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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175887
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】エレベーター三方枠の組立治具
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20241212BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B66B13/30 J
B66B7/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093968
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 侑大
(72)【発明者】
【氏名】島田 勝博
(72)【発明者】
【氏名】八木 伸明
(72)【発明者】
【氏名】恩地 剛史
(72)【発明者】
【氏名】葛城 浩基
【テーマコード(参考)】
3F305
3F307
【Fターム(参考)】
3F305DA21
3F307BA01
3F307CD28
(57)【要約】
【課題】コンパクトで持ち運びやすいエレベーター三方枠の組立治具を提供する。
【解決手段】エレベーター三方枠の組立治具は、上枠と一対の縦枠とを略コ字形に連結してエレベーター三方枠を組み立てる際に用いる。エレベーター三方枠の組立治具は、上枠と縦枠の奥行き方向の一端面が当接する当接面11eと、当接面11eから突出した角外面係合部12及び角内面係合部13とを備える。角外面係合部12は、上枠と縦枠によって形成される角部の外面に係合する。角内面係合部13は、上枠と縦枠によって形成される角部の内面に係合する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と一対の縦枠とを略コ字形に連結してエレベーター三方枠を組み立てる際に用いるエレベーター三方枠の組立治具であって、
前記上枠と前記縦枠の奥行き方向の一端面が当接する当接面と、
前記当接面から突出し、前記上枠と前記縦枠によって形成される角部の外面に係合する角外面係合部と、
前記当接面から突出し、前記上枠と前記縦枠によって形成される角部の内面に係合する角内面係合部と、を備える
エレベーター三方枠の組立治具。
【請求項2】
前記角外面係合部と前記角内面係合部は、前記一端面を下方にした姿勢の前記上枠と前記縦枠を自立させる
請求項1に記載のエレベーター三方枠の組立治具。
【請求項3】
前記角外面係合部は、前記上枠と前記縦枠の連結部を露出させる切欠きを有している
請求項2に記載のエレベーター三方枠の組立治具。
【請求項4】
前記角内面係合部は、前記縦枠に対向する縦枠係合面を有し、
前記縦枠係合面は、前記当接面から離れるにつれて前記角外面係合部との間の距離を広げるように傾斜する傾斜面であり、
前記縦枠係合面と前記縦枠の内面に係合する角度調整部材を備える
請求項1に記載のエレベーター三方枠の組立治具。
【請求項5】
前記当接面を形成するベース部を備え、
前記ベース部は、一方の平面が前記当接面となる板状に形成されている
請求項1に記載のエレベーター三方枠の組立治具。
【請求項6】
前記ベース部は、前記上枠と前記縦枠によって形成される角部の前記一端面における前記上枠と前記縦枠の接触部分を露出させる開口部を有する
請求項5に記載のエレベーター三方枠の組立治具。
【請求項7】
前記角外面係合部は、前記上枠と前記縦枠によって形成される角部の外面における前記上枠と前記縦枠の接触部分を露出させる開口部を有する
請求項5に記載のエレベーター三方枠の組立治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター三方枠の組立治具に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーター三方枠は、エレベーターの乗場出入口に設置されている。エレベーター三方枠は、上枠と一対の縦枠とを略コ字形に連結して組み立てられており、乗場出入口の三方向(上、左、右)の面に取り付けられる。エレベーターの三方枠は、美観的な外観の見栄えを高めるために、比較的高い組立精度が要求される。
【0003】
エレベーター三方枠は、組み立てられた状態で据付現場に搬入されることがある。しかし、乗場出入口が大きなエレベーターの場合は、エレベーター三方枠も大型となり、エレベーター三方枠の輸送効率が悪くなってしまう。そこで、据付現場においてエレベーター三方枠を組み立てることが考えられている。
