(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017588
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】差動増幅回路
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20240201BHJP
H03F 1/34 20060101ALI20240201BHJP
H04B 3/04 20060101ALI20240201BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20240201BHJP
H04L 25/03 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H03F3/45 109
H03F1/34
H04B3/04 C
H04L25/02 V
H04L25/03 C
H04L25/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120327
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森越 信之
【テーマコード(参考)】
5J500
5K029
5K046
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AC63
5J500AF14
5J500AF15
5J500AF17
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH25
5J500AH26
5J500AH29
5J500AH32
5J500AK02
5J500AK05
5J500AK06
5J500AK09
5J500AK17
5J500AK42
5J500AK47
5J500AM08
5J500AM13
5J500AM21
5J500AS13
5J500AT01
5J500AT03
5J500AT06
5J500DN01
5J500DN14
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5J500DN25
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5J500DP01
5J500ND02
5J500NM02
5J500NN05
5J500NN12
5K029DD24
5K029HH05
5K046AA01
5K046EE59
(57)【要約】
【課題】伝送速度が数10Gbps以上の高周波数を含む広帯域において伝送線路の損失を安定的に補償することが可能な2個の零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路を提供する。
【解決手段】1段目に第1の差動増幅回路と、2段目にコモンモードフィードバック回路を有する第2の差動増幅回路と、第1の差動増幅回路の差動出力と第2の差動増幅回路の差動入力との間の差動信号にコモンモードフィードバック回路の差動出力の大きさに応じてフィードバックを掛ける帰還差動回路と、を備える差動増幅回路であって、帰還差動回路の差動入力には、コモンモードフィードバック回路の差動出力を、グランドとの間に形成されるフィルタ回路を経由して入力する帰還経路が設けられ、コモンモードフィードバック回路は、第2の差動増幅回路の差動出力を分圧し、コモンモード信号を抽出する分圧抵抗を備え、分圧抵抗はフィルタ回路を構成する抵抗としても機能する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1段目に第1の差動増幅回路と、
2段目にコモンモードフィードバック回路を有する第2の差動増幅回路と、
前記第1の差動増幅回路の差動出力と前記第2の差動増幅回路の差動入力との間の差動信号に前記コモンモードフィードバック回路の差動出力の大きさに応じてフィードバックを掛ける帰還差動回路と、を備える差動増幅回路であって、
前記帰還差動回路の差動入力には、前記コモンモードフィードバック回路の差動出力を、グランドとの間に形成されるフィルタ回路を経由して入力する帰還経路が設けられ、
前記コモンモードフィードバック回路は、前記第2の差動増幅回路の差動出力を分圧し、コモンモード信号を抽出する分圧抵抗を備え、前記分圧抵抗は前記フィルタ回路を構成する抵抗としても機能する差動増幅回路。
【請求項2】
前記フィルタ回路は前記グランドとの間に形成されるコンデンサを有するローパスフィルタとして機能し、
前記分圧抵抗の抵抗値を2分割する端子を前記コモンモード信号を抽出するコモンモード信号抽出端子とし、前記コモンモード信号抽出端子と前記分圧抵抗の一端との抵抗値を2分割する端子、及び、前記コモンモード信号抽出端子と前記分圧抵抗の他端との抵抗値を2分割する端子を、前記コモンモードフィードバック回路の差動出力を出力する2つの端子とする請求項1に記載の差動増幅回路。
【請求項3】
前記フィルタ回路は前記グランドとの間に形成されるコンデンサを有するローパスフィルタとして機能し、
