(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175973
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車輪位置検出装置
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B60C23/04 140D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094123
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曹 冷馳
(57)【要約】
【課題】より早くに精度良い車輪位置検出を行うことが可能な車輪位置検出装置を提供する。
【解決手段】制御部33にて、車両1が旋回状態の際に加速度計測を行わせるべく、それぞれのタイヤ側通信機2a~2dに対して計測開始タイミングTsと計測終了タイミングTeの指示を伝える。また、制御部33にて、加速度Gxおよび加速度Gzに基づいてセンサ角度αを算出し、センサ角度αに基づき、計測開始タイミングTsから計測終了タイミングTeまでの間のセンサ角度αの変化を累積した累積角度θを算出する。そして、制御部33にて、それぞれのタイヤ側通信機2a~2dにおける累積角度θの大きさに基づいて、それぞれのタイヤ側通信機2a~2dが取付けられた車輪が複数の車輪5a~5dのいずれであるかを特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを備えた複数個の車輪(5a~5d)それぞれに取付けられたタイヤ側通信機(2a~2d)と、車体(6)側に備えられた車両側通信機(3)とを有し、車両(1)に適用される車輪位置検出装置であって、
前記複数個の車輪それぞれに取付けられた各タイヤ側通信機は、
該各タイヤ側通信機が取付けられた車輪の周方向の加速度である周方向加速度(Gx)と径方向の加速度である径方向加速度(Gz)を検出する加速度センサ(22)と、
前記加速度センサの検出結果を格納すると共に、該各タイヤ側通信機に付与された個別の識別情報を格納したフレームを作成する第1制御部(23)と、
前記フレームの送信を含め、前記車両側通信機と双方向通信を行う第1通信部(24)と、を有し、
前記車両側通信機は、
前記フレームを受信すると共に前記各タイヤ側通信機に指示信号を送信する第2通信部(32)と、
前記フレームを送信してきたタイヤ側通信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものであるかを判定し、前記識別情報と前記複数個の車輪との関係を紐付けして登録する第2制御部(33)と、を有し、
前記第2制御部は、前記車両が旋回状態の際に加速度計測を行わせるべく、それぞれの前記タイヤ側通信機に対して計測開始タイミング(Ts)および計測終了タイミング(Te)を伝え、
前記第2制御部もしくはそれぞれの前記タイヤ側通信機に備えられた前記第1制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪における車輪中心(WO)に対して自身の前記タイヤ側通信機が位置している角度をセンサ角度(α)として、前記周方向加速度および前記径方向加速度に基づいて前記センサ角度を算出し、該センサ角度に基づき、前記計測開始タイミング(Ts)から前記計測終了タイミング(Te)までの間の前記センサ角度の変化を累積した累積角度(θ)もしくは前記タイヤ側通信機が前記車輪中心に対して回転した累積回転数を算出し、
前記第2制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機における前記累積角度もしくは前記累積角度の大きさに基づいて、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪が前記複数個の車輪のうちのいずれであるかを特定する、車輪位置検出装置。
【請求項2】
前記第2制御部もしくはそれぞれの前記タイヤ側通信機に備えられた前記第1制御部は、前記車両の旋回方向に加えて前記周方向加速度と前記径方向加速度の位相とに基づいて、前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪が左車輪(5a、5c)と右車輪(5b、5d)のいずれであるかを特定する左右判定を行い、該左右判定の結果と前記周方向加速度および前記径方向加速度に基づいて前記センサ角度を算出すると共に、前記計測開始タイミングから前記計測終了タイミングまでの期間に前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪の回転周期数(N)を算出し、前記センサ角度と前記回転周期数とに基づいて前記累積角度もしくは前記累積回転数を算出する、請求項1に記載の車輪位置検出装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記車両が旋回走行していると判定すると前記加速度計測を開始させる指示信号を伝えると共に、該指示信号に応答してそれぞれの前記タイヤ側通信機が前記加速度計測を開始すると想定される所定時間(Ta)を超えると前記計測開始タイミングであることを伝え、さらに前記車両が旋回走行を終了したと判定すると前記計測終了タイミングであることを伝える、請求項1または2に記載の車輪位置検出装置。
【請求項4】
タイヤを備えた複数個の車輪(5a~5d)それぞれに取付けられたタイヤ側通信機(2a~2d)と、車体(6)側に備えられた車両側通信機(3)とを有し、車両(1)に適用される車輪位置検出装置であって、
前記複数個の車輪それぞれに取付けられた各タイヤ側通信機は、
該各タイヤ側通信機が取付けられた車輪の周方向の加速度である周方向加速度(Gx)と径方向の加速度である径方向加速度(Gz)の一方を検出する加速度センサ(22)と、
前記加速度センサの検出結果を格納すると共に、該各タイヤ側通信機に付与された個別の識別情報を格納したフレームを作成する第1制御部(23)と、
前記フレームの送信を含め、前記車両側通信機と双方向通信を行う第1通信部(24)と、を有し、
前記車両側通信機は、
前記フレームを受信すると共に前記各タイヤ側通信機に指示信号を送信する第2通信部(32)と、
前記フレームを送信してきたタイヤ側通信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものであるかを判定し、前記識別情報と前記複数個の車輪との関係を紐付けして登録する第2制御部(33)と、を有し、
前記第2制御部は、前記車両が旋回状態の際に加速度計測を行わせるべく、それぞれの前記タイヤ側通信機に対して計測開始タイミング(Ts)および計測終了タイミング(Te)を伝え、
前記第2制御部もしくはそれぞれの前記タイヤ側通信機に備えられた前記第1制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪における車輪中心(WO)に対して自身の前記タイヤ側通信機が位置している角度をセンサ角度(α)として、前記周方向加速度および前記径方向加速度の一方のみに基づいて前記センサ角度を算出し、該センサ角度に基づき、前記計測開始タイミング(Ts)から前記計測終了タイミング(Te)までの間の前記センサ角度の変化を累積した累積角度(θ)もしくは前記タイヤ側通信機が前記車輪中心に対して回転した累積回転数を算出し、
前記第2制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機における前記累積角度もしくは前記累積角度の大きさに基づいて、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪が前記複数個の車輪のうちのいずれであるかを特定する、車輪位置検出装置。
【請求項5】
前記第2制御部もしくはそれぞれの前記タイヤ側通信機に備えられた前記第1制御部は、
前記周方向加速度と前記径方向加速度の一方から前記センサ角度の絶対値で示される補正前角度を得ると共に、前記補正前角度が時間変化に伴って徐々に増加する場合もしくは徐々に増加する場合の一方についてのみ前記補正前角度に対してマイナス符合をつける補正を行って補正後角度を得て、該補正後角度を実際の前記センサ角度として用いると共に、前記計測開始タイミングから前記計測終了タイミングまでの期間に前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪の回転周期数(N)を算出し、前記センサ角度と前記回転周期数とに基づいて前記累積角度もしくは前記累積回転数を算出する、請求項4に記載の車輪位置検出装置。
【請求項6】
前記第2制御部は、前記車両が旋回走行していると判定すると前記加速度計測を開始させる指示信号を伝えると共に、該指示信号に応答してそれぞれの前記タイヤ側通信機が前記加速度計測を開始すると想定される所定時間(Ta)を超えると前記計測開始タイミングであることを伝え、さらに前記車両が旋回走行を終了したと判定すると前記計測終了タイミングであることを伝える、請求項4または5に記載の車輪位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、各車輪に取り付けられたタイヤ側通信機から送信されるデータに基づいてタイヤ側通信機が取り付けられた車輪を特定して登録する車輪位置検出装置に関し、タイヤ空気圧監視システム(以下、TPMSという)に適用すると好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に、ダイレクト式のTPMSにおいて、車輪速度センサの検出信号を利用して車輪位置検出を行う技術が開示されている。このTPMSでは、車輪側のタイヤ側通信機に備えた加速度センサ(以下、Gセンサという)の加速度検知信号に基づいて車輪が所定の回転位置になったことを検出すると共に車体側でもタイヤ側通信機からの無線信号を受信したときの車輪の回転位置を検出する。そして、これらの相対角度の変化を監視することで車輪位置を検出している。具体的には、所定数のデータの偏差に基づいて車輪側で検出された車輪の回転位置と車体側で検出された車輪の回転位置の相対角度の変化を監視し、初期値に対してバラツキが許容値を超えていることを判定することで車輪位置を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車輪速度センサの検出信号を用いる場合、車輪速度センサの検出信号に誤差があるため、早くに精度良い車輪位置検出を行うことが困難である。