【0004】
特許文献1には、エレベーター三方枠を据付現場で組み立て及び据え付ける際に用いるエレベーター三方枠の据付装置が開示されている。特許文献1に開示されたエレベーター三方枠の据付装置は、一対の縦枠間を結ぶように配置される上部据付装置および下部据付装置を備える。上部据付装置および下部据付装置は、一対の縦枠間を結ぶように延びた長尺体と、長尺体に設けられて一対の縦枠をそれぞれ把持する一対の把持装置と、長尺体の中間部に設けられて一対の把持装置間の寸法を調整する連結部材とをそれぞれ有している。
【0005】
【特許文献1】特開2000-211865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された上部据付装置および下部据付装置は、それぞれエレベーター三方枠の幅よりも大きい大型の装置であった。そのため、上部据付装置および下部据付装置を、例えば、高層階の乗場出入口まで持ち運ぶことが面倒であった。また、部据付装置および下部据付装置を輸送するためのスペースを大きく確保する必要があり、輸送コストが増加していた。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、コンパクトで持ち運びやすいエレベーター三方枠の組立治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したエレベーター三方枠の組立治具は、上枠と一対の縦枠とを略コ字形に連結してエレベーター三方枠を組み立てる際に用いる。エレベーター三方枠の組立治具は、上枠と縦枠の奥行き方向の一端面が当接する当接面と、当接面から突出する角外面係合部及び角内面係合部を備える。角外面係合部は、上枠と縦枠によって形成される角部の外面に係合する。角内面係合部は、上枠と縦枠によって形成される角部の内面に係合する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエレベーター三方枠の組立治具によれば、コンパクトで持ち運びやすくすることができる。
なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るエレベーター三方枠の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る組立治具本体の斜視図である。
図3】本発明の第1を実施形態に係る角度調整部材の斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の使用状態をエレベーター三方枠の外側から見た斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の使用状態をエレベーター三方枠の内側から見た斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る組立治具本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具について、図1図5を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
[エレベーター三方枠の構成]
まず、本発明の第1実施形態に係る組立治具を用いて組み立てるエレベーター三方枠の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、エレベーター三方枠の斜視図である。
【0013】
図1に示すエレベーター三方枠50は、エレベーターの乗場出入口に設置される。エレベーター三方枠50は、上枠51と、上枠51に連結される一対の縦枠52,53を有している。一対の縦枠52,53は、所定の距離を空けて互いに対向している。上枠51と一対の縦枠52,53は、エレベーターの乗場出入口を正面視した場合に、略コ字形に形成されている。
【0014】
以下、一対の縦枠52,53が対向する方向を左右方向とする。また、上下方向と左右方向に略垂直な方向を奥行き方向とする。乗客は、エレベーター三方枠50を奥行き方向に潜って、不図示の乗りかごに乗車する。
【0015】
上枠51は、上下方向に略垂直な平面を有する板体からなり、左右方向に長い長方形に形成されている。上枠51の上方を向く平面は、エレベーター三方枠50の外面を形成し、上枠51の下方を向く平面は、エレベーター三方枠50の内面(体裁面)を形成する。以下、上枠51の上方を向く平面を外面51aとし、上枠51の下方を向く平面を内面51bとする。
【0016】
