(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175905
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023093997
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】荻原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】吉永 有沙
(72)【発明者】
【氏名】登 一樹
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 紀之
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】監視が必要な受験者を適切な監視者に監視させる。
【解決手段】オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援プログラムであって、受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出し、抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援方法であって、
受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出し、
抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
【請求項2】
前記格納部には、前記不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報と、各種類の不正を監視した経験回数の情報と、が格納されており、
前記所定の条件を満たす監視者は、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち、前記受験者が行った不正と疑われる行動と同一の種類の不正を監視した経験回数が最も多い監視者である、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験監視支援方法。
【請求項3】
前記格納部には、前記不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて前記オンライン試験における不正の監視回数が格納されており、
前記受験者が行った不正と疑われる行動の種類が前記格納部に格納されている種類以外である場合、又は種類が特定されていない場合には、前記抽出する処理において、全ての監視者のうち前記格納部に格納されている監視回数が最も少ない監視者のいずれかを抽出する、ことを特徴とする請求項1に記載の試験監視支援方法。
【請求項4】
前記所定の条件を満たす監視者は、前記特定する処理を実行したタイミングにおいて不正の監視を行っていない監視者である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の試験監視支援方法。
【請求項5】
オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援プログラムであって、
受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出し、
抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする試験監視支援プログラム。
【請求項6】
オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援装置であって、
受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出する抽出部と、
抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する表示処理部と、
を備える試験監視支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ禍以降、試験方式の転換が求められている中、自宅受験型のオンライン試験を実施する組織や機関が増えつつある。オンライン試験を公正に実施するためには、受験者を撮影したカメラ映像や受験者が操作する画面の映像を試験監督やセキュリティエージェントと呼ばれる人がリモート監視し、受験者が不正を行っていないかを確認する必要がある。
【0003】
例えば、試験監督は、受験者6~12名程度が割り当てられた1つのルームを担当し、不正と疑われる行動を行っている受験者を特定し、セキュリティエージェントに対して特定した受験者の監視依頼を出す。また、セキュリティエージェントは、試験監督から監視依頼のあった受験者を監視し、不正の有無を最終判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-29113号公報
【特許文献2】特開2022-31184号公報
【特許文献3】特開2020-197778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、1人のセキュリティエージェントが複数ルームを担当しており、担当範囲内のルームの試験監督から監視依頼のあった受験者を監視していた。
【0006】
しかしながら、担当範囲を予め設定してしまうと、一部のセキュリティエージェントに負荷が偏るおそれがあり、負荷が偏ることで監視精度に影響が出るおそれがある。また、セキュリティエージェントに対して適切な受験者を割り当てることができていないおそれがある。
【0007】
1つの側面では、本発明は、監視が必要な受験者を適切な監視者に監視させることが可能な試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様では、試験監視支援方法は、オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援方法であって、受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出し、抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する、処理をコンピュータが実行する試験監視支援方法である。
【発明の効果】
【0009】
監視が必要な受験者を適切な監視者に監視させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る試験システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】受験者、試験監督、セキュリティエージェントの関係を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、サーバのハードウェア構成の一例を示す図であり、
図3(b)は、受験者用端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】試験監督用端末及びエージェント用端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】サーバ、試験監督用端末、及びエージェント用端末の機能ブロック図である。
