(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017596
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240201BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65G1/00 551B
B62B3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120339
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】511305106
【氏名又は名称】アイカム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
【テーマコード(参考)】
3D050
3F022
【Fターム(参考)】
3D050AA21
3D050BB11
3D050BB22
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3F022AA02
3F022EE09
3F022FF26
3F022GG03
3F022JJ11
3F022LL02
3F022MM11
3F022QQ13
(57)【要約】
【課題】 使用後の食器具を収容する容器を搬送する台車において、容器の移載を容易にする。
【解決手段】 使用後の食器具を収容する容器を搬送する台車であって、駆動棚と、受け部と、押出ユニットとを有する。駆動棚は、水平方向で離れた位置に配置された一対の無端状の循環移動体と、一対の循環移動体にそれぞれ設けられ、容器を支持する一対の支持ユニットとを有する。駆動棚は、循環移動体の移動に応じて、一対の支持ユニットによって容器を支持しながら下降させる。受け部は、一対の循環移動体の間に配置されており、下降した容器を一対の支持ユニットから受け取る。押出ユニットは、受け部に載せられた容器を、容器の下降方向と直交する方向に押し出して受け部の外部まで移動させる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用後の食器具を収容する容器を搬送する台車であって、
水平方向で離れた位置に配置された一対の無端状の循環移動体と、一対の前記循環移動体にそれぞれ設けられ、前記容器を支持する一対の支持ユニットとを有し、前記循環移動体の移動に応じて、一対の前記支持ユニットによって前記容器を支持しながら下降させる駆動棚と、
一対の前記循環移動体の間に配置されており、下降した前記容器を一対の前記支持ユニットから受け取る受け部と、
前記受け部に載せられた前記容器を、前記容器の下降方向と直交する方向に押し出して前記受け部の外部まで移動させる押出ユニットと、
を備えることを特徴とする台車。
【請求項2】
一対の前記支持ユニットは、上下方向における複数の位置のそれぞれにおいて前記容器を支持可能であることを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記支持ユニットは、前記循環移動体に固定される固定板と、前記固定板に対して回転可能に取り付けられた回転板とを有し、
前記支持ユニットが前記容器を支持する領域を移動するとき、前記回転板は、前記固定板から離れる方向に回転して前記容器を支持し、
前記支持ユニットが前記容器を支持しない領域を移動するとき、前記回転板は、ガイドとの接触により前記固定板と重なる位置に回転することを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記回転板には、前記ガイドに沿って回転するローラが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記押出ユニットは、
前記容器の押出方向に延びるリニアガイドと、
前記リニアガイドに沿って移動するスライダと、
前記スライダを駆動する駆動部と、
前記スライダとともに移動して前記容器に接触する押出部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項6】
前記駆動棚と隣り合う位置に配置され、空の前記容器を収容する固定棚を有しており、
前記押出ユニットが前記容器を押し出す前にあるとき、前記スライダ及び前記押出部は前記固定棚の下方に位置していることを特徴とする請求項5に記載の台車。
【請求項7】
前記押出ユニットによって押し出された前記容器が投入される投入口には、前記投入口を開閉する扉と、前記扉を閉じ状態から開き状態に動作させるためのスイッチと、スライダの直進運動を前記スイッチを作動させる運動に変換する変換機構とが設けられており、
