(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175927
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】エレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20241212BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20241212BHJP
【FI】
B66B3/00 L
B66B3/00 M
G01S5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094032
(22)【出願日】2023-06-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 健汰
【テーマコード(参考)】
3F303
5J062
【Fターム(参考)】
3F303CB22
3F303CB24
3F303CB25
3F303CB28
5J062BB05
5J062BB08
5J062CC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より簡易な情報処理によって利用者の状況を把握できるエレベーターシステムを提供する。
【解決手段】エレベーターシステム1は、複数の検出器14と、推定部15と、を備える。各々の検出器14は、建物における複数の階床の各々、かご7、および釣合い錘8の少なくともいずれかに設けられる。各々の検出器14は、携帯機器12を識別しうるように携帯機器12から発信される無線信号13を検出可能である。推定部15は、各々の検出器14について、携帯機器12からの無線信号13の検出数に基づいて、各々の検出器14が対応する箇所の混雑情報を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備える、エレベーターシステム。
【請求項2】
前記推定部は、前記複数の検出器に含まれる複数の受信検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記複数の受信検出器のうち前記無線信号の受信強度が最も強い受信検出器における前記無線信号の受信強度と前記無線信号の受信強度が次に強い他の受信検出器における前記無線信号の受信強度の差が予め設定された閾値より大きい場合に、前記無線信号の受信強度が最も強い受信検出器が対応する箇所に前記携帯機器があるものとして、当該箇所の混雑情報を推定する、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、前記複数の階床のうちの第1階床に設けられる第1階床検出器、および前記複数の階床のうちの前記第1階床に隣接する第2階床に設けられる第2階床検出器を含み、
前記推定部は、前記かご検出器および前記第1階床検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記かごの発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第1階床検出器から前記第2階床検出器に移動する場合に、前記かごの内部に前記携帯機器があるものとして、前記かごの混雑情報を推定する、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記複数の検出器は、前記複数の階床のうちの互いに異なる階床に設けられる3つ以上の階床検出器を含み、
前記推定部は、前記3つ以上の階床検出器の各々が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記3つ以上の階床検出器のうち最も上の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所および前記3つ以上の階床検出器のうち最も下の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所を前記携帯機器があるとする箇所から除外して、混雑情報の推定を行う、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの第3階床に設けられる第3階床検出器を含み、
前記推定部は、前記かごが前記第3階床に停止した後の前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記かご検出器から前記第3階床検出器に移動する場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごから降車したため再乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの最上階または最下階である第4階床に設けられる第4階床検出器を含み、
前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが呼びによって前記第4階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第4階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの中間階である第5階床に設けられる第5階床検出器を含み、
前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが上階行および下階行の両方の呼びによって前記第5階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第5階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムの例を開示する。エレベーターシステムにおいて、かごの中に設置されたステレオカメラは、かごの内部からドア越しに見える着床している階床の乗場までの範囲を撮影する。映像処理装置は、ステレオカメラで撮影された映像を基にかごに乗り降りする利用者の三次元位置情報を算出して利用者の人数を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエレベーターシステムにおいて、かごの中に設置されたステレオカメラが撮影する映像を処理することで、乗場にいる利用者の人数などの乗場の状況が把握される。このため、乗場などにおける利用者の状況の把握に、画像処理などの高度な情報処理が必要となる。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、より簡易な情報処理によって利用者の状況を把握できるエレベーターシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムによれば、より簡易な情報処理によって利用者の状況が把握できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るエレベーターシステムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に係るエレベーターシステムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の構成図である。
【0011】