前記分圧抵抗の抵抗値を2分割する端子を前記コモンモード信号を抽出するコモンモード信号抽出端子とし、前記コモンモード信号抽出端子と前記分圧抵抗の一端との間の第1端子であって、前記コモンモード信号抽出端子までの抵抗値と前記分圧抵抗の一端までの抵抗値との比と、
前記コモンモード信号抽出端子と前記分圧抵抗の他端との間の第2端子であって、前記コモンモード信号抽出端子までの抵抗値と前記分圧抵抗の他端までの抵抗値との比とが等しくなるように設定される、前記第1端子及び前記第2端子を前記コモンモードフィードバック回路の差動出力を出力する2つの端子とする請求項1に記載の差動増幅回路。
【請求項4】
前記第1端子と前記コンデンサとの間に直列に第1の可変抵抗を設け、前記第2端子と前記コンデンサとの間に直列に第2の可変抵抗を設け、前記第1の可変抵抗及び前記第2の可変抵抗の抵抗値を変化させて、前記フィルタ回路の時定数の調整を可能にする請求項3に記載の差動増幅回路。
【請求項5】
前記第2の差動増幅回路の差動出力に対してゲイン調整回路を設け、前記ゲイン調整回路のゲイン調整に対応して、前記帰還差動回路のバイアス電流の調整を可能にする請求項1に記載の差動増幅回路。
【請求項6】
前記フィルタ回路は、前記第2の差動増幅回路の差動出力の間に形成されるコンデンサを有するローパスフィルタとして機能する請求項1に記載の差動増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、差動増幅回路に関し、特に、高速インターフェース向けの受信回路に対して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信装置や情報処理装置の高速化が進み、プリント回路基板上に、伝送速度が数10Gbps(Giga bit per second)のシリアル伝送形式の高速電気信号が実装されるようになった。高速電気信号は、プリント回路基板上の伝送線路を通過する際に、伝送線路損失やランダム雑音等の影響により高速電気信号の高周波成分に歪みが生じるため、アイ・ダイアグラム(Eye Diagram)特性が劣化する。なお、Eye Diagram特性とは、伝送特性の代表的な評価指標であり、信号を一定期間サンプリングして重ね合わせ表示したものである(横軸:時間、縦軸:振幅)。測定者は、中央のEyeが大きく開いている程、ジッタによる劣化が少なく高品質な伝送と判断することができる。また、Eye Diagram特性をアイパターンと称する場合もある。
【0003】
この信号劣化の要因の中で、伝送線路損失等の要因は、送受信IC(Integrated Circuit)の内部回路に補正回路を実装することで対処することが可能である。
【0004】
これまで、伝送速度の上限が数Gbpsの場合は、補正回路として送信ICにEmphasis回路を実装し、受信ICに1個の零点を有するCTLE(Continuous Time Linear Equalizer:連続時間線形等化器)の機能を有する差動増幅回路を一段実装することで、Eye Diagram特性を良好な状態にすることができた。
【0005】
しかし、伝送速度が数10Gbps以上の高周波数で損失が大きくなる伝送線路を補正するには、CTLEの機能を有する差動増幅回路が複数段必要であるが、CTLEの個数に対応して消費電力が大きくなる。また、CTLEの周波数特性が緩やかであるために、CTLEの機能を有する差動増幅回路を複数段使用すると、低周波数において補正が過剰になる。
【0006】
そこで、次世代の高速な通信速度に対応するには、ピークゲインが大きく、急峻な周波数特性を有する2個の零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路が必須となっている。
【0007】
例えば、特許文献1には、電流モードドライバにおいて、通信速度がより高速になる場合に、電流モードドライバに用いられるコンポーネント間の接続速度及び信号品質を向上させるために、連続時間線形等化器を内蔵する電流モードドライバが開示されている。また、連続時間線形等化器のフィルタ回路の零点を複数設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したような動作の工夫にもかかわらず、2個の零点を有するCTLEの技術では、同相発振が発生する可能性が高くなるという課題が存在している。
【0010】
本開示は、このようなことに鑑みてなされたものである。その目的の1つは、消費電力を増やさずに、伝送速度が数10Gbps以上の高周波数を含む広帯域において伝送線路の損失を安定的に補償することが可能なCTLEの機能を含む差動増幅回路を提供することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。代表的な2個の零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路は、1段目に第1の差動増幅回路と、2段目にコモンモードフィードバック回路を有する第2の差動増幅回路と、第1の差動増幅回路の差動出力と第2の差動増幅回路の差動入力との間の差動信号にコモンモードフィードバック回路の差動出力の大きさに応じてフィードバックを掛ける帰還差動回路と、を備える差動増幅回路であって、帰還差動回路の差動入力には、コモンモードフィードバック回路の差動出力を、グランドとの間に形成されるフィルタ回路を経由して入力する帰還経路が設けられ、コモンモードフィードバック回路は、第2の差動増幅回路の差動出力を分圧し、コモンモード信号を抽出する分圧抵抗を備え、分圧抵抗はフィルタ回路を構成する抵抗としても機能する。