前記台車は、前記スライダを吸着して直進運動を行わせる吸着部を有することを特徴とする請求項1に記載の台車。
【請求項8】
前記扉に検出光を射出して前記扉で反射した検出光を受光することにより、前記扉の開閉状態を検出するセンサを有し、
前記扉が開き状態であるとき、前記押出ユニットを駆動することを特徴とする請求項7に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車に関し、特に、使用後の食器具を収容する容器を多段に搭載する台車に関する。
【背景技術】
【0002】
回転寿司店における大型店舗等で使用されるE型の循環型コンベアが知られる(例えば、特許文献1)。E型の循環型コンベアは、厨房エリアから客席エリアに向けて張り出す張り出し経路を複数備え、張り出し経路の両側に客席が設けられる。E型の循環型コンベアを使用する店舗の厨房エリアにおいて、循環型コンベアの下方の空間には、客席エリアとの隔壁に沿って下げ膳コンベアが設けられる。下げ膳コンベアは洗い場に至る。厨房エリアと客席エリアの隔壁において、張り出し経路間に位置する領域には、電動扉によって開閉する投入口が設けられる。
【0003】
このような店舗における使用後の食器具の回収方法は、まず、店員が、バスボックスを多段に搭載する台車を押して客席を回り、客の使用済みの食器具をテーブルから回収してバスボックスに入れる。続いて、店員は、台車を隔壁の投入口付近まで運び、投入口のボタンを押して電動扉を開ける。続いて、店員は、台車からバスボックスを取り出し、投入口を介してバスボックスを下げ膳コンベアに載せる。そして、店員は、再度ボタンを押し、電動扉を閉める。これにより、下げ膳コンベアが作動し、バスボックスが下げ膳コンベアにより洗い場まで搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなE型の循環型コンベアを用いる店舗では、バスボックスを搭載する手押しの台車を用いて食器具を回収しているが、食器具を収容するバスボックスの重量が大きいことから、台車から下げ膳コンベアへのバスボックスの移載作業が店員の負担となっている。また、下げ膳コンベアは、厨房エリアにおいて循環型コンベアの下方に設けられることがあり、隔壁の投入口は、このような低い位置にある下げ膳コンベアに対応して低い位置に設けられる。そのため、店員は、バスボックスの移載作業を中腰で行う必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、使用後の食器具を収容する容器を搬送する台車であって、駆動棚と、受け部と、押出ユニットとを有する。駆動棚は、水平方向で離れた位置に配置された一対の無端状の循環移動体と、一対の循環移動体にそれぞれ設けられ、容器を支持する一対の支持ユニットとを有する。そして、駆動棚は、循環移動体の移動に応じて、一対の支持ユニットによって容器を支持しながら下降させる。
【0007】
受け部は、一対の循環移動体の間に配置されており、下降した容器を一対の支持ユニットから受け取る。押出ユニットは、受け部に載せられた容器を、容器の下降方向と直交する方向に押し出して受け部の外部まで移動させる。
【0008】
一対の支持ユニットは、上下方向における複数の位置のそれぞれにおいて容器を支持可能である。支持ユニットは、循環移動体に固定される固定板と、固定板に対して回転可能に取り付けられた回転板とで構成することができる。ここで、支持ユニットが容器を支持する領域を移動するとき、回転板は、固定板から離れる方向に回転して容器を支持する。また、支持ユニットが容器を支持しない領域を移動するとき、回転板は、ガイドとの接触により固定板と重なる位置に回転する。回転板には、ガイドに沿って回転するローラを設けることができる。
【0009】
押出ユニットは、容器の押出方向に延びるリニアガイドと、リニアガイドに沿って移動するスライダと、スライダを駆動する駆動部と、スライダとともに移動して容器に接触する押出部とで構成することができる。駆動棚と隣り合う位置に、空の容器を収容する固定棚を配置することができ、押出ユニットが容器を押し出す前にあるとき、スライダ及び押出部を固定棚の下方に位置させることができる。
【0010】
押出ユニットによって押し出された容器が投入される投入口には、投入口を開閉する扉と、扉を閉じ状態から開き状態に動作させるためのスイッチと、スライダの直進運動をスイッチを作動させる運動に変換する変換機構とを設けることができる。ここで、台車には、スライダを吸着して直進運動を行わせる吸着部を設けることができる。一方、台車には、扉に検出光を射出して扉で反射した検出光を受光することにより、扉の開閉状態を検出するセンサを設けることができる。ここで、扉が開き状態であるとき、押出ユニットを駆動することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用済みの食器具が収容された容器を駆動棚に設置するだけで、駆動棚による容器の下降と、押出ユニットによる容器の押出しによって、容器を容易に移載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】収容空間内の各要素の位置関係及び台車の前側内の各要素の位置関係を模式的に示す平面図である。
