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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175967
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20241212BHJP
   G06F 13/42 20060101ALI20241212BHJP
   G06F 13/10 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G06F13/38 320A
G06F13/38 350
G06F13/42 310
G06F13/10 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094116
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇雄
(57)【要約】
【課題】通信装置をある通信モードから他の通信モードに従来よりも短い時間で切り換える。
【解決手段】ホスト装置1及びSDカード2は、第1の信号線及び第2の信号線を介して互いに接続される。第1の信号線は、第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含む。ホスト装置1及びSDカード2は、第1の信号線を介して互いにデータを伝送するSD I/Fモードと、第2の信号線を介して互いにデータを伝送するPCIe I/Fモードとで動作可能である。ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、第4の信号線を介してホスト装置1からSDカード2に送信する。第1のコマンド信号の送信後、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、ホスト装置1及びSDカード2をSD I/Fモードに切り換える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の通信装置の間においてデータを伝送する通信方法であって、
前記第1及び第2の通信装置は、複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介して互いに接続され、前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記第1及び第2の通信装置は、前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて互いにデータを伝送する第1の通信モードと、前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて互いにデータを伝送する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記通信方法は、
前記第1及び第2の通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信することと、
前記第1のコマンド信号の送信後、前記第2の通信モードで伝送すべきデータが存在しないとき、前記第1及び第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることとを含む、
通信方法。
【請求項2】
前記通信方法は、前記第1及び第2の通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、
前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に第2のコマンド信号を送信することと、
前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置から前記第1の通信装置に前記第2のコマンド信号に対する応答信号を送信することとを含み、
前記切り換えるステップは、前記第1のコマンド信号の送信時に送信中であった1つ又は一連の第2のコマンド信号のすべてに対する応答信号を前記第1の通信装置が受信したとき、前記第1の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることを含む、
請求項1記載の通信方法。
【請求項3】
前記通信方法は、前記第1のコマンド信号の送信後、
前記第1の通信装置が前記第2のコマンド信号の送信後の所定時間期間内に前記第2のコマンド信号に対する応答信号を受信しなかったとき、前記第2のコマンド信号を再送信することと、
前記第1の通信装置が前記再送信された第2のコマンド信号に対する応答信号を受信したとき、前記第1のコマンド信号を再送信することとを含む、
請求項2記載の通信方法。
【請求項4】
前記通信方法は、前記第1のコマンド信号の送信後、
前記第1の通信装置が、前記第2のコマンド信号に関連付けられた動作が前記第2の通信装置によって実行されて失敗したことを示すエラー信号を、前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置から受信したとき、前記第2のコマンド信号を再送信することと、
前記第1の通信装置が、前記再送信された第2のコマンド信号に対する応答信号であって、前記第2のコマンド信号に関連付けられた動作が前記第2の通信装置によって実行されて完了したことを示す応答信号を受信したとき、前記第1のコマンド信号を再送信することとを含む、
請求項2記載の通信方法。
【請求項5】
前記第1の通信装置は、
前記第1の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信回路と、
前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信回路と、
前記第3の信号線を前記第1及び第2の通信回路の一方に接続するセレクタとを備え、
前記切り換えるステップは、前記第3の信号線を前記第2の通信回路に代えて前記第1の通信回路に接続するように前記セレクタを制御することを含む、
請求項1記載の通信方法。
【請求項6】
前記切り換えるステップは、前記第2の通信装置が、前記第1のコマンド信号の受信後、前記第3の信号線を介するデータの伝送を指示する第3のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から受信したとき、前記第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることを含む、
請求項5記載の通信方法。
【請求項7】
前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置を前記第1の通信モードで動作させる第1の電圧と、前記第2の通信装置を前記第2の通信モードで動作させる第2の電圧とを前記第2の通信装置に供給する電源回路を備え、
前記切り換えるステップは、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置への前記第2の電圧の供給を停止するように前記電源回路を制御することを含む、
請求項1記載の通信方法。
【請求項8】
前記切り換えるステップは、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置への前記第2の電圧の供給が停止したとき、前記第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることを含む、
請求項7記載の通信方法。
【請求項9】
前記第2の通信モードでの動作時において、前記第1及び第2の通信装置は、前記第1の通信モードの場合よりも高いデータ伝送速度でデータを相互に伝送し、前記第1の通信モードの場合よりも大きい消費電力を有する、
請求項1~8のうちの1つに記載の通信方法。
【請求項10】
前記第1の通信プロトコルはレガシーSDプロトコルであり、
前記第2の通信プロトコルはPCI Expresssプロトコルである、
請求項1~8のうちの1つに記載の通信方法。
【請求項11】
複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介して外部装置に接続される通信装置であって、
前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記通信装置は、
前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信回路と、
前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信回路と、
前記第1及び第2の通信回路を制御するプロセッサとを備え、
前記通信装置は、前記第1の通信回路により前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信モードと、前記第2の通信回路により前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記プロセッサは、
前記通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記外部装置に送信するように前記第1の通信回路を制御し、
前記第1のコマンド信号の送信後、前記第2の通信モードで送信又は受信すべきデータが存在しないとき、前記通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えるように前記第1及び第2の通信回路を制御する、
通信装置。
【請求項12】
複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介してホスト装置に接続される通信装置であって、
前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記通信装置は、
前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信回路と、
前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信回路と、
前記第1及び第2の通信回路を制御するプロセッサとを備え、
前記通信装置は、前記第1の通信回路により前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信モードと、前記第2の通信回路により前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記プロセッサは、
前記通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第1の通信回路により前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記ホスト装置から受信し、
前記第1のコマンド信号の受信後、前記第2の通信モードで送信又は受信すべきデータが存在しないとき、前記通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えるように前記第1及び第2の通信回路を制御する、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラ及びメモリカードのように、所定の通信インターフェースを介して互いに接続された2つの通信装置の間においてデータを伝送することがある。例えば通信装置間のデータ伝送を高速化することなど、様々な目的で、各通信装置は、互いに異なる通信プロトコルをそれぞれ用いてデータを伝送する複数の通信インターフェースを備えることがある。この場合、各通信装置は、複数の通信インターフェースのいずれかによりデータを伝送する複数の通信モードで動作可能である。
【0003】
例えば、特許文献1は、SDインターフェース及びPCI Expressインターフェースを備えたSDカード(SD Expressカード)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7213435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の通信インターフェースを備えた通信装置は、概して、通信モードごとに異なるデータ伝送速度及び消費電力などの特性を有する。通信装置は、何らかの特性に関する制約により、動作中に通信モードを切り換えることが求められる場合がある。例えば従来のSD Expressカードの場合、通信モードを切り換えるためには、いったんデータの読み出し及び書き込みを停止し、SDインターフェース及びPCI Expressインターフェースを初期化する必要がある。この場合、数秒にわたってデータを読み出し及び書き込みできなくなり、ユーザの利便性を損なうおそれがある。従って、複数の通信モードをサポートする通信装置において、ある通信モードから他の通信モードに短時間で切り換えることが求められる。
