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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175878
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】検査システムおよびプログラム等
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093957
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(71)【出願人】
【識別番号】508320239
【氏名又は名称】株式会社ユピテル鹿児島
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】中塩屋 司
(72)【発明者】
【氏名】中井 康人
(72)【発明者】
【氏名】東山 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】小林 典仙
(72)【発明者】
【氏名】大嶌 博昭
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA19
2G036AA28
2G036BA13
2G036BB12
(57)【要約】
【課題】検査する物へ順番に実行させる複数の検査項目を容易に行うなど、従来よりも優れたシステムを提供すること。
【解決手段】少なくとも一つの検査対象を検査する検査システムであって、検査対象となる検査する物へ、複数の検査項目を順次実行させる。一例として、複数の検査項目に用いる複数の機器(例えば、ホーン150~157)を配列し、検査する物を各機器と対向する位置に移動させることにより、各機器が動作を開始する構成とする。他の例として、複数の検査対象について、検査する物と複数の検査項目とを特定する、予め作成された各検査対象に対応する複数の検査定義ファイルのうち、一つの検査対象に対応する検査定義ファイルに基づいて、検査する物と複数の検査項目とを示す検査用画面を生成して表示する機能と、検査用画面に表示された複数の検査項目を順次実行させる機能とを備える構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの検査対象を検査する検査システムであって、
前記検査対象となる検査する物へ、複数の検査項目を順次実行させる検査システム。
【請求項2】
前記複数の検査項目に用いる複数の機器を配列し、前記検査する物を各機器と対向する位置に移動させることにより、前記各機器が動作を開始する構成を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記検査する物は、無線信号を受信する基板を備える部材であり、
各機器は、異なる無線信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記少なくとも一つの検査対象は、複数であり、
前記検査する物と前記複数の検査項目とを特定する、予め作成された各検査対象に対応する複数の検査定義ファイルのうち、一つの検査対象に対応する検査定義ファイルに基づいて、前記検査する物と前記複数の検査項目とを示す検査用画面を生成して表示する機能と、前記検査用画面に表示された前記複数の検査項目を順次実行させる機能とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記複数の検査定義ファイルは、前記各検査対象について、前記複数の検査項目と、前記複数の検査項目を実行する順番を特定する情報と、を有し、
前記検査用画面を生成して表示する機能は、前記一つの検査定義ファイルが有する前記複数の検査項目を前記順番に並べた情報を前記検査用画面に表示する
ことを特徴とする請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記検査用画面を生成して表示する機能は、前記複数の検査項目の実行に関する指示を受ける複数の操作ボタンを前記検査用画面に表示し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記複数の操作ボタンの押下に基づいて、前記複数の検査項目を実行させる
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記複数の操作ボタンは、前記複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタンと、前記複数の検査項目それぞれを個別に実行させる操作ボタンとを有し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、押下された操作ボタンに基づいて、前記複数の検査項目のうち、少なくとも一つの検査項目を実行させる
ことを特徴とする請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記複数の操作ボタンは、前記複数の検査項目の実行を次に進める進行ボタンを有し、
前記複数の検査定義ファイルは、前記複数の検査項目について、検査結果に対する調整を要する調整検査と、検査結果を確認して次の検査へ進む確認検査とのいずれかを示す検査種別と、前記確認検査の検査結果と照合する規定値とを有し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記調整検査では、前記検査結果を前記検査用画面に表示し、前記進行ボタンが押下されるまで待ち、前記確認検査では、前記規定値を用いて前記確認検査の検査結果を判定し、規定値内の判定では次の前記検査項目へ進み、規定値外の判定ではエラーを表示する
ことを特徴とする請求項6に記載の検査システム。
【請求項9】
前記検査用画面を生成して表示する機能は、実行中の前記検査項目を前記検査用画面に表示する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項10】
前記検査用画面は、少なくとも一つの検査項目を実行させた検査結果を表示する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項11】
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、少なくとも一つの検査項目を実行させた検査結果を保存する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項12】
前記一つの検査対象に対応する検査定義ファイルは、ユーザによって選択される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項13】
前記検査用画面は、実行中の検査項目を示す領域と、前記複数の検査項目を実行中に、前記実行中の検査項目の検査状況を示す領域と、前記複数の検査項目の検査結果を順次示す領域とを有する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項14】
前記検査定義ファイルは、前記検査状況を示す領域に、各検査項目の検査状況を表示する表示領域を形成する情報を有し、
前記検査用画面を生成して表示する機能は、前記表示領域を形成する情報を用いて前記検査状況を示す領域を生成する
ことを特徴とする請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
各検査対象において、複数の検査する物を検査するときに、所定のタイミングまでに保存した前記検査結果を用いて不良率を算出し、前記不良率の変化を検出し、検出した前記不良率の変化を通知する機能を、さらに備える
ことを特徴とする請求項11に記載の検査システム。
【請求項16】
各検査対象において、複数の検査する物を検査するときに、前記検査結果を取得すると、前記検査結果を用いて管理指標を算出する機能を、さらに備える
ことを特徴とする請求項11に記載の検査システム。
【請求項17】
前記検査定義ファイルは、一つの検査対象について、量産モードと、量産前モードとの少なくとも二種類のファイルが作成されている
ことを特徴とする請求項4または5に記載の検査システム。
【請求項18】
前記検査結果を用いて算出した値を、ボリンジャーバンドを用いて表す機能を、さらに有する
ことを特徴とする請求項15に記載の検査システム。
【請求項19】
前記検査結果は、前記検査する物が有する記憶手段に記録する
ことを特徴とする請求項11に記載の検査システム。
【請求項20】
前記記憶手段に記録した前記検査結果は、前記検査する物を備える装置において、表示可能に構成される
ことを特徴とする請求項19に記載の検査システム。
【請求項21】
前記検査定義ファイルは、前記複数の検査項目の少なくとも一つに、検査時の条件の設定と、前記条件と検査結果とを対応づけた保存とを指示する検査項目を有し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記指示に沿って、前記検査時の条件に沿って実行した検査結果を、前記条件と対応づけて保存する
ことを特徴とする請求項11に記載の検査システム。
【請求項22】
前記検査状況を示す領域は、表示と非表示とを選択可能にする
ことを特徴とする請求項13に記載の検査システム。
【請求項23】
前記検査用画面は、前記複数の検査項目のうち、実行する検査項目を選択する領域を有し、
前記実行する検査項目を選択する領域は、前記複数の検査項目のうち、実行する検査項目を選択することを促すように構成され、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタンが押下されると、実行する検査項目を選択する領域で選択された検査項目を順次実行させる
ことを特徴とする請求項7に記載の検査システム。
【請求項24】
請求項4または5に記載の検査システムが有する機能をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、検査システムおよびプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より商品等の生産等の現場では各種の検査が行われている。例えば、計測機器等から発せられる無線信号を検出して報知する検出器が知られている(例えば、特許文献1)。例えば、このような機器では作製後に、動作時の特性を最適化する調整や無線信号の検出確認等の検査を実施する。例えば、検査は複数の検査項目を順番に実行して行うが、機器に応じて個別のシステムを構築するため、多くの時間を要し、改善することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05‐275934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、検査する物へ順番に実行させる複数の検査項目を容易に行うなど、従来よりも優れたシステムを提供すること等を目的とする。
【0005】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のシステムの一態様は、
少なくとも一つの検査対象を検査する検査システムであって、
前記検査対象となる検査する物へ、複数の検査項目を順次実行させるとよい。
このようにすると、検査する物へ順次に実行させる複数の検査項目を容易に行うことができる。特に前記検査対象となる検査する物へ、複数の検査項目を順番に実行させる機能を備えるとよい。このようにすれば、検査する物へ順番に実行させる複数の検査項目を容易に行うことができる。
【0007】
「検査対象」は、例えば、「検査する物」と、「複数の検査項目」との、少なくともいずれかより特定するとよい。
検査対象は、例えば、検査する物と複数の検査項目との少なくとも一方が異なる場合には、異なる検査対象とする。一例として、検査する物を、無線信号を受信する無線信号基板とするとき、複数の検査項目が、受信する無線信号を調整する調整検査の場合と、無線信号の受信を確認する確認検査の場合とは、検査する物が同じであっても複数の検査項目が異なるため、検査対象としては異なるものするとよい。また、検査する物は、例えば、検査する物を無線信号基板とするとき、バージョンが異なるもの、製品名が異なるもの等を検査する物が異なるものとして設定し(取り扱い)、異なる検査対象として設けてもよい。検査対象は、ユーザが任意に定義することができる。
検査は信号があらかじめ設定された正常な状態にあるかを検査する構成とするとよい。
【0008】
(2)前記複数の検査項目に用いる複数の機器を配列し、前記検査する物を各機器と対向する位置に移動させることにより、前記各機器が動作を開始する構成を有するとよい。
このようにすると、簡単な手段を用いて複数の検査項目を順次に実行することができる。例えば、一つの機器において、複数の機能を切り替える仕組みを構築することなく検査を実行することができる。これにより、検査システムの開発に要する時間を削減することができる。
【0009】
配列は、例えば、移動の方向に沿って行うとよい。配列は、例えば、円盤上に配列して移動を当該円盤回転させて行うようにするとよい。配列は、特に、直線上に配列して移動を当該直線上に行うとよい。
対向する位置への移動は、例えば、自動で行う構成としてもよいが、手動で行う構成とするとよい。また、対向する位置への移動は、例えば、検査するものの側を固定した位置に配置し、機器側を移動させるようにしてもよいが、機器側を固定した位置に配置し、検査するものの側を移動させるようにするとよい。対向する位置への移動は、特に複数の機器うちの一部の機器側を固定した位置としてもよいが、すべての機器側を固定した位置に配置し、検査するものの側をそれらすべての機器側の各位置へ移動させるように構成するとよい。
検査する物を各機器と対向する位置に移動させることにより、各機器が動作を開始する構成としては、検査する物がある機器と対向する位置から他の機器と対向する位置に向けて移動されていることを検出したことに応じて当該他の機器が動作を開始する構成としてもよいが、検査する物が複数の機器中の特定の機器と対向する位置にあることを検出したことに応じて各機器が動作を開始する構成とするとよい。
【0010】
(3)前記検査する物は、無線信号を受信する基板を備える部材であり、
各機器は、異なる無線信号を出力するとよい。
このようにすると、一つの機器を用いて無線信号を切り替えるときに必要となる切替機能を構築することなく複数の検査項目を実行することができる。
【0011】
「基板を備える部材」は、基板上に取り付けられた複数の部品と基板とを備える部材とするとよく、特に一体化した部材とするとよい。基板からは前記検査項目を順次実行した際の検査結果を得るための信号の取り出し部を設けるとよい。信号の取り出し部はコネクタ等の部品を基板にはんだ付けしたものを備えるようにしてもよいが、信号の取り出し部にはコネクタ等の部品をはんだ付けせずに、導電性部材を外部から接触させて信号を取り出すための接触時に導電する基板パターンを有するとよい。基板には複数の部品がはんだ付けされるが、信号の取り出し部にははんだ付けしない構成とするとよい。
