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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175896
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/46 20060101AFI20241212BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241212BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20241212BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241212BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241212BHJP
【FI】
G09F9/46 Z
G09F9/33
G09F9/302 C
G09F9/30 343
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093983
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】岸田 克彦
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA05
5C094AA10
5C094BA07
5C094BA25
5C094CA19
5C094CA20
5C094CA24
5C094DA12
5C094EB02
5C094FA01
5C094FA02
5C094FA04
5C094JA08
5C094JA13
5F142AA02
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD32
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】 パッシブ駆動でありながら高精細な高輝度の画像を表示可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の表示装置10は、駆動回路20と、駆動回路20によって駆動されるマイクロLEDユニットU1、U2を有する透明ディスプレイ30とを含んで構成される。マイクロLEDユニットU1は、パッシブ駆動下基板40と、パッシブ駆動下基板40上に形成された複数のデータラインと複数のスキャンラインとの各交差部に配置されたマイクロLED42とを含み、マイクロLEDユニットU2は、光透過性のパッシブ駆動上基板50と、パッシブ駆動上基板50上に形成された複数のデータラインと複数のスキャンラインとの各交差部に配置されたマイクロLED52とを含み、マイクロLED42はマイクロLED52と重ならない位置に配置される。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の基板および第2の基板を含み、
第1の基板は、2次元状に配置された複数の第1の発光部を含み、複数のデータラインの複数のスキャンラインとの各交差部に第1の発光部を配置したパッシブ駆動型の基板であり、
第2の基板は、2次元状に配置された複数の第2の発光部を含み、複数のデータラインと複数のスキャンラインとの各交差部に第2の発光素子を配置したパッシブ駆動型の光透過性の基板であり、
第2の基板が第1の基板上に積層され、第1の発光部と重ならない位置に第2の発光部が配置される、表示装置。
【請求項2】
第1の発光部は、X方向およびY方向に一定のピッチで配置され、第2の発光部は、第1の発光部に対してX方向およびY方向に1/2ピッチだけずれて配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第1の基板と第2の基板との間に透明保護部材が設けられ、第1の発光部から発光された光は、前記透明保護部材を介して第2の基板の表面から発せられる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
第2の基板の屈折率は、前記透明保護部材の屈折率よりも大きく、第1の発光部から発せられた光は、前記透明保護部材と第2の基板との屈折率差により法線方向に屈折される、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
第2の基板の裏面には、複数の第1の発光部の各々に対応する位置に凹部がそれぞれ形成され、前記凹部内に第1の発光部が収容される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
