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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175917
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20241212BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
E06B1/18 X
E06B1/18 Y
E06B1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094016
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 猛
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011DA01
2E011DA03
2E011DA10
2E011DB04
2E011DC00
(57)【要約】
【課題】製造コストの増大や外形寸法の大型化を抑える。
【解決手段】内部にパネル24,P2が配設された枠体10A,10Cを相互に並設した状態で連結することにより構成され、枠体10Aでは、パネル24の室外に臨む表面の縁部分を支持する押縁25及び縦框23の内周側縁部25a,23bが、それぞれ見込み方向において縦枠15の室内に臨む見付け面の内周側に位置する縁部15mと同一、かつ縦枠14の内周側に位置する縁部14fよりも外周側に配置され、枠体10A,10Cの相互に隣接する縦枠15,44には、それぞれ互いに対向する見込み面から見付け方向に延在した後に屈曲して見込み方向に延在する係合片15i,44iが設けられ、隣接する縦枠15,44は、一方の縦枠44に設けられた係合片44iと見込み面との間に、他方の縦枠15に設けられた係合片15iを係合させることによって互いに離反する方向への移動が阻止されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にパネルが配設された枠体を相互に並設した状態で連結することにより構成される建具であって、
少なくとも前記枠体の一方では、前記パネルの室外に臨む表面の縁部分を支持する形材の内周側に位置する第1内周側縁部及び前記パネルの室内に臨む表面の縁部分を支持する形材の内周側に位置する第2内周側縁部が、それぞれ見込み方向において枠材の室内に臨む見付け面の内周側に位置する枠材縁部と同一、もしくは前記枠材縁部よりも外周側に配置され、
枠体の相互に隣接する枠材には、それぞれ互いに対向する見込み面から見付け方向に延在した後に屈曲して見込み方向に延在する係合片が設けられ、
前記隣接する枠材は、一方の枠材に設けられた前記係合片と見込み面との間に、他方の枠材に設けられた前記係合片を係合させることによって互いに離反する方向への移動が阻止されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記係合片は、前記枠体の室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分に設けられ、前記一方の枠材と前記他方の枠材との間において前記係合片の室外に臨む部分にはシール材を充填するための凹部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記一方の枠材及び前記他方の枠材は、それぞれ見込み方向に沿って延在する平板状の基壁部を有し、前記基壁部の外周側となる見込み面を互いに対向させた状態で相互に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記枠体の一方には、前記枠材の基壁部において内周側となる見込み面と、前記パネルを支持する框材において前記パネルの外周面に対向する見込み壁部の外周側となる見込み面との間に、調整用隙間が確保されていることを特徴とする請求項3に記載の建具。
【請求項5】
前記係合片は、前記枠体の室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分に設けられ、前記一方の枠材と前記他方の枠材との間において前記係合片の室外に臨む部分にはシール材を充填するための凹部が設けられ、
前記調整用隙間の見付け方向に沿った寸法は、前記凹部の見付け方向に沿った寸法よりも大きく構成され、
単一の枠体の両側にそれぞれ前記一方の枠材を介して前記調整用隙間を有した枠体がそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項4に記載の建具。
【請求項6】
前記一方の枠材及び前記他方の枠材には、それぞれ前記係合片よりも室内側に位置する部分に互いに見込み方向に重なる重合片が設けられ、
少なくとも前記重合片の一方には、規定面が設けられ、
前記規定面は、前記重合片の他方が設けられた枠材の見込み面に当接されていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記重合片には、嵌合部が設けられ、
前記嵌合部は、前記規定面が前記重合片の他方が設けられた枠材の見込み面に当接した場合に嵌合することにより、前記重合片の見込み方向に沿った相対移動を規制することを特徴とする請求項6に記載の建具。
【請求項8】
前記枠体は、左右に並設された状態で隣接する縦枠を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するもので、より詳細には連窓や段窓等のように複数の枠体を相互に連結することによって構成される建具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建具としては、並設する枠体の間に縦骨部材や方立部材を介在させ、これらの縦骨部材や方立部材にそれぞれの枠体の縦枠を連結するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-54546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの建具では、縦枠の相互間に縦骨部材や方立部材が介在するため、製造コストが増大するばかりでなく外形寸法が大型化する事態を招来する懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストの増大や外形寸法の大型化を抑えることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、内部にパネルが配設された枠体を相互に並設した状態で連結することにより構成される建具であって、少なくとも前記枠体の一方では、前記パネルの室外に臨む表面の縁部分を支持する形材の内周側に位置する第1内周側縁部及び前記パネルの室内に臨む表面の縁部分を支持する形材の内周側に位置する第2内周側縁部が、それぞれ見込み方向において枠材の室内に臨む見付け面の内周側に位置する枠材縁部と同一、もしくは前記枠材縁部よりも外周側に配置され、枠体の相互に隣接する枠材には、それぞれ互いに対向する見込み面から見付け方向に延在した後に屈曲して見込み方向に延在する係合片が設けられ、前記隣接する枠材は、一方の枠材に設けられた前記係合片と見込み面との間に、他方の枠材に設けられた前記係合片を係合させることによって互いに離反する方向への移動が阻止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、見込み方向に沿った係合片を相互に係合させることによって隣接する枠体の互いに離反する方向の移動を阻止することができるため、縦骨部材や方立部材を要することなく並設された枠体を相互に連結することが可能となり、製造コストや外形寸法が増大する事態を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た姿図である。
図2図1に示した建具を構成する第1段窓の縦断面図である。
図3図1に示した建具を構成する第2段窓の縦断面図である。
図4図1に示した建具を構成する上方の連窓の横断面図である。
図5図1に示した建具を構成する下方の連窓の横断面図である。
図6図4に示した連窓の要部を示すもので、(a)は分解横断面図、(b)は横断面図である。
図7図5に示した連窓の要部を示すもので、(a)は分解横断面図、(b)は横断面図である。
図8図1に示した建具の要部を示すもので、(a)は一方の枠材の重合片と他方の枠材の重合片とを重ね合わせる前の分解横断面図、(b)は一方の枠材と他方の枠材とを近接させた状態の分解横断面図、(c)は一方の枠材の重合片と他方の枠材の重合片とを重ね合わせた状態の横断面図である。