また、検査する物は、基板と基板に取り付けられた部品とによって回路を構成する部材とするとよい。
【0012】
各機器は、異なる無線信号を出力し、無線信号を受信する基板を備える部材がこれらの異なる無線信号をそれぞれ受信したときの信号を出力して検査する構成とするとよい。各機器は、異なる無線信号を出力し、無線信号を受信する基板を備える部材がこれらの異なる無線信号をそれぞれ受信したときの信号を出力して、すべての異なる無線信号による検査結果を総合して総合的な検査結果を得る構成とするとよい。
【0013】
(4)前記少なくとも一つの検査対象は、複数であり、
前記検査する物と前記複数の検査項目とを特定する、予め作成された各検査対象に対応する複数の検査定義ファイルのうち、一つの検査対象に対応する検査定義ファイルに基づいて、前記検査する物と前記複数の検査項目とを示す検査用画面を生成して表示する機能と、前記検査用画面に表示された前記複数の検査項目を順次実行させる機能とを備えるとよい。
このようにすると、複数の検査対象それぞれに対応する検査定義ファイルを作成することにより、複数の検査手順を実行させるユーザインタフェースを表示する検査システムを提供することができる。これにより、検査対象が異なる複数の検査を一つの検査システムで実行することが可能になり、検査システムの開発や管理等に要する時間を削減することができる。
【0014】
「検査定義ファイル」は、複数の検査対象それぞれに対応するファイルが予め複数作成されるとよい。検査定義ファイルは、例えば、各検査対象について、検査する物と複数の検査項目とを少なくとも特定し、検査システムが参照可能な記憶手段等に保持されるとよい。
参照可能な記憶手段等は、例えば、検査システム内に設けられたもの、検査システムに着脱可能なもの、検査システムが通信(有線、無線を問わない)を介して読み出し可能なものとするとよい。
検査定義ファイルは記憶手段に記憶しておき、検査定義ファイルの少なくとも一部の一覧を表示し、その中から少なくともいずれか一つを実行対象のものとしてユーザに選択させる機能を備えるとよい。
検査定義ファイルは人が作成してもよいが、システムが作成(例えば生成)するようにしてもよい。
【0015】
(5)前記複数の検査定義ファイルは、前記各検査対象について、前記複数の検査項目と、前記複数の検査項目を実行する順番を特定する情報と、を有し、
前記検査用画面を生成して表示する機能は、前記一つの検査定義ファイルが有する前記複数の検査項目を前記順番に並べた情報を前記検査用画面に表示するとよい。
このようにすると、検査対象に関して、検査する物または複数の検査項目を、ユーザが任意に定義することが可能になる。これにより、ユーザが実現したい検査システムの複数の検査項目の順番を、検査定義ファイルを作成することで設定することが可能になる。
【0016】
「前記複数の検査項目を実行する順番を特定する情報」は、例えば、複数の検査項目を実行する順番に並べて記載した情報、複数の検査項目を実行する順番を指定する情報(数値)などを用いるとよい。
「前記複数の検査項目を前記順番に並べた情報」は、例えば、複数の検査項目の名称を実行する順番に並べた表示、複数の検査項目を指定する名称を示すボタンを順番に並べた表示などを用いるとよい。
【0017】
(6)前記検査用画面を生成して表示する機能は、前記複数の検査項目の実行に関する指示を受ける複数の操作ボタンを前記検査用画面に表示し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記複数の操作ボタンの押下に基づいて、前記複数の検査項目を実行させるとよい。
このようにすると、ユーザが操作ボタンを押下することによって、検査項目の実行を任意のタイミングで進めることが可能になる。
操作ボタンの押下はマウス等の入力デバイスのポインタの位置でのクリック等によって検出するようにしてもよいが、タッチパネルをユーザが押したことを検出するようにすると特によい。
【0018】
「操作ボタン」は、例えば、実行に関する指示として、検査項目の実行の開始、停止、中止などを設けるとよい。
【0019】
(7)前記複数の操作ボタンは、前記複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタンと、前記複数の検査項目それぞれを個別に実行させる操作ボタンとを有し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、押下された操作ボタンに基づいて、前記複数の検査項目のうち、少なくとも一つの検査項目を実行させるとよい。
このようにすると、複数の検査項目のうち、任意の一つの検査項目を実行させることができるため、複数の検査項目のうちの所定の検査項目の実行が必要となる場合にも柔軟に対応することが可能になる。これにより、検査に要する経費を抑制すること、複数の検査項目のうちの任意の検査項目を実行させるシステムの構築を回避すること等ができる。
【0020】
「前記複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタン」は、例えば、複数の検査項目を順番に実行させるときに用いるボタンとするとよい。特に「前記複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタン」は、画面内に一つ設けるとよい。
「前記複数の検査項目それぞれを個別に実行させる操作ボタン」は、例えば、複数の検査項目それぞれに対応するボタンであり、個別に検査項目を実行させるときに用いるボタンとするとよく、操作ボタンには、検査項目の名称が示されているとよい。特に「前記複数の検査項目それぞれを個別に実行させる操作ボタン」は、画面内に複数個を設けるとよい。
「少なくとも一つの検査項目を実行させる」ことは、例えば、複数の検査項目全体を実行すること、押下された操作ボタンの検査項目を実行することとのいずれかを、押下された操作ボタンに基づいて実行させる機能を有するとよい。
【0021】
(8)前記複数の操作ボタンは、前記複数の検査項目の実行を次に進める進行ボタンを有し、
前記複数の検査定義ファイルは、前記複数の検査項目について、検査結果に対する調整を要する調整検査と、検査結果を確認して次の検査へ進む確認検査とのいずれかを示す検査種別と、前記確認検査において検査結果と照合する規定値とを有し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記調整検査では、前記検査結果を前記検査用画面に表示し、前記進行ボタンが押下されるまで待ち、前記確認検査では、前記規定値を用いて前記確認検査の検査結果を判定し、規定値内の判定では次の前記検査項目へ進み、規定値外の判定ではエラーを表示するとよい。
このようにすると、検査結果に応じて調整等のユーザによる処理を要する検査項目を複数の検査項目に組み入れることが可能になる。また、検査結果が規定値の範囲内であることを確認する検査では、ユーザの確認を待つことなく検査項目を順番に進めることが可能になる。これにより、多様な検査項目に対応可能な検査システムを提供することができるとともに、確認検査の実行の効率化を図ることができる。
【0022】
「調整検査」は、例えば、検査結果に基づいて、ユーザが調整手段等を用いて検査する物を調整し、調整終了後にユーザが進行ボタンを押下することにより、次の検査項目へ検査が進められる検査とするとよい。
【0023】
(9)前記検査用画面を生成して表示する機能は、実行中の前記検査項目を前記検査用画面に表示するとよい。
このようにすると、ユーザに検査状況を通知することができる。
【0024】
「実行中の前記検査項目を前記検査用画面に表示する」ことは、例えば、実行中の検査項目のみを表示してもよいし、複数の検査項目全体を実行中のときに、複数の検査項目を表示し、実行中の検査項目について色を変える、点滅させる等の表示処理により実行中の検査項目が判別できるようにしてもよい。
【0025】
(10)前記検査用画面は、少なくとも一つの検査項目を実行させた結果を表示するとよい。
このようにすると、ユーザは検査結果を検査表示画面で確認することが可能となり、特別な作業をすることなく容易に検査結果を参照できる。例えば、ユーザが、確認検査中に検査結果に基づいて検査の続行、停止または中止等を希望する場合には有用である。
【0026】
「少なくとも一つの検査項目を実行させた結果」は、例えば、複数の検査項目のうち、少なくとも検査項目を実行した検査結果とするとよく、検査中に一時的に表示する場合、各検査項目を実行した結果を一覧できるように表示する場合等とするとよい。一例として、各検査項目の測定値、測定値を判定したOK、NGの判定結果等を表示するとよい。
【0027】
(11)前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、少なくとも一つの検査項目を実行させた検査結果を保存するとよい。
このようにすると、ユーザは検査後に検査結果を収集すること、検査結果を用いて処理することなどが容易になる。
【0028】
「少なくとも一つの検査項目を実行させた結果」は、保存する検査結果として、例えば、一つの検査項目を実行させた結果を保存する場合、複数の検査項目を実行させたときに、すべての結果を保存する場合、または、複数の検査項目のうち予め選択した検査項目等の結果を保存する場合などとするとよい。
また、検査システムは、少なくとも一つの検査項目を実行させた検査結果を、前記複数の検査項目を順次実行させる機能以外の機能、例えば、前記検査用画面を生成して表示する機能により保存するように構成してもよいし、検査結果を保存する機能または検査結果を利用する機能等を別途設けて、これらの機能により保存するように構成してもよい。
【0029】
(12)前記一つの検査対象に対応する検査定義ファイルは、ユーザによって選択されるとよい。
このようにすると、ユーザが検査を実行させる所望の検査定義ファイルを、検査開始前のタイミングで選択することにより、所望の検査システムを開始させることができる。これにより、一つの検査システム(装置)において、検査定義ファイルを変更することにより、異なる検査対象の検査を実行することができる。
【0030】
検査システムは、例えば、ユーザが検査定義ファイルを選択し、検査対象を確認した後に、検査を開始する操作ボタンの押下を促し、検査項目の実行を開始できるように構成されるとよい。
【0031】
(13)前記検査用画面は、実行中の検査項目を示す領域と、前記複数の検査項目を実行中に、前記実行中の検査項目の検査状況を示す領域と、前記複数の検査項目の検査結果を順次示す領域とを有するとよい。
このようにすると、実行した検索項目の検査結果とともに、実行中の検査項目の検査状況を、リアルタイムに表示することができる。
【0032】
「実行中の検査項目を示す領域」は、検査状況を示す領域の検査項目を示すとよい。
「検査状況を示す領域」は、例えば、実行中の検査項目について、検査状況を示すデータを表示するとよい。
「検査結果を順次示す領域」は、例えば、複数の検査項目を実行した順に検査結果(OK、NGなど)を表示するとよい。
【0033】
「検査状況を示すデータ」は、例えば、実行中の検査項目で検知した測定値等を表示するとよい。
このようにすると、実行中の検査項目の測定値を随時確認可能となり、検査する物の検査状況をリアルタイムに把握することができる。
【0034】
測定値は、例えば、数値を表示してもよいし、測定値をグラフ等により表示してもよい。
【0035】
また、実行中の検査項目の測定値に加え、実行後の検査項目の測定値を表示するとよい。
このようにすると、複数の検査項目の測定値を随時確認しやすくなる。
【0036】
さらに、検査定義ファイルは、実行中の検査項目で検知した測定値を、前記検査状況を示す領域に表示させる情報を有し、前記検査状況を示す領域は、前記表示させる情報により、実行中の検査項目の測定値を表示するとよい。
このようにすると、複数の検査項目を順次実行させる機能が検査対象に応じて測定値を表示する負荷を軽減できる。検査対象に応じた測定値の表示方法をユーザの意向に沿って選択できる。
【0037】
「表示させる情報」は、例えば、複数の検査項目を順次実行させる機能が起動可能な、検査状況を示す領域に測定値を表示させるアプリケーション(ソフトウェア)としてもよい。「表示させる情報」は、例えば、検査状況を示す領域に、グラフ等を表示させる情報としてもよい。
検査状況を示す領域は、例えば、複数の検査項目を順次実行させる機能(または検査用画面を生成して表示する機能等)が、表示させる情報としてのアプリケーションを起動することにより、実行中の検査項目の測定値を表示させるとよい。または、検査状況を示す領域は、例えば、複数の検査項目を順次実行させる機能(または検査用画面を生成して表示する機能等)が、表示させる情報を用いて、測定値等を表示させるとよい。
【0038】
(14)前記検査定義ファイルは、前記検査状況を示す領域に、各検査項目の検査状況を表示する表示領域を形成する情報を有し、
前記検査用画面を生成して表示する機能は、前記表示領域を形成する情報を用いて前記検査状況を示す領域を生成するとよい。
このようにすると、検査用画面を生成して表示する機能が、検査対象に応じた個別の表示画面を生成する負荷を軽減できる。また、検査対象に応じた個別画面をユーザの意向に沿って生成できる。
【0039】
「表示領域を形成する情報」は、例えば、検査用画面を生成して表示する機能が起動可能なアプリケーション(ソフトウェア)としてもよい。「表示領域を形成する情報」は、例えば、検査状況を示す領域に配置する画像を特定する情報としてもよい。
【0040】
(15)各検査対象において、複数の検査する物を検査するときに、所定のタイミングまでに保存した前記検査結果を用いて不良率を算出し、前記不良率の変化を検出し、検出した前記不良率の変化を通知する機能を、さらに備えるとよい。
このようにすると、不良率の変化を検出可能とし、検出した不良率の変化をユーザに通知することができる。これにより、ユーザは、例えば、不良率を抑制する手段を施す等の対策をとることができる。
【0041】
「所定のタイミング」は、例えば、生産台数が予め設定した台数を超えたとき、または、検査結果がNGとなったとき等を用いることができる。
「不良率の変化を通知する機能」は、例えば、不良率の変化を通知する手段として、警告するメッセージ、表示画面の色の変化、通知音などを一以上組合わせて、ユーザが注目するように通知するとよい。
「不良率の変化に基づいて」は、例えば、不良率の変化が生じたとき、不良率の変化が予め決められた値を超えたとき等のタイミングを用いるとよい。
【0042】
