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特開2024-175916情報管理プログラム、情報管理方法及び情報管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175916
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報管理プログラム、情報管理方法及び情報管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20241212BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094014
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】亀井 美志
(72)【発明者】
【氏名】折原 悠
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175EA01
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】記憶部に記憶されている質問と回答の組み合わせを適切に管理する。
【解決手段】情報管理プログラムは、質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得し、前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得し、前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせ(白抜き円)を前記記憶部から削除する、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得し、
前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得し、
前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報管理プログラム。
【請求項2】
前記第1の所定値は、前記質問それぞれが一覧表示された回数の平均値及び標準偏差の少なくとも一方に基づいて決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理プログラム。
【請求項3】
前記第2の所定値は、前記質問それぞれの前記割合の平均値及び標準偏差の少なくとも一方に基づいて決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理プログラム。
【請求項4】
前記第1の所定値及び前記第2の所定値は、一覧表示の対象としない質問の数又は前記記憶部から削除する質問と回答の組み合わせの数に基づいて決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理プログラム。
【請求項5】
一覧表示可能な質問の数に制限が設けられている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報管理プログラム。
【請求項6】
質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得し、
前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得し、
前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報管理方法。
【請求項7】
質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得するとともに、前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得する取得部と、
前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する管理部と、
を備える情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理プログラム、情報管理方法及び情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
問い合わせに自動応答するシステムとしてチャットボットが知られている(例えば特許文献1等参照)。チャットボットによる自動応答を実現するためには、多数のFAQ(Frequently Asked Questions)を作成しておく必要がある。また、新商品がリリースされた場合や回答のない問い合わせがある度にFAQを新規追加する必要がある。
【0003】
FAQは人手で作成する場合もあるが、対話ログから自動的に作成する場合もある(例えば特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-139746号公報
