(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175893
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】リモート操作システムおよびリモート操作システムの運用方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20241212BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20241212BHJP
G06F 11/36 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F11/34 138
G06Q10/20
G06F11/36 168
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093979
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 良悟
【テーマコード(参考)】
5B042
5L049
【Fターム(参考)】
5B042GA12
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC37
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】リモート接続で手続きや作業に対するエビデンスを取得できるリモート操作システムを提供する。
【解決手段】リモート操作システムは、運用系サーバ装置と試験系サーバ装置と操作端末とを含む。運用系サーバ装置は、顧客側で運用系ソフトウェアを実行する。試験系サーバ装置は、運用系ソフトウェアのメンテナンス等のための試験系ソフトウェアを実行する。操作端末は、顧客システムにリモート接続可能で試験系ソフトウェアのメンテナンス等が可能である。試験系サーバ装置は、記憶処理部と試験系監視部と移行判定部とを備える。記憶処理部は、リモート接続を許可された操作端末で実行される試験系ソフトウェアのメンテナンス等のための操作内容を記録する。試験系監視部は、操作内容を顧客側で監視可能にする。移行判定部は、監視下でメンテナンス等された試験系ソフトウェアを運用系ソフトウェアとして運用系サーバ装置に移行するか否かを判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客側で情報処理システムの運用を可能にするための運用系ソフトウェアを実行する運用系サーバ装置と、前記運用系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための試験系ソフトウェアを実行する試験系サーバ装置と、を含む顧客システムと、前記顧客システムにリモート接続可能で前記試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修が可能な操作端末と、を含む、リモート操作システムであって、
前記試験系サーバ装置は、
リモート接続を許可された前記操作端末において実行される前記試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための操作内容を記録する記録処理部と、
前記操作内容を前記顧客側で監視可能にする試験系監視部と、
監視下でメンテナンスまたは改修された前記試験系ソフトウェアを前記運用系ソフトウェアとして前記運用系サーバ装置に移行するか否かを判定する移行判定部と、
を備える、リモート操作システム。
【請求項2】
前記運用系サーバ装置は、
前記試験系サーバ装置の記録処理部で記録した前記試験系ソフトウェアの操作内容を再生して前記運用系ソフトウェアとして前記運用系サーバ装置で実現可能とする再生部と、
前記再生の内容を前記顧客側で監視可能にする運用系監視部と、
を備える、請求項1に記載のリモート操作システム。
【請求項3】
前記試験系サーバ装置の前記記録処理部は、前記操作端末の前記操作内容を操作順に操作コマンド記録データファイルとして記憶し、
前記運用系サーバ装置の前記再生部は、前記操作コマンド記録データファイルを順次再生する、請求項2に記載のリモート操作システム。
【請求項4】
前記操作コマンド記録データファイルは、前記操作内容をコマンドラインに変換して記録する、請求項3に記載のリモート操作システム。
【請求項5】
顧客側で情報処理システムの運用を可能にするための運用系ソフトウェアを実行する運用系サーバ装置と、前記運用系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための試験系ソフトウェアを実行する試験系サーバ装置と、を含む顧客システムと、前記顧客システムにリモート接続可能で前記試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修が可能な操作端末と、を含む、リモート操作システムの運用方法であって、
前記試験系サーバ装置は、
リモート接続を許可された前記操作端末において実行される前記試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための操作内容を記録する記録処理ステップと、
前記操作内容を前記顧客側で監視可能にする試験系監視ステップと、
監視下でメンテナンスまたは改修された前記試験系ソフトウェアを前記運用系ソフトウェアとして前記運用系サーバ装置に移行するか否かを判定する移行判定ステップと、
を備える、リモート操作システムの運用方法。
【請求項6】
前記運用系サーバ装置は、
前記試験系サーバ装置の記録処理ステップで記録した前記試験系ソフトウェアの操作内容を再生して前記運用系ソフトウェアとして前記運用系サーバ装置で実現可能とする再生ステップと、
前記再生の内容を前記顧客側で監視可能にする運用系監視ステップと、
