(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175903
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】高周波増幅器モジュール及び通信システム
(51)【国際特許分類】
H03F 1/26 20060101AFI20241212BHJP
H03F 3/195 20060101ALI20241212BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H03F1/26
H03F3/195
H03F3/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093994
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】若林 知敬
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC52
5J500AC54
5J500AF15
5J500AF16
5J500AM08
5J500AQ05
5J500AQ06
5J500AS13
5J500AT01
5J500RU01
(57)【要約】
【課題】信号線への影響を抑制しつつ、増幅器間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能な高周波増幅器モジュールを提供する。
【解決手段】高周波増幅器モジュール10は、複数の増幅器120を備え、高周波信号を増幅する高周波増幅器モジュール10である。高周波増幅器モジュール10は、第1増幅器120aと、第1増幅器120aの後段に位置し、第1増幅器120aで増幅された信号をさらに増幅させる第2増幅器120bとを備える。また、高周波増幅器モジュール10は、第1増幅器120aを備える第1領域と、第2増幅器120bを備える第2領域とを隔て、電磁ノイズを遮断する隔壁部200cを備える。さらに、高周波増幅器モジュール10は、隔壁部200cに設けられ、第1増幅器120a及び第2増幅器120bとそれぞれ信号線110を介して接続され、電磁ノイズを遮断する同軸コネクタ100を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の増幅器を備え、高周波信号を増幅する高周波増幅器モジュールであって、
第1増幅器と、
前記第1増幅器の後段に位置し、前記第1増幅器で増幅された信号をさらに増幅させる第2増幅器と、
前記第1増幅器を備える第1領域と、前記第2増幅器を備える第2領域とを隔て、電磁ノイズを遮断する隔壁部と、
前記隔壁部に設けられ、前記第1増幅器及び前記第2増幅器とそれぞれ信号線を介して接続され、前記電磁ノイズを遮断する同軸コネクタと、を備える高周波増幅器モジュール。
【請求項2】
前記第1領域の基板、及び前記第2領域の基板は、前記隔壁部により隔離される、請求項1に記載の高周波増幅器モジュール。
【請求項3】
前記第1領域及び前記第2領域を隔離する前記隔壁部は、上部隔壁及び下部隔壁で形成され、
前記上部隔壁及び前記下部隔壁の一方が、所定の方向に沿って凹形状部を有し、
前記上部隔壁及び前記下部隔壁の他方が、前記所定の方向に沿って凸形状部を有し、
前記上部隔壁及び前記下部隔壁が前記所定の方向に沿って、前記凹形状部及び前記凸形状部で嵌合される、請求項2に記載の高周波増幅器モジュール。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の高周波増幅器モジュールを光送信器又は光受信器の少なくとも一方に備える、通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波増幅器モジュール及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波信号を増幅させて伝送する技術が提案されている。特許文献1には、マイクロ波帯の多段アンプにおいて、各アンプからの輻射による相互干渉を軽減させる多段増幅器が開示されている。特許文献1に開示された多段増幅器は、同一面のアンプ間に内層のアース面まで貫通したスルーホールと、仕切壁をもつ金属ケースのみを追加し、同一表面上のアンプ間のシールド効果や相互干渉の軽減を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示された多段増幅器において用いられる金属ケース(金属の壁)は、電磁ノイズを遮蔽させるため基板と接するように形成されるが、金属表面のあれや基板のそりなどにより、金属ケースと基板との間に隙間を有することになる。例えば、25GHz以上の高い周波数の信号を扱うシステムにおいて、金属ケースと基板との間に隙間がある場合には、電磁ノイズの漏れが生じる。複数の増幅器を用いた場合、この漏れにより信号の出力側の増幅器で発生した電磁ノイズが入力側の増幅器の信号入力端にまわり込むと、その電磁ノイズが複数の増幅器により増幅される。この回り込む電磁ノイズの強度Pが増幅器の利得の合計Gにおいて、P×G≧1のとき、増幅されたノイズが再度出力側から入力側の増幅器にまわり込むループを繰り返すことで発振が生じるなどの問題が発生する。また、ケース間の電磁ノイズを防ぐために電波吸収シートや電波吸収インクを適用した場合、各増幅器間を接続する信号線にこれらの電波吸収材が付着することにより、信号線とGNDで短絡したり、インピーダンスが変化したりすることで信号線の特性が悪くなるという問題点が生じる。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、信号線への影響を抑制しつつ、各増幅器から放射される電磁ノイズが他の増幅器に届くことで生じる発振などの悪影響を低減させることが可能な高周波増幅器モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る高周波増幅器モジュールは、複数の増幅器を備え、高周波信号を増幅する高周波増幅器モジュールであって、第1増幅器と、第1増幅器の後段に位置し、第1増幅器で増幅された信号をさらに増幅させる第2増幅器と、第1増幅器を備える第1領域と、第2増幅器を備える第2領域とを隔て、電磁ノイズを遮断する隔壁部と、隔壁部に設けられ、第1増幅器及び第2増幅器とそれぞれ信号線を介して接続され、電磁ノイズを遮断する同軸コネクタと、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る通信システムは、上記の高周波増幅器モジュールを光送信器又は光受信器の少なくとも一方に備え、上記の高周波増幅器モジュールを光受信器に備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信号線への影響を抑制しつつ、各増幅器から放射される電磁ノイズが他の増幅器に届くことで生じる発振などの悪影響を低減させることが可能な高周波増幅器モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る高周波増幅器モジュールが適用される通信システムの構成を示す図である。