前記不良率の変化は、バラツキを拡大して検出するとよい。バラツキの拡大には、例えば、標準偏差、偏差の絶対値、偏差の2乗和、3乗和または4乗和等を用いるとよい。
【0043】
(16)各各検査対象において、複数の検査する物を検査するときに、前記検査結果を取得すると、前記検査結果を用いて管理指標を算出する機能を、さらに備えるとよい。
このようにすると、検査を実行している間に、管理指標に基づいて生産工程能力等を可視化することができる。これにより、生産工程の源流管理をすることができる。
【0044】
管理指標は、例えば、検査する物毎の検査結果がNGとなる割合等を示す値とするとよい。
【0045】
(17)前記検査定義ファイルは、一つの検査対象について、量産モードと、量産前モードとの少なくとも二種類のファイルが作成されているとよい。
このようにすると、生産体制に応じて、検査項目等を変更することが容易になる。これにより、生産体制に応じて、生産の効率を向上させることができる。
【0046】
(18)前記検査結果を用いて算出した値を、ボリンジャーバンドを用いて表す機能を、さらに有するとよい。
このようにすると、検査結果を用いて算出した値を解析しやすくなり、検査結果から把握できる問題点等に着目しやすくなる。
【0047】
(19)前記検査結果は、前記検査する物が有する記憶手段に記録するとよい。
このようにすると、検査する物から検査結果を参照することが可能になる。
【0048】
記憶手段は、例えば、検査する物が有するRFID(Radio Frequency Identification)、または、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、または、検査する物に装着される媒体(SDカードなど)とするとよい。
【0049】
(20)前記記憶手段に記録した前記検査結果は、前記検査する物を備える装置において、表示可能に構成されるとよい。
このようにすると、検査する物を備える装置が置かれている位置で、検査結果を参照することができる。これにより、メンテナンス時等に有用な情報を容易に得ることができる。
【0050】
さらに、前記表示する機能は、サービスマンなど秘密のコードや操作を知る者が表示可能とし、ユーザは表示できないように構成するとよい。
【0051】
(21)前記検査定義ファイルは、前記複数の検査項目の少なくとも一つに、検査時の条件の設定と、前記条件と検査結果とを対応づけた保存とを指示する検査項目を有し、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記指示に沿って、前記検査時の条件に沿って実行した検査結果を、前記条件と対応づけて保存するとよい。
このようにすると、所望の検査結果を、検査時の条件等と対応づけて取得することが可能になり、部品の性能のバラツキや傾向不良の予測に有用なデータとして保存することが可能になる。
【0052】
「検査時の条件」は、例えば、レーダーの設計上の受信周波数範囲の中の特定の周波数の電波を治具から出力し、レーダー側でその周波数の電波を受けたスイープ範囲内の位置を特定することするとよい。
【0053】
(22)前記検査状況を示す領域は、表示と非表示とを選択可能にするとよい。
このようにすると、検査者に応じて適切な表示方法を選択することができる。例えば、検査に不慣れな者が検査する場合には、検査状況を示す領域に測定値を表示しないようにすることが可能になる。これにより、検査結果を順次示す領域に示される検査結果に着目するように仕向けることができる。また、検査状況のデータを見せたくない者が存在するときに非表示を選択することができる。
【0054】
表示と非表示とは、例えば、操作ボタンにより選択可能とすること、各検査対象について、表示とする検査定義ファイルと、非表示とする検査定義ファイルとを作成すること、などにより実現するとよい。
【0055】
(23)前記検査用画面は、前記複数の検査項目のうち、実行する検査項目を選択する領域を有し、
前記実行する検査項目を選択する領域は、前記複数の検査項目のうち、実行する検査項目を選択することを促すように構成され、
前記複数の検査項目を順次実行させる機能は、前記複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタンが押下されると、実行する検査項目を選択する領域で選択された検査項目を順次実行させるとよい。
このようにすると、複数の検査項目のうち所望の検査を実行したいときに、検査定義ファイルを新たに作成することなく、柔軟に対応することができる。
【0056】
「実行する検査項目を選択する領域」は、例えば、検査を開始する前の検査用画面に表示してもよいし、複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタンが押下されたときに表示し、実行する検査項目の選択を促す画面として表示してもよい。
「複数の検査項目の全体を実行させる操作ボタン」は、実行する検査項目を選択する領域での選択を促す場合と、全部の検査項目を実行させる場合とで、異なるボタンが設けられてもよい。
【0057】
(24)上述した(4)から(23)のいずれか一つの検査システムが有する機能を実現するプログラムをコンピュータに実行させるとよい。
このようにすると、検査システムの機能をコンピュータに導入しやすくなる。また、例えば、検査システムの機能を複数の装置で実現することが容易になる。
【0058】
上述した(1)から(24)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(24)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0059】
ただし、次のように構成すると、特に優れた効果を発揮する。
上記(2)については、特に(1)の構成を備えるとよい。上記(3)については、特に(2)の構成を備えるとよい。上記(4)については、特に(1)の構成を備えるとよい。上記(5)については、特に(4)の構成を備えるとよい。上記(6)については、特に(4)または(5)の構成を備えるとよい。上記(7)については、特に(6)の構成を備えるとよい。上記(8)については、特に(6)または(7)の構成を備えるとよい。上記(9)については、特に(4)から(8)のいずれか一つの構成を備えるとよい。上記(10)については、特に(4)から(9)のいずれか一つの構成を備えるとよい。上記(11)については、特に(4)から(10)のいずれか一つの構成を備えるとよい。上記(12)については、特に(4)から(11)のいずれか一つの構成を備えるとよい。上記(13)については、特に(4)から(12)のいずれか一つの構成を備えるとよい。上記(14)については、特に(13)の構成を備えるとよい。上記(15)、(16)については、特に(11)の構成を備えるとよい。上記(18)については、特に(15)または(16)の構成を備えるとよい。上記(19)については、特に(11)の構成を備えるとよい。上記(20)については、特に(19)の構成を備えるとよい。上記(21)については、特に(11)の構成を備えるとよい。上記(22)については、特に(13)または(14)の構成を備えるとよい。上記(23)については、特に(7)の構成を備えるとよい。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、検査する物へ順番に実行させる複数の検査項目を容易に行う検査システムを提供することができる。
【0061】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】実施形態1の検査システムの構成例を説明するブロック図である。
図2】実施形態1の検査システムの検査の流れを説明するフローチャートである。
図3】実施形態1の検査システムの操作画面の一例を説明する図である。
図4】ビスとコイルとを設けたRD基板の一例を説明する図である。
図5】実施形態2の検査システムを適用する検査装置の概略を説明するブロック図である。
図6】実施形態2の検査システムを説明するブロック図である。
図7】実施形態2の検査システムを適用するRD検査装置の構成例を説明するブロック図である。
図8】検査システムが起動されたときの動作例を説明するフローチャートである。
図9】検査定義ファイルの選択を促す画面の一例を説明する図である。
図10】検査内容の確認および検査開始の受付を促す画面の一例を説明する図である。
図11】RD調整の検査開始時の検査用画面の一例を説明する図である。
図12】RD調整の1番目の検査項目を実行するときの検査用画面の一例を説明する図である。
図13】RD調整の3番目の検査項目を実行するときの検査用画面の一例を説明する図である。
図14】RD調整の7番目の検査項目を実行するときの検査用画面の一例を説明する図である。
図15】RD調整の検査終了時の検査用画面の一例を説明する図である。
図16】実施形態2の検査システムを適用するSC検査装置の構成例を説明するブロック図である。
図17】SC調整の検査開始時の検査用画面の一例を説明する図である。
図18】SC調整の4番目の検査項目を実行するときの検査用画面の一例を説明する図である。
図19】SC調整の9番目の検査項目を実行するときの検査用画面の一例を説明する図である。
図20】SC調整の検査終了時の検査用画面の一例を説明する図である。
図21】制御装置に接続する外部インターフェースの一例を説明する図である。
図22】実施形態2の検査システムを適用する検査装置の他の例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略または簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
以下、検査対象の検査を実行する複数の検査項目を順次実行させる検査システムの一例について説明する。
各実施形態において、検査は、例えば、複数の検査項目を順次に実行するものであり、複数の検査項目の途中で検査結果等により、次に実行する検査項目を、複数の検査項目から選択して実行する等を判断する工程がなく、単に順次に検査項目を実行するものであることを前提とする。
【0065】
実施形態1.
本実施形態では、検査システムが、複数の検査項目に用いる複数の機器を配列し、検査する物を各機器と対向する位置に移動させることにより、各機器が動作を開始する構成を有する一態様を説明する。検査システムの一例として、無線信号検査装置の構成を用いて説明する。
以下では、例えば、検査対象が「レーダー検知基板の製造調整」(「RD基板の製造調整」とも称する)であり、「検査する物」を、レーダーを検知する「レーダー検知基板」(「RD基板」とも称する)とし、「複数の検査項目」を、RD基板を製造してレーダーの受信を調整する「製造調整」とする場合を説明する。RD基板は、基板を備える部材の一例である。
【0066】
図1は、実施形態1の検査システムの構成例を説明するブロック図である。
第一の検査システム10(以下「検査システム10」と称する)は、制御手段としてのパーソナルコンピュータ(以下「PC」と称する)11、シリアル通信アダプタ12、ピンボード固定台13、スペクトラムアナライザ14、調整用ベース15、安定化電源16、および、オシロスコープ17等を備える。また、PC11とシリアル通信アダプタ12との間には、USB(Universal Serial Bus)ボード18が配置され、PC11とピンボード固定台13と間には、エミュレータ19が配置されている。
【0067】
調整用ベース15は、複数のホーン151~157と、基板設置ボード158と、レール159とを有する。ここで、複数のホーン151~157は、複数の検査項目に用いる複数の機器の一例である。
基板設置ボード158は、ピンボード固定台13に固定されている。
【0068】
PC11は、検査者(ユーザ)が検査用のボタン等を押下することによって検査項目が指示されると、USBボード18、シリアル通信アダプタ12を介して、調整用ベース15に設置されたRD基板へ、指示を伝達する。調整用ベース15は、RD基板に装着するときに、調整用ベース15側のコンタクトプローブと、RD基板側に設けてあるTPとが接触することで、電気的に導通する。詳細には、調整用ベース15上に設置されている治具ボードのコンタクトプローブピンと図4の裏側に設けられているTP(テストポイント)が接触することで、基板への電源/データ線の接続を行う。TPは、RD基板にビスとコイルを設置した面(図4参照)とは反対側に設けられている。TPは、検査用のコンタクトピンを当てるパッドである。
なお、PC11からフラッシュ書き込みが指示されるときには、エミュレータ19を介して、調整用ベース15に設置されたRD基板へ指示を伝達する。
【0069】
図2は、実施形態1の検査システムの検査の流れを説明するフローチャートである。
準備工程として、検査者は、RD基板を基板設置ボード158へセットする(S11)。
フラッシュ書き込み工程として、検査者は、PC11からフラッシュ書き込みの開始を指示する(S12)。
RD基板へのフラッシュ書き込みが終了すると、検査者は、リセット工程として、電源のOFF、ON等を行う。
【0070】
PC11は、電源ONとされた後、例えば、図3のような操作画面を表示し、検査者に検査を進めるボタンの押下を促す。
図3の操作画面において、領域A11はXバンドのレベルメータを示し、領域A12は製造タブを示す。製造タブを選択すると領域A13と領域A14とが表示される。領域A13は検査者が製品の生産書き込み等の指示を行うボタンを示し、領域A14は、測定値を示す。
また、操作画面では、製造タブ以外に、設定1、設定2、中継、書込、製造SCの各タブを選択可能に構成されている。
【0071】
設定1タブは、例えば、レーダーマイコンに対して、基本ステータスを要求するコマンドの送信やアプリケーション自体の設定を行う場合(ROMバージョン等)に使用する画面を表示する。
設定2タブは、例えば、レーダーマイコンに対して、測位ステータスを要求するコマンドの送信や設定を行う場合(GPSステータス要求等)に使用する画面を表示する。
中継タブは、例えば、通信(PCと基板との間)に関する設定を行う場合(ボーレート設定等)に使用する画面を表示する。
書込タブは、例えば、製造RDタブ内で書込をする際の詳細設定を行う際(書込Lvの固定値化等)に使用する画面を表示する。
製造SCタブは、例えば、SC基板の製造調整を実施する画面を表示する。製造SCタブは、例えば、後述する図17の領域A24に示す項目の少なくとも一部を表示するように構成されるとよい。
【0072】
次に、ローカル調整工程として、検査者は、PC11から周波数の初期設定を指示し(例えば、図3の領域A13に設けられた「初期設定(F1)」のボタンの押下)、ローカル発信周波数が所定の値(例えば、11.543GHz)となるように、ビスを回して調整する(S14)。ビスは、RD基板に設けられた調整治具であり、検査者がビスを回すことによりローカル周波数を調整する。