エレベーターシステム1は、1つまたは複数のエレベーター2を含む。この例において、エレベーターシステム1は、複数のエレベーター2を含む。各々のエレベーター2は、複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター2の昇降路3が設けられる。昇降路3は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。建物の各々の階床において、昇降路3に隣接する乗場4が設けられる。各々のエレベーター2は、巻上機5と、主ロープ6と、かご7と、釣合い錘8と、制御盤9と、を備える。
【0012】
巻上機5は、例えば昇降路3の上部または下部などに配置される。例えば昇降路3の上方などにエレベーター2の機械室が設けられる場合に、巻上機5は、機械室に配置されてもよい。巻上機5は、モータおよびシーブを備える。巻上機5のモータは、駆動力を発生させる装置である。巻上機5のシーブは、巻上機5のモータが発生させる駆動力によって回転する機器である。
【0013】
主ロープ6は、巻上機5のシーブに巻き掛けられる。主ロープ6は、巻上機5のシーブの一方側においてかご7の荷重を支持する。主ロープ6は、巻上機5のシーブの他方側において釣合い錘8の荷重を支持する。主ロープ6は、巻上機5のシーブの回転によって、巻上機5のシーブのいずれかの側が巻き上げられるように移動する。
【0014】
かご7は、昇降路3を上下方向に走行することでエレベーター2の利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。かご7は、巻上機5のシーブの回転による主ロープ6の移動に連動して昇降路3を上下方向に走行する。
【0015】
釣合い錘8は、巻上機5のシーブの両側にかかる荷重の釣合いをかご7との間でとる装置である。釣合い錘8は、巻上機5のシーブの回転による主ロープ6の移動に連動して、上下方向においてかご7の反対側に昇降路3を走行する。
【0016】
制御盤9は、エレベーター2の動作を制御する装置である。制御盤9は、例えば昇降路3の上部または下部などに配置される。例えば昇降路3の上方などにエレベーター2の機械室が設けられる場合に、制御盤9は、機械室に配置されてもよい。制御盤9が制御するエレベーター2の動作は、かご7の走行などを含む。かご7の走行は、かご7の発進、加速、定速走行、減速、および停止などを含む。例えば、制御盤9は、利用者の登録された呼びに応答させるように、かご7を複数の階床の間で走行させる。このとき、制御盤9は、利用者の呼びに応じて、かご7をいずれかの階床まで走行させた後に停止させ、その後、他の呼びなどに応答させるように当該かご7を再発進させる。
【0017】
この例において、エレベーターシステム1は、群管理装置10を備える。群管理装置10は、エレベーターシステム1に含まれるエレベーター2の運行の管理などを行う装置である。群管理装置10は、割当部11を備える。割当部11は、各々のエレベーター2への呼びの割当てを行う機能を搭載する部分である。割当部11は、例えば、エレベーターシステム1全体の運行効率を高めうるように、各々のエレベーター2への呼びの割当てを行う。割当部11は、例えば、エレベーター2の利用者の状況などに応じて、エレベーター2への呼びの割当てを行う。なお、例えばエレベーターシステム1が単一のエレベーター2のみを含む場合などに、エレベーターシステム1は、群管理装置10を備えていなくてもよい。
【0018】
この例において、一定割合以上のエレベーターシステム1の利用者は、携帯機器12を所持している。携帯機器12は、例えばスマートフォン、スマートウォッチ、または無線式イヤホンなどの一般に普及した可搬な機器である。携帯機器12は、例えば数メートルから数十メートル程度の範囲を通信範囲とする無線通信の機能を搭載する。携帯機器12は、例えば、IEEE 802.15.1規格もしくはIEEE 802.11規格、またはこれらの関連規格、下位規格、上位規格、後継規格、互換規格、もしくは類似規格などによる無線通信の機能を搭載する。携帯機器12は、無線通信の機能が有効になっているときに、当該携帯機器12を識別しうるような無線信号13を発信する。無線信号13は、例えば携帯機器12の識別情報などを含む。無線信号13は、例えば、無線通信を行う機器間で双方向の通信を確立するための初めの段階として通信される、携帯機器12の固有ID情報(ID:IDentifier)を含む電波信号などである。無線信号13は、例えばアドバタイズ信号などであってもよい。無線信号13の強度は、乗場4またはかご7などの壁または床などを通過する際に減衰する。
【0019】
エレベーターシステム1において、利用者の状況を把握する情報収集システムが適用される。情報収集システムは、エレベーターシステム1に含まれる内部システムであってもよいし、エレベーターシステム1に外部から適用される外部システムであってもよい。情報収集システムの一部または全部は、エレベーターシステム1に含まれていてもよい。情報収集システムは、例えば、利用者の状況として、各階床の乗場4およびかご7内の混雑情報などの情報を推定する。
【0020】
情報収集システムは、複数の検出器を備える。複数の検出器は、検出器14a、検出器14b、検出器14c1、検出器14c2、検出器14c3、および検出器14c4などを含む。ここで、検出器14a、検出器14b、検出器14c1、検出器14c2、検出器14c3、および検出器14c4などを特に区別しない場合に、単に検出器14と記載することがある。また、検出器14c1、検出器14c2、検出器14c3、および検出器14c4などを特に区別しない場合に、単に検出器14cと記載することがある。各々の検出器14は、エレベーター2において対応する箇所に設けられる。検出器14aは、かご7に設けられる。ここで、かご7に設けられる検出器14aを、かご検出器と記載することがある。エレベーターシステム1に複数のエレベーター2が含まれる場合に、検出器14aは、全てのかご7に設けられていてもよいし、一部のかご7のみに設けられていてもよい。検出器14bは、釣合い錘8に設けられる。ここで、釣合い錘8に設けられる検出器14bを、釣合い錘検出器と記載することがある。エレベーターシステム1に複数のエレベーター2が含まれる場合に、検出器14bは、全ての釣合い錘8に設けられていてもよいし、一部の釣合い錘8のみに設けられていてもよい。検出器14c1は、1階の乗場4に設けられる。検出器14c2は、2階の乗場4に設けられる。検出器14c3は、3階の乗場4に設けられる。検出器14c4は、4階の乗場4に設けられる。ここで、建物の各々の階床の乗場4に設けられた検出器14c1、検出器14c2、検出器14c3、および検出器14c4の各々を、階床検出器と記載することがある。なお、建物において、全ての階床の乗場4に検出器14cが設けられていてもよいし、乗場4に検出器14cが設けられない階床があってもよい。検出器14は、利用者が所持する携帯機器12から発信される無線信号13を検出しうるように、無線通信の機能を搭載する。
【0021】
情報収集システムは、推定部15を備える。推定部15は、例えば、群管理装置10などに搭載される。また、エレベーター2が単一のエレベーター2のみを含む場合などに、推定部15は、エレベーター2の制御盤9などに搭載されていてもよい。また、推定部15は、エレベーターシステム1の外部のサーバ装置などに搭載されていてもよい。推定部15は、混雑情報などの利用者の状況の情報を推定する機能を搭載する。推定部15は、携帯機器12からの無線信号13の検出数に基づいて、各々の検出器14が対応する箇所の混雑情報を推定する。混雑情報は、例えば、各箇所における利用者の人数そのものであってもよいし、面積当たりの利用者の人数、利用者による各箇所の占有率、またはかご7における利用者の乗車率などの割合によって表される量であってもよい。情報収集システムにおける利用者の情報の把握は、例えば次のように行われる。
