(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175919
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、プログラム、及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/69 20230101AFI20241212BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20241212BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241212BHJP
H04N 23/667 20230101ALI20241212BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N23/69
H04N23/661
H04N23/60 500
H04N23/667
H04N23/63 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094022
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】清水 信伍
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA61
5C122EA63
5C122EA66
5C122FA01
5C122FA07
5C122FE05
5C122FH09
5C122FK28
5C122FK40
5C122GC77
5C122GD06
5C122HA87
5C122HB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像装置に対してズーム等の制御がなされたときに各クロップ領域においてユーザが意図した画角等を維持させる。
【解決手段】撮像システムにおいて、情報処理装置(コントローラ)200は、第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示させ、クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力し、画角制御モードの設定に応じて画像に対するクロップ領域のサイズ及び位置を変化させる表示制御部を有し、ズーム倍率が変更された際、複数のクロップ領域のうち、画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置をズーム倍率に応じて変化させず、画角制御モードが設定されているクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置をズーム倍率に応じて画角を維持するように変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる制御手段と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力手段と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化手段と、を有し、
前記変化手段は、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の画像に対し前記画角制御モードの設定がある第1クロップ領域と、前記画角制御モードの設定がない第2クロップ領域とを設定可能な設定画面を前記表示装置上に表示させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ズーム倍率が変化した際に前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画角が維持できない場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角が維持できる範囲内で前記ズーム倍率を制限することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記ズーム倍率が大きくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の少なくとも一部が、前記ズーム倍率が変更される前の画像の端または範囲外となった場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記ズーム倍率が小さくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の全域が、前記ズーム倍率が変更される前の画像内に収まった場合、前記画角制御モードの設定を無効化したクロップ領域に対して前記画角制御モードの設定を有効化することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記撮像装置の撮像方向が変化した際、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の少なくとも一部が、前記撮像方向が変化する前の画像の端または範囲外となった場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記撮像方向が変化して、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の全域が前記画像内に収まった場合、前記画角制御モードの設定を無効化したクロップ領域に対して前記画角制御モードの設定を有効化することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角が維持できる範囲内となるように前記撮像装置の撮像方向を変化させる駆動手段の駆動を制限することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記ズーム倍率が小さくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画質を維持できない場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画質が維持できる範囲内で前記ズーム倍率を制限することを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記ズーム倍率が小さくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画素数が、前記出力手段が前記第2の画像を出力する際の解像度の画素数未満となった場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記ズーム倍率が大きくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画素数が前記解像度の画素数以上となった場合、前記画角制御モードの設定を無効化した前記クロップ領域に対して前記画角制御モードを有効化することを特徴とする請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画素数と前記出力手段が前記第2の画像を出力する際の解像度の画素数の比率に応じて、前記クロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化または有効化することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記設定画面には、少なくとも設定された前記クロップ領域の座標の情報、幅及び高さの情報の情報、前記画角制御モードの設定状態が表示されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