【
図7】
図7(a)は、不正テーブルの一例を示すであり、
図7(b)は、不正検知テーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、割り当てテーブルの一例を示すであり、
図8(b)は、スキルテーブルの一例を示す図であり、
図8(c)は、経験テーブルの一例を示す図である。
【
図9】不正チェック用画面を示す図(その1)である。
【
図10】不正チェック用画面を示す図(その2)である。
【
図11】不正チェック用画面を示す図(その3)である。
【
図13】サーバの処理(その1)を示すフローチャートである。
【
図14】サーバの処理(その2)を示すフローチャートである。
【
図15】サーバの処理(その3)を示すフローチャートである。
【
図16】
図15のステップS70の処理を示すフローチャートである。
【
図17】
図15のステップS74の処理を示すフローチャートである。
【
図18】サーバの処理(その4)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態について、
図1~
図18に基づいて詳細に説明する。
図1には、一実施形態に係る試験システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の試験システム100は、オンライン試験を実施する組織や団体、及び試験を受験する受験者が利用するシステムであり、オンライン試験を実施するとともに、受験者の不正の有無をチェックして試験が公正に行われるようにするためのシステムである。
【0012】
試験システム100は、
図1に示すように、試験監視支援装置としてのサーバ10、受験者用端末60、試験監督用端末70、エージェント用端末80等を備える。サーバ10、受験者用端末60、試験監督用端末70、エージェント用端末80は、インターネットなどのネットワークNWに接続されている。
【0013】
本実施形態においては、
図2に示すように、複数(例えば6~12名程度)の受験者がルームそれぞれに割当てられており、各ルームに1名程度の試験監督が割り当てられているものとする。また、本実施形態においては、試験監督とは別に、セキュリティエージェントが存在している。試験監督は、担当するルーム内の受験者のうち不正を行っている可能性が高いと判断した受験者をセキュリティエージェントに知らせる役割を有する。一方、セキュリティエージェントは、各ルームの試験監督が不正を行っている可能性が高いと判断した受験者を監視し、不正行為の有無を正式に判断する役割を有する。
【0014】
(サーバ10の概要)
サーバ10は、受験者用端末60と通信して、試験を実施するために必要な処理を実行する。また、サーバ10は、受験者に関する映像(受験者の顔付近の映像や受験者が操作している画面の映像など)を受験者用端末60から取得して、試験監督用端末70やエージェント用端末80に提供する画面(不正チェック用画面や確定用画面)を生成する。また、サーバ10は、受験者に関する映像をAIを用いて監視し、受験者が不正と疑われる行動(予め定められている所定の行動)を行っていないかを確認(チェック)する。不正と疑われる行動には、一定時間以上継続して受験者の視線が上を向くことや、試験の画面における不審な操作などが含まれる。
【0015】
図3(a)には、サーバ10のハードウェア構成の一例が示されている。
図3(a)に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、ストレージ(HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはストレージ96に格納されているプログラム(試験監視支援プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、
図5に示す各部の機能が実現される。なお、
図5の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。なお、
図5の各部の詳細については後述する。
【0016】
(受験者用端末60の概要)
図1に戻り、受験者用端末60は、PC(Personal Computer)、タブレット型端末、スマートフォンなど、受験者が利用可能な端末である。受験者は、受験者用端末60を用いて、サーバ10にアクセスし、サーバ10から提供される試験の画面において試験問題を解き、解答をサーバ10に送信する。この試験が実施されている間、受験者用端末60は、受験者の顔やその周辺の映像を撮影して、サーバ10に送信する。また、受験者用端末60は、受験者が操作している画面(試験の画面)の映像をサーバ10に送信する。
【0017】
図3(b)には、受験者用端末60のハードウェア構成の一例が示されている。
図3(b)に示すように、受験者用端末60は、CPU190、ROM192、RAM194、ストレージ196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195、カメラ189、及び可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス198に接続されている。表示部193は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、入力部195は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。カメラ189は、表示部193近傍に設けられており、受験者の顔付近を撮影できるようになっている。
【0018】
(試験監督用端末70及びエージェント用端末80の概要)
試験監督用端末70及びエージェント用端末80は、試験監督やセキュリティエージェントが利用可能なPC等の端末である。
図4には、試験監督用端末70及びエージェント用端末80のハードウェア構成の一例が示されている。
図4に示すように、試験監督用端末70及びエージェント用端末80は、CPU290、ROM292、RAM294、ストレージ296、ネットワークインタフェース297、表示部293、入力部295、及び可搬型記憶媒体用ドライブ299等を備えている。これら試験監督用端末70及びエージェント用端末80の構成各部は、バス298に接続されている。試験監督用端末70及びエージェント用端末80では、ROM292あるいはストレージ296に格納されているプログラム、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ299が可搬型記憶媒体291から読み取ったプログラムをCPU290が実行することにより、
図5に示す各部の機能が実現される。
【0019】
次に、
図5に基づいて、サーバ10、試験監督用端末70、及びエージェント用端末80それぞれの機能について説明する。
【0020】
(サーバ10の機能について)
サーバ10は、