【
図8】ガイドの作用による支持ユニットの開閉動作の説明図である。
【
図9】スライドガイド及び押出ユニットの平面図である。
【
図11】押出ユニットの動作時の状態を示す平面図である。
【
図12】台車がバスボックスを下げ膳コンベアへ移載する様子を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、食器具の回収システム100の平面図である。
食器具の回収システム100は、本実施形態では回転寿司店における大型店舗に適用する例を説明するが、他の業種や、他のサイズの店舗に適用してもよい。食器具の回収システム100では、例えば、循環型コンベア91、客席92、テーブル93、下げ膳コンベア94、隔壁95を有する従来の店舗において、台車1が用いられ、隔壁95の投入口8には、後述の着座確認センサS4(
図5)が組み付けられる。
【0014】
店舗内では、客席92及びテーブル93を有する客席エリアA1と、飲食物を調理して循環型コンベア91へ載せる場所である厨房エリアA2とが隔壁95で仕切られる。
【0015】
循環型コンベア91は、例えば、三日月状のトッププレートを循環させるクレセントチェーンを備えるE型の循環型コンベアであり、厨房エリアA2から客席エリアA1に向けて張り出す張り出し経路911を複数備える。各張り出し経路911の両側に客席92及びテーブル93が設けられる。E型の循環型コンベアでは、張り出し経路911の基端部分が厨房エリアA2内で接続する。循環型コンベア91には、厨房エリアA2にて、寿司等の飲食物が載せられる食器(皿など)が載せられ、該飲食物を載せた食器を、各張り出し経路911にて、客席92に沿って搬送しながら循環型コンベア91の経路に亘って循環させる。客は、飲食物を載せた食器を循環型コンベア91上から取り出して飲食できる。
【0016】
下げ膳コンベア94は、ベルトコンベアであり、厨房エリアA2において隔壁95に沿って設けられる。下げ膳コンベア94は、循環型コンベア91の両側の張り出し経路911よりも外側に亘って延び、厨房エリアA2における循環型コンベア91の下方の空間を通って洗い場96に至る。下げ膳コンベア94は、循環型コンベア91の下方を通るように低い位置に設けられる。
【0017】
1つの張り出し経路911に沿って設けられる客席92と、他の張り出し経路911に沿って設けられる客席92との間には、通路Pが形成される。隔壁95において、通路Pに面する領域に、隔壁95を貫通する投入口8が設けられる。投入口8は、電動扉81によって開閉される。
【0018】
台車1は、上部にバスボックスBを搭載する。店員は、テーブル93から飲食後の食器具を回収してバスボックスBに入れる。食器具としては、客により循環型コンベア91から取り出される食器の他、店員によって客に運ばれるビール瓶や、店内に置かれて使用されるコップや湯呑み、箸やスプーン等を含む。
【0019】
台車1は、食器具を収容するバスボックスBを台車1の上下方向で多段に積載できる。店員が台車1を投入口8に対して規定の位置に移動させることで、台車1は、食器具を収容する全てのバスボックスBを順に投入口8を介して下げ膳コンベア94に機械的に、かつ自動的に移載する。このように、本実施形態の台車1は、バスボックスBの移載作業を機械化できることにより、店員の負荷を軽減できる。
【0020】
図2は、台車1を後側から見た斜視図である。
台車1の底部の各隅部にはキャスタ71があり、台車1の一端側には持ち手72がある。店員は、持ち手72を把持して台車1を押して移動させることができる。以下、持ち手72がある台車1の一端側(後側)と台車1の他端側(前側)とを結ぶ台車1の前後方向を各図においてX軸と記載する。また、以下では、左右方向を、台車1の後側から前側を見た場合の左右方向として記載するとともに、各図においてY軸として記載する。以下では、台車1の上下方向をZ軸として記載する。
【0021】
台車1は、バスボックスB(容器)を上下方向(Z方向)に多段にそれぞれ収容する駆動棚2及び固定棚3を備える。駆動棚2及び固定棚3は、本実施形態では3段であるものとするが、2段であってもよいし、4段以上であってもよく、互いに異なる段数であってもよい。駆動棚2は、台車1の前側にあり、固定棚3は、駆動棚2の後側にある。バスボックスBは、例えば、上方に開口する箱状で平面視長方形である。駆動棚2及び固定棚3の各段の収容部は、左右に長く、バスボックスBを左右に沿う姿勢で収容する。