【0022】
各々の検出器14は、例えば一定の頻度で携帯機器12からの無線信号13を検出する。無線信号13を検出した検出器14は、当該検出器14の対応する箇所、当該無線信号13に含まれる識別情報、および当該無線信号13の受信強度の情報を含む検出データを、推定部15に出力する。検出器14から推定部15に出力される検出データは、当該検出器14が無線信号13から読み取った携帯機器12のプロファイル情報などを含んでもよい。プロファイル情報は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、または無線式イヤホンなどの携帯機器12の種類を表す情報を含む。
【0023】
推定部15は、各々の検出器14から検出データを受け付ける。推定部15は、検出器14から受け付けた識別情報ごとに処理を行う。例えば、検出器14c3から識別情報「AAA」の検出データを受け付け、検出器14c2から識別情報「AAA」、「BBB」、および「CCC」のそれぞれの検出データを受け付け、検出器14aから識別情報「BBB」の検出データを受け付けるときに、推定部15は、識別情報「AAA」、「BBB」、および「CCC」についての処理を順に行う。
【0024】
推定部15は、識別情報ごとに、当該識別情報で識別される携帯機器12がどの箇所にあるかを絞り込む。推定部15は、絞り込んだ結果に基づいて、各携帯機器12がどの箇所にあるかを判定する。推定部15は、検出器14が設けられた箇所ごとに、携帯機器12の検出数を集計する。ここで、推定部15は、検出器14bが携帯機器12から無線信号13を検出するときに、例えば当該携帯機器12は検出器14bが設けられた釣合い錘8の現在位置する階床の乗場4にあるものとして携帯機器12の検出数を集計してもよい。推定部15は、集計した携帯機器12の検出数に基づいて、各箇所の混雑情報を推定する。推定部15は、例えば、集計した携帯機器12の検出数をそのまま各箇所の人数の推定値としてもよいし、携帯機器12を所持している利用者の割合などに応じて予め設定された係数を検出数に乗じて各箇所の人数の推定値としてもよい。情報収集システムにおいて推定された混雑情報は、例えば、群管理装置10における運行の管理、または制御装置におけるエレベーター2の動作の制御などに用いられる。情報収集システムは、一般に普及した携帯機器12からの無線信号13によって混雑情報などの利用者の状況の情報を推定するので、不特定多数の利用者を検出対象とすることができる。推定部15は、例えば次のように携帯機器12のある箇所の絞り込みを行う。
【0025】
推定部15は、例えば、各々の検出器14における無線信号13の受信強度に基づいて、携帯機器12のある箇所の絞り込みを行う。無線信号13の信号強度は、一般に、発信源である携帯機器12から遠いほど減衰し、壁または床などを隔てるとさらに減衰する。このため、より強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14は、携帯機器12のより近くにあるか、壁および床などを隔てない位置にあると推定できる。例えば、複数の検出器14のうちのいずれか複数が、同一の携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。このとき、無線信号13を検出した複数の検出器14の各々は、受信検出器の例である。無線信号13を検出する複数の検出器14は、情報収集システムの全ての検出器14であってもよいし、一部の検出器14であってもよい。推定部15は、無線信号13を検出した複数の検出器14のうち、最も強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14の対応する箇所に、当該無線信号13によって識別される携帯機器12があるとして混雑情報の推定を行う。
【0026】
なお、推定部15は、最も強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14における受信強度と、他の検出器14における受信強度との差が予め設定された閾値より大きい場合に、最も強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14の対応する箇所に、当該無線信号13によって識別される携帯機器12があるとしてもよい。当該他の検出器14は、例えば、2番目に強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14などである。このとき、最も強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14における受信強度と、他の検出器14における受信強度との差が予め設定された閾値以下である場合に、推定部15は、他の方法によって携帯機器12のある箇所の絞り込みを行ってもよい。
【0027】
あるいは、推定部15は、例えば、エレベーターシステム1の運行などに基づいて、携帯機器12のある箇所の絞り込みを行ってもよい。例えばかご7に設けられる検出器14aなどは、検出データにかご7の位置などの情報を含めて推定部15に出力してもよい。また、推定部15は、いずれかの検出器14から検出データを受け付けたときのかご7の位置などの情報を、エレベーター2の制御盤9などから取得してもよい。例えば、エレベーター2のかご7が2階に停止しており、検出器14aおよび検出器14c2が、同一の携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。このとき、建物の2階は第1階床の例であり、検出器14c2は第1階床検出器の例である。推定部15は、2階に停止していたかご7の2階からの発進とともに、当該携帯機器12からの無線信号13を検出する階床検出器が検出器14c2から他の階床に設けられた他の検出器14に移動する場合に、検出器14aの対応するかご7内に当該無線信号13によって識別される携帯機器12があるとして混雑情報の推定を行う。このとき、当該他の階床は第2階床の例であり、当該他の検出器14は第2階床検出器の例である。また、推定部15は、例えば階床検出器のうち検出器14c2が無線信号13を検出する状態から、階床検出器のうち検出器14c3または検出器14c1などの他の階床検出器が無線信号13を検出する状態になるときに、無線信号13を検出する階床検出器が検出器14c2から他の検出器14に移動すると判定する。あるいは、推定部15は、検出器14c2における無線信号13の受信強度より、検出器14c3または検出器14c1などの他の検出器14における無線信号13の受信強度が強くなるときに、無線信号13を検出する階床検出器が検出器14c2から他の検出器14に移動すると判定してもよい。
【0028】