【
図2A】第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュールの構成を示す図である。
【
図2B】第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュールの基板について説明するための図である。
【
図3A】
図2AのIIIA-IIIA断面における高周波増幅器モジュールの断面図である。
【
図3B】本実施形態に係る同軸コネクタの構成について説明するための図である。
【
図4A】
図2AのIVA-IVA断面における高周波増幅器モジュールの断面図である。
【
図4B】
図2AのIVB-IVB断面における高周波増幅器モジュールの断面図である。
【
図5A】第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュールの構成を示す図である。
【
図5B】第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュールの基板について説明するための図である。
【
図6A】
図5AのVIA-VIA断面における高周波増幅器モジュールの断面図である。
【
図6B】
図5AのVIB-VIB断面における高周波増幅器モジュールの断面図である。
【
図7】第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュールについて説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係る高周波増幅器モジュールを光受信器に設けた場合の構成を示す図である。
【
図9A】
図8に示す光受信器の構成を示す上面図である。
【
図9B】
図9AのIXB-IXB断面における高周波増幅器モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0011】
図1は、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10が適用される通信システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、通信システム1は、例えば、アンテナ14から受信した信号を光信号に変換して光ファイバ13に送信する光送信器11と、光ファイバ13を介して受信した光信号を受信する光受信器12と、により構成される。
【0012】
本実施形態において高周波増幅器モジュール10は、アンテナ14を介して受信した信号を増幅し、光信号を発光するレーザ15に送るために光送信器11に備えられてもよい。また、高周波増幅器モジュール10は、光信号を受信し、フォトダイオード16(PD)で光信号から変換された電気信号を増幅するために光受信器12に備えられてもよい。
【0013】
また、本実施形態において、高周波増幅器モジュール10は、
図1に示すように、複数の増幅器120を備え、高周波信号を増幅する多段構成となっている。以降、複数の増幅器120を備える高周波増幅器モジュール10の詳細な構成について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図2Aは、第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10の構成を示す上面図である。
図2Aに示す例においては、第1増幅器120aと、第2増幅器120bとが接続される構成が模式的に示されている。第2増幅器120bは、第1増幅器120aの後段に位置し、第1増幅器120aで増幅された信号をさらに増幅させる。以降、第1増幅器120a及び第2増幅器120bのそれぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「増幅器120」と表記する。
【0015】
図2Aに示すように、第1増幅器120a及び第2増幅器120bは、それぞれ隔壁部200cにより仕切られた第1領域及び第2領域に設けられる。また、第1増幅器120a及び第2増幅器120bは、隔壁部200cに設けられた同軸コネクタ100を介して電気的に接続される。
【0016】
また、増幅器120は、基板210に設けられた信号線110を介して、信号を入力し、増幅した信号を出力する。信号線110と、同軸コネクタ100とは、同軸コネクタピン101a、101bを介して接続される。
【0017】
また、本明細書においては、
図2Aに示すように、高周波増幅器モジュール10の各領域が連接される方向(
図2Aにおける長手方向)をX軸方向とし、短手方向をY軸方向として定める。また、X軸方向及びY軸方向で形成される平面(XY平面)と垂直となる方向をZ軸方向として定める。すなわち、
図2Aに示す例においては、基板210と垂直となる方向である、図面の奥行き方向をZ軸方向として定める。
【0018】
基板210の表面及び裏面には、信号線110及びGND140が設けられる。
図2Bは、
図2Aの上面図において、増幅器120、同軸コネクタ100、隔壁部200c、電源線130、及び信号線110の表記を省略した場合の図を示す。
【0019】
本実施形態において、同軸コネクタ100は、20GHz以上の高周波に対応したSMPMやSMP等の一般的なコネクタが用いられる。また、同軸コネクタ100は、同軸コネクタ外装100a、100bで同軸コネクタジョイント100cを挟む形で構成される。なお、同軸コネクタ100の種類は本実施形態の構成を限定するものではなく、20GHz以上の高周波に対応したものであれば、例えば、SMA、SMB、MCX、MMCX等の同軸コネクタ100が適用されてもよい。
【0020】
図3Aは、