【0022】
駆動棚2において、各段のバスボックスBの底部を支持する支持ユニット21(
図2では上段のものを記載)は、台車1の外装73内に位置する。台車1の外装73の上端面の前側には、左右に長い開口731がある。駆動棚2の上段に載せられるバスボックスBの上部は、開口731を介して台車1の外部に露出する。開口731を介して、駆動棚2の上段にバスボックスBを上方から載置できる。
【0023】
固定棚3において、各段のバスボックスBの底部を支持する支持部31は、外装73内に位置する。固定棚3の上段の支持部31と、駆動棚2の上段の支持ユニット21とは同じ高さにある。外装73の上端面の後側には、左右に長い開口732がある。固定棚3の上段に載せられるバスボックスBの上部は、開口732を介して台車1の外部に露出する。開口732を介して、固定棚3の上段からバスボックスBを上方に取り出すことができる。
【0024】
店員は、テーブル93から回収する使用済みの食器具を固定棚3の上段のバスボックスBに入れ、該バスボックスBが満杯になると、該バスボックスBを持ち上げて駆動棚2の上段に移すことができる。
【0025】
外装73の後端面には、固定棚3の下段の支持部31から外装73の上端面に至る開口733がある。開口733を介して、固定棚3の上段を含む各段に対して、
図2の矢印で示すようにバスボックスBを出し入れできる。店員は、固定棚3の上段のバスボックスBを駆動棚2に移した後、固定棚3の下段から上段にバスボックスBを移すことができる。固定棚3の下段の支持部31の下方には、収容空間V1が形成される。
【0026】
図3は、収容空間V1内の各要素の位置関係及び台車1の前側内の各要素の位置関係を模式的に示す平面図である。各要素の機能については後述する。
Y方向における収容空間V1の中央部には、一対のリニアガイド51の一部が配置されており、各リニアガイド51は前後方向(X方向)に延びており、各リニアガイド51の一端は収容空間V1の後端付近まで延びる。一対のリニアガイド51の間には、スライダ52を駆動するローラチェーンRC3の一部が配置され、ローラチェーンRC3も、収容空間V1の後端付近まで延びる。収容空間V1におけるリニアガイド51の前側部分の左右両側には、一対のスライドガイド(受け部)4の後部が前後方向(X方向)に沿って配置される。収容空間V1には、モータM1、電源79及び基板78がある。電源79は、例えば二次電池であり、台車1の各部に電力を供給する。基板78には、メモリ781と、メモリ781内のプログラムを読み込んで台車1に係る各種の制御を行うプロセッサ782とが実装される。
【0027】
図4は、台車1を前側から見た斜視図である。
台車1は、前述のスライドガイド4を備えるとともに、押出ユニット5を備える。スライドガイド4は、駆動棚2の下段においてバスボックスBの底部を支持する。駆動棚2の上段に置かれたバスボックスBは、下げ膳コンベア94への移載前にスライドガイド4上に下ろされる。外装73の前端面には、スライドガイド4の高さ位置から、バスボックスBの高さよりも上方に延びる開口734がある。押出ユニット5は、スライドガイド4上のバスボックスBを開口734を介して台車1の前方へと押し出す。これにより、台車1は、隔壁95の投入口8の奥にある下げ膳コンベア94までバスボックスBを押し出すことができる。
【0028】
台車1の前端部には、投入口8に設けられた着座確認センサS4を動作させるセンサ作動部(吸着部)S1がある。本実施形態では、センサ作動部S1は磁石であり、台車1の前端部において、上部、かつ左右両側にある(
図4では一方のみ図示)。センサ作動部S1は、外装73の裏側に位置してもいいし、外部に露出していてもよい。台車1の前端部には、投入口8の電動扉81の開閉状態を検出する開閉確認センサS2がある。本実施形態では、開閉確認センサS2は、台車1の前端部の左右両側(
図4では一方のみ図示)にそれぞれ設けているが、これに限るものではなく、1つの開閉確認センサS2を設けるだけでもよい。開閉確認センサS2は、例えば反射型光センサである。本実施形態では、電動扉81において、各開閉確認センサS2による射出光の照射領域に反射板が貼られる。開閉確認センサS2は、電動扉81に向けて光を射出し、反射板からの反射光を受光し、その受光強度により電動扉81の開閉を検出する。
【0029】
図5は、着座確認センサS4の原理図である。