あるいは、推定部15は、例えば、各検出器14の配置に基づいて、携帯機器12のある箇所の絞り込みを行ってもよい。例えば、複数の検出器14のうち互いに異なる連続した3つ以上の階床に設けられる3つ以上の階床検出器が、同一の携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。より具体的には、例えば、検出器14c2、検出器14c3、および検出器14c4が同一の携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。これらの検出器14は、2階、3階、および4階にそれぞれ設けられる。このとき、携帯機器12からの無線信号13は通常等方的に発せられるので、携帯機器12は中央の3階付近にある可能性が高いと推定できる。このため、推定部15は、上下の両端の階床に設けられた検出器14の対応する箇所を携帯機器12があるとする箇所から除外して、混雑情報の推定を行う。この例において、推定部15は、検出器14c2および検出器14c4が設けられる2階および4階の乗場4を、携帯機器12があるとする箇所から除外する。推定部15は、4つ以上の階床検出器が同一の携帯機器12からの無線信号13を検出する場合にも、上下の両端の階床の乗場4を携帯機器12があるとする箇所から除外してもよい。このとき、中央付近の複数の階床に設けられた複数の検出器14について、他の方法によって携帯機器12のある箇所の絞り込みを行ってもよい。
【0029】
なお、推定部15は、検出データに含まれるプロファイル情報などに基づいて、同一の利用者に対応する識別情報の判定などを行ってもよい。例えば、携帯機器12であるスマートフォンおよび無線式イヤホンは、同一の利用者によって同時に使用されることが一般的である。このとき、例えば同じ箇所で検出される1組の携帯機器12がスマートフォンおよび無線式イヤホンであると判定されるときに、推定部15は、これらの携帯機器12が同一の利用者が所持していると判定して混雑情報の推定を行う。このとき、推定部15は、例えば、これらの携帯機器12の一方のみの検出結果を用いて混雑情報の推定を行ってもよいし、同一の利用者が所持している確率に応じた係数などをこれらの携帯機器12の検出数に乗じて1より小さい正の小数値に減じることなどによって混雑情報の推定を行ってもよい。これにより、情報収集システムは、同一の利用者が複数の携帯機器12を所持している場合を考慮して、混雑情報の推定精度をより高めることができる。推定部15は、同一の利用者によって同時に使用されることが一般的である他の携帯機器12の組合せについて、同様の処理を行ってもよい。
【0030】
また、携帯機器12を所持する利用者は、例えば、乗場4の近傍の場所に滞在していたり、かご7に乗車せずに乗場4を通過したりすることがある。このような場合に、推定部15は、例えば次のように、利用者がかご7に乗車しないことを判定して、当該利用者の携帯機器12を混雑情報の推定の対象から除外してもよい。
【0031】
推定部15は、例えば、利用者のかご7からの降車の際に、利用者がかご7に再乗車しないと判定して、当該利用者の携帯機器12を混雑情報の推定の対象から除外する。例えば、エレベーター2のかご7がいずれかの階床に停止しており、かご7に設けられた検出器14aが携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。このとき、当該階床は第3階床の例であり、当該階床に設けられた検出器14は第3階床検出器の例である。より具体的には、例えば、かご7が2階に停止している場合を考える。推定部15は、2階に停止していたかご7の2階からの再発進とともに、当該携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14が検出器14aから検出器14c2に移動する場合に、当該携帯機器12を所持する利用者は、かご7から降車したため再乗車しないと判定する。このとき、推定部15は、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器12を混雑情報の推定における集計の対象から除外する。また、推定部15は、例えば検出器14aが無線信号13を検出する状態から、検出器14c2が無線信号13を検出する状態になるときに、無線信号13を検出する検出器14が検出器14aから検出器14c2に移動すると判定する。あるいは、推定部15は、検出器14aにおける無線信号13の受信強度より、検出器14c2における無線信号13の受信強度が強くなるときに、無線信号13を検出する検出器14が検出器14aから他の検出器14c2に移動すると判定してもよい。
【0032】
あるいは、推定部15は、例えば、乗車可能なかご7に利用者が乗車しない場合に、利用者がかご7に乗車する意思がないと判定して、当該利用者の携帯機器12を混雑情報の推定の対象から除外してもよい。例えば、乗車率が予め設定された閾値より低い状態でかご7が最上階または最下階のいずれかの階床に呼びによって停止し、当該階床の乗場4に設けられた検出器14が携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。このとき、当該階床は第4階床の例であり、当該階床に設けられた検出器14は第4階床検出器の例である。より具体的には、例えば、かご7が1階に停止する場合を考える。なお、かご7の乗車率は、例えば当該かご7に設けられた秤装置などによって計測されるものであってもよいし、その他の方法で取得されるものであってもよい。また、呼びは乗場呼び、かご呼びおよびその他の呼びなどのいずれであってもよい。推定部15は、1階に停止したかご7の1階からの再発進とともに、当該携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14が検出器14c1から検出器14aに移動しなかった場合に、利用者は当該かご7に乗車しないと判定する。このとき、推定部15は、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器12を除外して混雑情報の推定を行う。
【0033】
推定部15は、最上階または最下階以外の中間階においても同様の処理を行ってもよい。例えば、乗車率が予め設定された閾値より低い状態でかご7がいずれかの中間階に上階行および下階行の両方の呼びによって停止し、当該中間階の乗場4に設けられた検出器14が携帯機器12からの無線信号13を検出する場合を考える。このとき、当該中間階は第5階床の例であり、当該中間階に設けられた検出器14は第5階床検出器の例である。より具体的には、例えば、かご7が上階行および下階行の両方の呼びによって2階に停止する場合を考える。エレベーターシステム1が複数のかご7を有する場合に、例えば、あるかご7が上階行で2階に停止しており、同時に他のかご7が下階行で2階に停止しているときに、推定部15は、かご7が上階行および下階行の両方の呼びによって2階に停止すると判定する。また、例えば、あるかご7が上階行または下階行で2階に停止し、予め設定された時間がその後経過するまでに他のかご7がその反対の走行方向で2階に停止するときに、推定部15は、かご7が上階行および下階行の両方の呼びによって2階に停止すると判定してもよい。あるいは、あるかご7が上階行または下階行で2階に停止し、予め設定された時間がその後経過するまでに当該かご7がその反対の走行方向で2階に停止するときに、推定部15は、かご7が上階行および下階行の両方の呼びによって2階に停止すると判定してもよい。また、推定部15は、2階に停止したかご7の2階からの再発進とともに、当該携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14が検出器14c2から検出器14aに移動しなかった場合に、利用者は当該かご7に乗車しないと判定する。このとき、推定部15は、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器12を除外して混雑情報の推定を行う。