を備える、請求項5に記載のリモート操作システムの運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リモート操作システムおよびリモート操作システムの運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仕事の形態として、実際の現場に赴くことなく、遠隔地から業務を進める勤務スタイルが多くなってきている。例えば、出社することなく、自宅に設置されたパーソナルコンピュータ等を会社のシステムに接続して、デスクワークを行う在宅勤務が広く行われるようになった。また、例えば、遠隔地に設置されている設備や機器等の保守や点検等をリモートで行うサービスが実施されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-239355号公報
【特許文献2】特表2021-526250号公報
【特許文献3】特開2007-334559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顧客や扱う情報等によってはセキュリティ上の理由により容易にリモート接続(オンライン化)による作業が許可されない場合がある。そのような場合は、書面による申請手続きや申請に対する承認手続きが必要になったり、現地に赴いた上で手続きや打ち合わせや実作業等が要求されたりする場合があった。
また、ソフトウェア等のメンテナンス作業や改修作業を行う場合に、事前の試験作業やその結果に基づく移行作業を現場に赴き、顧客の立会いの下で行うことを要求される場合がある。このような場合、実質的に同じ手続きや作業を現場で複数回実施されることもあり、作業効率が悪いという問題があった。
したがって、リモート接続でメンテナンス作業や改修作業を実施する場合に、手続きや作業に対するエビデンスを容易かつ確実に取得できるようなシステムが提供できれば、リモート接続による仕事の効率化や信頼性の向上が図れて有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態にかかるリモート操作システムは、運用系サーバ装置と、試験系サーバ装置と、を含む顧客システムと、操作端末と、を含む。運用系サーバ装置は、顧客側で情報処理システムの運用を可能にするための運用系ソフトウェアを実行する。試験系サーバ装置は、運用系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための試験系ソフトウェアを実行する。操作端末は、顧客システムにリモート接続可能で試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修が可能である。そして、試験系サーバ装置は、記憶処理部と、試験系監視部と、移行判定部と、を備える。記憶処理部は、リモート接続を許可された操作端末において実行される試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための操作内容を記録する。試験系監視部は、操作内容を顧客側で監視可能にする。移行判定部は、監視下でメンテナンスまたは改修された試験系ソフトウェアを運用系ソフトウェアとして運用系サーバ装置に移行するか否かを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるリモート操作システムを示す例示的かつ模式的なイメージ図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるリモート操作システムの試験系サーバ装置の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるリモート操作システムの運用系サーバ装置の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるリモート操作システムの動作のうち、試験系リハーサルの序盤の流れを示す例示的なフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるリモート操作システムの動作のうち、試験系リハーサルの中盤の流れを示す例示的なフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるリモート操作システムの動作のうち、試験系リハーサルの終盤の流れを示す例示的なフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態にかかるリモート操作システムの動作のうち、運用系リリースの前半の流れを示す例示的なフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるリモート操作システムの動作のうち、運用系リリースの後半の流れを示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0008】
図1は、実施形態にかかるリモート操作システム10を示す例示的かつ模式的なイメージ図である。
【0009】
リモート操作システム10は、エンドユーザーとなる各事業者がインターネット経由で接続し、各事業者が一元管理している共通情報を共同利用するために、オンライン利用者情報照会システムを対象として適用できるシステムである。例えば、ETCに関連する情報を取り扱うシステム等のメンテンナンス作業や改修作業の際に適用可能である。
リモート操作システム10は、顧客サイトの機器である運用系サーバ装置14と、試験系サーバ装置12と、承認者端末16と、メーカサイトの機器である操作端末18とを、インターネット等の通信回線Cを介して接続されて構築されるシステムである。そして、リモート操作システム10は、顧客サイトの機器とメーカサイトの機器との間で相互にデータの送受を行いながら顧客サイトのシステム(例えば、顧客側の情報処理システムを運用するためのソフトウェア)のメンテナンス作業や改修作業を可能とするものである。エンドユーザーとなる各事業者がインターネット経由で接続し、一元管理している各事業者が共同利用する共通情報の照会を可能とするオンライン利用者情報照会システムを対象として適用できる。例えば、ETCに関連する情報を取り扱うECTシステム等のメンテンナンス作業や改修作業の際に適用可能である。
