(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175890
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】券管理サーバおよび券管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241212BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20241212BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07B15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093972
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 貴行
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA50
3E127CA02
3E127CA35
3E127CA56
3E127DA20
3E127DA30
5L049CC43
5L050CC43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大幅なシステム変更なしで他のサービス事業者でデジタル券を購入できるようにする券管理サーバ及び券管理方法を提供する。
【解決手段】改札システムにおいて、券管理サーバは、改札システム用インターフェース、通信部、記憶部及びプロセッサを有する。改札システム用インターフェースは、券管理サーバと通信する。通信部は、改札システムとは異なるサービス事業者システムのサーバと通信する。記憶部は、改札システムのサーバが発券した券の券データを記憶する。プロセッサは、サービス事業者システムのサーバからの改札システムで使用する券の発券依頼に応じて改札システムのサーバへ供給する発券要求データを生成し、改札システムのサーバが発券要求データに基づいて発券した券の券データを記憶部に保存し、サービス事業者システムのサーバからの記憶部に券データを保存した券の表示要求に応じてデジタル券として表示すべき券面データを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札システムのサーバと通信するための改札システム用インターフェースと、
前記改札システムとは異なるサービス事業者システムのサーバと通信する通信部と、
前記サーバが発券した券の券データを記憶する記憶部と、
前記サービス事業者システムのサーバからの前記改札システムで使用する券の発券依頼に応じて前記改札システムのサーバへ供給する発券要求データを生成し、前記改札システムのサーバが前記発券要求データに基づいて発券した券の券データを前記記憶部に保存し、前記サービス事業者システムのサーバからの前記記憶部に券データを保存した券の表示要求に応じてデジタル券として表示すべき券面データを提供するプロセッサと、
を有する券管理サーバ。
【請求項2】
前記改札システム用インターフェースは、前記改札システムのサーバに券売機として接続するためのインターフェースであり、
前記プロセッサは、前記改札システムのサーバが発券した券の券データとして前記改札システムにおける券売機が乗車券媒体の券面に印刷する画像データを含むデータを取得し、前記記憶部に券データとして前記画像データを表示する券面データを保存する、
請求項1に記載の券管理サーバ。
【請求項3】
前記改札システム用インターフェースは、前記改札システムのサーバにWebサーバとして接続するためのインターフェースであり、
前記プロセッサは、前記サービス事業者システムから券の表示要求を受けると、表示要求されたデジタル券として表示すべき券面データの生成を前記改札システムのサーバに要求し、前記改札システムのサーバが生成した券面データを前記サービス事業者システムに提供する、
請求項1に記載の券管理サーバ。
【請求項4】
前記デジタル券として表示すべき券面データは、前記改札システムのサーバが発券した券のアカウントを含む情報をコード化したコード画像を含む券面の表示データである、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の券管理サーバ。
【請求項5】
改札システムのサーバと前記改札システムとは異なるサービス事業者システムのサーバと通信接続するサーバによる券管理方法であって、
前記サービス事業者システムのサーバからの前記改札システムで使用する券の発券依頼を受信し、
前記発券依頼に応じて前記改札システムのサーバへ供給する発券要求データを生成し、
前記発券要求データを前記改札システムのサーバへ送信し、
前記改札システムのサーバが前記発券要求データに基づいて発券した券の券データを受信し、
前記改札システムのサーバが前記発券要求データに基づいて発券した券の券データを記憶部に保存し、
前記サービス事業者システムのサーバから前記記憶部に券データを保存した券の表示要求を受信し、
前記サービス事業者システムのサーバからの表示要求に応じてデジタル券として表示すべき券面データを提供する、
券管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、券管理サーバおよび券管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道などの交通機関では、改札機などの端末装置によって利用者が提示する媒体から読み取るチケット情報をサーバが取得し、サーバで入出場判定などの処理結果を端末装置へ返すことで駅務処理を実施する駅務システムが提案されている。このような駅務システムは、ABT(アカウントベースドチケッティング)システムとも呼ばれる。
【0003】