【0005】
本開示は、より早くに精度良い車輪位置検出を行うことが可能な車輪位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの観点は、
タイヤを備えた複数個の車輪(5a~5d)それぞれに取付けられたタイヤ側通信機(2a~2d)と、車体(6)側に備えられた車両側通信機(3)とを有し、車両(1)に適用される車輪位置検出装置であって、
前記複数個の車輪それぞれに取付けられた各タイヤ側通信機は、
該各タイヤ側通信機が取付けられた車輪の周方向の加速度である周方向加速度(Gx)と径方向の加速度である径方向加速度(Gz)を検出する加速度センサ(22)と、
前記加速度センサの検出結果を格納すると共に、該各タイヤ側通信機に付与された個別の識別情報を格納したフレームを作成する第1制御部(23)と、
前記フレームの送信を含め、前記車両側通信機と双方向通信を行う第1通信部(24)と、を有し、
前記車両側通信機は、
前記フレームを受信すると共に前記各タイヤ側通信機に指示信号を送信する第2通信部(32)と、
前記フレームを送信してきたタイヤ側通信機が前記複数個の車輪のいずれに取り付けられたものであるかを判定し、前記識別情報と前記複数個の車輪との関係を紐付けして登録する第2制御部(33)と、を有し、
前記第2制御部は、前記車両が旋回状態の際に加速度計測を行わせるべく、それぞれの前記タイヤ側通信機に対して計測開始タイミング(Ts)および計測終了タイミング(Te)を伝え、
前記第2制御部もしくはそれぞれの前記タイヤ側通信機に備えられた前記第1制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪における車輪中心(WO)に対して自身の前記タイヤ側通信機が位置している角度をセンサ角度(α)として、前記周方向加速度および前記径方向加速度に基づいて前記センサ角度を算出し、該センサ角度に基づき、前記計測開始タイミング(Ts)から前記計測終了タイミング(Te)までの間の前記センサ角度の変化を累積した累積角度(θ)もしくは前記タイヤ側通信機が前記車輪中心に対して回転した累積回転数を算出し、
前記第2制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機における前記累積角度もしくは前記累積角度の大きさに基づいて、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪が前記複数個の車輪のうちのいずれであるかを特定する。
【0007】
このように、車両が旋回状態の際に、タイヤ側通信機で検出される周方向加速度および径方向加速度に基づいて、各タイヤ側通信機のセンサ角度を算出している。そして、センサ角度から累積角度や累積回転数を算出すると共に、車輪位置に応じて累積角度や累積回転数が各車輪で異なった値になることに基づいて、車輪位置検出を行っている。
【0008】
このようにして、各タイヤ側通信機がそれぞれ複数の車輪のいずれに取付けられたものであるかを特定でき、車輪位置検出を行うことが可能となる。そして、このような車輪位置検出であれば、車輪速度センサの検出信号を用いなくても実施可能であるため、車輪速度センサの検出信号の誤差に依らず、より早くに精度良い車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0009】
本開示のもう1つの観点では、
前記第2制御部もしくはそれぞれの前記タイヤ側通信機に備えられた前記第1制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪における車輪中心(WO)に対して自身の前記タイヤ側通信機が位置している角度をセンサ角度(α)として、前記周方向加速度および前記径方向加速度の一方のみに基づいて前記センサ角度を算出し、該センサ角度に基づき、前記計測開始タイミング(Ts)から前記計測終了タイミング(Te)までの間の前記センサ角度の変化を累積した累積角度(θ)もしくは前記タイヤ側通信機が前記車輪中心に対して回転した累積回転数を算出し、
前記第2制御部は、それぞれの前記タイヤ側通信機における前記累積角度もしくは前記累積角度の大きさに基づいて、それぞれの前記タイヤ側通信機が取付けられた車輪が前記複数個の車輪のうちのいずれであるかを特定する。
【0010】
このように、車両が旋回状態の際に、加速度センサが検出した1軸の加速度に基づいて累積角度や累積回転数を算出し、車輪位置検出を行うこともできる。このような車輪位置検出であれば、車輪速度センサの検出信号を用いなくても実施可能であるため、車輪速度センサの検出信号の誤差に依らず、より早くに精度良い車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態にかかる車輪位置検出機能を有するTPMSが搭載された車両の概略構成を示す図である。
【
図2A】タイヤ側通信機のブロック構成を示した図である
【
図2B】車両側通信機のブロック構成を示した図である。
【
図3】車輪の回転に伴ってタイヤ側通信機に加わるX軸およびZ軸の加速度と車輪中心に対してタイヤ側通信機が位置している角度であるセンサ角度を示した図である。
【
図4A】左車輪に取付けられたタイヤ側通信機におけるX軸およびZ軸の加速度の時間変化とセンサ角度の時間変化を示した図である。
【
図4B】右車輪に取付けられたタイヤ側通信機におけるX軸およびZ軸の加速度の時間変化とセンサ角度の時間変化を示した図である。
【
図5】車両が右旋回するときの様子と各車輪の回転半径の関係を示した図である。
【
図6】4つの車輪それぞれのX軸の加速度の時間変化とセンサ角度の時間変化を示した図である。
【
図7A】車輪位置検出を実施し得る車両が旋回走行する状況を示した図である。
【
図7B】車輪位置検出を実施し得る車両が旋回走行する状況を示した図である。
【
図8】左車輪に取付けられたタイヤ側通信機におけるX軸の加速度とセンサ角度の時間変化および回転周期数の一例を示した図である。
【
図9】右車輪の回転に伴ってタイヤ側通信機に加わるX軸およびZ軸の加速度と車輪中心に対してタイヤ側通信機が位置しているセンサ角度を示した図である。
【
図10】左車輪に取付けられたタイヤ側通信機におけるX軸およびZ軸の加速度とセンサ角度の時間変化および回転周期数の一例を示した図である。
【
図11】右車輪に取付けられたタイヤ側通信機におけるX軸およびZ軸の加速度とセンサ角度の時間変化および回転周期数の一例を示した図である。
【
図12A】車輪位置検出処理の詳細を示したフローチャートである。
【
図13】車輪位置検出処理が実行された際のタイムチャートである。
【
図15】X軸の加速度の変化とそれに対応する補正前角度および補正後角度について説明した図である。
【
図16A】第2実施形態にかかる車輪位置検出処理の詳細を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下に説明する他の実施形態を含めて、各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0014】
(第1実施形態)
第1実施形態について、
図1~
図13を参照して説明する。本実施形態では、車輪位置検出装置が適用されたTPMSを例に挙げて説明する。なお、
図1は、TPMSの全体構成を示すブロック図であり、紙面上方向が車両1の前方、紙面下方向が車両1の後方、図の左右方向が車両1の左右方向に一致する。
【0015】
図1に示されるように、TPMSは、車両1に搭載されるもので、タイヤ側通信機2a~2d、車両側通信機3および表示器4を備えて構成されている。本実施形態では、これらのうちのタイヤ側通信機2a~2dおよび車両側通信機3が車輪位置検出装置を構成している。
【0016】
タイヤ側通信機2a~2dは、車両1における4つの車輪5a~5dそれぞれに取り付けられている。タイヤ側通信機2a~2dは、各車輪5a~5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示す検出信号のデータをフレーム内に格納して送信する。また、タイヤ側通信機2a~2dは、車両側通信機3と双方向通信が可能になっており、車両側通信機3からの指示を受けると車輪位置検出モードとなり、車輪位置検出に必要なデータ(以下、位置検出用データという)の送信など、指示に対応する処理を行う。
【0017】
一方、車両側通信機3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、タイヤ側通信機2a~2dから送信されるフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号のデータに基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧を求める。また、車輪位置検出を行う際には、車両側通信機3は、各タイヤ側通信機2a~2dに指示を出して各タイヤ側通信機2a~2dから位置検出用データを含むフレームを送信させ、そのデータに基づいて車輪位置検出を行う。