【0010】
顧客サイトには、試験系サーバ装置12、運用系サーバ装置14、承認者端末16等が含まれる。
【0011】
運用系サーバ装置14は、顧客が提供するサービスを運用するサーバ装置である。本システムでは、試験の対象となるサーバである。運用系サーバ装置14は、試験系サーバ装置12で実施されたリハーサルで記録された操作内容(メンテナンスや改修が行われ、不具合なく機能したソフトウェアの内容)そのものを再生(直接適用)する機能を備える。つまり、移行段階でメンテナンス内容や改修内容の修正や改ざんが実施できないようになっている。
【0012】
運用系サーバ装置14は、例えば、一般的なPC等のコンピュータ資源で構成することができる。運用系サーバ装置14は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、HDDやSSD等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
【0013】
試験系サーバ装置12は、運用系サーバ装置14の試験を行うための試験環境を構築するためのサーバである。試験系サーバ装置12は、運用系サーバ装置14からは独立しており、接続が許可されたメーカ側の操作端末18とのみ接続可能となり、ソフトウェアのメンテナンス作業や改修作業等のリハーサルを実施することができる。
【0014】
承認者端末16は、顧客サイトの利用者(顧客)が操作したり、表示内容の確認や承認等を行ったりすることが可能な端末である。承認者端末16は、例えば、一般的な据置タイプのPCやノートタイプのPC、タブレット端末等でもよい。承認者端末16は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、HDDやSSD等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
【0015】
メーカサイトには、操作端末18が含まれる。
操作端末18は、承認者端末16を操作する顧客側の担当者(承認者)の承認を得た場合のみ、試験系サーバ装置12または運用系サーバ装置14に接続可能となる。また、操作端末18は、試験系サーバ装置12に接続された場合のみ、ソフトウェアのメンテナンス作業や改修作業等のリハーサル操作が可能である。また、操作端末18は、運用系サーバ装置14に接続された場合、試験系サーバ装置12で成功したリハーサル内容と同じ内容を再生する機能のみが有効となり、メンテナンス作業や改修作業等の操作は不能となる。操作端末18は、例えば、一般的な据置タイプのPCやノートタイプのPC、タブレット端末等でもよい。操作端末18は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、HDDやSSD等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
【0016】
本実施形態において、顧客は、例えば、メーカから供給されるソフトウェアを業務ネットワーク上で運用することで、顧客の下部組織が運用する認証システムで利用する電子的な認証鍵の発行や管理等を行う。発行された認証鍵は、当該認証鍵を利用する機器(下部組織が運用する認証システムを利用する機器)を利用するために設定される個人情報(氏名、住所、生年月日、決済情報等)が紐づけられるため、管理は厳重に行われてセキュリティ性が維持される必要がある。
また、顧客が運用時に利用するソフトウェアをメンテナンスしたり改修したりする場合も同様にセキュリティ性の確保が重要になる。この場合、顧客システム(情報処理システム)の業務ネットワークにメンテナンス作業や改修作業を目的としたオンラインの接続を、顧客にスムーズに承諾してもらえるように、情報漏洩、不正利用、データ改ざん等の防止に配慮したシステムの確立が必要となる。
また、顧客が運用時に利用するソフトウェアは、例えば、試験系システムでのリハーサルを行い、不具合なく機能する場合には、運用系システムへ移行する(リリースする)ようにすることで、運用時の信頼性を高めることが望ましい。
【0017】
そこで、本実施形態のリモート操作システム10においては、各作業(操作)時のセキュリティ性の確保、エビデンスの確保がメーカ側および顧客側で容易かつ確実に実現し易いシステムを構築する。
本実施形態のリモート操作システム10の場合、例えば、試験系システムでのリハーサルにおいて実施した操作そのものを記録し、運用系システムへの移行(リリース)をリハーサルで記録した操作そのものを直接適用するようにしている。その結果、移行作業の確実性を高めると共に、リハーサルに成功した操作の記録をエビデンスとして、移行作業の信頼性を確保している。この場合、顧客に対して作業内容やその信頼性をスムーズかつ明確に説明することができる。
またリハーサル、及び移行に伴う現場作業をオンラインで実施することが、セキュリティ性、信頼性および確実性等を維持した状態で実施可能となり、作業コストの削減と現場安全性の確保、及び作業品質の向上に寄与できるようにしている。以下、本実施形態のリモート操作システム10の具体的な構成を説明する。
【0018】
図2は、実施形態にかかるリモート操作システム10の試験系サーバ装置12の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【0019】
試験系サーバ装置12は、例えば、一般的なPC(Personal Computer)等のコンピュータ資源)で構成することができる。試験系サーバ装置12は、
図2においては図示を省略しているが、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
試験系サーバ装置12は、ソフトウェアのメンテナンス作業や改修作業等のリハーサル時の作用内容としての操作コマンド記録データファイル22aや試験系操作結果データファイル22b等を記憶する試験系記憶部22を備えている。試験系記憶部22は、例えば、HDDやSSDで構成できるが、一度書き込みが完了したデータに対しては、修正や追加ができない仕様になっている。
