(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175886
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】入力検出装置、入力検出方法、及び入力検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241212BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20241212BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/041 580
G06F3/042 484
G06F3/044 120
G06F3/041 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093967
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 晃一
(72)【発明者】
【氏名】東 真哉
(57)【要約】
【課題】表示パネルに対する入力操作の入力位置の検出精度を向上させることが可能な入力検出装置、入力検出方法、及び入力検出プログラムを提供する。
【解決手段】表示装置は、第1センサにおける入力操作の第1位置を検出する第1位置検出処理部と、第2センサにおける入力操作の第2位置を検出する第2位置検出処理部と、前記第1位置検出処理部により検出される前記第1位置と、前記第2位置検出処理部により検出される前記第2位置とに基づいて、表示パネルに対する入力位置を検出する入力位置検出処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する入力検出装置であって、
前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出する第1位置検出処理部と、
前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出する第2位置検出処理部と、
前記第1位置検出処理部により検出される前記第1位置と、前記第2位置検出処理部により検出される前記第2位置とに基づいて、前記表示パネルに対する前記入力位置を検出する入力位置検出処理部と、
を備える入力検出装置。
【請求項2】
前記第1位置検出処理部は、前記第1センサにおける静電容量の変化に基づいて前記第1位置を検出し、
前記第2位置検出処理部は、前記第2センサにおける赤外線の遮断位置に基づいて前記第2位置を検出する、
請求項1に記載の入力検出装置。
【請求項3】
前記入力位置検出処理部は、前記第1位置の座標と前記第2位置の座標との差分に基づいて補正量を算出し、算出した前記補正量を前記第1位置の座標又は前記第2位置の座標に加算した座標を前記入力位置として検出する、
請求項1に記載の入力検出装置。
【請求項4】
前記補正量は、前記差分に比例係数を乗算した値である、
請求項3に記載の入力検出装置。
【請求項5】
前記比例係数は、前記表示部に対して垂直方向の前記表示部から前記入力手段までの第1距離と、前記表示部に対して垂直方向の前記第2位置から前記入力手段までの第2距離とに応じた比率である、
請求項4に記載の入力検出装置。
【請求項6】
前記入力操作は、前記表示パネルに対する非接触の入力操作である、
請求項1~5のいずれかに記載の入力検出装置。
【請求項7】
静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する入力検出方法であって、
前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出することと、
前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出することと、
前記第1位置と前記第2位置とに基づいて前記表示パネルに対する前記入力位置を検出することと、
を一又は複数のプロセッサーが実行する入力検出方法。
【請求項8】
静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する入力検出プログラムであって、
前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出することと、
前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出することと、