【発明の効果】
【0012】
一実施形態によれば、消費電力を増やさずに、伝送速度が数10Gbps以上の高周波数を含む広帯域において伝送線路の損失を安定的に補償することが可能な2個の零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路を提供可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)は、PCI(Peripheral Component Interconnect)-Expressの実装形態の一例を示す斜視図である。(B)は、(A)の実装形態の伝送線路の損失周波数特性の一例を示すグラフである。(C)は、(B)の低周波数領域における受信端のアイパターンの一例を示す測定図である。(D)は、(B)の高周波数領域における受信端のアイパターンの一例を示す測定図である。
【
図2】(A)は、受信端における波形歪みを補正する波形等価が適切に実行される原理及びその場合のアイパターンの一例を示す図である。(B)は、受信端における波形歪みを補正する波形等価が足りない場合の原理及びその場合のアイパターンの一例を示す図である。(C)は、受信端における波形歪みを補正する波形等価が過剰な場合の原理及びその場合のアイパターンの一例を示す図である。
【
図3】(A)は、
図1(A)の実装形態を簡略化した回路において、波形等価が適切に実行される様子を示した図である。(B)は、(A)の受信回路の具体例の一例を示す回路図である。
【
図4】(A)は、
図3(A)の図において、伝送線路に流れる電気信号が高周波数帯に移動した場合の模式図であるが、外観構成は
図3(A)と同一である。(B)は、(A)の構成において、Rx1の1つの零点を有するCTLEの周波数特性だけでは、高周波数帯域においえ波形等価が足りないことを示すグラフである。(C)は、(A)の構成において、1つの零点を有するCTLEの機能を持つ受信回路を直列に4段接続した一例を示す模式図である。(D)は、(C)の構成において、低周波数帯域で波形等価が過剰になることを示すグラフである。
【
図5A】
図5Aは、2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の一例を示す回路図である。
【
図5B】
図5Bは、
図5Aの2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路、伝送線路、及びそれらの組み合わせの周波数特性と、
図4(C)に示される1つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路、伝送線路、及びそれらの組み合わせの周波数特性とを比較して示すグラフである。
【
図6】
図6は、
図5Aの2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路において同相発振が生じる原理を説明するための回路図である。
【
図7】
図7は、本実施形態1に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の回路図の一例である。
【
図8】
図8は、本実施形態2に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の回路図の一例である。
【
図9】
図9は、本実施形態3に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の回路図の一例である。
【
図10】
図10は、本実施形態4に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の回路図の一例である。
【
図11】
図11は、本実施形態5に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の回路図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0015】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。
【0017】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0018】
(CTLEによる伝送線路の損失を補償する動作の原理説明)