一対の縦枠52,53は、それぞれ左右方向に略垂直な平面を有する板体からなり、上下方向に長い長方形に形成されている。一対の縦枠52,53の上端は、上枠51の左右方向の両端部に、それぞれねじ(ボルトとナット)を用いて締結される。したがって、上枠51の左右方向の両端部と一対の縦枠52,53の上端には、ねじが貫通する貫通孔が形成されている。
【0017】
縦枠52における縦枠53側を向く平面は、エレベーター三方枠50の内面(体裁面)を形成し、縦枠52における縦枠53側と反対側を向く平面は、エレベーター三方枠50の外面を形成する。以下、縦枠52における縦枠53側と反対側を向く平面を外面52aとし、縦枠52における縦枠53側を向く平面を内面52bとする。
【0018】
また、縦枠53における縦枠52側を向く平面は、エレベーター三方枠50の内面(体裁面)を形成し、縦枠53における縦枠52側と反対側を向く平面は、エレベーター三方枠50の外面を形成する。以下、縦枠53における縦枠52側と反対側を向く平面を外面53aとし、縦枠53における縦枠52側を向く平面を内面53bとする。
【0019】
一対の縦枠52,53の内面52b,53bは、奥行き方向の一端から他端に向かうにつれて互いに接近するように傾斜している(図5参照)。一対の縦枠52,53における奥行き方向の一端面は、エレベーターの乗場側(ホール側)を向く体裁面となる。したがって、一対の縦枠52,53の内面52b,53bは、エレベーターの乗場側に向かうにつれて乗場出入口を広げるように傾斜している。
【0020】
[エレベーター三方枠の組立治具の構成]
次に、エレベーター三方枠の組立治具の構成について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の斜視図である。図3は、エレベーター三方枠の組立治具における角度調整部材の斜視図である。
【0021】
第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、上枠51と縦枠52の位置決めを行う組立治具本体1(図2参照)と、上枠51と縦枠53の位置決めを行う組立治具本体と、角度調整部材2(図3参照)とを備えている。上枠51と縦枠53の位置決めを行う組立治具本体は、組立治具本体1と左右対称に形成されている。ここでは、組立治具本体1と角度調整部材2の構成について説明し、上枠51と縦枠53の位置決めを行う組立治具本体の説明を省略する。
【0022】
図2に示すように、組立治具本体1は、ベース部11と、角外面係合部12と、角内面係合部13とを備える。組立治具本体1は、例えば、エンジニアリングプラスチックなどの樹脂を素材としている。なお、本発明に係る組立治具の素材としては、樹脂に限定されず、例えば、エラストマー、ゴム材、金属を採用してもよい。
【0023】
ベース部11は、略四角形の板状に形成されている。ベース部11は、互いに対向する第1の辺11a及び第2の辺11bと、互いに対向する第3の辺11c及び第4の辺11dを有している。また、ベース部11の一方の平面は、当接面11eである。当接面11eには、上枠51及び縦枠52の奥行き方向の一端面が当接する。ベース部11の他方の平面は、例えば、エレベーター三方枠50の据付現場における床などの平面に当接する。
【0024】
角外面係合部12及び角内面係合部13は、ベース部11の当接面11eから突出している。角外面係合部12は、当接面11eを正面視した場合の形状が、略L字状に形成されている。角外面係合部12は、上枠51と縦枠52によって形成されるエレベーター三方枠50の角部における外面(外面51a及び外面52a)に係合する。
【0025】
角外面係合部12は、上枠係合片14と、縦枠係合片15とを有している。上枠係合片14は、ベース部11の第1の辺11aに沿って延びる略直方体状に形成されている。上枠係合片14は、上枠係合面14aを有している。上枠係合面14aは、ベース部11の当接面11eに略垂直な平面であり、角内面係合部13と所定の距離を空けて対向する。上枠係合面14aは、上枠51の外面51a(図1参照)と係合する。
【0026】
上枠係合片14には、切欠き17が形成されている。切欠き17は、上枠係合片14における縦枠係合片15側の大半を切り欠いている。切欠き17は、上枠係合片14と重なる位置にある上枠51と縦枠52のねじ締結部を露出させる。
【0027】
縦枠係合片15は、ベース部11の第3の辺11cに沿って延びる略直方体状に形成されている。縦枠係合片15は、縦枠係合面15aを有している。縦枠係合面15aは、ベース部11の当接面11e及び上枠係合片14の上枠係合面14aに略垂直な平面であり、角内面係合部13と特定の距離を空けて対向する。縦枠係合面15aは、縦枠52の外面52a(図1参照)と係合する。