図5に示すように、試験実施部12、映像取得部14、表示処理部としての画面生成部16、不正検知部18、テーブル更新部20、抽出部としての割り当て部21を有する。
【0021】
試験実施部12は、受験者用端末60と通信して、試験を実施するために必要な処理を実行する。例えば、試験実施部12は、受験者が受験者用端末60を用いてサーバ10にログインしてきた場合に、当該受験者を受験者情報テーブル22における管理対象とする。また、試験実施部12は、受験者用端末60に対して試験の画面を提供し、受験者用端末60から受験者の解答結果を受信すると、回答結果と正答とを比較して、採点を行う。また、試験実施部12は、受験者が不正を行ったとサービスエージェントが判断した場合に、判断結果を受験者に通知したり、その受験者の試験を中止するなどの処理を実行する。
【0022】
映像取得部14は、受験者用端末60から送信されてくる受験者に関する映像(受験者の顔付近の映像や受験者が操作している画面の映像)を取得し、映像DB24に格納する。また、映像取得部14は、取得した映像を画面生成部16に送信する。なお、映像DB24は、受験者に関する映像を格納するデータベースであり、受験者の情報(受験番号等)と対応付けて各映像が格納される。
【0023】
画面生成部16は、映像取得部14が取得した映像を用いて、試験監督用端末70に提供する画面(
図9等に示す不正チェック用画面)やエージェント用端末80に提供する画面(
図12に示す確定用画面)を生成する。このとき、画面生成部16は、映像取得部14から取得した受験者に関する映像、各種テーブルに格納されている情報、映像DB24に格納されている映像等に基づいて各画面を生成する。また、画面生成部16は、生成した画面を試験監督用端末70やエージェント用端末80に対して提供する。なお、画面生成部16の具体的な処理については後述する。
【0024】
不正検知部18は、AIを用いて映像DB24に格納された受験者に関する映像を監視し、不正と疑われる行動を行った受験者と、その行動の種類を特定し、不正検知テーブル28に格納する。不正検知部18は、不正検知テーブル28に情報を格納する際に、不正テーブル26を参照する。また、不正検知部18は、不正検知テーブル28に格納した情報に基づいて、受験者情報テーブル22を更新する。
【0025】
テーブル更新部20は、試験監督用端末70及びエージェント用端末80における操作情報を受け付けた場合に、受け付けた操作情報に基づいて、受験者情報テーブル22や不正検知テーブル28、割り当てテーブル30、経験テーブル34を更新する。
【0026】
割り当て部21は、試験監督がセキュリティエージェントに対して受験者の監視依頼を出した場合に、その受験者を割り当てるセキュリティエージェントを抽出し、画面生成部16に通知する。割り当て部21は、受験者を割り当てるセキュリティエージェントを抽出する際に、受験者情報テーブル22、割り当てテーブル30、スキルテーブル32、経験テーブル34を参照する。
【0027】
ここで、サーバ10が有する各テーブルについて説明する。
【0028】
(受験者情報テーブル22)
図6には、ルーム1用の受験者情報テーブル22の一例が示されている。なお、
図6の受験者情報テーブル22は、ルームごとに生成されるものとする。ただし、これに限らず、受験者情報テーブル22に全受験者の情報が格納されてもよい。全受験者の情報が格納される場合、受験者情報テーブル22においては、各受験者に対応付けてルームの情報を格納すればよい。なお、各受験者がどのルームに割当てられるかは、試験開始前に予め決められていてもよいし、ログイン順に各ルームに割当てられるようにしてもよい。
【0029】
受験者情報テーブル22は、
図6に示すように、「受験番号」、「氏名」、「終了フラグ(finish)」、「不正検知フラグ(FD)」、「不正疑惑フラグ(doubt)」、「監視依頼種別」、「待ちフラグ」、「不正確定フラグ(illegal_act)」の各項目を有する。
【0030】
「受験番号」及び「氏名」の欄には、受験者に割り振られた受験番号、及び受験者の氏名が格納される。「終了フラグ(finish)」の欄には、受験者が試験中であれば「0」、受験者が試験を終了していれば「1」が格納される。「不正検知フラグ(FD)」の欄には、不正検知部18が受験者に関する映像から不正と疑われる行動を検知した場合に「1」が格納され、不正を検知していない場合に「0」が格納される。
【0031】
「不正疑惑フラグ(doubt)」の欄には、試験監督が不正を行っている可能性が高いと判断した場合(セキュリティエージェントに監視依頼を出した場合)に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。「監視依頼種別」の欄には、試験監督が監視依頼を出す際に選択した監視依頼の種別が格納される。「待ちフラグ」の欄には、試験監督が監視依頼を出したが、セキュリティエージェントに割り当てられていない場合(待ち状態の場合)に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。「不正確定フラグ(illegal_act)」の欄には、セキュリティエージェントが不正を行っていると最終判断した場合に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。
【0032】
(不正テーブル26)
図7(a)には、不正テーブル26の一例が示されている。
図7(a)に示すように、不正テーブル26は、「不正コード」、「不正対象」、「不正種類」、「不正レベル」の各項目を有する。「不正コード」の欄には、不正と疑われる行動の種類ごとの識別情報が格納される。「不正対象」の欄には、不正と疑われる行動が行われたことを判断する判断対象(目線、人、電子機器、画面など)が格納される。「不正種類」の欄には、判断対象がどのような場合に不正と疑われる行動に該当するかの情報が格納される。例えば、不正コード「0001-001」の不正と疑われる行動は、目線が上(又は下)を向いている状態が一定以上続くこと、である。「不正レベル」の欄には、不正と疑われる行動の種類ごとに定められた点数が格納される。なお、本実施形態においては、「不正レベル」の値が大きいほど、重大な不正であることを意味している。
【0033】
(不正検知テーブル28)
図7(b)には、不正検知テーブル28の一例が示されている。なお、
図7(b)の不正検知テーブル28は、ルームごとに生成されるものとする。ただし、これに限らず、不正検知テーブル28には、全ルームの受験者の情報が格納されてもよい。不正検知テーブル28には、不正検知部18が検知した不正と疑われる行動についての情報が格納されている。不正検知テーブル28は、
図7(b)に示すように、「不正検知No.」、「受験番号」、「不正検知開始時刻」、「不正コード」の各項目を有する。
【0034】
「不正検知No.」の欄には、不正と疑われる行動を検知した順に付与される通し番号が格納される。「受験番号」の欄には、不正と疑われる行動を行った受験者の受験番号が格納される。「不正検知開始時刻」の欄には、不正と疑われる行動が行われた時刻の情報が格納される。「不正コード」の欄には、不正と疑われる行動の種類を示す識別情報が格納される。