情報処理装置の制御方法であって、
撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる表示工程と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力工程と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化工程と、を有し、
前記変化工程では、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項17】
情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる表示工程と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力工程と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化工程と、を実行させ、
前記変化工程では、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項18】
少なくとも1台の撮像装置と、前記撮像装置と通信可能に接続される情報処理装置を含む撮像システムであって、
前記撮像装置は、
第1の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像装置におけるズーム倍率を変化させるズーム手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる制御手段と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力手段と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化手段と、を有し、
前記変化手段は、前記ズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、プログラム、及び撮像システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像制作においても、インターネットなどIP(Internet Protocol)ネットワークを利用した動画編集・配信システムが増加してきている。一般的なシステムでは、IPネットワークに接続したカメラが出力する映像や音声などの映像データをスイッチャー等の動画編集機器が受信し、必要に応じて放送用映像として編集してから配信/出力を行う。
【0003】
また、近年では、遠隔からPCやコントローラがIPネットワークを介して、カメラの画質設定やパン・チルト・ズームを制御可能となっている。さらにカメラの撮像映像も従来のSDIなどの映像ケーブルではなくIPネットワークを介して実施するタイプも増えてきている。これにより、撮影現場にカメラマンがいなくとも撮影が可能なタイプ(リモートコントロールカメラ)も増えている。
【0004】
更には、撮像している画角の全画像データから一部の領域をクロップして映像出力する機能を有しているものもある。特別な処理をしない場合、カメラのパン・チルト・ズームを制御するとクロップした領域の画角も変化する。一方で、クロップした領域の位置またはサイズを適切に調整することで、パン位置やチルト位置、光学ズーム倍率が変わってもクロップ領域の画角を維持することも可能である。
【0005】
特許文献1では、画角ロック操作で画角ロックモードに移行し、光学ズーム倍率の増減と同時に、電子ズーム倍率を調整することで、撮像される画像から指定された領域の画角を画角ロック操作の直前の画角に維持する方法を開示している。また、デジタルズーム倍率が大きいことで、撮像される画像から指定された領域の画質が劣化することを防ぐために、指定領域の垂直方向および水平方向の所定の画素数分の画素値を加算することで、画質劣化を軽減する方法も開示している。ここで、デジタルズーム倍率が大きいことで画質が劣化する要因は、指定領域の画素数が映像出力する際の解像度の画素数に比べて不足することで、映像出力される際に指定領域の画像が引き延ばされるためである。
【0006】
また、撮像された画像からクロップされる領域は、2つ以上設定される場合もある。特許文献2では、撮像された画像から指定された複数の領域を部分画像として切り出す撮像装置に関して、所定の時間毎に順次その撮像条件を制御することで、各々の領域の撮像条件が適正に制御された部分画像を得る方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-022386号公報
【特許文献2】特開2016-219905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
撮像された画像からクロップされるクロップ領域が2つ以上あるとき、ユーザが撮像装置に対してパン、チルト、ズームのいずれかの制御を行った際に、ユーザが意図した各クロップ領域の画角と画質を維持できない場合がある。
【0009】
例えば、撮像された画像の一部の領域であるクロップ領域1とクロップ領域2が設定されているとき、クロップ領域1の画角を変更するためにカメラに対してパン・チルト・ズームの制御のいずれかを行うと、クロップ領域2の画角も変化してしまう。また、特許文献1に開示された方法でクロップ領域に対して画角を維持できるモードを有効としたときを想定する。この際、クロップ領域1の画角を広げるために光学ズーム倍率を小さくすると、クロップ領域2の画素数が出力解像度の画素数より少なくなった場合に、クロップ領域2の画質が劣化する可能性がある。
【0010】
そこで、本発明では、撮像装置に対してズーム等の制御がなされたときに、各クロップ領域においてユーザが意図した画角等を維持可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての情報処理装置は、撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる制御手段と、前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力手段と、を有し、前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化手段を有し、前記変化手段は、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮像装置に対してズーム等の制御がなされたときに、各クロップ領域においてユーザが意図した画角等を維持可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る撮像システムの一例を示す構成図である。
【