【特許文献2】特開2020-071690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようにFAQを追加していくと、FAQの増加に伴って検索精度が低下し、適切なFAQをユーザに提供できなくなるおそれがある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、記憶部に記憶されている質問と回答の組み合わせを適切に管理することができる情報管理プログラム、情報管理方法及び情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様では、情報管理プログラムは、質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得し、前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得し、前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
記憶部に記憶されている質問と回答の組み合わせを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る情報提供システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2(a)は、サーバのハードウェア構成の一例を示す図であり、図2(b)は、ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】サーバの機能ブロック図である。
図4】FAQ格納部のデータ構造の一例を示す図である。
図5】表示・選択テーブルのテーブル構造の一例を示す図である。
図6】FAQ提示部の処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7(a)、図7(b)は、チャットでの問い合わせの画面を示す図(その1)である。
図8図8(a)、図8(b)は、チャットでの問い合わせの画面を示す図(その2)である。
図9】FAQ管理部の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】FAQをグラフ上にプロットした状態を示す図である。
図11図11(a)、図11(b)は、図9のステップS56の処理を説明するための図である。
図12】変形例1に係るFAQ管理部の処理を示すフローチャートである。
図13図12のステップS154の処理について説明するための図である。
図14図14(a)は、変形例3に係る処理ログの一例を示す図であり、図14(b)は、変形例3に係るFAQ管理部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について、図1図11に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1には、一実施形態に係る情報提供システム100の構成が概略的に示されている。図1に示すように、情報提供システム100は、情報管理装置としてのサーバ10と、ユーザ端末70と、を備える。サーバ10とユーザ端末70は、インターネットなどのネットワーク80に接続されている。
【0012】
サーバ10は、企業等からユーザに提供するサービスや商品などに関するFAQ(Frequently Asked Questions)を管理するとともに、ユーザからの問い合わせに基づいてFAQを検索し、検索されたFAQをユーザに提供する装置である。
【0013】
図2(a)には、サーバ10のハードウェア構成の一例が示されている。図2(a)に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、ストレージ(HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはストレージ96に格納されているプログラム(情報管理プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、図3に示す各部の機能が実現される。なお、図3の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0014】
図3には、サーバ10の機能ブロック図が示されている。サーバ10においては、CPU90がプログラムを実行することにより、FAQ作成・取得部20、FAQ提示部22、FAQ管理部24、としての機能が実現されている。なお、図3には、ストレージ96等に格納されているFAQ格納部30、表示・選択テーブル32についても図示されている。
【0015】
FAQ作成・取得部20は、上記特許文献2のように対話ログ(例えばオペレータと客の対話ログ)から自動的にFAQを作成したり、サーバ10の管理者が作成(手入力)したFAQを取得する。なお、FAQ作成・取得部20は、その他の方法、例えば商品マニュアル等を学習する方法などにより、FAQを作成してもよい。FAQ作成・取得部20は、作成または取得したFAQをFAQ格納部30に格納する。
【0016】
