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特開2024-175947診断支援装置、診断支援システム、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175947
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】診断支援装置、診断支援システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20241212BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241212BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20241212BHJP
   A61B 5/329 20210101ALN20241212BHJP
【FI】
G16H10/40
A61B5/00 A
G16H50/30
A61B5/329
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094075
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】永見 哲也
(72)【発明者】
【氏名】森岡 尚也
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 展樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳一
【テーマコード(参考)】
4C117
4C127
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB09
4C117XD25
4C117XE17
4C117XE44
4C117XE45
4C117XE46
4C117XF23
4C117XJ34
4C117XK34
4C117XK35
4C117XR07
4C117XR08
4C117XR09
4C117XR10
4C127AA02
4C127DD07
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】診断効率を向上させることである。
【解決手段】実施形態に係る診断支援装置は、患者に関する患者情報と前記患者の診療に関する診療情報とを少なくとも含む診療データを取得する取得部と、取得した前記診療データに含まれる前記診療情報を解析する解析部と、取得した前記診療データに含まれる患者情報及び前記解析部の解析結果に基づいて、冠動脈疾患に罹患している確率である第1の確率を算出する第1算出部と、前記診療データに基づいて、前記患者に対して実施する検査をサジェストするサジェスト部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する患者情報と前記患者の診療に関する診療情報とを少なくとも含む診療データを取得する取得部と、
取得した前記診療データに含まれる前記診療情報を解析する解析部と、
取得した前記診療データに含まれる患者情報及び前記解析部の解析結果に基づいて、冠動脈疾患に罹患している確率である第1の確率を算出する第1算出部と、
前記診療データに基づいて、前記患者に対して実施する検査をサジェストするサジェスト部と、
を備える、診断支援装置。
【請求項2】
前記第1算出部により算出された前記第1の確率と、前記患者に対して実施された検査の結果である検査結果とに基づいて、前記検査結果を加味した冠動脈疾患に罹患している確率である第2の確率を算出する第2算出部をさらに備える、請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項3】
前記第2算出部は、前記第2の確率と、前記第2の確率の算出後に患者に対して実施された前記検査の検査結果に基づいて、前記第2の確率を再度算出する、請求項2に記載の診断支援装置。
【請求項4】
前記サジェスト部は、前記診療データ及び/又は前記検査結果に基づいて、前記検査のうち、未実施の検査をサジェストする、請求項2又は請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項5】
前記サジェスト部は、病院の設備に関する病院設備情報に基づいて、前記未実施の検査のうち、前記病院で実施可能な検査を優先してサジェストする、請求項4に記載の診断支援装置。
【請求項6】
前記サジェスト部は、検査の侵襲に関する侵襲情報に基づいて、前記未実施の検査のうち、患者の負担が小さい検査を優先してサジェストする、請求項4に記載の診断支援装置。
【請求項7】
前記サジェスト部は、検査の予約状況に関する検査予約情報に基づいて、前記未実施の検査のうち、検査実施までの時間が短い検査を優先してサジェストする、請求項4に記載の診断支援装置。
【請求項8】
前記サジェスト部は、検査の費用に関する費用情報に基づいて、前記未実施の検査のうち、前記検査に掛かる費用が少ない検査を優先してサジェストする、請求項4に記載の診断支援装置。
【請求項9】
前記サジェスト部は、検査の感度及び/又は特異度に基づいて、前記未実施の検査のうち、感度及び/又は特異度が高い検査を優先してサジェストする、請求項4に記載の診断支援装置。
【請求項10】
前記解析部は、前記診療情報から前記患者の胸部症状の性状又は前記患者の呼吸苦の症状を抽出するように、前記診療情報を解析する、請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項11】
前記解析部は、前記検査結果から、前記第1の確率及び前記第2の確率に影響する要素を抽出するように、前記検査結果を解析する、請求項2に記載の診断支援装置。
【請求項12】
患者に関する患者情報と前記患者の診療に関する診療情報とを少なくとも含む診療データを送信する病院情報システムと、
前記病院情報システムから、前記診療データを取得する取得部と、
取得した前記診療データに含まれる前記診療情報を解析する解析部と、
取得した前記診療データに含まれる患者情報及び前記解析部の解析結果に基づいて、冠動脈疾患に罹患している確率である第1の確率を算出する第1算出部と、
前記診療データに基づいて、前記患者に対して実施する検査をサジェストするサジェスト部とを、備える診断支援装置と、
を備える診断支援システム。
【請求項13】
患者に関する患者情報と前記患者の診療に関する診療情報とを少なくとも含む診療データを取得するステップと、
取得した前記診療データに含まれる前記診療情報を解析するステップと、
取得した前記診療データに含まれる患者情報及び解析結果に基づいて、冠動脈疾患に罹患している確率である第1の確率を算出するステップと、
前記診療データに基づいて、前記患者に対して実施する検査をサジェストするステップと、
を診断支援装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、診断支援装置、診断支援システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、安定狭心症などの安定冠動脈疾患(Coronary Artery Disease:以下、CADと呼ぶ)の診断のために、安定CADの診断についてのガイドラインが存在している。このガイドラインには、安定CAD罹患の確率算出の手法が提示されている。このため、医師は、このガイドラインを参照することにより、患者の安定CADに罹患している確率を算出して評価することができる。
【0003】