第2の基板は透明フィルム基板であり、当該透明フィルム基板は、第1の基板上の第1の発光部の表面形状に倣うように変形される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
第1および第2の発光部はそれぞれピクセル(画素)に対応し、第1および第2の発光部は、それぞれR、G、Bを発光する素子を含み、R、G、Bを発光する素子は、サブピクセルに対応する、請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された複数の発光素子を含む表示装置に関し、特にパッシブ駆動型のマイクロLED(light-emitting diode)を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオードから直接的に映像を表示することができるマイクロLEDが開発されている。マイクロLEDは、各ピクセルに対応するように二次元状に配列され、各ピクセルは、青色、緑色および赤色サブピクセルを含むように構成される。サブピクセルを二次元平面上に配列すると、各サブピクセルによって占有される面積が大きくなる。他方、限られた面積内にサブピクセルを配列すると、各サブピクセルの面積を減少させる必要があり、その結果、サブピクセルの明るさが低下してしまう。
【0003】
特許文献1のディスプレイ用LEDスタックは、第1LEDスタック、第2LEDスタック、3LEDスタックを垂直方向に積層させ、第1LEDスタックが赤色の発光ダイオードR、第2LEDスタックが緑色の発光ダイオードG、第3LEDスタックが青色の発光ダイオードBに対応し、発光ダイオードR、G、Bは、サブピクセルに対応する。図1は、ディスプレイ用LEDスタックのパッシブ駆動型の回路構成図である。第1~第3発光ダイオードR、G、Bのアノードは、データ配線Vdata1に共通に接続され、そのカソードは、スキャン配線Vscan1-1、Vscan1-2およびVscan1-3にそれぞれ接続され、同一ピクセル内の発光ダイオードR、GおよびBは、それぞれ独立して駆動される。
【0004】
特許文献2のアクティブ駆動型のマイクロLEDは、図2に示すように、基板100上に、バッファ層110を介して半導体層120を形成し、半導体層120上に、ゲート電極140、ドレイン電極160a、ソース電極160bを含む薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、平坦化層170を介してソース電極160bに接続される第1電極190を形成し、第1電極190と第2電極260との間にP-nダイオード250を含むLED200を形成する構造を開示している。
【0005】
図3は、アクティブ駆動型の回路構成図である。同図に示すように、供給電圧VddとGNDとの間にマイクロLEDと駆動トランジスタが直列に接続され、データラインとGNDとの間に制御トランジスタと蓄積キャパシタが直列に接続され、制御トランジスタのゲートが走査ラインに接続され、制御トランジスタと蓄積キャパシタとの接続ノードが駆動トランジスタのゲートに接続される。走査ラインによって制御トランジスタがオンされると、データラインからのデータ信号が駆動トランジスタのゲートに印加され、LEDは、データ信号に応じた駆動電流により発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-504752号公報
【特許文献2】米国特許第11,171,270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロLEDを用いた透明ディスプレイにおいて、高精細の画像を表示させるためアクティブ駆動が用いられている。しかし、アクティブ駆動は、基板の画素にTFT等のスイッチング素子を形成するため、マスク等の初期費用が高額となり、少量生産には不向きである。一方、パッシブ駆動は、TFT等を形成しないためマスク数が少なく、初期費用は低額である利点があるが、時分割駆動方式であるため、1フレームのうちそのラインがスキャンされている瞬間しか画素(LED)がオンしないため、画素数が増えると、単位時間当たりの画素の通電時間が短くなり、輝度が低下するという課題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決し、パッシブ駆動でありながら高精細な高輝度の画像を表示可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る表示装置は、少なくとも第1の基板および第2の基板を含み、第1の基板は、2次元状に配置された複数の第1の発光部を含み、複数のデータラインの複数のスキャンラインとの各交差部に第1の発光部を配置したパッシブ駆動型の基板であり、第2の基板は、2次元状に配置された複数の第2の発光部を含み、複数のデータラインと複数のスキャンラインとの各交差部に第2の発光素子を配置したパッシブ駆動型の光透過性の基板であり、第2の基板が第1の基板上に積層され、第1の発光部と重ならない位置に第2の発光部が配置される。