【0006】
本開示は、複数の通信モードをサポートする通信装置及び通信方法であって、ある通信モードから他の通信モードに従来よりも短い時間で切り換えることができる通信装置及び通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
第1及び第2の通信装置の間においてデータを伝送する通信方法であって、
前記第1及び第2の通信装置は、複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介して互いに接続され、前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記第1及び第2の通信装置は、前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて互いにデータを伝送する第1の通信モードと、前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて互いにデータを伝送する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記通信方法は、
前記第1及び第2の通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信することと、
前記第1のコマンド信号の送信後、前記第2の通信モードで伝送すべきデータが存在しないとき、前記第1及び第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、複数の通信モードをサポートする通信装置において、ある通信モードから他の通信モードに従来よりも短い時間で切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るホスト装置1の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係るSDカード2の構成を示すブロック図である。
図3図2のSDカード2の端子レイアウトを示す図である。
図4図3のSDカード2の端子#1~#18をそれぞれ含む信号線を介して伝送される信号を示す表である。
図5】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の接続を示す図である。
図6】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の初期化の動作例を示すタイミングチャートである。
図7】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2のアーキテクチャを概略的に示す図であって、ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作する場合を示す図である。
図8】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2のアーキテクチャを概略的に示す図であって、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作する場合を示す図である。
図9】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の間において送受信される信号CMDのフォーマットであって、信号CMDがホスト装置1からSDカード2に送信されるCMD52コマンド信号を含む場合のフォーマットを示す図である。
図10】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の間において送受信される信号CMDのフォーマットであって、信号CMDがSDカード2からホスト装置1に送信されるCMD52応答信号を含む場合のフォーマットを示す図である。
図11】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するときの信号伝送を説明する図である。
図12】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの信号伝送を説明する図である。
図13】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作するときの信号伝送を説明する図である。
図14】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第1の動作例を示すタイミングチャートである。
図15】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第2の動作例を示すタイミングチャートである。
図16】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第3の動作例を示すタイミングチャートである。
図17】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第4の動作例を示すタイミングチャートである。
図18】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第5の動作例を示すタイミングチャートである。
図19】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第6の動作例を示すタイミングチャートである。
図20】実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第7の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、同じ符号を付した構成要素については、それぞれの実施形態において同一の機能を有するものとする。
【0011】
なお、本開示は、当業者が理解するための添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
[実施形態の構成]
図1は、実施形態に係るホスト装置1の構成を示すブロック図である。図2は、実施形態に係るSDカード2の構成を示すブロック図である。
【0013】
ホスト装置1は、例えば、ディジタルカメラ(静止画、動画)、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、オーディオプレーヤ、ドライブレコーダ、カーナビゲーションシステムなどである。SDカード2は、レガシーSDインターフェース及びPCI Express(PCIe)インターフェースの両方を備えたSD Expressカードである。ホスト装置1もまた、レガシーSDインターフェース及びPCIeインターフェースの両方を備え、SDカード2に接続されてデータを読み出し及び書き込み可能に構成される。
【0014】
ホスト装置1は第1の通信装置の一例であり、SDカード2は第2の通信装置又は外部装置の一例である。
【0015】
ホスト装置1及びSDカード2は、レガシーSDインターフェースによりレガシーSDプロトコルを用いて互いにデータを伝送するSD I/Fモードと、PCIeインターフェースによりPCIeプロトコルを用いて互いにデータを伝送するPCIe I/Fモードとで動作可能である。本明細書において、レガシーSDインターフェース及びレガシーSDプロトコルは、SD規格書の第3.01版以前によって定義されるインターフェース及びその通信プロトコルを意味し、例えば、UHS-I(Ultra High Speed-I)バスインターフェース及びその通信プロトコルを含む。ホスト装置1及びSDカード2はPCIeインターフェースを備えたことにより、レガシーSDインターフェースを用いる場合よりも高速にデータを読み出しかつ書き込むことができる。また、ホスト装置1及びSDカード2はレガシーSDインターフェースを備えたことにより、PCIeインターフェースを持たない従来の装置に対する互換性を有する。
【0016】
SD I/Fモードは第1の通信モードの一例であり、PCIe I/Fモードは第2の通信モードの一例である。
【0017】
図1を参照すると、ホスト装置1は、ホスト制御回路11、メインメモリ12、及びソケット13を備える。ホスト制御回路11は、ホスト装置1の全体の動作を制御し、また、SDカード2に対するデータの読み出し及び書き込みを制御する。ホスト制御回路11は、例えば、SoC(System on a Chip)装置のような単一の集積回路として構成されてもよい。メインメモリ12は、ホスト制御回路11によって処理されるプログラム及びデータを一時的に格納する。ソケット13は、SDカード2を収容するように構成され、SDカード2の端子(図3を参照して後述)にそれぞれ接続される複数の端子を有する。
【0018】
図2を参照すると、SDカード2は、カード制御回路21、NANDフラッシュメモリ22、及び端子群23を備える。カード制御回路21は、端子群23を介してホスト装置1に接続され、NANDフラッシュメモリ22に対するデータの読み出し及び書き込みを制御する。NANDフラッシュメモリ22は、データを格納する不揮発性記憶媒体である。端子群23は、図3を参照して後述する複数の端子を含む。
【0019】
ソケット13の端子とSDカード2の端子とを互いに接続することにより、ホスト装置1及びSDカード2の間においてデータを伝送し、また、ホスト装置1からSDカード2に電力を供給するための信号線が形成される。
【0020】
再び図1を参照すると、ホスト制御回路11は、バス110、CPU111、ROM112、電源回路113、SDホストインターフェース回路(I/F)114、PCIeホストインターフェース回路(I/F)115、及びセレクタ116を備える。
【0021】
CPU111は、ホスト装置1の全体の動作を制御し、また、SDカード2に対するデータの読み出し及び書き込みを制御するプロセッサである。
【0022】
ROM112は、ホスト装置1を制御するプログラム及びデータを格納する。
【0023】
電源回路113は、SDカード2をSD I/Fモードで動作させる3.3Vの電圧と、SDカード2をPCIe I/Fモードで動作させる1.8Vの電圧とを、ソケット13を介してSDカード2に供給する。
【0024】
SDホストインターフェース回路114は、ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作するとき、所定の信号線を介してレガシーSDプロトコルを用いてSDカード2に対してデータを送信又は受信する通信回路である。SDホストインターフェース回路114の端子の一部は、セレクタ116を介してソケット13に接続され、SDホストインターフェース回路114の残りの端子は、ソケット13に直接に接続される。
【0025】
PCIeホストインターフェース回路115は、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、所定の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてSDカード2に対してデータを送信又は受信する通信回路である。PCIeホストインターフェース回路115は、位相ロックループ、クロックデータリカバリ、シリアライザ及びデシリアライザ、8b/10b符号化及び復号、128b/130b符号化及び復号のための物理層回路を含む。PCIeホストインターフェース回路115は、PCI Expressのルートコンプレックスとして動作する。PCIeホストインターフェース回路115の端子の一部は、セレクタ116を介してソケット13に接続され、PCIeホストインターフェース回路115の残りの端子は、ソケット13に直接に接続される。
【0026】
セレクタ116は、SDホストインターフェース回路114の端子と、PCIeホストインターフェース回路115の端子との一方をソケット13に接続する。ソケット13の端子とSDカード2の端子とを互いに接続することにより、ホスト装置1及びSDカード2は、SD I/Fモードでデータを伝送するため複数の第1の信号線と、PCIe I/Fモードでデータを伝送するための複数の第2の信号線とを介して互いに接続される。第1の信号線は、第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含む。以下、本明細書では、第3の信号線を「共通信号線」と呼び、第4の信号線を「専用信号線」と呼ぶ。第2の信号線は、第1の信号線とは別個の専用信号線を含んでもよい。言いかえると、セレクタ116は、共用信号線をSDホストインターフェース回路114及びPCIeホストインターフェース回路115の一方に接続する。