【0035】
(割り当てテーブル30)
図8(a)には、割り当てテーブル30の一例が示されている。割り当てテーブル30には、各セキュリティエージェントに受験者が割り当てられているか否かの情報や、どのセキュリティエージェントにどの受験者が割り当てられているかの情報が格納される。具体的には、割り当てテーブル30は、
図8(a)に示すように、「エージェント番号」、「氏名」、「担当受験者」、「監視ステータス」の各項目を有する。
【0036】
「エージェント番号」の欄には、セキュリティエージェントの識別情報が格納される。「氏名」の欄には、各セキュリティエージェントの氏名が格納される。「担当受験者」の欄には、各セキュリティエージェントに対して現在割り当てられている受験者の受験番号が格納される。「監視ステータス」の欄には、現在受験者が割り当てられていれば「1」、割り当てられていなければ「0」が格納される。
【0037】
(スキルテーブル32)
図8(b)には、スキルテーブル32の一例が示されている。スキルテーブル32には、各セキュリティエージェントがどのような不正の監視を得意としているかの情報が格納される。具体的には、スキルテーブル32は、
図8(b)に示すように、「エージェント番号」の項目、及び不正の種類を示す「PC画面不正」、「カメラ画面不正」、「試験問題不正」の各項目を有する。
【0038】
「エージェント番号」の欄には、セキュリティエージェントの識別情報が格納される。「PC画面不正」の欄には、各セキュリティエージェントがPC画面における不正(操作画面における不正)の監視を得意としている場合に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。「カメラ画面不正」の欄には、各セキュリティエージェントがカメラ画面における不正の監視を得意としている場合に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。「試験問題不正」の欄には、各セキュリティエージェントが試験問題特有の不正の監視を得意としている場合に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。なお、
図8(b)のスキルテーブル32には、3種類の不正(PC画面不正、カメラ画面不正、試験問題不正)についての監視が得意か否かの情報が格納されているが、これに限られるものではない。例えば、4種類以上または2種類以下の不正についての監視が得意か否かの情報が格納されていてもよい。スキルテーブル32は、各セキュリティエージェントに対して行ったアンケートの結果等に基づいて事前に作成されるテーブルである。
【0039】
(経験テーブル34)
図8(c)には、経験テーブル34の一例が示されている。経験テーブル34には、各セキュリティエージェントがどのような不正の監視を過去に何回行ったかの情報や、現在行われている試験において不正の監視を何回行ったか(何人の受験者が割り当てられたか)の情報が格納される。具体的には、経験テーブル34は、
図8(c)に示すように、「エージェント番号」、不正の種類を示す「PC画面不正」、「カメラ画面不正」、「試験問題不正」の各項目、及び「現試験監視回数」の項目を有する。
【0040】
「エージェント番号」の欄には、セキュリティエージェントに割り振られた識別情報が格納される。「PC画面不正」、「カメラ画面不正」、「試験問題不正」の欄には、各セキュリティエージェントが過去にそれぞれの種類の不正の監視を行った回数を示す値が格納される。「現試験監視回数」の欄には、現在行われている試験において不正の監視を行った回数を示す値が格納される。なお、「現試験監視回数」の値は、異なる試験が開始されるごとにリセットされ、「0」になる。
【0041】
(試験監督用端末70の機能について)
図5に戻り、試験監督用端末70は、画面更新部72、入力受付部74、報知部76を有する。
【0042】
画面更新部72は、画面生成部16から送信されてくる不正チェック用画面を表示部293に表示する。不正チェック用画面は、
図9に示すような画面である。不正チェック用画面には、
図9に示すように、ルーム内の受験者全員の個別画面を表示する第1表示領域A1と、受験者の行動を詳細に検討するために用いられる第2表示領域A2とが設けられている。
【0043】
図9の第1表示領域A1における個別画面の並び順は、受験番号順であり、左上→中央上→右上→左下→中央下→右下の順に受験番号が大きくなっている。また、第1表示領域A1においては、サーバ10の不正検知部18が不正と疑われる行動を行った受験者を検知した場合に、その受験者の個別画面が他とは異なる態様(例えば太線枠)で表示される。各受験者の個別画面には、各受験者の顔付近を撮影した映像P1と、受験者が操作している画面の映像P2と、「不正チェック」ボタンと、「監視依頼」ボタンとが設けられている。映像P1,P2はリアルタイムの映像である。また、個別画面には、受験番号、氏名、不正レベルが表示されている。なお、
図9の例では、第2表示領域A2には、何も表示されていない状態となっている。
【0044】
図10は、
図9の画面において、試験監督が第1表示領域A1内の「小林哲郎」の個別画面において、「不正チェック」ボタンを押した場合に表示される画面を示す図である。「不正チェック」ボタンが押された場合、画面更新部72は、その旨を画面生成部16に通知する。そして、画面生成部16は、不正検知テーブル28と映像DB24から必要なデータを取得し、第2表示領域A2を更新して、画面更新部72に送信する。なお、第2表示領域A2には、「小林哲郎」が過去に不正と疑われる行動を行ったときの映像や、不正と疑われる行動の情報が表示される。
【0045】
入力受付部74は、
図9、
図10に示すような不正チェック用画面において、試験監督が入力部295を介して入力した情報(操作情報)を取得し、画面更新部72や報知部76に送信する。
【0046】
ここで、試験監督は、ある受験者が不正行為を行っていると判断した場合に、その受験者をサービスエージェントに確認してもらうために、その受験者の個別画面において「監視依頼」ボタンを押す。
図11は、受験者「小林哲郎」の個別画面において試験監督が「監視依頼」ボタンを押し、監視依頼画面PUがポップアップ表示された状態を示す図である。
図11の監視依頼画面には、受験者の受験番号と氏名のほか、「監視内容特化なし」、「PC画面不正特化」、「カメラ画面不正特化」、「試験問題不正特化」のボタンが設けられている。試験監督は、受験者「小林哲郎」の行動に基づいて、いずれかのボタンを押す。例えば、試験監督がPC画面(操作画面)において不正を行っていたと判断した場合には、「PC画面不正特化」ボタンを押す。また、試験監督が、カメラ画面において不正が行われたことを発見した場合には、「カメラ画面不正特化」ボタンを押す。また、試験監督が試験問題特有の不正を行っていたと判断した場合には、「試験問題不正特化」ボタンを押す。一方、試験監督が、上記3種類の不正以外の不正を行っていたと判断した場合や、どの種類の不正であったかが判断できなかった場合などにおいては、「監視内容特化なし」ボタンを押す。すなわち、試験監督がボタンを押すことで、受験者の不正と疑われる行動の種類が指定(入力)されている。