図9】(a)は本発明の変形例1である建具の要部横断面図、(b)は比較のために示した実施の形態の建具の要部断面図である。
図10】本発明の変形例2である建具の要部を示すもので、(a)は分解横断面図、(b)は横断面図である。
図11】本発明の変形例3である建具の要部を示すもので、(a)は分解横断面図、(b)は横断面図である。
図12】本発明の変形例4である建具の要部を示す横断面図である。
図13】本発明の変形例5である建具の要部を示すもので、(a)は分解縦断面図、(b)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
(全体概要)
図1図7は、本発明の実施の形態である建具を示すものである。ここで例示する建具は、上方の縦すべり出し窓M11と下方のFIX窓(以下、区別する場合に第1FIX窓M12という)とを備えた第1段窓W1と、上方のFIX窓(以下、区別する場合に第2上方FIX窓M21という)と下方のFIX窓(以下、区別する場合に第2下方FIX窓M22)とを備えた第2段窓W2とを備え、第2段窓W2の両側にそれぞれ第1段窓W1を互いに対称となる向きに連結して構成した2段窓×3連窓となるものである。第1段窓W1は、第1上枠11、第1無目12、第1下枠13、左右の第1縦枠(枠材)14,15を備え、第1上枠11、第1無目12、第1縦枠14,15によって構成される上方の枠体10Aの内部に障子20及び網戸30を配設することによって縦すべり出し窓M11が構成してあり、第1無目12、第1下枠13、第1縦枠14,15によって構成される下方の枠体10Bの内部に複層ガラス等のパネルP1を配設することによって第1FIX窓M12が構成してある。障子20は、上框21、下框22、左右の縦框(形材)23,23を四周組みした框体の内部に複層ガラス等のパネル24を配設することによって構成したものである。上框21、左右の縦框23,23については、室外側に設けた押縁(形材)25との間にパネル24が支持してある。障子20の一方の縦框23には、操作ハンドル26が取り付けてある。網戸30は、左右の網戸縦框31,32の間に網状体33を折り畳み可能に配設したもので、一方の第1縦枠14の内部に収納することが可能である。第2段窓W2は、第2上枠41、第2無目42、第2下枠43、左右の第2縦枠(枠材)44,44を備え、第2上枠41、第2無目42、第2縦枠44,44によって構成される上方の枠体10Cの内部に複層ガラス等のパネルP2を配設することによって第2上方FIX窓M21が構成してあり、第2無目42、第2下枠43、第2縦枠44,44によって構成される下方の枠体10Dの内部に複層ガラス等のパネルP3を配設することによって第2下方FIX窓M22が構成してある。第1上枠11、第1無目12、第1下枠13、第1縦枠14,15、第2上枠41、第2無目42、第2下枠43、第2縦枠44,44は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0011】
(第1段窓W1)
第1上枠11は、上基壁部11a、上パネルカバー壁部11b、上戸当り壁部11c、上網戸カバー壁部11d、上内方見付け壁部11eを有したものである。上基壁部11aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。上パネルカバー壁部11bは、上基壁部11aの室外側に位置する縁部から上方に延在した後に室外に向けて見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。上パネルカバー壁部11bにおいて室外側に位置する縁部には、上方に向けて見付け方向に延在した上見付け壁部11fが設けてある。上パネルカバー壁部11bの下面において室内側に位置する部分には、上方シール部材11gが装着してある。上戸当り壁部11cは、上基壁部11aの室内側に位置する縁部から下方に向けて見付け方向に延在したものである。上戸当り壁部11cの延在縁部において室外に臨む部分には、シール装着部11hを介して内方シール部材S1が装着してある。上網戸カバー壁部11dは、上戸当り壁部11cの室内に臨む見付け面において上基壁部11aよりもわずかに下方となる部分から室内に向けてほぼ水平に延在したものである。上内方見付け壁部11eは、上網戸カバー壁部11dの室内側に位置する縁部から上下に向けて見付け方向に延在したものである。上内方見付け壁部11eの下方への突出寸法は、上戸当り壁部11cの突出寸法とほぼ等しい。
【0012】
第1無目12は、中基壁部12a、中パネルカバー壁部12b、中戸当り壁部12c、中網戸カバー壁部12d、中内方見付け壁部12e、中内方パネル挟持壁部12fを有したものである。中基壁部12a、中パネルカバー壁部12b、中戸当り壁部12c、中網戸カバー壁部12d、中内方見付け壁部12eは、それぞれ第1上枠11の上基壁部11a、上パネルカバー壁部11b、上戸当り壁部11c、上網戸カバー壁部11d、上内方見付け壁部11eに対応するものである。中基壁部12aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。中パネルカバー壁部12bは、中基壁部12aの室外側に位置する縁部から下方に延在した後に室外側に向けて見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。中パネルカバー壁部12bの下方となる見込み面には、室外側となる部分に押縁(形材)12gが装着してある。押縁12gは、中パネルカバー壁部12bに沿って延在する取付部12hと、取付部12hの室外側となる縁部から下方に向けて延在するパネル挟持部12iとを有したもので、アルミニウム合金等の金属によって成形してある。中戸当り壁部12cは、中基壁部12aの室内側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。中戸当り壁部12cの中基壁部12aからの突出寸法は、上戸当り壁部11cの上基壁部11aからの突出寸法とほぼ等しい。中戸当り壁部12cの延在縁部において室外に臨む部分には、シール装着部12jを介して内方シール部材S1が装着してある。中網戸カバー壁部12dは、中戸当り壁部12cの室内に臨む見付け面において中基壁部12aよりもわずかに上方となる部分から室内に向けてほぼ水平に延在したものである。中内方見付け壁部12eは、中網戸カバー壁部12dの室内側に位置する縁部から上下に向けて見付け方向に延在したものである。中内方見付け壁部12eの上方への突出寸法は、中戸当り壁部12cの突出寸法とほぼ等しい。中内方パネル挟持壁部12fは、中パネルカバー壁部12bの下方となる見込み面において室内側となる部分から下方に向けて見付け方向に延在したものである。中内方パネル挟持壁部12fの中パネルカバー壁部12bからの突出寸法は、押縁12gのパネル挟持部12iとほぼ同じである。中内方パネル挟持壁部12fの延在縁部から中内方見付け壁部12eの下縁部までの間には、中見込み壁部12kによって無目中空部12mが構成してある。
【0013】
第1下枠13は、下基壁部13a、下内方見付け壁部13b、下内方パネル挟持壁部13c、下外方パネル挟持壁部13dを有したものである。下基壁部13aは、第1無目12の中基壁部12a、中パネルカバー壁部12b、中網戸カバー壁部12dに対応するものである。下内方見付け壁部13b、下内方パネル挟持壁部13c、下外方パネル挟持壁部13dは、それぞれ第1無目12の中内方見付け壁部12e、中内方パネル挟持壁部12f、押縁12gのパネル挟持部12iに対応するものである。下基壁部13aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。下内方見付け壁部13bは、下基壁部13aの室内側に位置する縁部から上下に向けて見付け方向に延在したものである。下内方パネル挟持壁部13cは、下基壁部13aの上方となる見込み面において中内方パネル挟持壁部12fに対応する部分から上方に向けて見付け方向に延在したものである。下内方パネル挟持壁部13cの延在縁部から下内方見付け壁部13bの上縁部までの間には、下見込み壁部13eによって下中空部13fが構成してある。下外方パネル挟持壁部13dは、下基壁部13aの室外側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。下外方パネル挟持壁部13dの下基壁部13aからの突出寸法は、下内方パネル挟持壁部13cの突出寸法とほぼ同じである。
【0014】