図2Aおよび
図2Bに、これらタイヤ側通信機2a~2dと車両側通信機3のブロック構成を示す。
【0018】
図2Aに示されるように、タイヤ側通信機2a~2dは、センシング部21、Gセンサ22、制御部23、通信部24、アンテナ25を備えて構成されている。
【0019】
センシング部21は、例えば圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。例えば、センシング部21は、所定のサンプリング周期毎にタイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。
【0020】
Gセンサ22は、タイヤ側通信機2a~2dが取付けられた車輪5a~5dの回転に伴う加速度を検出する。本実施形態の場合、Gセンサ22は、2軸の加速度を検出している。具体的には、
図3に示すように車輪5a~5dの周方向をX軸方向、径方向をZ軸方向とすると、Gセンサ22は、X軸方向とZ軸方向の2軸の加速度を検出する。以下、X軸方向の加速度、つまり周方向加速度を加速度Gxといい、Z軸方向の加速度、つまり径方向加速度を加速度Gzという。
【0021】
Gセンサ22も、センシング部21のサンプリング周期と同じもしくは異なるサンプリング周期で加速度に応じた検出信号を出力する。より詳しくは、Gセンサ22は、車輪5a~5dがいずれか一方向に回転する方向を正方向、逆回転する方向を負方向として、加速度に応じた検出信号を出力する。車両1が前進する際に右車輪5b、5dが回転する方向を正方向とする場合、右車輪5b、5dについては逆方向の負方向に回転することになる。
【0022】
例えば、
図3において、車輪5a~5dが左車輪5a、5cであったと想定し、紙面左側が車両1の前方、紙面右側が車両1の後方であるとする。この場合に、車両1が前進すると、左車輪5a、5cが図中矢印A1のように反時計回りし、車輪中心WOに対してGセンサ22が備えられたタイヤ側通信機2a~2dの位置している角度であるセンサ角度αが変化する。そして、車輪中心WOに対してタイヤ側通信機2a~2dが最も右側に位置しているときを0°、最も上方に位置しているときを-90°、最も左側に位置しているときの±180°、最も上方に位置しているときを+90°として、センサ角度αを示せる。左車輪5a、5cの場合、車輪中心WOに対して最も右側は車両1の最も後方側、最も左側は車両1の最も前方側に対応する。
【0023】
右車輪5b、5dの場合についても、センサ角度αの示し方については左車輪5a、5cの場合と同様であるが、各車輪5a~5dに対してタイヤ側通信機2a~2dが同じ向きに取付けられることから、車両1の前後方向との対応については逆になる。つまり、車輪中心WOに対して最も右側は車両1の最も前方側、最も左側は車両1の最も後方側に対応する。また、右車輪5b、5dは、車両1が前進する際には
図3の矢印A1と逆方向の時計回りに回転する。このため、Gセンサ22が検出する加速度Gxに対応する出力については、右車輪5b、5dと左車輪5a、5cとで正負の符号が逆になる。
【0024】
ただし、以下では、例えば後述する
図6のように、各車輪5a~5dにおけるGセンサ22が検出する加速度Gxの出力を比較しやすいように、右車輪5b、5dと左車輪5a、5cとで正負の符号を揃えて説明を行う場合がある。
【0025】
制御部23は、第1制御部に相当するものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0026】
具体的には、制御部23は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、タイヤ空気圧の検出結果を示すデータ(以下、タイヤ空気圧に関するデータという)を作成する。そして、制御部23は、タイヤ空気圧に関するデータを各タイヤ側通信機2a~2dのID情報と共に送信するフレーム内に格納し、その後、フレームを通信部24に送る。この通信部24へ信号を送る処理は、上記プログラムに従って例えば所定の定期送信周期毎に実行される。
【0027】
制御部23は、基本的には、所定の定期送信周期ごとにID情報と共にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを車両側通信機3に向けて伝える定期送信モードとなっている。加えて、制御部23は、双方向通信に基づき、車両側通信機3から加速度計測開始の指示が届くと車輪位置検出モードとなり、車輪位置検出のためにGセンサ22の検出信号に基づいて加速度Gxおよび加速度Gzの計測を開始する。Gセンサ22による加速度のサンプリング周期については任意であるが、車輪5a~5dが1回転する際に加速度を複数回計測できる周期、例えば10msとしている。また、制御部23は、車両側通信機3からの指示に基づき、計測した加速度のデータを位置検出用データとして、各車輪5a~5dのID情報と共にフレームに格納して送信する処理を行う。
【0028】
さらに、制御部23は、双方向通信に基づき、車両側通信機3から車輪位置検出の終了を示す指示が届くと、加速度の測定を終了し、位置検出用データを格納したフレーム送信も終了する。そして、制御部23は、車輪位置検出モードから定期送信モードに切り替わり、タイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームの定期送信を行うようになっている。
【0029】
通信部24は、アンテナ25を通じて車両側通信機3と双方向通信を行う第1通信部に相当する。具体的には、通信部24は、アンテナ25を通じて、制御部23から送られてきたフレームを車両側通信機3に向けて送信する出力部としての機能や、車両側通信機3からの指示を示す指示信号を受信する入力部としての機能を果たす。通信部24による通信形態については任意であるが、タイヤ側通信機2a~2dと車両側通信機3との間での双方向通信については、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)の規格に基づく通信が行われるようにされる。なお、「Bluetooth」は、登録商標である。
【0030】
アンテナ25は、通信部24の通信形態に対応した通信アンテナとされ、例えばタイヤ側通信機2a~2dに内蔵され、双方向通信が行える送受信アンテナの機能を有したものとされる。勿論、送受信アンテナの機能については、1つのアンテナによって実現する必要はなく、送信アンテナと受信アンテナに分けられていても良い。
【0031】
このように構成されるタイヤ側通信機2a~2dは、例えば、各車輪5a~5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、各タイヤ側通信機2a~2dは、タイヤ空気圧を検出し、アンテナ25を通じて、所定の定期送信周期毎にフレームを送信する。また、各タイヤ側通信機2a~2dは、車輪位置検出時には、車両側通信機3からの指示に基づいて位置検出用データを格納したフレームを送信する。
【0032】
また、
図2Bに示されるように、車両側通信機3は、アンテナ31と通信部32および制御部33を備えた構成とされている。
【0033】
アンテナ31は、各タイヤ側通信機2a~2dから送られてくるフレームを総括的に受け取る1本の共通アンテナとなっており、車体6に固定されている。アンテナ31については、TPMSのためだけに備えられたものであっても良いが、スマートエントリーシステムに備えられるものを用いれば、部品の共通化による部品点数の削減を図ることもできる。
【0034】
通信部32は、アンテナ31を通じて各タイヤ側通信機2a~2dと双方向通信を行う第2通信部に相当する。具体的には、通信部32は、各タイヤ側通信機2a~2dから送信されたフレームがアンテナ31で受信されると、それを入力して制御部33に送る入力部としての機能を果たす。また、通信部32は、制御部33から送られてきた指示を示す指示信号を車両側通信機3に向けて送信する出力部としての機能を果たす。
【0035】
制御部33は、第2制御部に相当し、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。
【0036】
具体的には、制御部33は、車両側通信機3からの指示に基づいて車輪位置検出処理を行う。すなわち、制御部33は、通信部32を通じて、各タイヤ側通信機2a~2dから位置検出用データを格納したフレームを受け取る。そして、制御部33は、各タイヤ側通信機2a~2dが4つの車輪5a~5dのいずれに取り付けられたものかを特定し、各タイヤ側通信機2a~2dに付与したID情報を車輪位置、つまりタイヤ側通信機2a~2dが取付けられた車輪と紐付けして登録する。
【0037】
例えば、制御部33は、ユーザが図示しない車輪位置検出の開始スイッチを押下した際に、車輪位置検出処理を実行し、車輪位置検出の開始条件を満たすと、加速度計測を開始させることを指示する指示信号を出力し、車輪位置検出処理を実行する。この車輪位置検出処理の詳細については後述するが、この車輪位置検出処理によって、タイヤ側通信機2a~2dが取付けられた車輪と各タイヤ側通信機2a~2dのID情報とが紐付けして登録される。そして、この登録が完了すると、制御部33は、車輪位置検出処理を終了し、各タイヤ側通信機2a~2dに対して加速度計測を終了することを指示する指示信号を出力する。これにより、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23は、定期送信モードに切り替り、タイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームの定期送信するようになる。