【0047】
報知部76は、試験監督がいずれかの受験者の個別画面において「監視依頼」ボタンを押し、監視依頼画面PUにおいていずれかのボタンを押した場合に、当該受験者の監視依頼の情報をサーバ10のテーブル更新部20に送信する。
【0048】
(エージェント用端末80)
エージェント用端末80は、
図5に示すように、画面更新部84、入力受付部86、処理部88を有する。画面更新部84は、画面生成部16により生成された確定用画面(
図12参照)を受信し、エージェント用端末80の表示部293に表示する。
【0049】
図12の確定用画面には、個別画面表示用領域A11と、不正チェック用領域A12と、が設けられている。個別画面表示用領域A11には、試験監督用端末70において「監視依頼」ボタンが押された受験者の個別画面が表示される。
図12の個別画面には、受験者の顔付近を撮影した映像P1と、受験者が操作している画面の映像P2と、「不正あり」ボタンと、「不正なし」ボタンが設けられている。また、
図12の確定用画面の不正チェック用領域A12には、「小林哲郎」が過去に不正と疑われる行動を行ったときの映像や、不正と疑われる行動の情報が表示されている。
【0050】
入力受付部86は、確定用画面において、セキュリティエージェントが押したボタンの情報(操作情報)を取得し、画面更新部84や処理部88に送信する。
【0051】
処理部88は、「不正あり」ボタンが押されたという情報を入力受付部86から受信すると、その旨をサーバ10のテーブル更新部20に送信する。このとき、テーブル更新部20は、処理部88から受信した情報に基づいて、受験者情報テーブル22(不正確定フラグ(illegal_act))を更新する。また、処理部88は、「不正なし」ボタンが押されたという情報を入力受付部86から受信すると、その旨をサーバ10のテーブル更新部20に送信する。テーブル更新部20は、処理部88から受信した情報に基づいて、不正検知テーブル28からその受験者のレコードを削除するとともに、受験者情報テーブル22(不正検知フラグ(FD)、不正疑惑フラグ(doubt))を更新する。
【0052】
(処理について)
次に、各装置の処理について、フローチャートに沿って詳細に説明する。
【0053】
(サーバ10の処理(その1))
以下、サーバ10の処理(その1)について、
図13のフローチャートに沿って詳細に説明する。
図13の処理は、受験者の少なくとも1人がログインしており、試験開始時刻になった段階から開始されるものとする。なお、
図13の処理が開始される段階では、受験者情報テーブル22(
図6)の「終了フラグ(finish)」は、ログインしている受験者であれば「0」、ログインしていない受験者であれば「1」となっている。また、その他の欄については、全て初期化され、「0」又は「-」となっている。また、
図13の処理が開始される段階では、不正検知テーブル28(
図7(b))は初期化(全データ消去)されている。更に、
図13の処理が開始される段階では、割り当てテーブル30の担当受験者の欄は「-」、監視ステータスの欄は「0」に設定され、経験テーブル34の現試験監視回数の欄は、「0」に設定される。
【0054】
図13の処理が開始されると、まず、ステップS10において、不正検知部18が、AIによる不正検知処理(監視処理)を開始する。
【0055】
次いで、ステップS11において、画面生成部16は、不正チェック用画面(
図9)を生成し、試験監督用端末70に送信する。これにより、試験監督用端末70の表示部293には、各試験監督が担当するルームの不正チェック用画面(
図9)が表示されるようになっている。
【0056】
次いで、ステップS12において、試験実施部12が、入退出(ログイン/ログアウト)があったか否かを判断する。このステップS12の判断が肯定されると、ステップS14に移行する。
【0057】
ステップS14に移行すると、試験実施部12は、受験者情報テーブル22の終了フラグ(finish)を変更する。例えば、終了フラグ(finish)が「1」であった受験者がログインした場合には、試験実施部12は、終了フラグ(finish)を「0」に変更する。また、終了フラグ(finish)が「0」であった受験者がログアウトした場合には、試験実施部12は、終了フラグ(finish)を「1」に変更する。また、ステップS14においては、画面生成部16が、不正チェック用画面を更新する。具体的には、画面生成部16は、不正チェック用画面の第1表示領域A1に、終了フラグ(finish)が「0」となっている受験者の個別画面を受験番号順に並べて表示する。ステップS14の後は、ステップS16に移行する。なお、ステップS12の判断が否定された場合には、ステップS14を経ずに、ステップS16に移行する。
【0058】
ステップS16に移行すると、試験実施部12は、受験者情報テーブル22を参照して、終了フラグが全て「1」又は試験終了時刻であるか否かを判断する。このステップS16の判断が肯定された場合には、
図13の全処理を終了する。一方、ステップS16の判断が否定された場合には、ステップS18に移行する。
【0059】
ステップS18に移行すると、不正検知部18は、不正が検知されたか否かを判断する。このステップS18の判断が否定された場合には、ステップS12に戻る。
【0060】
これに対し、ステップS18の判断が肯定されると、ステップS20に移行し、不正検知部18は、受験者情報テーブル22において、不正検知された受験者の不正検知フラグ(FD)を「1」に設定する。
【0061】
次いで、ステップS22において、不正検知部18は、不正種類を判定し、不正テーブル26を参照して、不正検知テーブル28及び受験者情報テーブル22を更新する。例えば、受験者「本田悟」が不正コード「0001-001」の不正と疑われる行動を行った場合、不正検知テーブル28には、
図7(b)の上から1行目のようなデータが格納される。また、受験者情報テーブル22においては、
図6に示すように、不正検知フラグ(FD)が「0」から「1」に変更される。
【0062】
次いで、ステップS24において、画面生成部16は、受験者情報テーブル22に基づいて不正チェック用画面を更新する。すなわち、画面生成部16は、
図9の不正チェック用画面において、不正と疑われる行動を行った受験者の個別画面をそのような行動を行っていない受験者の個別画面とは異なる態様で(例えば太線枠で)表示する。その後は、ステップS12に戻り、ステップS12~S24の処理・判断が繰り返され、ステップS16の判断が肯定された段階で、
図13の全処理が終了する。
【0063】
(サーバ10の処理(その2))
次に、サーバ10の処理(その2)について、
図14のフローチャートに沿って詳細に説明する。なお、
図14の処理は、
図13の処理と同時並行的に実行される処理である。
【0064】
図14の処理が開始されると、まず、ステップS50において、画面生成部16は、試験監督用端末70の画面更新部72から、「不正チェック」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS50の判断が否定された場合には、ステップS54に移行する。ステップS54に移行すると、テーブル更新部20は、試験監督用端末70の報知部76から、「監視依頼」ボタンが押され、監視依頼画面PU(