【0028】
角内面係合部13は、当接面11eを正面視した場合の形状が、略四角形に形成されている。角内面係合部13は、上枠51と縦枠52によって形成されるエレベーター三方枠50の角部における内面(内面51b及び内面52b)と係合する。すなわち、上枠51は、上枠係合片14と角内面係合部13との間に挿入される。また、縦枠52は、縦枠係合片15と角内面係合部13との間に挿入される。
【0029】
角内面係合部13は、上枠係合面13aと、縦枠係合面13bとを有している。上枠係合面13aは、上枠係合片14の上枠係合面14aに略平行な平面であり、上枠係合面14aと所定の距離を空けて対向する。上枠係合面13aは、上枠51の内面51b(図1参照)と係合する。角内面係合部13と上枠係合片14は、上枠51を挟んで自立させる。このとき、上枠51における奥行き方向の一端面は、ベース部11の当接面11eに当接する。
【0030】
縦枠係合面13bは、縦枠係合面15aと特定の距離を空けて対向する。縦枠係合面13bは、当接面11eから離れるにつれて縦枠係合片15(縦枠係合面15a)との間の距離を広げるように傾斜する傾斜面である。縦枠係合面13bは、後述する角度調整部材2を介して縦枠52の内面52b(図1参照)と係合する。
【0031】
縦枠52における内面52b(図1参照)の傾斜角度は、据え付けるエレベーターの乗場出入口の仕様に応じて異なる。そのため、本実施形態では、角度調整部材2を用いて、縦枠52の内面52bの傾斜に応じた係合面を形成する。
【0032】
図3に示すように、角度調整部材2は、楔形の部材である。角度調整部材2は、第1係合面2aと、第2係合面2bとを有している。第1係合面2aと第2係合面2bは、角度調整部材2の先端となる鋭角部を形成している。第1係合面2aは、縦枠52の内面52bに接触する。また、第2係合面2bは、角内面係合部13の縦枠係合面13bに接触する。
【0033】
縦枠52の内面52bと角内面係合部13の縦枠係合面13bとの間に角度調整部材2を挿入すると、角度調整部材2は、縦枠52を縦枠係合片15側に押圧する。これにより、縦枠52の外面51aが縦枠係合片15の縦枠係合面15aに係合する。その結果、縦枠52が位置決めされる。また、角度調整部材2と縦枠係合片15は、縦枠52を挟んで自立させる。このとき、縦枠52における奥行き方向の一端面は、ベース部11の当接面11eに当接する。
【0034】
なお、エレベーターの乗場出入口の仕様に応じた組立治具本体1をそれぞれ製造する場合は、縦枠係合面13bの傾斜角度を、縦枠52の内面52bの傾斜角度と同じにする。この場合は、角度調整部材2が不要である。また、エレベーターの乗場出入口の仕様のなかには、縦枠52の内面52bが傾斜しないものもある。その場合の縦枠係合面13bは、傾斜せず、当接面11eに略垂直な平面に形成される。この場合も、角度調整部材2が不要である。
【0035】
[エレベーター三方枠の組立作業]
次に、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具を用いたエレベーター三方枠50の組立作業について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の使用状態をエレベーター三方枠50の外側から見た斜視図である。図5は、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の使用状態をエレベーター三方枠50の内側から見た斜視図である。
【0036】
まず、作業者は、組立治具本体1の角内面係合部13と上枠係合片14との間に上枠51を挿入する。これにより、上枠51の外面51aは、上枠係合片14の上枠係合面14aに係合する(図4参照)。また、上枠51の内面51bは、角内面係合部13の上枠係合面13aに係合する(図5参照)。そして、上枠51の奥行き方向の一端面は、ベース部11の当接面に当接し、上枠51の左右方向の一端面は、縦枠係合片15の縦枠係合面15aに当接する。その結果、上枠51は、自立した状態で位置決めされる。
【0037】
次に、作業者は、組立治具本体1の角内面係合部13と縦枠係合片15との間に縦枠52を挿入する。そして、作業者は、縦枠52の上端を縦枠52の内面52bに当接させる(図5参照)。これにより、縦枠52の外面52aは、縦枠係合片15の縦枠係合面15aと対向する。また、図5に示すように、縦枠52の内面52bは、角内面係合部13の縦枠係合面13bと対向する(図5参照)。そして、上枠51の奥行き方向の一端面は、ベース部11の当接面に当接する。
【0038】