【0010】
ある態様では、第1の発光部は、X方向およびY方向に一定のピッチで配置され、第2の発光部は、第1の発光部に対してX方向およびY方向に1/2ピッチだけずれて配置される。ある態様では、第1の基板と第2の基板との間に透明保護部材が設けられ、第1の発光部から発光された光は、前記透明保護部材を介して第2の基板の表面から発せられる。ある態様では、第2の基板の屈折率は、前記透明保護部材の屈折率よりも大きく、第1の発光部から発せられた光は、前記透明保護部材と第2の基板との屈折率差により法線方向に屈折される。ある態様では、第2の基板の裏面には、複数の第1の発光部の各々に対応する位置に凹部がそれぞれ形成され、前記凹部内に第1の発光部が収容される。ある態様では、第2の基板は透明フィルム基板であり、当該透明フィルム基板は、第1の基板上の第1の発光部の表面形状に倣うように変形される。ある態様では、第1および第2の発光部はそれぞれピクセル(画素)に対応し、第1および第2の発光部は、それぞれR、G、Bを発光する素子を含み、R、G、Bを発光する素子は、サブピクセルに対応する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1の発光部が形成された第1の基板上に、第1の発光部と重ならない位置に第2の発光部が配置された第2の基板を積層するようにしたので、発光部の通電時間が短くなることによる輝度の低下を防止し、これにより高精細な表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】パッシブ駆動型の回路構成を示す図である。
図2】従来のアクティブ駆動型のマイクロLEDの断面構成を示す図である。
図3】アクティブ駆動型の回路構成を示す図である。
図4】本発明の実施例に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係るパッシブ駆動の配線図である。
図6図6(A)は、本発明の第1の実施例によるマイクロLEDユニットの概略断面図、図6(B)は、マイクロLEDユニットを積層したときのマイクロLEDの位置を表す平面透視図である。
図7】本発明の第2の実施例に係るマイクロLEDユニットの概略断面図である。
図8】本発明の第3の実施例に係るマイクロLEDユニットの概略断面図である。
図9】本発明の第4の実施例に係るマイクロLEDユニットの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の表示装置は、パッシブ駆動により発光素子(例えば、マイクロLED)を駆動して高精細な画像を表示可能な表示装置に関する。発光素子は、特に限定されないが、例えば、マイクロLEDである。以下の実施例の説明で参照される図面は、発明の理解を容易にするために誇大した表示を含んでおり、実際の製品の形状やスケールをそのまま表したものではないことに留意すべきである。
【実施例0014】
図4は、本発明の実施例に係る表示装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施例の表示装置10は、駆動回路20と、駆動回路20によって駆動される透明ディスプレイ30とを含んで構成される。透明ディスプレイ30は、後述するように2つの積層したマイクロLEDユニットU1、U2を含み、各マイクロLEDユニットU1、U2は、駆動回路20によってそれぞれ独立に駆動される。本実施例の表示装置10は、透明ディスプレイ30を2つのマイクロLEDユニットU1、U2の積層から構成することで、パッシブ駆動でありながら高精細で高輝度な表示を実現する。
【0015】
図5は、パッシブ駆動の回路構成を示す図である。マイクロLEDユニットU1とマイクロLEDユニットU2の回路構成は同じであり、図5に示すパッシブ駆動の回路構成を有する。
【0016】
マイクロLEDユニットU1/U2の各々は、行方向(X方向)に延在する複数のスキャン電極配線S1、S2、・・・、S5、S6と、列方向(Y方向)に延在する複数のデータ電極配線D1、D2、・・・、D5、D6と、スキャン電極配線とデータ電極配線との各交差部に接続されたマイクロLEDとを含む。ここでは、便宜上、6本のスキャン電極配線とデータ電極配線を例示しているが、実際には、画素数に応じた数のスキャン電極配線とデータ電極配線が形成される。
【0017】