図11)においてボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS54の判断が否定された場合には、ステップS50に戻る。その後は、ステップS50、S54のいずれかの判断が肯定されるまで、ステップS50、S54を繰り返し実行する。
【0065】
ステップS50、S54を繰り返し実行した結果、ステップS50の判断が肯定された場合には、ステップS52に移行する。ステップS52に移行すると、画面生成部16は、不正チェック用画面の第2表示領域A2を更新する。例えば、
図9の不正チェック用画面において、受験者「小林哲郎」の個別画面の「不正チェック」ボタンが押された場合には、画面生成部16は、
図7(b)の不正検知テーブル28から、「小林哲郎」の受験番号「Cbt0004」のレコードを抽出する。そして、画面生成部16は、抽出したレコードの「不正検知開始時刻」に対応する映像(例えば、不正検知開始時刻の前後所定時間の映像)を映像DB24から取得する。更に、画面生成部16は、取得した映像と、不正検知開始時刻と、不正コードから特定できる情報と、を表示する画面を生成し、生成した画面を用いて第2表示領域A2を更新する。この結果、不正チェック用画面は、
図10に示すように更新される。
【0066】
試験監督は、
図10の不正チェック用画面(第2表示領域A2)を参照することで、受験者が過去にどのような行動を行ったかを確認することができる。試験監督は、この確認の結果、不正を行っている可能性が高く、セキュリティエージェントに不正の有無の最終判断を行ってもらいたいと考えた場合には、第1表示領域A1の個別画面において「監視依頼」ボタンを押す。
【0067】
一方、
図14のステップS50、S54を繰り返し実行した結果、ステップS54の判断が肯定された場合(「監視依頼」ボタンが押され、監視依頼画面PUにおいてボタンが押された場合)には、ステップS56に移行する。ステップS56に移行すると、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の不正疑惑フラグ(doubt)を「0」から「1」に変更する。また、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の監視依頼種別の欄に、監視依頼画面PUにおいて押されたボタンの内容を格納する。
【0068】
その後は、上記処理が繰り返し実行されるようになっており、
図13の処理が終了すると、
図14の処理も終了する。
【0069】
(サーバ10の処理(その3))
次に、サーバ10の処理(その3)について、
図15のフローチャートに沿って詳細に説明する。なお、
図15の処理は、
図13、
図14の処理と同時並行的に実行される処理である。
【0070】
図15の処理が開始されると、まず、ステップS60において、割り当て部21は、受験者情報テーブル22を参照して、不正疑惑フラグ(doubt)が1になった受験者が存在するか否かを判断する。このステップS60の判断が否定された場合には、ステップS62に移行し、割り当て部21は、受験者情報テーブル22を参照して、待ちフラグが1である受験者が存在するか否かを判断する。このステップS62の判断が否定された場合には、ステップS60に戻る。その後は、ステップS60、S62のいずれかの判断が肯定されるまで、ステップS60、S62が繰り返し実行される。
【0071】
ステップS60、S62を繰り返し実行した結果、ステップS60の判断が肯定された場合(すなわち、
図14のステップS56の処理が行われた場合)には、ステップS64に移行する。ステップS64に移行すると、割り当て部21は、受験者情報テーブル22を参照して、不正疑惑フラグ(doubt)が1になった受験者の「監視依頼種別」が「監視内容特化なし」であるか否かを判断する。このステップS64の判断が肯定された場合には、ステップS66に移行する。
【0072】
ステップS66に移行すると、割り当て部21は、割り当てテーブル30を参照して、監視ステータスが「0」である(すなわち、いずれの受験者も監視していない)セキュリティエージェントが存在しているか否か、を判断する。このステップS66の判断が否定された場合(受験者を割り振れるセキュリティエージェントがいない場合)には、ステップS68に移行し、割り当て部21は、受験者情報テーブル22の待ちフラグを「1」に設定する。その後は、ステップS60に戻る。
【0073】
一方、ステップS66の判断が肯定された場合には、ステップS70の割り当て処理(1)のサブルーチンが実行される。
【0074】
ステップS70においては、
図16のフローチャートに沿った処理が実行される。
図16の処理が開始されると、まずステップS80において、割り当て部21は、経験テーブル34を参照して、割り当てテーブル30の監視ステータスが「0」のセキュリティエージェントのうち現試験監視回数が最も少ないセキュリティエージェントを抽出する。なお、現試験監視回数が最も少ないセキュリティエージェントが複数存在する場合には、エージェント番号が最も若い番号の(割り当てテーブルの最も上に位置する)セキュリティエージェントを抽出する。なお、現試験監視回数が最も少ないセキュリティエージェントが複数存在する場合に、そのうちの1人をランダムに抽出することとしてもよい。
【0075】
次いで、割り当て部21は、ステップS82において、割り当てテーブル30の、抽出したセキュリティエージェントの監視ステータスを「1」に設定する。
【0076】
次いで、ステップS84において、画面生成部16は、割り当て部21が抽出したセキュリティエージェント用の確定用画面を生成し、そのセキュリティエージェントが利用するエージェント用端末80に生成した確定用画面(
図12)を送信する。以上により、
図16の処理が終了すると、
図15のステップS60に戻る。
【0077】
これに対し、
図15のステップS64の判断が否定された場合、すなわち、監視依頼種別が「監視内容特化なし」以外であった場合には、ステップS72に移行する。
【0078】
ステップS72に移行すると、割り当て部21は、監視依頼種別に対応可能かつ監視ステータス=0のセキュリティエージェントが存在するか否かを判断する。具体的には、割り当て部21は、スキルテーブル32において当該監視依頼種別の欄に「1」が格納されており、かつ、割り当てテーブル30の監視ステータスが「0」であるセキュリティエージェントが存在するか否かを判断する。このステップS72の判断が否定された場合(受験者を割り振るセキュリティエージェントが居ない場合)には、ステップS68に移行し、割り当て部21は、受験者情報テーブル22の待ちフラグを「1」に設定する。その後は、ステップS60に戻る。
【0079】
一方、ステップS72の判断が肯定された場合には、ステップS74の割り当て処理(2)のサブルーチンが実行される。
【0080】
ステップS74においては、