図1(A)は、PCI(Peripheral Component Interconnect)-Express拡張スロットである拡張スロットPCIe1を有するPCB基板PCB1において、PCB基板に実装された論理回路モジュールIC1と、拡張カードB2に実装された論理回路モジュールIC2とを簡易的に示した斜視図である。なお、PCI-Expressはシリアル転送方式の拡張インターフェースの接続規格であり、PCIeと称する場合もある。
【0019】
論理回路モジュールIC1と論理回路モジュールIC2との間は高速電気信号が伝送される伝送線路TL1が存在する。論理回路モジュールIC1と論理回路モジュールIC2との間は双方向に電気信号が伝送される。本原理説明では、論理回路モジュールIC1の出力端子の1つであるポイントP1から出力された電気信号が論理回路モジュールIC2の入力端子の1つであるポイントP2において受信される場合を検討する。
【0020】
図1(B)は、伝送線路TL1の周波数に対する伝送線路損失の一例を示したグラフである。伝送線路損失はデシベルを単位として表示しているが、高周波数になるほど、伝送線路TL1の伝送線路損失が大きくなることが分かる。
【0021】
図1(C)は、伝送線路TL1の受信端であるポイントP2における、PCIeの第一世代(Gen1)を使用した電気信号のアイパターンを示す。中央のアイが400ps開いているので、2.5GT/S(Transfer per second)に対して、ジッタによる劣化が少なく高品質な伝送であることが分かる。
【0022】
図1(D)は、伝送線路TL1の受信端であるポイントP2における、PCIeの第四世代(Gen4)を使用した電気信号のアイパターンを示す。中央のアイが開いていないので、16GT/Sの伝送速度に対して、ジッタによる劣化が大きく低品質であり、電気信号を解読できない伝送であることが分かる。
【0023】
図2(A)から
図2(C)は、伝送線路の周波数特性の一例と、CTLE等の等化器の周波数特性の一例を組み合わせた場合の補正後の周波数特性及びアイパターンの一例を示した模式図である。
【0024】
図2(A)は、等化器による周波数特性の補正が適切に実施された場合の一例を示す模式図である。
図2(A)の伝送線路周波数特性D1は、高周波数領域において、損失が大きくなっている。また、
図2(A)の等化器のゲイン周波数特性E1は、高周波数領域において、伝送線路の損失に対応してゲインが大きくなっている。したがって、補正後の周波数特性C1はフラットに近い特性となり、アイパターンA1の中央部に大きな開口が生じるので、伝送される電気信号の情報を適切に伝送することが可能になる。
【0025】
図2(B)は、等化器による周波数特性の補正が不足する場合の一例を示す模式図である。
図2(B)の伝送線路周波数特性D2は、伝送線路周波数特性D1と同様に高周波数領域において、損失が大きくなっている。また、
図2(B)の等化器のゲイン周波数特性E2は、高周波数領域において、伝送線路の損失に対応するゲインが不足している。その結果、補正後の周波数特性C2は高周波数領域において損失が発生する特性となり、アイパターンA2の中央部に小さな開口しか生じないので、ジッタの影響によって伝送される電気信号の情報を適切に伝送するためのマージンが十分に確保することが困難になる。
【0026】
図2(C)は、等化器による周波数特性の補正が過剰になる場合の一例を示す模式図である。
図2(C)の伝送線路周波数特性D3は、伝送線路周波数特性D1と同様に高周波数領域において、損失が大きくなっている。また、
図2(C)の等化器のゲイン周波数特性E3は、高周波数領域において、伝送線路の損失に対応するゲインが過剰となっている。その結果、補正後の周波数特性C3は高周波数領域においてゲインが発生する特性となり、アイパターンA3の中央部の開口が綺麗に開かないので、ジッタの影響によって伝送される電気信号の情報を適切に伝送するためのマージンが十分に確保することが困難になる。
【0027】
上述した
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)から分かるように、等化器のゲイン周波数特性による補正量が不足しても、又は、補正量が過剰になっても、アイパターンの中央部の開口が適切に開かないので、波形ひずみを適切に補正することができない。
【0028】
図3(A)は、
図2(A)の伝送線路周波数特性D1を有する伝送路TL2、
図2(A)のゲイン周波数特性E1を有する等化器を含む受信機Rx1、送信機Tx1を実装形態がわかるように模式的に示した図である。
【0029】
図3(B)は、ゲイン周波数特性E1を有する等化器の一例として示した、1つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の回路図である。
図3(A)のTx1の差動出力から伝送線路TL2を介した差動信号が、IN_P及びIN_Nとして差動増幅回路に入力される。また、コンデンサC1(容量値Ca)及び抵抗R1(抵抗値Ra)によって零点が演算され、周波数補正が実行される。周波数補正された差動出力がOUT_N及びOUT_Pから出力され、
図3(A)のアイパターンA1が形成される。