しかしながら、安定CADの診断についてのガイドラインは存在するものの、このガイドラインで提示されている検査前確率(Pre-Test Probability:以下、PTPと呼ぶ)や、臨床的尤度(Clinical Likelihood:以下、CLと呼ぶ)を加味したPTPである修正検査前確率(以下、PTP・CLと呼ぶ)などの安定CAD罹患の確率算出を行うためには、医師は、各種データを用いて、各種データから安定CAD罹患の確率算出に必要な要素を抽出して、計算する必要があり、医師にとって手間がかかる。
【0004】
また、安定CADの診断精度の向上のためには、医師は、幾つかの検査を実施する必要がある。しかし、医師は、安定CAD罹患の確率を算出して評価を行いつつ、どのような検査を実施するかを選択する必要があり、医師にとって手間がかかる。このため、安定CADの診断において、PTPやPTP・CLなどの安定CAD罹患の確率算出を支援しながら、安定CADの診断精度の向上のための検査などが容易に選択できることにより、診断効率を向上させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2017-533427号公報
【特許文献2】国際公開第2013/175683号
【特許文献3】特開2019-070669号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療」,日本循環器学会,2022年3月11日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、診断効率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る診断支援装置は、患者に関する患者情報と前記患者の診療に関する診療情報とを少なくとも含む診療データを取得する取得部と、取得した前記診療データに含まれる前記診療情報を解析する解析部と、取得した前記診療データに含まれる患者情報及び前記解析部の解析結果に基づいて、冠動脈疾患に罹患している確率である第1の確率を算出する第1算出部と、前記診療データに基づいて、前記患者に対して実施する検査をサジェストするサジェスト部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る診断支援システムの構成例を示すブロック図。
図2】一実施形態に係る診断支援装置のメモリに記憶されているPTP表の一例を示す図。
図3】一実施形態に係る診断支援装置40のメモリ41に記憶されているCLを構成する要素に関するCL表の一例を示す図。
図4】一実施形態に係る診断支援装置のメモリに記憶されている尤度表の一例を示す図。
図5】一実施形態に係る診断支援装置で実行されるサジェスト処理の内容を説明するフローチャート図。
図6】一実施形態に係る診断支援装置が取得した診療データの一例を示す図。
図7】一実施形態に係る診断支援装置の解析結果の一例を示す図。
図8】一実施形態に係る診断支援装置における出力インターフェースの出力の一例を示す図。
図9】一実施形態に係る診断支援装置がサジェストする問診または検査の一例を示す図。
図10】一実施形態に係る診断支援装置が取得する検査結果の一例を示す図。
図11】一実施形態に係る診断支援装置のメモリに記憶されている尤度表の一例を示す図。
図12】一実施形態に係る診断支援装置における出力インターフェースの出力の一例を示す図。
図13】一実施形態に係る診断支援装置がサジェストする問診または検査の一例を示す図。
図14】一実施形態に係る診断支援装置における出力インターフェースの出力の一例を示す図。
図15】一実施形態に係る診断支援装置がサジェストする問診または検査の一例を示す図。
図16】一実施形態に係る診断支援装置における出力インターフェースの出力の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、診断支援装置、診断支援システム、及び、プログラムの実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0011】
図1は、一実施形態に係る診断支援システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る診断支援システム1は、病院情報システム(Hospital Information System : HIS)10と、検査装置20と、医用画像診断装置30と、診断支援装置40とを備えて構成されている。病院情報システム10と、検査装置20と、医用画像診断装置30と、診断支援装置40とは、病院内の専用回線による病院内ネットワークを介して、通信可能に接続されている。なお、病院情報システム10と、検査装置20と、医用画像診断装置30と、診断支援装置40とは、インターネット等の公衆回線によるネットワークを介して、互いに通信可能に接続されるようにしてもよい。また、本実施形態に係る診断支援システム1の構成は上述した例に限られず、例えば、検査装置20及び医用画像診断装置30は、病院情報システム10を介して、病院内の専用回線による病院内ネットワークに接続されるようにしてもよい。
【0012】
病院情報システム10は、病院内で発生する情報を管理するシステムである。病院内で発生する情報は、例えば、診療データや病院設備情報、電子カルテ予約枠情報などを含む。また、この病院情報システム10は、診療データ等の病院内で発生する情報を診断支援装置40等に送信する。なお、病院内で発生する情報は、診療データや病院設備情報、電子カルテ予約枠情報に限られない。すなわち、病院内で発生する情報に含まれる情報は任意であり、病院内で発生する診療データや病院設備情報、電子カルテ予約枠情報以外の種々の情報を含んでもよい。
【0013】
診療データには、患者基本情報及び診療情報等の情報が含まれる。患者基本情報は、例えば、患者ID、患者氏名、年齢、性別、住所、身長、体重、禁忌情報、及び患者の経済的状況等を含む。この患者基本情報は、本実施形態に係る患者情報に相当している。また、診療情報は、例えば、問診内容や問診結果を含む問診に関する問診情報、症状、所見、処置項目及び処置結果等の経過記録、及び検査オーダや検査結果を含む検査に関する検査情報等を含む。
【0014】
検査は、例えば、医師が患者に対して実施する病歴・既往歴聴取などの検査や、検査装置20や医用画像診断装置30を使用して患者に対して実施する検査である。また、検査結果は、例えば、カルテに記載された医師により実施された病歴・既往歴聴取の結果であってもよく、検査装置20による検査結果であってもよく、検査装置20による検査結果の所見を有する検査レポートであってもよく、医用画像診断装置30が撮像した医用画像であってもよく、医用画像に対する所見を有する読影レポートであってもよく、その他の検査結果に関する情報であってもよい。
【0015】
病院設備情報には、病院に設けられている検査装置20や医用画像診断装置30などの情報である。なお、この病院設備情報は、この病院に設けられている検査装置20や医用画像診断装置30の情報に限られず、この病院と提携している病院や近隣の病院などに設けられている検査装置20や医用画像診断装置30の情報を含むようにしてもよい。
【0016】
電子カルテ予約枠情報は、電子カルテに登録された検査の予約枠に関する情報である。この電子カルテ予約枠情報は、検査の予約状況に関する検査予約情報等を含む。
【0017】
この病院情報システム10は、図1に示すように、電子カルテシステム11と、検査部門情報管理システム12と、放射線部門情報管理システム13と、医用画像保管システム14と、線量管理システム15と、医事会計システム16とを含む。電子カルテシステム11と、検査部門情報管理システム12と、放射線部門情報管理システム13と、医用画像保管システム14と、線量管理システム15と、医事会計システム16とは、病院内の専用回線による病院内ネットワークを介して、通信可能に接続されている。
【0018】