【0027】
SDホストインターフェース回路114は、CPU111の制御下で、SDカード2への3.3Vの電圧供給を開始及び停止し、また、SDカード2への1.8Vの電圧供給を開始及び停止するように、電源回路113を制御する。また、SDホストインターフェース回路114は、CPU111の制御下で、SDホストインターフェース回路114の端子と、PCIeホストインターフェース回路115の端子との一方をソケット13に接続するように、セレクタ116を制御する。
【0028】
CPU111、ROM112、SDホストインターフェース回路114、及びPCIeホストインターフェース回路115は、バス110を介して互いに接続され、また、バス110を介して、ホスト制御回路11の外部のメインメモリ12に接続される。
【0029】
ホスト装置1は、記憶装置、他のインターフェース(無線LAN、有線LAN、USBなど)、入力装置、及び表示装置などをさらに含んでもよいが、図示の簡単化のために省略する。
【0030】
再び図2を参照すると、カード制御回路21は、バス210、CPU211、SDカードインターフェース回路(I/F)212、PCIeカードインターフェース回路(I/F)213、NVMe(NVM Express)コントローラ214、バッファメモリ215、バッファコントローラ216、暗号化エンジン217、シーケンサ218、及びNANDコントローラ219を備える。
【0031】
CPU211は、SDカード2の全体の動作を制御し、また、NANDフラッシュメモリ22に対するデータの読み出し及び書き込みを制御するプロセッサである。
【0032】
SDカードインターフェース回路212は、ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作するとき、第1の信号線を介してレガシーSDプロトコルを用いてホスト装置1に対してデータを送信又は受信する通信回路である。
【0033】
PCIeカードインターフェース回路213は、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてホスト装置1に対してデータを送信又は受信する通信回路である。PCIeカードインターフェース回路213は、位相ロックループ、クロックデータリカバリ、シリアライザ及びデシリアライザ、8b/10b符号化及び復号、128b/130b符号化及び復号のための物理層回路を含む。PCIeカードインターフェース回路213は、PCI Expressのエンドポイントとして動作する。
【0034】
NVMeコントローラ214は、NVMe規格に従って、PCIeインターフェースを介するNANDフラッシュメモリ22へのデータの読み出し及び書き込みを制御する。
【0035】
バッファメモリ215は、NANDフラッシュメモリ22に対して読み出されるデータ及び書き込まれるデータを一時的に格納する。
【0036】
バッファコントローラ216は、バッファメモリ215に対するデータの読み出し及び書き込みを制御する。
【0037】
暗号化エンジン217は、NANDフラッシュメモリ22に対して読み出されるデータ及び書き込まれるデータを暗号化及び復号する。
【0038】
シーケンサ218は、NANDフラッシュメモリ22に対するプログラミング及び消去を制御する。
【0039】
NANDコントローラ219は、NANDフラッシュメモリ22に対するデータの読み出し及び書き込みを制御する。
【0040】
CPU211、SDカードインターフェース回路212、PCIeカードインターフェース回路213、NVMeコントローラ214、バッファメモリ215、バッファコントローラ216、暗号化エンジン217、シーケンサ218、及びNANDコントローラ219は、バス210を介して互いに接続される。
【0041】
カード制御回路21において、PCIeカードインターフェース回路213以外の構成要素は、ホスト装置1から供給された3.3Vの電圧により動作する。PCIeカードインターフェース回路213は、ホスト装置1から供給された1.8Vの電圧により動作する。また、NANDフラッシュメモリ22は、ホスト装置1から供給された3.3Vの電圧により動作する。
【0042】
図3は、図2のSDカード2の端子レイアウトを示す図である。図3を参照すると、端子群23は、端子#1~#9からなる端子群R1と、端子#10~#18からなる端子群R2とを含む。端子#1~#9は、レガシーSDインターフェースの一部である。端子#10~#18は、PCIeインターフェースをサポートするために追加された端子である。SDカード2の端子#1~#18とソケット13の対応する端子とを互いに接続することにより、前述したように、ホスト装置1及びSDカード2の間に信号線が形成される。
【0043】
図4は、図3のSDカード2の端子#1~#18をそれぞれ含む信号線を介して伝送される信号を示す表である。以下、本明細書では、端子#1~#18をそれぞれ含む信号線を、L1~L18と表す。
【0044】
ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作するとき、信号線L1~L9を介して下記の信号又は電圧が伝送される。
【0045】
(L1)DAT3:ホスト装置1からSDカード2に、又は、SDカード2からホスト装置1に送信されるデータ信号。
(L2)CMD:ホスト装置1からSDカード2に送信されるコマンド信号、又は、SDカード2からホスト装置1に送信される応答信号。
(L3)VSS1:0Vの接地電圧。
(L4)VDD1:ホスト装置1からSDカード2に供給される3.3Vの電源電圧。
(L5)SDCLK:ホスト装置1からSDカード2に送信されるクロック信号。
(L6)VSS2:0Vの接地電圧。
(L7)DAT3:ホスト装置1からSDカード2に、又は、SDカード2からホスト装置1に送信されるデータ信号。
(L8)DAT3:ホスト装置1からSDカード2に、又は、SDカード2からホスト装置1に送信されるデータ信号。
(L9)DAT3:ホスト装置1からSDカード2に、又は、SDカード2からホスト装置1に送信されるデータ信号。
(L10~L18)不使用。
【0046】
ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作するとき、ホスト装置1からSDカード2に、又は、SDカード2からホスト装置1に、4ビットのデータ信号DAT0~DAT3がシングルエンド方式で送信される。また、ホスト装置1からSDカード2に、又は、SDカード2からホスト装置1に、1ビットの信号CMDがシングルエンド方式で送信される。また、ホスト装置1からSDカード2にクロック信号SDCLKがシングルエンド方式で送信される。
【0047】
ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、信号線L1~L18を介して下記の信号又は電圧が伝送される。
【0048】
(L1)PERST#:SDカード2のリセットをホスト装置1からSDカード2に指示する信号。
(L2)不使用。
(L3)VSS1:0Vの接地電圧。
(L4)VDD1:ホスト装置1からSDカード2に供給される3.3Vの電源電圧。
(L5)不使用。
(L6)VSS2:0Vの接地電圧。
(L7)REFCLK+:ホスト装置1からSDカード2に送信される基準クロック信号を含む差動信号の一方。
(L8)REFCLK-:ホスト装置1からSDカード2に送信される基準クロック信号を含む差動信号の他方(すなわち、信号REFCLK+の反転信号)。
(L9)CLKREQ#:基準クロック信号の供給をSDカード2からホスト装置1に要求する信号、又は、SDカード2の初期化をホスト装置1からSDカード2に指示する信号。
(L10)VSS3:0Vの接地電圧。
(L11)PCIe Tx+:ホスト装置1からSDカード2に送信されるデータ信号を含む差動信号の一方。
(L12)PCIe Tx-:ホスト装置1からSDカード2に送信されるデータ信号を含む差動信号の他方(すなわち、信号PCIe Tx+の反転信号)。
(L13)VSS4:0Vの接地電圧。
(L14)VDD2:ホスト装置1からSDカード2に供給される1.8Vの電源電圧。
(L15)PCIe Rx+:SDカード2からホスト装置1に送信されるデータ信号を含む差動信号の一方。
(L16)PCIe Rx-:SDカード2からホスト装置1に送信されるデータ信号を含む差動信号の他方(すなわち、信号PCIe Rx+の反転信号)。
(L17)VSS5:0Vの接地電圧。
(L18)予約済み。
【0049】
ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、ホスト装置1からSDカード2にデータ信号が差動伝送方式で(すなわち、一対の差動信号PCIe Tx+及びPCIe Tx-として)送信され、SDカード2からホスト装置1にデータ信号が差動伝送方式で(すなわち、一対の差動信号PCIe Rx+及びPCIe Rx-として)送信される。また、この場合、ホスト装置1からSDカード2に基準クロック信号が差動伝送方式で(すなわち、一対の差動信号REFCLK+及びREFCLK-として)送信される。差動伝送方式は、シングルエンド方式の場合よりも高いノイズ耐性を有するので、信号の振幅をシングルエンド方式の場合よりも低減することができ、従って、シングルエンド方式の場合よりも高速にデータを伝送することができる。
【0050】
図4において、「input」はSDカード2に信号が入力されることを示し、「output」はSDカード2から信号が出力されることを示し、「I/O」はSDカード2に対して信号が入力及び出力されることを示す。
【0051】
図5は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の接続を示す図である。SDカード2の端子#1~#18とソケット13の対応する端子とを互いに接続することにより、ホスト装置1及びSDカード2の間に信号線L1~L18が形成される。図5では、端子#3,#6,#10,#13,#17,#18及び信号線L3,L6,L10,L13,L17,L18は、図示の簡単化のために省略する。
【0052】
信号線L1は、SD I/Fモードのデータ信号DAT3と、PCIe I/Fモードの信号PERST#とを伝送するために共用される共用信号線である。信号線L7は、SD I/Fモードのデータ信号DAT0と、PCIe I/Fモードの信号REFCLK+とを伝送するために共用される共用信号線である。信号線L8は、SD I/Fモードのデータ信号DAT1と、PCIe I/Fモードの信号REFCLK-とを伝送するために共用される共用信号線である。信号線L9は、SD I/Fモードのデータ信号DAT2と、PCIe I/Fモードの信号CLKREQ#とを伝送するために共用される共用信号線である。
【0053】
信号線L2は、PCIe I/Fモードの信号伝送には使用されず、SD I/Fモードの信号CMDを伝送するためにのみ使用される専用信号線である。信号線L5は、PCIe I/Fモードの信号伝送には使用されず、SD I/Fモードのクロック信号SDCLKを伝送するためにのみ使用される専用信号線である。なお、本明細書において、専用信号線とは、共用信号線とは別個の信号線であって、PCIe I/Fモードで使用されない信号線を意味する。例えば、SD I/Fモード及びPCIe I/Fモードのいずれとも異なる追加モードが存在する場合、専用信号線は、SD I/Fモードに加えて、追加モードで使用されてもよい。
【0054】
信号線L4(ならびに信号線L3及びL6)は、SD I/Fモード及びPCIe I/Fモードの両方において、ホスト装置1からSDカード2に電源電圧3.3Vを供給するために使用される。
【0055】
信号線L10~L18は、SD I/Fモードの信号伝送には使用されず、PCIe I/Fモードの信号及び電圧を伝送するためにのみ使用される専用信号線である。
【0056】
セレクタ116は、SD I/Fモードのデータ信号DAT3,DAT0,DAT1,DAT2と、PCIe I/Fモードの信号PERST#,REFCLK+,REFCLK-,CLKREQ#との一方が信号線L1,L7~L9を介して伝送されるように、信号線L1,L7~L9をSDホストインターフェース回路114及びPCIeホストインターフェース回路115の一方に接続する。