図17のフローチャートに沿った処理が実行される。具体的には、
図17の処理が開始されると、まずステップS90において、割り当て部21は、当該監視依頼種別に対応可能かつ監視ステータス=0のセキュリティエージェントのうち、監視依頼種別の経験回数が最も多いセキュリティエージェントを抽出する。具体的には、割り当て部21は、スキルテーブル32において当該監視依頼種別の欄に「1」が格納されているとともに、割り当てテーブル30の監視ステータスが0のセキュリティエージェントを特定する。そして、特定したセキュリティエージェントのうち、経験テーブル34において当該監視依頼種別の経験回数が最も多い(経験豊富な)セキュリティエージェントを抽出する。なお、経験回数が最も多いセキュリティエージェントが複数存在する場合には、エージェント番号が最も若い番号であるセキュリティエージェントを抽出する。なお、経験回数が最も多いセキュリティエージェントが複数存在する場合に、そのうちの1人をランダムに抽出することとしてもよい。
【0081】
次いで、割り当て部21は、ステップS92において、割り当てテーブル30の、抽出したセキュリティエージェントの監視ステータスを「1」に設定する。
【0082】
次いで、ステップS94において、画面生成部16は、割り当て部21が抽出したセキュリティエージェント用の確定用画面を生成し、そのセキュリティエージェントが利用するエージェント用端末80に生成した確定用画面(
図12)を送信する。以上により、
図17の処理が終了すると、
図15のステップS60に戻る。
【0083】
ステップS60に戻ると、ステップS60、S62を繰り返し実行し、ステップS62の判断が肯定された場合(待ちフラグが1の受験者が存在する場合)には、ステップS64に移行する。ステップS64に移行すると、ステップS64以降の処理が上述したように実行され、待ちフラグが1の受験者をセキュリティエージェントに割り当てる処理が実行される。
【0084】
その後は、上記処理が繰り返し実行され、
図13の処理が終了すると、
図15の処理も終了する。
【0085】
(サーバ10の処理(その4))
次に、サーバ10の処理(その4)について、
図18のフローチャートに沿って詳細に説明する。なお、
図18の処理は、
図13、
図14、
図15の処理と同時並行的に実行される処理である。
【0086】
図18の処理が開始されると、まず、ステップS100において、テーブル更新部20は、エージェント用端末80の処理部88から、「不正あり」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS100の判断が否定された場合には、ステップS104に移行し、テーブル更新部20は、エージェント用端末80の処理部88から、「不正なし」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS104の判断が否定された場合には、ステップS100に戻る。その後は、ステップS100又はS104の判断が肯定されるまで、ステップS100、S104を繰り返し実行する。
【0087】
ステップS100、S104を繰り返し実行した結果、ステップS100の判断が肯定された場合(確定用画面で「不正あり」ボタンが押された場合)には、ステップS102に移行する。なお、セキュリティエージェントは、確定用画面内の個別画面や不正チェック用領域A12の表示を確認した結果、受験者が不正を行っていると最終判断した場合に、当該受験者の個別画面において「不正あり」ボタンを押す。ステップS102に移行すると、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の不正確定フラグ(illegal_act)を「0」から「1」に変更する。また、試験実施部12は、受験者情報テーブル22の不正確定フラグ(illegal_act)が「1」である受験者に対して、不正行為があった旨を通知したり、その受験者の試験を中止するなどの所定の処理を実行する。その後は、ステップS108に移行する。
【0088】
一方、
図18のステップS100、S104を繰り返し実行した結果、ステップS104の判断が肯定された場合(確定用画面で「不正なし」ボタンが押された場合)には、ステップS106に移行する。なお、セキュリティエージェントは、確定用画面内の個別画面や不正チェック用領域A12の表示を確認した結果、受験者が不正を行っていないと最終判断した場合に、当該受験者の個別画面において「不正なし」ボタンを押す。ステップS106に移行すると、テーブル更新部20は、不正検知テーブル28において対応する受験者の情報(レコード)を削除する。また、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の不正検知フラグ(FD)、不正疑惑フラグ(doubt)、監視依頼種別をリセット(「0」又は「-」に設定)する。その後は、ステップS108に移行する。
【0089】
ステップS108に移行すると、テーブル更新部20は、割り当てテーブル30の担当受験者を削除し、監視ステータスを0にするとともに、経験テーブル34を更新する。例えば、セキュリティエージェントがPC画面の不正をチェックしていた場合には、経験テーブル34の「PC画面不正」の欄の値を1インクリメントするとともに、「現試験監視回数」の欄の値も1インクリメントする。また、例えば、セキュリティエージェントが「監視内容特化なし」の不正をチェックしていた場合には、経験テーブル34の「現試験監視回数」の欄の値のみを1インクリメントする。
【0090】
その後は、上記処理が繰り返し実行されるようになっており、
図13の処理が終了すると、
図18の処理も終了する。
【0091】
なお、本実施形態においては、割り当てテーブル30、スキルテーブル32、経験テーブル34を含んで、格納部としての機能が実現されている。
【0092】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、受験者に関する映像から当該受験者が不正と疑われる行動を行ったことが検知された場合(不正チェック用画面において「確認依頼」ボタンが押された場合)に、テーブル更新部20は、行動の種類を示す情報(確認依頼画面で押されたボタンの情報)を取得する(
図14:S56)。また、割り当て部21は、セキュリティエージェントそれぞれに対応付けて不正の種類の情報を格納したスキルテーブル32を参照して、取得した行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられているセキュリティエージェントを抽出する。そして、画面生成部16は、割り当て部21が抽出したセキュリティエージェントが閲覧可能な確定用画面に不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する。これにより、不正と疑われる行動を行った受験者をチェックするのに適したセキュリティエージェントに対して当該受験者に関する映像をチェックさせることが可能となる。このようにすることで、各セキュリティエージェントの負荷を低減し、監視精度を向上することができる。
【0093】