なお、本実施形態に係る病院情報システム10は、電子カルテシステム11と、検査部門情報管理システム12と、放射線部門情報管理システム13と、医用画像保管システム14と、線量管理システム15と、医事会計システム16とを含むこととしたが、病院情報システム10に含まれるシステムはこれに限られない。病院情報システム10は、例えば、手術部門システムや、リハビリ部門システム、透析部門システム等のその他の部門システムを含むようにしてもよい。また、病院情報システム10の構成は、図1に示す例に限られない。例えば、検査部門情報管理システム12と、放射線部門情報管理システム13と、医用画像保管システム14と、線量管理システム15と、医事会計システム16とは、電子カルテシステム11を介して、病院内の専用回線による病院内ネットワークに接続されるようにしてもよい。
【0019】
電子カルテシステム11は、電子カルテに関する情報を管理するシステムである。電子カルテに関する情報は、例えば、患者基本情報や、問診内容や問診結果を含む問診に関する問診情報等を含んでいる。
【0020】
検査部門情報管理システム12は、検査装置20を使用した検査に関する情報を管理するシステムである。検査装置20を使用した検査に関する情報は、例えば、電子カルテシステム11等から送信される検体検査や生理機能検査などの検査オーダや、検体検査や生理機能検査などの検査結果及び/又は検体検査や生理機能検査などの検査結果の所見を有する検査レポート等を含んでいる。なお、検体検査は、例えば、血液検査や、尿検査、病理検査、微生物検査、免疫血清検査等である。また、生理機能検査は、例えば、心電図などの心臓系検査や、脳波検査、呼吸機能検査、眼底写真検査等である。
【0021】
放射線部門情報管理システム13は、病院の放射線部門における情報を管理するシステムである。本実施形態に係る放射線部門情報管理システム13は、例えば、医用画像診断装置30を使用した画像検査に関する情報を管理する。この医用画像診断装置30を使用した画像検査に関する情報は、例えば、電子カルテシステム11等から送信される画像検査の検査オーダに関する情報等を含む。この放射線部門情報管理システム13は、RIS(Radiology Information Systems)とも呼ばれる。
【0022】
医用画像保管システム14は、医用画像診断装置30から送信される各種医用画像を保管する、いわゆるPACS(Picture Archiving and Communication System)である。この医用画像保管システム14において、医用画像は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication Medicine)規格に則って保管される。また、医用画像保管システム14は、医用画像に対する所見を有する読影レポート等も保管する。
【0023】
線量管理システム15は、医用画像診断装置30における各装置の被曝に関する情報を管理する装置である。この被曝に関する情報は、例えば、医用画像診断装置30における各装置の被曝の有無や被曝線量等の情報である。
【0024】
医事会計システム16は、会計事務に関する各種情報を管理する。この会計事務に関する情報は、例えば、各検査や診療の保険点数などの費用情報等である。また、医事会計システム16には、例えば、会計事務の窓口担当者が患者の受け付けや診療費の会計等を行うために用いる端末装置、窓口担当者が所持する携帯端末、患者が診療費の会計等を行う自動精算機等が含まれる。
【0025】
検査装置20は、血液検査や尿検査などの検体検査や、脳波検査や心臓系検査などの生理機能検査を実行するための装置である。この検査装置20は、例えば、検査部門情報管理システム12で管理されている検査オーダに基づいて検査を実施する。また、検査装置20は、病院内ネットワークを通じて、電子カルテシステム11や、検査部門情報管理システム12、診断支援装置40等に、検体検査や生理機能検査の検査結果を送信する。なお、図1に示す例においては、病院内ネットワークに接続された検査装置20は、1台であるが、検査装置20の台数はこれに限られない。すなわち、検査装置20の台数は任意であり、検体検査の種別及び生理機能検査の種別に応じて、複数台の検査装置20が病院内ネットワークに接続されてもよい。
【0026】
医用画像診断装置30は、患者に関する医用画像を生成するための装置である。医用画像診断装置30は、例えば、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、超音波診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、又はPET(Positron Emission computed Tomography)装置等である。この医用画像診断装置30は、例えば、放射線部門情報管理システム13で管理されている検査オーダに基づいて、検査を実行し、医用画像を生成する。また、医用画像診断装置30は、病院内ネットワークを通じて、医用画像保管システム14や診断支援装置40等に、医用画像を送信する。
【0027】
診断支援装置40は、病院情報システム10の各システムが管理する診療データに基づいて、安定CADに罹患している確率を算出したり、安定CADの診断精度向上のための検査を医師にサジェストしたりする装置である。図1に示すように、診断支援装置40は、メモリ41と、出力インターフェース42と、入力インターフェース43と、通信インターフェース44と、処理回路45とを有する。
【0028】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、病院情報システム10から取得した診療データや、PTP(検査前確率)を算出するためのPTP表、CL(臨床的尤度)を構成する要素に関するCL表、PTP・CL(修正検査前確率)を算出するための尤度表等の各種情報を記憶する。
【0029】
ここで、PTP(検査前確率)は、CAD(冠動脈疾患)に罹患している確率である。具体的には、PTPは、ベースラインの検査前確率であり、検査前の医師の患者に対する問診などにより胸部症状の性状又は呼吸苦に年齢と性別を加えた3項目で評価して算出されるCADの検査前確率である。このPTPは、本実施形態における第1の確率に相当する。
【0030】
CL(臨床的尤度)を構成する要素は、PTPを修正するための修正因子として働く要素である。また、CLを構成する要素は、検査結果に含まれる要素である。このCLを構成する要素は、本実施形態に係る第1の確率及び第2の確率に影響する要素に相当する。
【0031】
PTP・CL(修正検査前確率)は、検査結果を加味したCAD(冠動脈疾患)に罹患している確率である。具体的には、PTP・CLは、検査結果に含まれるCLを構成する要素の結果を加味したCADに罹患している確率であり、CLを構成する要素の結果に応じて修正されたPTPである。このため、PTP・CLは、CLを加味したPTPでもある。このPTP・CLは、本実施形態における第2の確率に相当する。
【0032】
図2は、本実施形態に係る診断支援装置40のメモリ41に記憶されているPTP表の一例を示す図である。この図2に示すPTP表は、PTP(検査前確率)を算出する際に使用される表である。図2に示す例において、PTP表T1には、胸部症状の性状又は呼吸苦の項目毎に年齢及び性別に応じたPTPの値が対応付けられて登録されている。具体的には、図2に示すPTP表T1は、胸部症状の性状として、典型的狭心症、非典型的狭心症、非狭心症性と、呼吸苦として、呼吸困難との項目ごとに性別と年齢に応じたPTPの値が対応付けられている。この典型的狭心症と、非典型的狭心症と、非狭心症性と、呼吸困難との症状のどの項目に該当するかは、問診により決定される。
【0033】