前記第1位置と前記第2位置とに基づいて前記表示パネルに対する前記入力位置を検出することと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための入力検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルに対する入力手段の入力位置を検出する入力検出装置、入力検出方法、及び入力検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示パネルの表示画面に対して非接触で指示操作などの入力操作(画面操作)を行なうことが可能な表示装置が知られている。また、静電容量方式のタッチパネルを用いて非接触による指示操作(ホバー操作)を行うシステムにおいて、ユーザーの意図しない操作による動作を防止するために、指示体(例えばユーザーの指)が占める領域の扁平率が閾値より小さい場合に当該領域の中心の座標を有効とし、扁平率が閾値より大きい場合に当該領域の中心の座標を無効とする技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、例えば、ユーザーがタッチパネルに対して指を斜め方向から指し示した場合に、指が指し示す方向の位置を適切に検出することが困難である。
【0005】
本開示の目的は、表示パネルに対する入力操作の入力位置の検出精度を向上させることが可能な入力検出装置、入力検出方法、及び入力検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様に係る入力検出装置は、表示部と静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する。前記入力検出装置は、第1位置検出処理部と第2位置検出処理部と入力位置検出処理部とを備える。前記第1位置検出処理部は、前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出する。前記第2位置検出処理部は、前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出する。前記入力位置検出処理部は、前記第1位置検出処理部により検出される前記第1位置と、前記第2位置検出処理部により検出される前記第2位置とに基づいて、前記表示パネルに対する前記入力位置を検出する。
【0007】
本開示の他の態様に係る入力検出方法は、静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する方法である。前記入力検出方法は、前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出することと、前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出することと、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて前記表示パネルに対する前記入力位置を検出することと、を一又は複数のプロセッサーが実行する方法である。
【0008】
本開示の他の態様に係る入力検出プログラムは、静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出するプログラムである。前記入力検出プログラムは、前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出することと、前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出することと、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて前記表示パネルに対する前記入力位置を検出することと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、表示パネルに対する入力操作の入力位置の検出精度を向上させることが可能な入力検出装置、入力検出方法、及び入力検出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る表示装置におけるホバー操作の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る表示装置におけるホバー操作の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る静電方式タッチセンサの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係る赤外方式タッチセンサの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、従来の表示装置における入力位置の検出方法の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、従来の表示装置における入力位置の検出方法の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係る表示装置における入力位置の検出方法の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係る表示装置における入力位置の検出方法の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係る表示装置における入力位置の検出方法の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態に係る表示装置で実行される入力検出処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、本開示の他の実施形態に係る表示装置における入力位置の検出方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0012】