【0057】
図5の例では、信号線L1,L7~L9は、SDカードインターフェース回路212及びPCIeカードインターフェース回路213の両方に接続される。SDカード2がSD I/Fモードで動作するとき、信号線L1,L7~L9に接続されたSDカードインターフェース回路212の端子は低インピーダンスにされる一方、信号線L1,L7~L9に接続されたPCIeカードインターフェース回路213の端子は高インピーダンスにされる。これにより、データ信号DAT0~DAT3は、SDホストインターフェース回路114及びSDカードインターフェース回路212の間で伝送される。また、SDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、信号線L1,L7~L9に接続されたPCIeカードインターフェース回路213の端子は低インピーダンスにされる一方、信号線L1,L7~L9に接続されたSDカードインターフェース回路212の端子は高インピーダンスにされる。これにより、信号PERST#、REFCLK+、REFCLK-、及びCLKREQ#は、PCIeホストインターフェース回路115及びPCIeカードインターフェース回路213の間で伝送される。
【0058】
SDホストインターフェース回路114及びSDカードインターフェース回路212は、シングルエンド方式で信号を伝送するために、互いにDC結合される。PCIeホストインターフェース回路115及びPCIeカードインターフェース回路213は、差動伝送方式で信号を伝送するために、キャパシタCacを介して互いにAC結合されてもよい。AC結合を用いることにより、DC結合に比べて、グラウンドバウンスの影響を低減し、高い信号品質を実現することができる。
【0059】
ホスト装置1がSD I/Fモードで動作するとき、SDホストインターフェース回路114は、3.3Vの電源電圧をSDカード2に供給するように電源回路113を制御し、信号線L1,L7~L9をSDホストインターフェース回路114に接続するようにセレクタ116を制御する。これにより、CPU111は、SDホストインターフェース回路114を用いてSDカード2に対するデータの読み出し及び書き込みを行う。また、ホスト装置1がPCIe I/Fモードで動作するとき、SDホストインターフェース回路114は、3.3V及び1.8Vの電源電圧をSDカード2に供給するように電源回路113を制御し、信号線L1,L7~L9をPCIeホストインターフェース回路115に接続するようにセレクタ116を制御する。これにより、CPU111は、PCIeホストインターフェース回路115を用いてSDカード2に対するデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0060】
SDカード2がSD I/Fモードで動作するとき、CPU211は、NANDフラッシュメモリ22に対して読み出される又は書き込まれるデータを、SDカードインターフェース回路212を用いてホスト装置1に対して送信又は受信する。また、SDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、CPU211は、NANDフラッシュメモリ22に対して読み出される又は書き込まれるデータを、PCIeカードインターフェース回路213を用いてホスト装置1に対して送信又は受信する。
【0061】
[実施形態の動作]
以下、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2は下記のように動作する。
【0062】
[ホスト装置1及びSDカード2の初期化]
図6は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の初期化の動作例を示すタイミングチャートである。ホスト装置1にSDカード2が接続されたとき、又は、SDカード2が接続されたホスト装置1の電源がオンされたとき、ホスト装置1はSDカード2を初期化する。SDカード2の初期化は、レガシーSDインターフェースの初期化ステージ、PCIeインターフェースの初期化ステージ、及びNANDフラッシュメモリ22の初期化ステージを含む。
【0063】
レガシーSDインターフェースの初期化ステージは、ホスト装置1がSDカード2に3.3Vの電源電圧VDD1を供給することで開始される。3.3Vの電源電圧VDD1が供給されたとき、SDカードインターフェース回路212は動作状態になる。ホスト装置1のCPU111は、SDホストインターフェース回路114を用いてSDカードインターフェース回路212と通信することにより、レガシーSDインターフェースの初期化ステージを実行する。
【0064】
レガシーSDインターフェースの初期化ステージにおいて、SDホストインターフェース回路114は、信号線L5を介してクロック信号SDCLKをSDカードインターフェース回路212に送信する。また、SDホストインターフェース回路114は、信号線L1,L7~L9をSDホストインターフェース回路114の端子に接続するようにセレクタ116を制御する。続いて、SDホストインターフェース回路114は、SDカード2の仕様を問いあわせるコマンド信号Ci(a)を、信号線L2を介してSDカードインターフェース回路212に送信する。SDカード2の仕様は、SDカード2の容量及びデータ伝送速度、SDカード2がPCIeインターフェースをサポートするか否か、などを含む。SDカードインターフェース回路212は、コマンド信号Ci(a)に応答して、SDカード2の仕様を示す応答信号Ri(a)を、信号線L2を介してSDホストインターフェース回路114に送信する。
【0065】
SDカード2がPCIeインターフェースをサポートすることを応答信号Ri(a)が示す場合、ホスト装置1のCPU111は、レガシーSDインターフェースの初期化ステージを終了し、PCIeインターフェースの初期化ステージを開始する。レガシーSDインターフェースの初期化ステージを終了するため、SDホストインターフェース回路114は、クロック信号SDCLKの送信を停止する。また、SDホストインターフェース回路114は、信号線L1,L7~L9をPCIeホストインターフェース回路115の端子に接続するようにセレクタ116を制御する。
【0066】
PCIeインターフェースの初期化ステージは、ホスト装置1がSDカード2に1.8Vの電源電圧VDD2を供給することで開始される。1.8Vの電源電圧VDD2が供給されたとき、PCIeカードインターフェース回路213は動作状態になる。ホスト装置1のCPU111は、PCIeホストインターフェース回路115を用いてPCIeカードインターフェース回路213と通信することにより、PCIeインターフェースの初期化ステージを実行する。
【0067】
PCIeインターフェースの初期化ステージにおいて、PCIeホストインターフェース回路115は、信号線L7及びL8を介して基準クロック信号をPCIeカードインターフェース回路213に送信する。続いて、PCIeホストインターフェース回路115は、PCIeインターフェースの初期化を指示するコマンド信号Ci(1)を、信号線L11及びL12を介してPCIeカードインターフェース回路213に送信する。PCIeインターフェースの初期化は、基準クロック信号(例えば100MHz)に基づいてPCIeインターフェースのためのクロック信号(例えば2GHz)を生成することを含む。PCIeインターフェースのためのクロック信号の生成は、例えば、PCIeホストインターフェース回路115及びPCIeカードインターフェース回路213により、基準クロック信号に基づいて位相ロックループ及びクロックデータリカバリを行って互いに同期されたクロック信号を生成することを含む。PCIeカードインターフェース回路213は、PCIeインターフェースの初期化が完了したことを示す応答信号Ri(1)を、信号線L15及びL16を介してPCIeホストインターフェース回路115に送信する。
【0068】
PCIeインターフェースの初期化が完了した後、ホスト装置1のCPU111は、PCIeインターフェースの初期化ステージを終了し、NANDフラッシュメモリ22の初期化ステージを開始する。
【0069】
NANDフラッシュメモリ22の初期化ステージにおいて、PCIeホストインターフェース回路115は、NANDフラッシュメモリ22の初期化を指示するコマンド信号Ci(2)を、信号線L11及びL12を介してSDカード2に送信する。NANDフラッシュメモリ22の初期化は、例えば、NANDフラッシュメモリ22の起動、NANDフラッシュメモリ22を制御するためのファームウェアの読み出し、NANDフラッシュメモリ22に記録されているファイルデータと管理テーブルとの整合性を保つためのテーブル更新、などを含む。SDカード2のCPU211は、コマンド信号Ci(2)に応答して、NANDフラッシュメモリ22を初期化する。PCIeカードインターフェース回路213は、NANDフラッシュメモリ22の初期化が完了したことを示す応答信号Ri(2)を、信号線L15及びL16を介してPCIeホストインターフェース回路115に送信する。
【0070】
NANDフラッシュメモリ22の初期化が完了すると、SDカード2の初期化が完了し、PCIeインターフェースによるホスト装置1からNANDフラッシュメモリ22へのアクセスが可能になる。PCIeホストインターフェース回路115は、NANDフラッシュメモリ22に対する読み出し又は書き込みを指示するコマンド信号C(1)を、信号線L11及びL12を介してPCIeカードインターフェース回路213に送信する。SDカード2のCPU211は、コマンド信号C(1)に関連付けられた動作(すなわち、NANDフラッシュメモリ22に対する読み出し又は書き込み)を実行する。PCIeカードインターフェース回路213は、コマンド信号C(1)に対する応答信号R(1)を、信号線L15及びL16を介してPCIeホストインターフェース回路115に送信する。応答信号R(1)は、コマンド信号C(1)に関連付けられた動作が実行されて完了したことを示し、また、NANDフラッシュメモリ22から読み出されたデータを含むか又は書き込み結果を示す。以後、同様に、PCIeインターフェースによるデータの読み出し及び書き込みが行われる。
【0071】
なお、上述したSDカード2の初期化手順は一例であり、他の手順も利用可能である。
【0072】
[SD I/Fモード及びPCIe I/Fモード]
図7は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2のアーキテクチャを概略的に示す図であって、ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作する場合を示す図である。図8は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2のアーキテクチャを概略的に示す図であって、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作する場合を示す図である。図7及び図8は、ホスト装置1のCPU111によって実行されるオペレーティングシステム等のプログラムをソフトウェア階層300として概略的に示す。また、図7及び図8は、カード制御回路21の構成要素のうち、SDカードインターフェース回路212及びPCIeカードインターフェース回路213以外の構成要素を、カード制御回路21Aとして示す。
【0073】
ソフトウェア階層300は、SDドライバ301、PCIe/NVMeドライバ302、ファイルシステム303、及びアプリケーションプログラム304を含む。SDドライバ301は、SDホストインターフェース回路114及びSDカードインターフェース回路212等を制御し、これらのデバイスへのインターフェースを提供する。PCIe/NVMeドライバ302は、PCIeホストインターフェース回路115及びPCIeカードインターフェース回路213等を制御し、これらのデバイスへのインターフェースを提供する。ファイルシステム303は、SDドライバ301又はPCIe/NVMeドライバ302を介してアクセスされるSDカード2に格納されたファイル及びディレクトリを示す。アプリケーションプログラム304は、ファイルシステム303に含まれるファイルを処理する。
【0074】
ホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作する場合、ファイルシステム303は、SDドライバ301、SDホストインターフェース回路114、及びSDカードインターフェース回路212等を介してNANDフラッシュメモリ22にアクセスする。また、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作する場合、ファイルシステム303は、PCIe/NVMeドライバ302、PCIeホストインターフェース回路115、及びPCIeカードインターフェース回路213等を介してNANDフラッシュメモリ22にアクセスする。
【0075】
差動伝送方式を用いるPCIe I/Fモードでは、シングルエンド方式を用いるSD I/Fモードの場合よりも高速にデータを伝送することができる。ただし、PCIe I/Fモードでは、PCIeホストインターフェース回路115及びPCIeカードインターフェース回路213は、基準クロック信号に基づいて位相ロックループ及びクロックデータリカバリを行って互いに同期されたクロック信号を常に生成している。このため、PCIe I/Fモードでは、クロック信号を生成するために、SD I/Fモードの場合よりも消費電力が大きくなる。
【0076】
従来のSD Expressカードによれば、レガシーSDインターフェース及びPCIeインターフェースの一方のみが排他的に使用される。例えば、バッテリ駆動されるホスト装置がPCIe I/Fモードで動作し、そのバッテリの残量が低下した場合、消費電力を削減するために、PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えが求められることがある。例えば従来のSD Expressカードの場合、通信モードを切り換えるためには、いったんPCIe I/Fモードにおけるデータの読み出し及び書き込みを停止し、切り替え後に使用するSDインターフェースを初期化する必要がある。この場合、数秒にわたってデータを読み出し及び書き込みできなくなり、ユーザの利便性を損なうおそれがある。その結果、例えば、ホスト装置がディジタルカメラである場合、数秒間にわたって撮影できなくなる。従って、SD I/Fモード及びPCIe I/Fモードの両方をサポートするホスト装置及びSDカードにおいて、PCIe I/FモードからSD I/Fモードに短時間で切り換えることが求められる。
【0077】
実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2は、以下に説明するように動作することにより、PCIe I/FモードからSD I/Fモードに従来よりも短時間で切り換えることができる。
【0078】
[通信モードの切り換え]
図5を参照して前述したように、信号線L2及びL5は、PCIe I/Fモードの信号伝送には使用されず、SD I/Fモードの信号CMD及びSDCLKを伝送するためにのみ使用される専用信号線である。このため、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作しているとき、ホスト装置1は、PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えを指示するコマンド信号を、信号線L2を介してSDカード2に送信する。
【0079】
PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えを指示するために、例えば、SDIO規格書において定義されたIO_RW_DIRECT(又はCMD52)コマンド信号及びその応答信号を使用可能である。CMD52コマンド信号及びその応答信号は、任意のI/O関数において、SDカード2のレジスタ空間における1つのレジスタにアクセスするために使用される。SDカード2のIO_RW_DIRECT(又はCMD52)コマンド信号を用いてアクセス(Read/Write)可能なレジスタ空間は、例えば、CPU211の内部又は外部に設けられた最大131072個の1バイトレジスタからなる。本コマンドは、一対のコマンド信号及び応答信号のみを用いて、単一のレジスタに1バイトデータの読み出し又は書き込みを行う。一般的な用途は、レジスタの初期化、I/O関数の状態値のモニタリングを含む。CMD52コマンド信号及びその応答信号は、図9及び図10に示すフォーマットをそれぞれ有する。
【0080】
図9は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の間において送受信される信号CMDのフォーマットであって、信号CMDがホスト装置1からSDカード2に送信されるCMD52コマンド信号を含む場合のフォーマットを示す図である。CMD52コマンド信号は、開始ビット(S)、方向ビット(D)、コマンド番号、読み出し/書き込み(R/W)フラグ、関数番号、RAWフラグ、スタッフ(stuff)、レジスタアドレス、スタッフ、書き込みデータ又はスタッフ、CRC7、及び終了ビット(E)を含む。各フィールドの下の数字は、フィールドのビット数を示す。コマンド番号フィールドは、ビット列「110100」を含み、この信号がCMD52コマンド信号であることを示す。レジスタアドレスフィールドは、レジスタ空間における1つのレジスタを指定する。書き込みデータ又はスタッフフィールドは、この信号がレジスタへの書き込みを指示する場合には、指定されたアドレスに書き込むべき1バイトのデータを含み、この信号がレジスタからの読み出しを指示する場合には、スタッフビットを含む。
【0081】
図10は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2の間において送受信される信号CMDのフォーマットであって、信号CMDがSDカード2からホスト装置1に送信されるCMD52応答信号を含む場合のフォーマットを示す図である。CMD52応答信号は、開始ビット(S)、方向ビット(D)、コマンド番号、スタッフ、応答フラグ、読み出し又は書き込みデータ、CRC7、及び終了ビット(E)を含む。コマンド番号フィールドは、ビット列「110100」を含み、この信号がCMD52応答信号であることを示す。読み出し又は書き込みデータは、CMD52コマンド信号がレジスタへの書き込みを指示する場合には、書き込み結果を示すデータを含み、CMD52コマンド信号がレジスタからの読み出しを指示する場合には、指定されたアドレスから読み出されたデータを含む。
【0082】
SDカード2に設けられた所定アドレスのレジスタに、PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えを示す切り換えフラグが定義される。PCIe I/FモードからSD I/Fモードへ切り換えるとき、SDホストインターフェース回路114は、切り換えフラグを含むレジスタを指定するCMD52コマンド信号をSDカードインターフェース回路212に送信する。SDカードインターフェース回路212がこのCMD52コマンド信号を受信したとき、SDカード2のCPU211は、指定されたレジスタの切り換えフラグをオンする。次いで、SDカードインターフェース回路212は、切り換えフラグの変更が完了したことを示すCMD52応答信号をSDホストインターフェース回路114に送信する。このように、ホスト装置1は、PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えをSDカード2に指示することができる。
【0083】
その後、図14図20を参照して説明する条件が満たされたとき、CPU111は、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換え、CPU211は、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0084】
次に、図11図13を参照して、ホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの信号伝送を説明する。図11図13において、実線の信号線は信号又は電圧が供給されることを示し、破線の信号線は信号又は電圧の供給が停止されることを示す。
【0085】
図11は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するときの信号伝送を説明する図である。電源回路113は、3.3V及び1.8Vの電源電圧をSDカード2に供給し、これにより、SDカードインターフェース回路212及びPCIeカードインターフェース回路213の両方が動作状態にある。セレクタ116は、信号線L1,L7~L9をPCIeホストインターフェース回路115に接続する。PCIeホストインターフェース回路115は、信号線L1,L7~L9を介して信号PERST#,REFCLK+,REFCLK-,CLKREQ#をPCIeカードインターフェース回路213に対して送信又は受信する。また、PCIeホストインターフェース回路115は、信号線L11,L12,L15,L16を介して信号PCIe Tx+,PCIe Tx-,PCIe Rx+,PCIe Rx-をPCIeカードインターフェース回路213に対して送信又は受信する。
【0086】
ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、SDホストインターフェース回路114は、信号DAT0~DAT3の送受信を停止する。また、この場合、SDホストインターフェース回路114は、信号CMDの送受信、及びSDCLKの送信を停止してもよい。
【0087】
図12は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの信号伝送を説明する図である。信号SDCLKの送信を停止している場合、SDホストインターフェース回路114は、信号線L5を介して信号SDCLKの送信を再開する。SDホストインターフェース回路114は、信号線L2を介して、切り換えフラグを含むアドレスを含むCMD52コマンド信号をSDカードインターフェース回路212に送信する。その後、図14図20を参照して説明する条件が満たされたとき、CPU111は、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換え、CPU211は、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0088】
図13は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2がSD I/Fモードで動作するときの信号伝送を説明する図である。電源回路113は、ホスト装置1からSDカード2への1.8Vの電源電圧の供給を停止し、これにより、PCIeカードインターフェース回路213は休止状態になる。セレクタ116は、信号線L1,L7~L9をSDホストインターフェース回路114に接続する。SDホストインターフェース回路114は、信号線L1,L7~L9を介してデータ信号DAT3,DAT0,DAT1,DAT2をSDカードインターフェース回路212に対して送信又は受信する。また、SDホストインターフェース回路114は、信号線L2を介して信号CMDをSDカードインターフェース回路212に対して送信又は受信し、信号線L5を介して信号SDCLKをSDカードインターフェース回路212に送信する。
【0089】
次に、図14図20を参照して、ホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの動作を説明する。
【0090】
図14は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第1の動作例を示すタイミングチャートである。
【0091】
図14の初期状態において、ホスト装置1及びSDカード2はPCIe I/Fモードにある。セレクタ116は、信号線L1,L7~L9をPCIeホストインターフェース回路115の端子に接続している。PCIeホストインターフェース回路115は、信号線L7及びL8を介して基準クロック信号をPCIeカードインターフェース回路213に送信する。PCIeホストインターフェース回路115及びPCIeカードインターフェース回路213は、基準クロック信号に基づいてPCIeインターフェースのためのクロック信号を生成する。PCIeホストインターフェース回路115は、信号線L11及びL12を介してコマンド信号C(1)~C(N)をPCIeカードインターフェース回路213に送信する。コマンド信号C(1)~C(N)は、NANDフラッシュメモリ22に対する読み出し又は書き込みを指示する。SDカード2のCPU211は、コマンド信号C(1)~C(N)に関連付けられた動作(すなわち、NANDフラッシュメモリ22に対する読み出し又は書き込み)を実行する。PCIeカードインターフェース回路213は、信号線L15及びL16を介して、コマンド信号C(1)~C(N)に対する応答信号R(1)~R(N)をPCIeホストインターフェース回路115に送信する。応答信号R(1)~R(N)は、コマンド信号C(1)~C(N)に関連付けられた動作が実行されて完了したことを示し、また、NANDフラッシュメモリ22から読み出されたデータを含むか又は書き込み結果を示す。