着座確認センサS4は、投入口8に設置され、投入口8に対する規定位置に台車1がある場合、台車1のセンサ作動部S1は着座確認センサS4を動作させる。本実施形態では、台車1の前端部が投入口8の周囲の隔壁95等に当たる位置が、台車1の規定位置となる。センサ作動部S1が着座確認センサS4を作動させることで投入口8の電動扉81が開く。本実施形態では、着座確認センサS4は、台車1の一対のセンサ作動部S1に対応して投入口8に一対設けられており、一対のセンサ作動部S1が一対の着座確認センサS4をそれぞれ作動させることで電動扉81が開くようになっている。
【0030】
着座確認センサS4は、鉄等の強磁性体でありスライド移動可能に保持されるミニチュアスライダ82と、ミニチュアスライダ82をセンサ作動部S1から離れる側に付勢するバネ83と、ミニチュアスライダ82と一体に移動し、センサ作動部S1から離れる側に向かって上方に傾斜するドグ84を備える。着座確認センサS4は、ドグ84に接触するローラ85を備えてその移動が上下方向(Z方向)に規制されるアクチュエータ86と、アクチュエータ86の規定量以上の上動を検出するスイッチ87とを備える。
【0031】
規定位置に台車1が停まると、台車1のセンサ作動部S1の磁力によって、ミニチュアスライダ82がセンサ作動部S1の側に引き寄せられ、ひいてはドグ84も引き寄せられる。これにより、ローラ85がドグ84に沿って移動してアクチュエータ86が上動し、スイッチ87がオフからオンに切り替わる。スイッチ87のオンにより電動扉81が開く。電動扉81が開いている状態で、台車1が投入口8から離れると、センサ作動部S1によるミニチュアスライダ82の吸引力が無くなり、ミニチュアスライダ82はバネ83の付勢力を受けて初期位置に移動する。このとき、ローラ85がドグ84に沿って移動して下方に移動することにより、スイッチ87がオンからオフに切り替わる。一対のスイッチ87が共にオフになると、電動扉81が閉まるようになっている。
【0032】
【0033】
駆動棚2は、水平方向(Y方向)に離れる一対の循環駆動機構20を有する。各循環駆動機構20は、ローラチェーン(循環移動体)RC2と、ローラチェーンRC2に固定された複数(本実施形態では5つ)の支持ユニット21を有する。複数の支持ユニット21は、ローラチェーンRC2に対して等間隔に配置されている。一方のローラチェーンRC2に固定された支持ユニット21と、他方のローラチェーンRC2に固定された支持ユニット21とは、同一の水平面内に位置しており、これらの支持ユニット21によってバスボックスBが支持される。ローラチェーンRC2を移動させることにより、支持ユニット21を、上段位置P1から下段位置P3まで移動させることができる。各ローラチェーンRC2は、バスボックスBを支持する開いた姿勢である支持姿勢で支持ユニット21を下方に移動させる往路と、閉じた状態で支持ユニット21を上方に移動させる復路とを有する。
【0034】
駆動棚2は、一対のローラチェーンRC2を同期して駆動することで、バスボックスBを支持する一対の支持ユニット21を、上段位置P1、中段位置P2、下段位置P3の順に移動できる。駆動棚2は、一対のローラチェーンRC2の駆動を停止し、バスボックスBを支持する一対の支持ユニット21を異なる位置P1,P2に停止させることで、バスボックスBを多段に保持できる。
【0035】
スライドガイド4は、下段位置P3よりも上方であって、かつバスボックスBを支持する一対の支持ユニット21の間にある。これにより、バスボックスBを支持する一対の支持ユニット21が中段位置P2から下段位置P3に下降するとき、一対の支持ユニット21からスライドガイド4にバスボックスBが移載される。駆動棚2の各段(上段、中段及び下段)には、バスボックスBの有無を検出する光学式等の容器確認センサS3が設けられる。以下、駆動棚2の構造を具体的に説明する。
【0036】
図3に示すように、台車1の左右両側のそれぞれには、1組のローラチェーンRC2が設けられる。1組のローラチェーンRC2は、
図6の紙面垂直方向である前後方向(X方向)に離れて配置されている。1組のローラチェーンRC2は、駆動棚2の上部及び下部のそれぞれに配置された従動プーリ221、222に掛け回され、上下方向(Z方向)に沿う姿勢で配置される。下部の従動プーリ222、及び従動プーリ222と同軸上の駆動ギア223は、スライドガイド4よりも下方にあり、その軸は台車1のフレーム74(
図3)に回転可能に保持される。ローラチェーンRC2及び外装73の間には、ガイド23が設けられる。
【0037】
スライドガイド4の下方には、ローラチェーンRC1が左右に沿う姿勢で配置される。ローラチェーンRC1は、
図6の左側に配置された駆動プーリ224と、
図6の右側に配置された従動プーリ225に掛け回される。駆動プーリ224は、駆動ギア226と共に回転可能であり、駆動ギア226はモータM1に接続されている。駆動ギア226は伝達ギア227と噛み合い、伝達ギア227は