【0038】
なお、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに対して加速度計測を終了することを指示する指示信号を出力することは任意である。すなわち、車輪位置検出処理が終了すると想定される時間が経過したら、タイヤ側通信機2a~2d側で自動的に通常のタイヤ空気圧検出のためのフレームの定期送信周期に切替えることもできる。
【0039】
また、制御部33には、舵角センサ7やギア位置センサ8の検出信号が入力されるようになっており、これらの検出信号が車輪位置検出処理を行う際に用いられるようになっている。さらに、制御部33には、メータECUなどの他の車載ECU9から車速に関するデータが入力されるようになっている。勿論、舵角センサ7やギア位置センサ8の検出信号が制御部33に直接入力されるようにしなくても、他のECUでこれらの検出信号から舵角やギア位置を検出している場合、そのECUから検出結果が伝えられるようにしても良い。
【0040】
さらに、制御部33では、受け取ったフレームに格納された検出結果を示すデータに基づいて各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。例えば、制御部33は、各車輪5a~5dのタイヤ空気圧を特定してそのデータを表示器4に出力する。もしくは、制御部33は、求めたタイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較し、タイヤ空気圧が低下したことを検知した場合には、その旨のデータを表示器4に出力する。これにより、4つの車輪5a~5dのタイヤ空気圧のデータもしくは車輪5a~5dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことが表示器4に伝えられる。
【0041】
表示器4は、
図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるディスプレイや警報ランプによって構成される。表示器4は、例えば制御部33から各車輪5a~5dのタイヤ空気圧のデータが送られてくると、各車輪5a~5dのタイヤ空気圧を数値で示すようにして表示する。また、表示器4は、制御部33からタイヤ空気圧が低下した旨を示すデータが送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0042】
以上のようにして、本実施形態における車輪位置検出装置が適用されたTPMSが構成されている。
【0043】
続いて、本実施形態のTPMSの作動について説明するが、それに先立ち、本実施形態のTPMSが実施する車輪位置検出の方法について説明する。
【0044】
〔車輪位置検出の方法〕
本実施形態のTPMSでは、Gセンサ22の検出信号より得られる加速度Gxおよび加速度Gzに基づいて車輪位置検出を行う。
【0045】
上記したように、
図3において、車輪5a~5dが左車輪5a、5cであったと想定し、紙面左側が車両1の前方、紙面右側が車両1の後方であるとして、センサ角度αが0°の位置にタイヤ側通信機2b、2dが存在している状態から車両1が前進したとする。その場合、加速度Gxと加速度Gzの時間変化は、車両1の走行速度変化に伴う遠心加速度成分を除いて重力加速度成分のみ抽出すると、
図4Aの上側に示した車輪回転に伴って時間変化する正弦波形で示される。加速度Gxは、加速度Gzよりも1/4周期位相が遅れた波形となる。そして、タイヤ側通信機2b、2dのセンサ角度αの時間変化は、
図4Aの下側に示したように、0°から線形的に-180°に移行し、180°から線形的に0°に戻る波形となる。このため、加速度Gxおよび加速度Gzの波形に基づいてセンサ角度αを検出できる。
【0046】
同様に、右車輪5b、5dの場合は、加速度Gxおよび加速度Gzの時間変化は、
図4Bの上側に示したように車輪回転に伴って変化する正弦波形で示される。加速度Gxは、加速度Gzよりも1/4周期位相が進んだ波形となる。そして、タイヤ側通信機2b、2dのセンサ角度αの時間変化は、
図4Bの下側に示したように、0°から線形的に+180°に移行し、-180°から線形的に0°に戻る波形となる。このため、加速度Gxおよび加速度Gzの波形に基づいてセンサ角度αを検出できる。
【0047】
図5に示すように、車両1が旋回する際には、旋回中心からの各車輪5a~5dまでの距離により、車両中心の回転半径Rと比較して、各車輪5a~5dの回転半径はそれぞれ異なった大きさになる。例えば、
図5に示すように、点Oを旋回中心として車両1が右回りに旋回する場合について考える。
【0048】
各車輪5a~5dの回転半径をそれぞれr
A、r
B、r
C、r
Dとすると、r
A>r
C>r
B>r
Dの関係が成り立つ。このため、旋回中における各車輪5a~5dの回転数に差が発生する。したがって、各タイヤ側通信機2a~2dにおける加速度GxをそれぞれGxa~Gxdで示すと、加速度Gxa~Gxdの時間変化は、
図6の上側に示した正弦波形で示され、位相がGxa>Gxc>Gxb>Gxdの順番で速くなる。つまり、加速度Gxaよりも加速度Gxcの位相が少し遅く、加速度Gxa、Gxcよりも加速度Gxb、Gxdの位相がさらに遅く、加速度Gxbより加速度Gxdの位相が少し遅くなる。同様に、
図6の下側に示すように、タイヤ側通信機2a~2dそれぞれのセンサ角度αa~αdの時間変化も、各車輪5a~5d間において徐々に異なってくる。
【0049】
したがって、各車輪5a~5dの内輪差を利用して、計測開始から同じ時間経過した後のタイヤ側通信機2a~2dのセンサ角度αの変化を累積した累積角度、もしくは回転数を累積した累積回転数の大きさは、加速度の位相の順番に従う。つまり、車両1が右回りに旋回する場合であれば、累積角度もしくは累積回転数の大きさは、左前輪5a>左後輪5c>右前輪5b>右後輪5dの関係になる。逆に、車両1が左回りに旋回する場合であれば、累積角度もしくは累積回転数の大きさは、右前輪5b>右後輪5d>左前輪5a>左後輪5cの関係になる。
【0050】
この関係に基づき、車両1が旋回走行している所定時間内における累積角度もしくは累積回転数を計算すれば、車輪5a~5dのいずれに取付けられたタイヤ側通信機2a~2dであるかという車輪位置検出を行うことが可能となる。このような旋回走行する場合としては、
図7Aに示すようにディーラなどの自動車の整備場10から場内もしくは隣接する道路11に旋回して進入する場合や、
図7Bに示すように交差点12で右折もしくは左折するような場合が想定される。このような旋回走行を行う際に、車輪位置検出の必要性があれば、ユーザが図示しない車輪位置検出の開始スイッチを押下することで、車輪位置検出処理が実行されるようになっている。
【0051】
また、車輪位置検出は、一定以上の舵角かつ一定以上の車速という条件で車両1が旋回走行する場合、つまり実際に旋回走行していることが確認された際に実施されるのが好ましい。このため、車輪位置検出処理が実行された際に、一定以上の舵角かつ一定以上の車速という条件を満たしていると、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに加速度計測を開始させることを指示すると良い。
【0052】
一方、車輪位置検出が終了すると、加速度計測を終了して良い。このため、車輪位置検出処理が実行された際に、車輪5a~5dのいずれにタイヤ側通信機2a~2dが取付けられたものであるかが特定できたら、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに加速度計測を終了させることを指示すると良い。また、旋回走行中に車輪位置検出に必要なデータが揃った場合にも、加速度計測を終了して良い。もしくは、旋回走行していたが旋回走行を終了した場合も、車輪位置検出に適したデータが得られなくなるため、加速度計測を終了しても良い。このため、一定以下の舵角になった場合、もしくは一定以下の車速が一定時間以上維持された場合には、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに加速度計測を終了させることを指示するようにしている。なお、一定以下の車速となる条件について、一定時間以上維持されることを条件としたのは、右左折時に一時停止する場合が想定され、そのような場合まで加速度計測が停止されないようにするためである。
【0053】
このように、累積角度もしくは累積回転数に基づいて車輪位置検出を行うことができるが、その際に用いる加速度データについては同じ期間、つまり計測開始および計測終了が同じタイミングであることが望ましい。このため、各タイヤ側通信機2a~2dでの計測開始タイミングおよび計測終了タイミングを同期させる必要がある。その手法としては、例えば以下の(1)、(2)が考えられる。
【0054】
(1)加速度計測のサンプリングを行う直前に、各タイヤ側通信機2a~2dと車両側通信機3との間のクロックの同期を実施する。そして、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに対してbroadcast指示を行うと、それに従って各タイヤ側通信機2a~2dが同時に応答する。そして、各タイヤ側通信機2a~2dが計測開始から計測終了の指示を受けるまで加速度計測を行い、さらに各タイヤ側通信機2a~2dまたは車両側通信機3で車輪位置検出に必要な処理を行う。
【0055】