図2】実施形態に係るカメラとコントローラを含むシステム構成図である。
【
図3】実施形態に係るカメラとコントローラのソフトウェア構成の概要図である。
【
図4】実施形態に係るクロップ領域を表示する際のレイアウト設定図である。
【
図5】実施形態に係るカメラのズーム倍率の変更処理のフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る各クロップ領域の設定処理のフローチャートである。
【
図7】実施形態に係るカメラのズーム倍率が変更された場合の画像中の各クロップ領域の表示例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
<実施形態1>
【0016】
図1は、本実施形態における撮像システムの一例を示す構成図である。本実施形態における撮像システムはカメラ(撮像装置)100とコントローラ(情報処理装置)200を含み、撮像装置が撮影する映像の一部をクロップ処理したクロップ領域が設定された画像を出力する。以下、
図1を参照して、本実施形態で撮像システムを構成するカメラ100とコントローラ200の各部構成と機能の詳細を説明する。
【0017】
本実施形態におけるカメラ100は、CPU110、RAM120、ROM130、画像キャプチャI/F140、ネットワークI/F150、画像センサ160、駆動制御部170、画像処理部180、通信制御部190を有するように構成される。また、CPU110、RAM120、ROM130、画像キャプチャI/F140、ネットワークI/F150、駆動制御部170、画像処理部180、通信制御部190は内部バス1000を介して相互に接続されている。
【0018】
CPU110は、中央演算装置であり、ROM130やRAM120に格納された制御プログラムを実行することにより、カメラ100全体の制御を行う。即ち、カメラ100における各構成要素を統括的に制御する。CPUは、Central Processing Unitの頭字語である。
【0019】
RAM120は、DRAMなどの可能な高速の記憶装置で、OSや各種プログラム及び各種データがロードされ、またOSや各種プログラムの作業領域としても使用される。ROM130は、フラッシュメモリ、HDD、SSD、SDカード等に代表される不揮発性を持った記憶装置で、OSや各種プログラム及び各種データの永続的な記憶領域として使用される他に、短期的な各種データの記憶領域としても使用される。
【0020】
画像キャプチャI/F140には、CCDやCMOSからなり撮像手段としても機能する画像センサ(撮像素子)160が接続される。画像キャプチャI/F140には、画像センサ160から取得した画像データを所定のフォーマットに変換し、必要に応じて圧縮してRAM120に転送する。また、画像キャプチャI/F140は、画像センサ160から取得する際のズーム・フォーカス、露出制御などの画質調整、画像データの所定領域のみを切り出すクロップ処理も行う。
【0021】
駆動制御部170は、カメラ100におけるパン・チルト・ズームを制御する。即ち、駆動制御部170は、不図示の各駆動機構(駆動手段)を制御することでカメラ100のパン回転、チルト回転、ズーム倍率を制御する。これらは、例えば、コントローラ200などの外部通信装置(情報処理装置)から、ネットワークI/F150を経由した指示に従って実施される。
【0022】
画像処理部180は、画像キャプチャI/F140を制御し、外部通信装置からの画像や映像に対する取得リクエストや他の機能部からの指示により、画像センサ160から得られたデータを画像データとして生成する。また、外部通信装置や他の機能部からの指示により、生成した画像データに対して各種画像処理を行う。各種画像処理とは、明るさ、色味、サイズの変更、所定領域のクロップ(クロップ処理)などである。さらに、各種画像処理としては、JPEGなどの画像データやH.264等の動画データに変換する処理である。画像処理を施した画像データまたは映像データや、画像処理の結果情報は、通信制御部190に渡される。
【0023】
通信制御部190は、ネットワークI/F150を制御し、IPネットワーク300を通じて、コントローラ200などの外部通信装置と通信を行う。通信の内容の一例としては、画像センサ160が撮像した画像(第1の画像)や映像に対する取得リクエスト、当該画像に対する画像処理リクエストの受信であり、これを画像処理部180に渡す。また、画像処理部180から受け取った画像データや映像データの配信、各種画像処理情報の結果情報を画像処理リクエストに対するレスポンスや、カメラ情報の更新通知として外部通信装置(コントローラ200)に送信する。ここで、リクエストは、例えばhttp(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル)など、一般的な通信プロトコルを使用してもよい。
【0024】
ネットワークI/F150は、前述のIPネットワーク300と接続するためのI/Fであり、Ethernet等の通信媒体を介してコントローラ200などの外部通信装置との通信を担う。ここで通信とは、コントローラ200からのカメラ制御コマンドの送受信である。カメラ100が撮影した画像(第1の画像)または映像もネットワークI/F150を介してコントローラ200などの外部通信装置に配信(送信)される。
【0025】
カメラ100に対する遠隔からのカメラ制御は、説明を簡単にするためにネットワークI/F150を介して行うと説明したが、不図示のシリアル通信I/Fなど別のI/Fを持っていても構わない。カメラ100が撮影した画像または映像の配信も、説明を簡単にするためにネットワークI/F150を介して行うとしたが、不図示のHDMI(登録商標)、SDIなどの映像出力I/Fで行っても構わない。
【0026】
続いて、本実施形態におけるコントローラ200の構成について説明する。コントローラ200は、CPU210、RAM220、ROM230、ユーザ入出力I/F240、ネットワークI/F250を有するように構成される。さらに、コントローラ200は、入力制御部260、表示制御部270、通信制御部280を有するように構成される。また、CPU210、RAM220、ROM230、ユーザ入出力I/F240、ネットワークI/F250、入力制御部260、表示制御部270、通信制御部280が内部バス2000を介して相互に接続されている。
【0027】
CPU210は、中央演算装置であり、ROM230やRAM220に格納された制御プログラムを実行することにより、コントローラ200全体の制御を行う。即ち、CPU210は、コントローラ200における各構成要素を統括的に制御する制御手段として機能する。
【0028】
RAM220は、DRAMなどの可能な高速の記憶装置で、OSや各種プログラム及び各種データがロードされ、またOSや各種プログラムの作業領域としても使用される。ROM230は、フラッシュメモリ、HDD、SSD、SDカード等に代表される不揮発性を持った記憶装置で、OSや各種プログラム及び各種データの永続的な記憶領域として使用される他に、短期的な各種データの記憶領域としても使用される。
【0029】