建具の外周側に配置される第1縦枠(以下、区別する場合に第1外縦枠14という)及び第2段窓W2の第2縦枠44に連結される第1縦枠(以下、区別する場合に第1内縦枠15という)は、第1段窓W1の縦すべり出し窓M11から第1FIX窓M12までの間にそれぞれ一連となるように配設してある。
【0015】
第1外縦枠14は、外基壁部14a、外戸当り壁部14b、外枠内方見付け壁部14cを有したものである。外基壁部14aは、第1下枠13の下基壁部13aに対応するものである。外戸当り壁部14b、外枠内方見付け壁部14cは、それぞれ第1上枠11の上戸当り壁部11c、上内方見付け壁部11eに対応するものである。外基壁部14aは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在するものである。外基壁部14aの内周側となる見込み面において室外側となる縁部には、アタッチメントフック14dが設けてある。アタッチメントフック14dは、内周側に向けて突出した後に室内側に向けて屈曲したものである。外戸当り壁部14bは、外基壁部14aの内周側となる見込み面において第1上枠11の上戸当り壁部11cに対応する部分から内周側に向けて延在したものである。外戸当り壁部14bの外基壁部14aからの突出寸法は、上戸当り壁部11cの上基壁部11aからの突出寸法より大きく設定してある。外戸当り壁部14bの室外に臨む見付け面においてほぼ中間となる部分には、第1無目12よりも上方となる部分にのみシール装着部14eを介して内方シール部材S1が装着してある。外枠内方見付け壁部14cは、外基壁部14aの室内側に位置する縁部から内周側及び外周側に向けて見付け方向に延在したものである。外枠内方見付け壁部14cの内周側への突出寸法は、外戸当り壁部14bの突出寸法とほぼ等しい。
【0016】
第1内縦枠15は、内基壁部15a、内戸当り壁部15b、内枠内方見付け壁部15cを有したものである。内基壁部15a、内戸当り壁部15b、内枠内方見付け壁部15cは、それぞれ第1外縦枠14の外基壁部14a、外戸当り壁部14b、外枠内方見付け壁部14cに対応するものである。内基壁部15aは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在するものである。内基壁部15aの内周側となる見込み面において室外側となる縁部には、第1外縦枠14と同様のアタッチメントフック15dが設けてある。内戸当り壁部15bは、内基壁部15aの内周側となる見込み面において第1外縦枠14の外戸当り壁部14bに対応する部分から内周側に向けて延在したものである。内戸当り壁部15bの内基壁部15aからの突出寸法は、上戸当り壁部11cの上基壁部11aからの突出寸法とほぼ等しい。内戸当り壁部15bの延在縁部において室外に臨む見付け面には、第1無目12よりも上方となる部分にのみシール装着部15eを介して内方シール部材S1が装着してある。内枠内方見付け壁部15cは、内基壁部15aの室内側に位置する縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。内枠内方見付け壁部15cの内周側への突出寸法は、内戸当り壁部15bの突出寸法とほぼ等しい。図からも明らかなように、本実施の形態の内枠内方見付け壁部15cは、板厚が外枠内方見付け壁部14cよりも大きく(図示の例ではほぼ3倍)構成してある。内枠内方見付け壁部15cの延在縁部において室内側となる部分には、内係止用突部15fが設けてある。内係止用突部15fは、内周側となる部分に係合凹部15g及び導入傾斜面15hを有したもので、室内側に向けて突出している。
【0017】
また、第1内縦枠15には、内基壁部15aの外周側となる見込み面に内方係合片15i及び内方重合片15jが設けてある。内方係合片15iは、内基壁部15aの室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分から外周側に向けて延在した後に屈曲し、室内側に向けて見込み方向に延在したものである。内方重合片15jは、内基壁部15aの室内側に位置する縁部よりも室外側となる部分から外周側に向けて延在したものである。内方重合片15jの内基壁部15aからの突出寸法は、内方係合片15iの突出寸法とほぼ等しい。内方重合片15jの室内に臨む見付け面において内基壁部15aとの連結部分に位置する部分には、嵌合溝部(嵌合部)15kが設けてある。
【0018】
上記のように構成した第1上枠11、第1無目12、第1下枠13、第1縦枠14,15を備える第1段窓W1では、第1上枠11、第1無目12、第1縦枠14,15によって上方の枠体10Aが構成されるとともに、第1無目12、第1下枠13、第1縦枠14,15によって下方の枠体10Bが構成される。
【0019】
上方の枠体10Aには、第1上枠11の上基壁部11aと障子20の上框21との間及び第1無目12の中基壁部12aと障子20の下框22との間にそれぞれフリクションステーと称されるリンク機構1を介在させることにより、室外に向けて開放可能となるように縦すべり出し窓M11が構成される。障子20を閉じ位置に配置した状態においては、枠体10Aの内周側となる四周の見込み面と、障子20の外周側となる四周の見込み面との間に互いにほぼ等しい隙間が確保されることになる。従って、第1上枠11、第1無目12、第1縦枠14,15のそれぞれに設けた内方シール部材S1が上框21、下框22、左右の縦框23,23の室内に臨む見付け面に一連となって当接した状態となる。また、第1上枠11と上框21の間には第1上枠11に設けた上方シール部材11gが介在し、かつ第1縦枠14,15と縦框23,23との間にはそれぞれ縦框23,23に設けた側方シール部材23a,23aが介在することになる。従って、室内外方向の水密性及び気密性を確保することができる。また、上方の枠体10Aにおいて障子20よりも室内側となる部分には、第1外縦枠14の外戸当り壁部14bと外枠内方見付け壁部14cとの間に折り畳み式の網戸30が収納してある。この網戸30を引き出せば、障子20を開放した状態で上方の枠体10Aを網状体33によって覆うことができ、虫等の異物が室内に進入する事態を招来することなく室内外の通気が可能となる。
【0020】
また、図からも明らかなように、第1内縦枠15においては、パネル24の室外に臨む表面の縁部分を支持する押縁25の内周側縁部(第1内周側縁部)25a及びパネル24の室内に臨む表面の縁部分を支持する縦框23の内周側縁部(第2内周側縁部)23bが、いずれも内枠内方見付け壁部15cのもっとも内周側に位置する縁部(枠材縁部)15mに対して、見込み方向に沿った同一の鉛直面上に位置している。同様に、第1外縦枠14においては、パネル24の室外に臨む表面の縁部分を支持する押縁25の内周側縁部25a及びパネル24の室内に臨む表面の縁部分を支持する縦框23の内周側縁部23bが、いずれも外枠内方見付け壁部14cのもっとも内周側に位置する縁部(枠材縁部)14fに対して、外周側に位置している。従って、室内側から見た場合に、障子20の縦框23,23や押縁25,25が第1縦枠14,15を越えて内周側に露出することがなく、外観品質の点で有利となる。
【0021】
一方、下方の枠体10Bには、第1外縦枠14及び第1内縦枠15にそれぞれアタッチメント16を装着し、これらのアタッチメント16と第1無目12、第1下枠13との間にパネルP1を配設することによって第1FIX窓M12が構成される。パネルP1の外形寸法は、上方の枠体10Aに配設した障子20のパネルP1とほぼ同じである。アタッチメント16は、左右で互いに対称形状となるもので、アタッチメント基板部16a、縦内方パネル挟持板部16b、支持板部16cを有している。アタッチメント基板部16a、縦内方パネル挟持板部16bは、それぞれ第1無目12の中パネルカバー壁部12b、中内方パネル挟持壁部12fに対応したものである。アタッチメント基板部16aは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在したものである。アタッチメント基板部16aには、押縁12gが装着してあるとともに、係合脚部16d及び固定脚部16eが設けてある。押縁12gは、第1無目12に設けたものと同様、取付部12h及びパネル挟持部12iを有したもので、アタッチメント基板部16aの内周側となる見込み面の室外側となる部分に装着してある。係合脚部16d及び固定脚部16eは、アタッチメント基板部16aの外周側となる見込み面から外周側に向けて見付け方向に延在したものである。係合脚部16dは、室外側となる部分から外周に向けて延在したものである。係合脚部16dの延在縁部には、第1縦枠14,15のアタッチメントフック14d,15dに係合可能となる係合爪部16fが室外側に向けて屈曲するように設けてある。