【0073】
ローカル周波数調整後、検査者は、ノイズレベル調整工程として、ノイズ波形の電圧が所定の範囲内(例えば、0.8±0.1V)となるように、コイルを回して調整する(S15)。ノイズ波形の電圧は、例えば、オシロスコープ17(図1)に表示される。オシロスコープにGP-IBが接続可能なモデルに限り、これをアプリ内表示することも可能である。
コイルは、RD基板に設けられた調整治具であり、検査者がコイルを回すことによりノイズ波形の電圧を調整する。
図4に、ビスとコイルとを設けたRD基板の一例を示す。
【0074】
続いて、検査者は、受信するレーダーのレベルを調整するレベル調整工程として、複数のホーンを用いてステップS16からS22の検査項目を行う。
ステップS16からS22において、検査者は、RD基板が設置された基板設置ボード158を、レール159に沿ってスライドさせて、複数のホーン151~157のいずれかに対向するように移動させて検査を実行する。
【0075】
検査システム10は、基板設置ボード158が複数のホーン151~157のいずれかに対向すると、対向するホーンのスイッチがONとなり、検査項目に基づく無線信号を出力し、RD基板が受信した結果をPC11に表示するように構成される。
各ホーン(ホーン151~157)が特定の強度(RD Lv1~5等)の無線信号を出力する筐体となる。
各ホーンは、基板設置ボード158がホーンの正面に移動することで基板設置ボード158の滑車面に設置されているスイッチを踏み、正面のホーン(ホーン151~157のいずれか一つ)の出力がONされる仕組みとなっている。ここでは、発振側は、各ホーン(ホーン151~157)であり、受信側は、基板設置ボード158上の製品基板となる。
検査者は、PC11の操作画面に表示された検査結果(例えば、領域A14の測定値)を参照して、正常時には次の検査項目に移り、エラー発生時等には所定の処理を行うまたは検査を終了する。
【0076】
レベル1確認工程は、RD基板(製品本体)が固有で持っているレベル1の感度を確認する工程である。
レベル3調整工程(レベル3書き込み工程)は、レベル3の信号を書き込む工程である。
レベル3調整確認工程は、レベル2のレーダー波をホーンから出力してレベル3の書き込みが正しく行われているかを確認する工程である。
レベル5書き込み工程は、レベル5の信号を書き込む工程である。
レベル5調整確認工程は、レベル4のレーダー波をホーンから出力してレベル5の書き込みが正しく行われているかを確認する工程である。
【0077】
また、各レベルは以下の感度とする。
レベル1は、RD基板(製品本体)が固有で持っている感度である。
レベル2は、レベル1とレベル3との間の感度である。
レベル3は、レーダーモジュールで保証されている受信強度におけるセンター感度の境界値である。
レベル4は、レベル3とレベル5との間の感度である。
レベル5は、レーダーモジュールで保証されている受信強度における最大感度の境界値である。
バンド幅Loは、レーダーモジュールにおける受信可能である最小周波帯域の境界値であり、レーダーモジュールの受信周波数の下限帯域を制限する(特定の帯域以下を受信しなくなる)。
バンド幅Hiは、レーダーモジュールにおける受信可能である最大周波帯域の境界値であり、レーダーモジュールの受信周波数の上限帯域を制限する(特定の帯域以上を受信しなくなる)。
【0078】
ホーン151~157の周波数の関係は、レベル1からレベル5の順に大きくなる(Lv1 < lv2 < lv3 < lv4 < lv5 )。
Xバンドは、同帯域・発振強度の違いである。
バンドLO ・バンドHiは、周辺帯域のマスクである。
以下にステップS16からS22の手順の詳細を説明する。
【0079】
レベル1(Lv1)確認工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン153に対向するように移動し、PC11の画面の領域A11に示すレベルメータがレベル1の数値(例えば“1”)まで点灯することを確認する(S16)。これにより、RD基板(製品本体)が固有で持っているレベル1の感度を確認する。
レベル3(Lv3)調整工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン155に対向するように移動し、レベルメータがレベル3の数値(例えば“3”)まで点灯することを確認し、「Sメータレベル3(F3)」のボタンを押下して、レベル3の信号を書き込む(S17)。
このような工程により、検査者は、RD基板がホーンより出力されているレーダー波を受信している状態を、RD基板に記憶させる。このようにして、各レベルに対応する感度(反応値)を記憶させる。
【0080】
レベル3調整確認工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン154に対向するように移動し、レベルメータがレベル2(Lv2)の数値(例えば“2”)まで点灯することを確認する(S18)。レベル3の閾値を書込ことにより、RDモジュールのレベル2の範囲が決定する。よって、レベル3の書込後に、レベル2の出力ホーン(ホーン154)前に移動させることで、レベル3の書込みが正常に行われたことと、レベル2の受信確認を同時に見ることができる構造となっている。書込に失敗している場合には、受信不可となる。
ステップS17でレベル3の感度を書き込むことで、レベル1とレベル3との間のレベル2の感度が決まってくるため、ステップS18では、RD基板がレベル2のレーダー波を判断できているかを確認する。
【0081】
レベル5(Lv5)書き込み工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン157に対向するように移動し、レベルメータがレベル5の数値(例えば“5”)まで点灯することを確認し、「Sメータレベル5(F4)」のボタンを押下して、レベル5の信号を書き込む。(S19)。このようにして、レベル5の感度をRD基板に記憶させる。レベル5の閾値を書込ことにより、RDモジュールのレベル4の範囲が決定する。よって、レベル5の書込後に、レベル4の出力ホーン(ホーン156)前に移動させることで、レベル5の書込みが正常に行われたことと、レベル4の受信確認を同時に見ることができる構造となっている。書込に失敗している場合には、受信不可となる。
【0082】
レベル5書込確認工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン156に対向するように移動し、レベルメータがレベル4(Lv4)の数値(例えば“4”)まで点灯することを確認する(S20)。
ステップS19でレベル5の感度を書き込むことで、ステップS20では、RD基板がレベル4のレーダー波を判断できているかを確認する。
【0083】
バンド幅Lo書込工程は、レーダーモジュールの受信周波数の帯域を制限する工程となる(特定の帯域以下を受信しなくなる)。
バンド幅Lo書込工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン151に対向するように移動し、レベルメータがレベル1からレベル5のいずれかの数値まで点灯することを確認し、「バンド幅‐たれ下り電圧Lo(F7)」のボタンを押下して、バンド幅Loを書き込み後、レベルメータの数値が消灯することを確認する(S21)。
バンド幅Hi書込工程では、検査者は、基板設置ボード158をホーン152に対向するように移動し、レベルメータがレベル1からレベル5のいずれかの数値まで点灯することを確認し、「バンド幅‐たれ下り電圧Hi(F8)」のボタンを押下して、バンド幅Hiを書き込み後、レベルメータの数値が消灯することを確認する(S22)。
各検査項目を実施すると検査を終了する検査終了処理工程として、検査者は、シリアル通信アダプタ12の電源OFFなどを行い、基板設置ボード158からRD基板を取り外し、検査を終了する(S23)。
【0084】
上述のレベル調整工程で説明したように、検査システム10は、検査する物(RD基板を載せた基板設置ボード158)を各機器と対向する位置に移動させることにより、各機器が動作を開始する構成を有するため、簡易な方法で複数の検査項目を実行させることができる。このような構成は、検査する検査項目の数が所定の範囲内である場合には、複数の機器を切り替える仕組みを構築しなくてよいことから、検査システムの開発に要する時間を削減すること、複数の機器を切り替える仕組みに要する機器等を削減することなどの効果が得られる。
【0085】
実施形態2.
本実施形態は、検査システムが、複数の検査対象に対応するユーザインタフェースを提供する一態様を説明する。
【0086】
実施形態1に記載した検査システム10としての無線信号検査装置は、検査対象をRD基板の製造調整として説明した。しかし、検査対象となる、検査する物と複数の検査項目との組合せは多様である。例えば、検査対象をレーダーとは異なる無線信号を検知する基板には、レーダーより周波数の小さい無線信号を検知するシグナル検知基板(「SC基板」とも称する)の調整などの検査がある。これまでの技術では、それぞれの検査対象に対応する検査装置を用いる個別のシステムが構築される。各システムの構築にあたっては、検査の開始、停止等のユーザの操作を促すこと、検査経過または検査結果等を表示することなどを行うユーザインタフェース(「UI」とも称する)を生成することになる。このようなUIをシステム毎に開発することは、作業に要する時間等がシステムの数発生することになり、検査システムを開発する者の負担になっていた。
【0087】
そこで、本実施形態では、予め作成された情報に基づいて、複数の検査対象に対応するUIを作成して表示し、各検査対象の検査を実行させる検査システムについて説明する。
【0088】
本実施形態の検査システムは、例えば、検査する物と複数の検査項目とを特定する、予め作成された各検査対象に対応する複数の検査定義ファイルのうち、一つの検査対象に対応する検査定義ファイルに基づいて、検査する物と複数の検査項目とを示す検査用画面を生成して表示する機能と、検査用画面に表示された複数の検査項目を順次実行させる機能とを備える。
【0089】
このようにすると、異なる複数の検査対象で用いることが可能なUIを提供可能となり、検査対象毎に、アプリケーションの開発に要するコスト(時間等)を削減することができる。
また、複数の検査項目を記載した定義ファイルを用いることにより、一つのアプリケーションでUIを提供することができる。
加えて、アプリケーションでは、複数の検査項目を順次実行させる機能を有し、検査に要する人手を削減できるため、さらにコストを削減することができる。
【0090】
実施形態2の検査システムは、例えば、検査全体を制御する制御装置と、制御装置からの指示に基づいて検査を実行する機器群とを備える検査装置に適用するとよい。
以下では、制御装置として、PCを用いる実施の一形態を説明する。
【0091】
図5を参照して、本実施形態の検査システムを、異なる複数の機器群により、複数の検査対象を検査する検査装置に適用する場合を説明する。
図5は、実施形態2の検査システムを適用する検査装置の概略を説明するブロック図である。
検査装置200は、制御装置としての第一PC210および第二PC270と、第一PC210からの指示に基づいて検査を実行する第一機器群230と、第二PC270からの指示に基づいて検査を実行する第二機器群250とを備える。
第一PC210および第二PC270は、メモリと、制御部とを備える。
メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を有する主記憶装置である。
メモリは、制御部が参照可能なメモリ等から読み出した検査定義ファイルを一時的に保持する領域を少なくとも有する。メモリは、例えば、複数の検査定義ファイルを保持する領域を有していてもよい。
制御部は、検査項目を機器群に実行させる命令を出力する。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を有する。制御部は、例えば、CPUに加え、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等を有する構成であってもよい。
制御部は、メモリのROMから読み出したプログラムをRAMに一時的に記憶させる。メモリのRAMは、制御部に作業領域を提供する。制御部は、プログラムの実行中に生成されるデータをRAMに一時的に記憶させながら演算処理を行うことにより、各種の制御を行う。
【0092】
検査装置200は、例えば、実施形態2の検査システムとして、上述した検査用画面を生成して表示する機能と、複数の検査項目を順次実行させる機能とを、第一PC210および第二PC270に実行させるプログラムを用いるとよい。
第一PC210および第二PC270は、検査システムのアプリケーション(プログラム)および関連するドライバ(中継装置、通信、音声などのドライバ)等が、予めインストールされている。
【0093】
図6は、実施形態2の検査システムを説明するブロック図である。図6は、第一PC210に第二の検査システム20(以下「検査システム20」と称する)を導入した例を示すが、第二PC270も同様に導入できる。
検査システム20は、検査用画面を生成して表示する機能21と、複数の検査項目を順次実行させる機能23とを、少なくとも有する。また、これらの機能は、第一PC210が備える表示部211と操作部213とを介して、ユーザに情報を提供し、ユーザからの指示を受け取るように構成される。検査システム20の機能の概略を説明する。
【0094】
検査用画面を生成して表示する機能21は、複数の検査定義ファイルの名称(または複数の検査対象を識別する情報等)を示す画面を表示部211に表示し、ユーザの選択を促す。検査用画面を生成して表示する機能21は、ユーザが操作部213を介して選択した一つの検査定義ファイルを、参照可能な記憶手段等から読み出し、メモリに保持する。
次に、検査用画面を生成して表示する機能21は、検査定義ファイルに基づいて、ユーザが選択した検査定義ファイルの検査対象に対応する検査用画面を作成し、表示部211に表示する。
検査用画面は、例えば、検査の開始、停止、中止等のユーザに操作を促す操作ボタンを表示する。
検査システム20は、検査用画面を表示後、ユーザからの指示を待つ。
【0095】
ユーザから検査の開始、停止、中止等を指示する操作ボタンが押下されると、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、ユーザからの指示に基づいて、機器群に検査を実行させ、検査結果を取得する。
【0096】
本実施形態の検査システムを制御装置(PC等)に適用することにより、複数の検査対象それぞれに対応する検査定義ファイルに基づいて、各検査対象に対応する検査用画面を生成し表示すること、検査対象の複数の検査項目を、対応する機器群等に順次実行させることが可能となる。