具体的には、医師は、患者に対して、胸部症状の性状又は呼吸苦の症状について問診を実施する。そして、医師の問診により、患者に、呼吸困難のみの症状又は初期症状として呼吸困難がある場合、患者は、図2に示すPTP表T1において、呼吸困難に該当することとなる。つまり、患者に呼吸困難のみの症状又は初期症状として呼吸困難がある場合、患者の性別及び年齢に基づいて、図2に示すPTP表T1の呼吸困難の項目からPTPが算出される。
【0034】
一方、医師の問診により、患者に呼吸困難の症状がなく、胸部症状の性状における、「胸骨下(または頸部、顎、肩、腕)の絞扼感の有無」、「運動や精神的ストレスによる憎悪の有無」及び「安静もしくはニトログリセリンによる5分以内の症状緩和の有無」の3つの性状のうち、3つの性状をすべて満たす場合、患者は、図2に示すPTP表T1において、典型的狭心症に該当することとなる。つまり、3つの性状をすべて満たす場合、患者の性別及び年齢に基づいて、図2に示すPTP表T1の典型的狭心症の項目からPTPが算出される。また、患者に呼吸困難の症状がなく、3つの性状のうち、2つの性状を満たす場合、患者は、図2に示すPTP表T1において、非典型的狭心症に該当することとなる。つまり、2つの性状を満たす場合、患者の性別及び年齢に基づいて、図2に示すPTP表T1の非典型的狭心症の項目からPTPが算出される。さらに、患者に呼吸困難の症状がなく、3つの性状のうち、1つの性状を満たすもしくはどの性状も満たさない場合、患者は、図2に示すPTP表T1において、非狭心症性に該当することとなる。つまり、1つの性状を満たすもしくはどの性状も満たさない場合、患者の性別及び年齢に基づいて、図2に示すPTP表T1の非狭心症性の項目からPTPが算出される。
【0035】
なお、図2に示す例において、PTP表T1には、胸部症状の性状又は呼吸苦の項目毎に性別及び年齢に応じたPTPの値が対応付けられて登録されていたが、PTPの値はこれに限られない。すなわち、PTP表T1におけるPTPの各値は任意である。例えば、このPTP表T1におけるPTPの各値は、CADに関する論文などの情報に基づいて、更新されてもよい。
【0036】
図3は、本実施形態に係る診断支援装置40のメモリ41に記憶されている検査毎のCL(臨床的尤度)を構成する要素に関するCL表の一例を示す図である。図3に示すCL表T2は、診療データや検査結果などから、CL(臨床的尤度)を構成する要素を抽出する場合に使用される表である。この図3に示す例において、CL表T2には、検査と、CL(臨床的尤度)を構成する要素とが関連付けられて登録されている。
【0037】
CL表T2の検査は、CLを構成する要素を得るために必要な検査に関する項目である。このCL表T2に登録される検査は、非侵襲的検査である。ここで、非侵襲的検査とは、カテーテルやガイドワイヤの挿入などの外科的処置を伴わない検査である。つまり、非侵襲検査には、外科的処置を伴わないが、被曝や採血による穿刺などの軽度の侵襲を伴う検査や、外科的処置を伴わず、軽度の侵襲も伴わない検査が含まれる。以下において、CL表T2の検査は、非侵襲的検査と呼ばれる場合もある。図3に示す例において、CL表T2の検査には、非侵襲的検査として、例えば、外科的処置を伴わず、被曝や採血による穿刺などの軽度の侵襲を伴う検査である、CCTA(Coronary Computed Tomography Angiography:冠動脈CT血管造影)や負荷心筋血流イメージング、血液検査などが登録されている。また、図3に示すCL表T2の検査には、非侵襲的検査として、外科的処置を伴わず、軽度の侵襲を伴わない検査である、病歴・既往歴聴取や尿検査等が登録されている。
【0038】
CL(臨床的尤度)を構成する要素は、上述した通り、PTPを修正するための修正因子として働く要素である。図3に示すように、例えば、負荷心電図を例に取ると、「虚血性変化」や「ST低下」、「ST上昇」がCLを構成する要素として登録されている。
【0039】
なお、図3に示すCL表T2に登録されている検査、及び、CLを構成する要素は、図3に示す例に限られず、他の検査、及び、他のCLを構成する要素をCL表T2に追加するようにしてもよい。また、病院などの設備に応じて、図3に示すCL表T2に登録されている検査が実施出来ない場合、図3に示すCL表T2に登録されている検査、及び、CLを構成する要素を削除するようにしてもよい。さらに、CL表T2に登録されている検査に対して、後からCLを構成する要素を追加又は削除するように、更新してもよい。
【0040】
図4は、本実施形態に係る診断支援装置40のメモリ41に記憶されている尤度表の一例を示す図である。この尤度表T3は、PTP・CLを算出する際に使用される表である。図4に示す例において、尤度表T3には、検査ごとに感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、使用される設備、及び、侵襲有無が関連付けられて登録されている。なお、この尤度表T3に関連付けられて登録される項目は、感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、使用される設備、及び、侵襲有無に限られず、その他の項目を関連付けて登録するようにしてもよい。また、検査は、CL表T2における検査と同等であるため説明を省略する。
【0041】
感度は、実際に病気に罹患している人のうち検査で陽性となる人の割合(確率)である。図4に示すように、負荷心筋血流イメージングを例にとると、負荷心筋血流イメージングの感度は、「85%」と登録され、負荷心電図を例にとると、負荷心電図の感度は、「68%」と登録されている。つまり、負荷心筋血流イメージングの感度が負荷心電図の感度よりも高いことを示している。
【0042】
特異度は、実際に病気に罹患していない人のうち検査で陰性となる人の割合(確率)である。図4に示すように、負荷心筋血流イメージングを例にとると、負荷心筋血流イメージングの特異度は、「72%」と登録され、負荷心電図を例にとると、負荷心電図の特異度は、「77%」と登録されている。つまり、負荷心電図の特異度が負荷心筋血流イメージングの特異度よりも高いことを示している。
【0043】
陽性尤度比は、ある検査において、検査結果が陽性の人に着目したときに、有病者が無病者の何倍陽性になりやすいかを示す指標である。図4に示すように、陽性尤度比は、陽性尤度比=感度/(1-特異度)で求めることができる。
【0044】
陰性尤度比は、ある検査において、検査結果が陰性の人に着目したときに、有病者が無病者の何倍陰性になりやすいかを示す指標である。図4に示すように、陰性尤度比は、陰性尤度比=(1-感度)/特異度で求めることができる。
【0045】
使用される設備とは、検査の項目に登録された検査を実施するために使用される設備に関する情報である。図4に示すように、負荷心筋血流イメージングを例にとると、負荷心筋血流イメージングにおいて使用される設備は、SPECT装置、MRI装置、超音波診断装置、及び、PET装置であり、負荷心電図を例にとると、負荷心電図において使用される設備は、心電計である。なお、負荷心筋血流イメージングのように、使用される設備として複数の装置が関連付けられて登録されている場合、いずれかの装置を使用して検査すればよい。
【0046】
侵襲有無は、外科的処置を伴わない軽度な侵襲の有無に関する情報である。図4に示す例においては、X線CT装置などにおける被曝や血液検査における採血による穿刺などの軽度の侵襲を伴う可能性がある場合には、侵襲有無は「有」とし、心電計や超音波診断装置が使用される検査などの侵襲を伴う可能性がない場合には、侵襲有無は「無」と登録されている。
【0047】