ここで、FAQ格納部30は、図4に示すようなデータ構造を有する。図4に示すように、FAQ格納部30においては、「ID」に紐づけて、「質問」、「回答」、「カテゴリ」、「ステータス」の情報が格納されている。「ID」は、FAQごとに付与される識別情報であり、「質問」及び「回答」は、質問の具体的内容と当該質問に対応する回答の具体的内容との組み合わせの情報である。「カテゴリ」は、質問及び回答の種別(何に関する質問及び回答かを示す情報)であり、「ステータス」は、質問及び回答を公開中であるか非公開であるかを示す情報である。
【0017】
FAQ提示部22は、ユーザ端末70を利用するユーザとの間で会話形式により情報のやり取りを行い、ユーザの問い合わせ内容を取得する(図7(a)、図7(b)参照)。また、FAQ提示部22は、取得した問い合わせ内容に対応する質問をFAQ格納部30から検索し、検索された質問を一覧表示する画面(図8(a)参照)をユーザ端末70に提供する。更に、FAQ提示部22は、質問を一覧表示する画面においてユーザが選択した質問(ユーザが回答を閲覧したい質問)の情報を取得し、選択した質問と回答の組み合わせを表示する画面(図8(b)参照)をユーザ端末70に提供する。すなわち、FAQ提示部22は、FAQチャットボットとしての機能を有する。
【0018】
また、FAQ提示部22は、各質問について、一覧表示の画面(図8(a))に表示した回数と、一覧表示の画面においてユーザによって選択された回数と、を表示・選択テーブル32において管理する。
【0019】
図5には、表示・選択テーブル32の具体的なテーブル構造の一例が示されている。図5に示すように、表示・選択テーブル32には、「ID」に紐づけて、「表示回数」、「選択回数」及び「選択率」が格納されている。「選択率」は、一覧表示された回数のうち、ユーザによって選択された回数の割合を意味し、次式(1)から算出される値である。
選択率=(選択回数/表示回数)×100 …(1)
【0020】
なお、表示・選択テーブル32には、FAQ格納部30においてステータスが「公開中」であるFAQの情報のみが格納されているものとする。すなわち、ステータスが「非公開」のFAQの情報については削除されるものとする。
【0021】
また、表示・選択テーブル32には、表示回数の「平均値」と「標準偏差」、及び選択率の「平均値」と「標準偏差」も格納されている。表示・選択テーブル32の上からi番目のFAQの表示回数をxi、表示・選択テーブル32に含まれるFAQの数(IDの数)をnとすると、表示回数の平均値と、表示回数の標準偏差は、次式(2)、(3)にて算出される。
【0022】
【数1】
【0023】
【数2】
【0024】
また、表示・選択テーブル32の上からi番目の選択率をyi、表示・選択テーブル32に含まれるFAQの数(IDの数)とすると、選択率の平均値と、選択率の標準偏差は、次式(4)、(5)にて算出される。
【0025】
【数3】
【0026】
【数4】
【0027】
FAQ管理部24は、所定タイミングで(例えば所定時間ごとに)、FAQ格納部30に格納されている各FAQのステータスを「公開中」にするか、「非公開」にするかを判定し、判定結果に基づいてFAQ格納部30を更新する。FAQ管理部24の具体的な処理については、後述する。
【0028】
図1に戻り、ユーザ端末70は、ユーザが利用可能な端末である。ユーザは、企業等が提供しているサービスや商品等に関するFAQを参照したい場合に、ユーザ端末70を用いて企業等のwebサイト(図7(a)の画面)にアクセスし、参照したいFAQに関する情報(問い合わせ内容)を入力する。
【0029】
図2(b)には、ユーザ端末70のハードウェア構成の一例が示されている。図2(b)に示すように、ユーザ端末70は、CPU190、ROM192、RAM194、ストレージ196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195等を備えている。表示部193は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、入力部195は、タッチパネル、キーボード、マウス等を含む。これらユーザ端末70の構成各部は、バス198に接続されている。
【0030】
(サーバ10の処理について)
以下、サーバ10の処理について、図6図9のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。図6は、FAQ提示部22の処理を示すフローチャートであり、図9は、FAQ管理部24の処理を示すフローチャートである。
【0031】
(FAQ提示部22の処理)
以下、図6に基づいて、FAQ提示部22の処理について、説明する。
【0032】
図6の処理が開始されると、まず、ステップS10において、FAQ提示部22は、チャットでの問い合わせの画面(図7(a))に対するユーザからのアクセスがあるまで待機する。ユーザからのアクセスがあった段階で、FAQ提示部22は、ステップS12に移行する。
【0033】