【0020】
CPU20は、例えば、ROMやSSD等の不揮発性の記憶部にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって、試験系サーバ装置12においてソフトウェアのメンテナンス作業や改修作業等のリハーサルを行うために機能する各種モジュールを実現する。CPU20は、例えば、試験系使用申請受付部20a、試験系使用判定部20b、試験系接続処理部20c、試験系操作処理部20d、記録処理部20e、試験系操作監視部20f、試験系操作完了確認部20g、移行判定部20h等を実現することができる。
【0021】
試験系使用申請受付部20aは、メーカサイトの担当者が操作する操作端末18からオンラインで承認者端末16を介して提供される試験系サーバ装置12の使用申請を受け付ける。試験系使用申請受付部20aは、例えば、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、使用時間(開始日時/終了日時)、作業範囲(システム更新/データ更新/データ表示、他)、増加データ量(MB)等の申請情報を受け付け、試験系使用申請書ファイル等に保存する。なお、申請情報は承認者端末16の表示部にも表示される。
【0022】
試験系使用判定部20bは、申請情報に不備がないか否かのチェック処理を行い、使用判定(許可/却下)の判定を行い、許可の場合は、承認者端末16(承認者)に対して、ログインユーザIDとパスワードの発行を促す。試験系使用判定部20bは、使用判定が却下の場合、その旨を示す情報を操作端末18に送信して表示させることにより、メーカ側の担当者に再申請等を促す。
【0023】
試験系接続処理部20cは、試験系サーバ装置12の使用が許可された場合、使用が許可されたメーカ側の操作端末18に対して、試験系使用申請書ファイルおよび電子証明書を送信し、操作端末18の表示部に表示させる。この場合、操作端末18の表示部には、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、使用時間(開始日時/終了日時)、作業範囲(システム更新/データ更新/データ表示、他)、増加データ量(MB)等の申請情報の確認画面および使用判定(許可/却下)の他、許可の場合、試験系使用許可番号、ログインユーザID、パスワード等が表示される。そして、試験系接続処理部20cは、試験系サーバ装置12の使用が許可されている場合で、操作端末18から、試験系使用許可番号、ログインユーザID、パスワード等の入力が確認できた場合、操作端末18から試験系システムへの端末エミュレータによる接続を受け付ける。つまり、操作端末18と試験系サーバ装置12とのオンライン接続を可能にする。
【0024】
試験系操作処理部20dは、メーカ側の担当者の端末エミュレータの操作を受付けるとともに、端末エミュレータにおける操作コマンド記録の開始指示を記録処理部20eに対して行う。
【0025】
記録処理部20eは、操作コマンド記録の開始指示を取得すると、端末エミュレータ上で操作した一挙動毎のマウス操作、及びキー操作を、操作順にコマンドラインに変換し、記録開始日時のデータと共に試験系記憶部22の操作コマンド記録データファイル22aに出力する。この記憶処理は、コマンド記録の終了指示が行われるまで繰り返し実行される。つまり、記録処理部20eは、リモート接続を許可された操作端末18において実行される試験系ソフトウェアのメンテナンスまたは改修のための操作内容を逐次記録する。また、記録処理部20eは、操作コマンド記録をコマンドラインに変換して記憶することにより、操作内容を監視したり、確認したりする際の理解の容易性向上に寄与することができる。
【0026】
試験系操作監視部20fは、記録処理部20eによる操作コマンド記録データファイル22aの出力と平行して、操作結果をログ出力する。例えば、試験系記憶部22の試験系操作結果データファイル22bに操作結果の履歴を保存する。また、試験系操作監視部20fは、操作結果の履歴をリアルタイムで顧客サイトの担当者が視認できる画面(例えば、承認者端末16の表示部)に表示させ、メーカ側の担当者と顧客側の担当者とが操作結果、操作内容を共有することで相互監視できるようにする。これにより、例えば、メーカ側の担当者により不正な操作が行われた場合は、顧客側の担当者は、メーカの操作を緊急中断することが可能になる。また、メーカ側の担当者も操作に失敗した場合などは中断して、操作を最初からやり直すことが可能である。
【0027】
試験系操作完了確認部20gは、メーカ側の担当者が操作端末18からコマンド記録の終了指示を入力した場合、その操作を受付け、操作コマンド記録データファイル22aへの出力を終了させる。その結果、操作コマンド記録データファイル22aはクローズされ、記録完了の日時データと共に保存される。つまり、以降の記録内容の変更が不可となる。また、試験系操作完了確認部20gは、同時に試験系サーバ装置12の作業が完了したことを顧客サイトの操作端末18に送信し、担当者に通知する。
【0028】
移行判定部20hは、試験系操作監視部20fによる監視結果と操作コマンド記録データファイル22aへの保存結果、及び必要に応じて操作コマンド記録データファイル22aの再生結果等を承認者端末16に表示させる。また、移行判定部20hは、所定のチェック項目の確認を行い、承認者端末16(承認者)に対して、メーカ側の担当者の操作に基づくリハーサルの結果が運用系サーバ装置14で運用可能かを判定することを促す。この場合、各結果は、承認者端末16の表示部に表示されているため、顧客側の担当者により並行確認も可能となる。移行判定部20hは、当該移行判定部20h(および顧客側の担当者)により試験系システム(試験系サーバ装置12)で実施した操作を運用系システム(運用系サーバ装置14)でリリースしても問題ないか否かの移行判定(許可/却下)を承認者端末16(承認者)に促す。移行判定が却下の場合、例えば、移行のための所定の条件を満たしていな場合、運用系システム(運用系サーバ装置14)の使用申請に進めず、承認者端末16は、メーカ側の操作端末18(担当者)に対して、顧客側の担当者の指示待ちとなることを通知する。一方、移行判定が許可の場合、運用系システム(運用系サーバ装置14)の使用申請が可能となり、その旨をメーカ側の操作端末18(担当者)に通知する。