(2)クロックの同期は実施せずに、車輪位置検出の開始条件を満たすと車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに対してbroadcast指示によって計測開始の指示を出す。各タイヤ側通信機2a~2dは、計測開始の指示を受けてから一定時間内に個々に応答し、計測開始および計測終了の指示を受けるまで加速度計測を行うと共に、各タイヤ側通信機2a~2dまたは車両側通信機3で車輪位置検出に必要な処理を行う。
【0056】
これら(1)、(2)のいずれの手法でも構わないが、(1)の手法では、タイヤ側通信機2a~2dから車両側通信機3へのデータ通信に関して、各タイヤ側通信機2a~2dの間における遅延を無くせるが、クロックの同期をとる構成が必要になる。一方、(2)の手法では、クロックの同期を取る必要がないため、タイヤ側通信機2a~2dから車両側通信機3へのデータ通信に関して、各タイヤ側通信機2a~2dの間における遅延が発生する反面、クロックの同期を取る技術が必要ない分、構成を簡素化できる。
【0057】
このため、本実施形態では、(2)の手法を用いて、クロックの同期は取らなくても計測開始タイミングおよび計測終了タイミングを同期させ、累積角度もしくは累積回転数の計算を行うようにしている。
【0058】
累積角度もしくは累積回転数の計算についても、以下の(a)、(b)の2つの手法によって実施できる。
【0059】
まず、前提として、加速度Gxは、
図8の上側に示すように車輪回転に伴って正弦波形のように変化する。センサ角度αについては、左車輪5a、5cの場合であれば、
図8の下側に示すように加速度Gxの変化に対応して180°から-180°に繰り返し変化する。この図を参照して、(a)、(b)の2つの手法について説明する。
【0060】
(a)計測開始タイミングTsから計測終了タイミングTeまでの期間Tcal中すべての角度情報を算出する。そして、
図8の下側に示すように、時間軸に合せて、計測開始タイミングTsから計測終了タイミングTeまでのセンサ角度αの変化について、図中ハッチング部分のトータルの角度変化量を求めれば、累積角度θとなる。累積回転数を算出する場合は、累積角度θに比例する値、つまり累積角度θを360°で割った値として把握することできる。
【0061】
なお、この累積角度θ、累積回転数の計算については、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23で実施しても、各タイヤ側通信機2a~2dから車両側通信機3へ加速度データもしくはセンサ角度αのデータを送信して制御部33で実施しても良い。
【0062】
(b)上記した(a)の手法では演算量が膨大になるため、
図8中に示したように、計測開始タイミングTsでのセンサ角度αsと計測終了タイミングTeでのセンサ角度αeのみ算出する。そして、計測開始タイミングTsと計測終了タイミングTeとの間の期間Tcal中については、加速度データから車輪5a~5dの回転周期数Nを数える。センサ角度αが正弦波形で変化するため、任意のセンサ角度αを基準とする基準角度として、その基準角度に至った回数が何回あるかを測定することで回転周期数Nを数えることができる。
【0063】
例えば、基準角度を180°とした場合、加速度Gxの頂点を検出してカウントすれば、180°を通過した回数、つまり車輪回転に基づく回転周期数Nを計算できる。加速度Gxの頂点については、
図8の上側に示すサンプリングポイントSpでの加速度Gxに基づいて検出できる。例えば、任意の時点tのサンプリングポイントSpでの加速度GxをGx(t)として、Gx(t)を1周期前の加速度GxであるGx(t-1)と比較し、その差Gx(t)-Gx(t-1)の符合を算出する。この符合が+、+、-、-になったことに基づき加速度Gxの頂点を検出できる。また、例えば一定加速度未満の状態から一定加速度以上になったという条件を満たした回数をカウントすることによって、回転周期数Nを計算しても良い。
【0064】
各タイミングでのセンサ角度αについては、加速度Gxに加えて加速度Gzを用いて算出できる。この算出方法について、右車輪5b、5dの場合を例に挙げて説明する。
【0065】
車両1が前進することで右車輪5b、5dが回転している場合、タイヤ側通信機2b、2dが位置しているセンサ角度αに対して、Gセンサ22で測定される加速度Gxおよび加速度Gzの成分は、
図9のように示される。すなわち、加速度Gxは、重力加速度の成分に対してセンサ角度αをなし、加速度Gzは、車輪中心WOに対して最も右側、つまり車両1の最も前方側の0°の位置に対してセンサ角度αをなした成分として表される。なお、HPF(Gz)は、加速度Gzの検出信号に対してハイパスフィルタ処理を行ったことを意味している。加速度Gzに対してハイパスフィルタ処理を行うことで、車両1の走行速度変化に伴う遠心加速度成分を除去している。
【0066】
したがって、センサ角度αは、数式1のように表され、Gセンサ22によって検出される2軸の加速度Gxおよび加速度Gzを用いて算出することができる。
【0067】
【数1】
ただし、2軸の加速度Gxおよび加速度Gzを用いてセンサ角度αを算出する場合、左車輪5a、5cと右車輪5b、5dとで角度推移が異なるため、計測開始タイミングTsおよび計測終了タイミングTeでの端数処理が異なる。したがって、2軸の加速度Gxおよび加速度Gzの変化に基づいて、制御部23は、自身が取付けられているのが左車輪5a、5cと右車輪5b、5dのいずれであるかの判定(以下、左右判定という)を行い、その上でセンサ角度αを算出している。なお、左右判定については、
図4Aおよび
図4Bの上側に示した加速度Gxと加速度Gzの正弦波形の位相のずれ量に基づいて行える。制御部23は、加速度Gxに対して加速度Gzの位相が90°進んでいれば自身が取付けられているのが左車輪5a、5cと判定でき、90°遅れていれば自身が取付けられているのが右車輪5b、5dと判定できる。
【0068】
まず、左車輪5a、5cの場合、累積角度θは、回転周期数Nと計測開始タイミングでのセンサ角度αsと計測終了タイミングでのセンサ角度αeとを用いて、数式2のように表される。ただし、(A°)mod360°は、A°が360°を超える角度である場合に、360°の整数倍を差し引いて360°未満の角度にすることを意味している。
【0069】
(数2)
θ=(N-1)×360°+(αs+360°-αe)mod360°
したがって、
図10に示すように加速度Gxおよび加速度Gzが変化した場合において、センサ角度αsが-90°、センサ角度αeが-10°、N=4であれば、累積角度θは、数式3のように1360°として算出されることになる。なお、累積回転数については累積角度θを360°で割ることで算出でき、累積角度θが1360°の場合であれば、1360÷360=3.777・・が累積回転数となる。
【0070】
(数3)
θ=(4-1)×360°+{-90°+360°-(-10°)}=1360°
一方、右車輪5b、5dの場合、累積角度θは、回転周期数Nと計測開始タイミングでのセンサ角度αsと計測終了タイミングでのセンサ角度αeとを用いて、数式4のように表される。
【0071】
(数4)
θ=(N-1)×360°+(αe+360°-αs)mod360°
したがって、
図11に示すように加速度Gxおよび加速度Gzが変化した場合において、センサ角度αsが90°、センサ角度αeが10°、N=4であれば、累積角度θは、数式5のように1360°として算出されることになる。
【0072】
(数5)
θ=(4-1)×360°+{10°+360°-90°)}=1360°
このようにして、各タイヤ側通信機2a~2dにおける累積角度θまたは累積回転数を算出でき、その大小および車両1とから各タイヤ側通信機2a~2dが車輪5a~5dのいずれに取付けられたものかを特定でき、車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0073】
図12は、上記のような車輪位置検出の方法に基づく車輪位置検出処理の詳細を示したフローチャートである。この車輪位置検出処理は、タイヤ交換時などにユーザが図示しない車輪位置検出の開始スイッチを押下したときなどに制御部33で所定周期毎に実行される。この
図12と
図13に示す車輪位置検出処理が実行された際のタイムチャートを参照して、車輪位置検出処理の詳細について説明する。
【0074】
まず、
図12のステップS100では、制御部33は、車両1が旋回走行しているか否かを判定する。この判定条件については任意に設定すれば良いが、ここでは一定以上の舵角かつ一定以上の車速という条件を満たしていると、車両1が旋回走行中であると判定している。
図13中に示したように舵角閾値を設定し、この舵角閾値以上の舵角の場合に一定以上の舵角と判定している。同様に、
図13中に示したように速度閾値を設定し、この速度閾値以上の車速の場合に一定以上の車速と判定している。この判定は、舵角センサ7の検出信号や、他のECUから伝えられる車速に関するデータに基づいて行っている。ここで肯定判定されるとステップS105に進み、否定判定されるとステップS100の処理を繰り返す。
【0075】
ステップS105では、制御部23における時間計測用のタイマーtをリセットする。そして、ステップS110に進み、