次に、作業者は、縦枠52の内面52bと角内面係合部13の縦枠係合面13bとの間に角度調整部材2を挿入する(図5参照)。これにより、角度調整部材2の第1係合面2aは、縦枠52の内面52bに接触し、第2係合面2bは、角内面係合部13の縦枠係合面13bに接触する。そして、角度調整部材2は、縦枠52を縦枠係合片15側に押圧する。これにより、縦枠52の外面52aは、縦枠係合片15の縦枠係合面15aに係合する。その結果、縦枠52は、自立した状態で位置決めされる。
【0039】
次に、作業者は、組立治具本体1と左右対称に形成された不図示の組立治具本体を用いて、上枠51と縦枠53の位置決めを行う。これにより、縦枠53は、自立した状態で位置決めされる。
【0040】
次に、作業者は、ねじを用いて上枠51と縦枠52を締結する。このとき、切欠き17は、上枠係合片14と重なる位置にある上枠51と縦枠52のねじ締結部を露出させる(図4参照)。これにより、作業者は、上枠51と縦枠52が組立治具本体1に位置決めされた状態で全てのねじ締結部を締結することができる。また、作業者は、上枠51と縦枠53が不図示の組立治具本体に位置決めされた状態で全てのねじ締結部を締結することができる。
【0041】
また、組立治具本体1及び不図示の組立本体に位置決めされた上枠51と縦枠52,53は自立している。そのため、作業者は、例えば、上枠51と縦枠52が倒れないように体の一部を使って支える必要が無い。したがって、作業者は、上枠51と縦枠52(縦枠53)のねじ締結部が見えやすい位置で締結作業を行うことができる。
【0042】
このように、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具を用いると、エレベーター三方枠50を組み立てる際に、上枠51と縦枠52、上枠51と縦枠53の位置決めを容易に行うことができる。これにより、エレベーター三方枠50の組立作業の作業性を向上させることができる。
【0043】
また、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の組立治具本体1は、エレベーター三方枠50の角部に係合させるため、小型化を図ることができる。したがって、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具をコンパクトで持ち運びやすくすることができる。さらに、エレベーター三方枠の組立治具は、輸送するために必要なスペースを小さくすることができ、輸送コストの削減を図ることができる。
【0044】
なお、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具としては、縦枠52,53と床などの平面との間に介在させるスペーサを備えてもよい。このスペーサの高さは、組立治具本体1のベース部11と同じ高さにする。これにより、縦枠52,53を床などの平面と平行な姿勢にすることができ、さらに作業性を向上させることができる。また、スペーサを小型化するために、縦枠52,53に対してそれぞれスペーサを用意することが好ましい。
【0045】
2.第2実施形態
[エレベーター三方枠の組立治具の構成]
次に、本発明の第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の構成について、図6を参照して説明する。
図6は、第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具本体の斜視図である。なお、図6において第1実施形態と共通の構成には、同一の符号を付している。
【0046】
第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、上枠51と縦枠52の位置決めを行う組立治具本体3と、上枠51と縦枠53の位置決めを行う組立治具本体(不図示)と、角度調整部材2(図3参照)とを備えている。第2実施形態に係る上枠51と縦枠53の位置決めを行う組立治具本体は、組立治具本体3と左右対称に形成されている。ここでは、組立治具本体3の構成について説明し、第2実施形態に係る上枠51と縦枠53の位置決めを行う組立治具本体と角度調整部材2の説明を省略する。
【0047】
図6に示すように、組立治具本体3は、ベース部31と、角外面係合部32よ、角内面係合部13とを備える。角内面係合部13は、第1実施形態と同じである。組立治具本体3は、例えば、エンジニアリングプラスチックなどの樹脂を素材としている。
【0048】