ABTシステムは、アカウント(ID)に対応づけた乗車券情報をサーバで管理し、サーバに接続した改札機などの端末装置がアカウントを含む情報を読み取れる二次元コードなどのデジタル券を発行する。デジタル券としての二次元コードは、紙媒体に印刷したものだけでなく、携帯端末などのユーザ端末の表示画面に表示することで利用可能とする。ユーザ端末で表示するデジタル券は、オンラインで発行するようにできるため、ABTシステムを運用する事業者だけでなく、多様なサービス事業者が発行するようにできる。
【0004】
しかしながら、従来のABTシステムは、他の事業者でデジタル券を発行させるに、他のサービス事業者のシステムと接続するための専用のインターフェースを設けるなどの大幅なシステム変更が必要である。他のサービス事業者がデジタル券を発行できるようにすることは、利便性を向上できるだけでなく、ABTシステムを運用する交通事業者やサービス事業者の事業拡大につながる。このため、大幅なシステム変更なしで、既存のABTシステムでのデジタル券の発行を含むサービスを他のサービス事業者が提供できるようにすることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、大幅なシステム変更なしで他のサービス事業者でデジタル券を購入できるようにする券管理サーバおよび券管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、券管理サーバは、改札システム用インターフェースと通信部と記憶部とプロセッサとを有する。改札システム用インターフェースは、改札システムのサーバと通信する。通信部は、改札システムとは異なるサービス事業者システムのサーバと通信する。記憶部は、改札システムのサーバが発券した券の券データを記憶する。プロセッサは、サービス事業者システムのサーバからの改札システムで使用する券の発券依頼に応じて改札システムのサーバへ供給する発券要求データを生成し、改札システムのサーバが発券要求データに基づいて発券した券の券データを記憶部に保存し、サービス事業者システムのサーバからの記憶部に券データを保存した券の表示要求に応じてデジタル券として表示すべき券面データを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る券管理サーバを有するデジタル券システムの構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る券管理サーバにおける構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る券管理サーバを有するデジタル券システムにおけるデジタル券の発券処理の動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る券管理サーバを有するデジタル券システムにおけるデジタル券を表示する動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る券管理サーバを有するデジタル券システムにおける動的なコード画像のデジタル券を表示する動作例を説明するためのシーケンスである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る券管理サーバを有するデジタル券システムにおけるデジタル券に係る実績情報の処理例を説明するためのシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、実施形態に係る券管理サーバ7を有するデジタル券システムの構成について説明する。
図1は、実施形態に係る券管理サーバ7を含むデジタル券システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、デジタル券システムは、改札(駅務)システムとしてのABTシステム1、券管理サーバ7、および、各サービス事業者システム6(6A、6B、6C)により構成される。
【0010】
ABTシステム1は、特定の交通事業者によって運用されるものとする。ABTシステム1は、アカウント(ID)に対応づけた利用情報(乗車券情報)をABTサーバ2で管理し、アカウントを特定するためのデジタル券を発券する。デジタル券は、アカウント(ID)を含む券データとして提供され、券データを取得したユーザ端末から改札機3が読み取れるものであれば良い。例えば、デジタル券は、アカウントを含むデータをコード化した二次元コードなどのコード画像である。以下の実施形態では、デジタル券は、コード画像として提供され、利用者が携帯するユーザ端末の表示部にコード画像が表示されるものとして説明する。
【0011】
券管理サーバ7は、ABTシステム1のABTサーバ2と各サービス事業者システム6(6A、6B、6C)との間に設けられる。すなわち、券管理サーバ7は、ABTサーバ2と通信する機能と各サービス事業者システム6のサーバと通信する機能とを有する。券管理サーバ7は、各サービス事業者システム6からの依頼に応じてABTシステム1にデジタル券を発行させる機能とABTシステムに発行させたデジタル券の券データを管理してサービス事業者に提供する機能とを有する。
【0012】
例えば、券管理サーバ7は、各サービス事業者システム6からABTシステム1のデジタル券の発券依頼を受け付けて、ABTサーバ2に発券要求を送る。券管理サーバ7は、各サービス事業者システム6からの依頼でABTサーバ2に発行させた券に関する券データを保存する。券管理サーバ7は、各サービス事業者システム6から発行済みの券の表示要求を受信すると、保存している券データからデジタル券としての券面画像を表示させるための券面データをサービス事業者システム6へ供給する。
【0013】