【0030】
図4(A)は、
図3(A)の回路構成において、電気信号が十ギガヘルツ近辺に高周波数化した場合の参考図であり、外観構成は
図3(A)と同一なので、説明を省略する。
【0031】
図4(B)は、
図3(A)の回路構成において、電気信号が十ギガヘルツ近辺まで高周波数化した場合に注目したゲイン周波数特性を示すグラフである。伝送線路の損失は、十ギガヘルツ近辺において大幅に増加するが、1つの零点を有するCTLEが一段の場合には、十ギガヘルツ近辺における損失を補償するゲインが得られない。したがって、
図2(B)において説明したように、十ギガヘルツ近辺における電気信号のアイパターンは適切な波形にはならない。
【0032】
図4(C)は、
図4(B)において説明した十ギガヘルツ近辺における伝送線路の損失を補償するために、1つの零点を有するCTLEを複数(一例として
図4(C)ではCTLEを四段直列に)接続した場合の回路構成を模式的に示した図である。この回路構成によれば、十ギガヘルツ近辺における伝送線路の損失を補償することが可能になる。
【0033】
図4(D)は、
図4(C)の回路構成において、電気信号が十ギガヘルツ近辺まで高周波数化した場合に注目したゲイン周波数特性を示すグラフである。伝送線路の周波数特性に四段のCTLEの周波数特性を加えた補償後の周波数特性の十ギガヘルツ近辺のゲインは0デシベル近辺に収まり、適切なゲインを確保できている。しかし、1つの零点を有するCTLEが一段の場合の周波数特性を示す曲線が緩やに凸形状になるために、周波数が数ギガヘルツ近辺の低周波数帯域において、ゲインが大きくなり、補正が過剰になってしまう。すなわち、
図2(C)において説明したように、数ギガヘルツ近辺における電気信号のアイパターンが適切な波形にはならない。また、CTLEを四段使用することによって、消費電力が大きくなってしまう。
【0034】
図5Aは、
図4(C)の回路構成における、数ギガヘルツ近辺の低周波数帯域においてゲインの補正が過剰に大きくなり、消費電力が増大するという課題を改良するための2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路の構成例を示す図である。2つの零点を有するCTLEは、急峻で高いゲインを取りやすいので、数十ギガヘルツ(次世代通信速度)の電気信号の伝送線路損失を適切に補償し、消費電力を増大させないことが可能になる。式(1)は、
図5Aに示される2つの零点を有するCTLEの回路の伝達関数を示す。1つの零点は前述したように、コンデンサC1及び抵抗R1によって演算される。もう1つの零点は、差動出力であるOUT_P及びOUT_Nの帰還経路にあるコンデンサC2、C3、及び、抵抗R2、R3によって演算される。なお、コンデンサC2の容量値とコンデンサC3の容量値は同一の容量値Cbであることが好ましい。また、抵抗R2の抵抗値と抵抗R3の抵抗値は同一の抵抗値Rbであることが好ましい。さらに、コンデンサC1の容量値Cbと、コンデンサC2及びC3の容量値Cbとは異なることが好ましい。さらに、抵抗R1の抵抗値Raと、抵抗R2及びR3の抵抗値Rbとは異なることが好ましい。
【0035】
図5Bは、
図5Aの2つの零点を有するCTLEの周波数特性、伝送線路の損失の周波数特性、
図5Aの2つの零点を有するCTLEの周波数特性と伝送線路の損失の周波数特性を加えた周波数特性を示す。また、
図5Bは、比較のために、
図3Bの1つの零点を有するCTLEを四段直列に接続した周波数特性、
図3Bの1つの零点を有するCTLEを四段直列に接続した周波数特性と伝送線路の損失の周波数特性を加えた周波数特性を示す。2つの零点を有するCTLEの周波数特性と伝送線路の損失の周波数特性を加えた周波数特性は、低周波数領域でゲインが過剰にならず、目標とする高周波数の電気信号を適切に補正できることが示されている。しかしながら、
図5Aの2つの零点を有するCTLEは、同相発振を発生しやすいという課題がある。次に、同相発振を発生しやすいという課題について、
図6を用いて説明する。
【0036】
図6は、
図5Aに示される2つの零点を有するCTLEの同相発振について説明するための図であり、回路構成は、
図5AのCTLEと同一である。
図6のCTLEの機能を有する差動増幅回路40は、第1の差動増幅回路10、帰還差動回路20、第2の差動増幅回路30、抵抗R2、R3、及び、コンデンサC2、C3を含む帰還経路を含む。
【0037】
第1の差動増幅回路10から出力される差動信号(MID_P-MID_N)が増幅されて、差動増幅回路40から差動信号(OUT_P-OUT_N)が出力される。増幅された信号OUT_P、及び、信号OUT_Nは、トランジスタMN1、トランジスタMN2、トランジスタMN3を含む帰還差動回路20に帰還されるので、帰還差動回路20の入力ダイナミックレンジを大きく確保する必要がある。
【0038】
帰還差動回路20の入力ダイナミックレンジは
図6の式(2)で表される。式(2)で示されるように、入力ダイナミックレンジを大きくするには、I