【0034】
なお、情報収集システムは、複数の検出器14として、検出器14aまたは検出器14bのみを備えていてもよい。例えば、情報収集システムがかご7に設けられた検出器14aのみを備えている場合に、推定部15は、例えば次のように混雑情報の推定を行う。検出器14aは、かご7が建物の階床を通過するとき、および建物の階床に停止しているときに、各階床にある携帯機器12からの無線信号13を検出できる。いずれかの階床に停止していたかご7が当該階床から発信した後に、検出器14aが携帯機器12からの無線信号13を検出し続けている場合に、推定部15は、当該携帯機器12を所持する利用者がかご7にいるものとして混雑情報の推定を行う。また、推定部15は、例えば、検出器14aが携帯機器12からの無線信号13を検出したときにかご7が停止または走行している階床の乗場4に、当該携帯機器12を所持する利用者がいるものとして混雑情報の推定を行う。なお、情報収集システムが釣合い錘8に設けられた検出器14bのみを備えている場合に、推定部15は、同様に混雑情報の推定を行う。
【0035】
また、情報収集システムは、複数の検出器14として、各々の階床に設けられた複数の検出器14cのみを備えていてもよい。すなわち、情報収集システムは、検出器14aおよび検出器14bを備えていなくてもよい。かご7が上下方向に走行している間もいずれかの階床に設けられた検出器14cが携帯機器12からの無線信号13を検出し続けている場合に、推定部15は、当該携帯機器12を所持する利用者が当該階床の乗場4にいるものとして混雑情報の推定を行う。かご7が上下方向に走行している間にかご7の走行に伴って携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14cが移動する場合に、推定部15は、当該携帯機器12を所持する利用者がかご7にいるものとして混雑情報の推定を行う。
【0036】
続いて、
図2を用いて、エレベーターシステム1の動作の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の動作の例を示すフローチャートである。
図2において、情報収集システムによる利用者の状況の把握についてのエレベーターシステム1の処理の例が示される。
【0037】
ステップS101からステップS114までにおいて、推定部15は、無条件ループに入ってステップS102からステップS113までの処理を繰り返す。
【0038】
ステップS102において、推定部15は、各々の検出器14から検出データを取得する。検出データは、各々の検出器14に対する推定部15からの問い合わせによって出力されるものであってもよいし、予め設定された周期などで各々の検出器14から出力されるものであってもよい。その後、推定部15の処理は、ステップS103に進む。
【0039】
ステップS103からステップS113までにおいて、推定部15は、各々の検出器14で検出された識別情報の数の合計回数分のループに入って、ステップS104からステップS112までの処理を繰り返す。推定部15は、検出器14から受け付けた識別情報ごとに、ステップS104からステップS112までの処理を行う。
【0040】
ステップS104において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報を検出した検出器14が1つのみであるかを判定する。当該識別情報を検出した検出器14が1つのみである場合に、推定部15の処理は、ステップS105に進む。一方、当該識別情報を検出した検出器14が複数ある場合に、推定部15の処理は、ステップS106に進む。
【0041】
ステップS105において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報によって識別される携帯端末が、当該識別情報を検出した検出器14の対応する箇所にあるものとして、混雑情報の推定についての処理を行う。混雑情報の推定についての処理は、例えば、当該箇所における利用者の集計への加算などを含む。その後、推定部15の処理は、ステップS113に進む。
【0042】
ステップS106において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報について、最も強い受信強度で無線信号13を検出した検出器14における受信強度と、他の検出器14における受信強度との差が予め設定された閾値より大きいかを判定する。受信強度の差が閾値より大きい場合に、推定部15の処理は、ステップS107に進む。一方、受信強度の差が閾値以下である場合に、推定部15の処理は、ステップS108に進む。
【0043】
ステップS107において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報によって識別される携帯端末が、当該識別情報を最大受信強度で検出した検出器14の対応する箇所にあるものとして、混雑情報の推定についての処理を行う。その後、推定部15の処理は、ステップS113に進む。
【0044】
ステップS108において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報について、当該識別情報をかご検出器および階床検出器が検出し、かご7の発進とともに無線信号13を検出する階床検出器が移動するかを判定する。かご7の発進とともに無線信号13を検出する階床検出器が移動する場合に、推定部15の処理は、ステップS109に進む。一方、かご7の発進とともに無線信号13を検出する階床検出器が移動しない場合に、推定部15の処理は、ステップS110に進む。
【0045】
ステップS109において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報によって識別される携帯端末が、かご検出器の設けられたかご7にあるものとして、混雑情報の推定についての処理を行う。その後、推定部15の処理は、ステップS113に進む。
【0046】
ステップS110において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報を検出した階床検出器が3つ以上あるかを判定する。当該識別情報を検出した階床検出器が3つ以上である場合に、推定部15の処理は、ステップS111に進む。一方、当該識別情報を検出した階床検出器が2つ以下である場合に、推定部15の処理は、ステップS112に進む。
【0047】
ステップS111において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報を検出した3つ以上の階床検出器が対応する階床のうち、最も上の階床および最も下の階床を、当該識別情報によって識別される携帯端末があるとする箇所から除外する。その後、推定部15の処理は、ステップS112に進む。
【0048】
ステップS112において、推定部15は、今回のループで処理を行う識別情報によって識別される携帯端末が、除外されていないものの中で当該識別情報を最大受信強度で検出した検出器14の対応する箇所にあるものとして、混雑情報の推定についての処理を行う。その後、推定部15の処理は、ステップS113に進む。