各サービス事業者システム6(6A、6B、6C)は、ABTシステム1とは別のシステムである。各サービス事業者システム6は、それぞれがABTシステム1を運用する交通事業者とは異なる事業者(サービス事業者)が運用するシステムであるものとする。例えば、サービス事業者は、ABTシステム1の交通事業者とは異なる交通事業者を含んでも良いし、交通事業者以外の事業者を含んでも良い。また、交通事業者以外の事業者(サービス事業者)としては、例えば、旅行代理店、観光施設、飲食店、遊戯施設等を運営する事業者が想定される。
【0014】
各サービス事業者システム6は、それぞれが1又は複数のサーバを有し、利用者向けのサービスを提供する。サービス事業者システム6は、ユーザ端末でログインする利用者に対してサービスの販売などを提供する、本実施形態において、サービス事業者システム6は、ABTシステム1で利用するデジタル券の販売を含むサービスを提供するものとする。例えば、サービス事業者システム6は、インターネット上において自事業者が提供するサービスとセットでABTシステム1のデジタル券を利用者に販売することなどが想定される。
【0015】
サービス事業者システム6は、券管理サーバ7と通信する。サービス事業者システム6は、券管理サーバ7を介してABTシステム1で利用するデジタル券(ABTサーバ2が発券するデジタル券)を利用者に販売する。また、サービス事業者システム6は、券管理サーバ7を介して利用者に販売した発券済みのデジタル券の券面データを券管理サーバ7から取得し、券管理サーバ7から取得した券面データをデジタル券として利用者(購入者)のユーザ端末に表示させる機能を有する。
【0016】
図1に示す構成例において、ABTシステム1は、ABTサーバ2、改札機3、券売機4、券売用Webサーバ5などにより構成される。
ABTサーバ2は、発券したデジタル券のアカウント(ID)ごとに乗車券情報(利用情報)を管理する。ABTサーバ2は、デジタル券の乗車券情報として、有効期間および有効区間などのデジタル券の有効性を示す情報、および、利用状況を示す情報(入出場情報など)を管理する。例えば、ABTサーバ2は、改札機3がデジタル券から読み取った情報を受信した場合、デジタル券から読み取った情報に含まれるアカウントに対応する乗車券情報に基づいて改札機3における利用者の通行(改札)の可否を判定し、その判定結果を改札機3へ供給する。
【0017】
改札機3は、利用者が提示する券(デジタル券)に基づいて当該利用者の通行(改札)を制御する。改札機3は、例えば、駅の改札口に設けられ、利用者に対する改札(駅構内への入場又は駅構外への出場)業務などの改札処理を行う。改札機3は、入場用の通路又は出場用の通路を形成し、通路を通行する利用者が提示するチケットとしての乗車券に応じた通行制御を実行する。
【0018】
改札機3は、利用者が所持するユーザ端末の表示部などに表示したデジタル券としてのコード画像を読み取る機能を有する。改札機3は、利用者が提示したデジタル券としてのコード画像から読み取った情報をABTサーバ2へ送信する。改札機3は、デジタル券から読み取った情報をABTサーバ2へ送信した後、ABTサーバ2からデジタル券に対する通行可否の判定結果を受信し、ABTサーバ2から受信した通行可否の判定結果に応じて利用者の通行(改札)を制御する。
【0019】
また、ABTサーバ2は、券売機4又は券売用Webサーバ5から受信する発券要求データに応じて券を発券し、発券した券のアカウントに対応づけた乗車券情報を保存および管理する。例えば、ABTサーバ2は、発券要求データによって発券要求された券の決済完了を確認した後、発券する券のアカウント(ID)を発行し、発行したアカウントに対応づけて乗車券情報を記憶装置に設けたデータベースに登録する。また、ABTサーバ2は、乗車券情報を対応づけたアカウントを含む情報をコード化した改札機3で読取可能なコード画像を生成し、生成したコード画像を含む券データを券売機4又は券売用Webサーバ5へ提供する。
【0020】
券売機4は、乗車券を発券する装置である。本実施形態において、券売機4は、デジタル券として運用可能な二次元コードなどのコード画像を印刷した印刷媒体を乗車券として発券するものとする。券売機4は、専用に設計されたインターフェース(券売機用インターフェース)によってABTサーバ2に接続される。券売機4は、券売機用インターフェースを介してABTサーバ2と通信することにより乗車券を販売(発券)する。
【0021】
券売機4は、利用者の操作に応じて利用者が購入を希望する券の発券要求データを生成し、発券要求データを券売機用のインターフェースによりABTサーバ2へ送信する。また、券売機4は、発券要求データによって発券される乗車券の決済処理(料金の支払い処理)を実行する。券売機4は、決済処理が完了すると、ABTサーバ2から乗車券の券面に印刷するコード画像を含む券データを取得し、コード画像を含む券面の画像を印刷した印刷媒体としての乗車券を発券する。
【0022】
券売用Webサーバ5は、インターネットなどのネットワーク上においてABTシステム(改札システム)1で利用可能なデジタル券を販売する装置である。券売用Webサーバ5は、ABTシステム1のABTサーバ2に接続され、ABTシステム1の運用者である交通事業者に運用される。つまり、券売用Webサーバ5は、インターネット上でデジタル券を販売する券売用のサイトを提供するものであり、ABTシステム1が備える機能の1つを提供する装置である。
【0023】
券売用Webサーバ5は、専用に設計されたインターフェース(Webインターフェース)によってABTサーバ2に接続される。券売用Webサーバ5は、Webインターフェースを介してABTサーバ2と通信することによりデジタル券を販売(発券)する。
【0024】