【0029】
図3は、実施形態にかかるリモート操作システム10の運用系サーバ装置14の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【0030】
運用系サーバ装置14は、例えば、一般的なPC等のコンピュータ資源で構成することができる。運用系サーバ装置14は、
図3では図示を省略しているが、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、HDDやSSD等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
【0031】
なお、
図3において、運用系サーバ装置14は、試験系サーバ装置12で実行され記憶された操作コマンド記録データファイル22aを運用系サーバ装置14で再生した場合の結果を履歴として残す、運用系操作結果データファイル26aを記録する運用系記憶部26を備えている。運用系記憶部26は、例えば、HDDやSSDで構成できるが、一度書き込みが完了したデータに対しては、修正や追加ができない仕様になっている。
【0032】
CPU24は、例えば、ROMやSSD等の不揮発性の記憶部にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって、運用系サーバ装置14でメンテナンスまたは改修等されたソフトウェアをリリースするために機能する各種モジュールを実現する。つまり、試験系サーバ装置12で行われたリハーサル(ソフトウェアのメンテナンス作業や改修作業等のリハーサル)における成功結果の内容をそのままの状態で、運用系サーバ装置14において再現するためのモジュールを実現する。CPU24は、例えば、運用系使用申請受付部24a、運用系使用判定部24b、運用系接続処理部24c、運用系操作処理部24d、再生部24e、運用系操作監視部24f、運用系操作完了確認部24g等を実現することができる。
【0033】
運用系使用申請受付部24aは、メーカサイトの担当者が操作する操作端末18からオンラインで承認者端末16を介して提供される運用系サーバ装置14の使用申請を受け付ける。運用系使用申請受付部24aは、試験系サーバ装置12の移行判定部20hで移行判定が許可された場合に、当該移行申請が許可された操作端末18(メーカ側の操作者)に対して使用申請を受け付け可能となる。運用系使用申請受付部24aは、例えば、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、使用時間(開始日時/終了日時)、作業範囲(システム更新/データ更新/データ表示、他)、増加データ量(MB)、移行判定結果、移行許可番号等の申請情報を受け付け、運用系使用申請書ファイル等に保存する。また、その申請情報を承認者端末16の表示部に表示させる。
【0034】
運用系使用判定部24bは、申請情報に不備がないか否かのチェック処理を行い、使用判定(許可/却下)の判定を行い、許可の場合は、承認者端末16(承認者)に対して、ログインユーザIDとパスワードの発行を促す。この場合、パスワードは、試験系サーバ装置12で発行されたパスワードとは異なるパスワードとしてもよい。運用系使用判定部24bは、移行判定が却下の場合、その旨を示す情報を操作端末18に送信して表示させることにより、メーカ側の担当者に再申請等を促す。
【0035】
運用系接続処理部24cは、運用系サーバ装置14の使用が許可された場合、使用が許可されたメーカ側の操作端末18に対して、運用系使用申請書ファイルおよび電子証明書を送信し、操作端末18の表示部に表示させる。この場合、操作端末18の表示部には、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、使用時間(開始日時/終了日時)、作業範囲(システム更新/データ更新/データ表示、他)、増加データ量(MB)等の申請情報の確認画面および使用判定(許可/却下)の他、許可の場合、移行許可番号、ログインユーザID、パスワード等が表示される。そして、運用系接続処理部24cは、運用系サーバ装置14の使用が許可されている場合で、操作端末18から、移行許可番号、ログインユーザID、パスワード等の入力が確認できた場合、操作端末18から運用系システムへの端末エミュレータによる接続を受け付ける。つまり、操作端末18と運用系サーバ装置14とのオンライン接続を可能にする。
【0036】
運用系操作処理部24dは、メーカ側の担当者の端末エミュレータの操作を受付けるとともに、端末エミュレータにおける操作コマンド記録の再生指示を再生部24eに対して行う。なお、運用系サーバ装置14において、メーカ側の担当者からは再生指示以外の操作は行えないものとする。但し、動作に異常が発生した場合などは中断をすることが可能である。
【0037】
再生部24eは、操作コマンド記録の再生指示を取得すると、試験系システム(試験系サーバ装置12)の端末エミュレータ上で操作記録した一挙動毎のマウス操作、及びキー操作が、記録された順に操作コマンド記録データファイル22aから再生される。つまり、再生部24eは、試験系サーバ装置12の記録処理部20eで記録した試験系ソフトウェアの操作内容を再生して運用系ソフトウェアとして運用系サーバ装置14で実現可能とする。
【0038】
運用系操作監視部24fは、再生部24eによる操作コマンド記録データファイル22aの再生と平行して、再生結果をログ出力する。例えば、運用系記憶部26の運用系操作結果データファイル26aに再生結果の履歴を保存する。また、運用系操作監視部24fは、再生結果の履歴をリアルタイムで顧客サイトの担当者が視認できる画面(例えば、承認者端末16の表示部)に表示させ、メーカ側の担当者と顧客側の担当者とが再生結果を共有することで相互監視できるようにする。これにより、例えば、メーカ側の担当者により不正な操作が行われた場合は、顧客側の担当者は、再生操作を緊急中断することが可能になる。また、メーカ側の担当者も処理中に異常が発生した場合などは中断することが可能である。