【0049】
ステップS113において、今回の識別情報についてのループにおける推定部15の処理は終了する。推定部15は、未処理の識別情報のうちから1つを選択する。その後、推定部15の処理は、次のループの処理としてステップS104に進む。未処理の識別情報がない場合に、推定部15の処理は、ステップS114に進む。ステップS114において、推定部15の処理は、次の無条件ループの処理としてステップS102に進む。
【0050】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、複数の検出器14と、推定部15と、を備える。各々の検出器14は、建物における複数の階床の各々、かご7、および釣合い錘8の少なくともいずれかに設けられる。各々の検出器14は、携帯機器12を識別しうるように携帯機器12から発信される無線信号13を検出可能である。推定部15は、各々の検出器14について、携帯機器12からの無線信号13の検出数に基づいて、各々の検出器14が対応する箇所の混雑情報を推定する。
【0051】
このような構成により、エレベーターシステム1は、利用者が所持する携帯機器12が発する無線信号13の検出数の集計のような簡易な情報処理によって利用者の状況が把握できるようになる。これにより、エレベーターシステム1において情報処理を行う装置の要求スペックを抑えることができる。また、検出器14は、無線通信が可能であれば十分であるため、意匠性に影響のないサイズおよび配置での設置が可能となる。このように、エレベーターシステム1は、ステレオカメラなどの特殊な装置を必要としないため、コストの抑制、消費電力の抑制、および設置スペースの抑制などが可能となり、エレベーターシステム1の意匠性の低下が抑えられる。また、携帯機器12からの無線信号13にアドバタイズ信号などの通信規格による通信確立のための信号を用いると、携帯機器12の操作が不要となるので、利用者の利便性が損なわれない。また、開発コストを必要とする対応アプリケーションの携帯機器12への事前のインストールなどが不要となる。把握された利用者の状況に応じたエレベーターシステム1の運行が可能になるので、利用者の移動効率などの利便性がより高められるようになる。
【0052】
また、推定部15は、複数の検出器14が同一の前記携帯機器12からの無線信号13を検出するときに、各検出器14における無線信号13の受信強度のうち最も強い受信強度と次に強い受信強度との差が予め設定された閾値より大きいかを判定する。受信強度の差が閾値より大きい場合に、推定部15は、無線信号13の受信強度が最も強い検出器14が対応する箇所に当該無線信号13に対応する携帯機器12があるものとして、当該箇所の混雑情報を推定する。
【0053】
このような構成により、無線信号13の受信強度に基づいて、混雑情報の推定において携帯機器12のある箇所がより絞り込まれるようになるので、混雑情報の推定結果がより正確なものになる。
【0054】
また、かご7に設けられた検出器14およびかご7が停止している階床に設けられた検出器14が同一の携帯機器12からの無線信号13を検出することがある。このとき、推定部15は、かご7の発進とともに無線信号13を検出する検出器14が当該階床の検出器14から他の階床の検出器14に移動する場合に、かご7の内部に当該携帯機器12があるものとして、かご7の混雑情報を推定する。
【0055】
このような構成により、エレベーター2の運行状況に応じて、混雑情報の推定において携帯機器12のある箇所がより絞り込まれるようになるので、混雑情報の推定結果がより正確なものになる。
【0056】
また、推定部15は、3つ以上の階床検出器が同一の携帯機器12からの無線信号13を検出するときに、これらの階床検出器が設けられた階床のうち最も上の階床および最も下の階床を当該携帯機器12があるとする箇所から除外する。
【0057】
このような構成により、検出器14の配置に応じて、混雑情報の推定において携帯機器12のある箇所がより絞り込まれるようになるので、混雑情報の推定結果がより正確なものになる。
【0058】
また、推定部15は、いずれかの階床におけるかご7の停止後の再発進とともに、利用者の携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14が当該かご7の検出器14aから当該階床の検出器14cに移動する場合に、当該利用者はかご7から降車したため再乗車しないと判定する。このとき、推定部15は、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器12を除外して混雑情報の推定を行う。
【0059】
このような構成により、推定部15は、降車直後でかご7に再乗車しないと予測される利用者を混雑情報の推定から除外できるので、エレベーター2の利用状況としての混雑情報の推定結果がより正確なものになる。
【0060】
また、乗車率が予め設定された閾値より低い状態でかご7が呼びによって最上階または最下階である階床に停止することがある。その後、利用者の携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14がかご7の再発進とともに当該階床の検出器14cからかご7の検出器14aに移動しなかった場合に、推定部15は、当該利用者はかご7に乗車しないと判定する。このとき、推定部15は、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器12を除外して混雑情報の推定を行う。
また、乗車率が予め設定された閾値より低い状態でかご7が上階行および下階行の両方の呼びによって中間階である階床に停止することがある。その後、利用者の携帯機器12からの無線信号13を検出する検出器14がかご7の再発進とともに当該階床の検出器14cからかご7の検出器14aに移動しなかった場合に、推定部15は、当該利用者はかご7に乗車しないと判定する。このとき、推定部15は、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器12を除外して混雑情報の推定を行う。
【0061】
このような構成により、推定部15は、かご7への乗車意思がないと予測される利用者を混雑情報の推定から除外できるので、エレベーター2の利用状況としての混雑情報の推定結果がより正確なものになる。
【0062】
続いて、
図3を用いて、エレベーターシステム1のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係るエレベーターシステム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0063】
エレベーターシステム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0064】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、エレベーターシステム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、エレベーターシステム1の各機能を実現する。
【0065】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0066】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0067】