券売用Webサーバ5は、ユーザ端末でアクセスした利用者が購入を希望する券の発券要求データを生成し、発券要求データをABTサーバ2へ送信する。券売用Webサーバ5は、発券要求データによって発券されるデジタル券の決済処理(料金の支払い処理)をオンライン決済などによって実行する。券売用Webサーバ5は、決済処理が完了すると、ABTサーバ2からデジタル券としてのコード画像を含む券データを取得し、ABTサーバ2から取得したコード画像をデジタル券の購入者である利用者のユーザ端末に提供すR。これにより、利用者は、ユーザ端末の表示部にデジタル券としてのコード画像を含む券面の画像を表示させることができる。
【0025】
次に、実施形態に係わる改札システム1におけるABTサーバ2の構成について説明する。
図2は、実施形態に係わる改札システム1におけるABTサーバ2の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、ABTサーバ2は、プロセッサ21、ROM(リード オンリ メモリ)22、RAM(ランダム アクセス メモリ)23、通信部24、記憶部25、仮想券売機インターフェース(I/F)26、および、仮想Webインターフェース27などを有する。
【0026】
プロセッサ21は、ROM22又は記憶部25などのメモリに記憶されているプログラムを実行することにより種々の処理機能を実現する。プロセッサ21は、例えば、CPUである。
【0027】
ROM22は、予めデータが記憶されている不揮発性のメモリで構成される。例えば、ROM22には、プロセッサ21により実行される制御プログラムや制御データなどが記憶されている。RAM23は、一時的にデータを記憶する揮発性メモリで構成される。例えば、RAM23は、プロセッサ21が実行する制御プログラムなどのバッファメモリとして機能する。
【0028】
記憶部25は、書き換え可能な不揮発性メモリにより構成される。記憶部25は、各種のデータを記憶する。記憶部25は、サービス事業者システム6からの依頼を受けてABTサーバ2が発券したデジタル券の券データを保存する。記憶部25が保存する券データは、デジタル券としてユーザ端末の表示部に表示させるコード画像を含む券面画像のデータ(券面データ)を含む。また、記憶部25は、サービス事業者システム6からの発券依頼に応じてABTサーバ2にデジタル券を発券させた実績に関する情報(実績情報)を保存する。例えば、記憶部25は、各サービス事業者システム6からの発券依頼に応じてABTサーバ2に発券させたデジタル券に対する決済情報をサービス事業者ごとにまとめた決済情報を含む実績情報を記憶する。
【0029】
通信部24は、ABTシステム1を運用する交通事業者とは別の事業者が運用するサービス事業者システム6(6A、6B、6C)と通信するための通信インターフェースである。通信部24は、各サービス事業者システム6が接続される広域のネットワークを介してサービス事業者システム6と通信する通信インターフェースである。
【0030】
仮想券売機インターフェース(I/F)26および仮想Webインターフェース(I/F)27は、改札システムとしてのABTシステム1のABTサーバ2と通信するための通信インターフェース(改札システム用インターフェース)である。
【0031】
仮想券売機インターフェース26は、ABTシステム1における券売機4が備えるインターフェースと同様な通信機能によってABTサーバ2と通信するインターフェース(通信機能)である。仮想券売機インターフェース26は、券売機4がABTサーバ2へ出力するデータと同等のデータを出力し、券売機4がABTサーバ2から入力するデータと同等のデータを入力するように構成したインターフェースである。すなわち、仮想券売機インターフェース26により券管理サーバ7は、ABTサーバ2に接続する仮想券売機として動作する。
【0032】
仮想Webインターフェース27は、ABTシステム1における券売用Webサーバ5がABTサーバ2と通信するためのインターフェースと同様な通信機能によってABTサーバ2と通信するインターフェース(通信機能)である。仮想Webインターフェース27は、券売用Web6がABTサーバ2へ出力するデータと同等のデータを出力し、券売用Web6がABTサーバ2から入力するデータと同等のデータを入力するように構成したインターフェースである。すなわち、仮想Webインターフェース27により券管理サーバ7は、ABTサーバ2に接続する仮想の券売用Webサーバとして動作する。
【0033】
ただし、仮想Webインターフェース27は、ABTサーバ2が券売用Webサーバ5用のインターフェースを備えていること前提する。このため、ABTシステム1がデジタル券を販売する券売用Webサーバ5を設けていない場合、仮想Webインターフェースは省略しても良い。
【0034】
本実施形態では、仮想Webインターフェース27は、デジタル券が定期的(有効期限ごと)に更新されるコード画像(動的なコード画像)とする場合に利用されるものとする。動的なコード画像とは、発行(又は表示)してから数分程度の所定の有効時間(表示有効時間)が経過するごとに更新される。すなわち、動的なコード画像のデジタル券は、表示有効時間が経過するごとに更新したコード画像をユーザ端末に提供する必要があるため、券売機4では販売されず、券売用Webサーバ5で販売される。従って、仮想Webインターフェース27は、動的なコード画像のデジタル券を発券する場合に利用される。
【0035】
次に、実施形態に係わる券管理サーバ7を含むデジタル券システムの動作について説明する。
まず、実施形態に係わる券管理サーバ7を含むデジタル券システムによってサービス事業者システム6が受け付けたデジタル券を発券する動作について説明する。
図3は、実施形態に係る券管理サーバ7がサービス事業者システム6からの依頼を受けたデジタル券を発券する動作例を説明するためのシーケンスである。