図2AのIIIA-IIIA断面における高周波増幅器モジュール10の断面図である。第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、
図3Aの上下方向(Z軸方向)に、上ケース200a及び下ケース200bで挟まれる構造となっている。また、高周波増幅器モジュール10は、X軸方向において同軸コネクタ100が設けられる位置において、Y軸方向に沿って、隔壁部200cが形成された構造となる。
【0021】
本実施形態において、上ケース200a、下ケース200b、及び隔壁部200cは、電磁ノイズを遮断する金属で形成される。以降、上ケース200a、下ケース200b、及び隔壁部200cのそれぞれを区別して説明する必要がない場合は、単に「金属ケース200」と表記する。
【0022】
また、
図3Aに示すように、基板210は、Z軸方向の下面側にGND140が形成され、上面の一部に信号線110が設けられる。さらに、下ケース200bや隔壁部200cと、同軸コネクタ100やGND140との間には、表面のあれや基板のそりが形成される。また、この表面のあれや基板のそりにより、上ケース200a、下ケース200b、又は隔壁部200cと、同軸コネクタ100やGND140との間に隙間が形成される。
【0023】
本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、この隙間に対して、電磁ノイズを除去する電波吸収シート201aや電波吸収インク201bで埋めることで、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる(
図4A参照)。また、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、同軸コネクタ100を用いることで信号線110に電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが付着するのを防ぎ、信号線110の特性低下など、信号線110への影響を抑制することが可能となる。
【0024】
図3Bは、本実施形態に係る同軸コネクタ100の構成について説明するための図である。
図3Bに示すように、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10で用いられる同軸コネクタ100は、内部に同軸コネクタジョイント内ピン102、及び同軸コネクタピン101a、101bを適用する。これにより同軸コネクタ100は、各増幅器120が備えられた領域であって、隔壁部200cで分けられた領域の間における信号のやり取りを可能とする。
【0025】
図4Aに示す図は、
図2AのIVA-IVA断面における高周波増幅器モジュール10の断面図である。
図4Aに示すように、上ケース200a及び下ケース200bと、同軸コネクタ100及びGND140との間の隙間には、電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが埋められる。これにより、高周波増幅器モジュール10は、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0026】
また、
図4Aに示すように、同軸コネクタ100を用いることで、信号線110と電気的に接続される同軸コネクタピン101に電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが付着するのを防ぐ。これにより、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、信号線110や同軸コネクタピン101の特性低下など、信号線110への影響を抑制することが可能となる。
【0027】
また、
図4Bに示す図は、
図2AのIVB-IVB断面における高周波増幅器モジュール10の断面図である。
図4Bに示すように、高周波増幅器モジュール10の同軸コネクタ100が設けられていない箇所においては、隔壁部200cにより、電磁ノイズを遮断することが可能となる。また、
図4Bに示すように、上ケース200a、下ケース200b、及び隔壁部200cと、GND140との間の隙間には、電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが埋められる。これにより、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0028】
上述の通り、第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、複数の増幅器120を備え、高周波信号を増幅する高周波増幅器モジュール10である。高周波増幅器モジュール10は、第1増幅器120aと、第1増幅器120aの後段に位置し、第1増幅器120aで増幅された信号をさらに増幅させる第2増幅器120bと、を備える。また、高周波増幅器モジュール10は、第1増幅器120aを備える第1領域と、第2増幅器120bを備える第2領域とを隔て、電磁ノイズを遮断する隔壁部200cを備える。さらに、高周波増幅器モジュール10は、隔壁部200cに設けられ、第1増幅器120a及び第2増幅器120bとそれぞれ信号線110を介して接続され、電磁ノイズを遮断する同軸コネクタ100を備える。
【0029】
これにより、第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、同軸コネクタ100部分でケースによる電磁ノイズの遮へいを行うことで、信号線110と電気的に接続される同軸コネクタピン101に電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが付着するのを防ぐことが可能となる。よって、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、信号線110を通る信号への影響を抑制することが可能となる。また、高周波増幅器モジュール10は、金属ケース200と同軸コネクタ100及びGND140との間の隙間に電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが埋められることにより、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。すなわち、第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、信号線110への影響を抑制しつつ、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0030】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、基板210やGND140を、隔壁部200c及び下ケース200bで挟んだ形態を例示した。ここではさらに、増幅器120が設けられる各領域の基板210が隔離される構成で形成される第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0031】