固定脚部16eは、アタッチメント基板部16aの室内側となる縁部から外周側に向けて見付け方向に延在した後、室内側に向けて屈曲して延在している。係合脚部16d及び固定脚部16eのアタッチメント基板部16aからの突出寸法は互いにほぼ同じであり、かつ内方重合片15jの内基壁部15aからの突出寸法よりも大きく設定してある。また、係合脚部16d及び固定脚部16eの突出寸法(調整用隙間)L1は、上方の枠体10Aにおいて内基壁部15aの内周側となる見込み面と障子20の縦框23において室外側に位置する部分の外周側となる見込み面との間に確保される隙間(調整用隙間)d1とほぼ同じとなるように設定してある。縦内方パネル挟持板部16bは、アタッチメント基板部16aの室内側となる縁部から内周側に向けて延在したものである。縦内方パネル挟持板部16bのアタッチメント基板部16aからの突出寸法は、押縁12gのパネル挟持部12iとほぼ同じである。支持板部16cは、縦内方パネル挟持板部16bの内周側となる縁部から室内に向けて見込み方向に延在したものである。支持板部16cの延在縁部には、シール装着部14e,15eに係合可能となる係合部16gが設けてある。このアタッチメント16は、係合脚部16dの延在縁部を第1縦枠14,15のアタッチメントフック14d,15dに係合させるとともに、支持板部16cの係合部16gを第1縦枠14,15のシール装着部14e,15eに係合させ、さらに外基壁部14a及び内基壁部15aを介して固定脚部16eの延在縁部に固定ネジ16hを螺合することにより、それぞれの第1縦枠14,15において互いに対向する部分に取り付けてある。
【0022】
アタッチメント16を取り付けた下方の枠体10Bには、パネルP1の下縁部を第1下枠13の下内方パネル挟持壁部13cと下外方パネル挟持壁部13dとの間に建て込んだ後、第1無目12及び第1縦枠14,15のアタッチメント16,16にそれぞれに押縁12gを装着することによって第1FIX窓M12が構成される。第1無目12、第1下枠13、第1縦枠14,15においてパネルP1の表面に当接する部分には、それぞれシール部材S2が介在させてある。この第1FIX窓M12においても、パネルP1を支持するアタッチメント16及び押縁12gは、室内側から見た場合に、内周側に位置する縁部が第1内縦枠15の内枠内方見付け壁部15cや第1外縦枠14の外枠内方見付け壁部14cを越えて内周側に露出することがなく、外観品質の点で有利となる。
【0023】
また、上述したように、上方の枠体10Aにおいて障子20と第1内縦枠15との間に確保される隙間d1と、下方の枠体10Bにおいてアタッチメント基板部16aと第1内縦枠15との間に確保される隙間L1とは、互いにほぼ同じとなる。従って、上方の枠体10Aにおいて第1内縦枠15と障子20の縦框23との間に確保される隙間d1と、下方の枠体10Bにおいて第1内縦枠15とアタッチメント16のアタッチメント基板部16aとの間に確保される隙間L1とが第1無目12を挟んで同一の直線上に延在することになる。すなわち、上方の枠体10Aと下方の枠体10Bとで異なる窓種を上下に並設しているが、左右の第1縦枠14,15がそれぞれ同一の直線上に延在するとともに、パネルP1の縁部を支持する縦框23及び押縁25とアタッチメント16の押縁12gとが同一の見付け寸法をもって同一直線上に延在し、さらに第1内縦枠15と縦框23との間の隙間d1及び第1内縦枠15とアタッチメント16との間の隙間L1が同一の見付け寸法をもって同一の直線上に延在することになり、室外側から見た場合の外観品質の点で有利となる。
【0024】
(第2段窓W2)
第2上枠41は、上基壁部41a、上内方見付け壁部41b、上内方パネル挟持壁部41cを有したもので、見込み方向に沿った寸法が第1上枠11とほぼ同じとなるように構成してある。上基壁部41aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。上基壁部41aの上面において室外側に位置する縁部には、上溝構成壁部41dが設けてある。上溝構成壁部41dは、上基壁部41aから上方に向けて見付け方向に延在した後に室外に向けて見込み方向に延在し、さらに上方に向けて見付け方向に延在することにより、上基壁部41aの上方に、室外に開口する隙間用溝部41eを構成している。上基壁部41aの下方となる見込み面には、室外側となる部分に押縁12gが装着してある。押縁12gは、第1上枠11に設けたものと同様、取付部12h及びパネル挟持部12iを有したもので、パネル挟持部12iが上基壁部41aの内周側となる見込み面から下方に向けて見付け方向に延在している。上内方見付け壁部41bは、上基壁部41aの室内側に位置する縁部から上下に向けて見付け方向に延在したものである。上内方パネル挟持壁部41cは、上基壁部41aの下方となる見込み面において中心よりもやや室外側となる部分から下方に向けて見付け方向に延在したものである。上内方パネル挟持壁部41cの延在縁部から上内方見付け壁部41bの下縁部までの間には、上見込み壁部41fによって上中空部41gが構成してある。上内方パネル挟持壁部41cの上基壁部41aからの突出寸法は、押縁12gのパネル挟持部12iとほぼ同じである。図には明示していないが、第2上枠41は、第1上枠11に対して互いの上内方見付け壁部11e,41bを合致させた場合に、上基壁部41aが第1段窓W1の上框21とほぼ同じ高さに位置し、かつ上溝構成壁部41dにおいて見付け方向に延在する部分が第1上枠11の上パネルカバー壁部11bとほぼ同じ高さに位置するように構成してある。
【0025】
第2無目42は、中基部42a、中上部パネル挟持壁部42b、中下部パネルカバー壁部42cを有したものである。中基部42aは、異形の中空状を成すものである。すなわち、中基部42aは、室内に臨む部分、上方部分及び下方部分がそれぞれ平面上に延在する一方、室外に臨む部分の中央部が室外に向けて突出するようにハット型となっており、室外側の上隅縁部及び下隅縁部にそれぞれ窪み部42d,42eを有している。中上部パネル挟持壁部42bは、中基部42aにおいて室外側に突出した部分の上方部から室外に向けて見込み方向にほぼ水平に延在した後、上方に向けて見付け方向に延在したものである。中上部パネル挟持壁部42bの見付け方向に沿った寸法は、第1段窓W1の障子20において下框22の室外に臨む見付け面の寸法とほぼ同じである。中上部パネル挟持壁部42bの上縁は、中基部42aの上面とほぼ同じ位置である。中下部パネルカバー壁部42cは、中基部42aにおいて室外側に突出した部分の下方部から室外に向けて見込み方向にほぼ水平に延在したものである。中下部パネルカバー壁部42cと中上部パネル挟持壁部42bとの間には、第1段窓W1において上方の枠体10Aを構成する第1無目12の中パネルカバー壁部12bと、障子20の下框22において室外側に位置する部分の外周側となる見込み面との間に確保される隙間d2とほぼ同じ寸法d3が確保してある。中下部パネルカバー壁部42cの下方となる見込み面には、室外側となる部分に押縁12gが装着してある。押縁12gは、第2上枠41に設けたものと同様、取付部12h及びパネル挟持部12iを有したもので、パネル挟持部12iが中下部パネルカバー壁部42cの内周側となる見込み面から下方に向けて見付け方向に延在している。
【0026】
第2下枠43は、下基壁部13a、下内方見付け壁部13b、下内方パネル挟持壁部13c、下外方パネル挟持壁部13dを有したもので、第1下枠13と同一の断面形状を有するものを適用している。
【0027】