図6の左側に配置された駆動ギア223と噛み合う。従動プーリ225は、伝達ギア228と共に回転可能であり、伝達ギア228は
図6の右側に配置された駆動ギア223と噛み合う。伝達ギア227、228は、支持部材2271、2281(
図3)に片持ち支持される。
【0038】
図6の左側のローラチェーンRC2には、モータM1の駆動力が、駆動ギア226、伝達ギア227、駆動ギア223、従動プーリ222を介して伝達される。
図6の右側のローラチェーンRC2には、モータM1の駆動力が、駆動ギア226、駆動プーリ224,ローラチェーンRC1,従動プーリ225,伝達ギア228,駆動ギア223、従動プーリ222を介して伝達され、
図6の左側のローラチェーンRC2と同期して駆動される。
【0039】
図7(A)は、
図6の右側の循環駆動機構20において、支持姿勢の支持ユニット21を拡大して示す平面図であり、
図7(B)は、支持ユニット21の側面図である。なお、
図7(A)では1組のローラチェーンRC2も示しており、
図7(B)ではローラチェーンRC2を省略している。
【0040】
支持ユニット21は、固定板211、回転板212、及びバネ付き蝶番213を備える。固定板211は、上下に沿う板状の部材であり、1組のローラチェーンRC2に固定される。固定板211の下端部であって、前後方向(X方向)における固定板211の中央部には、固定板211に対して直交する板状の取付部2111が設けられている。また、固定板211の下端部であって、前後方向(X方向)における固定板211の両端部には、固定板211に対して直交するストッパ2112が設けられている。
【0041】
回転板212は、前後方向(X方向)に長い板状の部材であり、バスボックスBの底部の一部(左右方向(Y方向)におけるバスボックスBの一端部)を支持する。回転板212には、バスボックスBの底部を滑らず支持するための一対の滑り止め部2121が前後方向(X方向)に隙間を開けて形成される。回転板212の下面には支持板2122が設けられており、支持板2122には、2つのローラ2123が回転自在に保持される。なお、ローラ2123は省略することができる。
【0042】
バネ付き蝶番213は、前後方向(X方向)に延びる回転軸2131を有しており、回転軸2131に対して一方の側に位置する領域が取付部2111の底面に取り付けられ、回転軸2131に対して他方の側に位置する領域が回転板212の底面に取り付けられている。これにより、バネ付き蝶番213は、回転板212及び固定板211を連結し、回転板212は固定板211に対して回転可能である。バネ付き蝶番213は、不図示のバネにより、回転板212を固定板211から離れる方向に付勢しているが、支持板2122の一部がストッパ2112の底面に当接することで、固定板211に対する回転板212の姿勢が保持される。
【0043】
図8は、ガイド23の作用による支持ユニット21の開閉動作の説明図である。
【0044】
ガイド23は、姿勢変更部231、鉛直部232、及び上部湾曲部233を備える。姿勢変更部231は、ローラチェーンRC2の下部において、支持ユニット21の進入経路を形成し、ローラチェーンRC2と姿勢変更部231との間の距離は、下方に進むにしたがって狭くなる。ローラチェーンRC2が
図8に示す矢印D1の方向に移動すると、支持ユニット21のローラ2123が姿勢変更部231に接触しながら移動することにより、回転板212が固定板211に近づく方向に回転する(
図8に示す矢印D2)。これにより、支持ユニット21は、開いた状態から閉じた状態に変化する。
【0045】
鉛直部232は、ローラチェーンRC2の下部から上部までローラチェーンRC2に沿って延びており、支持ユニット21を閉じ状態に維持する距離だけローラチェーンRC2から離れている。すなわち、支持ユニット21が鉛直部232を移動するときには、支持ユニット21のすべてのローラ2123が鉛直部232に沿って回転し、支持ユニット21は、ローラチェーンRC2及び鉛直部232の間において、閉じた状態に維持される。鉛直部232は、支持ユニット21を閉じた状態でローラチェーンRC2の上部までガイドする。
【0046】
上部湾曲部233は、ローラチェーンRC2の上部に沿って湾曲している。支持ユニット21が上部湾曲部233を移動している間は、支持ユニット21のローラ2123が上部湾曲部233に接触しており、支持ユニット21は閉じた状態に維持される。支持ユニット21が上部湾曲部233を通過すると、バネ付き蝶番213のバネによる付勢力によって、回転板212が固定板211から離れる方向に回転し、支持ユニット21は、閉じた状態から開いた状態に変化する(