ユーザ入出力I/F240は、コントローラ200に対するユーザからの操作の受け付け、ユーザに対してカメラ100が撮像した画像や映像等を出力するためのI/F(インターフェース)である。ユーザ入出力I/F240の一例として、マウス、キーボード、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、ディスプレイ、タッチパネル等が挙げられる。ここで、タッチパネルとディスプレイはタッチ位置がわかるタッチパネル搭載型ディスプレイなどの一体型としての構成でもよい。本実施形態では、ユーザは、これらのI/Fを介して、通信可能に接続されているカメラ100の各制御(カメラ制御)を行うことができる。またディスプレイでカメラ映像、即ちカメラ100から配信された画像や映像を表示することも可能である。
【0030】
入力制御部260は、ユーザ入出力I/F240を制御し、マウス、キーボード、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチパネル等からのユーザ入力操作を受け付け、受け付けた操作情報から対応するカメラ制御コマンド(制御信号)を生成する。その後、生成したカメラ制御コマンドを通信制御部280に渡す。また、必要に応じて、操作情報に応じたユーザ設定情報を生成し、表示制御部270に渡す。
【0031】
表示制御部270は、通信制御部280から受け取った画像や映像、カメラ情報に応じて、ユーザ入出力I/F240を制御する。本実施形態では、表示制御部270は、カメラ100から受け取った画像や映像、カメラ状態の情報等をタッチパネル、ディスプレイなどの表示装置に出力し、当該表示装置上にOSD表示(オンスクリーン表示)する。本実施形態では、表示制御部270は、カメラ100が撮像した画像(第1の画像)や、当該第1の画像に対してクロップ領域が設定された画像(第2の画像)等を出力する出力手段としても機能する。また、入力制御部260から受け取ったユーザ設定情報も同様にしてOSD表示する。
【0032】
通信制御部280は、入力制御部260より各種コマンドを受け取り、ネットワークI/F250を制御して、カメラ100などの外部通信装置とリクエスト送信、レスポンス受信などの通信処理を行う。そして、外部通信装置からのレスポンスは表示制御部270に送信される。通信の内容の一例としては、カメラ100に対する撮像画像や映像の取得リクエスト、画像処理などのカメラ制御リクエストの送信であり、これらのリクエストに対するレスポンス受信である。また、当該コントローラ以外の機器からカメラが制御された場合も、カメラ100はカメラ情報の更新通知を送信するため、これを受信した後、表示制御部270に渡される。
【0033】
また、前述のクロップ領域設定コマンドも同様にカメラ100に送信される。リクエストは、例えばhttp(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル)など、一般的な通信プロトコルを使用してもよい。
【0034】
ネットワークI/F250は、前述のIPネットワーク300と接続するためのI/Fであり、Ethernet(登録商標)等の通信媒体を介してカメラ100などの外部通信装置との通信を担う。ここで通信とは、カメラ100への制御コマンドの送受信、カメラ100からの画像データや映像データの受信である。
【0035】
コントローラ200によるカメラ100に対する制御は、説明を簡単にするためにネットワークI/F250を介して行うと説明したが、不図示のシリアル通信I/Fなど別のI/Fを持っていても構わない。カメラ100からの画像や映像の受信も、説明を簡単にするためにネットワークI/F250を介して行うとしたが、不図示のHDMI、SDIなどの映像入力I/Fで行っても構わない。
【0036】
図2は、本実施形態におけるカメラ100とコントローラ200を含む撮像システムの構成図である。カメラ100とコントローラ200はIPネットワーク300を介して相互に接続される。基本的な動作として、カメラ100はIPネットワーク300を介して撮像した画像や映像をコントローラ200等の外部通信装置に配信する。
【0037】
本実施形態において、カメラ100はパン・チルト・ズームが可能なPTZカメラ(パン・チルト・ズームカメラ)である。コントローラ200は、IPネットワーク300を介して、カメラ100に所定の制御信号を送信して(カメラ100にアクセスして)カメラ100が撮像した画像や映像の取得及び、カメラ100の駆動動作等の各制御を行う。尚、
図2ではカメラは1台のみを例としているが、複数のカメラ(複数の撮像装置)を1台のコントローラ(1つの情報処理装置)で制御することも可能である。
【0038】
図3は、カメラ100とコントローラ200各々のソフトウェア構成の概要図である。
図3(A)は、カメラ100のソフトウェア構成の概要図である。
図3(B)は、コントローラ200のソフトウェア構成の概要図である。カメラ100は、カメラ100全体を制御する基本プログラムであるOS401を有する。OS401には、CPU110が画像処理部180における処理を実行するためのプログラムである画像処理プログラム402が含まれる。また、OS401には、CPU110が通信制御部190における処理を実行するためのプログラムである通信制御プログラム403が含まれる。ここで、画像処理プログラム402と通信制御プログラム403は、RAM120上にロードされ、CPU110が各プログラムを実行する。尚、CPU210が、RAM120上にロードされた画像処理プログラム402と通信制御プログラム403の1つ以上を実行するようにしてもよい。
【0039】
コントローラ200は、コントローラ200全体を制御する基本プログラムであるOS411を有する。OS401には、CPU210が入力制御部260における処理を実行するためのプログラムである入力制御プログラム412が含まれる。また、OS401には、CPU210が表示制御部270における処理を実行するためのプログラムである表示制御プログラム413が含まれる。また、OS401には、CPU210が通信制御部280における処理を実行するためのプログラムである通信制御プログラム414が含まれる。入力制御プログラム412、表示制御プログラム413、通信制御プログラム414は、RAM220上にロードされ、CPU210が各プログラムを実行する。尚、CPU110が、RAM220上にロードされた入力制御プログラム412、表示制御プログラム413、通信制御プログラム414の1つ以上を実行するようにしてもよい。
【0040】
図4は、実施形態に係るクロップ領域を表示する際のレイアウト設定画面(レイアウト設定UI)を例示する図である。
図4に示すレイアウト設定画面には、Crop1(クロップ領域1)とCrop2(クロップ領域2)の2つのクロップ領域が表示されている。以下、
図4を参照して、ユーザがコントローラ200の入出力I/F240を介してクロップ領域の設定を行った際に、ユーザ設定情報として保持するクロップ領域設定情報について説明する。
【0041】
ユーザがコントローラ200の入出力I/F240を介して、クロップ領域の設定を開始すると、入力制御部260は表示制御部270に対しクロップ領域設定のためのOSD表示を依頼する。クロップ領域設定のためのOSD表示の指示を受けた表示制御部270は、