【0092】
ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、SDホストインターフェース回路114は、信号CMD及びSDCLKの送信を停止してもよい。
【0093】
例えば、バッテリ駆動されるホスト装置1がPCIe I/Fモードで動作し、そのバッテリの残量がしきい値よりも低下した場合、CPU111は、ホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることを決定する。この場合、CPU111は、PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えをSDカード2に指示するように、SDホストインターフェース回路114に指示する。SDホストインターフェース回路114は、まず、信号線L5を介するクロック信号SDCLKの送信を再開する。次いで、SDホストインターフェース回路114は、PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えを指示するコマンド信号C(a)を、信号線L2を介してSDカードインターフェース回路212に送信する。コマンド信号C(a)は、例えば、前述したように、切り換えフラグを含むレジスタを指定するCMD52コマンド信号であってもよい。SDカード2のCPU211は、指定されたレジスタの切り換えフラグをオンする。次いで、SDカードインターフェース回路212は、信号線L2を介して、コマンド信号C(a)に対する応答信号R(a)をSDホストインターフェース回路114に送信する。応答信号R(a)は、例えば、前述したように、切り換えフラグの変更が完了したことを示すCMD52応答信号であってもよい。
【0094】
ホスト装置1のCPU111は、コマンド信号C(a)を送信して応答信号R(a)を受信した後、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。CPU111は、コマンド信号C(a)の送信時に送信中であった1つ又は一連のコマンド信号C(1)~C(N)のすべてに対する応答信号R(1)~R(N)をホスト装置1が受信したとき、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないと判断する。この場合、CPU111は、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるように、SDホストインターフェース回路114に指示する。SDホストインターフェース回路114は、信号線L1,L7~L9をSDホストインターフェース回路114に接続するようにセレクタ116を制御する。その後、SDホストインターフェース回路114は、ホスト装置1からSDカード2への1.8Vの電源電圧の供給を停止するように電源回路113を制御する。これにより、CPU111は、SDホストインターフェース回路114を用いてSDカード2に対するデータの読み出し及び書き込みを行う。
【0095】
ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えた後、SDホストインターフェース回路114は、信号線L1,L7~L9を介するデータの伝送を指示するコマンド信号C(b),C(c),…を、信号線L2を介してSDカードインターフェース回路212に送信する。図14の例では、コマンド信号C(b)は、SDカード2からホスト装置1へのデータの読み出しを指示し、コマンド信号C(c)は、ホスト装置1からSDカード2へのデータの書き込みを指示する。
【0096】
SDカード2のCPU211は、コマンド信号C(a)を受信した後、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。CPU211は、SDカード2が、コマンド信号C(a)の受信後、信号線L1,L7~L9を介するデータの伝送を指示する最初のコマンド信号C(b)を、信号線L2を介してホスト装置1から受信したとき、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないと判断する。この場合、CPU211は、NANDフラッシュメモリ22に対して読み出される又は書き込まれるデータを、SDカードインターフェース回路212を用いてホスト装置1に対して送信又は受信する。
【0097】
SDカードインターフェース回路212は、信号線L2を介して、コマンド信号C(b),C(c),…に対する応答信号R(b),R(c),…をSDホストインターフェース回路114に送信する。SDカードインターフェース回路212は、応答信号R(b)を送信した後、NANDフラッシュメモリ22から読み出されたデータを含むデータ信号D_readを、信号線L1,L7~L9を介してSDホストインターフェース回路114に送信する。また、SDホストインターフェース回路114は、応答信号R(c)を受信した後、信号線L1,L7~L9を介してデータ信号D_writeをSDカードインターフェース回路212に送信する。SDカードインターフェース回路212は、データ信号D_writeに含まれるデータをNANDフラッシュメモリ22に書き込む。
【0098】
ホスト装置1のCPU111は、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えたとき、PCIeホストインターフェース回路115を休止状態にしてもよい。また、SDカード2のCPU211は、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えたとき、PCIeカードインターフェース回路213を休止状態にしてもよい。
【0099】
図15は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第2の動作例を示すタイミングチャートである。図14は、コマンド信号C(1)~C(N)を送信した順に、コマンド信号C(1)~C(N)に関連付けられた動作が実行されて完了し、対応する応答信号R(1)~R(N)が送信される場合を示す。しかしながら、PCIe I/Fモードでは、コマンド信号C(1)~C(N)に関連付けられた動作は、コマンド信号C(1)~C(N)を送信した順に実行されて完了するとは限らない。従って、図15に示すように、応答信号R(1)~R(N)は、コマンド信号C(1)~C(N)を送信した順序とは異なる順序で送信されることがある。この場合もまた、ホスト装置1のCPU111は、コマンド信号C(a)の送信時に送信中であった1つ又は一連のコマンド信号C(1)~C(N)のすべてに対する応答信号R(1)~R(N)をホスト装置1が受信したとき、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないと判断する。その後、CPU111は、図14を参照して説明した場合と同様に、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0100】
図16は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第3の動作例を示すタイミングチャートである。コマンド信号C(a)の送信後、PCIeホストインターフェース回路115は、コマンド信号C(n)(図16の例では、n=2)の送信後の所定時間期間T1内に応答信号R(n)を受信しなかったとき、コマンド信号C(n)を再送信してもよい。この場合もまた、ホスト装置1のCPU111は、コマンド信号C(a)の送信時に送信中であった1つ又は一連のコマンド信号C(1)~C(N)のすべてに対する応答信号R(1)~R(N)をホスト装置1が受信したとき、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないと判断する。その後、CPU111は、図14を参照して説明した場合と同様に、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0101】
図17は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第4の動作例を示すタイミングチャートである。PCIeホストインターフェース回路115は、コマンド信号C(n)(図17の例では、n=2)に関連付けられた動作がSDカード2によって実行されて失敗したことを示すエラー信号C(ne)を、信号線L15及びL16を介してPCIeカードインターフェース回路213から受信したとき、コマンド信号C(n)を再送信してもよい。この場合もまた、ホスト装置1のCPU111は、コマンド信号C(a)の送信時に送信中であった1つ又は一連のコマンド信号C(1)~C(N)のすべてに対する応答信号R(1)~R(N)をホスト装置1が受信したとき、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないと判断する。その後、CPU111は、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0102】
図18は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第5の動作例を示すタイミングチャートである。PCIeホストインターフェース回路115が、図16を参照して説明したように再送信されたコマンド信号C(n)に対する応答信号R(n)を受信したとき、SDホストインターフェース回路114はコマンド信号C(a)を再送信してもよい。その後、ホスト装置1のCPU111は、再送信されたコマンド信号C(a)に対する応答信号R(a)を受信した後、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、図14を参照して説明した場合と同様に、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0103】
図19は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第6の動作例を示すタイミングチャートである。PCIeホストインターフェース回路115が、図17を参照して説明したように再送信されたコマンド信号C(n)に対する応答信号R(n)を受信したとき、SDホストインターフェース回路114はコマンド信号C(a)を再送信してもよい。その後、ホスト装置1のCPU111は、再送信されたコマンド信号C(a)に対する応答信号R(a)を受信した後、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、図14を参照して説明した場合と同様に、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。
【0104】
図20は、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるときの第7の動作例を示すタイミングチャートである。SDカード2のCPU111は、信号線L1,L7~L9を介するデータの伝送を指示する最初のコマンド信号C(b)を受信したとき(図14を参照)に代えて、ホスト装置1からSDカード2への1.8Vの電源電圧の供給が停止したとき、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えてもよい。
【0105】
図14図20を参照して説明したように、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、まず、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換え、ホスト装置1の切り換えが完了した後、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換える。これにより、信号線L1,L7~L9を介して伝送されるSD I/Fモードのデータ信号DAT3,DAT0,DAT1,DAT2と、PCIe I/Fモードの信号PERST#,REFCLK+,REFCLK-,CLKREQ#との衝突を防止することができる。