図1に示すように、本開示の実施形態に係る表示装置1は、制御部11と、記憶部12と、操作部13、表示パネル20とを備えている。表示パネル20は、表示部21と、静電方式タッチセンサ22と、赤外方式タッチセンサ23とを備えている。表示パネル20は、表示装置1の外部に配置され、表示装置1と通信可能に接続されてもよい。
【0013】
表示装置1は、表示パネル20の表示画面20Aに対するユーザーの非接触による入力操作(以下、ホバー操作という。)を受け付ける表示装置である。例えば
図2及び
図3に示すように、表示装置1は、ユーザーの指が表示画面20Aに近付いて指と表示画面20Aとの距離Lが所定距離以下になると指を検出し、当該指の位置(入力位置)に応じたホバー操作を検出する。そして、表示装置1は、表示画面20Aに対するユーザーの前記ホバー操作に応じた入力処理を実行する。例えば、ユーザーが表示画面20Aの所定の位置をホバー操作した場合に、表示装置1は、当該ホバー操作の位置に対応する表示画面20A上の位置を検出して、表示画面20Aに表示される入力操作用アイコンA1により選択対象を選択させる選択操作を受け付ける。
【0014】
前記ホバー操作とは、表示パネル20(表示画面20A)に対する入力手段(ユーザーの手、指先、スタイラスペン、支持棒など)により入力操作用アイコンA1(カーソルなど)を特定要素に合わせる操作に対応する操作を指し、表示パネル20に接触する手前の状態(入力手段を浮かせたホバー状態)の操作を指す。また、ホバー状態とは、入力手段が表示パネル20と所定距離以下にあり且つ入力手段と表示パネル20とが接触していない状態、つまり入力手段を近接させた状態を指す。
【0015】
なお、表示装置1は、表示パネル20(表示画面20A)に対するユーザーの接触による入力操作(以下、タッチ操作という。)を受け付けることも可能である。前記タッチ操作に応じて入力操作用アイコンA1により選択対象を選択させる選択操作は、周知の技術であるため以下では説明を省略する。
【0016】
以下、表示装置1における前記ホバー操作に関する具体的構成について説明する。
【0017】
表示装置1は、静電容量方式の第1センサ(静電方式タッチセンサ22)と赤外線方式の第2センサ(赤外方式タッチセンサ23)とを備え、両センサの検出結果に基づいて表示パネル20に対する入力位置を検出する。
【0018】
表示部21は、画像を表示するディスプレイであり、例えば液晶ディスプレイである。操作部13は、マウス、キーボードなどの操作機器である。なお、表示部21及び操作部13は、タッチパネルで一体に構成されてもよい。
【0019】
静電方式タッチセンサ22は、例えば表面型又は投射型の静電容量方式のセンサである。なお、静電方式タッチセンサ22は、表示部21の表面に重ね合わせたタッチパネルで構成されてもよい。
図4には、静電方式タッチセンサ22の構成を示している。静電方式タッチセンサ22は、X方向に配列された複数のドライブ電極De(駆動電極)と、Y方向に配列された複数のセンス電極Se(検出電極)とを備えている。制御部11は、ドライブ電極Deにドライブ信号(駆動信号)を入力し、センス電極Seは検出信号(センス信号)を制御部11に出力する。前記検出信号は、ドライブ電極Deとセンス電極Seとの間の容量値(静電容量)に対応する。制御部11は、前記検出信号に対応する静電容量の変化に基づいて、前記ホバー操作に対応する静電方式タッチセンサ22に対する入力位置を検出する。ドライブ電極De及びセンス電極Seの配置位置は限定されず、互いに交差するように配置されていればよい。
【0020】
赤外方式タッチセンサ23は、例えば赤外線(赤外光)を利用した投影型の赤外線方式のセンサである。赤外方式タッチセンサ23は、静電方式タッチセンサ22の前面に配置される。
図5には、赤外方式タッチセンサ23の構成を示している。赤外方式タッチセンサ23は、X方向及びY方向に対に配置された発光部Ls(発光素子)と受光部Rs(受光素子)とを備えている。制御部11は、発光部Lsから赤外線(赤外光)を発光させ、赤外線を受光する受光部Rsの検出信号に基づいて、前記ホバー操作に対応する赤外方式タッチセンサ23に対する入力位置を検出する。例えば、制御部11は、赤外線が遮断された位置を入力位置として検出する。
【0021】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。記憶部12には、制御部11に後述の入力検出処理(