図5Aは、第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10の構成を示す上面図である。なお、
図5Aに示す上面図は、
図2Aに示す第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10の上面図と同一の図となる。
【0032】
図5Bは、
図5Aの上面図において、増幅器120、同軸コネクタ100、隔壁部200c、電源線130、及び信号線110の表記を省略した場合の図を示す。なお、
図5Bに示す例において、GND140の
図5Bにおける横方向(X軸方向)の長さは、
図2AにおけるGND140の横方向(X軸方向)の長さより短い。これは、第2に実施形態においては、電磁ノイズを遮断するため、隔壁部200cを上下方向(Z軸方向)から合わせる構成となるためである。そのため、第1の実施形態においては、各領域の基板210が横方向(X軸方向)において接合される構成であったが、第2の実施形態においては、各領域の基板210が横方向(X軸方向)において離れた構成となる。すなわち、第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10の第1領域の基板210、及び第2領域の基板210は、隔壁部200cにより隔離される。
【0033】
図6Aは、
図5AのVIA-VIA断面における高周波増幅器モジュール10の断面図である。また、
図6Bは、
図5AのVIB-VIB断面における高周波増幅器モジュール10の断面図である。
図6A及び
図6Bに示すように、第2の実施形態においては、
図4A及び
図4Bに示す第1の実施形態における構成と比べ、基板210及びGND140が領域間で離れた構成となっている。これにより、第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、基板210と金属ケース200との間に生じる隙間の箇所が減り、より、電磁ノイズを遮断することが可能となり、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0034】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1及び/又は第2の実施形態と同じ符号を用いる場合、第1及び/又は第2の実施形態と同一の構成を示し、特に説明がない限り先行する説明を参照する。ここでは、増幅器120が設けられた領域を隔離する隔壁部200cにおいて、より電磁ノイズを遮蔽することが可能となる第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10について、第1及び/又は第2の実施形態と異なる構成について説明する。
【0035】
図7に示す図は、第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10における断面図である。なお、第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、第1及び第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10と上面図は同じであり、
図2A及び
図5Aと同様の上面図となるため、ここでは図示を省略する。
図7は、
図5AのVIB-VIB断面における第3の実施形態における高周波増幅器モジュール10の断面図となる。
【0036】
第3の実施形態における高周波増幅器モジュール10は、第1領域及び第2領域を隔離する隔壁部200cが、所定の方向に沿って凸形状部200dを有する上部隔壁と、所定の方向に沿って凹形状部200eを有する下部隔壁とによって形成される。また、第3の実施形態に係る上部隔壁及び下部隔壁は、所定の方向に沿って、凸形状部200d及び凹形状部200eで嵌合される。なお、本実施形態において、凸形状部200d及び凹形状部200eは、
図7に示す断面であって、Y軸方向に沿って形成される。すなわち、所定の方向は、
図7に示す例においては、Y軸方向に相当する。
【0037】
なお、
図7に示す例においては、第1領域及び第2領域を隔離する隔壁部200cが、凸形状部200dを有する上部隔壁と、凹形状部200eを有する下部隔壁とによって形成される例を示した。しかし、凸形状部200d及び凹形状部200eの構成は、
図7に示す構成に限定されない。例えば、第1領域及び第2領域を隔離する隔壁部200cが、凹形状部200eを有する上部隔壁と、凸形状部200dを有する下部隔壁とによって形成されてもよい。
【0038】
すなわち、第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10の第1領域及び第2領域を隔離する隔壁部200cは、上部隔壁及び下部隔壁で形成される。また、上部隔壁及び下部隔壁の一方が、凹形状部200eを有し、上部隔壁及び下部隔壁の他方が、凸形状部200dを有し上部隔壁及び下部隔壁が凹形状部200e及び凸形状部200dで嵌合される。
【0039】
これにより、第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、上部隔壁と下部隔壁とがより強固に接合される。そのため、第3の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、第2の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10に比べ、より、電磁ノイズを遮断することが可能となり、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0040】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0041】