図4に示したようにクロップ領域を表示する際のユーザインターフェース(UI)としてレイアウト設定画面を表示装置の画面上に表示する。レイアウト設定画面は、カメラ100が撮像した画像(第1の画像)に対して、複数のクロップ領域の設定及び複数のクロップ領域における画角を維持するように制御可能とする画角維持モードを設定可能な設定画面である。
【0042】
レイアウト設定画面は、カメラ100から出力される画像や映像、クロップ領域が設定された画像や映像の解像度、クロップ領域の個数や配置、クロップ領域に対する画角維持モード(画角制御モード)の設定をユーザが選択可能な画面である。画角維持モードの設定は、例えば、レイアウト設定画面に画角維持モードの設定(有効化)及び解除(無効化)を選択できるボタン等のUIをレイアウト設定画面に配置し、当該UIを介して行ってもよい。また、例えば、設定したクロップ領域を入出力I/F240を介して操作することにより設定または解除可能としてもよい。
【0043】
また、ユーザは、入出力I/F240を介して設定した、
図4に示している破線で示したクロップ領域(矩形領域)をレイアウト設定画面上で、それぞれ移動、拡大、及び縮小させることができる。尚、
図4では、Crop2の領域には画角維持モードを設定、Crop1の領域には画角維持モードを設定していない状態をそれぞれ示してしている。そして、レイアウト設定画面の正面から見て右側には、それぞれのクロップ領域における画角維持モードの設定状態(設定状況の有無)をユーザが視認できるように表示している。このように表示制御部270は、表示画像(第1の画像)に対し画角維持モードの設定があるクロップ領域(第1のクロップ領域)と、画角維持モードの設定がないクロップ領域(第2クロップ領域)とをレイアウト設定画面に表示させることができる。
【0044】
尚、画角維持モードの設定状態は、
図4では鍵のアイコンで示しているが、他の形状のアイコンであってもよい。また、設定状態に応じてアイコンに色を付すことや点滅させる等の強調表示をするようにしてもよい。また、クロップ領域毎の幅wや高さhの情報、及びクロップ領域毎の座標情報もレイアウト設定画面上に表示されている。このような表示とすることで、ユーザは、クロップ領域毎の画角維持モードの状態及びクロップ領域毎の幅w高さや座標の情報を1つの画面にて視認することができるため、容易にクロップ領域における各情報を確認することができる。
【0045】
クロップ領域設定情報には、
図4に示しているようにカメラ100より取得した画像または映像内におけるクロップ領域毎の座標、幅w、及び高さhの情報、クロップ領域毎の画角維持モードの設定状態の情報が含まれる。また、
図4では不図示だが、クロップ領域設定情報には、パン・チルト・ズーム位置の情報、映像反転状態などのカメラ情報から算出されたクロップ領域角の4点の球面座標も含まれる。当該球面座標は、画角維持モードが設定されたタイミングで計算され、クロップ領域設定情報として設定される。
【0046】
表示制御部270は、クロップ領域設定情報に応じて、クロップ領域設定コマンドを生成し、通信制御部280に渡す。そして通信制御部280は、クロップ領域設定コマンドを、カメラ100にリクエスト送信する。
【0047】
以下、
図5、
図6、
図7を用いて、ユーザがカメラ100のズーム倍率を変更したときの各クロップ領域に対する処理フローについて説明する。
図5は、本実施形態におけるカメラ100のズーム倍率が変更されたときの処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、各クロップ領域の設定処理のフローチャートである。
図7は、実施形態に係るカメラ100のズーム倍率が変更された場合の画像中の各クロップ領域の表示例の図である。
【0048】
図7に示す画像701と画像702は、表示制御部270が入出力I/F240を介して、カメラ100が撮像した画像または映像にクロップ領域設定情報をOSD表示したものに相当する画像(第2の画像)である。画像701は、カメラ100のズーム倍率を大きくした際のOSD表示したものに相当する。画像702は、カメラ100のズーム倍率を小さくしたときのOSD表示したものに相当する。
【0049】
また、
図7に示すCrop1のクロップ領域703とクロップ領域705は、クロップ番号を1として設定されたクロップ領域である。そして、クロップ領域703とクロップ領域705は、画角維持モードが設定されていない(有効ではない)状態のクロップ領域を示している。Crop2のクロップ領域704とクロップ領域706は、クロップ番号を2として設定されたクロップ領域である。そして、クロップ領域703とクロップ領域705は、画角維持モードが設定されている(有効である)状態のクロップ領域を示している。
図7に示す各クロップ領域における詳細は後述する。
【0050】
図5と
図6に示す各処理は、コントローラ200のCPU210がRAM220上にロードされた各プログラムを実行することによって実現される。また、各工程(ステップ)について先頭にSを付けて表記することで、工程(ステップ)の表記を省略する。尚、以下の処理を行う時点で、ユーザによって
図4に示しているようなレイアウト設定画面を介して1つまたは複数のクロップ領域が設定されているものとする。
【0051】
まず、S501で、CPU210は、ズーム倍率の変更処理が開始されたらカメラ100に設定されているクロップ領域設定情報を取得する。その後、S502に進む。即ち、S501では、ユーザ等によって領域設定されている各クロップ領域のクロップ領域設定情報を取得する。
【0052】
次に、S502で、CPU210は、S501で取得した各クロップ領域の設定処理を行う。その後、ズーム倍率の変更処理を終了する。ここで、S502における各クロップ領域の設定処理のフローの詳細について
図6を参照して説明する。
【0053】
まず、S601で、CPU210は、カメラ100に設定されているクロップ領域の数Nを取得し、S602に進む。次に、S602で、CPU210は、各クロップ領域を識別するための番号iを1に初期設定し、S603に進む。
【0054】
次に、S603で、CPU210は、クロップ領域の番号iが、保存されているクロップ領域数N以下か判定する。判定の結果、クロップ領域の番号iが保存されているクロップ領域数N以下の場合、S604に進む。一方、クロップ領域の番号iが保存されているクロップ領域数N以下でない場合、各クロップ領域の設定処理を終了する。
【0055】
次に、S604で、CPU210は、番号iにおけるクロップ領域に画角維持モードが設定されているか判定する。判定の結果、番号iにおけるクロップ領域に画角維持モードが設定されている場合、S606に進む。一方、番号iにおけるクロップ領域に画角維持モードが設定されていない場合は、S605に進む。尚、後述するS606で現在のクロップ領域の番号に1が加算される。そのため、例えば、最初にクロップ番号が1のクロップ領域のS604での処理を終了した後、S606を経由して再度S604の処理を行う場合は、クロップ番号が2のクロップ領域に対してS604の処理を行う。
【0056】
次に、S605で、CPU210は、現在のクロップ領域の番号iにおけるクロップ領域角の4点それぞれにクロップ領域設定情報に含まれていた球面座標を設定する。その後、S606に進む。次に、S606で、CPU210は、現在のクロップ領域の番号に1を加算する。その後、S603に進み同様の処理を行う。
【0057】
以下、