図11参照)を実行させるための入力検出プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記入力検出プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録され、表示装置1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。なお、前記入力検出プログラムは、クラウドサーバーから配信されて記憶部12に記憶されてもよい。
【0022】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより表示装置1を制御する。制御部11は、表示パネル20に対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する。
【0023】
ここで、従来の技術では、例えば、ユーザーが表示パネル20に対して指を斜め方向から指し示した場合に、指が指し示す方向の位置を適切に検出することが困難である。
図6及び
図7には入力操作の具体例を示している。例えば
図6に示すように、ユーザーが表示パネル20に対して指を垂直方向から指し示した場合、従来のシステムは、赤外方式タッチセンサ23により位置Pbを検出し、静電方式タッチセンサ22により位置Paを検出する。この場合、位置Pb及び位置PaのX座標位置及びY座標位置は略一致するため、従来のシステムは、位置Pb及び位置Paを入力位置P1として検出する。このように、ユーザーが表示パネル20に対して指を垂直方向から指し示した場合には、ユーザーが意図した入力位置P1を適切に検出することができる。
【0024】
これに対して、例えば
図7に示すように、ユーザーが表示パネル20に対して指を斜め方向から指し示した場合、従来のシステムは、赤外方式タッチセンサ23により位置Pbを検出し、静電方式タッチセンサ22により位置Paを検出する。この場合、位置Pbと位置PaとのX座標位置及びY座標位置が一致しない。このため、従来のシステムは、位置Pb又は位置Paを入力位置として検出し、ユーザーが意図した入力位置P1からずれてしまう問題が生じる。
【0025】
上記問題に関し、本実施形態に係る表示装置1は、表示パネル20に対する入力操作の入力位置の検出精度を向上させることが可能な構成を備えている。
【0026】
具体的には、制御部11は、
図1に示すように、入力処理部111、静電検出処理部112、赤外検出処理部113、位置検出処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記入力検出プログラム及びに従った各種の処理を実行することによって、入力処理部111、静電検出処理部112、赤外検出処理部113、及び位置検出処理部114として機能する。また、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記入力検出プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0027】
入力処理部111は、静電方式タッチセンサ22及び赤外方式タッチセンサ23のそれぞれに制御信号(駆動信号)を入力する。具体的には、入力処理部111は、静電方式タッチセンサ22の各ドライブ電極Deに順に駆動信号を入力して、各ドライブ電極Deを駆動させる。また、入力処理部111は、赤外方式タッチセンサ23の各発光部Lsに順に駆動信号を入力して、各発光部Lsから赤外線を発光させる。
【0028】
静電検出処理部112は、入力操作を行う入力手段と静電方式タッチセンサ22との間に生じる静電容量の変化を検出する。例えば、静電検出処理部112は、ドライブ電極Deに入力される駆動信号に応じてセンス電極Seから出力される検出信号を受信し、当該検出信号に基づいて静電容量の変化量を検出する。
【0029】
また、静電検出処理部112は、静電容量の変化に基づいて静電方式タッチセンサ22に対する入力位置(静電入力位置Pa)を検出する(
図8等参照)。例えば、静電検出処理部112は、静電方式タッチセンサ22から取得する静電容量の変化の分布を参照して、変化量が最も大きい位置(例えば、手の重心C1の位置)を静電入力位置Paとして検出する。静電検出処理部112は、本発明の第1位置検出処理部の一例である。
【0030】
赤外検出処理部113は、赤外線が遮断された位置を検出する。例えば、赤外検出処理部113は、X方向及びY方向に配置された各発光部Lsから赤外線を発光させて、各受光部Rsから出力される検出信号を受信し、当該検出信号に基づいてX方向及びY方向の遮断位置を検出する。また、赤外検出処理部113は、赤外線の遮断位置に基づいて赤外方式タッチセンサ23に対する入力位置(赤外入力位置Pb)を検出する(
図8等参照)。例えば、赤外検出処理部113は、X方向及びY方向の遮断位置を赤外入力位置Pbとして検出する。赤外検出処理部113は、本発明の第2位置検出処理部の一例である。
【0031】
位置検出処理部114は、静電検出処理部112により検出される静電入力位置Pa(本発明の第1位置の一例)と、赤外検出処理部113により検出される赤外入力位置Pb(本発明の第2位置の一例)とに基づいて、表示パネル20に対する入力位置P1を検出する。