各サービス事業者システム6では、それぞれがABTシステム1のデジタル券を利用者に販売することが可能である。利用者は、自身が所持するスマートフォンなどの表示部を備える携帯端末(ユーサ端末)で使用可能なABTシステム1のデジタル券を各サービス事業者システム6で購入できる。
【0036】
サービス事業者システム6のサーバは、利用者からのABTシステム1のデジタル券の購入指示を受け付ける(ステップ11)。ここで、サービス事業者システム6のサーバは、ユーザ端末が接続可能なネットワーク上のWebサイトにおいてABTシステム1のデジタル券を販売するものとする。この場合、利用者は、サービス事業者システム6が提供するWebサイトにおいてABTシステム1のデジタル券の購入を指定する。
【0037】
利用者がサービス事業者のWebサイトでABTシステム1のデジタル券の購入を指定すると、当該サービス事業者システム6のサーバは、利用者から指定されたデジタル券を発券するための発券依頼を券管理サーバ7へ送信する(ステップST12)。発券依頼は、発券を希望するデジタル券の発券内容(例えば、利用区間、利用期間、大人/子供、座席指定など)を示す情報を含む。
【0038】
券管理サーバ7は、通信部24によりサービス事業者システム6のサーバからABTシステム1のデジタル券の発券依頼を受信する。券管理サーバ7のプロセッサ21は、サービス事業者システム6からデジタル券の発券依頼を受信すると、ABTサーバ2に対してデジタル券の発券を要求するための発券要求データを生成する(ステップST13)。発券要求データは、発券内容を示すデータである。
【0039】
ここでは、券売機4が乗車券に印刷するような固定のコード画像を表示するデジタル券の発券を要求するものとする。この場合、券管理サーバ7のプロセッサ21は、券売機4が利用者の操作指示に応じて生成するABTサーバ2への発券要求データと同様な発券要求データを生成する。券管理サーバ7のプロセッサ21は、第2の通信部としての仮想券売機インターフェース26によりABTサーバ2と通信し、発券要求データをABTサーバ2へ送信する(ステップ14)。
【0040】
なお、動的なコード画像のデジタル券を発券する場合(券売用Webサーバ5で販売するようなデジタル券を発券する場合)、券管理サーバ7のプロセッサ21は、第2の通信部としての仮想Webインターフェース27によりABTサーバ2と通信し、発券要求データをABTサーバ2へ送信するようにすれば良い。
【0041】
ABTサーバ2は、券管理サーバ7が仮想券売機インターフェースにより送信した発券要求データを受信すると、発券要求データに含まれる発券内容に基づいてデジタル券の発券受付処理を行う(ステップST15)。ABTサーバ2は、発券要求データが示す発券内容でのデジタル券が発券可能か否かをチェックし、発券可能と確認したデジタル券の料金を特定する。ABTサーバ2は、発券可能と確認したデジタル券の料金の決済を求める決済要求を券管理サーバ7へ送信する。
【0042】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、仮想券売機インターフェース26によりABTサーバ2からの決済要求を受信すると、当該デジタル券の発券依頼元であるサービス事業者システム6へデジタル券の決済要求を送信する(ステップST17)。
【0043】
サービス事業者システム6のサーバは、券管理サーバ7からの決済要求に応じて決済処理を行う(ステップST18)。例えば、サービス事業者システム6のサーバは、決済処理として、利用者との間でABTシステム1のデジタル券の料金を含む金額のオンライン決済を実行する。サービス事業者システム6のサーバは、利用者からデジタル券の料金を含む金額を受領する決済処理が完了した場合に決済完了を券管理サーバ7に通知する(ステップST19)。
【0044】
なお、決済処理および決済手順などは、特定の方法に限定されるものではない。例えば、サービス事業者システム6による決済処理は、サービス事業者が定める方法であれば良いし、ABTシステム1の交通事業者に対するデジタル券の料金の支払いは予めサービス事業者とABTシステム1の交通事業者との間で定めた方法であれば良い。ここでは、サービス事業者が利用者からデジタル券の料金を含む金額を受領する決済処理を実行し、利用者から受領した金額のうちデジタル券の料金をABTシステム1の運用者である交通事業者に納めるものとする。
【0045】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、サービス事業者システム6から決済完了の通知を受信すると(ステップST19)、当該デジタル券の決済に関する情報を記憶部25に記憶する(ステップST20)。例えば、プロセッサ21は、発券を依頼したサービス事業者、デジタル券の発券内容、および、決済内容などを対応付けた情報を記憶部25に保存する。
【0046】
また、券管理サーバ7のプロセッサ21は、サービス事業者システム6から決済完了の通知を受信すると、仮想券売機インターフェース26によりABTサーバ2へデジタル券の決済完了を通知する(ステップST21)。
【0047】
ABTサーバ2は、発券内容に対する決済完了の通知を受信すると、決済された発券内容でデジタル券を発券する発券処理を行う(ステップST22)。例えば、ABTサーバ2は、発券処理として、発券するデジタル券に対するアカウント(ID)を発行する。ABTサーバ2は、発行したデジタル券のアカウントを含む情報をコード化した二次元コードなどのコード画像を生成する。ABTサーバ2は、発行したアカウントに対応づけて、発行内容およびコード画像などの乗車券情報(利用情報)を記憶装置に保存して管理する。ABTサーバ2は、発券処理で生成したアカウントに対応する乗車券情報を記憶装置に保存すると、発券したデジタル券のコード画像を含む券データを券管理サーバ7へ送信する(ステップST23)。
【0048】