なお、尤度表T3には、検査ごとに感度の値、特異度の値、陽性尤度比の値、陰性尤度比の値が関連付けて登録されているが、尤度表T3の検査ごとに関連付けて登録される各値はこれに限られない。すなわち、尤度表T3の検査ごとに関連付けて登録される各値は任意である。このため、尤度表T3の各値は、CADに関する論文に基づいて、更新されてもよい。また、図4に示す例において、尤度表T3には、病歴・既往歴聴取や、負荷心筋血流イメージングなどの検査毎に、感度や特異度等を関連付けて登録することとしたが、尤度表T3に登録される内容はこれに限られない。例えば、尤度表T3には、図3に示すCL表T2におけるCL(臨床的尤度)を構成する要素毎に、すなわち、病歴・既往歴聴取における心血管疾患や喫煙歴や、安静時心電図における異常Q波等のCL(臨床的尤度)を構成する要素毎に感度や特異度を関連付けて登録するようにしてもよい。
【0048】
また、図4に示す尤度表T3に登録される検査は、図3に示す例に限られず、他の検査を尤度表T3に追加して、感度の値や特異度の値等と関連付けて登録するようにしてもよい。また、病院などの設備に応じて、図4に示す検査が実施出来ない場合、図4に示す尤度表T3に登録されている検査、感度、特異度、陽性尤度比、陰性尤度比、使用される設備、及び、侵襲有無を削除するようにしてもよい。さらに、尤度表T3は、尤度表T3に登録されている検査に対して、後から使用される設備を追加又は削除するように、更新してもよい。
【0049】
出力インターフェース42は、処理回路45に接続され、処理回路45から供給される信号を出力する。この出力インターフェース42は、例えば、表示回路、印刷回路及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する出力回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
【0050】
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力を受け付ける回路であり、本実施形態においては、例えば、検査の実施の決定に関する入力操作等を、ユーザから受け付ける。本実施形態において、入力インターフェース43は、例えば、マウスやキーボード、トラックボール、手動スイッチ、フットスイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
【0051】
通信インターフェース44は、病院内ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。通信インターフェース44は、この各種プロトコルに従って、病院内ネットワークを介して他の装置との通信を実現する。本実施形態においては、診断支援装置40は、通信インターフェース44を介して、病院内ネットワークに接続されて、病院情報システム10や検査装置20、医用画像診断装置30との通信が実現される。
【0052】
処理回路45は、各種の演算を行う演算回路である。本実施形態に係る処理回路45は、患者基本情報及び診療情報を含む診療データを取得したり、取得した診療データにおける診療情報を解析したり、PTPを算出したり、PTP・CLを算出したり、検査をサジェストしたりする。
【0053】
このため、本実施形態に係る処理回路45は、取得機能451と、解析機能452と、PTP算出機能453と、PTP・CL算出機能454と、サジェスト機能455とを有する。取得機能451は、本実施形態に係る取得部に相当しており、解析機能452は、本実施形態に係る解析部に相当しており、PTP算出機能453は、本実施形態に係る第1算出部に相当しており、PTP・CL算出機能454は、本実施形態に係る第2算出部に相当しており、サジェスト機能455は、本実施形態に係るサジェスト部に相当している。
【0054】
図1に示す実施形態では、取得機能451と、解析機能452と、PTP算出機能453と、PTP・CL算出機能454と、サジェスト機能455とにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41に格納されている。処理回路45はプログラムをメモリ41から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、図1の処理回路45内に示された各機能を有することとなる。なお、図1においては単一の処理回路45にて、取得機能451と、解析機能452と、PTP算出機能453と、PTP・CL算出機能454と、サジェスト機能455とが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路45を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。
【0055】
取得機能451は、病院情報システム10における、電子カルテシステム11や検査部門情報管理システム12、放射線部門情報管理システム13、医用画像保管システム14、線量管理システム15、医事会計システム16、検査装置20、医用画像診断装置30等から、各種のデータや情報などを取得する。また、取得機能451は、各種のデータや情報等がメモリ41に記憶されている場合にあっては、メモリ41から各種のデータや情報等を取得する。
【0056】
解析機能452は、病院情報システム10における電子カルテシステム11や検査部門情報管理システム12、放射線部門情報管理システム13、医用画像保管システム14、線量管理システム15、医事会計システム16、検査装置20、医用画像診断装置30等から取得した各種のデータや情報を解析する。具体的には、解析機能452は、病院情報システム10から取得した検査レポートや読影レポートなどを解析するようにしてもよく、検査装置20や医用画像診断装置30等から取得した心電図波形や医用画像等の画像を解析するようにしてもよい。
【0057】
PTP算出機能453は、患者基本情報と解析機能452による解析結果に基づいて、PTP(検査前確率)を算出する。
【0058】
PTP・CL算出機能454は、PTP算出機能453が算出したPTPと、患者に対して実施された検査結果とに基づいて、PTP・CL(修正検査前確率)を算出する。この患者に対して実施された検査結果は、PTPの算出前に取得した診療データに含まれる検査結果又はPTPの算出後に患者に対して実施された検査結果である。また、PTP・CL算出機能454は、PTP・CLの算出後に患者に対して検査が実施された場合に、PTP・CLの算出後に患者に対して実施された検査の検査結果と、PTP・CLとに基づいて、PTP・CLを再度算出する。
【0059】
サジェスト機能455は、取得機能451が取得した診療データや検査結果などに基づいて、未実施の検査から、患者に対して実施する検査をサジェストする。サジェスト機能455は、PTP算出機能453により算出されたPTPやPTP・CL算出機能454により算出されたPTP・CLを出力する。
【0060】
図5は、本実施形態に係る診断支援装置40で実行されるサジェスト処理の内容を説明するフローチャート図である。このサジェスト処理では、病院情報システム10から診療データを取得したり、診療情報を解析したり、PTPを算出したり、検査をサジェストしたりする。例えば、このサジェスト処理は、病院情報システム10から診療データを取得した場合に実行される処理である。
【0061】
図5に示すように、まず、診断支援装置40は、診療データを取得する(ステップS11)。この診療データを取得する処理は、処理回路45における取得機能451により実現される。具体的には、診断支援装置40は、通信インターフェース44を介して、病院情報システム10から、診療データを取得する。本実施形態において、このステップS11で取得される診療データには、例えば、性別や年齢などの患者基本情報、及び、患者の問診に関する情報などの診療情報が含まれている。なお、この診療データは、処理回路45における取得機能451が通信インターフェース44を介して直接取得するようにしてもよく、或いは、通信インターフェース44を介して取得した診療データを、一旦、メモリ41に格納した上で、このメモリ41から処理回路45における取得機能451が取得するようにしてもよい。
