箱体の外表面に沿って送風することが可能な送風機と、
前記送風機の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記外表面に結露が生じ易い状況であるか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理において、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定された場合に、前記送風機を動作させる送風機動作処理と、を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記外表面の温度を測定することが可能な外表面温度センサと、
前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記判定処理において、前記周囲温度と前記外表面の温度との差が所定値以上となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定する、請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
現在時刻を計時する計時部を備え、
前記制御部は、前記判定処理において、前記現在時刻が、所定の時刻になった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定する、請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機を備え、
前記制御部は、前記判定処理において、前記圧縮機が動作している場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定する、請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記貯蔵室内の温度を測定することが可能な庫内温度センサと、
前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記判定処理において、前記周囲温度と、前記貯蔵室内の温度との差が所定値以上となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定する、請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記外表面の温度を測定することが可能な外表面温度センサと、
前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記周囲温度及び予め設定された相対湿度に基づいて、Tetens(1930)の式を用いて露点を算出する露点算出処理を実行し、
さらに、前記制御部は、前記判定処理において、前記外表面の温度が前記露点以下となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定する、請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵室内の温度を測定することが可能な庫内温度センサと、
前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、
前記制御部は、前記周囲温度及び前記貯蔵室内の温度に基づいて、前記外表面の温度を算出する外表面温度算出処理を実行し、
前記制御部は、前記判定処理において、前記外表面の温度が所定値以下となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定する、請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫として、下記特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載された冷却貯蔵庫は、貯蔵室を構成する箱体(筐体)の外表面に沿って送風することが可能な送風機(送風ユニット)を備えている。これにより、箱体の外表面における熱交換を促すことで、外表面の温度が低下して結露が発生する事態を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-133722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、箱体の外表面における結露の発生の有無を作業者が目視で確認し、送風機を動作させることが記載されている。しかしながら、このような構成では、作業者が手動で送風機を操作する必要があり、作業が増えてしまう。また、送風機を手動によって操作する場合には、送風機を動作させるか否かを作業者が判断することになる。このため、結露が生じ易い状況において、作業者が判断を誤ってしまい送風機を動作させなかったり、結露が生じ難い状況において、作業者が送風機を動作させてしまい、エネルギーを無駄に消費してしまったりする事態が懸念される。
【0005】
本明細書で開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、作業者が送風機を操作することなく、結露が生じ易い状況において、送風機を確実に動作させることが可能な冷却貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される冷却貯蔵庫は、貯蔵室を有する箱体と、前記貯蔵室を冷却するための冷却装置と、前記箱体の外表面に沿って送風することが可能な送風機と、前記送風機の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記外表面に結露が生じ易い状況であるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理において、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定された場合に、前記送風機を動作させる送風機動作処理と、を実行することを特徴とする。