券管理サーバ7は、仮想券売機インターフェース26によりABTサーバ2が発券したデジタル券の券データを受信する。券管理サーバ7のプロセッサ21は、ABTサーバ2から発券したデジタル券の券データを受信すると、受信した券データを記憶部25に保存する(ステップST24)。例えば、プロセッサ21は、券データを識別情報に対応づけて記憶部25に保存する。券データの識別情報は、当該デジタル券のアカウントに関連する情報としても良し、アカウントとは別に発行される整理番号であっても良いし、サービス事業者システム6が指定する情報であっても良い。
【0049】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、ABTサーバ2が発券したデジタル券の券データを記憶部25に保存すると、デジタル券の発券完了をサービス事業者システム6に通知する(ステップST25)。ここで、券管理サーバ7のプロセッサ21は、発券完了通知と共に、記憶部25に保存した券データ(ABTサーバ2が発券したデジタル券)を識別する識別情報をサービス事業者システム6に通知する。
【0050】
サービス事業者システム6のサーバは、券管理サーバ7からの発券完了通知を受けた場合、発券完了を利用者に報知すると共に、デジタル券を販売した利用者(ログイン中の利用者)を示す情報と当該デジタル券の識別情報とを対応付けて記憶装置に保存する。これにより、サービス事業者システム6のサーバは、任意のタイミングで利用者が指定するデジタル券の表示要求に応じて指定されたデジタル券の券面データを券管理サーバ7から取得することができる。この結果として、利用者は、自身が所持するユーザ端末でサービス事業者システム6にログインした後、当該サービス事業者システム6で購入した券管理サーバ7で管理されるデジタル券の券面データを当該サービス事業者システム6から取得してユーザ端末の表示部に表示することができる。
【0051】
以上の動作によれば、券管理サーバは、サービス事業者システムからABTシステムで使用するデジタル券の発券依頼を受けた場合に発券依頼の内容に応じてABTサーバに送信する発券要求データを生成する。券管理サーバは、発券依頼に応じて生成した発券要求データをABTサーバへ送信し、ABTサーバが発券要求データに基づいて発券する券の券データを取得する。
【0052】
これにより、券発券サーバは、サービス事業者システムからの発券依頼に応じてABTサーバに発券させた券の券データを記憶部に保存することができる、この結果、券管理サーバは、記憶部に保存したデジタル券の券データに含まれる券面データをデジタル券の表示データとしてサービス事業者システムに提供可能となる。
【0053】
次に、実施形態に係る券管理サーバ7が管理するデジタル券をサービス事業者システム6に接続するユーザ端末に表示させる動作について説明する。
図4は、実施形態に係る券管理サーバ7がサービス事業者システム6に接続するユーザ端末にデジタル券の券面画像を表示させる動作例を説明するためのシーケンスである。
サービス事業者システム6のサーバは、デジタル券を購入した利用者のログインを受け付ける(ステップST31)。デジタル券を購入済みの利用者がユーザ端末を用いてログインすると、サービス事業者システム6のサーバは、ログインした利用者が購入済みのデジタル券(利用可能なデジタル券)から券面データの表示を要求するデジタル券の指定を受け付ける(ステップST32)。
【0054】
例えば、サービス事業者システム6のサーバは、ログインした利用者が利用可能なデジタル券をユーザ端末の表示部に表示し、表示したデジタル券から利用者が使用したい(券面表示させたい)デジタル券を選択(指定)させる。また、サービス事業者システム6のサーバは、デジタル券を指定する識別情報の入力を受け付け、ユーザ端末で入力された識別情報のデジタル券を特定するようにしても良い。
【0055】
サービス事業者システム6のサーバは、特定のデジタル券が指定されると、指定されたデジタル券の表示要求を券管理サーバ7へ送信する(ステップST33)。券の表示要求には、表示するデジタル券の識別情報(又は整理番号)などのデジタル券を指定する情報が含まれる。
【0056】
券管理サーバ7は、通信部24によりサービス事業者システム6からのデジタル券の表示要求を受信する。券管理サーバ7のプロセッサ21は、サービス事業者システム6から券の表示要求を受信すると、指定されたデジタル券の券データを記憶部25に記憶した発券済みの券データから検索する。
【0057】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、指定されたデジタル券の券データを検出すると、当該券データからデジタル券としてのコード画像を含む券面の画像を表示するための券面データを読み出す(ステップST34)。券管理サーバ7のプロセッサ21は、券面データを読み出すと、通信部24により読み出した券面データを表示要求元のサービス事業者システム6に券面データを送信する(ステップST35)。
【0058】
サービス事業者システム6のサーバは、券管理サーバ7から券面データを取得すると、取得した券面データをログインしている利用者のユーザ端末に供給する(ステップST36)。これにより、利用者は、券面データをユーザ端末の表示部に表示することでき、券面画像を表示したユーザ端末をデジタル券として使用できる。例えば、利用者は、ユーザ端末の表示部に券面データに基づく券面画像を表示した状態で改札機3に券面画像を提示する。改札機3は、デジタル券の券面としての券面画像を読み取ることによりABTシステム1での改札処理を実行する。
【0059】
以上のように、券管理サーバは、サービス事業者システムからの発券依頼に応じてABTサーバが発券したデジタル券の券データを管理する。券管理サーバは、ABTシステムのデジタル券を販売したサービス事業者システムからのデジタル券の表示要求に応じてデジタル券として表示すべき券面の画像を示す券面データをサービス事業者システムへ提供する。