【0062】
次に、図5に示すように、診断支援装置40は、診療情報を解析する(ステップS13)。この診療情報を解析する処理は、処理回路45における解析機能452により実現される。具体的には、診断支援装置40は、ステップS11で取得した診療データにおける診療情報から、PTP表T1を用いて確率を算出するための要素を抽出するように、診療情報を解析する。より具体的には、解析機能452は、ステップS11で取得した診療情報における患者の問診に関する情報から、PTP表T1を用いて確率を算出するための要素として、胸部症状の性状及び/又は呼吸苦の症状に関する要素である「呼吸困難の有無」、「胸骨下(または頸部、顎、肩、腕)の絞扼感の有無」、「運動や精神的ストレスによる憎悪の有無」及び「安静もしくはニトログリセリンによる5分以内の症状緩和の有無」を抽出して、典型的狭心症と、非典型的狭心症と、非狭心症性と、呼吸困難とのどの症状に該当するかを決定するように、診療情報を解析する。
【0063】
次に、図5に示すように、診断支援装置40は、PTP(検査前確率)を算出する(ステップS15)。このPTPを算出する処理は、処理回路45におけるPTP算出機能453により実現される。具体的には、診断支援装置40は、ステップS11で取得した患者基本情報及びステップS13で解析した解析結果に基づいて、PTPを算出する。より具体的には、PTP算出機能453は、患者基本情報における年齢及び性別と、ステップS13の解析において決定された典型的狭心症と、非典型的狭心症と、非狭心症性と、呼吸困難との症状に関する解析結果に基づいて、メモリ41に記憶された図2に示すPTP表T1から、PTPを算出する。
【0064】
次に、図4に示すように、診断支援装置40は、検査結果があるか否かを判定する(ステップS17)。この検査結果があるか否かを判定する処理は、処理回路45における解析機能452により実現される。具体的には、診断支援装置40は、ステップS11で取得した診療データに対して、図3に示すCL(臨床的尤度)を構成する要素があるか否かを判定することにより、検査結果があるか否かを判定する。
【0065】
そして、ステップS17において、診療データに検査結果がある場合(ステップS17:YES)、診断支援装置40は、検査結果を解析する(ステップS19)。この検査結果を解析する処理は、処理回路45のおける解析機能452により実現される。具体的には、診断支援装置40は、診療データにおける診療情報の検査結果から、CLを構成する要素の結果を抽出するように、検査結果を解析する。
【0066】
次に、図5に示すように、診断支援装置40は、PTP・CL(修正検査前確率)を算出する(ステップS21)。このPTP・CLを算出する処理は、処理回路45におけるPTP・CL算出機能454により実現される。具体的には、診断支援装置40は、算出されたPTPと、解析結果である検査結果とに基づいて、PTP・CLを算出する。より具体的には、診断支援装置40は、算出されたPTPと、ステップS19において検査結果から抽出されたCLを構成する要素の結果とに基づいて、図4に示す尤度表T3からCLを構成する要素に対応する検査における感度の値及び特異度の値、陽性尤度比の値、又は、陰性尤度比の値を用いて、所定の算出式から、PTP・CL(修正検査前確率)を算出する。なお、所定の算出式とは、例えば、ベイズ推定に基づく算出式等である。また、ステップS21において、診断支援装置40は、尤度表T3に関連付けて登録された値を用いる際に、患者基本情報に基づいて、患者の年齢や性別に応じて、尤度表T3の値に重み付けを行い、重み付けされた尤度表T3の値を用いて、所定の算出式から、PTP・CLを算出するようにしてもよい。
【0067】
一方、ステップS17において、診療データに検査結果がない場合(ステップS17:NO)、又は、ステップS21の後、図5に示すように、診断支援装置40は、算出結果を出力する(ステップS23)。この算出結果を出力する処理は、処理回路45におけるサジェスト機能455により実現される。具体的には、診断支援装置40は、出力インターフェース42を介して、ステップS15で算出したPTP又はステップS21で算出したPTP・CLの算出結果を出力する。
【0068】
次に、図5に示すように診断支援装置40は、検査が実施されるか否かを判定する(ステップS25)。この検査が実施されるか否かを判定する処理は、サジェスト機能455により実現される。具体的には、診断支援装置40は、入力インターフェース43を介した医師による検査の実施に関する入力操作に基づいて、検査が実施されるか否かを判定する。この検査の実施に関する入力操作とは、出力インターフェース42におけるディスプレイに表示された検査の実施に関する決定ボタンに対する入力操作でもよく、入力インターフェース43におけるマイク等を介した検査の実施に関する音声入力による入力操作等であってもよい。
【0069】
そして、ステップS25において、医師が検査を実施すると決定した場合、すなわち、医師による入力操作に基づいて、検査が実施されると判定された場合(ステップS25:YES)、図5に示すように、診断支援装置40は、検査をサジェストする(ステップS27)。この検査をサジェストする処理は、処理回路45におけるサジェスト機能455により実現される。具体的には、サジェスト機能455は、診療データ及び/又は検査結果に基づいて、図3に示すCL表T2や図4に示す尤度表T3等から、未実施の検査を抽出し、出力インターフェース42を介して、抽出した未実施の検査をサジェストする。
【0070】
なお、サジェスト機能455は、各種の情報に基づいて、抽出した未実施の検査のうち、1又は複数の未実施の検査を優先してサジェストするようにしてもよい。例えば、サジェスト機能455は、病院情報システム10から病院の設備に関する病院設備情報を取得し、取得した病院設備情報に基づいて、未実施の検査のうち、この病院又は近隣の病院などで実施可能な検査を優先してサジェストするようにしてもよい。
【0071】
ここで、優先してサジェストするとは、例えば、出力インターフェース42における表示回路に未実施の検査が表示される場合、優先してサジェストされる検査を表示される未実施の検査の上位に位置するように表示するようにしてもよく、未実施の検査のうち、優先してサジェストされる検査のみを表示するようにしてもよい。また、例えば、出力インターフェース42における印刷回路を介して、未実施の検査が印刷される場合、優先してサジェストされる検査を表示される未実施の検査の上位に位置するように印刷するようにしてもよく、未実施の検査のうち、優先してサジェストされる検査のみを印刷するようにしてもよい。さらに、出力インターフェース42における音声デバイスを介して未実施の検査が出力される場合、優先してサジェストされる検査を他の未実施の検査より左記に音声出力するようにしてもよく、未実施の検査のうち、優先してサジェストされる検査のみを音声出力するようにしてもよい。
【0072】