スキャン電極配線およびデータ電極配線は、例えば、基板上に多層配線構造を用いて構成され、下層配線としてスキャン電極配線が形成され、上層配線としてデータ電極配線が形成され、下層配線と上層配線との間に絶縁層が形成される。この上下の配線層は、反対であってもよい。スキャン電極配線とデータ電極配線の交差部において、例えば、スキャン電極配線がマイクロLEDのカソード電極に電気的に接続され、データ電極配線がアノード電極に電気的に接続される。
【0018】
駆動回路20は、一定のスキャン周波数でスキャン電極配線を時分割駆動する。例えば、スキャン電極配線S1を駆動すると、スキャン電極配線S1とデータ電極配線D1、D2、・・・、D5、D6との交差部の各マイクロLEDに、データ電極配線D1、D2、・・・、D5、D6からデータ信号が印加され、このラインのマイクロLEDが点灯し、次に、スキャン電極配線S2を駆動すると、スキャン電極配線S2の交差部の各マイクロLEDに、データ電極配線D1、D2、・・・、D5、D6からデータ信号が印加され、このラインのマイクロLEDが点灯する。こうしてスキャン電極配線をS1からS6に向けて順次駆動することで、1フレームの表示が行われる。
【0019】
また、駆動回路20は、スキャン電極配線のスキャンと同期して、表示すべき画像データに応じたデータ信号(駆動電流)をデータ電極配線D1、D2、・・・、D5、D6を介してマイクロLEDに供給する。マイクロLEDは、印加されたデータ信号に応じた輝度で発光する。
【0020】
駆動回路20は、マイクロLEDユニットU1およびU2にそれぞれ接続され、マイクロLEDユニットU1およびU2をそれぞれ同時に独立して駆動することも可能であるし、マイクロLEDユニットU1およびU2の選択された一方のみを駆動することも可能である。
【0021】
図5には、1つのピクセル(画素)が1つのLEDとして例示されているが、透明ディスプレイ30がカラー画像を表示する場合には、1つのピクセルは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)を生成する3つのサブピクセルから構成される。R、G、Bのサブピクセルの構成は、特に限定されないが、例えば、赤色を発光するダイオード、緑色を発光するダイオード、青色を発光するダイオードから構成されてもよいし、あるいは、青色を発光するダイオードから赤色、緑色を生成するような蛍光フィルターを用いてR、Gの発光素子を形成するようにしてもよい。R、G、Bのサブピクセルを含む場合、パッシブ駆動は、図1に示すように、R、G、Bのサブピクセルのそれぞれに接続されたスキャン電極配線、データ電極配線を用いてR、G、Bのサブピクセルを駆動する。また、マイクロLEDは、例えば、白色光を生成する白色ダイオード、赤外線を生成する赤外線ダイオードであってもよい。
【0022】
図6は、本発明の第1の実施例に係る透明ディスプレイ30の構成を示す図であり、図6(A)は、マイクロLEDユニットU1のA-A線断面とマイクロLEDユニットU2のB-B線断面とを示し、図6(B)は、マイクロLEDユニットU1/U2が積層されたときのマイクロLEDの位置を表す平面透視図である。
【0023】
図6(A)に示すように、マイクロLEDユニットU1は、パッシブ駆動下基板40と、ここには図示しない複数のスキャン電極配線および複数のデータ電極配線と、スキャン電極配線とデータ電極配線との交差部に形成された複数のマイクロLED42と、マイクロLED42を含む基板全体を覆う透明保護剤44とを含んで構成される。パッシブ駆動下基板40は、特に限定されないが、例えば、シリコン等の半導体基板、ガラス基板などを用いて構成される。また、透明保護剤44は、特に限定されないが、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)などの材質から構成される。
【0024】
図6(B)は、2つのマイクロLEDユニットU1/U2を積層したときのマイクLEDの位置を透視した平面図であるが、マイクロLED42は、同図に示すように、基板40上に行方向および列方向にピッチP1で配置される。1つのマイクロLED42が1つのピクセル(画素)に対応し、マイクロLED42がR、G、Bのサブピクセルを含む場合には、R、G、Bのサブピクセルを含む全体が1つのピクセルであり、このピッチがP1である。
【0025】
一方、マイクロLEDユニットU2は、パッシブ駆動上基板50と、ここには図示しない複数のスキャン電極配線および複数のデータ電極配線と、スキャン電極配線とデータ電極配線との交差部に形成された複数のマイクロLED52と、マイクロLED52を含む基板全面を覆う透明保護剤54とを含んで構成される。
【0026】