エレベーターシステム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、エレベーターシステム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。エレベーターシステム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせでエレベーターシステム1の各機能を実現する。
【0068】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備える、エレベーターシステム。
(付記2)
前記推定部は、前記複数の検出器に含まれる複数の受信検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記複数の受信検出器のうち前記無線信号の受信強度が最も強い受信検出器における前記無線信号の受信強度と前記無線信号の受信強度が次に強い他の受信検出器における前記無線信号の受信強度の差が予め設定された閾値より大きい場合に、前記無線信号の受信強度が最も強い受信検出器が対応する箇所に前記携帯機器があるものとして、当該箇所の混雑情報を推定する、
付記1に記載のエレベーターシステム。
(付記3)
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、前記複数の階床のうちの第1階床に設けられる第1階床検出器、および前記複数の階床のうちの前記第1階床に隣接する第2階床に設けられる第2階床検出器を含み、
前記推定部は、前記かご検出器および前記第1階床検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記かごの発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第1階床検出器から前記第2階床検出器に移動する場合に、前記かごの内部に前記携帯機器があるものとして、前記かごの混雑情報を推定する、
付記1または付記2に記載のエレベーターシステム。
(付記4)
前記複数の検出器は、前記複数の階床のうちの互いに異なる階床に設けられる3つ以上の階床検出器を含み、
前記推定部は、前記3つ以上の階床検出器の各々が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記3つ以上の階床検出器のうち最も上の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所および前記3つ以上の階床検出器のうち最も下の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所を前記携帯機器があるとする箇所から除外して、混雑情報の推定を行う、
付記1から付記3のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記5)
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの第3階床に設けられる第3階床検出器を含み、
前記推定部は、前記かごが前記第3階床に停止した後の前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記かご検出器から前記第3階床検出器に移動する場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごから降車したため再乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
付記1から付記4のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記6)
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの最上階または最下階である第4階床に設けられる第4階床検出器を含み、
前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが呼びによって前記第4階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第4階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
付記1から付記5のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
(付記7)
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの中間階である第5階床に設けられる第5階床検出器を含み、
前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが上階行および下階行の両方の呼びによって前記第5階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第5階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
付記1から付記6のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
【符号の説明】
【0069】
1 エレベーターシステム、 2 エレベーター、 3 昇降路、 4 乗場、 5 巻上機、 6 主ロープ、 7 かご、 8 釣合い錘、 9 制御盤、 10 群管理装置、 11 割当部、 12 携帯機器、 13 無線信号、 14、14a、14b、14c、14c1、14c2、14c3、14c4 検出器、 15 推定部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備え、
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、前記複数の階床のうちの第1階床に設けられる第1階床検出器、および前記複数の階床のうちの前記第1階床に隣接する第2階床に設けられる第2階床検出器を含み、
前記推定部は、前記かご検出器および前記第1階床検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記かごの発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第1階床検出器から前記第2階床検出器に移動する場合に、前記かごの内部に前記携帯機器があるものとして、前記かごの混雑情報を推定する、
エレベーターシステム。
【請求項2】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備え、
前記複数の検出器は、前記複数の階床のうちの互いに異なる階床に設けられる3つ以上の階床検出器を含み、
前記推定部は、前記3つ以上の階床検出器の各々が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記3つ以上の階床検出器のうち最も上の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所および前記3つ以上の階床検出器のうち最も下の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所を前記携帯機器があるとする箇所から除外して、混雑情報の推定を行う、