また、サジェスト機能455は、検査の侵襲に関する侵襲情報に基づいて、患者の負担が小さい検査を優先してサジェストするようにしてもよい。侵襲情報は、例えば、尤度表T3に登録されている侵襲有無の情報や、放射線部門情報管理システム13又は線量管理システム15等で管理されている被曝の有無や被曝量等の被曝に関する情報である。具体的には、診断支援装置40は、病院情報システム10又はメモリ41から侵襲情報を取得し、サジェスト機能455は、取得した侵襲情報に含まれる侵襲の有無に関する情報に基づいて、未実施の検査のうち、患者の負担が小さい検査として、侵襲がない検査を優先してサジェストするようにしてもよい。また、診断支援装置40は、病院情報システム10又はメモリ41から侵襲情報を取得し、サジェスト機能455は、取得した侵襲情報に含まれる被曝の有無や被曝量に関する情報に基づいて、患者の負担が小さい検査として、被曝がない検査、或いは、被曝量が少ない検査を優先してサジェストするようにしてもよい。
【0073】
また、診断支援装置40は、病院情報システム10から電子カルテ予約枠情報を取得し、サジェスト機能455は、電子カルテ予約枠情報における検査予約情報に基づいて、未実施の検査のうち、検査の実施開始までの時間が短い検査を優先してサジェストするようにしてもよい。
【0074】
また、診断支援装置40は、医事会計システム16から費用情報を取得し、サジェスト機能455は、費用情報に基づいて、未実施の検査のうち、検査に掛かる費用が少ない検査を優先してサジェストするようにしてもよい。なお、サジェスト機能455は、患者基本情報に患者の経済的な状況に関する情報を含む場合に、未実施の検査のうち、検査に掛かる費用が少ない検査を優先してサジェストするようにしてもよい。
【0075】
また、診断支援装置40は、尤度表T3から検査の感度及び/又は特異度を取得し、サジェスト機能455は、検査の感度及び/又は特異度に基づいて、未実施の検査のうち、感度及び/又は特異度の高い検査を優先してサジェストするようにしてもよい。
【0076】
さらに、サジェスト機能455は、優先してサジェストされる検査が複数ある場合には、他の情報に基づいて、優先してサジェストされる検査をさらに優先順位づけするようにしてもよい。例えば、サジェスト機能455が、病院設備情報に基づいて、複数の検査を優先してサジェストする場合に、病院設備情報に基づいてサジェストされた検査のうち、他の情報として、検査予約情報に基づいて、検査の実施開始までの時間が短い検査を優先してサジェストするようにしてもよい。
【0077】
次に、図5に示すように、診断支援装置40は、検査結果を取得する(ステップS29)。この検査結果を取得する処理は、処理回路45における取得機能451により実現される。具体的には、診断支援装置40は、通信インターフェース44を介して、病院情報システム10、検査装置20又は医用画像診断装置30から、ステップS27においてサジェストされた検査に対する検査結果を取得する。なお、上述したステップS29においては、サジェストされた検査に対する検査結果を取得することとしたが、ステップS29において取得される検査結果はサジェストされた検査結果に限られない。すなわち、ステップS29において取得される検査結果は任意であり、例えば、ステップS27においてサジェストされた検査とは異なる検査に対する検査結果を取得するようにしてもよい。
【0078】
そして、ステップS29において検査結果を取得した場合、ステップS19に戻り、ステップS29で取得した検査結果を解析して、解析結果と、ステップS15又はステップS21で算出された結果に基づいて、PTP・CLを算出するように、ステップS19からの処理を繰り返す。
【0079】
一方、ステップS25において、医師が検査を実施しないと決定した場合、すなわち、医師による入力操作に基づいて、検査が実施されないと判定された場合(ステップS25:NO)、本実施形態に係るサジェスト処理を終了する。この後、医師は、必要に応じて、より診断を確実にするために、侵襲的冠動脈造影や冠動脈内圧測定などの侵襲的検査を実施したり、検査の結果を受けて、治療を開始したりする。
【0080】
上述したフローチャートにおいて、仮想患者が診断支援を受ける場合の例を説明する。まず、医師が仮想患者に対して問診を含む診察行為を行い、カルテを登録することにより、診断支援装置40は、診療データD1として、患者基本情報及び診療情報として問診を含む診察内容が記載されたカルテに関する情報を取得する(ステップS11)。
【0081】
図6は、本実施形態に係る診断支援装置40が取得した診療データの一例を示す図である。図6に示すように、診断支援装置40は、診療データD1における患者基本情報として、「[年齢]43歳」、「[性別]男性」とともに氏名や住所等の情報を取得する。また、図6に示すように、診断支援装置40は、診療データD1の診療情報におけるカルテに関する情報として、「胸のあたりがぎゅーっと痛むことがある。特に体を動かすと痛むことが多い。横になると2、3分程度で良くなる。呼吸ができなくなるようなことは無い。」などの問診に対する患者の回答を取得する。
【0082】
次に、診断支援装置40は、診療情報における「胸のあたりがぎゅーっと痛むことがある。特に体を動かすと痛むことが多い。横になると2、3分程度で良くなる。呼吸ができなくなるようなことは無い。」などの問診に対する患者の回答を解析する(ステップS13)。図7は、本実施形態に係る診断支援装置40の解析結果の一例を示す図である。図7に示すように、診断支援装置40は、診療情報におけるカルテに関する情報を解析することにより、解析結果AR1として、胸部症状の性状及び/又は呼吸苦の症状に関する要素として、「胸骨下に絞扼感あり」、「運動時に増悪」、「安静時5分以内に症状緩和」及び「呼吸困難なし」を抽出し、典型的狭心症症状に該当すると決定している。
【0083】
次に、診断支援装置40は、取得した患者基本情報における「[年齢]43歳」、「[性別]男性」と、解析結果AR1である「典型的狭心症症状」とに基づいて、図2に示すPTP表T1を参照して、PTPを22%と算出する(ステップS15)。
【0084】
次に、診断支援装置40は、取得した診療データD1に検査の結果が含まれているか否かを判定し(ステップS17)、取得した診療データD1に非侵襲的検査の結果が含まれていない(ステップS17:NO)ため、算出したPTPである22%を出力する(ステップS23)。図8は、本実施形態に係る診断支援装置40における出力インターフェース42の出力の一例を示す図である。図8に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイに算出したPTPである22%を表示させている。また、診断支援装置40は、医師に検査として非侵襲的検査を実施するか否かを決定させるためのボタンを表示している。
【0085】
次に、診断支援装置40は、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されるか否かを判定し(ステップS25)、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されると決定した(ステップS25:YES)。このため、診断支援装置40は、取得した診療データD1に検査結果が含まれていないため、未実施の検査として、図3に示すCL表T2に登録された全ての検査を抽出し、病院情報システム10から病院の設備に関する病院設備情報を取得し、取得した病院設備情報に基づいて、未実施の検査のうち、病院で実施可能な検査を抽出し、抽出した検査を優先してサジェストする(ステップS27)。
【0086】
図9は、本実施形態に係る診断支援装置40がサジェストする検査の一例を示す図である。図9に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイを介して、負荷心電図検査を含む4つの検査を優先してサジェストしている。
【0087】