【0007】
また、前記外表面の温度を測定することが可能な外表面温度センサと、前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、前記制御部は、前記判定処理において、前記周囲温度と前記外表面の温度との差が所定値以上となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定するものとすることができる。
【0008】
また、現在時刻を計時する計時部を備え、前記制御部は、前記判定処理において、前記現在時刻が、所定の時刻になった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定するものとすることができる。
【0009】
また、前記冷却装置は、冷媒を圧縮する圧縮機を備え、前記制御部は、前記判定処理において、前記圧縮機が動作している場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定するものとすることができる。
【0010】
また、前記貯蔵室内の温度を測定することが可能な庫内温度センサと、前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、前記制御部は、前記判定処理において、前記周囲温度と、前記貯蔵室内の温度との差が所定値以上となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定するものとすることができる。
【0011】
また、前記外表面の温度を測定することが可能な外表面温度センサと、前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、前記制御部は、前記周囲温度及び予め設定された相対湿度に基づいて、Tetens(1930)の式を用いて露点を算出する露点算出処理を実行し、さらに、前記制御部は、前記判定処理において、前記外表面の温度が前記露点以下となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定するものとすることができる。
【0012】
また、前記貯蔵室内の温度を測定することが可能な庫内温度センサと、前記箱体の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサと、を備え、前記制御部は、前記周囲温度及び前記貯蔵室内の温度に基づいて、前記外表面の温度を算出する外表面温度算出処理を実行し、前記制御部は、前記判定処理において、前記外表面の温度が所定値以下となった場合に、前記外表面に結露が生じ易い状況であると判定するものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者が送風機を操作することなく、結露が生じ易い状況において、送風機を確実に動作させることが可能な冷却貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る冷却貯蔵庫を示す斜視図
図2】冷却貯蔵庫を断熱扉13側から視た正面図
図3】冷却貯蔵庫を側壁部11A側から視た側面図(図2のIII-III線で切断した図に対応)
図4】冷却貯蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図5】制御部の処理を示すフローチャート
図6】条件(1)に係る送風機の動作の一例を示すタイミングチャート
図7】条件(3)に係る送風機及び圧縮機の動作の一例を示すタイミングチャート
図8】側壁部の構成を示す図
図9】本発明の実施形態3に係る冷却貯蔵庫を示す側面図
図10】実施形態3に係る送風機の動作の一例を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図7によって説明する。本実施形態では、冷却貯蔵庫として、プレハブ式の冷却貯蔵庫10を例示する。冷却貯蔵庫10は、図1及び図4に示すように、貯蔵室12を有する箱体11と、貯蔵室12を冷却するための冷却装置14と、箱体11の外表面に沿って送風することが可能な送風機25と、現在時刻を計時する計時部26と、記憶部27と、送風機の動作を制御する制御部28と、箱体11の外表面の温度を測定することが可能な外表面温度センサ29と、箱体11の周囲温度を測定することが可能な周囲温度センサ30と、貯蔵室12内の温度を測定することが可能な庫内温度センサ31と、を備える。
【0016】
箱体11は、複数枚の断熱性のパネルを方形の箱型に組み立てることで構成されており、その内部は貯蔵物を収容可能な貯蔵室12とされている。箱体11の前面には、貯蔵物の出し入れを可能な出入口(図示せず)が開口形成され、その出入口を覆うように、片開き戸式の断熱扉13が装着されている。
【0017】
冷却装置14は、図1に示すように、室内機15と、室外機16と、冷媒配管17と、を備える。室内機15は、図2に示すように、貯蔵室12の天井12Aに設置され、略直方体のケーシング18と、ケーシング18内に配された冷却器21及び庫内ファン22を備える。室外機16は、図1に示すように、箱体11の外部に設置され、圧縮機24や空冷式の凝縮器(図示せず)を備える。冷媒配管17は、室内機15と室外機16との間に配設され、冷却器21や圧縮機24を循環接続するものとされる。