第2縦枠44,44は、左右で互いに対称形状となるもので、長手に沿った寸法が第1縦枠14,15とほぼ同じとなるように構成してある。図示の例では、縦基壁部44a、縦内方見付け壁部44b、縦内方パネル挟持板部44cを有してそれぞれの第2縦枠44,44が構成してある。縦基壁部44a、縦内方見付け壁部44b、縦内方パネル挟持板部44cは、それぞれ第2上枠41の上基壁部41a、上内方見付け壁部41b、上内方パネル挟持壁部41cに対応するものである。縦基壁部44aは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在するものである。縦基壁部44aの内周側となる見込み面には、室外側となる部分に押縁12gが装着してある。押縁12gは、第2上枠41に設けたものと同様、取付部12h及びパネル挟持部12iを有したもので、パネル挟持部12iが縦基壁部44aの内周側となる見込み面から内周側に向けて見付け方向に延在している。縦内方見付け壁部44bは、縦基壁部44aの室内側に位置する縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。図からも明らかなように、本実施の形態の縦内方見付け壁部44bは、板厚が縦基壁部44aよりも大きく(図示の例ではほぼ3倍)構成してある。縦内方見付け壁部44bの延在縁部において室内側となる部分には、縦係止用突部44dが設けてある。縦係止用突部44dは、第1内縦枠15の内係止用突部15fと対となるもので、内周側となる部分に係合凹部44e及び導入傾斜面44fを有し、室内側に向けて突出している。縦内方パネル挟持板部44cは、縦基壁部44aの内周側となる見込み面において下内方パネル挟持壁部13cに対応する部分から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。縦内方パネル挟持板部44cの延在縁部から縦内方見付け壁部44bの内周縁部までの間には、縦見込み壁部44gによって縦中空部44hが構成してある。縦内方パネル挟持板部44cの縦基壁部44aからの突出寸法は、押縁12gのパネル挟持部12iとほぼ同じである。
【0028】
また、第2縦枠44,44には、縦基壁部44aの外周側となる見込み面に縦係合片44i及び縦重合片44jが設けてある。縦係合片44iは、縦基壁部44aの室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分から外周側に向けて延在した後に屈曲し、室外側に向けて見込み方向に延在したもので、縦基壁部44aとの間に、第1内縦枠15の内方係合片15iを嵌合することのできる隙間を構成している。縦重合片44jは、縦基壁部44aの室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に突出したもので、縦係合片44iを内方係合片15iに嵌合させた場合に、第1内縦枠15の内方重合片15jに対して室内側から重ね合わせることができるように設けてある。縦重合片44jの板厚は、縦内方見付け壁部44bとほぼ同じであり、内方重合片15jに対して室内側から重ね合わせた場合に、縦内方見付け壁部44bの室内に臨む見付け面と、内枠内方見付け壁部15cの室内に臨む見付け面とが見付け方向に沿った同一の平面上に位置するように設定してある。またこのとき、縦基壁部44aの室外側に位置する縁部と内基壁部15aの室外側に位置する縁部とは、見付け方向に沿った同一の平面上に位置している。縦重合片44jの縦基壁部44aからの突出寸法は、内方重合片15jの内基壁部15aからの突出寸法とほぼ等しい。縦重合片44jの延在縁部には、室外側に位置する部分に嵌合突起(嵌合部)44kが設けてある。嵌合突起44kは、内方重合片15jの嵌合溝部15kに嵌合するもので、嵌合溝部15kに嵌合した場合に縦重合片44jの延在端面(規定面)44mが内基壁部15aの外周側となる見込み面に当接し、かつ縦重合片44jの室外に臨む面と、内方重合片15jの室内に臨む面とが互いに当接した状態となる。
【0029】
上記のように構成した第2上枠41、第2無目42、第2下枠43、第2縦枠44,44を備える第2段窓W2では、第2上枠41、第2無目42、第2縦枠44,44によって上方の枠体10Cが構成され、第2無目42、第2下枠43、第2縦枠44,44によって下方の枠体10Dが構成され、それぞれの枠体10C,10Dに互いに同一の外形寸法を有したパネルP2,P3を配設することによって第2上方FIX窓M21及び第2下方FIX窓M22が構成される。すなわち、上方の枠体10Cにおいては、パネルP2の下縁部を第2無目42の上隅縁部に設けた窪み部42dと中上部パネル挟持壁部42bとの間に建て込んだ後、第2上枠41及び第2縦枠44,44のそれぞれに押縁12gを装着することによって第2上方FIX窓M21が構成される。第2上枠41、第2無目42、第2縦枠44,44においてパネルP2の表面に当接する部分には、それぞれシール部材S2が介在させてある。同様に、下方の枠体10Dにおいては、パネルP3の下縁部を第2下枠43の下内方パネル挟持壁部13cと下外方パネル挟持壁部13dとの間に建て込んだ後、第2無目42及び第2縦枠44,44のそれぞれに押縁12gを装着することによって第2下方FIX窓M22が構成される。第2無目42、第2下枠43、第2縦枠44,44においてパネルP2の表面に当接する部分には、それぞれシール部材S2が介在させてある。第2無目42を設ける位置は、中下部パネルカバー壁部42cの上面が第1無目12において中パネルカバー壁部12bの上面と一致するように設定してある。
【0030】
(建具の構成)
上述した第1段窓W1及び第2段窓W2を左右に連結するには、まず、第1内縦枠15に設けた内方係合片15iを第2縦枠44に設けた縦係合片44iに係合するとともに、図8に示すように、第1内縦枠15に設けた内方重合片15jを第2縦枠44に設けた縦重合片44jに室内側から重ね合わせ、嵌合突起44kを嵌合溝部15kに嵌合させる。嵌合突起44kを嵌合溝部15kに嵌合させた状態においては、縦重合片44jの延在端面44mが内基壁部15aの外周側となる見込み面に当接した状態に維持される。つまり、室外側においては、内方係合片15i及び縦係合片44iの係合により第1内縦枠15と第2縦枠44との互いに離反する方向の移動が規制され、室内側においては、嵌合突起44kと嵌合溝部15kとの嵌合により、第1内縦枠15と第2縦枠44との互いに離反する方向の移動が規制される。また、内方係合片15iの延在縁部が縦基壁部44aに当接するとともに、縦重合片44jの延在端面44mが内基壁部15aに当接することにより、第1内縦枠15と第2縦枠44との相互間隔が正確に規定されることになる。従って、この状態から図6及び図7に示すように、縦重合片44jを介して内方重合片15jにネジ部材B1を螺合すれば、見付け方向に沿った寸法を正確に規定した状態で第1段窓W1及び第2段窓W2を互いに連結することが可能となる。しかも、この建具においては、縦骨部材や方立部材を要することなく第1段窓W1及び第2段窓W2を連結しているため、製造コストや外形寸法が増大する事態を抑えることが可能となる。さらに、室内側に露出する第1内縦枠15と第2縦枠44には、それぞれに設けた内係止用突部15f及び縦係止用突部44dを介して長手に沿ったカバー部材C1を装着することで連結部分やネジ部材B1が露出することを防止することができ、意匠性の点でも好ましいものとなる。
【0031】
互いに連結した第1段窓W1及び第2段窓W2の相互間には、内基壁部15a、内方係合片15i、縦基壁部44aによって囲まれる部分に室外に向けて開口した溝状の凹部2が構成される。従って、この凹部2に対してシール材S4を充填することで第1段窓W1及び第2段窓W2の相互間を通じた室内外の水や空気の流通を防止することができ、水密性及び気密性の点で有利となる。
【0032】
しかも、第1段窓W1において第1上枠11と障子20の上框21との間に確保される隙間d4と、第2段窓W2において第2上枠41の上溝構成壁部41dによって構成される隙間用溝部41eとは、同一の見付け寸法を有したものが同一の高さ位置において左右方向に延在することになる。同様に、第1段窓W1において第1無目12の中パネルカバー壁部12bと障子20の下框22との間に確保される隙間d2と、第2段窓W2において第2無目42の中下部パネルカバー壁部42cと中上部パネル挟持壁部42bとの間の隙間d3とは、同一の見付け寸法を有したものが同一の高さ位置において左右方向に延在することになる。従って、隣接する2つの段窓W1,W2においては、左右方向に延在する隙間についても連続したものとなり、室外側から見た場合に外観品質の点で有利となる。
【0033】
さらに、第1段窓W1と第2段窓W2とでは、第1内縦枠15を挟んで両側に確保される隙間の寸法が同一とはならない。しかしながら、第2段窓W2の両側に第1段窓W1を互いに対称となるように連結することにより、第2段窓W2を中心として左右が対称形状となる。従って、室外側から見た場合に建具の外観品質が好ましいものとなる。
【0034】
なお、上述した実施の形態では、内方係合片15iの第1内縦枠15からの突出寸法が、縦係合片44iの第2縦枠44からの突出寸法よりも大きくなるように構成しているが、縦係合片44iの第2縦枠44からの突出寸法が内方係合片15iの第1内縦枠15からの突出寸法よりも大きくなるように構成しても良い。
【0035】
また、上述した実施の形態では、複数の段窓W1,W2を左右に連結したものを例示しているが、連結する枠体が段窓である必要はない。
【0036】
(変形例1)