図13の時点T1のように、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに対して加速度計測の開始の指示信号を送信する。これを受けて、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23は、定期送信モードから車輪位置検出モードに切り替わる。そして、制御部23は、指示を受信したタイミングから加速度Gxおよび加速度Gzの計測および回転周期数Nのカウントを開始すると共に、計測開始の指示を受け取ったことを応答する応答信号を車両側通信機3に返信し、受信待機状態となる。これにより、各タイヤ側通信機2a~2dと車両側通信機3との間にコネクションが構築され、双方向通信を行う。なお、BLE通信の場合、各タイヤ側通信機2a~2dがスキャンと呼ばれる受信待機状態になっていなくても、アドバタイズ信号に基づいて通信が可能であるため、それを利用して計測開始の指示を各タイヤ側通信機2a~2dに伝えることができる。
【0076】
この後、ステップS115において、タイマーtが所定時間Ta以上になったか否かを判定する。ここでいう所定時間Taは、
図13に示したように、計測開始の指示を出してからタイヤ側通信機2a~2dが加速度計測を開始すると共に応答信号が返信されるまでに想定される最大遅延時間以上に設定される時間である。タイマーtが所定時間Ta以上になっていれば、応答信号の返信に遅延時間があったとしても、すべてのタイヤ側通信機2a~2dから応答信号の返信があったと想定される。このステップS115で肯定判定されるまで本ステップの処理が繰り返され、ステップS115で肯定判定されるとステップS120に進む。なお、ここでは各タイヤ側通信機2a~2dから応答信号が返信されるようにしているが、単に各タイヤ側通信機2a~2dが指示に応答して加速度計測を開始すると想定される所定時間Ta以上であることを判定するだけでも良く、応答信号の返信は任意である。
【0077】
ステップS120では、再度、ステップS100と同じ処理を行い、まだ車輪位置検出に適した条件が継続しているかを判定する。ここでも肯定判定されればステップS125に進み、否定判定されるとステップS100に戻る。
【0078】
ステップS125では、
図13に示すように、制御部33は、計測開始タイミングTsであることを各タイヤ側通信機2a~2dに対して伝える。具体的には、制御部33は、計測開始タイミングTsに実行すべき各種処理を行わせる指示として、回転周期数Nや加速度Gxおよび加速度Gzである開始周期数Ns、開始加速度Gxsおよび開始加速度Gzsの取得を指示する指示信号を送信する。これに応答して、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23から、例えば上記した(b)の方法によって計算された開始周期数Nsと開始加速度Gxsおよび開始加速度Gzsがデータ化されて車両側通信機3に返信され、車両側通信機3で受信される。
【0079】
この後、ステップS130に進み、制御部33は、ステップS125で受信したデータのうちの開始加速度Gxsおよび開始加速度Gzsに基づいて、上記した数式1に基づいて計測開始タイミングTsでのセンサ角度αsを算出する。この処理は、受信したデータ毎、つまりタイヤ側通信機2a~2d毎に実施しており、タイヤ側通信機2a~2dそれぞれについてセンサ角度αsを算出している。そして、ステップS135に進み、車両1が旋回走行を終了したか否かを判定している。この判定条件については任意に設定すれば良いが、ここでは一定以下の舵角または一定以下の車速を一定時間以上維持するという条件を満たしていると、車両1が旋回走行を終了したと判定している。この判定も、舵角センサ7の検出信号や、他のECUから伝えられる車速に関するデータに基づいて行っている。
【0080】
ここでの一定の舵角や一定の車速は、ステップS100、S120と同じ値としても良いし、マージンを含めてステップS100、S120よりも所定量小さい値としても良い。ステップS135の条件を満たす場合、旋回を終了する状況になると想定される。この後は、内輪差が少なくなり、車輪位置検出に適したデータが得られないため、車輪位置検出にはここまでで得られたデータを用いることとする。ここで肯定判定されればステップS140に進み、否定判定されるとステップS135の処理を繰り返す。
【0081】
ステップS140では、タイマーtが所定時間Taのときから所定時間Tb以上経過したか否か、つまり計測開始タイミングTsからの経過時間が所定時間Tb以上になったか否かを判定する。ここでいう所定時間Tbは、
図13中に示すように、計測開始タイミングTsから計測終了タイミングTeまでの最小時間として設定される時間で、車輪位置検出を精度良くできる程度に加速度データを集めるのに必要な時間を想定しており、任意に設定される。上記した
図8などに示すように、計測開始タイミングTsから計測終了タイミングTeまでの期間Tcalは、この所定時間Tb以上の期間に設定されることになる。ここで肯定判定されるとステップS145に進み、否定判定されるとステップS175に進む。
【0082】
なお、ステップS135、S140の処理については、必須では無く、一方のみが実施されるようにしても良い。例えば、ステップS140のみ実施されるようにし、所定時間Taから所定時間Tb以上経過したら車輪位置検出を精度良く行えるデータが揃ったとして、ステップS145以降の処理に進んでも良い。また、ステップS135の条件を致すまでに揃ったデータを用いて車輪位置検出が行われるようにしても良い。
【0083】
ステップS145では、
図13に示すように、制御部33は、計測終了タイミングTeであることを各タイヤ側通信機2a~2dに対して伝える。具体的には、制御部33は、計測終了タイミングTeに実行すべき各種処理を行わせる指示として、回転周期数Nや加速度Gxおよび加速度Gzである終了周期数Ne、終了加速度Gxeおよび終了加速度Gzeの取得を指示する指示信号を送信する。これに応答して、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23から、例えば上記した(b)の方法によって計算された終了周期数Neと終了加速度Gxeおよび終了加速度Gzeがデータ化されて車両側通信機3に返信され、車両側通信機3で受信される。
【0084】
この後、ステップS150に進み、制御部33は、ステップS145で受信したデータのうちの終了加速度Gxeおよび終了加速度Gzeに基づいて、上記した数式1に基づいて計測終了タイミングTeでのセンサ角度αeを算出する。そして、ステップS155に進み、左右判定として、左車輪5a、5cであるか否かを判定する。左右判定については、ギア位置と、加速度Gxと加速度Gzの正弦波形の位相に基づいて行えば良い。つまり、制御部23は、ギア位置センサ8の検出信号から車両1が前進と後退のいずれで走行しているかを検出し、その検出結果に対応して左車輪5a、5cと右車輪5b、5dとで加速度Gxと加速度Gzのいずれの位相が進んだ状態になるのかが決まる。例えば、
図13のように車両1が前進走行している際に、加速度Gxに対して加速度Gzの位相が90°進んでいれば自身が取付けられているのが左車輪5a、5cと判定できる。また、90°遅れていれば自身が取付けられているのが右車輪5b、5dと判定できる。なお、左右判定を車両側通信機3で実施しようとする場合、ステップS145の指示の際に加速度Gxと加速度Gzの位相差が判るデータも各タイヤ側通信機2a~2dから返信させるようにしている。もしくは、各タイヤ側通信機2a~2dで加速度Gxと加速度Gzの位相差に基づいて左右判定を行えるため、その判定結果のデータをステップS145の指示の際に各タイヤ側通信機2a~2dから返信させるようにしている。
【0085】
ここで肯定判定されればステップS160に進み、否定判定されるとステップS165に進む。
【0086】
ステップS160では、左車輪5a、5cであることから、左車輪5a、5cの場合の累積角度θを算出する。累積角度θについては、上記した数式2を用いて算出可能であるが、数式2中の回転周期数Nについては、ステップS145で得た終了周期数NeとステップS125で得た開始周期数Nsとの差として算出する。
【0087】
同様に、ステップS165では、右車輪5b、5dであることから、右車輪5b、5dの場合の累積角度θを算出する。累積角度θについては、上記した数式4を用いて算出可能であるが、数式4中の回転周期数Nについては、ステップS145で得た終了周期数NeとステップS125で得た開始周期数Nsとの差として算出する。
【0088】
なお、上記したステップS150~S165の処理については、受信したデータ毎、つまりタイヤ側通信機2a~2d毎に実施している。このため、すべてのタイヤ側通信機2a~2dについて、累積角度θが算出されることになる。
【0089】
続いてステップS170に進み、4輪分の累積角度θと舵角情報、すなわち舵角センサ7の検出信号が示す車両1の旋回方向に基づいて、車輪位置検出を行う。つまり、車両1が右回りに旋回する場合であれば、累積角度θの大きさは、左前輪5a>左後輪5c>右前輪5b>右後輪5dの関係になる。逆に、車両1が左回りに旋回する場合であれば、累積角度θの大きさは、右前輪5b>右後輪5d>左前輪5a>左後輪5cの関係になる。この関係に基づいて、4つのタイヤ側通信機2a~2dがそれぞれ4つの車輪5a~5dのいずれに取付けられたものであるかを特定できる。このため、各タイヤ側通信機2a~2dのフレーム内に格納されたID情報を車輪位置、つまりタイヤ側通信機2a~2dが取付けられた車輪と紐付けして登録する。このように、
図13中の計測終了タイミングTeから期間Tcの間に各種演算や判定処理が行われて、車輪位置の特定が完了する。そして、ステップS175に進み、
図13の時点T2のように、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに対して計測終了の指示を伝えて車輪位置検出処理を終了する。そして、各タイヤ側通信機2a~2dは、この指示を受けて、加速度計測を終了すると共に、受信待機状態を解除する。