一例として、複数の検査対象として、第一機器群230を用いて検査する第一検査対象と、第二機器群250を用いて検査する第二検査対象が設けられている場合を説明する。第一PC210は、第一検査対象の検査定義ファイルに基づいて、検査用画面を生成して表示し、第一検査対象の複数の検査項目を第一機器群230に順次実行させることができる。また、第二PC270は、第二検査対象の検査定義ファイルに基づいて、検査用画面を生成して表示し、第二検査対象の複数の検査項目を第二機器群250に順次実行させることができる。
これにより、各検査対象に対応する検査用画面を生成する機能を構築する必要がなくなり、各検査対象に対応する検査用のシステムの設計、構築等に要する時間、コストを削減できる。
【0097】
ここで、検査定義ファイルについて説明する。
検査定義ファイルは、複数の検査項目と、各検査項目を実行する順番とを特定する情報を少なくとも有する。検査定義ファイルは、複数の検査対象それぞれについて一つの検査定義ファイルが予め作成される。検査対象毎に作成された複数の検査定義ファイルは、制御装置が参照可能な記憶手段等へ保持される。
【0098】
検査定義ファイルは、例えば、複数のコマンドにより作成され、コマンドと、パラメータとの文字列を記述したものとする。
各検査項目を実行する順番を特定する情報は、例えば、検査項目を特定するコマンドが記載された順とするとよい。
【0099】
次に、複数のコマンドの例について説明する。
複数のコマンドは、例えば、初期設定、検査項目、および、終了設定に関するコマンドを有する。
初期設定のコマンドは、例えば、検査する物のモデル名、機器群のアドレス、外部入力、NG判定時の出力先等を設定する。
検査項目のコマンドは、例えば、検査項目の指定、規定値、機器群へ送信する指示、検査中の待ち時間等を設定する。
終了設定のコマンドは、例えば、検査結果の保存等を設定する。
【0100】
複数のコマンドは、例えば、各コマンドが設定する内容と、各コマンドに応じたパラメータとの組み合わせが予め用意され、ユーザに提供される。
ユーザは、例えば、用意された複数のコマンドを用いて検査定義ファイルを作成する。
【0101】
ここで、検査項目に関するコマンドの一例を説明する。
検査項目の指定は、例えば、パラメータとして、検査種別、検査項目名を指定し、“コマンド、検査種別、検査項目名”と記載する。
検査種別は、例えば、「調整検査」と「確認検査」とのいずれかを指定する。「調整検査」は、検査結果に対する調整を要する検査とし、検査者が確認して、次へのボタンを押下しないと次の検査項目へ進めない検査であり、「単体検査」とも称する。「確認検査」は、検査結果を確認して(例えば、エラーが生じていないか確認して)次の検査へ進む検査であり、検査者が確認しなくても次の検査項目へ進み、検査結果がNGの場合は終了する検査であり、「連続検査」とも称する。
【0102】
本実施形態では、検査項目の指定のコマンドとして、例えば、コマンド“HE○”を用意する。
“○”は1から、検査定義ファイルに登録可能な検査項目の最大数(例えば、50)までの数値とする。
例えば、“HE1、T、FW書込”は、次のことを意味する
HE1:1番目の検査項目
T:単体検査(調整検査)
FW書込:個別のボタンの検査1の名称
検査項目を実行するためのコマンドは、検査項目の指定(例えば、コマンド“HE1”)の後、次の検査項目の指定(例えば、コマンド“HE2”)までの間に、記載される。
検査用画面を生成して表示する機能21は、検査項目の指定のコマンド(“HE○”)に基づいて、複数の検査項目の数、順番等を取得し、検査用画面を生成する。
【0103】
次に、検査項目を実行するコマンドの一例を説明する。
検査の規定値を設定する送信変調度調整(コマンドKE)は、パラメータとして、検査名、規定値の上限、規定値の下限、単位を指定し、“KE、検査名の文字列、規定値の上限(小数)、規定値の下限(小数)、単位の文字列”と記載する。
待ち時間の設定(コマンド“WT”)は、例えば、パラメータとして、待ち時間(ミリ秒)を指定し、“WT、待ち時間(小数)”と記載する。
【0104】
測定値の受信(コマンドIR)は、パラメータとして、取得データインデックス、係数、単位を指定し、“IR、インデックスを指定する数値、係数(小数)、単位”と記載する。取得インデックスデータは、測定値の受信データを選択する単位の一例として示したものであり、他の方法でデータを選択してもよい。
【0105】
メッセージの送信(例えば、コマンドSO1、SO2)は、パラメータとして、メッセージの文字列を指定し、“SO1、文字列”または“SO2、文字列”と記載する。コマンドSO1は、自動検査時に表示される操作手順、コマンドSO2は、手動検査時に表示される操作手順として用いる。メッセージは、例えば、図11等を参照して後述する領域A25に表示される。
【0106】
検査の実行(例えば、コマンドRD、SC)は、パラメータとして検査ボタン番号を指定し、“RD、数値”または“SC、数値”と記載する。コマンドRDは、RD調整の検査を実行するコマンドであり、SCはSC調整の検査を実行するコマンドである。ここで、検査を実行することは、例えば、検査装置において手動で検査するときに実行する検査のボタンを押下する操作と同様の処理とする。検査定義ファイルは、例えば、コマンドRDまたはコマンドSCの記載の前に、実行する検査に用いる機器を設定するコマンド、実行する検査に用いる機器に設定を指示するコマンド等を記載している。
検査ボタン番号は、予め検索項目と対応づけた番号とする。検査定義ファイルは、例えば、検査ボタン番号と検査項目とを対応づけたテーブルを有するとよい。検査ボタン番号は、図11等を参照して後述する領域A24の検査内容(または領域A23の個別のボタン)と対応させるとよい。本実施形態では、検査の実行を、検査内容(または検査項目)のボタンを押下することにより実行させることを前提とする。
【0107】
テーブルの識別(例えば、コマンドT1、T2)は、“T1、ON”または“T2、ON”と記載する。コマンドT1は、現在使用しているテーブル(使用中のテーブル)をテーブル1と識別し、コマンドT2は、現在使用しているテーブルをテーブル2と識別する。コマンドT1、T2を用いるときには、複数のテーブルを使用する検査であり、一つのテーブルを識別するときには他のテーブルを識別しないことを前提とする。
【0108】
その他、各機器群に送信するコマンド等により検査項目を実行する。ここでは詳細な説明を省略する。なお、上述したコマンドおよびコマンドのパラメータは一例であり、これらに限られるものではなく、コマンドの名称、パラメータの種類等は、検査システムが解釈できるように適宜設定されるものである。
検査システム20は、複数の検査項目を順次実行させる機能23により、検査定義ファイルの複数のコマンドを順番に実行して、検査対象を検査する。
【0109】
このような検査定義ファイルを用いることにより、検査システム20は、検査する物、検査項目の種類、検査項目の数等が異なる検査対象を検査する場合に、検査対象に応じた検査定義ファイルを読み込むことにより、検査対象に対応するUIを提供し、検査項目を実行させることができる。
また、複数の検査対象の中に、類似する二以上の検査対象がある場合には、類似する一つの検査対象ファイルの一部分を書き換えて、類似する他の検査対象に対応する検査対象ファイルを容易に作成することができる。
【0110】
例えば、検査する物が異なるものの、同様の複数の検査項目を検査する場合や、検査する物が同じで、複数の検査項目の一部分が異なる場合等が考えられる。このような場合には、類似する検査対象の検査定義ファイルの一部分(名称、規定値、パラメータ、検査項目等)を書き換えて、任意の検査対象に対応する検査定義ファイルを作成することができる。
具体的な例として、複数の検査する物のモデルが異るものの、同じ複数の検査項目を実行する場合には、アンテナの形状、特性等が異なるため、感度調整、確認時のホーン出力レベル等を、コマンドのパラメータを変更して作成した検査定義ファイルにより対応できる。
【0111】
以下、本実施形態の検査システム20を適用する検査装置200の具体例を用いて、検査システム20を説明する。
検査装置200の一例として、RD検査装置とSC検査装置とを有する構成例を用いる。
RD検査装置は、図5の第一PC210と第一機器群230とに対応する構成とし、検査対象を「RD基板の製造調整」、検査する物を「RD基板」、複数の検査項目を、RD基板を製造してレーダーの受信を調整する「製造調整」とする。
SC検査装置は、図5の第二PC270と第二機器群250とに対応する構成とし、検査対象を「SC基板の受信確認」、検査する物を「SC基板」、複数の検査項目を、SC基板による無線信号の受信を確認する「受信確認」とする。
RD基板の製造調整とSC基板の受信確認とのそれぞれに対応する検査定義ファイルは、ユーザによって作成され、検査システム20が参照可能な記憶手段に、予め保存されている。
【0112】
図7は、実施形態2の検査システムを適用するRD検査装置の構成例を説明するブロック図である。
RD検査装置201は、第一PC210(制御装置)としてのPC31と、第一機器群230としての、シリアル変換治具32、ピンボード固定台33、スペクトラムアナライザ34、調整用ベース35、安定化電源36、オシロスコープ37、GPIB(General Purpose Interface Bus)コンバータ38、エミュレータ39、コントローラ部40、シグナル生成部(以下「SG」と称する)41、および、同軸切替治具42等と、を備える。
調整用ベース35は、ホーン351と、基板設置ボード353とを有する。
これらの各部は、図7内に線で示すように接続されている。
【0113】
PC31は、GPIBコンバータ38を介して、スペクトラムアナライザ34、オシロスコープ37、およびSG41へ指示を送る。また、PC31は、コントローラ部40を介して、シリアル変換治具32および同軸切替治具42へ指示を送る。
【0114】
RD検査装置201は、本実施形態の検査システム20をPC31に備える。検査システム20は、PC31の操作部213を介してユーザにより起動されると、処理を開始する。
図8は、検査システムが起動されたときの動作例を説明するフローチャートである。
検査システム20は、起動されると、検査定義ファイルの選択(図9)、検査内容の確認および検査開始の受付(図10)、検査用画面の表示(図11等)、検査実行の順に処理を実行する。以下に詳細を説明する。
【0115】
検査システム20は、起動されると(S31)、図9に示す画面例を表示部211へ表示し、ユーザに検査定義ファイルの選択を促す(S32)。
図9は、検査システム20がユーザに、検査定義ファイルの選択を促す画面の一例を説明する図である。例えば、検査アプリを起動すると、検査定義ファイルを格納している任意のフォルダが開かれる。検査システム20では、予め特定のフォルダを検査定義フォルダとして規定してある。例えばC:\teigiのフォルダ内に複数の検査定義ファイルを保存する。検査システム20は、各検査定義ファイルのファイル名を図9の画面に表示する。図9では、「RD調整_セパレートモデル」を選択したときの状態例を示す。検査システム20は、ユーザによって選択ボタンが押下されると、選択された検査定義ファイルを読み込み、検査定義ファイルに基づいて、図10に示す画面例を表示部211へ表示する(S33)。
図10は、検査システム20がユーザに、内容の確認および検査開始の受付を促す画面の一例を説明する図である。図10では、検査定義ファイル内に記述されたモデル名等を表示し、選択した検査定義ファイルの確認と、製造情報等の入力とを、ユーザに促し、ユーザが開始ボタンを押下することによって検査が開始されることを示している。
【0116】
ユーザによって開始ボタンが押下されると、検査システム20は、ステップS33で読み込んだ検査定義ファイルに基づいて、検査用画面を生成して表示する機能21が、検査用画面を生成し、表示部211へ表示する(S34)。
図11は、RD調整の検査開始時の検査用画面の一例を説明する図である。
検査用画面を生成して表示する機能21は、例えば、表示画面に関する領域A21、検査に関する領域A22、操作ボタンの領域A23、検査する物と検査項目に関する領域A24、操作を促す領域A25、検査の実行に関する領域A26、および、検査結果領域A27とを有する検査用画面を生成して表示する。
【0117】
表示画面に関する領域A21は、例えば、ファイル、表示および設定の項目が設けられ、各項目で次のような選択を可能とする。
ファイル:「モデル切替」、「検査ログを記憶する」、「終了」
表示:「生産台数をリセット」、「デバッグモードの表示」
設定:「モデル設定」
【0118】
検査に関する領域A22は、例えば、モデル名、検査項目名、検査種別、検査名、検査規格(Min/Max)、検査番号、および、生産台数を表示する。
モデル名:検査しているモデル名
検査項目名:実行している検査項目
検査種別:単体検査(調整検査)、連続検査(確認検査)の種別等、
検査名:実行している検査名
検査規格(Min/Max):検査名におけるスペック範囲を表示、確認検査時は測定値がスペック範囲内にあるかの照合にも使用
検査番号:実行している検査項目の番号
生産台数:検査を実施した現在の生産台数
領域A21の表示で「生産台数をリセット」を選択すると、生産台数をリセット(ゼロ)にすることができる。
【0119】
操作ボタンの領域A23は、複数の検査項目のそれぞれの検査項目のボタンと、所定の基本操作のボタンとを有する。
検査用画面を生成して表示する機能21は、複数の検査項目それぞれのボタンを、検査定義ファイルでコマンド“HE○”により定められた検査項目の指定に基づいて、検査用画面に設ける。検査項目のボタンは、検査対象に固有のボタンとなるため、検査定義ファイルに、登録可能な検査項目の最大数(例えば、50個)を設けるとよい。
検査項目のボタンの名称は、コマンド“HE○”のパラメータの「検査項目名」を用いるとよい。
【0120】
また、検査用画面を生成して表示する機能21は、所定の基本操作のボタンとして、例えば、検査中止ボタン、消音ボタン、自動運転ボタン、次へのボタンを設ける。所定の基本操作のボタンは、例えば、検査用画面に常設されるボタンとして設定されるとよい。
検査中止ボタンは、検査を緊急停止させる。
消音ボタンは、検査完了時等の音の出力を停止させる。
自動運転ボタンは、検査定義ファイルに登録されている検査項目を、項目1、項目2、項目3・・・のように、先頭から順次実行させる。
次へのボタンは、実行中の検査項目を終了し、次の検査項目へ移行させる。
【0121】
検査用画面で、所望の検査項目ボタンを押下(クリック)することで、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、該当の検査項目のみを実行する。
検査用画面を生成して表示する機能21は、検査中には、検査中止ボタン、次へのボタン以外の入力を受け付けないように検査用画面を生成する。