【0018】
冷却装置14においては、圧縮機24、凝縮器、キャピラリーチューブ(図示せず)、冷却器21が、この順番で冷媒配管17によって循環接続されることで、冷凍サイクルが構成されている。これにより、冷媒配管17内の冷媒を圧縮機24で圧縮し、凝縮器で放熱させ、冷却器21で蒸発させることにより冷却作用を生じさせることが可能となっている。
【0019】
貯蔵室12内の空気は、庫内ファン22によってケーシング18内へと吸い込まれ、その空気は冷却器21により熱交換が行われることで冷却され、その後、貯蔵室12内に吹き出されることで、貯蔵室12内に冷却された庫内空気が循環供給されるようになっている。なお、ケーシング18内における吸込口の近傍には、庫内温度センサ31が配されている。
【0020】
送風機25は、例えば、複数(例えば2基)の送風ファンによって構成され、図3に示すように、箱体11の外部に設置されたケーシング33内に収容されている。ケーシング33は、空気を取り入れる流入孔33A(図1及び図2では図示省略)と空気を送り出す流出孔33Bとを有する。送風機25は、箱体11を構成する側壁部11Aに隣接する形で配され、側壁部11Aの表面11B(箱体11の外表面)に沿って送風することが可能となっている。
【0021】
制御部28は、例えば、CPUを主体に構成されており、記憶部27は、例えば、ROMやRAMなどによって構成されている。制御部28には、図4に示すように、記憶部27、圧縮機24、庫内ファン22、送風機25、計時部26、外表面温度センサ29、周囲温度センサ30、庫内温度センサ31が電気的に接続されている。制御部28は記憶部27に記憶されているプログラムを実行することによって、制御部28に対して電気的に接続されている各機器(圧縮機24、庫内ファン22、送風機25)を制御する。
【0022】
計時部26は、例えばオールデイタイマとされる。外表面温度センサ29は、図3に示すように、側壁部11Aの表面11Bに設けられ、側壁部11Aの表面温度を測定することが可能となっている。周囲温度センサ30は、箱体11と距離を空けて配され、箱体11の周囲温度を測定することが可能となっている。
【0023】
次に、制御部28の処理について説明する。制御部28は、側壁部11Aの表面11B(外表面)に結露が生じ易い状況であるか否かを判定する判定処理(図5のステップS12)と、判定処理において、側壁部11Aの表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定された場合(図5のステップS13で「YES」)に、送風機25を動作させる送風機動作処理(図5のステップS14)と、を実行する。また、上記判定処理に関連して、制御部28は、周囲温度及び予め設定された相対湿度に基づいて、Tetens(1930)の式を用いて露点を算出する露点算出処理(図5のステップS11)を実行する。
【0024】
(判定処理及び送風機動作処理)
制御部28は、判定処理において、以下の条件(1)~(5)のいずれかを満たした場合に、側壁部11Aの表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる送風機動作処理を実行する。
条件(1)周囲温度と側壁部11Aの表面温度(外表面の温度)との差が所定値以上となった場合
条件(2)現在時刻が、所定の時刻になった場合
条件(3)圧縮機が動作している場合
条件(4)周囲温度と、貯蔵室内の温度との差が所定値以上となった場合
条件(5)側壁部11Aの表面温度が露点以下となった場合
【0025】
条件(1)
図6に示すように、制御部28は、周囲温度センサ30によって測定された周囲温度T1と外表面温度センサ29によって測定された側壁部11Aの表面温度T2の差が所定値t1以上になった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる。また、周囲温度T1と表面温度T2の差が所定値t2以下になった場合に、送風機25を停止させる。
【0026】
条件(2)
制御部28は、計時部26によって計時された現在時刻が、予め設定された所定の時刻になった場合に表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させ、その後、現在時刻が、予め設定された所定の時刻になった場合に送風機25を停止させる。つまり、制御部28は、予め設定された所定の時間帯に送風機25を動作させる。
【0027】
条件(3)
図7に示すように、制御部28は、圧縮機24が動作している場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる。また、圧縮機24が停止している場合に、送風機25を停止させる。なお、制御部28は、庫内温度センサ31によって測定された貯蔵室12内の温度(庫内温度T3)が所定値以上になった場合に圧縮機24や庫内ファン22を動作させることで、貯蔵室12を冷却し、庫内温度T3が所定値以下になった場合に圧縮機24や庫内ファン22を停止させる冷却運転を実行する。これにより、貯蔵室12内の温度T3は、設定された温度T4付近となるように維持される。なお、側壁部11Aの表面温度T2は、庫内温度T3の増減に対して緩やかに追従する。このため、圧縮機24が動作することで、図7に示すように、表面温度T2が低下して、表面11Bに結露が生じ易い状況となる。
【0028】