【0039】
運用系操作完了確認部24gは、操作コマンド記録データファイル22aの再生が全て終了すると、運用系サーバ装置14に対する操作の受付を全て終了させ、運用系システム(運用系サーバ装置14)の作業完了を顧客サイトの承認者端末16の表示部等に再生完了の日時データと共に操作完了を通知する。また、運用系操作完了確認部24gは、メーカサイトの操作端末18に対して、同様に再生完了の日時データと共に操作完了を通知する。
【0040】
続いて、動作について説明する。
上述したように構成されるリモート操作システム10の処理の流れを
図4~
図8を用いて説明する。
【0041】
まず、
図4~
図6は、試験系リハーサルに関する処理を示すフローチャートである。
図4は、リモート操作システム10の動作のうち、試験系リハーサルの序盤の流れを示す例示的なフローチャートである。
【0042】
ステップS100において、メーカ側の担当者(操作端末18)は、顧客承認者(承認者端末16)へ試験系使用申請処理を行う。試験系使用申請処理では、試験系使用申請受付部20aが、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、使用時間(開始日時/終了日時)、作業範囲(システム更新/データ更新/データ表示、他)、増加データ量(MB)等の情報を申請内容として入力させることを操作端末18に促す処理を行う。この場合、試験系使用申請受付部20aは、承認者端末16に対して、申請情報の受付を行わせると共に、試験系使用申請書ファイル等の保存を行うように促す。
【0043】
続いて、ステップS102において、承認者端末16では、申請情報を表示してメーカからの試験系使用申請を顧客承認者が承認するか否かの判定ができるようにする。この場合、試験系使用判定部20bは、申請情報に不備がないか否かのチェック処理を行い、承認者端末16で承認者が容易に承認を行えるようにする。また、試験系使用判定部20bは、承認者端末16(承認者)に対して、ログインユーザID/パスワード、及び電子証明書を発行するように促す。
【0044】
そして、ステップS104において、申請情報に不備があると判定された場合(S104のNo)、つまり承認されない場合、ステップS100に戻り、試験系使用判定部20bは、承認者端末16(承認者)に対して、試験系使用申請のやり直しを促す。一方、申請情報に不備がない場合(S104のYes)、つまり承認の場合、ステップS106において、試験系使用判定部20bは、必要事項事前設定処理として、試験系サーバ装置12にログインユーザID/パスワード、及び電子証明書に関する設定を行う。
【0045】
また、試験系サーバ装置12の使用申請が承認された場合、ステップS108において、顧客サイト側から、ステップS102で発行されたログインユーザID/パスワードが通知され、試験系使用許可証明ファイルが送付される。その結果、操作端末18では、申請承認確認処理が実行され、ログインユーザID、パスワード、試験系使用許可証明ファイルの保存処理や確認処理が実行される。
【0046】
そして、ステップS110において、顧客から試験系使用申請で承認された操作端末18のみ接続可能とした電子証明書により、操作端末18に対する電子認証を行うための処理が実行される。
【0047】
続いて、ステップS112において、試験系使用判定部20bは、電子認証で操作端末18のクライアント証明書が適正なものであるか識別し、接続の許可/却下判定を行う。ステップS114において、判定の結果、却下となった場合(S114のNo)、ステップS112に戻り、確認処理を繰り返し行う。この場合、例えば、操作端末18に対して、電子証明書による電子認証の再実行を要求するようにしてもよい。
【0048】
ステップS114で電子認証が許可された場合、ステップS116において、操作端末(メーカ側の操作者)は、顧客側から試験系使用申請で承認された場合に発行される承認情報を用いて、端末エミュレータから、試験系サーバ装置12に接続する処理が実行可能となる。この場合、承認情報は、例えば、ステップS102の処理で発行されたログインユーザIDと、パスワードである。
【0049】
ステップS118において、試験系接続処理部20cは、試験系サーバ装置12に承認情報でログインし、当該試験系サーバ装置12に事前登録されたログインユーザIDとパスワードと合致するか確認する。ステップS120において合致しない場合(S120のNo)、ステップS112に戻り、確認処理を繰り返し行う。この場合、例えば、操作端末18に対して、電子証明書による電子認証の再実行を要求するようにしてもよい。
【0050】
ステップS120において合致した場合(S120のYes)、試験系接続処理部20cは、ステップS122において、操作端末18の端末エミュレータで、試験系サーバ装置12に接続し、試験系サーバ装置12が使用(操作)可能状態に移行させる処理を行う。
【0051】
続いて、
図5は、リモート操作システム10の動作のうち、試験系リハーサルの中盤の流れを説明する例示的なフローチャートである。
【0052】
ステップS124では、ステップS122で操作端末18の端末エミュレータで、試験系サーバ装置12に接続可能となると、試験系操作処理部20dは、端末エミュレータで、試験系サーバ装置12の操作コマンド記録を開始するための開始指示コマンドを入力操作する処理を実行させる。例えば、入力操作を促す画面を操作端末18の表示部に表示する。
【0053】
そして、ステップ126において、試験系操作処理部20dは、メーカ側の担当者の端末エミュレータの操作を受付けるとともに、端末エミュレータにおける操作コマンド記録の開始指示する操作コマンド開始要求コマンドを記録処理部20eにおいて実行させる。そして、記録処理部20eは、操作コマンド記録データファイルへの保存処理を開始するモードに移行する。
【0054】