図8に示す矢印D3)。ここで、上述したとおり、支持板2122の一部がストッパ2112に接触することにより、支持ユニット21は開いた状態に維持される。
【0047】
図9は、スライドガイド4及び押出ユニット5の平面図である。
【0048】
スライドガイド4は、一対あり、断面視L字状であり(
図10参照)、台車1の左右方向(
図9の上下方向)に離れる。スライドガイド4は、台車1の前側(
図9の右側)にあり、前後方向(
図9の左右方向)に延び、外装73の前端(
図9の右端)まで延びる。
【0049】
押出ユニット5は、リニアガイド51,スライダ52,駆動部53、押出部54を備える。リニアガイド51は、一対あり、台車1の左右方向(
図9の上下方向)において、一対のスライドガイド4の内側にある。リニアガイド51は、外装73の前後端(
図9の左右端)の近傍まで前後方向(
図9の左右方向)に延びる。スライダ52は、リニアガイド51によって前後方向(
図9の左右方向)にガイドされる。Y方向におけるスライダ52の両端部のそれぞれは、リニアガイド51の上端部に係合している。スライダ52は、リニアガイド51の後端側のホームポジション(
図9に示す位置)から、リニアガイド51の前端部まで駆動される。
【0050】
駆動部53は、スライダ52を台車1の前後方向(X方向)に駆動するローラチェーンRC3を備え、ローラチェーンRC3の一部にスライダ52が固定されている。ローラチェーンRC3は、外装73の前後端の近傍まで前後方向(X方向)に沿って配置される。
【0051】
押出部54は、スライダ52から前方に延び、バスボックスBに当接する部位であり、スライドガイド4上を走行する。押出部54は、左右(
図9の上下)に長い板状の押出部本体541と、押出部本体541の左右両端部にありスライドガイド4上を走行する走行ローラ542と、スライダ52と押出部本体541とを連結する連結バー543とを備える。
【0052】
【0053】
駆動部53は、ローラチェーンRC3を駆動するモータM2を備える。ここで、スライドガイド4及びリニアガイド51は、不図示のブラケットによって台車1のフレーム74に取り付けられ、外装73の底面から浮いた位置に設置される。スライドガイド4及びリニアガイド51の下方にローラチェーンRC3及びモータM2が設置される。ローラチェーンRC3は、複数のテンションギア531に掛け回されており、駆動棚2の左右方向(Y方向)に延びるローラチェーンRC1と干渉しない位置に配置される(
図12参照)。
【0054】
図11は、押出ユニット5の動作後の状態を示す平面図である。
【0055】
モータM2によりローラチェーンRC3を駆動させることで、スライダ52をリニアガイド51上の前端部(
図11の右端部)まで移動させることができる。モータM2を逆方向に駆動することで、スライダ52をホームポジション(
図9に示す位置)に戻すことができる。
【0056】
以下、プロセッサ782による下げ膳コンベア94へのバスボックスBの移載処理を説明する。
【0057】
食器具を回収する際に、台車1の固定棚3の全段にバスボックスBを収容し、駆動棚2の全段を空にしておくものとする。
図1を参照すると、店員は、台車1の持ち手72を持ち、駆動棚2が前側となるようにして台車1を押し、食事が終わった客のテーブル93を回る。店員は、テーブル93から食器具を回収し、固定棚3の上段のバスボックスBに食器具を入れる。バスボックスBが食器具で一杯になると、店員は、このバスボックスBを、台車1の前側にある駆動棚2の上段位置P1に移す。なお、駆動棚2の上段位置P1に空のバスボックスBを配置しておき、このバスボックスBに回収した食器具を入れるようにしてもよい。
【0058】
ここで、台車1のプロセッサ782は、
図6に示すように、容器確認センサS3にて駆動棚2の各段のバスボックスBの有無を監視している。プロセッサ782は、駆動棚2の上段にバスボックスBが収容されていることを検出した場合、モータM1を駆動してバスボックスBを支持する一対の支持ユニット21を下方に移動させる。バスボックスBを上段位置P1から中段位置P2に移動させると、上段位置P1が空くため、この上段位置P1に食器具を収容した他のバスボックスBを置くことができる。これにより、食器具の回収を続けることができる。上段位置P1のバスボックスBが食器具で満たされた後は、上述したように、モータM1を駆動してバスボックスBを支持する一対の支持ユニット21を下方に移動させる。
【0059】
なお、上述した説明では、上段位置P1にバスボックスBを置くたびに、バスボックスBを下方の段に移動させているが、これに限るものではない。例えば、上段位置P1にバスボックスBを置いたときにおいて、中段位置P2及びスライドガイド4にバスボックスBが配置されていないときには、モータM1を駆動することにより、上段位置P1からスライドガイド4までバスボックスBを移動させることもできる。