【0122】
検査する物と検査項目に関する領域A24は、本体情報領域A241と、リアルタイム表示領域A242と、検査項目表示領域A243とを有する。
本体情報領域A241は、検査する物(検査基板)より取得した本体情報を表示する。
リアルタイム表示領域A242は、現在の検査基板より取得した情報をもとに状態をリアルタイムに表示する。
【0123】
検査項目表示領域A243は、複数の検査項目に対応する検査内容を順番に示す。検査項目表示領域A243は、検査項目実行中には、実行中の検査内容が判別できるように、例えば、色、明るさ等を変えて表示するとよい。
検査項目表示領域A243に表示されている検査内容は、例えば、コマンドRDによって、実行される検査内容とし、左側の数値を検査ボタン番号とする。コマンドRDは、検査項目表示領域A243に表示されている検査内容を示すボタンを押下する(またはクリックする)役割を果たしている。また、検査項目表示領域A243に表示されている検査内容のうち、「状態要求」及び「初期化」は、予め設定され、固有の検査ボタン板を付与するとよい。
【0124】
リアルタイム表示領域A242と、検査項目表示領域A243とは、検査対象に固有の情報となるため、検査用画面を生成して表示する機能21は、検査定義ファイルに記載されている情報に基づいて、検査用表示画面を生成する。
ユーザは、例えば、検査定義ファイルに、検査用表示画面に表示する検査対象に固有の情報の収集方法(収集先)、収集した情報を画面に表示する表示方法等、検査内容に応じて定義しておくとよい。または、ユーザは、情報を収集し、収集した情報を表示するために機能する、他のアプリケーション等を用いるようにしてもよい。このような場合、検査定義ファイルに当該アプリケーションを記載することにより、検査システム20は、指定されたアプリケーションを用いて(起動させて)、アプリケーションに、情報の収集と収集した情報の表示との両方または一方を実行させてもよい。
【0125】
操作を促す領域A25は、ユーザに操作を促すメッセージを表示し、ユーザによる操作が必要ないときには、「自動検査実施中」、「検査終了」などの検査状態が表示される。
【0126】
検査の実行に関する領域A26は、第一PC210と第一機器群230との間(または第二PC270と第二機器群250との間)の送受信の状態を表示する。例えば、「コマンド送信中」、「単体検査中」、「連続検査中」などのステータス、送信データ、受信データ等を表示する。
【0127】
検査結果領域A27は、各検査項目の検査結果を表示する。検査結果は、例えば、各検査項目が実行された後に順番に表示されるとよい。
【0128】
また、検査システム20は、例えば、確認検査、調整検査の種別に基づいて、以下のように検査を進める。
複数の検査項目を順次実行させる機能23は、確認検査時は、測定器の値とスペックとを照合し、合否判定を行う。
合格(OK)の場合、検査結果領域A27を一時的に(例えば次の検査項目に移行するまで)緑色にした後、次の検査項目へ移行する。
不合格(NG)の場合、検査結果領域A27を赤色にし、現在の不合格となった検査で検査実行を停止する。
調整検査時は、測定器の値をリアルタイムで検査用画面(例えば、リアルタイム表示領域A242)へと表示する。次へのボタンの押下により、次の検査項目へと移行する。
【0129】
また、検査システム20は、例えば、表示画面に関する領域A21において、ファイルで「検査ログを記録する」が選択されている場合、確認検査時の結果が常時記録されるように構成するとよい。
以上が検査開始時の検査用画面例の説明である。なお、以降の説明では、例えば「表示画面に関する領域A21」を「領域A21」のように適宜省略して記載する。
【0130】
図11の画面例が表示されているときに、ユーザにより自動運転または個別の検査項目のボタンが押下されると、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、自動運転または個別の検査項目の実行を開始する(S35)。
複数の検査項目を順次実行させる機能23は、検査定義ファイルに記載されているコマンドに従って、機器群に各検査項目を実行させる。
以下では、図2の動作例と同様の検査を実施する例を説明する。
【0131】
図12は、自動運転のボタンが押下された後、RD調整の1番目の検査項目として、フラッシュ書き込み(図2のS12)を実行するときの検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「FW書込」と表示され、領域A25には、ユーザに操作を促すメッセージが表示され、操作後に次へのボタンを押すことが促されている。また、領域A23において自動運転のボタンは非表示状態となり、領域A24において、複数の検査項目のうち、検査ボタン番号1の「初期設定と初期化」を、他の検査項目と色を変えて示している。
【0132】
図13は、RD調整の3番目の検査項目として、ローカル調整(図2のS14)と、ノイズレベル調整(図2のS15)とを実行するときの検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「送信周波数/ノイズ調整」と表示され、領域A25には、ユーザに操作を促すメッセージが表示され、操作後に次へのボタンを押すことが促されている。
図14は、7番目の検査項目として、レベル5書き込み(図2のS19)を実行するときの検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「SメータLv5書込」と表示され、領域A25には、「自動検査中」のメッセージが表示され、領域A27には、自動検査中の検査結果が表示されている。
【0133】
図15は、RD調整の検査終了時の検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「検査終了」と表示され、領域A25には、「検査が終了しました」のメッセージが表示され、領域A27には、自動検査で実行した検査項目の検査結果が表示されている。
検査が終了すると、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、検査結果を、所定の記憶領域へ保存する(S36)。検査結果を保存する記憶領域は、予め設定される。例えば、検査定義ファイルに検査結果を保存する記憶領域を指定できるようにするとよい。
【0134】
その後、検査用画面を生成して表示する機能21は、図11の検査開始時の画面を表示する(S37)。このとき、検査用画面を生成して表示する機能21は、領域A22の生産台数の数値を一つ加算して表示する。複数の検査項目を順次実行させる機能23は、次の検査開始等の指示を待ち、ユーザにより自動運転または個別の検査項目のボタンが押下されると(S38で検査続行)、ステップS35からの処理を開始し、予め決めた所定の時間内にユーザからの指示がないとき、または、ユーザにより検査用画面が閉じられると検査を終了する(S38で検査終了)。
また、検査中にエラーが発生すると、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、領域A25にエラー発生を通知するメッセージを表示し、検査結果を所定の記憶領域に保存して検査を終了する。
【0135】
次に、SC検査装置について説明する。
図16は、実施形態2の検査システムを適用するSC検査装置の構成例を説明するブロック図である。
SC検査装置203は、第二PC270(制御手段)としてのPC51と、第二機器群250としての、シリアル変換治具52、調整治具53、スペクトラムアナライザ54、オーディオアナライザ55、安定化電源56、オシロスコープ57、GPIBコンバータ58、および、コントローラ部59等と、を備える。これらの各部は、図16内に線で示すように接続されている。
【0136】
PC51は、GPIBコンバータ58を介して、スペクトラムアナライザ54、オーディオアナライザ55、およびオシロスコープ57へ指示を送る。また、PC51は、コントローラ部59を介して、シリアル変換治具52へ指示を送る。
【0137】
SC検査装置203は、本実施形態の検査システム20をPC51に備える。検査システム20は、検査開始時に、PC51の操作部213を介してユーザにより起動されることにより、処理を開始する。図8を参照して、SC検査装置203における検査システム20の動作例を説明する。
検査システム20は、起動されると(S31)、RD検査装置201と同様に、検査定義ファイルの選択(S32)と、検査内容の確認および検査開始の受付(S33)とを実行する。ここでは、図9に示した複数の検査定義ファイルのうち「SC調整_セパレートモデル」を選択して進める例を説明する。
【0138】
図10の画面例において、ユーザが開始ボタンを押下すると、検査システム20は、検査用画面を生成して表示する機能21が、選択された検査定義ファイルに基づいて検査用画面を生成し、表示部211へ表示する(S34)。
図17は、SC調整の検査開始時の検査用画面の一例を説明する図である。
【0139】
領域A21からA27は、図11と同様の区分けであるが、領域A23、領域A24、領域A26等において複数の検査項目に対応させて生成されている点が異なる。
一例として、操作ボタンの領域A23は、検査定義ファイルで定められた複数の検査項目それぞれに個別のボタンが設けられるため、検査項目の名称や数が異なる。また、検査する物と検査項目に関する領域A24は、検査対象に応じて、異なる表示となる。
【0140】
例えば、アプリ内ユーザインタフェース(UI)の構造として、検査定義ファイルを読み込んでいない場合には、検査ボタンは生成されていない(存在すらしていない)状態となる。
検査定義ファイルを選択することで、選択された検査内容に応じて自動でアプリ内のUIを生成する。例えば、検査工程が1工程の場合には、アプリ内の検査ボタンは1個となる。また、検査工程が10工程の場合には、アプリ内の検査ボタンは10個となる。このように、検査定義ファイル内の情報に基づいて、アプリ(アプリにより生成される画面等)が変形する構造となっている。
【0141】
検査項目表示領域A243に表示されている検査内容は、例えば、コマンドSCによって、実行される検査内容とし、左側の数値を検査ボタン番号とする。コマンドSCは、検査項目表示領域A243に表示されている検査内容を示すボタンを押下する(またはクリックする)役割を果たしている。この点は、図11で説明したコマンドRDと同様である。
【0142】
図17の画面例が表示されているときに、ユーザにより自動運転または個別の検査項目のボタンが押下されると、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、自動運転または個別の検査項目の実行を開始する(S35)。
複数の検査項目を順次実行させる機能23は、検査定義ファイルに記載されているコマンドに従って、機器群に各検査項目を実行させる。
【0143】
図18は、自動運転のボタンが押下された後、SC調整の4番目の検査項目として、バンドエッジ受信確認を実行するときの検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「バンドエッジ受信確認」と表示され、領域A25には「自動検査中」のメッセージが表示され、領域A27には、自動検査中の検査結果が表示されている。また、領域A23において自動運転のボタンは非表示状態となっている。
領域A24の検査項目表示領域A243では、現在、検査ボタン番号4の「テーブル選択」の検査を実行中であることを示している。図18では、検査ボタン番号4の「テーブル選択」の項目が、他とは異なる表示(異なる色等)で表示されていることを示している。
【0144】
検査ボタン番号4「テーブル選択」は、検査結果に応じてテーブル1またはテーブル2を選択する。
そして、その後に実行する検査ボタン番号10、11は、選択したテーブルに応じた周波数で受信確認の検査を行う。図18では、「テーブル選択」でテーブル1が選択されたときの表示例を示す。「テーブル選択」でテーブル2が選択された場合には、検査ボタン番号10、11は、テーブル2に応じた周波数で検査するため、領域A243の検査ボタン番号10に表示されている「347.7125MHz(Table1)」、検査ボタン番号11に表示されている「340.8MHz(Table1)」周波数は、テーブル2の周波数が表示される(図17、領域A243内10・11のボタンUI)ことになる。
【0145】
図19は、SC調整の9番目の検査項目として、SINAD感度確認を実行するときの検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「SINAD感度確認(350)」のように、感度確認する周波数の概要(正確な周波数を表示する場合には「350.100MHz」となる)を検査項目名に表示する。また、領域A25には、「自動検査中」のメッセージが表示され、領域A27には、自動検査中の検査結果が表示されている。
【0146】
図20は、検査終了時の検査用画面の一例を示す。領域A22の検査項目名に「検査終了」と表示され、領域A25には、「検査が終了しました」のメッセージが表示され、領域A27には、自動検査で実行した検査項目の検査結果が表示されている。
検査が終了すると、複数の検査項目を順次実行させる機能23は、検査結果を、所定の記憶領域へ保存する(S36)。
【0147】
その後、検査用画面を生成して表示する機能21は、図16の検査開始時の画面を表示する(S37)。このとき、検査用画面を生成して表示する機能21は、領域A22の生産台数の数値を一つ加算して表示する。
ステップS38の処理、エラー発生時の処理等は、RD検査装置201で説明した処理と同様であるため説明を省略する。
【0148】
ここで、図8のステップS36の検査結果保存先について説明する。
複数の検査項目を順次実行させる機能23は、実行した少なくとも一つの検査項目の検査結果を、予め設定した記憶手段に保存するとよい。検査システム20は、保存する記憶手段を、例えば、検査定義ファイルにおいて設定すること、検査開始時にユーザが入力可能な画面を用いて指定すること(図10を変更するまたは図10の後に記憶手段を指定する画面を表示する等)により指定可能に構成されるとよい。また、検査システム20は、保存する記憶手段が指定されていないときに、検査結果を保存するタイミングで、記憶手段の指定を促す画面を表示するように構成してもよい。
【0149】
また、検査システム20は、保存する検査結果を選択可能にする機能を有するとよい。このようにすると、検査後に利用する検査結果を選択して保存可能となるため、保存するデータ量を削減することができる。また、ユーザの意向や検査対象に基づいて、有用な検査結果を保存することが可能となり、検査後に効率的に参照しやすくなる。
【0150】
実施形態2の変形例1.