ステップS128において、操作端末18では、試験系サーバ装置12が操作コマンド記録データファイルの保存モードとなり、コマンド入力の受付処理を開始する。そして、ステップS130において、試験系サーバ装置12への操作コマンドを入力処理が実行される。
【0055】
ステップS132において、試験系操作処理部20dは、操作コマンドを実行すると共に、記録処理部20eは、試験系記憶部22の操作コマンド記録データファイル22aへ操作コマンドの保存を実行する。
【0056】
ステップS134において、試験系操作監視部20fは、承認者端末16に試験系サーバ装置12からの操作コマンド実行結果を表示する処理を実行させる。また、ステップS136において、試験系操作監視部20fは、操作端末18に試験系サーバ装置12からの操作コマンド実行結果を表示する処理を実行させる。その結果、顧客サイトおよびメーカサイトにおいて、試験系サーバ装置12で実行されている操作コマンドの操作内容(登録内容)の確認、監視を相互で行うことができる。
【0057】
ステップS138では、試験系操作完了確認部20gは、操作端末18において端末エミュレータで、試験系サーバ装置12に対する操作コマンド記録が終了したか否かの確認を行わせる。例えば、操作端末18の表示部に終了したか否かの確認メッセージを表示させる。操作コマンド記録が終了していない場合(S138のNo)は、ステップS130に移行し、操作コマンドの入力処理を継続する。
【0058】
続いて、
図6は、リモート操作システム10の動作のうち、試験系リハーサルの終盤の流れを説明するための例示的なフローチャートである。
【0059】
ステップS138において、試験系サーバ装置12に対する操作コマンド記録が終了したと判定された場合(S138のYes)、ステップS140において、試験系操作完了確認部20gは、操作端末18の端末エミュレータで、試験系サーバ装置12の操作コマンド記録を終了するための入力処理を行わせる。
【0060】
そして、ステップS142において、試験系操作完了確認部20gは、操作コマンド終了要求コマンドを実行し、操作コマンド記録データファイルへの保存終了処理を実行する。つまり、以降の記録内容の変更が不可となる。なお、この場合、試験系操作完了確認部20gは、同時に試験系サーバ装置12の作業が完了したことを顧客サイトの操作端末18に送信し、担当者に通知するようにしてもよい。
【0061】
続いて、ステップS144において、移行判定部20hは、操作端末18(操作者)に対して、移行判定処理の申請画面で移行申請情報の入力を促し、顧客に対して移行判定の申請処理を行わせる。ここで、移行申請情報は、例えば、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、試験系使用許可番号、操作コマンド記録データファイル名等である。
【0062】
ステップS144で移行判定申請が行われた場合、ステップS146において、移行判定部20hは、承認者端末16に対して移行判定申請の受け付けを促し、承認者端末16(承認者)に対して、運用系サーバ装置14への移行を許可するか否かの判定を行うように促す。
【0063】
ステップS148において、移行判定が許可されない場合(S148のNo)、例えば、移行申請の内容が顧客の移行条件を満たしていない場合等である。この場合、ステップS144に戻り、移行判定部20hは、操作端末18の表示部等に再度移行申請を促すメッセージを表示するようにしてもよい。
【0064】
ステップS148において、移行判定が許可された場合(S148のYes)、ステップS150において、移行判定部20hは、運用系サーバ装置14の運用系使用申請に必要となる使用申請情報をメーカ側(操作端末18側)に通知する処理を実行させる。運用系サーバ装置14の使用申請情報としては、例えば、移行判定の結果および、移行許可番号等である。
【0065】
次に、
図7、
図8は、運用系リリースに関する処理について、説明する。
図7は、リモート操作システム10の動作のうち、運用系リリースの前半の流れを説明するための例示的なフローチャートである。
【0066】
操作端末18は、運用系サーバ装置14の使用申請情報を取得すると、ステップS152において、運用系使用申請受付部24aは、承認者端末16(顧客承認者)に対して、運用系使用申請処理を実行するように促す。運用系使用申請に必要となる情報は、例えば、申請者情報(社名・氏名・連絡先)、使用時間(開始日時/終了日時)、作業範囲(システム更新/データ更新/データ表示、他)、増加データ量(MB)、移行判定結果、移行許可番号等である。
【0067】
ステップS154において、承認者端末16は、運用系使用申請受付部24aの指示に従い使用申請情報を受付けるとともに、運用系使用判定部24bの指示により、認証処理を実行するように促される。例えば、運用系使用判定部24bは、運用系サーバ装置14を利用する条件等のチェックを行うと共に、承認者が承認に必要な情報を承認者端末16に表示させる。そして、運用系使用判定部24bは、承認者端末16(承認者)に対して、ログインユーザIDとパスワード及び電子証明書の発行を促す。
【0068】
ステップS156において、認証が許可されない場合(S156のNo)、ステップS152に移行し、運用系使用判定部24bは、操作端末18(メーカ側の操作者)に対して、運用系使用申請やり直しを促す。一方、運用系使用判定部24bは、運用系使用申請に不備がない場合(S156のYes)、つまり承認の場合、ステップS158において、運用系サーバ装置14に対してログインユーザID/パスワード、及び電子証明書に関する事前設定を行う。
【0069】
また、運用系サーバ装置14の使用申請が承認された場合、ステップS160において、顧客サイト側から、ステップS154で発行されたログインユーザID/パスワードが通知され、運用系使用許可証明ファイルが送付される。その結果、操作端末18では、例えば、ログインユーザID/パスワード、運用系使用許可証明ファイルの保存処理や確認処理が実行される。
【0070】
そして、ステップS162において、顧客から運用系使用申請で承認された操作端末18のみ接続可能とした電子証明書により、操作端末18に対する電子認証を行うための処理が実行される。