上述した実施の形態では、縦すべり出し窓M11とFIX窓との連窓及びFIX窓とFIX窓との連窓を例示しているが、左右に連結する枠体の窓種はこれらに限定されない。例えば、図9に示す変形例1では、縦すべり出し窓M11と縦すべり出し窓M11との連窓を示している。図中の左側に示した縦すべり出し窓M11の枠体(以下、区別する場合に第1枠体10Eという)は実施の形態で示した第1段窓W1の上方の枠体10Aと同様の構成を有したものである。従って、第1枠体10Eについては実施の形態と同一の符号を付して詳細説明を省略する。これに対して図中の右側に示した縦すべり出し窓M11の枠体(以下、区別する場合に第2枠体10Fという)は第1枠体10Eに隣接する縦枠の構成のみが第1枠体10Eと異なっている。
【0037】
すなわち、第2枠体10Fの縦枠(枠材)50は、縦基壁部50a、縦戸当り壁部50b、縦内方見付け壁部50cを有したものである。縦基壁部50aは、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在するものである。縦戸当り壁部50bは、縦基壁部50aの内周側となる見込み面から内周側に向けて延在したものである。縦戸当り壁部50bの延在縁部において室外に臨む見付け面には、シール装着部50dを介してシール部材S1が装着してある。縦内方見付け壁部50cは、縦基壁部50aの室内側に位置する縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。縦内方見付け壁部50cの内周側への突出寸法は、縦戸当り壁部50bの突出寸法とほぼ等しい。縦内方見付け壁部50cの板厚寸法は、縦基壁部50aよりも大きく構成してある。縦内方見付け壁部50cの延在縁部において室内側となる部分には、縦係止用突部50eが設けてある。縦係止用突部50eは、内周側となる部分に係合凹部50f及び導入傾斜面50gを有したもので、室内側に向けて突出している。
【0038】
また、縦枠50には、縦基壁部50aの外周側となる見込み面に縦係合片50h及び縦重合片50iが設けてある。縦係合片50hは、縦基壁部50aの室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分から外周側に向けて延在した後に屈曲し、室外側に向けて見込み方向に延在したもので、縦基壁部50aとの間に、第1内縦枠15の内方係合片15iを嵌合することのできる隙間を構成している。縦重合片50iは、縦基壁部50aの室内側に位置する縁部から外周側に向けて見付け方向に突出したもので、縦係合片50hを内方係合片15iに嵌合させた場合に、第1内縦枠15の内方重合片15jに対して室内側から重ね合わせることができるように設けてある。縦重合片50iの板厚は、縦内方見付け壁部50cとほぼ同じであり、内方重合片15jに対して室内側から重ね合わせた場合に、縦内方見付け壁部50cの室内に臨む見付け面と、内枠内方見付け壁部15cの室内に臨む見付け面とが見付け方向に沿った同一の平面上に位置するように設定してある。またこのとき、縦基壁部50aの室外側に位置する縁部と、第1内縦枠15の内基壁部15aにおいて室外側に位置する縁部とは、見付け方向に沿った同一の平面上に位置している。縦重合片50iの縦基壁部50aからの突出寸法は、内方重合片15jの内基壁部15aからの突出寸法とほぼ等しい。縦重合片50iの延在縁部には、室外側に位置する部分に嵌合突起50jが設けてある。嵌合突起50jは、内方重合片15jの嵌合溝部15kに嵌合するもので、嵌合溝部15kに嵌合した場合に縦重合片50iの延在端面(規定面)が内基壁部15aの外周側となる見込み面に当接し、かつ縦重合片50iの室外に臨む面と、内方重合片15jの室内に臨む面とが互いに当接した状態となる。
【0039】
図からも明らかなように、縦枠50においては、パネル24の室外に臨む表面の縁部分を支持する押縁25の内周側縁部(第1内周側縁部)25a及びパネル24の室内に臨む表面の縁部分を支持する縦框23の内周側縁部(第2内周側縁部)23bが、いずれも縦内方見付け壁部50cのもっとも内周側に位置する縁部(枠材縁部)50kに対して、見込み方向に沿った同一の鉛直面上に位置している。従って、室内側から見た場合に、障子20の縦框23及び押縁25が縦枠50を越えて内周側に露出することがなく、外観品質の点で有利となる。
【0040】
この変形例1において左右の枠体10E,10Fを連結するには、まず、第1内縦枠15に設けた内方係合片15iを縦枠50に設けた縦係合片50hに係合するとともに、第1内縦枠15に設けた内方重合片15jを縦枠50に設けた縦重合片50iの室内側から重ね合わせ、嵌合突起50jを嵌合溝部15kに嵌合させる。嵌合突起50jを嵌合溝部15kに嵌合させた状態においては、縦重合片50iの延在端面が内基壁部15aの外周側となる見込み面に当接した状態に維持され、互いに離反する方向の移動が規制されるとともに、第1内縦枠15と縦枠50との相互間隔が正確に規定されることになる。従って、この状態から縦重合片50iを介して内方重合片15jにネジ部材B1を螺合すれば、見付け方向に沿った寸法を正確に規定した状態で2つの枠体10E,10Fを互いに連結することが可能となる。この変形例の建具においても、縦骨部材や方立部材を要することなく左右の枠体10E,10Fを連結しているため、製造コストや外形寸法が増大する事態を抑えることが可能となる。さらに、室内側に露出する第1内縦枠15と縦枠50には、それぞれに設けた内係止用突部15f及び縦係止用突部50eを介して長手に沿ったカバー部材C1を装着することで連結部分やネジ部材B1が露出することを防止することができ、意匠性の点でも好ましいものとなる。
【0041】
互いに連結した枠体10E,10Fの相互間には、内基壁部15a、内方係合片15i、縦基壁部50aによって囲まれる部分に室外に向けて開口した溝状の凹部2が構成される。従って、この凹部2に対してシール材S4を充填することで枠体10E,10Fの相互間を通じた室内外の水や空気の流通を防止することができ、水密性及び気密性の点で有利となる。また、室外側から見た場合に、左右が対称形状となるため、外観品質の点で有利となる。
【0042】
この変形例1においては、内方係合片15iの突出寸法、内方重合片15jの突出寸法、縦重合片50iの突出寸法及びそれぞれの枠体10E,10Fとそれぞれの障子20との間に確保する隙間の寸法を適宜調整しても良い。例えば、第1枠体10Eにおいて縦框23及び押縁25のもっとも内周側に位置する縁部から第2枠体10Fにおいて縦框23及び押縁25の内周側に位置する縁部までの寸法d5を、(b)に示す実施の形態の第1段窓W1において縦框23及び押縁25のもっとも内周側に位置する縁部から第2段窓W2において第2縦枠44及び押縁12gのもっとも内周側に位置する縁部までの寸法d6と等しく設定すれば、実施の形態で示したカバー部材C1をそのまま適用することができる。さらに、室外側から見た場合に露出する縦枠50の連結部分を同一の見付け寸法で同一の直線上に配置することが可能となり、外観品質を損なうおそれがなくなる。
【0043】
(変形例2)
上述した実施の形態では、第1内縦枠15として内基壁部15aが平板状を成すものを例示する一方、第2縦枠44として縦中空部44hを有したものを例示しているが、本発明はこれらに限定されない。例えば、図10に示す変形例2では、第1内縦枠(枠材)60として中空状を成すものを適用し、かつ第2縦枠(枠材)61として平板状を成すものを適用している。すなわち、変形例2の第1内縦枠60では、実施の形態のものと比較して、内方係合片60i及び内方重合片60jをそれぞれ延長するとともに、延長した内方係合片60iと内方重合片60jとの間に見込み方向に沿った内見込み壁部60mを設けることによって内基壁部15aとの間に中空部60nを構成するようにしている。内見込み壁部60mからの内方係合片60i及び内方重合片60jの突出寸法は、それぞれ実施の形態において内基壁部15aからの突出寸法と同様である。一方、変形例2の第2縦枠61では、縦見込み壁部44gを省略することで縦内方パネル挟持板部44cと縦内方見付け壁部44bとの間を開放するようにしている。図10に示す変形例2において実施の形態と同様の構成については実施の形態と同一の符号が付してある。
【0044】
この変形例2においても実施の形態と同様、第1内縦枠60に設けた内方係合片60iを第2縦枠61に設けた縦係合片44iに係合するとともに、第1内縦枠60に設けた内方重合片60jを第2縦枠61に設けた縦重合片44jに室内側から重ね合わせ、この状態から縦重合片44jを介して内方重合片60jにネジ部材(図示せず)を螺合すれば、見付け方向に沿った寸法を正確に規定した状態で相互間を連結することが可能となる。変形例2ではネジ部材及びカバー部材を省略しているが、実施の形態と同様に設けてあるのはいうまでもない。