条件(4)
制御部28は、周囲温度センサ30によって測定された周囲温度T1と、庫内温度T3との差が所定値t3以上になった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる。また、周囲温度T1と庫内温度T3との差が所定値t4未満になった場合に、送風機25を停止させる。なお、所定値t4は、所定値t3と同じ値で設定されるが、所定値t3より小さい値で設定されていてもよい。
【0029】
条件(5)
制御部28は、外表面温度センサ29によって測定された側壁部11Aの表面温度T2が、露点Td以下になった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる。また、表面温度T2が露点Tdより高くなった場合に、送風機25を停止させる。
【0030】
(露点算出処理)
制御部28は、判定処理の前に露点Tdを算出する露点算出処理を実行する。制御部28は、Tetens(1930)の式(1)~(3)を用いて、露点Tdを算出する。
Td=(237.3×log10(6.1078/e))/(log10(e/6.1078)-7.5)・・・・式(1)
e=es×RH/100・・・・式(2)
es=6.1078×10(7.5×T1)/(T1+237.3)・・・・式(3)
上記式(1)~(3)において、
e:相対湿度RHの空気の水蒸気圧[hPa]
es:飽和水蒸気圧[hPa]
RH:予め設定された相対湿度(結露させたくない任意の相対湿度)[%]
T1:周囲温度センサ30によって測定された周囲温度[℃]
である。
【0031】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、結露が生じ易い状況であると制御部28が判定した場合に送風機25が動作することで、箱体11の側壁部11Aの表面11B(外表面)付近で空気が滞留する事態を抑制でき、表面11Bで結露が発生する事態を抑制することができる。これにより、作業者が送風機25を操作することなく、結露が生じ易い状況において、送風機25を確実に動作させることができる。
【0032】
また、制御部28は、判定処理において、周囲温度T1と表面11Bの温度T2との差が所定値以上となった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定する。周囲温度T1と表面11Bの温度T2との差が大きい程、表面11Bにおいて結露が生じ易くなる。このため、表面11Bの温度T2と周囲温度T1に基づいて表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定することができる。
【0033】
また、制御部28は、判定処理において、現在時刻が、所定の時刻になった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定する。計時部26を備えることで、結露が発生し易い時間帯(例えば、冷却貯蔵庫10が設置されている箇所の空調が停止される夜間等)において、送風機25を動作させることができる。
【0034】
また、制御部28は、判定処理において、圧縮機24が動作している場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定する。冷却装置14が動作していると、貯蔵室12の温度が低下する結果、箱体11の表面11Bの温度が低下し易くなる。このため、圧縮機24の動作状況に基づいて表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定することができる。
【0035】
また、制御部28は、判定処理において、周囲温度T1と、貯蔵室12内の温度T3との差が所定値以上となった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定する。貯蔵室12内の温度が低い程、表面11Bの温度が低くなる。そして、周囲温度T1と表面11Bの温度T2との差が大きい程、表面11Bにおいて結露が生じ易くなる。このため、貯蔵室12内の温度と周囲温度に基づいて表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定することができる。
【0036】
また、制御部28は、判定処理において、表面11Bの温度T2が露点Td以下となった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定する。表面11Bの温度T2と露点Tdとを比較することで、表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定することができる。また、Tetens(1930)の式を用いて露点Tdを算出することで、湿度センサを用いることなく、露点Tdを算出することができる。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図8によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、外表面温度センサ29を備えておらず、制御部28が、外表面温度算出処理を実行する点が上記実施形態と相違する。
【0038】
(外表面温度算出処理)
制御部28は、周囲温度T1及び庫内温度T3(貯蔵室12内の温度)に基づいて、表面11Bの温度T6(外表面温度)を算出する。具体的には、図8に示すように、側壁部11Aが、外表面材41、断熱材43、内表面材42によって構成されている場合には、制御部28は、式(4)及び式(8)を用いて、温度T6を算出する。