マイクロLED52は、図6(B)に示すように、基板50上に行方向および列方向にピッチP2で配置され(ピッチP2=ピッチP1)、マイクロLEDユニットU1にマイクロLEDユニットU2を積層したとき、マイクロLED52がマイクロLED42から1/2ピッチP1だけずれるように、つまり千鳥状または互い違いに配置されるように、マイクロLEDユニットU2が構成される。
【0027】
パッシブ駆動上基板50は、マイクロLEDユニットU1から出射された光を透過させるため、光透過性の材料、例えば、ガラスやアクリルなどを用いて構成される。パッシブ駆動上基板50の厚さは、できるだけ薄いことが望ましく、例えば、0.2~0.3mmである。これにより、マイクロLEDユニットU2をマイクロLEDユニットU1に積層したとき、マイクロLED42の高さをマイクロLED52の高さに近づけ、両者が同層に形成されたものに近づける。
【0028】
また、パッシブ駆動上基板50とマイクロLEDユニットU1の透明保護剤44との屈折率差をできるだけ小さくすることで、積層されたマイクロLEDユニットU1、U2の透明性能を確保することが望ましい。この場合、例えば、透明保護剤44は、屈折率が約1.53の高屈折シリコーンから構成され、パッシブ駆動上基板50は、屈折率が約1.52のガラスを用いて構成される。
【0029】
さらに、パッシブ駆動上基板50上に形成されるスキャン電極配線およびデータ電極配線は、マイクロLED42から入射された光を遮蔽しないように、ITOなどの透明電極から構成するようにしてもよい。
【0030】
駆動回路20は、1フレームの表示を行うとき、マイクロLEDユニットU1をスキャン周波数F1で時分割駆動し、また、マクロLEDユニット2をスキャン周波数F2(F2=F1)で時分割駆動する。
【0031】
マイクロLEDユニットU1のマイクロLED42から出射された光は、マイクロLEDユニットU2の裏面から入射される。マイクロLED42は、マイクロLED52と重ならない位置にあるため、マイクロLED42から発せられた光は、パッシブ駆動上基板50および透明保護剤54を透過し、マイクロLEDユニットU2の表面から出射される。他方、マイクロLED52から発せられた光も透明保護剤54を介してその表面から出射される。これにより、透明ディスプレイ30は、マイクロLEDユニットU1によって生成されたフレーム画像と、マイクロLEDユニットU2によって生成されたフレーム画像とを合成したフレーム画像を表示する。
【0032】
本実施例によれば、ピクセルの位置が重ならないように2つのマイクロLEDユニットU1/U2を積層することで、事実上、ピクセル数を倍にした高精細な画像を表示することができる。また、積層したマイクロLEDユニットU1/U2をそれぞれ独立して駆動するため、単位時間当たりのピクセルの通電時間が短くなることを防止し、輝度の低下を抑制し、高輝度な画像を表示することができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例で示したマイクロLEDユニットU1/U2の積層構造において、マイクロLEDの指向性によりパッシブ駆動下基板40のマイクロLED42から発せられた光が拡散し、その拡散した光がパッシブ駆動上基板50のマイクロLED52により遮られる可能性がある。
【0034】
そこで、第2の実施例では、マイクロLEDユニットU2のパッシブ駆動上基板50の屈折率n2を、マイクロLEDユニットU1の透明保護剤44の屈折率n1よりも大きくし(n2>n1)、透明保護剤44とパッシブ駆動上基板50の境界でマイクロLED42から発せられた光を法線方向に集光するようにする。この際、透明保護剤44の厚さをできるだけ薄くすることが望ましい。
【0035】
図7は、第2の実施例を説明する図である。図7(A)に示すように、マイクロLEDユニットU1の透明保護剤44は、低屈折率の材料として低屈折シリコーン(n1=1.41)から構成され、その厚さをできるだけ薄くし、マイクロLED42からパッシブ駆動上側基板50までの距離dを小さくすることで、マイクロLED42の発光点からの拡散距離を抑える。一方、パッシブ駆動上基板50は、高屈折率材料(n2=1.71)の材料から構成する。透明保護剤44とパッシブ駆動上基板50との屈折率差により、マイクロLED42から発生られた光は、界面において法線方向に屈折される(n1×sinθ1=n2×sinθ2)。
【0036】
このように第2の実施例によれば、マイクロLED42から発せられた光を法線方向に集光させることで、マイクロLED42から入射した光がマイクロLED52によって遮蔽されるのを抑制することができ、これにより、高精細な高輝度の画像を表示させることができる。
【0037】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第1の実施例で示したマイクロLEDユニットU1/U2の積層構造において、マイクロLED42から発せられた光がパッシブ駆動上基板50で遮られるのをさらに防ぐ必要がある。