ベース部31は、略四角形の板状に形成されている。ベース部31は、互いに対向する第1の辺31a及び第2の辺31bと、互いに対向する第3の辺31c及び第4の辺31dを有している。また、ベース部31の一方の平面は、当接面31eである。当接面31eには、上枠51及び縦枠52の奥行き方向の一端面が当接する。ベース部31の他方の平面は、例えば、エレベーター三方枠50の据付現場における床などの平面に当接する。
【0049】
ベース部31には、開口部37が形成されている。開口部37は、ベース部31の略中央部から第3の辺31cに達する大きさの長方形に形成されている。開口部37は、上枠51と縦枠52によって形成されるエレベーター三方枠50の角部における奥行き方向の一端面において、少なくとも上枠51と縦枠52の接触部分を露出させる。
【0050】
角外面係合部32及び角内面係合部13は、ベース部31の当接面31eから突出している。角外面係合部32は、当接面31eを正面視した場合の形状が、略L字状に形成されている。角外面係合部32は、上枠51と縦枠52によって形成されるエレベーター三方枠50の角部における外面(外面51a及び外面52a)に係合する。
【0051】
角外面係合部32は、上枠係合片14と、縦枠係合片35とを有している。上枠係合片14は、第1実施形態と同じである。縦枠係合片35は、ベース部31の第3の辺31cに沿って延びる略直方体状に形成されている。縦枠係合片35は、縦枠係合面35aを有している。縦枠係合面35aは、ベース部31の当接面31e及び上枠係合片14の上枠係合面14aに略垂直な平面であり、角内面係合部13と特定の距離を空けて対向する。縦枠係合面35aは、縦枠52の外面52a(図1参照)と係合する。
【0052】
縦枠係合片35には、開口部38が形成されている。開口部38は、ベース部31の厚み方向において、開口部37と対向する部分に位置している。開口部38は、開口部37と連通している。開口部38は、上枠51と縦枠52によって形成されるエレベーター三方枠50の角部における外面において、少なくとも上枠51と縦枠52の接触部分を露出させる。
【0053】
第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具と同様に、エレベーター三方枠50の組立作業の作業性を向上させることができる。また、第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具の組立治具本体3は、エレベーター三方枠50の角部に係合させるため、小型化を図ることができる。したがって、第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具をコンパクトで持ち運びやすくすることができる。さらに、エレベーター三方枠の組立治具を輸送するためのスペースを小さくすることができ、輸送コストの削減を図ることができる。
【0054】
また、第2実施形態に係る組立治具本体3は、ベース部31に開口部37を形成している。これにより、作業者は、開口部37に指を入れて、エレベーター三方枠50の角部における奥行き方向の一端面を触ることができる。その結果、奥行き方向の一端面における上枠51と縦枠52に段差が生じていないこと(所謂、面合せ)を確認することができる。したがって、第2実施形態に係る組立治具本体3は、エレベーター三方枠50の組立精度を高めることができる。
【0055】
また、第2実施形態に係る組立治具本体3は、縦枠係合片35に開口部38を形成している。これにより、作業者は、開口部37に指を入れて、エレベーター三方枠50の角部における外面を触ることができる。その結果、角部の外面における上枠51と縦枠52に段差が生じていないこと(所謂、面合せ)を確認することができる。したがって、第2実施形態に係る組立治具本体3は、エレベーター三方枠50の組立精度を高めることができる。
【0056】
3.まとめ
(1)以上説明したように、上述した第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、上枠51と一対の縦枠52,53とを略コ字形に連結してエレベーター三方枠50を組み立てる際に用いる。エレベーター三方枠の組立治具は、上枠51と縦枠52(53)の奥行き方向の一端面が当接する当接面11eと、当接面11eから突出した角外面係合部12及び角内面係合部13とを備える。角外面係合部12は、上枠51と縦枠52(53)によって形成される角部の外面に係合する。角内面係合部13は、上枠51と縦枠52(53)によって形成される角部の内面に係合する。
これにより、上枠51と縦枠52(53)の位置決めを容易に行うことができ、エレベーター三方枠50の組立作業の作業性を向上させることができる。また、エレベーター三方枠の組立治具は、小型化を図ることができ、コンパクトで持ち運びやすくすることができる。さらに、エレベーター三方枠の組立治具は、輸送するために必要なスペースを小さくすることができ、輸送コストの削減を図ることができる。