図8は、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10を、光受信器12に適用した場合の一例を示す図である。光受信器12は、光ファイバ13から受信した光信号を電気信号に変換するフォトダイオード16(PD)と、フォトダイオード16を動作させるためのバイアスティ回路を構成するためのコンデンサチップ17及びインダクタチップ18を備える。また、光受信器12は、コンデンサチップ17の後段に高周波増幅器モジュール10を備える。
図8に示す例においては、3つの基板210a、210b、及び210cにそれぞれ増幅器120が設けられている例を示す。また、
図8に示す例においては、基板210a、210b、及び210cがそれぞれ離れて設けられており、上述の第2又は第3の実施形態の構成で実現される例を示す。
【0042】
図9Aは、
図8に示す光受信器12の構成を示す上面図である。また、
図9Bは、
図9AのIXB-IXB断面における高周波増幅器モジュール10の断面図である。光ファイバ13から受信した光信号は、レンズミラー部材16a、ワイヤーボンディング16bを介して、伝送され、電気信号に変換させる。このように、高周波増幅器モジュール10を光受信器12に適用させることで、複数の増幅器120を備えるモジュールにおいて、信号線110への影響を抑制しつつ、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。また、同様に、高周波増幅器モジュール10を光送信器11に設けることで、信号線110への影響を抑制しつつ、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能な通信システム1を実現することが可能となる。
【0043】
以下に、高周波増幅器モジュール10及び通信システム1の特徴について記載する。
【0044】
第1の態様に係る高周波増幅器モジュール10は、複数の増幅器120を備え、高周波信号を増幅する高周波増幅器モジュール10である。高周波増幅器モジュール10は、第1増幅器120aと、第1増幅器120aの後段に位置し、第1増幅器120aで増幅された信号をさらに増幅させる第2増幅器120bと、を備える。また、高周波増幅器モジュール10は、第1増幅器120aを備える第1領域と、第2増幅器120bを備える第2領域とを隔て、電磁ノイズを遮断する隔壁部200cを備える。さらに、高周波増幅器モジュール10は、隔壁部200cに設けられ、第1増幅器120a及び第2増幅器120bとそれぞれ信号線110を介して接続され、電磁ノイズを遮断する同軸コネクタ100を備える。
【0045】
上記構成によれば、高周波増幅器モジュール10は、同軸コネクタ100を用いることで、信号線110と電気的に接続される同軸コネクタピン101に電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが付着するのを防ぐことが可能となる。これにより、本実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、信号線110を通る信号への影響を抑制することが可能となる。また、金属ケース200と同軸コネクタ100及びGND140との間の隙間に電波吸収シート201aや電波吸収インク201bが埋められることにより、高周波増幅器モジュール10は、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。すなわち、第1の実施形態に係る高周波増幅器モジュール10は、信号線110への影響を抑制しつつ、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0046】
第2の態様に係る高周波増幅器モジュール10の第1領域の基板210、及び第2領域の基板210は、隔壁部200cにより隔離されてもよい。
【0047】
上記構成によれば、高周波増幅器モジュール10は、基板210と金属ケース200との間に生じる隙間の箇所が減り、より、電磁ノイズを遮断することが可能となり、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0048】
第3の態様に係る高周波増幅器モジュール10の第1領域及び第2領域を隔離する隔壁部200cは、上部隔壁及び下部隔壁で形成されてもよい。また、上部隔壁及び下部隔壁の一方が、所定の方向に沿って凹形状部200eを有してもよい。また、上部隔壁及び下部隔壁の他方が、所定の方向に沿って凸形状部200dを有してもよい。さらに、上部隔壁及び下部隔壁が所定の方向に沿って、凸形状部200d及び凹形状部200eで嵌合されてもよい。
【0049】
上記構成によれば、高周波増幅器モジュール10は、上部隔壁と下部隔壁とがより強固に接合されるため、電磁ノイズを遮断することが可能となり、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【0050】
第4の態様に係る通信システム1は、上記の高周波増幅器モジュール10を光送信器11又は光受信器12の少なくとも一方に備える。
【0051】
上記構成によれば、通信システム1は、高周波増幅器モジュール10を光送信器11又は光受信器12の少なくとも一方に設けることで、信号線110への影響を抑制しつつ、増幅器120間の電磁ノイズのループにより発生する発振現象などの悪影響を低減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1 通信システム
10 高周波増幅器モジュール
11 光送信器
12 光受信器
13 光ファイバ
14 アンテナ
15 レーザ
16 フォトダイオード
16a レンズミラー部材
16b ワイヤーボンディング
17 コンデンサチップ
18 インダクタチップ
100 同軸コネクタ
100a、100b 同軸コネクタ外装
100c 同軸コネクタジョイント
101、101a、101b 同軸コネクタピン
102 同軸コネクタジョイント内ピン
110 信号線
120 増幅器
130 電源線
140 GND
200 金属ケース
200a 上ケース
200b 下ケース
200c 隔壁部
200d 凸形状部
200e 凹形状部
201a 電波吸収シート
201b 電波吸収インク
210、210a、210b、210c 基板