図6の機能の構成例は一例であり、検査システム20が有する機能を一つの機能として構成してもよいし、検査結果を保存する機能を分けるなど機能をさらに分割してもよい。また、上述の実施形態において、検査用画面を生成して表示する機能21、または、複数の検査項目を順次実行させる機能23が実行するとして説明した機能は、他方が実行するようにしてもよい。
【0151】
また、検査システム20は、検査用画面を生成して表示する機能21と、複数の検査項目を順次実行させる機能23とに加え、後述する各実施形態で説明する他の機能をさらに有するように構成することができる。
【0152】
検査システム20の起動に際して、検査システム20は、ユーザが制御装置(PC)内の検査定義ファイルを保存しているフォルダから検査定義ファイルを選択する(クリックする)ことにより、検査システム20が起動されるように構成してもよい。
【0153】
実施形態2の変形例2.
上記実施形態では、検査システム20は、検査用画面に示す操作ボタンを介して、ユーザからの指示を受ける構成例を説明したが、外部の操作機器を用いてユーザからの指示を受けるように構成してもよい。例えば、制御装置(第一PC210、第二PC270等)に図21に示すような外部インターフェースを介して操作機器を接続し、ユーザから指示を受けてもよい。
例えば、図11の領域A23に示す、検査1、検査2、・・・等のボタンは、図21の検査1、検査2・・・等のボタンと対応する。
図21の操作機器は、上段1行と、下段5行とは分離された位置に配置されている。操作機器は、上段1行に進行の指示ボタンが画面と同じ順に左から右に配置され、下段5行のうち、一番上の行の左から右に向けて検査1、検査2・・・の順に割り当てている。このように、操作機器は、図11の領域A23に示す検査ボタンをテンキーに割り当て、ユーザが検査を指示できる構成を実現している。
【0154】
また、図5では、検査装置200は、第一PC210と第一機器群230、および、第二PC270と第二機器群250の、制御装置と機器群との組合せを二組備える構成例を説明したが、検査装置は、三組以上備える場合であってもよいし、一組であってもよい。一例として、図22に示す検査装置200A~200Cの構成例であってもよい。
制御装置と機器群とを一組備える検査装置200Aは、第一機器群230により複数の異なる検査対象を検査するときに、検査システム20の効果を奏することができる。
【0155】
また、一つの制御装置に複数の機器群を備える検査装置200B、200Cは、第一PC210が、異なる複数の機器群に接続している構成例である。検査装置200B、200Cは、中継装置(例えば、GP-IB)によるインターフェースを介して各機器にコマンドを送信できるように構成することで可能となる。図7または図16の構成例のように、検査システム20と機器群とは、GP-IBによるインターフェースを介して制御機器の対象を取る仕様となっている。検査装置200B、200Cは、機器側でそれぞれ固有のGP-IBアドレスを設定することが可能であり、設定したアドレスがGP-IBインターフェース上で重複しないように構成することで、検査システム20からコマンドを送信可能となる。
【0156】
実施形態2の変形例3.
検査用画面において、領域A242は、例えば、タブにより、異なる検査の結果が参照できるように構成してもよい。複数のタブそれぞれに異なる検査の結果を対応づけ、タブを選択(クリック)することで異なる検査結果を画面に表示する、検査結果の表示を切り替える機能を有するように構成してもよい。
【0157】
実施形態2の変形例4.
実施形態2の検査システム20において、領域A24は、汎用性のない装置固有の情報を示し、例えば、装置固有の検査を実行するためのソフトウェアモジュールの状態を示す。
装置固有の情報の表示は、複雑な処理や制御となるため、このような複雑な処理や制御は、検査システム20とは別のソフトウェア(アプリケーション)をモジュール化し、検査システム20がモジュール化したソフトウェアのUIを組み込める機能を有するようにするとよい。検査システム20は、組み込んだ機能を汎用部分の処理(検査順序)の中に組み込んで呼び出し、終了したら戻せるようにするとよい。
このようにすることで、検査システム20の汎用部分の複雑化を回避しつつ、複雑な検査手順等を実行可能としたり、治具や検査対象の複雑な状態を可視化できる。
【0158】
例えば、領域A242の画面を生成する処理をモジュール化すると、個別の画面を生成する処理を分離することができる。また、領域A242にリアルタイムの情報を表示する処理をモジュール化してもよい。検査システム20(例えば、複数の検査項目を順次実行させる機能23)は、検査基板から取得した情報をモジュール化したソフトウェアに受け渡すと、モジュール化したソフトウェアがリアルタイムな情報を表示させるように構成してもよい。
【0159】
また、検査システム20は、領域A242に、リアルタイムな情報で複数の検査項目の実行状態を表示して確認可能にするとよい。
さらに、検査システム20は、例えば、領域A242内での機体(検査する物)の複数の測定状態を同時に表示させてリアルタイムに随時確認可能にするとよい。
【0160】
以下の各実施形態では、上述した実施形態2の検査システム20について、さらに機能を追加した一形態を説明する。
【0161】
実施形態3.
検査システム20は、例えば、生産途中で不良率の微妙な変化を検出して、警告を出力する機能を備えるとよい。
不良率の微妙な変化を検出して、警告を出力する機能は、例えば、バラツキを拡大して上述の検出を行うとよい。バラツキの拡大には、例えば、標準偏差、偏差の絶対値、偏差の2乗和、3乗和または4乗和等を用いるとよい。
【0162】
実施形態4.
検査システム20は、例えば、調整検査項目(複数の検査項目の一例)の個々の機体データ(検査する物のデータ、例えば、SD基板、SC基板等の検査基板のデータ)に基づき、管理指標(例えば、生産工程能力等の管理指標)を見える化する機能を備えるとよい。
調整検査項目の個々の機体データに基づき、管理指標を見える化する機能は、リアルタイムに源流管理するために、前述の調整検査項目の個々の機体データを得るごとに随時計算する機能を備えるとよい。
調整検査項目の個々の機体データは記録するとよい。検査システム20は、検査治具側から出力する調整検査項目のデータを機体データとして記録するとともに検査対象の機体側のデータ(例えば、領域A241の本体情報)を記録するとよい。
【0163】
また、本実施形態の検査システム20は、以下の機能を備えることが好ましい。
1-1.検査システム20は、例えば、検査治具側から出力するOK、NGの判定に必要な調整検査項目のデータを機体データとしてOK、NGの判定結果と関連づけて記録するが、機体の特性を全域測定することはせずに全域のデータを機体データとして記録しないようにするとよい。
このようにすることで、検査時間を大幅に短縮しつつ、管理指標の算出を可能とする。
例えば、外部測定機器からの出力値を可変し、その機体の固有値を測定して記録するようにしてもよいが、このようにすると検査時間が非常にかかり、とても生産性に見合わない。OK,NGの判定に必要な出力値を出力するように構成するとよい。
例えば、受信系は外部機器よりスペック値を出力し、それを機体が受けるかどうかをOK、NGの判定に必要な調整検査項目のデータとして記録するとよい。
【0164】
1-1-1.検査システム20は、例えば、上記1-1.の構成を原則として、ローカル周波数については、可変させて測定した可変領域内での測定結果を機体データとして複数記録するとよい。
【0165】
1-2.検査システム20は、例えば、画面に量産モードと、量産前モードとの切り替え手段を備えるとよい。
検査システム20は、例えば、画面に量産モードと量産前モードとに対応する異なる検査定義ファイルを有し、読み込みファイルを変えるようにするとよい。
例えば、量産モードと量産前モードとで異なるフォルダ内にある検査定義ファイルを参照する構成とするとよい。例えば、図9のファイルのリストを表示する際に量産モードのファイル群と量産前モードのファイル群を異なる画面領域にまとめて表示するようにするとよい。例えば、タブで前記異なる画面領域を切り替える構成としてもよい。あるいは、図9の画面を表示する前に量産モードと量産前モードとを選択する画面を表示し、ユーザによって選択された方のモードのファイルを当該モード用のフォルダから読み出して図9にその選択されたモードのファイルのリストを表示するとよい。
検査システム20は、例えば、量産モードでは、上述した1-1.または1-1-1.の動作を行うが、量産前モードでは機体の特性を全域測定したり、全域のデータを機体データとして記録したりする動作を行うとよい。
【0166】
実施形態5.
検査システム20は、管理指標に関して、以下に説明する機能を有するとよい。
通常、品質管理活では、QC7つ道具とか、新QC7つ道具とかを使っていると推測される。
特に、経過的(生産途中の)管理としては、管理図(JIS Z 9020-2:2016 <https://jis.eomec.com/jisz902022016#gsc.tab=0> 管理図―第2部:シューハート管理図-JISの規格(eomec.com))が用いられる。
参考資料として以下の二つの記事がインターネットで検索できる。
<https://backlog.com/ja/blog/what-is-a-control-chart/> 管理図とは?QC7つ道具との関係、管理図の仕組みや種類を網羅的に解説 | Backlogブログ
<https://backlog.com/ja/blog/what-is-a-control-chart/#8%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%95%B0%E5%B8%B8%E5%88%A4%E5%AE%9A%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB> 8つの異常判定ルール
X-s管理図のほうでは標準偏差を使っているので、例えば、実施形態3における、バラツキの拡大に、例えば、標準偏差、偏差の絶対値、偏差の2乗和、3乗和または4乗和等を用いるという、拡大のアイディアをこの図にも適用することができる。
【0167】
しかし、X-r管理図では、Xの方のグラフの中心線は全体の平均値であるが、全体の平均値が基準として適しているか分からない。
また長期間の経過を視覚的にとらえることに向かない。
Xのグラフとrのグラフが分離しているので直観的な把握が難しいという課題がある。
【0168】
そこで、以下のアイディアを提案する。
投資の意思決定に使われているボリンジャーバンドを品質管理に適用する。
参考資料として以下の記事がインターネットで検索できる。
<https://www.oanda.jp/lab-education/beginners/technical_analysis/bolinger-band/> ボリンジャーバンドとは?見方や使い方、設定方法などについて紹介 | OANDAFX/CFD Lab-education(オアンダ ラボ)
ボリンジャーバンドでは縦軸は価格、横軸は時間(時間足、日足、週足、月足などに切り替えられる)が、これを、縦軸を品質管理対象の数値(例えば、受信感度等)とする。
横軸は時間でもよいがロット足とするとよい。あるいはロットを、日をまたがずに流す工場であれば、日足のままその日のロットをその日足の中に分離して複数のローソク足として分離して描画してもよい。
【0169】
ローソク足の中に平均値、中央値を示す、足の色とは違う色つきの横線を入れるとよい。
ローソク足自体を度数分布別の横方向の棒グラフ(度数分布グラフ、ヒストグラム)として表現すると足の中での分布がわかるのでよい。
センターの線は単純移動平均線とするとよいが、生産途中で不良率の微妙な変化を人間よりも早く検出するために、単純移動平均線に代えて、または、単純移動平均線とともに、加重移動平均線、指数平滑移動平均線等を表示するとよい。
参考資料として以下の記事がインターネットで検索できる。
<https://www.sevendata.co.jp/shihyou/technical/heikatsuidou.html> 指数平滑移動平均線の見方・使い方 | テクニカル分析指標 | 指標の見方・使い方 | 投資のノウハウ | 株の達人 (sevendata.co.jp)
【0170】
ボリンジャーバンドと同様に±σ、±2σ、±3σのラインを引くとよい。
このとき、実施形態3における、バラツキの拡大に、例えば、偏差の4乗和を用いるという、4乗根などに切り替えられるようにするとよい。
このようにすると、例えば、次の事項がわかりやすくなる。
±3σ等のラインがスクイーズ(収縮)しているときは、バラツキが収束してきて良い方向に向かっていることが視覚的にわかる。
±3σ等のラインがエクスパンション(拡大)しているときは、何らかの異常が発生している可能性が高いことが視覚的にわかる。
±3σ等のラインに対してバンドウォークしているとき、何らかの異常トレンドが拡大しつつある可能性が高いことが視覚的にわかる。
ローソク足が大きい場合には、その日の中で何らかの異常が発生している可能性があることが視覚的に分かる。
【0171】
さらに、表示中のグラフ範囲内全体の分布をみるため、日足ごとの処理個数を棒グラフでX軸沿いに描画すると良い。
また、投資グラフの価格帯別出来高と同様の各感度値帯のヒストグラムをY軸沿いに描画するとよい。
参考資料として以下の記事がインターネットで検索できる。
<https://aibashiro.jp/contents/yg00045/> 価格帯別出来高とは? 株初心者にもわかりやすく解説します (aibashiro.jp)
【0172】
実施形態6.