【0032】
以下、入力位置P1の具体的な検出方法について説明する。
図8には、ユーザーが表示パネル20に対して指を斜め方向から指し示した様子を模式的に示している。ここで、赤外検出処理部113がユーザーの指を検出したときの赤外方式タッチセンサ23からユーザーの手の重心C1までの距離を「Z1」とする。なお、距離Z1は、例えば複数のユーザーの測定結果に基づいて予め設定される。また、表示部21から重心C1までの距離を「Z2」、表示部21から赤外方式タッチセンサ23までの距離を「Z3」とする。また、
図8において、静電検出処理部112が検出する静電入力位置を「Pa」とし、赤外検出処理部113が検出する赤外入力位置を「Pb」とする。
【0033】
なお、静電検出処理部112がユーザーの手を検出したときの静電方式タッチセンサ22からユーザーの手の重心C1までの距離を測定し、当該距離から、静電方式タッチセンサ22と赤外方式タッチセンサ23との間の距離(間隔)を減算することによって距離Z1を設定してもよい。すなわち、距離Z1は、静電方式タッチセンサ22及び赤外方式タッチセンサ23のいずれかの特性、設計情報、測定結果、入力手段(手、指)の形状などを用いて予め設定されてもよい。
【0034】
静電入力位置Pa及び赤外入力位置Pbの座標位置は
図9及び
図10で表される。
図9には、XZ平面における座標位置を示し、
図10には、YZ平面における座標位置を示している。
図9及び
図10に示すように、静電入力位置PaのX座標及びY座標は、(x,y)=(X1,Y1)で表され、赤外入力位置PbのX座標及びY座標は(x,y)=(X2,Y2)で表される。なお、「Pa´」は、重心C1と静電入力位置Paとを結ぶ直線(重心C1を通り表示部21に垂直な直線)が赤外方式タッチセンサ23と交わる位置に相当する。すなわち、位置Pa、位置Pa´、重心C1のX座標及びY座標は、それぞれ一致する。
【0035】
ここで、位置検出処理部114は、位置Pa´の座標(X1,Y1)と、赤外入力位置Pbの座標(X2,Y2)との差分(X2-X1,Y2-Y1)に基づいて補正量Kを算出し、算出した補正量Kを位置Pa´の座標(X1,Y1)に加算した座標を入力位置P1(X3,Y3)として検出する。
【0036】
なお、(X2-X1)は、赤外方式タッチセンサ23をXY座標平面とした場合の、静電入力位置Paに対応する位置Pa´と、赤外入力位置Pbとの間のX方向の距離を示し(
図9参照)、(Y2-Y1)は、赤外方式タッチセンサ23をXY座標平面とした場合の、静電入力位置Paに対応する位置Pa´と、赤外入力位置Pbとの間のY方向の距離を示している(
図10参照)。
【0037】
補正量Kは、前記差分に比例係数k1を乗算した値であり、以下の式(1)で表される。
K=k1(X2-X1,Y2-Y1) ・・・(1)
【0038】
k1は比例係数であり、例えば以下の式(2)で表される。すなわち、比例係数k1は、表示部21に対して垂直方向の表示部21から重心C1までの距離Z2(本発明の第1距離の一例)と、表示部21に対して垂直方向の赤外入力位置Pbから重心C1までの距離Z1(本発明の第2距離の一例)とに応じた比率である。
k1=Z2/Z1 ・・・(2)
【0039】
入力位置P1の座標(X3,Y3)は、以下の式(3)で表される。
(X3,Y3)=(X1+k1(X2-X1),Y1+k1(Y2-Y1)) ・・・(3)
【0040】
すなわち、位置検出処理部114は、位置Pa´の内角が90度であって、かつ重心C1と赤外入力位置Pbとを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形と、位置P2(重心C1を通る垂線が表示部21に交わる位置)の内角が90度であって、かつ重心C1と入力位置P1とを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形との相似関係によって、入力位置P1の座標(X3,Y3)を算出する。
【0041】
なお、位置検出処理部114は、上記式(2)及び(3)に代えて、下記式(4)及び(5)により入力位置P1の座標(X3,Y3)を算出してもよい。
k1=Z3/Z1 ・・・(4)
(X3,Y3)=(X2+k1(X2-X1),Y2+k1(Y2-Y1)) ・・・(5)
【0042】
すなわち、位置検出処理部114は、位置Pa´の内角が90度であって、かつ重心C1と赤外入力位置Pbとを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形と、位置P3(赤外入力位置Pbを通る垂線が表示部21に交わる位置)の内角が90度であって、かつ赤外入力位置Pbと入力位置P1とを結ぶ直線を斜辺とする直角三角形との相似関係によって、入力位置P1の座標(X3,Y3)を算出してもよい。
【0043】