【0071】
続いて、ステップS164において、運用系使用判定部24bは、電子認証で操作端末18のクライアント証明書が適正なものであるか識別し、接続の許可/却下判定を行う。ステップS166において、判定の結果、却下となった場合(S166のNo)、ステップS164に戻り、確認処理を繰り返し行う。この場合、例えば、操作端末18に対して、電子証明書による電子認証の再実行を要求するようにしてもよい。
【0072】
ステップS166で電子認証が許可された場合、ステップS168において、操作端末(メーカ側の操作者)は、顧客側から運用系使用申請で承認された場合に発行される承認情報を用いて、端末エミュレータから、運用系サーバ装置14に接続する処理を実行可能となる。この場合、承認情報は、例えば、ステップS154の処理で発行されたログインユーザIDと、パスワードである。
【0073】
ステップS170において、運用系接続処理部24cは、運用系サーバ装置14に承認情報でログインし、当該運用系サーバ装置14に事前登録されたログインユーザIDとパスワードと合致するか確認する。
ステップS172において合致しない場合(S172のNo)、ステップS164に戻り、確認処理を繰り返し行う。この場合、例えば、操作端末18に対して、電子証明書による電子認証の再実行を要求するようにしてもよい。
【0074】
ステップS172において合致した場合(S172のYes)、ステップS174において、操作端末18の端末エミュレータで、運用系サーバ装置14に接続し、運用系サーバ装置14が使用(操作)可能状態に移行させる処理を行う。
【0075】
続いて、
図8は、リモート操作システム10の動作のうち、運用系リリースの前半の流れを説明するための例示的なフローチャートである。
運用系サーバ装置14に接続可能になったら、ステップS176において、再生部24eは、操作端末18(操作者)に対して、再生指示コマンドの入力処理を促す。つまり、操作端末18の端末エミュレータで、試験系サーバ装置12で保存された操作コマンド記録データ(試験系記憶部22の操作コマンド記録データファイル22a)を用い、操作コマンドを運用系サーバ装置14上で再生するための再生指示コマンドの入力を促す。
【0076】
ステップS178において、再生部24eは、再生指示コマンドを実行し、操作コマンド再生処理を開始する。この場合、操作コマンド入力の受付は一旦停止する。
そして、ステップS180において、操作コマンド記録データファイル22aに保存されている操作コマンドを最終行まで順次実行(再生)する。
【0077】
このとき、ステップS182において、承認者端末16では、運用系操作監視部24fの指示により、運用系サーバ装置14からの操作コマンド実行結果(再生結果)が順次表示される。
同様に、ステップS184において、操作端末18では、運用系操作監視部24fの指示により、運用系サーバ装置14からの操作コマンド実行結果(再生結果)が順次表示される。その結果、顧客サイトおよびメーカサイトにおいて、運用系サーバ装置14に実行されている操作コマンドの再生内容の確認、監視を相互で行うことができる。
【0078】
なお、ステップS186では、操作コマンドの順次実行(再生)が最終行まで実行されていない場合(S186のNo)、ステップS180の処理が継続される。一方、操作コマンドの順次実行(再生)が最終行まで実行(終了)された場合(S186のYes)、運用系操作完了確認部24gは、ステップS188において、操作コマンド再生コマンドの実行を終了する。
また、ステップS190において、運用系操作完了確認部24gは、運用系サーバ装置14での操作コマンドの再生が終了したことを承認者端末16に通知する通知処理を実行する。
同様に、ステップS192において、運用系操作完了確認部24gは、運用系サーバ装置14での操作コマンドの再生が終了したことを操作端末18に通知する通知処理を実行する。つまり、運用系サーバ装置14に対するソフトウェアのリリースが完了したことを顧客サイトおよびメーカサイトに通知し、リモート操作システム10のおける一連の処理フローを終了する。
【0079】
このように、本実施形態のリモート操作システム10によれば、試験系サーバ装置12に対する接続時には、そのときの操作コマンド(リハーサルの内容)を逐次記録し、かつ操作コマンドの内容をメーカサイトおよび顧客サイトで、リアルタイムで確認できるようにしている。また、運用系サーバ装置14に接続する際には、記録したリハーサルの内容をそのまま再生して、運用系サーバ装置14でリリースする。その結果、リモート接続でメンテナンス作業や改修作業を実施する場合に、手続きや作業に対するエビデンスを容易かつ確実に取得できる。その結果、リモート接続による各種作業のセキュリティ性を維持しつつ、スムーズに実行することができる。また、リモート接続による仕事の効率化や信頼性の向上に寄与することができる。
【0080】
本実施形態で説明したリモート操作システム10は、インターネット等の通信回線Cに接続可能であり、運用で使用する運用系システム(本番系システム)と同一構成の試験系システムを保有する環境で、運用系システムへの移行にあたって、事前に試験系システムでのリハーサルが必要とされる現場環境で活用可能である。
【0081】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
10 リモート操作システム
12 試験系サーバ装置
14 運用系サーバ装置
16 承認者端末
18 操作端末
20、24 CPU
20a 試験系使用申請受付部
20b 試験系使用判定部
20c 試験系接続処理部
20d 試験系操作処理部
20e 記録処理部
20f 試験系操作監視部
20g 試験系操作完了確認部
20h 移行判定部
22 試験系記憶部
24a 運用系使用申請受付部
24b 運用系使用判定部
24c 運用系接続処理部
24d 運用系操作処理部
24e 再生部
24f 運用系操作監視部
24g 運用系操作完了確認部
26 運用系記憶部