【0045】
互いに連結した第1内縦枠60と第2縦枠61との相互間には、内基壁部15a、内方係合片60i、縦基壁部44aによって囲まれる部分に室外に向けて開口した溝状の凹部3が構成される。従って、この凹部3に対してシール材S4を充填することで第1内縦枠60と第2縦枠61との相互間を通じた室内外の水や空気の流通を防止することができ、水密性及び気密性の点で有利となる。
【0046】
(変形例3)
上述した実施の形態では、第1内縦枠15として内基壁部15aが平板状を成すものを例示するとともに、第2縦枠44として縦基壁部44aが平板状を成すものを例示しているが、本発明はこれらに限定されない。例えば、図11に示す変形例3では、変形例2で示した第1内縦枠60において内基壁部15a及び内見込み壁部60mの中間部に樹脂材からなるブリッジ材63を介在させるようにしている。同様に、第2縦枠(枠材)64では、縦基壁部44aにおいて縦内方パネル挟持板部44cよりも室外側となる部分を中空状に構成し、その中間部に樹脂材からなるブリッジ材65を介在させるようにしている。この変形例3によれば、実施の形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、ブリッジ材63,65によって第1内縦枠60及び第2縦枠64を通じた室内外の熱伝達を遮断することができるため、断熱性の点で有利となる。図11に示す変形例3において実施の形態と同様の構成については実施の形態と同一の符号が付してある。なお、図11中の符号66は、障子20の縦框23において室内側となる部分の室外側となる部分との中間部に介在させた樹脂材からなるブリッジ材である。
【0047】
(変形例4)
上述した実施の形態では、縦すべり出し窓M11の室内側となる部分に網戸30を設けているが、図12に示す変形例4のように、網戸30を省略して左右の縦枠を連結することも可能である。変形例4において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。なお、この変形例に4においては、内枠内方見付け壁部15cを省略し、内戸当り壁部15bに内係止用突部15fを設けるようにしているが、内戸当り壁部15bを省略するとともに、内枠内方見付け壁部15cに戸当りの機能を付与すべく内周側縁部にシール装着部15eを設けて内方シール部材S1を装着しても良い。
【0048】
(変形例5)
上述した実施の形態では、左右に並設した枠体の相互間を連結した連窓について例示しているが、本発明はこれに限定されず、図13に示す変形例5のように、上下に並設した枠体の相互間についても同様に適用することが可能である。すなわち、変形例5に示す建具は、実施の形態の第1段窓W1と同様、上方の縦すべり出し窓M11と下方のFIX窓とを備えたもので、上方の枠体(以下、区別する場合に上方枠体10Aという)の下枠(枠材)71と、下方の枠体(以下、区別する場合に下方枠体10Bという)の上枠(枠材)72との間が互いに連結してある。なお、変形例5の建具は、上方枠体10Aの下枠71及び下方枠体10Bの上枠72を除くその他の構成が実施の形態の第1段窓W1と同様である。従って、以下においては、上方枠体10Aの下枠71及び下方枠体10Bの上枠72について主に説明し、実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
上方枠体10Aの下枠71は、下基壁部71a、下障子カバー壁部71b、下戸当り壁部71c、下網戸カバー壁部71d、下内方見付け壁部71eを有したものである。下基壁部71aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。下障子カバー壁部71bは、下基壁部71aの室外側となる縁部から下方に突出した後、室外に向けて見込み方向に延在したものである。下戸当り壁部71cは、下基壁部71aの室内側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。下戸当り壁部71cの延在縁部において室外に臨む部分には、シール装着部71fを介して内方シール部材S1が装着してある。下網戸カバー壁部71dは、下基壁部71aの室内側に位置する縁部から下方に突出した後、室内に向けて見込み方向に延在したものである。下内方見付け壁部71eは、下網戸カバー壁部71dの室内側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に延在したものである。図からも明らかなように、変形例5の下内方見付け壁部71eは、板厚が下基壁部71aよりも大きく構成してある。下内方見付け壁部71eの延在縁部において室内側となる部分には、下係止用突部71gが設けてある。下係止用突部71gは、上方となる部分に係合凹部71h及び導入傾斜面71iを有し、室内側に向けて突出している。
【0050】
また、下枠71には、下障子カバー壁部71bの下方となる見込み面に下方係合片71jが設けてあり、かつ下網戸カバー壁部71dの下方となる見込み面に下方重合片71kが設けてある。下方係合片71jは、下障子カバー壁部71bの室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分から下方に向けて延在した後に屈曲し、室内側に向けて見込み方向に延在したものである。下方重合片71kは、下網戸カバー壁部71dの室内側に位置する縁部よりも室外側となる部分から下方に向けて延在したものである。下方重合片71kの室内に臨む見付け面において下網戸カバー壁部71dとの連結部分に位置する部分には、嵌合溝部(嵌合部)71mが設けてある。
【0051】
下方枠体10Bの上枠72は、上基壁部72a、上パネルカバー壁部72b、上内方見込み壁部72c、上内方パネル挟持壁部72d、上内方見付け壁部72eを有したものである。上基壁部72aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在するものである。上パネルカバー壁部72bは、上基壁部72aの室外側に位置する縁部から上方に突出した後に室外に向けて見込み方向に延在したものである。上パネルカバー壁部72bの下方となる見込み面には、室外側となる部分に押縁12gが装着してある。押縁12gは、実施の形態で適用したものと同様、取付部12h及びパネル挟持部12iとを有したものである。上内方見込み壁部72cは、上基壁部72aの室内側に位置する縁部から上方に突出した後、室内に向けて見込み方向に延在したものである。上内方パネル挟持壁部72dは、上基壁部72aの下方となる見込み面から下方に向けて見付け方向に延在するものである。上内方パネル挟持壁部72dの上基壁部72aからの突出寸法は、押縁12gのパネル挟持部12iとほぼ同じである。上内方見付け壁部72eは、上内方見込み壁部72cの室内側に位置する縁部から下方に向けて見付け方向に延在したものである。上内方見付け壁部72eの板厚は、下内方見付け壁部71eとほぼ同じである。上内方見付け壁部72eの延在縁部において室内側となる部分には、上係止用突部72fが設けてある。上係止用突部72fは、下枠71の下係止用突部71gと対となるもので、下方となる部分に係合凹部72g及び導入傾斜面72hを有し、室内側に向けて突出している。上内方見付け壁部72eの延在縁部から上内方パネル挟持壁部72dの下縁部までの間には、上見込み壁部72iによって上中空部72jが構成してある。
【0052】
また、上枠72には、上パネルカバー壁部72bの上方となる見込み面に上方係合片72kが設けてあり、かつ上内方見込み壁部72cの室内側となる縁部に上方重合片72mが設けてある。上方係合片72kは、上パネルカバー壁部72bの室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分から上方に向けて延在した後に屈曲し、室外側に向けて見込み方向に延在したもので、上パネルカバー壁部72bとの間に、下枠71の下方係合片71jを嵌合することのできる隙間を構成している。上方重合片72mは、上内方見込み壁部72cの室内側に位置する縁部から上方に向けて見付け方向に突出したもので、上方係合片72kを下方係合片71jに嵌合させた場合に、下枠71の下方重合片71kに対して室内側から重ね合わせることができるように設けてある。上方重合片72mの板厚は、上内方見付け壁部72eとほぼ同じであり、下方重合片71kに対して室内側から重ね合わせた場合に、上内方見付け壁部72eの室内に臨む見付け面と、下内方見付け壁部71eの室内に臨む見付け面とが見付け方向に沿った同一の平面上に位置するように設定してある。またこのとき、下障子カバー壁部71bの室外側に位置する縁部と、上パネルカバー壁部72bの室外側に位置する縁部とは、見付け方向に沿った同一の平面上に位置している。上方重合片72mの延在縁部には、室外側に位置する部分に嵌合突起(嵌合部)72nが設けてある。嵌合突起72nは、下方重合片71kの嵌合溝部71mに嵌合するもので、嵌合溝部71mに嵌合した場合に上方重合片72mの延在端面(規定面)72pが下網戸カバー壁部71dの下方となる見込み面に当接し、かつ上方重合片72mの室外に臨む面と、下方重合片71kの室内に臨む面とが互いに当接した状態となる。