以上のように、位置検出処理部114は、静電検出処理部112により検出される静電入力位置Paと、赤外検出処理部113により検出される赤外入力位置Pbとに基づいて、表示パネル20(表示部21)に対する入力位置P1を検出する。また、位置検出処理部114は、位置Pa(位置Pa´)の座標(X1,Y1)と赤外入力位置Pbの座標(X2,Y2)との差分に基づいて補正量Kを算出し、算出した補正量Kを位置Pa(位置Pa´)の座標に加算した座標(上記式(3)参照)、又は、赤外入力位置Pbの座標に加算した座標(上記式(5)参照)を入力位置P1として検出する。
【0044】
位置検出処理部114により入力位置P1が検出されると、制御部11は、検出された入力位置P1に対して、ユーザーの入力操作に応じた入力処理を実行する。例えば、制御部11は、入力位置P1に応じて、入力操作用アイコンA1を移動させたり、入力操作用アイコンA1により選択対象を選択したりする。
【0045】
[入力検出処理]
以下、
図11を参照しつつ、表示装置1の制御部11によって実行される入力検出処理について説明する。
【0046】
なお、本開示は、前記入力検出処理に含まれる一又は複数のステップを実行する入力検出方法(本開示の入力検出方法の一例)の開示として捉えることができ、ここで説明する入力検出処理に含まれる一又は複数のステップが適宜省略されてもよい。なお、前記入力検出処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記入力検出処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、複数のプロセッサーが当該入力検出処理における各ステップを分散して実行する入力検出方法も他の実施形態として考えられる。
【0047】
先ずステップS1において、制御部11は、入力手段を検出したか否かを判定する。例えば、制御部11は、静電方式タッチセンサ22及び赤外方式タッチセンサ23の少なくともいずれか一方の検出結果に変化が生じた場合(静電容量の変化又は赤外線の遮断が生じた場合)に入力手段(ユーザーの手など)を検出したと判定する。他の実施形態として、表示装置1がカメラを備える場合に、制御部11は、カメラの撮像画像に基づいて、入力手段を検出してもよい。制御部11は、入力手段を検出すると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。制御部11は、入力手段を検出するまで待機する(S1:No)。
【0048】
ステップS2において、制御部11は、静電入力位置Paを検出する。具体的には、制御部11は、静電方式タッチセンサ22から取得する静電容量の変化に基づいて、静電方式タッチセンサ22における入力位置(静電入力位置Pa)を検出する。静電入力位置Paは、静電方式タッチセンサ22をXY平面とした場合のXY座標位置である(
図9及び
図10参照)。
【0049】
次にステップS3において、制御部11は、赤外入力位置Pbを検出する。具体的には、制御部11は、赤外線の遮断位置に基づいて赤外方式タッチセンサ23における入力位置(赤外入力位置Pb)を検出する。赤外入力位置Pbは、赤外方式タッチセンサ23をXY平面とした場合のXY座標位置である(
図9及び
図10参照)。なお、ステップS2及びS3の処理の順序は限定されない。
【0050】
次にステップS4において、制御部11は、表示パネル20(表示画面20A)に対する入力位置P1を検出する。具体的には、制御部11は、静電入力位置Paと赤外入力位置Pbとに基づいて、表示部21における入力位置P1を検出する。例えば、制御部11は、位置Pa(位置Pa´)の座標(X1,Y1)と赤外入力位置Pbの座標(X2,Y2)との差分に基づいて補正量K(上記式(2)参照)を算出し、算出した補正量Kを位置Pa(位置Pa´)の座標に加算した座標(上記式(3)参照)を入力位置P1として検出する。他の実施形態として、制御部11は、位置Pa(位置Pa´)の座標(X1,Y1)と赤外入力位置Pbの座標(X2,Y2)との差分に基づいて補正量K(上記式(4)参照)を算出し、算出した補正量Kを赤外入力位置Pbの座標に加算した座標(上記式(5)参照)を入力位置P1として検出する。
【0051】
このように、制御部11は、静電方式タッチセンサ22における入力位置(静電入力位置Pa)と、赤外方式タッチセンサ23における入力位置(赤外入力位置Pb)とを、表示部21からの距離(Z1~Z3)に応じて座標変換することにより、表示部21における入力位置P1を算出する。
【0052】
次にステップS5において、制御部11は、入力処理を実行する。例えば、制御部11は、検出した入力位置P1に応じて、入力操作用アイコンA1を移動させたり、入力操作用アイコンA1により選択対象を選択したりする。
【0053】