【0038】
そこで、第3の実施例は、マイクロLED42を避けるようにパッシブ駆動上基板50の裏面に凹部または窪みを加工形成し、マイクロLEDユニットU2をマイクロLEDユニットU1に積層したとき、マイクロLED42をマイクロLED52により接近させる。
【0039】
図8は、第3の実施例を説明する図である。図8(A)は、積層される前のマイクロLEDユニットU1とマイクロLEDユニットU2のそれぞれの断面を示している。マイクロLEDユニットU1では、透明保護剤として可撓性の透明フィルム46を用いて基板全面を覆う。透明フィルム46は、マイクロLED42およびパッシブ駆動下基板40の表面の凹凸を倣うような輪郭を有する。
【0040】
一方、マイクロLEDユニットU2では、パッシブ駆動上基板50の裏面に、複数の穴または凹部56が形成される。凹部56は、パッシブ駆動下基板40のマイクロLED42に対応する位置に、かつマイクLED42を概ね収容することができる形状またはサイズに加工される。
【0041】
図8(B)は、マイクロLEDユニットU1にマイクロLEDユニットU2を積層したときの断面を示している。パッシブ駆動下基板40のマイクロLED42は、透明フィルム46を介してマイクロLEDユニットU2のパッシブ駆動上基板50の裏面の凹部56内に収容され、また、パッシブ駆動下基板40のマイクロLED42が形成されていない領域は、透明フィルム46を介してパッシブ駆動上基板50の裏面に概ね接触する。
【0042】
第3の実施例によれば、マイクロLED42を凹部56内に収容させ、マイクロLED42をマイクロLED52に接近させることで、マイクロLED42から発せられた光がマイクロLED52によって遮蔽されるのを防止し、これにより、高精細な高輝度の画像な表示することができる。
【0043】
次に、本発明の第4の実施例について説明する。第4の実施例は、第3の実施例をさらに改良するものであり、パッシブ駆動上基板に透明フィルム基板を用い、パッシブ駆動下基板のマイクロLEDとパッシブ駆動上基板のマイクロLEDをほぼ同じ高さにする。
【0044】
図9は、第4の実施例を説明する図である。図9(A)に示すように、マイクロLEDユニットU1は、第3の実施例のときと同様に構成され、マイクロLED42を含むパッシブ駆動下基板40の全面が透明フィルム46によって覆われる。一方、マイクロLEDユニットU2のパッシブ駆動上基板50Aは、可撓性の透明フィルム基板から構成され、その基板上にマイクロLED52が形成される。
【0045】
図9(B)に示すように、パッシブ駆動下基板40上にパッシブ駆動上基板50Aを積層したとき、パッシブ駆動上基板50Aは、パッシブ駆動下基板40の表面のマイクロLED42の凸部に倣うように変形する。これにより、パッシブ駆動下基板40のマイクロLED42の高さは、パッシブ駆動上基板50AのマイクロLED52の高さと概ね等しくなる。
【0046】
次いで、図9(C)に示すように、マイクロLED42、52を含む基板全面に透明保護剤54が塗布される。なお、透明保護剤54は、パッシブ駆動上基板50Aに先に塗布されるようにしてもよいし、透明保護部材54を透明フィルムに置き換えるようにしてもよい。
【0047】
第4の実施例によれば、パッシブ駆動上基板50Aを可撓性の透明フィルム基板から構成し、パッシブ駆動下基板40にパッシブ駆動上基板50Aを積層したとき、パッシブ駆動上基板50Aを変形させてマイクロLED42の高さをマイクロLED52にほぼ等しくしたので、マイクロLED42から発せられた光がマイクロLED52によって遮られることが防止され、その結果、高精細な高輝度の表示を得ることができる。
【0048】
上記実施例では、2つのマイクロLEDユニットを積層する例を示したが、本発明は、これに限定されず、3つ以上のマイクロLEDユニットを積層することも可能である。例えば、3つのマイクロLEDユニットを積層させた場合には、各層のマイクロLEDが行列方向において互いに1/3ピッチだけずれるように配置される。さらに4つのマイクロLEDユニットを積層させた場合には、各層のマイクロLEDが行列方向において互いに1/4ピッチだけずれるように配置される。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
10:表示装置 10:駆動回路
30:透明ディスプレイ 40:パッシブ駆動下基板
42:マイクロLED 44:透明保護剤
50:パッシブ駆動上基板 52:マイクロLED
54:透明保護剤 56:凹部
U1、U2:マイクロLEDユニット
図1
図2
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図9