【0057】
(2)また、上述した第1実施形態に係る角外面係合部12と角内面係合部13は、奥行き方向の一端面を下方にした姿勢の上枠51と縦枠52(53)を自立させる。
これにより、作業者は、上枠51と縦枠52(53)の連結部が見えやすい位置で連結作業を行うことができる。
【0058】
(3)また、上述した第1実施形態に係る角外面係合部12は、上枠51と縦枠52(53)の連結部を露出させる切欠き17を有している。
これにより、作業者は、上枠51と縦枠52(53)を位置決めした状態で締結作業を最後まで行うことができる。
【0059】
(4)また、上述した第1実施形態に係る角内面係合部13は、縦枠52に対向する縦枠係合面13bを有している。縦枠係合面13bは、当接面11eから離れるにつれて角外面係合部12との間の距離を広げるように傾斜する傾斜面である。そして、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、縦枠係合面13bと縦枠52の内面52bに係合する角度調整部材2を備える。
これにより、角度調整部材2を用いて、縦枠52の内面52bの傾斜に応じた係合面を形成することができる。したがって、第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、エレベーターの乗場出入口の仕様に応じて縦枠52における内面52bの傾斜角度が異なる種々のエレベーター三方枠を組み立てる際に用いることができる。
【0060】
(5)また、上述した第1実施形態に係る第1実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、当接面11eを形成するベース部11を備える。そして、ベース部11は、一方の平面が当接面11eとなる板状に形成されている。
これにより、エレベーター三方枠の組立治具(組立治具本体)を床などの平面に置いて、上枠51と縦枠52(53)の位置決めを行うことができる。
【0061】
(6)また、上述した第2実施形態に係るベース部31は、上枠51と縦枠52(53)によって形成される角部の一端面における上枠51と縦枠52(53)の接触部分を露出させる開口部37を有する。
これにより、奥行き方向の一端面における上枠51と縦枠52(53)に段差が生じていないことを確認することができる。したがって、第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、エレベーター三方枠50の組立精度を高めることができる。
【0062】
(7)また、上述した第2実施形態に係る角外面係合部32は、上枠51と縦枠52(53)によって形成される角部の外面における上枠51と縦枠52(53)の接触部分を露出させる開口部38を有する。
これにより、角部の外面における上枠51と縦枠52(53)に段差が生じていないこと(所謂、面合せ)を確認することができる。したがって、第2実施形態に係るエレベーター三方枠の組立治具は、エレベーター三方枠50の組立精度を高めることができる。
【0063】
以上、エレベーター三方枠の組立治具の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のエレベーター三方枠の組立治具は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0064】
例えば、上述した実施形態では、ねじを用いて上枠51と縦枠52(53)を連結する構成にした。しかし、本発明に係るエレベーター三方枠は、ねじを用いた連結により組み立てられることに限定されず、例えば、カシメ固定を用いた連結により組み立てられるものであってもよい。
【0065】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,3…組立治具本体、 2…角度調整部材、 2a…第1係合面、 2b…第2係合面、 11,31…ベース部、 11a,31a…第1の辺、 11b,31b…第2の辺、 11c,31c…第3の辺、 11d,31d…第4の辺、 11e,31e…当接面、 12,32…角外面係合部、 13…角内面係合部、 14…上枠係合片、 15,35…縦枠係合片、 17…切欠き、 37,38…開口部、 50…エレベーター三方枠、 51…上枠、 52,53…縦枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6