ステップS12に移行すると、FAQ提示部22は、チャットでの問い合わせの画面(図7(a))をユーザ端末70に送信し、ユーザ端末70の表示部193上に表示する。図7(a)の画面は、対話形式でユーザに問い合わせの内容を入力させるための画面である。例えば、図7(a)には、「下記のカテゴリより、お問い合わせ内容を選択してください。」とのメッセージと、複数のカテゴリ(「手配方法」、「サービス内容」、「その他」)のボタンが設けられている。ユーザは、自己の問い合わせの内容に対応するカテゴリのボタンを選択する。例えば、ユーザが、「手配方法」のボタンを選択すると、FAQ提示部22は、図7(b)に示すようにチャットでの問い合わせの画面を更新する。図7(b)の画面には、「下記より、お問い合わせ内容を選択して下さい。」とのメッセージと、問い合わせ内容の選択肢として「ユーザ登録」、「解約」、「契約延長」のボタンが追加されている。ユーザが、図7(b)の画面において、「ユーザ登録」、「解約」、「契約延長」のボタンのうちのいずれかを押すと、ステップS14に移行する。
【0034】
ステップS14に移行すると、FAQ提示部22は、ユーザが選択したボタンの内容(問い合わせの内容)に基づいて、FAQ格納部30を検索する。例えば、ユーザが押したボタンが、「解約」のボタンの場合には、解約に関する質問が検索によりヒットするため、FAQ提示部22は、図8(a)のようにチャットでの問い合わせの画面にヒットした質問の全部または一部を検索結果として一覧表示する。なお、FAQ提示部22が検索した結果、多数の質問がヒットした場合であっても、画面には予め設定された数(例えば4つや5つなど)しか質問を表示できないものとする。
【0035】
次いで、ステップS16において、FAQ提示部22は、表示・選択テーブル32において、一覧表示した各質問の表示回数を+1し、表示回数の平均値と標準偏差を更新する。図8(a)の場合には、FAQ提示部22は、画面に表示されている4つの質問の表示回数を+1する。また、FAQ提示部22は、表示・選択テーブル32に格納されている表示回数(xi)に基づいて、上式(2)、(3)より、表示回数の平均値と標準偏差を算出し、更新する。
【0036】
次いで、ステップS18において、FAQ提示部22は、問い合わせの画面内に一覧表示された質問の中からユーザが選択した質問と当該質問に対する回答をFAQ格納部30から取得し、画面表示する。例えば、ユーザが、図8(a)の問い合わせの画面において「xxxを解約したい。」を選択した場合には、FAQ提示部22は、図4のFAQ格納部30からID=1111の回答を取得し、図8(b)に示すような画面表示を行う。
【0037】
次いで、ステップS20において、FAQ提示部22は、表示・選択テーブル32において、選択された質問の選択回数を+1し、当該質問の選択率を更新するとともに、選択率の平均値と標準偏差を更新する。すなわち、上記の例では、FAQ提示部22は、表示・選択テーブル32のID=1111の選択回数を+1する。また、FAQ提示部22は、ID=1111の選択率を上式(1)から算出し、更新する。更に、FAQ提示部22は、表示・選択テーブル32内の全ての選択率の値(yi)を用いて、上式(4)、(5)から、選択率の平均値と標準偏差を算出し、更新する。
【0038】
その後は、ステップS10に戻る。ステップS10に戻った後は、ステップS10の判断が肯定される度に(ユーザからのアクセスがある度に)、ステップS12~S20の処理が実行されるようになっている。
【0039】
(FAQ管理部24の処理)
次に、図9に基づいて、FAQ管理部24の処理について説明する。図9の処理は、所定タイミングが到来する度に(所定時間が経過する度に)実行される処理である。ただし、これに限らず、図9の処理は、管理者によりメンテナンス開始の入力があったときや、FAQ格納部30においてステータスが「公開中」となっているFAQの数が所定以上になったときなどに実行されてもよい。
【0040】
図9の処理が開始されると、まず、ステップS50において、FAQ管理部24は、表示・選択テーブル32から、現在の表示回数の平均値、標準偏差及び選択率の平均値、標準偏差を取得する。例えば、表示・選択テーブル32からは、図5に示すように、表示回数の平均値=80、表示回数の標準偏差=10、選択率の平均値=20、選択率の標準偏差=5が取得されたものとする。
【0041】
次いで、ステップS52において、FAQ管理部24は、第1の所定値、第2の所定値を決定する。この第1の所定値及び第2の所定値は、FAQ格納部30に格納されているFAQのいずれを非公開にすべきかを判定するための基準値(閾値)である。本実施形態では、一例として、次式(6)、(7)から、第1の所定値及び第2の所定値を決定するものとする。
第1の所定値=表示回数の平均値+表示回数の標準偏差 …(6)
第2の所定値=選択率の平均値-選択率の標準偏差 …(7)
【0042】
例えば、表示回数の平均値=80、表示回数の標準偏差=10、選択率の平均値=20、選択率の標準偏差=5である場合には、第1の所定値は90、第2の所定値は15となる。
【0043】
次いで、ステップS54において、FAQ管理部24は、表示・選択テーブル32に格納されている各FAQの表示回数と選択率を取得し、横軸を表示回数、縦軸を選択率とするグラフ上にプロットする。図10には、各FAQをグラフ上にプロットした状態が示されている。
【0044】