【0106】
実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2によれば、ホスト装置1は、通信モードの切り換えを指示するコマンド信号を、SD I/Fモードの信号伝送にのみ使用される信号線L2を介してSDカード2に送信する。これにより、SDインターフェース及びPCIeインターフェースを初期化することなく、ホスト装置1及びSDカード2はPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えられる。従って、ホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに従来よりも短時間で切り換えることができる。例えば、ホスト装置1がディジタルカメラである場合、撮影できない時間長を短くすることができる。
【0107】
一般的なSD Expressカード及びホスト装置は、SD I/Fモードで動作するときに0.72~1.8Wの電力を消費し、PCIe I/Fモードで動作するときに2~4Wの電力を消費する。バッテリ駆動されるホスト装置1がPCIe I/Fモードで動作し、そのバッテリの残量がしきい値よりも低下した場合、ホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることにより、ホスト装置1及びSDカード2の消費電力を低減し、動作時間を延長することができる。
【0108】
ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作するとき、クロック信号SDCLKの供給を停止することにより、消費電力をさらに低減することができる。
【0109】
[実施形態の効果等]
実施形態に係る通信方法は、ホスト装置1及びSDカード2の間においてデータを伝送する。ホスト装置1及びSDカード2は、複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介して互いに接続される。第1の信号線は、第2の信号線の少なくとも一部と共通の共用信号線L1,L7~L9と、第2の信号線とは別個の専用信号線L2,L5とを含む。ホスト装置1及びSDカード2は、第1の信号線を介してレガシーSDプロトコルを用いて互いにデータを伝送するSD I/Fモードと、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いて互いにデータを伝送するPCIe I/Fモードとで動作可能である。本通信方法は、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、専用信号線L2を介してレガシーSDプロトコルを用いてホスト装置1からSDカード2に送信するステップを含む。本通信方法は、第1のコマンド信号の送信後、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、ホスト装置1及びSDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることとを含む。
【0110】
これにより、SD I/Fモード及びPCIe I/Fモードの両方をサポートするホスト装置1及びSDカード2において、PCIe I/FモードからSD I/Fモードに従来よりも短時間で切り換えることができる。
【0111】
実施形態に係る通信方法は、ホスト装置1及びSDカード2がPCIe I/Fモードで動作しているとき、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてホスト装置1からSDカード2に第2のコマンド信号を送信することと、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてSDカード2からホスト装置1に第2のコマンド信号に対する応答信号を送信することとを含む。切り換えるステップは、第1のコマンド信号の送信時に送信中であった1つ又は一連の第2のコマンド信号のすべてに対する応答信号をホスト装置1が受信したとき、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることを含む。
【0112】
これにより、PCIe I/Fモードで伝送すべきデータが存在しないとき、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることができる。
【0113】
実施形態に係る通信方法は、第1のコマンド信号の送信後、ホスト装置1が第2のコマンド信号の送信後の所定時間期間内に第2のコマンド信号に対する応答信号を受信しなかったとき、第2のコマンド信号を再送信することと、ホスト装置1が再送信された第2のコマンド信号に対する応答信号を受信したとき、第1のコマンド信号を再送信することとを含む。
【0114】
これにより、ホスト装置は、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を確実にSDカードに送信することができる。
【0115】
実施形態に係る通信方法は、第1のコマンド信号の送信後、ホスト装置1が、第2のコマンド信号に関連付けられた動作がSDカード2によって実行されて失敗したことを示すエラー信号を、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてSDカード2から受信したとき、第2のコマンド信号を再送信することと、ホスト装置1が、再送信された第2のコマンド信号に対する応答信号であって、第2のコマンド信号に関連付けられた動作がSDカード2によって実行されて完了したことを示す応答信号を受信したとき、第1のコマンド信号を再送信することとを含む。
【0116】
これにより、ホスト装置は、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を確実にSDカードに送信することができる。
【0117】
実施形態に係る通信方法によれば、ホスト装置1は、第1の信号線を介してレガシーSDプロトコルを用いてSDカード2に対してデータを送信又は受信するSDホストインターフェース回路114と、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてSDカード2に対してデータを送信又は受信するPCIeホストインターフェース回路115と、共用信号線L1,L7~L9をSDホストインターフェース回路114及びPCIeホストインターフェース回路115の一方に接続するセレクタ116とを備える。切り換えるステップは、共用信号線L1,L7~L9をPCIeホストインターフェース回路115に代えてSDホストインターフェース回路114に接続するようにセレクタ116を制御することを含む。
【0118】
これにより、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることができる。
【0119】
実施形態に係る通信方法によれば、切り換えるステップは、SDカード2が、第1のコマンド信号の受信後、共用信号線L1,L7~L9を介するデータの伝送を指示する第3のコマンド信号を、専用信号線L2を介してレガシーSDプロトコルを用いてホスト装置1から受信したとき、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることを含む。
【0120】
これにより、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることができる。
【0121】
実施形態に係る通信方法によれば、ホスト装置1は、SDカード2をSD I/Fモードで動作させる第1の電圧と、SDカード2をPCIe I/Fモードで動作させる第2の電圧とをSDカード2に供給する電源回路113を備える。切り換えるステップは、ホスト装置1からSDカード2への第2の電圧の供給を停止するように電源回路113を制御することを含む。
【0122】
これにより、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることができる。
【0123】
実施形態に係る通信方法によれば、切り換えるステップは、ホスト装置1からSDカード2への第2の電圧の供給が停止したとき、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることを含む。
【0124】
これにより、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えることができる。
【0125】
実施形態に係るホスト装置1は、複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介してSDカード2に接続される。第1の信号線は、第2の信号線の少なくとも一部と共通の共用信号線L1,L7~L9と、第2の信号線とは別個の専用信号線L2,L5とを含む。ホスト装置1は、第1の信号線を介してレガシーSDプロトコルを用いてSDカード2に対してデータを送信又は受信するSDホストインターフェース回路114と、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてSDカード2に対してデータを送信又は受信するPCIeホストインターフェース回路115と、SDホストインターフェース回路114及びPCIeホストインターフェース回路115を制御するCPU111とを備える。ホスト装置1は、SDホストインターフェース回路114によりSDカード2に対してデータを送信又は受信するSD I/Fモードと、PCIeホストインターフェース回路115によりSDカード2に対してデータを送信又は受信するPCIe I/Fモードとで動作可能である。CPU111は、ホスト装置1がPCIe I/Fモードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、専用信号線L2を介してレガシーSDプロトコルを用いてSDカード2に送信するようにSDホストインターフェース回路114を制御する。CPU111は、第1のコマンド信号の送信後、PCIe I/Fモードで送信又は受信すべきデータが存在しないとき、ホスト装置1をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるようにSDホストインターフェース回路114及びPCIeホストインターフェース回路115を制御する。
【0126】
これにより、SD I/Fモード及びPCIe I/Fモードの両方をサポートするホスト装置1において、PCIe I/FモードからSD I/Fモードに従来よりも短時間で切り換えることができる。
【0127】
実施形態に係るSDカード2は、複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介してホスト装置1に接続される。第1の信号線は、第2の信号線の少なくとも一部と共通の共用信号線L1,L7~L9と、第2の信号線とは別個の専用信号線L2,L5とを含む。SDカード2は、第1の信号線を介してレガシーSDプロトコルを用いてホスト装置1に対してデータを送信又は受信するSDカードインターフェース回路212と、第2の信号線を介してPCIeプロトコルを用いてホスト装置1に対してデータを送信又は受信するPCIeカードインターフェース回路213と、SDカードインターフェース回路212及びPCIeカードインターフェース回路213を制御するCPU211とを備える。SDカード2は、SDカードインターフェース回路212によりホスト装置1に対してデータを送信又は受信するSD I/Fモードと、PCIeカードインターフェース回路213によりホスト装置1に対してデータを送信又は受信するPCIe I/Fモードとで動作可能である。CPU211は、SDカード2がPCIe I/Fモードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、SDカードインターフェース回路212により専用信号線L2を介してレガシーSDプロトコルを用いてホスト装置1から受信する。CPU211は、第1のコマンド信号の受信後、PCIe I/Fモードで送信又は受信すべきデータが存在しないとき、SDカード2をPCIe I/FモードからSD I/Fモードに切り換えるようにSDカードインターフェース回路212及びPCIeカードインターフェース回路213を制御する。
【0128】
これにより、SD I/Fモード及びPCIe I/Fモードの両方をサポートするSDカード2において、PCIe I/FモードからSD I/Fモードに従来よりも短時間で切り換えることができる。