tailを大きく、チャンネル幅W(トランジスタMN1)とチャンネル幅W(トランジスタMN2)を小さくする必要がある。しかし、式(2)を大きな値とすると、式(3)で示されるトランジスタMN1、及び、トランジスタMN2のV
gsが大きくなる。
図6の帰還差動回路20のV
gsが大きくなると、トランジスタMN3のV
dsが小さくなることが分かる。したがって、トランジスタMN3は飽和領域から非飽和領域へと動作領域が変化してしまうために、トランジスタMN3のドレイン側からみた抵抗値r
d(MN3)が大きく低下してしまう。その結果、式(4)で示される差動増幅回路40の同相ゲインが大きくなり、2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路40が同相発振を発生する可能性が非常に高くなるという課題がある。
【0039】
(実施形態1)
図7は本実施形態1に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_1の回路構成を示した回路図である。
図7の差動増幅回路1000_1は、第1の差動増幅回路100、帰還差動回路200_1、第2の差動増幅回路300_1、並びに、抵抗R11~R14、及び、コンデンサC11、C12を含む帰還経路を含む。また、第2の差動増幅回路300_1は、コモンモードフィードバック回路310_1を含む。コモンモードフィードバック回路310_1は、第2の零点に影響を与えずに、トランジスタMN1、トランジスタMN2、トランジスタMN3を含む帰還差動回路200_1への帰還信号の振幅レベルを低減する。具体的には、コモンモードフィードバック回路310_1のバイアス点の電圧を変更させずに、帰還信号の振幅レベルを半減している。バイアス点の電圧は((OUT_P+OUT_N)/2)になるべきであるが、抵抗R11~R14を直列接続し、抵抗R11~R14の中点からバイアス点の電圧を引き出すことで、バイアス点の電圧は((OUT_P+OUT_N)/2)になる。また、帰還信号OUT_P_1は出力信号OUT_Pの半分になり、帰還信号OUT_N_1は出力信号OUT_Nの半分になり、帰還差動回路200_1のダイナミックレンジを大きくする課題が解消されるので、同相発振を起こす確率を低減することが可能になる。また、第2の零点は、式(6)から演算することが可能である。すなわち、
図6における抵抗R2及び抵抗R3の代わりに、抵抗R11~R14が第2の零点を形成する機能を有している。コモンモードフィードバック回路310_1は、コモンモード信号を取り出す分圧抵抗である抵抗R11~R14を含み、抵抗R11~R14は第2の零点を形成するRCフィルタの抵抗成分として機能する。
【0040】
上述したように、帰還量を半分にしたために、帰還差動回路200_1のゲインを維持するためには、
図7の式(5)のg
mを2倍にする必要がある。そのためには、I
tailとW(トランジスタMN1及びMN2)を2倍にする必要があるが、式(2)に示すように、I
tailとW(トランジスタMN1及びMN2)を2倍にしても帰還差動回路200_1のダイナミックレンジ(式(2))において、I
tailとW(トランジスタMN1及びMN2)は相殺されるので、帰還差動回路200_1のダイナミックレンジには影響がない。さらに、コモンモードフィードバック回路310_1からコモンモード信号を取り出す分圧抵抗である抵抗R11~R14の各抵抗値を2Rbとすることによって、帰還経路に抵抗R2及びR3を配置した
図6のCTLEに対して、第2の零点(式(6))に対する影響も発生しない。
【0041】
差動増幅回路1000_1の構成を回路図に沿って説明すると以下のようになる。2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_1は、1段目に第1の差動増幅回路100と、2段目にコモンモードフィードバック回路310_1を有する第2の差動増幅回路300_1とを備える。また、差動増幅回路1000_1は、第1の差動増幅回路100の差動出力と第2の差動増幅回路300_1の差動入力との間の差動信号(MID_N及びMID_P)にコモンモードフィードバック回路310_1の差動出力(OUT_P_1及びOUT_N_1)の大きさに応じてフィードバックを掛ける帰還差動回路200_1を備える。帰還差動回路200_1の差動入力には、コモンモードフィードバック回路310_1の差動出力(OUT_P_1及びOUT_N_1)を、グランドとの間に形成されるフィルタ回路(R11~R14及びC11、C12)を経由して入力する帰還経路が設けられる。コモンモードフィードバック回路310_1は、第2の差動増幅回路の差動出力を分圧し、コモンモード信号(コモンモードフィードバック回路310_1のオペアンプのRefと一対となる入力信号)を抽出する分圧抵抗(R11~R14)を備え、分圧抵抗(R11~R14)はフィルタ回路を構成する抵抗としても機能する。
【0042】