【0090】
なお、ここでは車輪位置検出に累積角度θを用いたが、累積角度θに比例する値である累積回転数を用いても同様に車輪位置検出が行える。
【0091】
この後は、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23が車輪位置検出モードから定期送信モードに切り替わる。そして、各タイヤ側通信機2a~2dは、所定の定期送信周期ごとにID情報と共にタイヤ空気圧に関するデータを格納したフレームを車両側通信機3に向けて送信するようになる。これがアンテナ31を通じて制御部33に伝えられると、制御部33は、各種信号処理および演算等を行うことによりタイヤ空気圧を求めると共に、フレーム内に格納されたID情報から、そのタイヤ空気圧が車輪5a~5dのいずれのものかを特定する。そして、制御部33は、求めたタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。これにより、表示器4にて、車輪5a~5dのいずれであるかを特定できる形態でタイヤ空気圧が表示されたり、タイヤ空気圧が低下したことが表示されたりすることで、タイヤ状態をユーザに知らせることが可能となる。
【0092】
以上説明したように、本実施形態のTPMSでは、車両1が旋回状態の際に、タイヤ側通信機2a~2dで検出される加速度Gxおよび加速度Gzに基づいて、各タイヤ側通信機2a~2dのセンサ角度αを算出している。そして、センサ角度αから累積角度θや累積回転数を算出すると共に、車輪位置に応じて累積角度θや累積回転数が各車輪5a~5dで異なった値になることに基づいて、車輪位置検出を行っている。
【0093】
このようにして、4つのタイヤ側通信機2a~2dがそれぞれ4つの車輪5a~5dのいずれに取付けられたものであるかを特定でき、車輪位置検出を行うことが可能となる。そして、このような車輪位置検出であれば、車輪速度センサの検出信号を用いなくても実施可能であるため、車輪速度センサの検出信号の誤差に依らず、より早くに精度良い車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0094】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車輪位置検出を1軸の加速度で行えるようにしたものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0095】
上記第1実施形態では、Gセンサ22で2軸の加速度を検出する場合における車輪位置検出の方法について説明したが、本実施形態では、Gセンサ22で検出する1軸の加速度に基づいて車輪位置検出について説明する。
【0096】
Gセンサ22が1軸の加速度しか検出できない場合でも、もしくはGセンサ22で2軸の加速度を検出したとしてもそのうちの一方のみを用いて、車輪位置検出を行うことができる。
【0097】
加速度Gxを使用する場合、
図9に示したように、加速度Gxは、重力加速度の成分に対してセンサ角度αをなした成分として表される。このため、センサ角度αの絶対値は、数式6のように算出することができる。ただし、sgnは、符号関数を意味し、sgn(B)は、B>0のときは1、B=0のときは0、B<0のときは-1となる関数である。dGx/dtは、加速度Gxの時間微分値、つまり単位時間当たりの加速度Gxの変化量であり、隣り合うサンプリングポイント間での加速度Gxの変化量でも良い。
【0098】
【数6】
また、加速度Gzを使用する場合、
図9に示したように、加速度Gzは、車輪中心WOに対して最も右側、つまり右車輪5b、5dであれば車両1の最も前方側の0°の位置に対してセンサ角度αをなした成分として表される。このため、センサ角度αの絶対値は、数式7のように算出することができる。
【0099】
【数7】
数式6や数式7では、センサ角度αの絶対値が算出される。このため、
図14Aに示すように、センサ角度αは、時間変化に伴って徐々に大きくなる破線部分、つまりセンサ角度αの単位時間変化Δα>0の部分と、時間変化に伴って徐々に小さくなる実線部分、つまりセンサ角度αの単位時間変化Δα<0の部分で構成される。このうち、センサ角度αの絶対値が時間変化に伴って徐々に大きくなる破線部分にマイナス符合を付けると、
図14Bに示すようにセンサ角度αが時間変化に伴って徐々に角度が減少する波形になる。このため、センサ角度αの絶対値を補正前角度とすると、補正前角度のうちセンサ角度αの絶対値が時間変化に伴って徐々に大きくなる部分にマイナス符合を付ける補正を行った補正後角度を算出することで、実際のセンサ角度αを得ることができる。つまり、Gセンサ22で検出する1軸の加速度に基づいて実際のセンサ角度αが得られる。
【0100】
なお、
図14Bの波形では、実際の右車輪5b、5dの場合のセンサ角度αの波形と正負が逆になるが、累積角度θや累積回転数の積算には影響は無い。逆に、右車輪5b、5dのセンサ角度αの波形と左車輪5a、5cのセンサ角度αの波形を揃えられるため、同じ計算式、例えば数式2を用いて累積角度θや累積回転数を算出することが可能となり、演算処理を簡素化できる。また、ここでは補正前角度が時間変化に伴って徐々に増加する場合にマイナス符合をつけて補正後角度としているが、補正前角度が時間変化に伴って徐々に減少する場合にマイナス符合を付けて補正後角度としても良い。つまり、補正前角度が時間変化に伴って徐々に増加する場合もしくは徐々に減少する場合の一方についてのみ補正前角度に対してマイナス符合を付ける補正を行って補正後角度を得て、それを実際のセンサ角度αとすることができる。
【0101】
ただし、Gセンサ22で検出する加速度に対応するセンサ角度αを得る際に、センサ角度αの絶対値に対してマイナス符号をつけるか否かを判定する必要がある。この判定は、次のように行っている。なお、ここでは加速度Gxを用いて車輪位置検出を行う場合を想定して説明を行うが、加速度Gzを用いる場合も同様である。
【0102】
図15に示すように、X軸の加速度となる加速度Gxは正弦波形となる。このため、サンプリングポイントSp1での加速度Gx(t)からその前後のサンプリング周期でのサンプリングポイントSp0、Sp2での加速度Gx(t-1)、Gx(t+1)の関係に基づいて、マイナス符合をつけるか否かの判定が可能となる。
【0103】
状態1は、Gx(t-1)<Gx(t)<Gx(t+1)の関係、つまり加速度Gxが徐々に高くなる状態を示している。この状態の場合、サンプリングポイントSp1では、補正前角度が時間変化に伴って徐々に低下する途中である。したがって、補正前角度に対してマイナス符合をつける補正を行う必要は無いため、補正前角度をそのまま補正後角度として扱う。ここでは補正係数を1とし、センサ角度α×1を補正後角度とする。
【0104】
状態2は、Gx(t-1)<Gx(t)、Gx(t+1)の関係、つまり加速度GxがサンプリングポイントSp1とサンプリングポイントSp2の間において頂点に至る状態を示している。この状態の場合も、サンプリングポイントSp1では、まだ補正前角度が時間変化に伴って徐々に低下する途中である。したがって、補正前角度に対してマイナス符合をつける補正を行う必要はないため、状態1と同様、補正前角度をそのまま補正後角度として扱う。
【0105】
状態3は、Gx(t-1)≦Gx(t+1)<Gx(t)の関係、つまり加速度GxがサンプリングポイントSp1辺りで頂点に至る状態を示している。この状態の場合、サンプリングポイントSp1では、補正前角度が時間変化に伴って下降から上昇に切り替わる直前の状況であるが、まだ補正前角度に対してマイナス符合を付けなくても良い。したがって、状態1と同様、補正前角度をそのまま補正後角度として扱う。
【0106】
状態4は、Gx(t+1)<Gx(t-1)≦Gx(t+1)の関係、つまり加速度GxがサンプリングポイントSp0とサンプリングポイントSp1の間において頂点に至る状態を示している。この状態の場合、サンプリングポイントSp1では、補正前角度が時間変化に伴って下降から上昇に切り替わった状況であるため、補正前角度に対してマイナス符合をつける補正を行う必要がある。したがって、補正前角度に対してマイナス符合をつけることで補正後角度を算出する。ここでは補正係数を-1とし、センサ角度α×(-1)を補正後角度とする。
【0107】
状態5は、Gx(t+1)<Gx(t)<Gx(t-1)の関係、つまり加速度Gxが徐々に低くなる状態を示している。この状態の場合、サンプリングポイントSp1では、補正前角度が時間変化に伴って徐々に増加する途中であるため、補正前角度に対してマイナス符合をつける補正を行う必要がある。したがって、状態4と同様、補正前角度に対してマイナス符合をつけることで補正後角度を算出する。
【0108】
纏めると、サンプリングポイントSp1におけるセンサ角度αにマイナス符合をつけるか否かについては、その前後のサンプリング周期におけるサンプリングポイントSp0、Sp2の大小関係で決まる。
図15における状態1、状態2では、Gx(t-1)<Gx(t+1)となるためマイナス符合は不要、状態4、状態5では、Gx(t-1)>Gx(t+1)となるためマイナス符合が必要となる。状態3では、Gx(t-1)とGx(t+1)が同じもしくはほぼ差がないが、Gx(t-1)<Gx(t+1)であればマイナス符合は不要、Gx(t-1)>Gx(t+1)であればマイナス符合が必要となる。
【0109】
このようにして、Gセンサ22で検出する1軸の加速度に基づいて、実際のセンサ角度αを算出することができる。そして、実際のセンサ角度αが得られれば、これに基づいて第1実施形態と同様に車輪位置検出が可能となる。
【0110】