図7を参照して、カメラ100のズーム倍率が変化した際、クロップ領域に画角維持モードが設定されている場合と設定されていない場合とでのクロップ領域におけるサイズ及び位置の変化(変更)について説明する。
【0058】
本実施形態では、ズーム倍率が変更された際には、表示制御部270は、複数のクロップ領域のうち、画角維持モードが設定されているクロップ領域のズーム倍率変更前の画像に対するサイズ及び位置をズーム倍率に応じて画角を維持するように変化させる。ここで、ズーム倍率変更前の画像とは、クロップ領域が設定され当該設定されたクロップ領域に対して画角維持モードが設定されたときの画像である。そのため、ズーム倍率を複数回変更した場合であっても、画角維持モードが設定されたクロップ領域は、当該クロップ領域に画角維持モードが設定されたときの画像を基準にサイズ及び位置がズーム倍率に応じて画角を維持するように変化する。一方、表示制御部270は、ズーム倍率が変更された際、画角維持モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率変更前の画像に対するサイズ及び位置をズーム倍率に応じて変化させない。
【0059】
そして、表示制御部270は上記したクロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する。当該画像を出力する際、表示制御部270は、変更されたズーム倍率とクロップ領域における画角維持モードの設定に応じてクロップ領域のサイズ及び位置を変化させた、または変化させない、若しくはその両方の処理を行った画像を出力する。即ち、表示制御部270は、ズーム倍率が変更された場合、複数のクロップ領域のうち、画角維持モードが設定されているクロップ領域のズーム倍率変前の画像に対するサイズ及び位置はズーム倍率に応じて画角を維持するように変化させた画像を出力する。一方、画角維持モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置をズーム倍率に応じて変化させない画像を出力する。このように、表示制御部270は、ズーム倍率と画角維持モード(画角制御モード)の設定に応じて、画像に対するクロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化手段としても機能する。
【0060】
図7を例とするとCrop1のクロップ領域703は、カメラ100のズーム倍率が小さくなった場合、Crop1のクロップ領域705に示すように、ズーム倍率が変更される前の画像に対するクロップ領域のサイズ及び位置は変化しない。また、Crop1のクロップ領域705は、カメラ100のズーム倍率が大きくなってもクロップ領域703に示すように、ズーム倍率が変更される前の画像に対するクロップ領域のサイズ及び位置は変化しない。例えば、画像701が、クロップ領域が設定され当該設定されたクロップ領域に対して画角維持モードが設定されたときの画像であった場合を想定する。その場合、ズーム倍率が小さくなった際、画像701に対するクロップ領域705のサイズ及び位置はズーム倍率に応じて変化しない。ズーム倍率が大きくなった場合も同様である。
【0061】
一方で、Crop2のクロップ領域704は、カメラ100のズーム倍率が小さくなった場合、画角維持モード設定時の球面座標値がクロップ領域角の4点に設定される。そのため、Crop2のクロップ領域706のように、ズーム倍率が変更される前の画像に対して画角は維持した状態でクロップ領域のサイズは小さくなり、位置も変化する。また、Crop2のクロップ領域706は、カメラ100のズーム倍率が大きくなった場合も、画角維持モード設定時の球面座標値がクロップ領域角の4点に設定される。そのため、Crop2のクロップ領域704のように、ズーム倍率が変更される前の画像に対して画角は維持した状態でクロップ領域のサイズは大きくなり、位置も変化する。例えば、画像701が、クロップ領域が設定され当該設定されたクロップ領域に対して画角維持モードが設定されたときの画像であった場合を想定する。この場合、ズーム倍率が小さくなった際、画像701に対するクロップ領域705のサイズ及び位置はズーム倍率に応じて画角を維持するように変化する。ズーム倍率が大きくなった場合も同様である。
【0062】
尚、カメラ100にパン・チルト・ズームのいずれかの制御がなされた場合に、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画角が維持できないとき、このクロップ領域の画角維持モードの設定を解除(無効化)してもよい。即ち、上記した制御手段は、カメラ100におけるズーム倍率が変化し、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画角が維持できない場合、画角指示モードが設定されたクロップ領域における画角維持モードの設定を無効化する。ここで、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画角が維持できないというのは、当該クロップ領域の全域または一部が、カメラ映像(例えば、ズーム倍率が変更される前の画像)の端部となる、端部から見切れる、または範囲外になることを含む。例えば、ズーム倍率が大きくなった場合に、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画角が維持できなくなることが想定される。
【0063】
尚、カメラ100がパン回転、チルト回転をした場合も同様であり、パン回転、チルト回転、ズーム倍率変更の複数の動作が組み合わされて制御がなされた場合でも同様である。即ち、上記した制御手段は、画角維持モードが設定されたクロップ領域の少なくとも一部が、カメラ100の撮像方向が変更(変化)される前の画像の端または範囲外等となった場合、当該クロップ領域における画角維持モードの設定を解除(無効化)する。具体的には、カメラ100の撮像方向が変化した際、画角維持モードが設定されたクロップ領域の少なくとも一部が、ズーム倍率が変更される前の画像の端または範囲外等となった場合に画角維持モードの設定を解除する。
【0064】
また、この際の画角維持モードが設定されたクロップ領域における画角維持モードの設定の解除(無効化)は、一時的でもよい。例えば、画角維持モードが設定されていたが、一度クロップ領域の全域または一部が、カメラ映像(例えば、ズーム倍率が変更される前の画像)の範囲外となり、当該設定が解除された場合を想定する。この場合、当該設定が解除されたクロップ領域の全域が、カメラ100のズーム倍率が小さくなることでカメラ映像(例えば、ズーム倍率が変更される前の画像)の範囲内に戻った際、そのクロップ領域における画角維持モードの設定を復元(有効化)してもよい。
【0065】
また、例えば、画角維持モードが設定されていたが、一度クロップ領域の全域または一部が、カメラ映像(例えば、撮像方向が変化する前の画像)の範囲外となり、当該設定が解除された場合を想定する。その場合、当該設定が解除されたクロップ領域の全域が、撮像方向が変更されることでカメラ映像(例えば、撮像方向が変化する前の画像)の範囲内に戻った際、そのクロップ領域における画角維持モードの設定を復元(有効化)してもよい。
【0066】