さらに、差動増幅回路1000_1の構成を回路図に沿って説明すると以下のようになる。フィルタ回路はグランド(GND)との間に形成されるコンデンサ(C11及びC12)を有するローパスフィルタとして機能する。分圧抵抗(R11~R14)の抵抗値を2分割する端子(R12とR13との接続点)をコモンモード信号を抽出するコモンモード信号抽出端子とし、コモンモード信号抽出端子と分圧抵抗の一端との抵抗値を2分割する端子(R13とR14との接続点、又は、R11とR12との接続点)及び、コモンモード信号抽出端子と分圧抵抗の他端との抵抗値を2分割する端子(R11とR12との接続点、又は、R13とR14との接続点)を、コモンモードフィードバック回路の差動出力((OUT_P_1及びOUT_N_1))を出力する2つの端子とする。
【0043】
上述した実施形態1に係る差動増幅回路によれば、多段接続する必要がないので、消費電力を増やさずに、伝送速度が数10Gbps以上の高周波数を含む広帯域において伝送線路の損失を安定的に補償することが可能な差動増幅回路を提供可能になる。特に、伝送速度が数10Gbps以上の高周波数になった場合に、急峻な高ゲインを有しつつ、同相発振を抑制可能な差動増幅回路を提供可能になる。また、コモンバイアスに影響を与えずに帰還信号の振幅を低減することが可能なために、帰還差動回路の入力ダイナミックレンジを確保することが容易になる。その結果、帰還差動回路の入力ダイナミックレンジを大きくする必要がないので、同相発振の問題を低減できる。さらに、コモンモードフィードバック回路を帰還経路の一部として共通化することが可能になる。
【0044】
(実施形態2)
図8は本実施形態2に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_2の回路構成を示した回路図である。
図8のCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_2は、第1の差動増幅回路100、帰還差動回路200_1、第2の差動増幅回路300_2、抵抗R15~R18、及び、コンデンサC13、C14を含む帰還経路を含む。また、第2の差動増幅回路300_2は、コモンモードフィードバック回路310_2を含む。コモンモードフィードバック回路310_2は、トランジスタMN1、トランジスタMN2、トランジスタMN3を含む帰還差動回路200_1への帰還信号の振幅レベルを、
図6に示す差動増幅回路40の(1/(α+1):αは任意の正の実数)に低減した回路である。
図8の式(7)で示されるR
b及びC
bを
図6に示す差動増幅回路40の第2の零点の式(6)のR
b及びC
bとし、式(7)の関係を満たすように、α、R’
b及びC’
bを決定することによって、CTLEの第2の零点を移動せずに、帰還信号の振幅レベルを低減することが可能になる。また、バイアス点の電圧は、抵抗R15~R18を直列接続し、抵抗R15~R18の中点からバイアス点の電圧を引き出すことで、バイアス点の電圧は((OUT_P+OUT_N)/2)になる。
【0045】
差動増幅回路1000_2の詳細構成を回路図に沿って説明すると以下のようになる。フィルタ回路はグランド(GND)との間に形成されるコンデンサ(C13及びC14)を有するローパスフィルタとして機能する。分圧抵抗(R15~R18)の抵抗値を2分割する端子(R16とR17との接続点)をコモンモード信号を抽出するコモンモード信号抽出端子とし、コモンモード信号抽出端子と分圧抵抗の一端との間の第1端子(例えば、R17とR18との接続点)であって、コモンモード信号抽出端子までの抵抗値と分圧抵抗の一端までの抵抗値との比(1:α)と、コモンモード信号抽出端子と分圧抵抗の他端との間の第2端子(例えば、R15とR16との接続点)であって、コモンモード信号抽出端子までの抵抗値と分圧抵抗の他端までの抵抗値との比(1:α)とが等しくなるように設定される、第1端子及び第2端子をコモンモードフィードバック回路310_2の差動出力((OUT_P_2及びOUT_N_2))を出力する2つの端子とする。
【0046】
上述した実施形態2に係る差動増幅回路によれば、実施形態1に係る差動増幅回路の効果を奏することが可能になる。また、コモンバイアスに影響を与えずに帰還信号の振幅を(1/(α+1))に低減することが可能なために、帰還差動回路の入力ダイナミックレンジを確保することが容易になる。また、バイアス分圧抵抗αR’b及びαC’b、R’b及びC’bを適切に決定することによって、CTLEの第2の零点を移動せずに、帰還信号の振幅レベルを低減することが可能になる。
【0047】
(実施形態3)
図9は本実施形態3に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_3の回路構成を示した回路図である。
図9のCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_3は、第1の差動増幅回路100、帰還差動回路200_1、第2の差動増幅回路300_3、抵抗R15~R18、コンデンサC13、C14、及び、トランジスタMN4、MN5を含む帰還経路を含む。また、第2の差動増幅回路300_3は、コモンモードフィードバック回路310_2を含む。CTLEの機能を有する差動増幅回路1000_3の第2の零点を移動したい場合に、コモンモードフィードバック回路310_2の抵抗R16及びR17の抵抗値R’