ステップS56において、FAQ管理部24は、表示回数が第1の所定値以上で、選択率が第2の所定値以下であるFAQを特定し、FAQ格納部30において、特定したFAQのステータスを「非公開」に設定する。具体的には、FAQ管理部24は、図11(a)において、直線L1上又は直線L1よりも右側に位置し、直線L2上又は直線L2よりも下側に位置するFAQ(すなわち、直線L1、L2を座標軸とした場合の第4象限に位置するFAQ)を非公開にする。図11(b)は、非公開にするFAQを白抜き円で示した図である。これにより、表示回数が多いにも関わらず、ユーザによってあまり選択されないFAQを非公開にすることができる。
【0045】
なお、図11(b)の第1象限に位置するFAQは、表示回数が多く、かつ選択率が高いFAQであり、ユーザにとって有用なFAQ(ニーズの高いFAQ)であるといえる。また、第2象限に位置するFAQは、表示回数が少ないにもかかわらず、選択率が高いFAQである。この第2象限に位置するFAQは、第4象限に位置するFAQを削除することで、第1象限に移動する可能性が高いFAQである。また、第3象限に位置するFAQは、表示回数が少なく、かつ選択率も低いFAQである。この第3象限に位置するFAQは、表示回数を多くした場合に選択率が上がる可能性があるFAQである。表示回数が多くなった結果、選択率が上がれば、有用なFAQであるので、そのまま公開し続けることになる。一方、表示回数が多くなっても選択率が上がらなければ、第4象限に移動するため、次回以降の図9の処理により非公開になる。
【0046】
以上により、図9の全処理が終了する。なお、図9の処理が終了した後も、所定のタイミングが到来する度に、図9の処理が繰り返されるようになっている。本実施形態では、定期的に、FAQのうち表示回数が多いのにあまり選択されないFAQを非公開にすることができるので、公開中のFAQの数が増大することによる検索精度の低下を抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、FAQ管理部24により、各質問が検索結果として一覧表示された回数(表示回数)を取得するとともに、一覧表示の中から選択された回数の割合(選択率)を取得する取得部としての機能が実現されている。また、FAQ管理部24により、表示回数が第1の所定値以上であり、選択率が第2の所定値以下である質問を、一覧表示の対象としない(非公開にする)管理部としての機能が実現されている。また、FAQ管理部24により、第1の所定値を決定する第1決定部及び第2の所定値を決定する第2決定部としての機能が実現されている。
【0048】
以上詳細に説明したように、本実施形態によると、FAQ管理部24は、質問が検索結果として一覧表示された回数(表示回数)と、一覧表示の中から選択された回数の割合(選択率)を、質問それぞれについて取得する。また、FAQ管理部24は、FAQ格納部30において、表示回数が第1の所定値以上であり、かつ、選択率が第2の所定値以下である質問と回答の組み合わせ(図11(b)の白抜き円で示すFAQ)のステータスを「非表示」とする。このようにすることで、FAQ格納部30においてステータスが「公開中」であるFAQの数が増大するのを抑制することができるので、FAQ提示部22による検索精度の低下を抑制することができる。したがって、ユーザの問い合わせ内容に対応する適切な質問をチャットでの問い合わせの画面(図8(a))に一覧表示することができる。すなわち、ユーザが問い合わせした内容をFAQで解決できる割合(解決率)を高めることができる。ここで、本実施形態においては、FAQ提示部22が問い合わせ内容に基づいてFAQ格納部30を検索した結果、ヒットしたFAQの一部しか一覧表示できない場合がある。したがって、表示回数が少ないだけで非公開としてしまうと、ユーザにとって有用なFAQが非公開になってしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、表示回数が多いにもかかわらず、選択率が低いFAQを非公開とすることにより、ユーザにとっての有用性(重要度)が低いFAQを非公開とすることができるようになっている。
【0049】
また、本実施形態では、第1の所定値を、表示回数の平均値と標準偏差に基づいて決定するので、第1の所定値として、統計情報に基づく適切な値を設定することができる。また、本実施形態では、第2の所定値を、選択率の平均値と標準偏差に基づいて決定するので、第1の所定値として、統計情報に基づく適切な値を設定することができる。
【0050】
なお、第1の所定値は、表示回数の平均値と標準偏差の少なくとも一方に基づいて決定してもよい。また、第2の所定値は、選択率の平均値と標準偏差の少なくとも一方に基づいて決定してもよい。また、第1の所定値と第2の所定値はその他の方法により決定してもよい。例えば、管理者が、第1の所定値と第2の所定値を手動で決定してもよいし、以下の変形例1のようにして、第1の所定値と第2の所定値を決定してもよい。
【0051】
(変形例1)