エレベーターシステム。
【請求項3】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備え、
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの第3階床に設けられる第3階床検出器を含み、
前記推定部は、前記かごが前記第3階床に停止した後の前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記かご検出器から前記第3階床検出器に移動する場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごから降車したため再乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
エレベーターシステム。
【請求項4】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備え、
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの最上階または最下階である第4階床に設けられる第4階床検出器を含み、
前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが呼びによって前記第4階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第4階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
エレベーターシステム。
【請求項5】
エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、
前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、
を備え、
前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの中間階である第5階床に設けられる第5階床検出器を含み、
前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが上階行および下階行の両方の呼びによって前記第5階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第5階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う、
エレベーターシステム。
【請求項6】
前記推定部は、前記複数の検出器に含まれる複数の受信検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記複数の受信検出器のうち前記無線信号の受信強度が最も強い受信検出器における前記無線信号の受信強度と前記無線信号の受信強度が次に強い他の受信検出器における前記無線信号の受信強度の差が予め設定された閾値より大きい場合に、前記無線信号の受信強度が最も強い受信検出器が対応する箇所に前記携帯機器があるものとして、当該箇所の混雑情報を推定する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、を備え、前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、前記複数の階床のうちの第1階床に設けられる第1階床検出器、および前記複数の階床のうちの前記第1階床に隣接する第2階床に設けられる第2階床検出器を含み、前記推定部は、前記かご検出器および前記第1階床検出器が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記かごの発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第1階床検出器から前記第2階床検出器に移動する場合に、前記かごの内部に前記携帯機器があるものとして、前記かごの混雑情報を推定する。
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、を備え、前記複数の検出器は、前記複数の階床のうちの互いに異なる階床に設けられる3つ以上の階床検出器を含み、前記推定部は、前記3つ以上の階床検出器の各々が同一の前記携帯機器からの前記無線信号を検出するときに、前記3つ以上の階床検出器のうち最も上の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所および前記3つ以上の階床検出器のうち最も下の階床に設けられた階床検出器が対応する箇所を前記携帯機器があるとする箇所から除外して、混雑情報の推定を行う。
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、を備え、前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの第3階床に設けられる第3階床検出器を含み、前記推定部は、前記かごが前記第3階床に停止した後の前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記かご検出器から前記第3階床検出器に移動する場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごから降車したため再乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う。
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、を備え、前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの最上階または最下階である第4階床に設けられる第4階床検出器を含み、前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが呼びによって前記第4階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第4階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う。
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーターが設けられる建物における複数の階床の各々、かご、および釣合い錘の少なくともいずれかに各々が設けられ、エレベーターの利用者が所持する携帯機器から前記携帯機器を識別しうるように発信される無線信号を各々が検出可能な複数の検出器と、前記複数の検出器の各々について、前記携帯機器からの前記無線信号の検出数に基づいて、前記複数の検出器の各々が対応する箇所の混雑情報を推定する推定部と、を備え、前記複数の検出器は、前記かごに設けられるかご検出器、および前記複数の階床のうちの中間階である第5階床に設けられる第5階床検出器を含み、前記推定部は、乗車率が予め設定された閾値より低い状態で前記かごが上階行および下階行の両方の呼びによって前記第5階床に停止した後、前記かごの再発進とともに前記無線信号を検出する検出器が前記第5階床検出器から前記かご検出器に移動しなかった場合に、前記携帯機器を所持する利用者は前記かごに乗車しないと判定して、予め設定された時間が経過するまで当該携帯機器を除外して混雑情報の推定を行う。