【0060】
これにより、サービス事業者システムは、ABTシステムのデジタル券を販売した後にデジタル券の券データを管理する必要がなく、利用者からの要求に応じて券管理サーバから取得するデジタル券の券面データを利用者に提供することができる。また、利用者としては、サービス事業者システムでABTシステムのデジタル券を購入した後、購入済みのABTシステムのデジタル券を任意のタイミングでサービス事業者システムから取得することできる。
【0061】
次に、実施形態に係る券管理サーバ7が管理するデジタル券をサービス事業者システム6に接続するユーザ端末に表示させる第2の動作例について説明する。
図5は、実施形態に係る券管理サーバ7がサービス事業者システム6に接続するユーザ端末にデジタル券の券面画像を提供する第2の動作例を説明するためのシーケンスである。
【0062】
サービス事業者システム6のサーバは、デジタル券を購入した利用者のログインを受け付ける(ステップST41)。デジタル券を購入済みの利用者がユーザ端末を用いてログインすると、サービス事業者システム6のサーバは、ログインした利用者が購入済みのデジタル券(利用可能なデジタル券)から券面データの表示を要求するデジタル券の指定を受け付ける(ステップST42)。
【0063】
例えば、サービス事業者システム6のサーバは、ログインした利用者が利用可能なデジタル券をユーザ端末の表示部に表示し、表示したデジタル券から利用者が使用したい(券面表示させたい)デジタル券を選択(指定)させる。また、サービス事業者システム6のサーバは、デジタル券を指定する識別情報の入力を受け付け、ユーザ端末で入力された識別情報のデジタル券を特定するようにしても良い。
【0064】
サービス事業者システム6のサーバは、特定のデジタル券が指定されると、指定されたデジタル券の表示要求を券管理サーバ7へ送信する(ステップST43)。券の表示要求には、表示するデジタル券の識別情報(又は整理番号)などのデジタル券を指定する情報が含まれる。券管理サーバ7は、通信部24によりサービス事業者システム6からのデジタル券の表示要求を受信する。
【0065】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、サービス事業者システム6から券の表示要求を受信すると、指定されたデジタル券の券データを記憶部25に記憶した発券済みの券データから検索する。券管理サーバ7のプロセッサ21は、指定されたデジタル券の券データを検出した場合、指定されたデジタル券が動的なコード画像(新たに生成が必要なコード画像)を表示すべきデジタル券であるかを確認する。
【0066】
ここでは、指定された(表示要求された)デジタル券が動的なコード画像を表示するデジタル券であるものとする。なお、指定されたデジタル券が固定のコード画像である場合、券管理サーバ7のプロセッサ21は、上述した
図4に示すような動作によって券面データをサービス事業者システム6へ提供するようにすれば良い。
【0067】
表示要求されたデジタル券が動的なコード画像である場合、券管理サーバ7のプロセッサ21は、当該デジタル券として表示すべきコード画像を含む券面の表示データ(券面データ)の生成を要求する券面データの生成要求をABTサーバ2へ送信する(ステップST44)。この場合、券管理サーバ7のプロセッサ21は、仮想WebインターフェースによりABTサーバ2に接続する。これにより、券管理サーバ7は、ABTサーバ2に対して仮想的な券売用Webサーバとして動作することで、動的なコード画像のデジタル券とする券面データの生成を要求できる。
【0068】
ABTサーバ2は、券管理サーバ7からの券面データの生成要求を受けると、生成要求で指定されるデジタル券のコード画像を含む券面データを生成する(ステップST45)。例えば、ABTサーバ2は、券管理サーバ7が生成要求で指定するデジタル券のアカウントと表示有効期限とを含む情報をコード化したコード画像を生成する。ABTサーバ2は、生成要求に応じて新たな券面データを生成すると、生成した券面データを券管理サーバ7へ送信する。
【0069】
券管理サーバ7は、仮想Webインターフェース27によりABTサーバ2が生成した券面データを受信する。券管理サーバ7のプロセッサ21は、ABTサーバ2から受信した券面データを表示要求元のサービス事業者システム6に券面データを送信する(ステップST35)。
【0070】
サービス事業者システム6のサーバは、券管理サーバ7から券面データを取得すると、取得した券面データをログインしている利用者のユーザ端末に供給する(ステップST36)。これにより、利用者は、サービス事業者システム6から取得する動的なコード画像を含む券面データをユーザ端末の表示部に表示することができ、券面画像を表示したユーザ端末をデジタル券として使用できる。
【0071】
次に、実施形態に係る券管理サーバ7によるABTサーバ2に発券させたデジタル券に関する情報を集計する機能について説明する。
券管理サーバ7のプロセッサ21は、各サービス事業者システム6からの発券依頼に応じてABTサーバ2に発券させたデジタル券に関する情報を記憶部25に蓄積し、蓄積したデータを集計して各システムに提供する機能を有する。
【0072】
図6は、実施形態に係る券管理サーバ7がサービス事業者システム6に接続するユーザ端末にデジタル券の券面画像を表示させる動作例を説明するためのシーケンスである。
券管理サーバ7のプロセッサ21は、ABTサーバ2に発券させたデジタル券の発券内容、および、発券したデジタル券に対する料金の決済に関する情報などを記憶部25に蓄積する。