上記した制御手段は、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画角を維持できる範囲のみとなるよう(制限するように)にカメラ100のパン回転・チルト回転・ズーム倍率を制御してもよい。即ち、制御手段は、画角維持モードが設定されたクロップ領域における画角が維持できる範囲内でズーム倍率を制限するようにカメラ100を制御してもよい。また、制御手段は、画角維持モードが設定されたクロップ領域における画角が維持できる範囲内となるように上記した駆動機構における各回転方向の駆動を制限(撮像方向を変化させる駆動機構の駆動を制限)するようにカメラ100を制御してもよい。
【0067】
また、上記した制御手段は、カメラ100のズーム倍率が小さくなっていった際に、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画質を維持できない場合、このクロップ領域の画角維持モードの設定を解除(無効化)してもよい。ここで、クロップ領域の画質を維持できないというのは、クロップ領域の画素数が出力解像度(表示制御部270が第2の画像を出力する際の解像度)の画素数未満になることを含む。即ち、上記した制御手段は、カメラ100のズーム倍率が小さくなっていった際、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画素数が出力解像度未満となった場合、当該クロップ領域の画角維持モードの設定を無効化してもよい。
【0068】
尚、この際の画角維持モードが設定されたクロップ領域における画角維持モードの設定の解除は一時的でもよい。例えば、カメラ100のズーム倍率を大きくしていった際に、画角維持モードが設定されていたクロップ領域の画質を維持できるようになった場合、画角維持モードの設定を復元(有効化)してもよい。ここで、クロップ領域の画質を維持できるというのは、クロップ領域の画素数が出力解像度の画素数以上であることを含む。即ち、上記した制御手段は、カメラ100のズーム倍率が大きくなっていった際、画角維持モードの設定が解除されたクロップ領域の画素数が出力解像度以上となった場合、当該クロップ領域の画角維持モードの設定を復元(有効化)してもよい。
【0069】
上記した制御手段は、カメラ100のズーム倍率を小さくしていった際に、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画質を維持できる範囲でのみ、カメラ100のズーム倍率を小さくできるようにしても制御してもよい。即ち、制御手段は、画角維持モードが設定されたクロップ領域におけるが画質が維持できる範囲内でズーム倍率を制限するようにカメラ100を制御してもよい。
【0070】
また、ユーザが画質の劣化の割合を指定してもよい。この場合、上記した制御手段は、この割合を閾値として、ユーザがクロップ領域に画角維持モードを設定する際に、当該クロップ領域に対して画角維持モードを適用するかしないかを決定してもよい。ここで、画質劣化の割合とは、クロップ領域の画素数と出力解像度の画素数の比率を含む。即ち、制御手段は、画角維持モードが設定されたクロップ領域の画素数と出力解像度の画素数の比率に応じて、クロップ領域における画角維持モードの設定の無効化と有効化を制御する。
【0071】
以上、本実施形態によれば、各クロップ領域に画角維持モードを設定できるようにすることで、ユーザがカメラ100に対してパン・チルト・ズームの操作したときに、意図した各クロップ領域の画角と画質を維持できるようになる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体(記憶媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、撮像装置、WEBアプリケーション等)から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0073】
また、例えば、
図1に示すコントローラ200の各機能部の一部または全部の機能がコントローラ200とは異なる装置に含まれるようにしてもよい。具体的には、コントローラ200とは異なる装置またはストレージデバイスがこれらの機能部を有し、コントローラ200と有線または無線接続に基づく通信を行うことにより各実施形態の機能が実現されるようにしてもよい。異なる装置としては、例えば、カメラ100やサーバ等の外部通信機器である。また、例えば、
図1における1または複数の機能部がコントローラ200とは異なる1または複数のコンピュータにより実現されるようにしてもよい。また、
図1における各機能部の一部または全部の機能がコントローラ200とは異なる1または複数の装置が有するようにしてもよい。
【0074】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、プログラム、及びシステムを含む。
【0075】
(構成1)
撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる制御手段と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力手段と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化手段と、を有し、
前記変化手段は、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【0076】
(構成2)
前記制御手段は、前記第1の画像に対し前記画角制御モードの設定がある第1クロップ領域と、前記画角制御モードの設定がない第2クロップ領域とを設定可能な設定画面を前記表示装置上に表示させることを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0077】
(構成3)
前記制御手段は、前記ズーム倍率が変化した際に前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画角が維持できない場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする構成1または2に記載の情報処理装置。
【0078】
(構成4)
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角が維持できる範囲内で前記ズーム倍率を制限することを特徴とする構成1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0079】
(構成5)
前記制御手段は、前記ズーム倍率が大きくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の少なくとも一部が、前記ズーム倍率が変更される前の画像の端または範囲外となった場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする構成1または2に記載の情報処理装置。
【0080】
(構成6)
前記制御手段は、前記ズーム倍率が小さくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の全域が、前記ズーム倍率が変更される前の画像内に収まった場合、前記画角制御モードの設定を無効化したクロップ領域に対して前記画角制御モードの設定を有効化することを特徴とする構成5に記載の情報処理装置。