また、本実施形態では、割り当て部21は、受験者が行った行動をチェック可能なセキュリティエージェントのうち、所定の条件(例えば、現在他の受験者のチェックを行っておらず、最も経験豊富であるという条件)を満たす人を抽出する。これにより、最も適切なセキュリティエージェントに受験者をチェックさせることが可能となる。
【0094】
また、本実施形態では、割り当て部21は、「監視内容特化なし」の受験者の不正をチェックするセキュリティエージェントとして、現試験監視回数が最も少ない人を抽出する。これにより、各セキュリティエージェントに対して、チェック作業を均等に割り当てることができるため、負荷の偏りを抑制することができる。
【0095】
なお、上記実施形態においては、セキュリティエージェントが1回不正ありと判断した場合に、その受験生の試験を中止する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、セキュリティエージェントが1回不正ありと判断した場合に、その受験生に警告を行うが、試験及び監視を継続し、2回目に不正ありと判断した場合に、その受験生の試験を中止し、監視を終了するようにしてもよい。
【0096】
なお、上記実施形態においては、セキュリティエージェントが不正ありと判断した場合に、サーバ10が受験者用端末60に対して中止を通知する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、エージェント用端末80と受験者用端末60との間でチャットや通話が可能である場合には、セキュリティエージェントから受験者に対し、チャットや通話で、警告や中止を伝達するようにしてもよい。
【0097】
なお、上記実施形態においては、例えば、不正検知部18が不正と疑われる行動を行った受験者を検知した場合に、その行動の種類に基づいて、割り当て部21が、その受験者を適切な試験監督に割り振ることとしてもよい。この場合、試験監督の情報を格納するためのテーブル(割り当てテーブル30、スキルテーブル32、経験テーブル34と同様のテーブル)を用意し、割り当て部21は、
図15と同様の処理を実行するようにすればよい。
【0098】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0099】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0100】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0101】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0102】
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援方法であって、
受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出し、
抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
(付記2) 前記格納部には、前記不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報と、各種類の不正を監視した経験回数の情報と、が格納されており、
前記所定の条件を満たす監視者は、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち、前記受験者が行った不正と疑われる行動と同一の種類の不正を監視した経験回数が最も多い監視者である、
ことを特徴とする付記1に記載の試験監視支援方法。
(付記3) 前記格納部には、前記不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて前記オンライン試験における不正の監視回数が格納されており、
前記受験者が行った不正と疑われる行動の種類が前記格納部に格納されている種類以外である場合、又は種類が特定されていない場合には、前記抽出する処理において、全ての監視者のうち前記格納部に格納されている監視回数が最も少ない監視者のいずれかを抽出する、ことを特徴とする付記1に記載の試験監視支援方法。
(付記4) 前記所定の条件を満たす監視者は、前記抽出する処理を実行したタイミングにおいて不正の監視を行っていない監視者である、ことを特徴とする付記1~3のいずれかに記載の試験監視支援方法。
(付記5) オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援プログラムであって、
受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出し、
抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする試験監視支援プログラム。
(付記6) オンライン試験における不正の監視を支援する試験監視支援装置であって、
受験者の不正と疑われる行動の種類を示す情報を取得した場合に、不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報を格納した格納部を参照して、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち所定の条件を満たす監視者を抽出する抽出部と、
抽出した前記監視者が閲覧可能な表示部に、前記不正と疑われる行動を行った受験者に関する映像を表示する表示処理部と、
を備える試験監視支援装置。
(付記7) 前記格納部には、前記不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて各監視者が監視する不正の種類の情報と、各種類の不正を監視した経験回数の情報と、が格納されており、
前記所定の条件を満たす監視者は、取得した前記行動の種類に対応する不正の種類に対応付けられている監視者のうち、前記受験者が行った不正と疑われる行動と同一の種類の不正を監視した経験回数が最も多い監視者である、
ことを特徴とする付記6に記載の試験監視支援装置。
(付記8) 前記格納部には、前記不正を監視する複数の監視者それぞれに対応付けて前記オンライン試験における不正の監視回数が格納されており、
前記抽出部は、前記受験者が行った不正と疑われる行動の種類が前記格納部に格納されている種類以外である場合、又は種類が特定されていない場合には、全ての監視者のうち前記格納部に格納されている監視回数が最も少ない監視者のいずれかを抽出する、ことを特徴とする付記6に記載の試験監視支援装置。
(付記9) 前記所定の条件を満たす監視者は、前記抽出部の処理タイミングにおいて不正の監視を行っていない監視者である、ことを特徴とする付記6~8のいずれかに記載の試験監視支援装置。
【符号の説明】
【0103】
10 サーバ(試験監視支援装置)
12 試験実施部
14 映像取得部
16 画面生成部(表示処理部)
18 不正検知部
21 割り当て部(抽出部)
22 受験者情報テーブル
30 割り当てテーブル(格納部)
32 スキルテーブル(格納部)
34 経験テーブル(格納部)
60 受験者用端末