次に、診断支援装置40は、サジェストした負荷心電図検査が実施されたため、検査結果として、図10に示す負荷心電図の所見が記載されたレポートを検査部門情報管理システム12から取得する(ステップS29)。そして、診断支援装置40は、検査結果として取得した図10に示す負荷心電図の所見を解析することにより、負荷心電図の所見に含まれる、CLを構成する要素の結果である虚血性変化ありとの情報から負荷心電図の検査結果が陽性であると解析する(ステップS19)。次に、診断支援装置40は、算出されたPTPである22%と、解析結果に基づく図11に示す尤度表T4における負荷心電図の陽性尤度比である2.96とを用いて、所定の計算式により、PTP・CLを45%と算出する(ステップS21)。
【0088】
次に、診断支援装置40は、算出したPTP・CLである45%を出力する(ステップS23)。図12は、本実施形態に係る診断支援装置40における出力インターフェース42の出力の一例であり、上述した図8に対応する図である。図12に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイに算出したPTP・CLである45%を表示している。また、図8の場合と同様に、診断支援装置40は、医師に非侵襲的検査を実施するか否かを決定させるためのボタンを表示している。
【0089】
次に、診断支援装置40は、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されるか否かを判定し(ステップS25)、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されると決定した(ステップS25:YES)。このため、診断支援装置40は、診療データD1及び検査結果に基づいて、負荷心電図が実施されたため、病院で実施可能な未実施の検査のうち、負荷心電図以外の検査をサジェストする(ステップS27)。図13は、本実施形態に係る診断支援装置40がサジェストする検査の一例を示す図である。図13に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイを介して、負荷心エコー検査を含む3つの検査を優先してサジェストしている。
【0090】
次に、診断支援装置40は、サジェストした負荷心エコー検査が実施されたため、検査結果として、負荷心エコー検査の所見が記載されたレポートを検査部門情報管理システム12から取得する(ステップS29)。そして、診断支援装置40は、負荷心エコー検査の所見を解析することにより、負荷心エコー検査は陽性であると解析する(ステップS19)。次に、診断支援装置40は、算出されたPTP・CLである45%と、解析結果に基づいて図11に示す尤度表T4における負荷心エコー法の陽性尤度比である4.53とを用いて、所定の計算式により、PTP・CLを79%と再度算出する(ステップS21)。
【0091】
次に、診断支援装置40は、算出したPTP・CLである79%を出力する(ステップS23)。図14は、本実施形態に係る診断支援装置40における出力インターフェース42の出力の一例であり、上述した図8に対応する図である。図14に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイに算出したPTP・CLである79%を表示している。また、図8の場合と同様に、診断支援装置40は、医師に非侵襲的検査を実施するか否かを決定させるためのボタンを表示している。
【0092】
次に、診断支援装置40は、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されるか否かを判定し(ステップS25)、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されると決定した(ステップS25:YES)。このため、診断支援装置40は、診療データD1及び検査結果に基づいて、負荷心電図及び負荷心エコー検査が実施されたため、病院で実施可能な未実施の検査のうち、負荷心電図及び負荷心エコー検査以外の検査をサジェストする(ステップS27)。図15は、本実施形態に係る診断支援装置40がサジェストする検査の一例を示す図である。図15に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイを介して、ホルター心電図検査を含む2つの検査を優先してサジェストしている。
【0093】
次に、診断支援装置40は、サジェストしたホルター心電図検査が実施されたため、検査結果として、ホルター心電図の所見が記載されたレポートを検査部門情報管理システム12から取得する(ステップS29)。そして、診断支援装置40は、ホルター心電図検査の所見を解析することにより、ホルター心電図検査は陽性であると解析する(ステップS19)。次に、診断支援装置40は、算出されたPTP・CLである79%と、解析結果に基づいて図11に示す尤度表T4におけるホルター心電図の陽性尤度比である1.59とを用いて、所定の計算式により、PTP・CLを86%と再度算出する(ステップS21)。
【0094】
次に、診断支援装置40は、算出したPTP・CLである86%を出力する(ステップS23)。図16は、本実施形態に係る診断支援装置40における出力インターフェース42の出力の一例であり、上述した図8に対応する図である。図16に示すように、診断支援装置40は、出力インターフェース42であるディスプレイに算出したPTP・CLである86%を表示している。また、図8の場合と同様に、診断支援装置40は、医師に非侵襲的検査を実施するか否かを決定させるためのボタンを表示している。
【0095】
そして、診断支援装置40は、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されるか否かを判定し(ステップS25)、医師による入力操作に基づいて、非侵襲的検査が実施されないと決定した(ステップS25:NO)。このため、診断支援装置40は、仮想患者の診断支援を終了する。その後、医師は、例えば、仮想患者に対して侵襲的検査の実施を決定する。
【0096】
以上のように、本実施形態に係る診断支援システム1によれば、診断支援装置40は、患者情報と診療情報を少なくとも含む診療データを取得して、取得した診療データに含まれる診療情報を解析して、取得した診療データに含まれる患者基本情報、及び、診療情報の解析結果に基づいて、冠動脈疾患に罹患している確率であるPTP(検査前確率)を算出し、診療データ及び/又は検査結果に基づいて患者に対して実施する検査をサジェストすることとしたので、PTPの確率算出を支援しながら、安定CADの診断精度の向上のための検査などが容易に選択できることにより、診断効率を向上することができる。
【0097】
また、本実施形態に係る診断支援システム1によれば、診断支援装置40は、検査結果を取得し、取得した検査結果に基づいて、CLを加味したPTPの確率であるPTP・CLを算出することとしたので、PTP・CLの確率算出を支援することが出来、診断効率を向上することができる。
【0098】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ41に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0099】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0100】
1…診断支援システム、10…病院情報システム、11…電子カルテシステム、12…検査部門情報管理システム、13…放射線部門情報管理システム、14…医用画像保管システム、15…線量管理システム、16…医事会計システム、20…検査装置、30…医用画像診断装置、40…診断支援装置、41…メモリ、42…出力インターフェース、43…入力インターフェース、44…通信インターフェース、45…処理回路
図1
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