bを変更してしまうと、第2の差動増幅回路300_3の出力信号(OUT_P、及び、OUT_N)のレベルに影響が出てしまう。しかし、帰還経路に含まれるトランジスタMN4、MN5のON抵抗の抵抗値Rcを調整することによって、出力信号(OUT_P、及び、OUT_N)のレベルに影響を与えずに、帰還差動回路200_1の入力ダイナミックレンジを確保し、第2の零点を移動することが可能になる。式(8)のZ
2は、第2の零点を形成する値を示し、αR’
bは、コモンモードフィードバック回路310_2の分圧抵抗の値を示し、C’
bは帰還経路のコンデンサC13、C14の値を示す。
【0048】
上述した実施形態3に係る差動増幅回路によれば、実施形態1に係る差動増幅回路の効果を奏することが可能になる。また、実施形態2に係る差動増幅回路と同様に、コモンバイアスに影響を与えずに帰還信号の振幅を(1/(α+1))に低減することが可能なために、帰還差動回路の入力ダイナミックレンジを確保することが容易になる。さらに、出力信号のレベルを変化させることなく、第2の零点を移動することが可能になる。
【0049】
(実施形態4)
図10は本実施形態4に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_4の回路構成を示した回路図である。
図10のCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_4は、第1の差動増幅回路100、帰還差動回路200_2、第2の差動増幅回路300_4、抵抗R11~R14、及び、コンデンサC11、C12を含む帰還経路を備える。また、CTLEの機能を有する差動増幅回路1000_4は、ゲイン調整回路400も含む。CTLE1000_4に接続される外部負荷が変わる場合には、CTLEの機能を有する差動増幅回路1000_4のゲインも負荷に応じて可変が必要な場合がある。このような場合には、第2の差動増幅回路300_4のトランジスタMN5及びMN6の電流を可変にしてゲインを調整することによって、CTLE1000_4のゲインを適切に調整することが可能になる。第2の差動増幅回路300_4のゲインを可変して、帰還信号(OUT_P_2、及び、OUT_N_2)の振幅が変わった場合には、以下の処理を実行する。すなわち、トランジスタMN4の出力電流I
tailを調整することで式(2)に示されるように、帰還差動回路200_2の入力ダイナミックレンジを調整することが可能になる。
【0050】
上述した実施形態4に係る差動増幅回路によれば、実施形態1に係る差動増幅回路の効果を奏することが可能になる。また、実施形態4に係る差動増幅回路の出力段に接続される外部負荷が異なる環境であっても、ゲイン調整回路を実施形態4に係る差動増幅回路の出力段に追加することで、CTLEとして機能することが可能になる。さらに、実施形態4に係る差動増幅回路の帰還信号の振幅が増大しても、帰還差動回路のItailを調整することで帰還差動回路の入力ダイナミックレンジを調整することが可能になる。
【0051】
(実施形態5)
図11は本実施形態5に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_5の回路構成を示した回路図である。
図11のCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_5は、第1の差動増幅回路100、帰還差動回路200_1、第2の差動増幅回路300_1、抵抗R11~R14、及び、コンデンサC15を含む帰還経路を備える。帰還経路のコンデンサをGNDに対して配置する代わりに、帰還信号(OUT_P_2、及び、OUT_N_2)の間の差動間に配置する。第2の零点を移動させなければ、GNDに対して配置していたコンデンサ容量の半分のコンデンサ容量を持つコンデンサを差動間に配置することで、本実施形態1に係る2つの零点を有するCTLEの機能を有する差動増幅回路1000_1と同様の機能を発揮することができる。この場合には、帰還経路に配置されるコンデンサの個数、及び、コンデンサの容量を低減できるので、CTLEを小型化させることが可能になる。
【0052】
上述した実施形態5に係る差動増幅回路によれば、実施形態1に係る差動増幅回路の効果を奏することが可能になる。また、帰還経路のコンデンサをGNDに対して配置する代わりに、帰還信号の間の差動間に配置することによって、コンデンサの個数、及び、コンデンサの容量を低減できるので、CTLEを小型化させることが可能になる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
100 第1の差動増幅回路
200_1、200_2 帰還差動回路
300_1、300_2、300_3 第2の差動増幅回路
310_1、310_2 コモンモードフィードバック回路
400 ゲイン調整回路
1000_1、1000_2、1000_3、1000_4、1000_5 差動増幅回路