【0053】
この変形例5において上下の枠体10A,10Bを連結するには、まず、下枠71に設けた下方係合片71jを上枠72に設けた上方係合片72kに係合するとともに、上枠72に設けた上方重合片72mを下枠71に設けた下方重合片71kの室内側から重ね合わせ、嵌合突起72nを嵌合溝部71mに嵌合させる。嵌合突起72nを嵌合溝部71mに嵌合させた状態においては、上方重合片72mの延在端面72pが下網戸カバー壁部71dの下方となる見込み面に当接した状態に維持され、互いに離反する方向の移動が規制されるとともに、下枠71と上枠72との相互間隔が正確に規定されることになる。従って、この状態から上方重合片72mを介して下方重合片71kにネジ部材B1を螺合すれば、見付け方向に沿った寸法を正確に規定した状態で2つの枠体10A,10Bを互いに連結することが可能となる。室内側に露出する下枠71と上枠72には、それぞれに設けた下係止用突部71g及び上係止用突部72fを介して長手に沿ったカバー部材C2を装着することで連結部分やネジ部材B1が露出することを防止することができ、意匠性の点でも好ましいものとなる。
【0054】
互いに連結した枠体10A,10Bの相互間には、下障子カバー壁部71b、下方係合片71j、上パネルカバー壁部72bによって囲まれる部分に室外に向けて開口した溝状の凹部4が構成される。従って、この凹部4に対してシール材S4を充填することで上方枠体10Aと下方枠体10Bとの相互間を通じた室内外の水や空気の流通を防止することができ、水密性及び気密性の点で有利となる。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、いわゆる隠し框として、パネルの室外に臨む表面の縁部分を支持する押縁や縦框それぞれの内周側に位置する第1内周側縁部及びパネルの室内に臨む表面の縁部分を支持する押縁や縦框の内周側に位置する第2内周側縁部が、それぞれ見込み方向において縦枠の室内に臨む見付け面の内周側に位置する枠材縁部と同一、もしくは枠材縁部よりも外周側に配置されるように構成しているが、必ずしもこれに限定されない。特に、引き違い窓にあっては、開閉操作性の観点から框材が枠体の見付け面から室内側に突出した構成とすることが好ましい。
【0056】
以上のように、本発明に係る建具は、内部にパネルが配設された枠体を相互に並設した状態で連結することにより構成される建具であって、少なくとも前記枠体の一方では、前記パネルの室外に臨む表面の縁部分を支持する形材の内周側に位置する第1内周側縁部及び前記パネルの室内に臨む表面の縁部分を支持する形材の内周側に位置する第2内周側縁部が、それぞれ見込み方向において枠材の室内に臨む見付け面の内周側に位置する枠材縁部と同一、もしくは前記枠材縁部よりも外周側に配置され、枠体の相互に隣接する枠材には、それぞれ互いに対向する見込み面から見付け方向に延在した後に屈曲して見込み方向に延在する係合片が設けられ、前記隣接する枠材は、一方の枠材に設けられた前記係合片と見込み面との間に、他方の枠材に設けられた前記係合片を係合させることによって互いに離反する方向への移動が阻止されていることを特徴としている。
この発明によれば、見込み方向に沿った係合片を相互に係合させることによって隣接する枠体の互いに離反する方向の移動を阻止することができるため、縦骨部材や方立部材を要することなく並設された枠体を相互に連結することが可能となり、製造コストや外形寸法が増大する事態を抑えることが可能となる。なお、並設する枠体は、左右である必要はなく、上下に並設する場合にも同様に適用することが可能である。
【0057】
また本発明は、上述した建具において、前記係合片は、前記枠体の室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分に設けられ、前記一方の枠材と前記他方の枠材との間において前記係合片の室外に臨む部分にはシール材を充填するための凹部が設けられることを特徴としている。
この発明によれば、凹部にシール材を充填することにより、枠体の相互間を通じた室内外の水や空気の流通を防止することができ、水密性及び気密性の点で有利となる。
【0058】
また本発明は、上述した建具において、前記一方の枠材及び前記他方の枠材は、それぞれ見込み方向に沿って延在する平板状の基壁部を有し、前記基壁部の外周側となる見込み面を互いに対向させた状態で相互に連結されていることを特徴としている。
この発明によれば、枠体の外周面の形状が単純化することができ、係合片を係合させる作業が容易化する等の利点がある。
【0059】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体の一方には、前記枠材の基壁部において内周側となる見込み面と、前記パネルを支持する框材において前記パネルの外周面に対向する見込み壁部の外周側となる見込み面との間に、調整用隙間が確保されていることを特徴としている。
この発明によれば、上下に枠体を並設する場合に調整用隙間の位置を一致させることができ、外観品質の点で好ましいものとなる。
【0060】
また本発明は、上述した建具において、前記係合片は、前記枠体の室外側に位置する縁部よりも室内側となる部分に設けられ、前記一方の枠材と前記他方の枠材との間において前記係合片の室外に臨む部分にはシール材を充填するための凹部が設けられ、前記調整用隙間の見付け方向に沿った寸法は、前記凹部の見付け方向に沿った寸法よりも大きく構成され、単一の枠体の両側にそれぞれ前記一方の枠材を介して前記調整用隙間を有した枠体がそれぞれ連結されていることを特徴としている。
この発明によれば、互いに寸法の異なる凹部と調整用隙間とを有した枠体を単一の枠体の両側に設けることで全体として対称形状の建具を構成することができ、外観品質の点で有利となる。
【0061】
また本発明は、上述した建具において、前記一方の枠材及び前記他方の枠材には、それぞれ前記係合片よりも室内側に位置する部分に互いに見込み方向に重なる重合片が設けられ、少なくとも前記重合片の一方には、規定面が設けられ、前記規定面は、前記重合片の他方が設けられた枠材の見込み面に当接されていることを特徴としている。
この発明によれば、重合片の規定面を枠材の見込み面に当接させることで連結した枠体の寸法を正確に規定することが可能となる。
【0062】
また本発明は、上述した建具において、前記重合片には、嵌合部が設けられ、前記嵌合部は、前記規定面が前記重合片の他方が設けられた枠材の見込み面に当接した場合に嵌合することにより、前記重合片の見込み方向に沿った相対移動を規制することを特徴としている。
この発明によれば、重合片の嵌合部を嵌合させることによって相対移動が規制されるため、枠体を連結する作業を容易化することができる等の利点がある。
【0063】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体は、左右に並設された状態で隣接する縦枠を介して相互に連結されていることを特徴としている。
この発明によれば、上述した利点を有した連窓を構成することができる。
【符号の説明】
【0064】
2,3,4 凹部、10A,10B,10C,10D,10E,10F 枠体、12g,25 押縁、14,15 第1縦枠、14f,15m,50k 縁部、15i,60i 内方係合片、15j,60j 内方重合片、15k,71m 嵌合溝部、23 縦框、24,P1,P2,P3 パネル、23b,25a 内周側縁部、44,61,64 第2縦枠、44m 延在端面、44i 縦係合片、44j 縦重合片、44k,72n 嵌合突起、50 縦枠、50h 縦係合片、50i 縦重合片、60 第1内縦枠、71 下枠、71j 下方係合片、71k 下方重合片、72 上枠、72k 上方係合片、72m 上方重合片、72p 延在端面、d1,L1 隙間、S4 シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13