【0039】
なお、面積Aにおける周囲から外表面までの伝熱量Q1は、式(5)で示すことができ、面積Aにおける周囲から庫内までの伝熱量Q2は、式(6)で示すことができる。そして、Q1=Q2であるため、下記式(7)を得ることができ、この式(7)を変形して式(8)を得ることができる。
【数4】
Q1=α1×A×(T1-T6)・・・・式(5)
Q2=U×A×(T1-T3)・・・・式(6)
α1×A×(T1-T6)=U×A×(T1-T3)・・・・式(7)
【数8】
上記式(4)~(8)において、
U:熱貫流率
T1:周囲温度[℃]
T3:庫内温度[℃]
T6:外表面材41の表面温度
T7:内表面材42の表面温度
δ1:外表面材41の厚さ[m]
δ2:内表面材42の厚さ[m]
δ3:断熱材43の厚さ[m]
λ1:外表面材41の熱伝導率[W/(m・K)]
λ2:内表面材42の熱伝導率[W/(m・K)]
λ3:断熱材43の熱伝導率[W/(m・K)]
α1:庫外側熱伝達率[W/(m・K)]
α2:庫内側熱伝達率[W/(m・K)]
である。
【0040】
そして、制御部28は、判定処理において、算出された温度T6が所定値t7以下となった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる送風機動作処理を実行する。また、温度T6が所定値t7を超えた場合に、送風機25を停止させる。表面11Bの温度が低くなると、結露が生じ易くなる。このため、表面11Bの温度が所定値以下となった場合に表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定することができる。また、本実施形態では、表面11Bの温度T6を周囲温度T1及び貯蔵室12内の温度T3に基づいて算出することで、表面11Bの温度を測定するための温度センサを備える必要がなく、コストを低減することができる。
【0041】
また、制御部28は、判定処理において、算出された温度T6が露点Td以下となった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる送風機動作処理を実行してもよく、温度T6が露点Tdを超えた場合に、送風機25を停止させてもよい。
【0042】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図9及び図10によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、湿度センサを備え、制御部28が、湿度センサによる測定値を参照した処理を実行する点が上記実施形態と相違する。
【0043】
図10に示すように、制御部28は、側壁部11Aに設けられた湿度センサ210(図9参照)によって測定された側壁部11A付近の湿度W1が所定値t5以上になった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる。また、湿度W1が所定値t6未満になった場合に、送風機25を停止させる。側壁部11A付近の湿度W1が高い程、表面11Bにおいて結露が生じ易くなる。このため、湿度W1に基づいて表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定することができる。
【0044】
また、制御部28は、湿度W1及び周囲温度T1より露点Td1を算出し、表面11Bの温度T2が、露点Td1以下になった場合に、表面11Bに結露が生じ易い状況であると判定し、送風機25を動作させる。また、温度T2が露点Td1を超えた場合に、送風機25を停止させる。表面11Bの温度T2と露点Td1とを比較することで、表面11Bに結露が生じ易い状況であるか否かを判定することができる。なお、制御部28は、表面温度T2が、露点Td1に基づいて設定された所定値t10(露点Td1+所定値X1)以下になった場合に、送風機25を動作させてもよく、表面温度T2が、露点Td1に基づいて設定された所定値t11(露点Td1+所定値X2、但しt11<t10)を超えた場合に、送風機25を停止させてもよい。
【0045】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、冷却貯蔵庫として、プレハブ式の冷却貯蔵庫10を例示したが、プレハブ式に限定されない。なお、プレハブ式の冷却貯蔵庫10は、建物の外等、外気の影響を受けやすい所に設置されることが多く、周囲温度が変化し易いため、結露が生じ易い。このため、プレハブ式の冷却貯蔵庫10に上記実施形態の構成を備えることがより好ましい。
(2)送風機25の設置箇所は側壁部11A以外であってもよく、例えば、箱体11を構成する天井の上面や床の下面等に送風機25を設置してもよい。
(3)上記実施形態1では判定処理において条件(1)~(5)を用いるものを例示したが、判定処理を簡略化するために条件(1)~(5)のうち1つのみを用いてもよく、2つ以上の条件を選択して用いてもよい。例えば、条件(2)、(3)のみを用いてもよい。また、露点算出処理は、判定処理において条件(5)を用いる場合に実行されるものであり、条件(5)を用いない場合には、不要である。
【符号の説明】
【0046】
10…冷却貯蔵庫、11…箱体、11B…表面(箱体の外表面)、12…貯蔵室、14…冷却装置、24…圧縮機、25…送風機、26…計時部、28…制御部、29…外表面温度センサ、30…周囲温度センサ、31…庫内温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10