【0081】
(構成7)
前記制御手段は、前記撮像装置の撮像方向が変化した際、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の少なくとも一部が、前記撮像方向が変化する前の画像の端または範囲外となった場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする構成1乃至6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0082】
(構成8)
前記制御手段は、前記撮像方向が変化して、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の全域が前記画像内に収まった場合、前記画角制御モードの設定を無効化したクロップ領域に対して前記画角制御モードの設定を有効化することを特徴とする構成7に記載の情報処理装置。
【0083】
(構成9)
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画角が維持できる範囲内となるように前記撮像装置の撮像方向を変化させる駆動手段の駆動を制限することを特徴とする構成1乃至8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0084】
(構成10)
前記制御手段は、前記ズーム倍率が小さくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画質を維持できない場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする構成1乃至9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0085】
(構成11)
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域における前記画質が維持できる範囲内で前記ズーム倍率を制限することを特徴とする構成10に記載の情報処理装置。
【0086】
(構成12)
前記制御手段は、前記ズーム倍率が小さくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画素数が、前記出力手段が前記第2の画像を出力する際の解像度の画素数未満となった場合、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の前記画角制御モードの設定を無効化することを特徴とする構成1乃至9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0087】
(構成13)
前記制御手段は、前記ズーム倍率が大きくなり、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画素数が前記解像度の画素数以上となった場合、前記画角制御モードの設定を無効化した前記クロップ領域に対して前記画角制御モードを有効化することを特徴とする構成12に記載の情報処理装置。
【0088】
(構成14)
前記制御手段は、前記画角制御モードが設定されたクロップ領域の画素数と前記出力手段が前記第2の画像を出力する際の解像度の画素数の比率に応じて、前記クロップ領域における前記画角制御モードの設定を無効化または有効化することを特徴とする構成1乃至13のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0089】
(構成15)
前記設定画面には、少なくとも設定された前記クロップ領域の座標の情報、幅及び高さの情報の情報、前記画角制御モードの設定状態が表示されることを特徴とする構成1乃至14のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0090】
(構成16)
情報処理装置の制御方法であって、
撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる表示工程と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力工程と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化工程と、を有し、
前記変化工程では、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【0091】
(構成17)
情報処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは前記コンピュータに、
撮像装置における撮像手段により撮像された第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる表示工程と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力工程と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化工程と、を実行させ、
前記変化工程では、前記撮像装置のズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0092】
(構成18)
少なくとも1台の撮像装置と、前記撮像装置と通信可能に接続される情報処理装置を含む撮像システムであって、
前記撮像装置は、
第1の画像を取得する撮像手段と、
前記撮像装置におけるズーム倍率を変化させるズーム手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記第1の画像に対して、複数のクロップ領域の設定及び前記複数のクロップ領域における画角を制御する画角制御モードを設定可能な設定画面を表示装置上に表示させる制御手段と、
前記クロップ領域が設定された画像を第2の画像として出力する出力手段と、
前記画角制御モードの設定に応じて画像に対する前記クロップ領域のサイズ及び位置を変化させる変化手段と、を有し、
前記変化手段は、前記ズーム倍率が変更された際、複数の前記クロップ領域のうち、前記画角制御モードが設定されていないクロップ領域のズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて変化させず、前記画角制御モードが設定されているクロップ領域の前記ズーム倍率が変更される前の画像に対するサイズ及び位置を前記ズーム倍率に応じて前記画角を維持するように変化させる、
ことを特徴とする撮像システム。
【0093】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0094】
100 カメラ
110 CPU
120 RAM
130 ROM
140 画像キャプチャI/F
150 ネットワークI/F
160 画像センサ
170 駆動制御部
180 画像処理部
190 通信制御部
1000 内部パス
200 コントローラ
210 CPU
220 RAM
230 ROM
240 ユーザ入出力I/F
250 ネットワークI/F
260 入力制御部
270 表示制御部
280 通信制御部
2000 内部パス
300 IPネットワーク