【0129】
[他の実施形態]
PCIe I/FモードからSD I/Fモードへの切り換えをホスト装置1からSDカード2に指示するために、CMD52コマンド信号及び応答信号に限らず、信号線L2を介して伝送される他のコマンド信号及び応答信号が使用されてもよい。
【0130】
SDカード2は、ホスト装置1のセレクタ116と同様に、信号線L1,L7~L9をSDカードインターフェース回路212及びPCIeカードインターフェース回路213の一方に接続するセレクタをさらに備えてもよい。
【0131】
ホスト装置1及びSDカード2をSD I/FモードからPCIe I/Fモードに切り換える場合、いったんデータの読み出し及び書き込みを停止し、図6を参照して説明したように、SDインターフェース及びPCIeインターフェースを再初期化してもよい。
【0132】
図3はフルサイズのSDカードを示すが、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2は、miniSDカード又はmicroSDカード、及びそのホスト装置として構成されてもよい。また、図3及び図4は、SDカード2が1レーンのPCIeインターフェースを備える場合を示すが、実施形態に係るホスト装置1及びSDカード2は、2レーン(又はそれ以上)のPCIeインターフェースを備えてもよい。
【0133】
実施形態に係る通信装置及び通信方法は、SDインターフェース及びPCIeインターフェースを備えるSD Expressカードに限らず、複数の通信モードをサポートする任意の通信装置及び通信方法にも適用可能である。
【0134】
[実施形態のまとめ]
本開示の第1の態様によれば、
第1及び第2の通信装置の間においてデータを伝送する通信方法であって、
前記第1及び第2の通信装置は、複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介して互いに接続され、前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記第1及び第2の通信装置は、前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて互いにデータを伝送する第1の通信モードと、前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて互いにデータを伝送する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記通信方法は、
前記第1及び第2の通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に送信することと、
前記第1のコマンド信号の送信後、前記第2の通信モードで伝送すべきデータが存在しないとき、前記第1及び第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることとを含む。
【0135】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様において、
前記通信方法は、前記第1及び第2の通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、
前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から前記第2の通信装置に第2のコマンド信号を送信することと、
前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置から前記第1の通信装置に前記第2のコマンド信号に対する応答信号を送信することとを含み、
前記切り換えるステップは、前記第1のコマンド信号の送信時に送信中であった1つ又は一連の第2のコマンド信号のすべてに対する応答信号を前記第1の通信装置が受信したとき、前記第1の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることを含む。
【0136】
本開示の第3の態様によれば、第2の態様において、
前記通信方法は、前記第1のコマンド信号の送信後、
前記第1の通信装置が前記第2のコマンド信号の送信後の所定時間期間内に前記第2のコマンド信号に対する応答信号を受信しなかったとき、前記第2のコマンド信号を再送信することと、
前記第1の通信装置が前記再送信された第2のコマンド信号に対する応答信号を受信したとき、前記第1のコマンド信号を再送信することとを含む。
【0137】
本開示の第4の態様によれば、第2又は第3の態様において、
前記通信方法は、前記第1のコマンド信号の送信後、
前記第1の通信装置が、前記第2のコマンド信号に関連付けられた動作が前記第2の通信装置によって実行されて失敗したことを示すエラー信号を、前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置から受信したとき、前記第2のコマンド信号を再送信することと、
前記第1の通信装置が、前記再送信された第2のコマンド信号に対する応答信号であって、前記第2のコマンド信号に関連付けられた動作が前記第2の通信装置によって実行されて完了したことを示す応答信号を受信したとき、前記第1のコマンド信号を再送信することとを含む。
【0138】
本開示の第5の態様によれば、第1~第4のうちの1つの態様において、
前記第1の通信装置は、
前記第1の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信回路と、
前記第2の信号線を介して前記第2の通信プロトコルを用いて前記第2の通信装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信回路と、
前記第3の信号線を前記第1及び第2の通信回路の一方に接続するセレクタとを備え、
前記切り換えるステップは、前記第3の信号線を前記第2の通信回路に代えて前記第1の通信回路に接続するように前記セレクタを制御することを含む。
【0139】
本開示の第6の態様によれば、第5の態様において、
前記切り換えるステップは、前記第2の通信装置が、前記第1のコマンド信号の受信後、前記第3の信号線を介するデータの伝送を指示する第3のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記第1の通信装置から受信したとき、前記第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることを含む。
【0140】
本開示の第7の態様によれば、第1~第6のうちの1つの態様において、
前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置を前記第1の通信モードで動作させる第1の電圧と、前記第2の通信装置を前記第2の通信モードで動作させる第2の電圧とを前記第2の通信装置に供給する電源回路を備え、
前記切り換えるステップは、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置への前記第2の電圧の供給を停止するように前記電源回路を制御することを含む。
【0141】
本開示の第8の態様によれば、第7の態様において、
前記切り換えるステップは、前記第1の通信装置から前記第2の通信装置への前記第2の電圧の供給が停止したとき、前記第2の通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えることを含む。
【0142】
本開示の第9の態様によれば、第1~第8のうちの1つの態様において、
前記第2の通信モードでの動作時において、前記第1及び第2の通信装置は、前記第1の通信モードの場合よりも高いデータ伝送速度でデータを相互に伝送し、前記第1の通信モードの場合よりも大きい消費電力を有する。
【0143】
本開示の第10の態様によれば、第1~第8のうちの1つの態様において、
前記第1の通信プロトコルはレガシーSDプロトコルであり、
前記第2の通信プロトコルはPCI Expresssプロトコルである。
【0144】
本開示の第11の態様によれば、
複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介して外部装置に接続される通信装置であって、
前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記通信装置は、
前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信回路と、
前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信回路と、
前記第1及び第2の通信回路を制御するプロセッサとを備え、
前記通信装置は、前記第1の通信回路により前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信モードと、前記第2の通信回路により前記外部装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記プロセッサは、
前記通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記外部装置に送信するように前記第1の通信回路を制御し、
前記第1のコマンド信号の送信後、前記第2の通信モードで送信又は受信すべきデータが存在しないとき、前記通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えるように前記第1及び第2の通信回路を制御する。
【0145】
本開示の第12の態様によれば、
複数の第1の信号線及び複数の第2の信号線を介してホスト装置に接続される通信装置であって、
前記第1の信号線は、前記第2の信号線の少なくとも一部と共通の第3の信号線と、前記第2の信号線とは別個の第4の信号線とを含み、
前記通信装置は、
前記第1の信号線を介して第1の通信プロトコルを用いて前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信回路と、
前記第2の信号線を介して第2の通信プロトコルを用いて前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信回路と、
前記第1及び第2の通信回路を制御するプロセッサとを備え、
前記通信装置は、前記第1の通信回路により前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第1の通信モードと、前記第2の通信回路により前記ホスト装置に対してデータを送信又は受信する第2の通信モードとで動作可能であり、
前記プロセッサは、
前記通信装置が前記第2の通信モードで動作しているとき、通信モードの切り換えを指示する第1のコマンド信号を、前記第1の通信回路により前記第4の信号線を介して前記第1の通信プロトコルを用いて前記ホスト装置から受信し、
前記第1のコマンド信号の受信後、前記第2の通信モードで送信又は受信すべきデータが存在しないとき、前記通信装置を前記第2の通信モードから前記第1の通信モードに切り換えるように前記第1及び第2の通信回路を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本開示は、SD Expressカード及びそのホスト装置など、複数の通信モードをサポートする通信装置及び通信方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0147】
1 ホスト装置
2 SDカード
11 ホスト制御回路
12 メインメモリ
13 ソケット
21,21A カード制御回路
22 NANDフラッシュメモリ
23 端子群
110 バス
111 CPU
112 ROM
113 電源回路
114 SDホストインターフェース回路
115 PCIeホストインターフェース回路
116 セレクタ
210 バス
211 CPU
212 SDカードインターフェース回路
213 PCIeカードインターフェース回路
214 NVMeコントローラ
215 バッファメモリ
216 バッファコントローラ
217 暗号化エンジン
218 シーケンサ
219 NANDコントローラ
300 ソフトウェア階層
301 SDドライバ
302 PCIe/NVMeドライバ
303 ファイルシステム
304 アプリケーションプログラム
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