次にステップS6において、制御部11は、入力操作が終了したか否かを判定する。ユーザーが表示パネル20に対する入力操作を終了すると、制御部11は、入力操作が終了したと判定して(S6:Yes)、前記入力検出処理を終了する。一方、ユーザーが表示パネル20に対する入力操作を継続する場合、制御部11は、入力操作が終了しないと判定して(S6:No)、処理をステップS1に移行させる。以上のようにして、制御部11は前記入力検出処理を実行する。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る表示装置1は、表示部21と静電容量方式の第1センサ(静電方式タッチセンサ22)と赤外線方式の第2センサ(赤外方式タッチセンサ23)とを含む表示パネル20に対する入力手段による入力操作の入力位置P1を検出する。また、表示装置1は、前記第1センサにおける入力操作の第1位置(静電入力位置Pa)を検出し、前記第2センサにおける入力操作の第2位置(赤外入力位置Pb)を検出し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて、表示パネル20に対する入力位置P1を検出する。
【0055】
上記構成によれば、例えば、ユーザーが表示パネル20(タッチパネル)に対して指を斜め方向から指し示した場合に(
図7参照)、指が指し示す方向の位置(入力位置P1)を適切に検出することができる。よって、表示パネル20に対する入力操作の入力位置の検出精度を向上させることが可能になる。
【0056】
本発明の他の実施形態として、制御部11は、表示パネル20に対する入力手段(ユーザーの指)の指示角度(入射角度)を利用して入力位置P1を算出してもよい。例えば
図12において、表示パネル20(表示部21)に対してユーザーの指が指し示す方向と、重心C1を通り表示部21に垂直な方向との間の角度を「D1」とした場合に、制御部11は、三角関数を利用して、以下の式(6)及び(7)により入力位置P1の座標(X3,Y3)を算出してもよい。なお、以下の式(6)及び(7)は入力位置P1のX座標(X3)のみの算出式を示しているが、Y座標(Y3)についても指示角度に応じた同様の式により算出することが可能である。
X3=X1+Z2×tan(D1) ・・・(6)
D1=tan
-1((X2-X1)/Z1) ・・・(7)
【0057】
上述した表示装置1は、本発明の入力検出装置の一例であるが、本発明の入力検出装置は、入力処理部111、静電検出処理部112、赤外検出処理部113、及び位置検出処理部114を備える制御装置で構成されてもよい。すなわち、本発明の入力検出装置は、表示装置1に含まれてもよいし(
図1の制御部11に相当)、表示装置1の外部に配置され、表示装置1の表示制御を行う制御装置(例えばサーバー)で構成されてもよい。
【0058】
[開示の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される開示の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0059】
<付記1>
表示部と静電容量方式の第1センサと赤外線方式の第2センサとを含む表示パネルに対する入力手段による入力操作の入力位置を検出する入力検出装置であって、
前記第1センサにおける前記入力操作の第1位置を検出する第1位置検出処理部と、
前記第2センサにおける前記入力操作の第2位置を検出する第2位置検出処理部と、
前記第1位置検出処理部により検出される前記第1位置と、前記第2位置検出処理部により検出される前記第2位置とに基づいて、前記表示パネルに対する前記入力位置を検出する入力位置検出処理部と、
を備える入力検出装置。
【0060】
<付記2>
前記第1位置検出処理部は、前記第1センサにおける静電容量の変化に基づいて前記第1位置を検出し、
前記第2位置検出処理部は、前記第2センサにおける赤外線の遮断位置に基づいて前記第2位置を検出する、
付記1に記載の入力検出装置。
【0061】
<付記3>
前記入力位置検出処理部は、前記第1位置の座標と前記第2位置の座標との差分に基づいて補正量を算出し、算出した前記補正量を前記第1位置の座標又は前記第2位置の座標に加算した座標を前記入力位置として検出する、
付記1又は2に記載の入力検出装置。
【0062】
<付記4>
前記補正量は、前記差分に比例係数を乗算した値である、
付記3に記載の入力検出装置。
【0063】
<付記5>
前記比例係数は、前記表示部に対して垂直方向の前記表示部から前記入力手段までの第1距離と、前記表示部に対して垂直方向の前記第2位置から前記入力手段までの第2距離とに応じた比率である、
付記4に記載の入力検出装置。
【0064】
<付記6>
前記入力操作は、前記表示パネルに対する非接触の入力操作である、
付記1~5のいずれかに記載の入力検出装置。
【符号の説明】
【0065】
1 :表示装置
11 :制御部
12 :記憶部
13 :操作部
20 :表示パネル
20A :表示画面
21 :表示部
22 :静電方式タッチセンサ
23 :赤外方式タッチセンサ
111 :入力処理部
112 :静電検出処理部
113 :赤外検出処理部
114 :位置検出処理部
A1 :入力操作用アイコン
P1 :入力位置
C1 :(手の)重心
De :ドライブ電極
Se :センス電極
Ls :発光部
Rs :受光部
Pa :静電入力位置
Pb :赤外入力位置
K :補正量
k1 :比例係数