図16は、本実施形態の車輪位置検出処理の詳細を示したフローチャートである。この車輪位置検出処理は、タイヤ交換時などにユーザが図示しない車輪位置検出の開始スイッチを押下したときなどに制御部33で所定周期毎に実行される。
【0111】
まず、
図16のステップS200~220では、第1実施形態における
図12のステップS100~S120と同様の処理を行う。そして、ステップS225に進み、制御部33は、各タイヤ側通信機2a~2dに対して、開始周期数Nsの取得およびサンプリング周期3周期分の開始加速度Gxsの取得を指示する指示信号を送信する。サンプリング周期3周期分の開始加速度Gxsについては、信号送信タイミングを計測開始タイミングTsとして、計測開始タイミングTsでの開始加速度Gxs(t)とその前後を含めた3周期分の開始加速度Gxs(t-1)~Gxs(t+1)としている。これに応答して、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23から、例えば上記した(b)の方法によって計算された開始周期数Nsと開始加速度Gxsとがデータ化されて車両側通信機3に返信され、車両側通信機3で受信される。
【0112】
続いてステップS230に進み、計測開始タイミングTsの前後のサンプリング周期での開始加速度Gxs(t-1)、Gxs(t+1)を比較し、Gxs(t-1)<Gxs(t+1)の関係を満たすか否かを判定する。
【0113】
ここで、肯定判定されるとステップS235に進み、補正前角度に対してマイナス符合をつける必要がないため、数式8に基づいて計測開始タイミングTsにおけるセンサ角度αsを算出する。
【0114】
【数8】
また、否定判定されるとステップS240に進み、補正前角度に対してマイナス符合をつける必要があるため、数式9に基づいて計測開始タイミングTsにおけるセンサ角度αsを算出する。
【0115】
【0116】
なお、これらステップS230~S240の処理については、受信したデータ毎、つまりタイヤ側通信機2a~2d毎に実施している。
【0117】
この後、ステップS245、S250において、第1実施形態における
図12のステップS135、S140と同様の処理を行う。そして、ステップS250で肯定判定されるとステップS255に進み、否定判定されるとステップS285に進む。
【0118】
ステップS255では、制御部33は、各タイヤ側通信機2a~2dに対して、終了周期数Neの取得およびサンプリング周期3周期分の終了加速度Gxeの取得を指示する指示信号を送信する。サンプリング周期3周期分の終了加速度Gxeについては、信号送信タイミングを計測終了タイミングTeとして、計測終了タイミングTeでの終了加速度Gxe(t)とその前後を含めた3周期分の終了加速度Gxe(t-1)~Gxe(t+1)を意味する。これに応答して、各タイヤ側通信機2a~2dの制御部23から、例えば上記した(b)の方法によって計算された終了周期数Neと終了加速度Gxeとがデータ化されて車両側通信機3に返信され、車両側通信機3で受信される。
【0119】
そして、ステップS260に進み、計測終了タイミングTeの前後のサンプリング周期での終了加速度Gxe(t-1)、Gxe(t+1)を比較し、Gxe(t-1)<Gxe(t+1)の関係を満たすか否かを判定する。
【0120】
ここで、肯定判定されるとステップS265に進み、補正前角度に対してマイナス符合をつける必要がないため、数式10に基づいて計測終了タイミングTeにおけるセンサ角度αeを算出する。
【0121】
【数10】
また、否定判定されるとステップS270に進み、補正前角度に対してマイナス符合をつける必要があるため、数式11に基づいて計測終了タイミングTeにおけるセンサ角度αeを算出する。
【0122】
【0123】
なお、これらステップS255~S270の処理についても、受信したデータ毎、つまりタイヤ側通信機2a~2d毎に実施している。
【0124】
その後、ステップS275に進み、累積角度θを算出する。このとき、
図14Bに示すように、左車輪5a、5cと右車輪5b、5dの区別無く時間変化に対して徐々にセンサ角度αが低下する補正後角度としているため、左車輪5a、5cと右車輪5b、5dいずれの場合も数式2より累積角度θを算出すればよい。
【0125】
この後、ステップS280に進み、第1実施形態における
図12のステップS170と同様、4輪分の累積角度θと舵角情報、すなわち舵角センサ7の検出信号が示す車両1の旋回方向に基づいて、車輪位置検出を行う。そして、4つのタイヤ側通信機2a~2dがそれぞれ4つの車輪5a~5dのいずれに取付けられたものであるかを特定すると、各タイヤ側通信機2a~2dのフレーム内に格納されたID情報を車輪位置と紐付けして登録する。最後に、ステップS285に進み、車両側通信機3から各タイヤ側通信機2a~2dに対して計測終了の指示を伝えて車輪位置検出処理を終了する。
【0126】
なお、ここでも車輪位置検出に累積角度θを用いたが、累積角度θに比例する値である累積回転数を用いても同様に車輪位置検出が行える。
【0127】
この後は、第1実施形態と同様、車輪位置検出の結果に基づいて、各タイヤ側通信機2a~2dが車輪5a~5dのいずれに取付けられたものであるかを特定しつつ、タイヤ空気圧検出を行う。
【0128】
以上説明したように、車両1が旋回状態の際に、Gセンサ22が検出した1軸の加速度に基づいて累積角度θや累積回転数を算出し、車輪位置検出を行うこともできる。これにより、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0129】
また、本実施形態のように1軸の加速度に基づいて車輪位置検出を行う場合、左右判定を行う必要がないし、加速度Gxを用い場合であれば、加速度Gzを用いる場合のようにハイパスフィルタ処理を行う必要がないため、システム簡素化を図ることが可能となる。ただし、第1実施形態のように、2軸の加速度Gxおよび加速度Gzを用いて車輪位置検出を行う場合は、より多いデータ量の加速度データを使用しているため、より精度良くセンサ角度αを算出でき、より精度良い車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0130】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0131】
(i)例えば、上記各実施形態では、累積角度θを用いて車輪位置検出を行う場合を説明したが、累積回転数を用いて車輪位置検出を行っても良い。
【0132】
(ii)上記各実施形態では、車輪位置検出の開始指示の入力の一例として、タイヤ交換時などにユーザが図示しない車輪位置検出の開始スイッチを押下したときを挙げたが、他の形で開始指示が入力されても良い。例えば、自動車整備工場がツールを用いて車輪位置検出の開始指示を入力した場合に車輪位置検出が行われるようにしても良い。また、車両1が所定時間以上、起動されていない場合にイグニッションスイッチ等の起動スイッチが押下された場合に車輪位置検出が行われるようにしても良い。
【0133】
(iii)上記各実施形態では、加速度計測のサンプリングを行う直前に各タイヤ側通信機2a~2dと車両側通信機3との間のクロックの同期を実施しない場合を例に挙げたが、クロックの同期を実施しても良い。
【0134】
(iv)上記各実施形態では、各タイヤ側通信機2a~2dで回転周期数Nや加速度Gxを取得してそのデータを車両側通信機3に伝え、車両側通信機3でセンサ角度αを算出している。しかしながら、各タイヤ側通信機2a~2dでセンサ角度αの算出まで行い、回転周期数Nとセンサ角度αのデータを車両側通信機3に伝えるようにしても良い。
【0135】
(v)上記各実施形態では、計測開始タイミングTsのセンサ角度αsや計測終了タイミングTeのセンサ角度αeを算出する際に、そのタイミングを含む前後のサンプリングポイントSpでの加速度GxであるGx(t-1)、Gx(t)、G(t+1)を用いた。これも一例を挙げたに過ぎず、そのタイミングを含め2つ前と1つ前のサンプリングポイントSpの3つでの加速度GxであるGx(t-2)、Gx(t-1)、G(t)を用いても良い。また、そのタイミングを含め1つ後と2つ後のサンプリングポイントSpの3つでの加速度GxであるGx(t)、Gx(t+1)、G(t+2)を用いても良い。また、3つのサンプリングポイントSpに限らず、2つ、もしくは4つ以上のサンプリングポイントSp1での加速度Gxを用いてセンサ角度αを算出しても良い。
【0136】
(vi)上記各実施形態では、4つの車輪5a~5dが備えられた車両1に対して備えられた車輪位置検出装置について説明したが、さらに車輪数が多い複数個の車輪を備える車両についても、同様に本開示を適用することができる。その場合も、累積角度θや累積回転数が最も大きくなるのは旋回外輪の前輪であり、最も小さくなるのは旋回内輪の後輪である。このように、車輪位置に応じて累積角度θや累積回転数の大きさの順番が決まるため、その順番に基づいて車輪位置検出を行うことができる。
【0137】
(vii)上記各実施形態では、一定以上の舵角が発生している場合を加速度計測の開始条件の1つとしているが、舵角が左旋回の場合には正値、右旋回の場合には負値で表される場合、舵角の絶対値が一定以上発生していることを開始条件とすれば良い。
【0138】
(viii)なお、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…車両、2a~2d…タイヤ側通信機、3…車両側通信機、4…表示器
5a~5d…車輪、6…車体、7…舵角センサ、8…ギア位置センサ、9…車載ECU
21…センシング部、22…Gセンサ、23…制御部、24…通信部、25…アンテナ
31…アンテナ、32…通信部、33…制御部