図12は、変形例1に係るFAQ管理部24の処理を示すフローチャートである。図12の例では、ステップS150において、FAQ管理部24は、予め設定されているFAQ総数を取得する。例えば、管理者は、FAQ格納部30において管理しているFAQのうち、ステータスが「公開中」のFAQの総数(限度数)を予め定めているものとする。FAQ管理部24は、FAQ総数としてm(例えばm=1000など)を取得したとする。
【0052】
次いで、ステップS152において、FAQ管理部24は、表示・選択テーブル32に格納されているFAQ(公開中のFAQ)それぞれの表示回数と選択率を取得し、各FAQをグラフ上にプロットする。これにより、図10に示すように、グラフ上にFAQがプロットされる。なお、ここでは、グラフ上にFAQがt個(t=1200など)プロットされたものとする。
【0053】
次いで、ステップS154において、FAQ管理部24は、取得したFAQ総数に基づいて第1の所定値、第2の所定値を決定する。具体的にはFAQ管理部24は、グラフの第4象限に(t-m)個のFAQが位置するように、第1の所定値と第2の所定値を決定する。なお、t=1200、m=1000の場合、(t-m)個は200個である。例えば、FAQ管理部24は、図13に示すように、直線L1’上又は直線L1’よりも右側に位置し、直線L2’上又は直線L2’よりも下側に位置するFAQが(t-m)個になるような、第1の所定値=a(回)、第2の所定値=b(%)を決定する。すなわち、FAQ管理部24は、図13において直線L1’、L2’を座標軸とした場合の第4象限に位置するFAQ(白塗り円で示すFAQ)の数が(t-m)個になるようにa,bを決定する。
【0054】
なお、FAQ管理部24は、第1の所定値と第2の所定値を決定する際に、いずれか一方の値を固定値としてもよい。例えば、第1の所定値を所定数(60回など)に固定した状態で、第4象限に位置するFAQの数が(t-m)個になるように、第2の所定値を調整するようにしてもよい。また、第2の所定値を所定数(15%など)に固定した状態で、第4象限に位置するFAQの数が(t-m)個になるように、第1の所定値を調整するようにしてもよい。また、直線L1’、L2’の交点が位置することが可能な範囲を制限してもよい。この場合、例えば、直線L1’、L2’の交点が位置することが可能な範囲を直線(線分)や曲線により規定してもよいし、面積を有する領域により規定してもよい。また、直線L1’、L2’を座標軸とした場合の第4象限に位置するFAQの数が(t-m)個になるようにa,bを決定した結果、a,bの組み合わせが複数存在する場合もある。このような場合には、aが最も大きい組み合わせ(又はaが最も小さい組み合わせ)を採用したり、bが最も大きい組み合わせ(又はbが最も小さい組み合わせ)を採用してもよいし、その他のルールに従って、a,bを決定してもよい。
【0055】
次いで、ステップS156において、FAQ管理部24は、表示回数が第1の所定値以上で、選択率が第2の所定値以下のFAQ(グラフの第4象限に位置するFAQ)を特定し、FAQ格納部30においてステータスを非公開に設定する。
【0056】
以上により、図12の処理が終了する。本変形例では、ステータスが公開中になっているFAQの数を予め定められているFAQ総数(限度数)とすることができる。これにより、FAQ提示部22による検索精度を高く維持することができる。
【0057】
なお、本変形例1においては、FAQ管理部24により、一覧表示の対象としない(非公開とする)FAQの数(t-m)に基づいて第1の所定値と第2の所定値とを決定する第3決定部としての機能が実現されている。
【0058】
(変形例2)
なお、上記実施形態及び変形例1では、FAQ管理部24は、図9のステップS56及び図12のステップS156において、第4象限に位置するFAQのステータスを「非公開」に設定する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、FAQ管理部24は、第4象限に位置するFAQをFAQ格納部30(及び表示・選択テーブル32)から削除してもよい。
【0059】
(変形例3)
なお、上記実施形態では、FAQ提示部22が、表示・選択テーブル32(図5)に表示回数や選択率を記録するとともに、表示回数や選択率の平均値や標準偏差を算出する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、FAQ提示部22は、表示・選択テーブル32(図5)の代わりに、図14(a)に示すような処理ログを記録してもよい。図14(a)の処理ログにおいては、FAQ提示部22が一覧表示した質問のIDと、一覧表示した質問のうち、ユーザによって選択された質問のIDと、が紐づけて記録される。例えば、図14(a)の一番上の行であれば、ID=1677,1668,1713の3つの質問が図8(a)の画面に一覧表示されたこと、及びユーザがID=1668の質問を選択したという情報が記録されていることになる。
【0060】
この場合、FAQ管理部24は、図14(b)に示すような処理を実行する。具体的には、図9のステップS50の代わりに、ステップS50A、S50Bを実行する。
【0061】