【0060】
食器具を収容したバスボックスBが駆動棚2の全段に配置されると、店員は、台車1を押して通路Pを進み、台車1を投入口8に近接する規定位置まで移動させる。
【0061】
図12は、台車1がバスボックスBを下げ膳コンベア94へ移載する様子を模式的に示す側面図である。
図12に示すように、スライドガイド4、投入口8の底面部、下げ膳コンベア94の搬送面のそれぞれの高さは、概ね同じとしている。
【0062】
台車1が投入口8に近接する規定位置に位置づけられると、台車1に設置された一対のセンサ作動部S1は、投入口8に設置された一対の着座確認センサS4を作動させる。一対の着座確認センサS4を作動させることで、電動扉81が開く。なお、本実施形態では、一対の着座確認センサS4及び一対のセンサ作動部S1を用いているが、これに限るものではなく、例えば、1つの着座確認センサS4及び1つのセンサ作動部S1を用いるだけでもよい。
【0063】
プロセッサ782は、一対の開閉確認センサS2を介して電動扉81が開いていることを検出すると、スライドガイド4上のバスボックスBを押出ユニット5によって投入口8の奥の下げ膳コンベア94へ押し出す。具体的には、プロセッサ782は、モータM2を駆動してローラチェーンRC3を
図12の矢印D4の方向に移動させることにより、ホームポジション(
図9に示す位置)にあるスライダ52を台車1の前端部(
図11に示す位置)まで移動させる。ホームポジションでは、スライダ52及び押出部54が固定棚3の下方に位置している。スライダ52がホームポジションにあるとき、スライダ52と連結バー543により連結される押出部本体541は、スライドガイド4上にあり、バスボックスBの後端部のすぐ後ろに位置する。
【0064】
押出部本体541は、スライダ52に押されながらスライドガイド4上を前方へ走行し、バスボックスBの後端部に当たってバスボックスBを前方へ押し出す。押出部本体541は、スライダ52が台車1の前端部まで移動したとき、連結バー543に相当する分、台車1の前方へ位置できる。従って、押出部本体541は、スライドガイド4上のバスボックスBを、開口734(
図4)から台車1の前方へと押し出し、さらに投入口8を超えて下げ膳コンベア94まで押し出すことができる。
【0065】
プロセッサ782は、以上のようにしてスライダ52を台車1の前端部まで移動させ、バスボックスBを下げ膳コンベア94に移載すると、モータM2を逆回転させ、スライダ52をホームポジションに戻す。そして、プロセッサ782は、駆動棚2の中段位置P2又は上段位置P1にバスボックスBがある場合、モータM1を駆動することにより、バスボックスBをスライドガイド4上に移動させる。この後は、上述したようにスライダ52を移動させてバスボックスBを下げ膳コンベア94まで押し出すことができる。
【0066】
本実施形態では、店員が、台車1を押しながらそのまま投入口8に近接する規定位置に停めるだけで、自動的に電動扉81が開き、台車1が積載する全てのバスボックスBが順次、台車1から下げ膳コンベア94に移載される。そして、台車1から全てのバスボックスBが移載された後、店員が、台車1を投入口8から離すことで、自動的に電動扉81が閉まる。従って、本実施形態では、下げ膳コンベア94へのバスボックスBの移載作業に伴う店員の負担を大幅に軽減できる。
【0067】
なお、本実施形態では、ローラチェーンRC1~RC3を用いているが、これに限るものではなく、無端状で循環移動する部材(循環移動体)を用いることができる。例えば、循環移動体として、無端状のベルトを用いることができる。
【0068】
なお、台車1が、投入口8に近接する規定位置まで自走し、駆動棚2に積載するバスボックスBの移載完了後に自動的に投入口8から離れるようにしてもよい。さらに、台車1は、各テーブル93を自走して回り、客又は店員により台車1に載せられたバスボックスBに食器具が収容されてもよい。駆動棚2におけるバスボックスBの下降動作は、容器確認センサS3を用いずに、ボタン等の操作によって手動で行えるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:台車、2:駆動棚、3:固定棚、4:スライドガイド(受け部)、5:押出ユニット、8:投入口、21:支持ユニット、52:スライダ、53:駆動部、54:押出部、81:電動扉(扉)、82~86:(変換機構)、87:スイッチ、211:固定板、212:回転板、2123:ローラ、B:バスボックス(容器)、RC2:ローラチェーン(循環移動体)、S1:センサ作動部(吸着部)、S2:開閉確認センサ(センサ)