検査システム20は、検査結果を所定の記録媒体に記録するに際して、以下に説明する機能を備えるとよい。
1.検査システム20は、例えば、検査結果(例えば測定した周波数別の感度特性など)を機体内のRFID、または、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリか、機体に装着される媒体(SDカードなど)に記録する機能を備えるとよい。ここで、本実施形態において、機体は、例えば、検査する物(RD基板、SC基板等)、または、検査する物を備える装置等とする。
機体または機体と通信可能な機器は、特にその内容を表示する機能を備えるとよい。通信可能な機器は、PC、携帯可能な通信機器等が想定され、通信形態は、有線、無線を問わない。
表示は、サービスマンなど秘密のコードや操作を知る者が表示可能とし、ユーザは表示できないように構成するとよい。
【0173】
このようにすることで、工場のこのシステムの記録を製造番号等からたどらなくも、顧客サービスの現場で検査結果を確認できる。故障等の原因追及に役立つ。
機体内に存在するので単にRFIDを梱包物に貼っている状態とは異なり、故障したとされる機体と一体で紛失することがなく、確実に検査データをサービスの現場で、取得できる。
【0174】
1-1.上記1.の記憶部は、例えば、機体内の個々の基板に実装し、各基板における検査データを各基板に記憶するとよい。検査システム20は、例えば、各基板の記憶部に検査結果を書き込む機能を有するとよい。
1―2.上記1.は、機体が梱包された状態(工場出荷時の梱包状態)で、外部から読み取り可能な位置の機体内であって梱包内の位置に機体を配置する梱包材及びその機体とするとよい。
1―3.上記1.において外部から在庫管理用の情報を読み取り可能とするとよい。
特に1-1.のようにして、工場やサービスの現場での在庫管理を容易にすることができる。
また、1-2.のようにして、製品の物流・販売現場での在庫管理を容易にすることができる。
1-4.供給電圧・電流・温度などの動作ログを上記1と合わせて読みだし可能に記録する機能を機体の出荷後の動作モードに備えるとよい。
【0175】
2.機体でも検査に関する情報を機体に有するLCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)等の表示部に表示させ、カメラ等により検査システム側で読み取って検査結果に反映させても良い。
機体個々の受信データを全て所得し、工程能力を算出するのは生産性が悪い。
しかし、測定器(SG)からの、任意の出力レベルを、個々の機体の受信RSSIレベルを、個々の機体から治具システムに吐き出してくれれば瞬時に工程能力に反映でき、理想とされる生産に近づける事が出来る(機体のLCDに表示させ、カメラで読み取っても良い)。
【0176】
例えば、現状のRD調整検査タクトは60s(秒)とすれば、それ以上に早くなれば良い。
また、次のようにするとよい。
・TESTモードにより、機体受信時のRSSIレベルをリアルタイムに出力できれば良い。
現状は、人が音を聞いて確認したり表示を見て確認しているので、それよりは、全然早くなる。
・全レベルをスイープさせ確認させるのは時間が掛かるかもなので、設計スペックのLev1、3,5(現状も人が確認)のSG出力レベルに対する、個々の機体のRSSIレベルを取得すれば、残りのレベルは計算で推測可能となる(例えば、Lev1と5だけでも良い)。
実際に、現状では、Lev1以外は、Lev3を書き込んで機体ソフトで残りのLevを決めている(例えば「任意の出力レベル」が、連続的ではなく、段階的な点としてもよい)。
連続的でも個々の機体が早く応答するような測定とするとよい。例えば「出力レベル」をスイープさせるとするとRD(RD基板)側の追従性が悪ければ待ち時間が生じる。また、RD側の応答が即時であってもスイープにかかる時間が長いと、生産性は悪化する。同様に「周波数」にスイープさせるとさらに生産性は悪化する。
【0177】
検査時間が、生産性を悪化させない程度の時間であれば連続的に測定し、悪化させる程度の時間がかかる測定については段階的に信号を与えて行うと良い。
また、特に、そもそもTPからコンタクトプローブで取得できないような、基板完成後に後発的に発覚した検査項目などについては機体側の検査時用のソフトウェアを更新して、その検査項目の結果をLCDに表示させてもよい。
【0178】
2-1.表示部はLCDでもよい。単にOKは緑、NGは赤でもよい。
2-2.表示部には、検査結果を示す、機械読み取りが容易な情報と、人が読み取り容易な情報とをともに表示させるとよい。
検査結果を示す、機械読み取りが容易な情報としては、当該機体内での検査結果を含むQRコード(登録商標)を表示させるとよい。
【0179】
3.あるいは、今回の検査システム側(パソコン側)の検査とともに検査対象の機体側でも自己検査を行う機能を備えるとよい。
4.特に検査用のソフトウェアを今回の検査システム側から検査の前に機体側に流しこむ機能があるとよい。
【0180】
5.検査項目が複数あり、複数の検査の結果を総合した結果を機体側の表示部に表示するとよい。
それを今回の検査システムのカメラ等で撮影して電気的に非接触で取得するとよい。
6.機体への電源の供給が、検査項目間で途絶える場面がある構成のとき、途絶える前の工程で検査結果をLCD等に表示させ、検査システムで読み取る機能を備えるとよい(コンタクトプローブを備える治具から機体へ電源を供給しており当該治具を検査項目間で交換するためなど)。
機体への電源の供給が、検査項目間で途絶える場面がある構成のとき、機体内での検査結果を、電源を切っても消えないメモリに格納しておき電源が投入されたときにはこのメモリの内容と続きの検査結果とに基づいて最終的な検査結果を表示するとよい。
【0181】
7.工程を分割したとき、例えば2つ目の工程のこのシステムで、前工程のこのシステムの検査結果を、(最初の読み込みファイル選択画面等で)読み込んで、表示させる機能を備えるとよい。
このようにすることで、例えば、誤って混入した検査NGのものを2つ目の工程の最初ではじくことが容易にできる。
あるいは、2つ目の工程で前工程の結果を踏まえた調整の必要性を表示する機能を備えるとよい。
【0182】
実施形態7.
検査システム20は、例えば、検査結果の記録、表示等に関して以下の機能を有するとよい。
1.機器群は、例えば、レーダーの設計上の受信周波数範囲の中の特定の周波数の電波を治具から出力し、レーダー側でその周波数の電波を受けたスイープ範囲内の位置を、特定可能に検査結果を本システム側(検査システム20)に出力するとよい。
例えば設計上の周波数スイープ範囲の中間の周波数を治具から発したとき、レーダーが受信した位置(実施例としてスイープストップした位置)が、周波数の高い方に寄っている等とするとよい。
このようにすると、そのバラツキ具合を多数の検査から検証できる。
また、部品の性能のバラツキや傾向不良の予測などにも活用できる。
【0183】
1-1.検査システム20は、例えば、複数の検査対象の上記1.に記録された検査結果を比較可能に表示する機能を備えるとよい。
【0184】
2.検査システム20は、例えば、モジュール毎の総合的な出力結果を取得するとともに、初段のアンプの出力、二段目のアンプの出力のように、モジュール内の回路ブロック毎の出力結果も取得してそれぞれを関連付けて記録する機能を備えるとよい。
【0185】
3.実機(例えば、RD基板またはSC基板を備えるレーダー探知機)に(客先で)車へ設置後(工場出荷後に最初に電源が投入されて以降)に出力した内容を記録する機能を備え、工場出荷時にその記録エリアを空(一件も記録していない状態)にしておくとよい。
【0186】
3-1.設置後に出力した内容を記録する機能は、例えば、音声出力の内容を特定可能な情報とその日時を特定可能な情報とを関連づけて記録する機能を備えるとよい。
このようにすると、レーダー探知機にはない音声出力(例えば、「エラーです」という音がなったとき)、それは他の機器(例えば、ETC)が出力した音だったという客先の思い込みによる事態の特定に役立つ。
【0187】
実施形態8.
本実施形態では、検査者が熟練しない人であるとき有効な構成または機能について説明する。
1.検査システム20は、例えば、検査用画面の領域A24を表示させない機能を備えるとよい。
2.検査システム20は、例えば、検査用画面に、大きく検査結果を「OK」「NG」のように表示させる機能を備えるとよい。
3.検査システム20は、例えば、検査定義ファイルの中で領域A24を表示させるか否かを指定できるようにするとよい。
3-1.各ボタンに検査定義ファイルの中で右側の領域等の所定の領域(例えば、領域A24)を表示させるか否かを指定できるようにするとよい。
【0188】
実施形態9.
検査システム20は、検査結果の表示に関して、以下の機能を有するとよい。
1.検査システム20は、例えば、ボタンの色を人の操作を必要するものと、人の操作が必要なく自動的に実行されるものとで異なる表示態様(例えば人が操作するものはオレンジ色、自動実行されるものは青色など、色が異なるなど)とするとよい。
2.検査システム20は、例えば、検査工程間の流れを示す表示をボタン間に設ける(たとえば、図11の領域A23に示す「検査1」と「検査2」の間に矢印「⇒」を表示するなど)とよい。
【0189】
3.検査システム20は、例えば、特定の検査工程を手動で、任意の検査を実行させず飛ばせるようにするとよい。例えば、図11の領域A23に示す各検査を示すボタンが水色で表示されているとすると、「検査5」水色のボタンを長押しするとボタンがグレーになり、「検査5」はスキップして実行されるようにできるとよい。また、例えば上記2の矢印「⇒」も検査5は迂回して検査4⇒検査6のように表示するとよい。
4.検査システム20は、例えば、上記3.でスキップした工程を、関連付けて記憶する機能を備えるとよい。
5.検査システム20は、例えば、検査用画面の領域A24で規定値を超える瞬間が所定時間あった項目を記録する機能を備えるとよい。
6.上記5の項目ごとの規定値は、ボタン生成ファイル(検査定義ファイル)内に記載しているとよい。
【0190】
上述した実施形態1から9は任意に組み合わせた構成とするとよい。例えば実施形態1で第一基板を検査し、実施形態2で第二基板を検査して、第一基板と第二基板を有する装置を製造するようにしてもよい。あるいは、いずれの実施形態のものを実行するかの選択画面を表示し、ユーザに選択させ、選択された実施形態のものを実行する構成としてもよい。
【0191】
本発明の範囲は,明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく,本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも,その範囲に含むものである。本発明のうち,特許を受けようとする構成を,添付の特許請求の範囲に特定したが,現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても,本明細書に開示される構成を,将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0192】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と,発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0193】
また,意匠出願への変更出願により,全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが,全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと,部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては,装置の一部の部材としても良いし,その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと,図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を,権利化する意思を有する。
【0194】
本願の検査システムは、検査のプロセスをファイルに定義することで、プロセスの変更が容易になり、SDGs(持続可能な開発目標)に以下のように貢献することができる。
目標9:産業と技術革新の基盤を構築しよう
プロセスをファイルに定義することで、技術革新を容易に取り入れられるようになり、産業の持続可能性と技術革新を促進する。
目標8:働きがいも経済成長も
プロセスの変更が容易になることで、生産性向上や新たな雇用機会の創出につながる。また、労働者が簡単にプロセスを理解し、働きやすい環境を整備することができる。
目標12:つくる責任、使う責任
定義ファイルを活用することで、リソースの消費を抑え、廃棄物の削減に繋がる。これは持続可能な消費と生産パターンの実現に寄与する。
目標13:気候変動に具体的な対策を
プロセス変更が容易になることで、効率化や環境への配慮が促進され、温室効果ガス排出量の削減に繋がる可能性がある。これは気候変動への対策に貢献する。
目標17:パートナーシップで目標を達成しよう
プロセスの定義ファイルを共有し、国際的な連携や協力を促進することで、技術移転や知識共有が容易になる。これにより、持続可能な開発目標達成に向けた強固なパートナーシップが築かれる。
検査のプロセスをファイルに定義することは、SDGsに対する貢献だけでなく、組織全体の効率化や持続可能性にも寄与する。このようなアプローチを取り入れることで、持続可能な開発に向けた取り組みが加速されることなる。
【符号の説明】
【0195】
10、20 検査システム
11、パーソナルコンピュータ(PC)
15、35 調整用ベース
21 検査用画面を生成して表示する機能
23 複数の検査項目を順次実行させる機能
151~157、353 ホーン
158、353 基板設置ボード
200、200A~200C 検査装置
210 第一PC
211 表示部
213 操作部
230 第一機器群
250 第二機器群
270 第二PC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22