図9の処理が開始されると、まず、ステップS50Aにおいて、FAQ管理部24は、処理ログ(図14(a))から、各IDの表示回数、選択数を特定するとともに、上式(1)から選択率を算出し、表示・選択テーブル32に格納する。次いで、ステップS50Bにおいて、FAQ管理部24は、表示回数と選択回数それぞれの平均値と標準偏差を上式(2)~(5)から算出し、表示・選択テーブル32に格納する。
【0062】
その後は、FAQ管理部24は、ステップS52以降の処理を第1の実施形態と同様に実行する。このようにしても、上記実施形態と同様にFAQを適切に管理することができる。
【0063】
なお、上記実施形態及び変形例においては、直線L1、L2(又はL1’、L2’)を座標軸とした場合の第4象限に位置するFAQを特定する際に、直線上のFAQも第4象限に位置するものとして扱ったが、これに限られるものではない。直線上のFAQは、第4象限に位置しないものとして扱ってもよい。
【0064】
なお、上記実施形態及び変形例においては、直線L1、L2(又はL1’、L2’)を座標軸とした場合の第4象限に位置するFAQは、無条件で、非公開又は削除の対象とすることとしたが、これに限られるものではない。例えば、管理者がユーザにとって有用と判断したFAQについては、非公開又は削除の対象から除外してもよい。
【0065】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0066】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0067】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0068】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0069】
なお、以上の実施形態及び変形例の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得し、
前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得し、
前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報管理プログラム。
(付記2) 前記第1の所定値は、前記質問それぞれが一覧表示された回数の平均値及び標準偏差の少なくとも一方に基づいて決定する、ことを特徴とする付記1に記載の情報管理プログラム。
(付記3) 前記第2の所定値は、前記質問それぞれの前記割合の平均値及び標準偏差の少なくとも一方に基づいて決定する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の情報管理プログラム。
(付記4) 前記第1の所定値及び前記第2の所定値は、一覧表示の対象としない質問の数又は前記記憶部から削除する質問と回答の組み合わせの数に基づいて決定する、ことを特徴とする付記1に記載の情報管理プログラム。
(付記5) 一覧表示可能な質問の数に制限が設けられている、ことを特徴とする付記1~4のいずれかに記載の情報管理プログラム。
(付記6) 質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得し、
前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得し、
前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報管理方法。
(付記7) 質問と、該質問に対する回答との組み合わせに関する情報が記憶された記憶部を検索した結果、各質問が検索結果として一覧表示された回数を取得するとともに、前記検索結果として一覧表示された回数のうち一覧表示の中から選択された回数の割合を、前記質問それぞれについて取得する取得部と、
前記一覧表示された回数が第1の所定値以上であり、かつ、前記割合が第2の所定値以下である質問を一覧表示の対象としない又は当該質問と回答の組み合わせを前記記憶部から削除する管理部と、
を備える情報管理装置。
(付記8) 前記質問それぞれが一覧表示された回数の平均値及び標準偏差の少なくとも一方に基づいて前記第1の所定値を決定する第1決定部を備える付記7に記載の情報管理装置。
(付記9) 前記質問それぞれの前記割合の平均値及び標準偏差の少なくとも一方に基づいて前記第2の所定値を決定する第2決定部を備える付記7又は8に記載の情報管理装置。
(付記10) 一覧表示の対象としない質問の数又は前記記憶部から削除する質問と回答の組み合わせの数に基づいて前記第1の所定値及び前記第2の所定値を決定する第3決定部を備える付記7に記載の情報管理装置。
(付記11) 一覧表示可能な質問の数に制限が設けられている、ことを特徴とする付記7~10のいずれかに記載の情報管理装置。
【符号の説明】
【0070】
10 サーバ(情報管理装置)
20 FAQ作成・取得部
22 FAQ提示部
24 FAQ管理部(取得部、管理部、第1決定部、第2決定部、第3決定部)
70 ユーザ端末
100 情報提供システム
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