【0073】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、記憶部25に蓄積した情報に基づいてABTシステム1に報告する実績情報を生成する(ステップST51)。ABTサーバ2に報告する実績情報は、例えば、券管理サーバ7に接続する各サービス事業者システム6からの発券依頼に応じてABTサーバ2が発券したデジタル券に関する情報(発券内容および決済情報など)をまとめた情報である。
【0074】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、ABTシステム1に報告する実績情報を生成すると、生成した実績情報を仮想券売機インターフェース26又は仮想Webインターフェース27によりABTサーバ2へ送信する(ステップST52)。また、券管理サーバ7のプロセッサ21は、予め設定したABTシステム1への報告タイミングで生成した実績情報をABTサーバ2へ送信するようにしても良いし、管理者からの指示に応じて生成した実績情報をABTサーバへ送信するようにしても良い。
【0075】
これにより、ABTシステム1のABTサーバ2は、ABTシステム1外のサービス事業者システム6からの発券依頼によって発行したデジタル券の発券内容や決済情報などを券管理サーバ7からまとめて取得することができる。この結果、ABTシステム1の交通事業者は、自身で集計しなくても、システム外のサービス事業者からの依頼で発券した券に関する決済情報などを明確にすることができる。
【0076】
また、券管理サーバ7のプロセッサ21は、記憶部25に蓄積した情報に基づいて各サービス事業者システム6に報告する実績情報を生成する(ステップST52)。サービス事業者システム6に報告する実績情報は、例えば、自身のサービス事業者システム6が券管理サーバ7に発券依頼してABTサーバ2に発券させたデジタル券に関する情報(発券内容および決済情報など)をまとめた情報である。
【0077】
券管理サーバ7のプロセッサ21は、報告先とする特定のサービス事業者システム6の実績情報を生成すると、生成した実績情報を通信部24により報告先とするサービス事業者システム6へ送信する(ステップST52)。また、券管理サーバ7のプロセッサ21は、サービス事業者システム6ごとに予め設定した報告タイミングで生成した実績情報をサービス事業者システム6へ送信するようにしても良いし、管理者からの指示に応じて管理者が指定するサービス事業者システム6へ実績情報を送信するようにしても良い。
【0078】
これにより、各サービス事業者システム6は、自身からの依頼によって発券されたデジタル券の発券内容や決済情報などを券管理サーバ7でまとめた実績情報として取得することができる。この結果、サービス事業者システム6は、自身で集計しなくても、券管理サーバに依頼したデジタル券(利用者に販売したデジタル券)に関する決済情報などを明確にすることができる。
【0079】
以上のように、実施形態に係る券管理サーバは、サービス事業者システムからABTシステムで使用するデジタル券の発券依頼を受けた場合、発券依頼の内容に応じてABTサーバに送信する発券要求データを生成し、ABTサーバへ発券要求データを送信する。券管理サーバは、ABTサーバが発券要求データに基づいて発券する券の券データを取得し、取得した発券済みの券の券データを記憶部に保存する。券管理サーバは、サービス事業者システムからのデジタル券の表示要求に応じて、前記記憶部に記憶するデジタル券の券面データ又はABTサーバが新たに生成する券面データをサービス事業者システムへ提供する。
【0080】
これにより、既存の改札システムとしてのABTシステムが構築済みであっても、ABTシステムに大きな変更を加えることなく、券管理サーバを介してサービス事業者システムが利用者に販売するABTシステムで使用するデジタル券の発券および使用が可能となる。
【0081】
また、実施形態に係る券管理サーバは、既存の改札システムとしてのABTシステムにおける既存の券売機が備えるインターフェースと同等な通信機能を実現する仮想券売機インターフェースを備え、仮想券売機インターフェースによりサービス事業者システムからの発券依頼に応じた発券要求データをABTサーバへ送信し、ABTサーバで発券した券の券データを取得する。
【0082】
これにより、既存のABTシステムのABTサーバは、既存の券売機と同等のインターフェースによってサービス事業者システムからの発券依頼に応じた発券要求データを受信することができ、専用のインターフェースを追加したり大幅なシステム変更を行ったりすることなく、サービス事業者システムが利用者に販売する券の発券および使用が可能となる。
【0083】
また、実施形態に係る券管理サーバは、既存の改札システムとしてのABTシステムにおける既存のWebサーバが備えるインターフェースと同等な通信機能を実現する仮想webインターフェースを備え、動的なコード画像を表示するデジタル券を発券した場合には仮想Webインターフェースによりサービス事業者システムからの表示要求に応じてABTサーバに生成させたコード画像を含む券面データをサービス事業者システムに提供する。
【0084】
これにより、ABTシステムに専用のインターフェースを追加したり大幅なシステム変更を行ったりすることなく、サービス事業者システムが動的なコード画像のデジタル券も利用者に販売することができ、利用者の表示要求ごとに券管理サーバを介して新たなコード画像を含む券面データを取得して利用者にデジタル券を提供できる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…ABTシステム(改札システム)、2…ABTサーバ、3…改札機、4…券売機、5…券売用Webサーバ、6(6A、6B、6C)…サービス事業者システム、7…券管理サーバ、21…プロセッサ、24…通信部、25…記憶部、26…仮想券売機インターフェース(改札システム用インターフェース)、27…仮想Webインターフェース(改札システム用インターフェース)。