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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175974
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20241212BHJP
   G03G 13/08 20060101ALI20241212BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G03G9/097 372
G03G9/097 374
G03G13/08
G03G15/08 226
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094125
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】溝部 猛雄
【テーマコード(参考)】
2H077
2H500
【Fターム(参考)】
2H077AB03
2H077AB14
2H077AC04
2H077AD06
2H077AD13
2H077EA15
2H500AA09
2H500AA10
2H500CA03
2H500CA24
2H500CB12
2H500EA05A
2H500EA37D
2H500EA42D
2H500EA44D
2H500EA52D
2H500EA62D
2H500FA07
(57)【要約】
【課題】白筋及び画像濃度のムラの発生を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、非磁性一成分現像剤と、像担持体と、像担持体の表面に形成された静電潜像に非磁性一成分現像剤を供給して、静電潜像を現像する現像装置とを備える。現像装置は、非磁性一成分現像剤を担持する現像ローラーと、非磁性一成分現像剤から構成される現像剤層の厚さを規制する規制部材とを有する。非磁性一成分現像剤は、トナー粒子を含む正帯電性のトナーを含む。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤粒子とを有する。外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子を含む。周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理をトナーに実施したとき、樹脂粒子の遊離率は、18質量%以上42質量%以下であり、シリカ粒子の遊離率は、5質量%以上25質量%以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性一成分現像剤と、
像担持体と、
前記像担持体の表面に形成された静電潜像に前記非磁性一成分現像剤を供給して、前記静電潜像を現像する現像装置とを備える画像形成装置であって、
前記現像装置は、前記非磁性一成分現像剤を担持する現像ローラーと、前記非磁性一成分現像剤から構成される現像剤層の厚さを規制する規制部材とを有し、前記現像ローラー上に当接させた前記規制部材により前記現像剤層を形成しつつ、前記静電潜像に前記非磁性一成分現像剤を供給するように構成され、
前記非磁性一成分現像剤は、トナー粒子を含む正帯電性のトナーを含み、
前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤粒子とを有し、
前記外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子を含み、
周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理を前記トナーに実施したとき、
前記樹脂粒子の遊離率は、18質量%以上42質量%以下であり、
前記シリカ粒子の遊離率は、5質量%以上25質量%以下である、画像形成装置。
【請求項2】
前記現像ローラーは、導電性基材と、前記導電性基材の表面を被覆するシリコーンゴム層と、前記シリコーンゴム層の表面を被覆するウレタン層とを有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制部材は、SUS製ブレードであり、
前記現像ローラーに対する前記規制部材の接触線圧は、15N/m以上45N/m以下である、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー母粒子100質量部に対する前記樹脂粒子の含有量は、0.2質量部以上1.3質量部以下である、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記樹脂粒子の個数平均一次粒子径は、30nm以上130nm以下である、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記樹脂粒子は、架橋スチレン-(メタ)アクリル樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用する画像形成装置は、例えば、現像剤を担持する現像ローラーと、現像ローラー上において現像剤から構成される現像剤層(トナー層)の厚さを規制する規制部材とを含む現像装置を備える。現像剤には、トナーのみを含む一成分現像剤と、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤とがある。
【0003】
また、一成分現像剤には、トナー粒子が磁性粉を含む磁性一成分現像剤と、トナー粒子が磁性粉を含まない非磁性一成分現像剤とがある。非磁性一成分現像剤により現像する方式では、現像装置において、規制部材が現像ローラーの表面に当接するように設けられる。以下、規制部材が現像ローラーの表面に当接するように設けられた現像装置を用いて、非磁性一成分現像剤により現像する方式を、「非磁性一成分現像方式」と記載することがある。
【0004】
非磁性一成分現像方式で画像を形成する場合、規制部材にトナー粒子が固着する現象が発生することがある。また、非磁性一成分現像方式で画像を形成する場合、トナー粒子から外添剤粒子が脱離し、規制部材及び現像ローラーの当接部位に脱離した外添剤粒子が滞留する現象が発生することがある。これらの現象は、画像不良(特に、白筋及び画像濃度のムラ)の原因となり得る。
【0005】
規制部材にトナー粒子が固着を抑制する現象を抑制する方法として、例えば、外添剤粒子として樹脂粒子及びシリカ粒子を含有するトナーを非磁性一成分現像剤として用いることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-180910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のトナーを用いた非磁性一成分現像剤として用いた画像形成装置によっても、画像不良(特に、白筋及び画像濃度のムラ)の発生を十分に抑制することは困難である。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、白筋及び画像濃度のムラの発生を抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、非磁性一成分現像剤と、像担持体と、前記像担持体の表面に形成された静電潜像に前記非磁性一成分現像剤を供給して、前記静電潜像を現像する現像装置とを備える。前記現像装置は、前記非磁性一成分現像剤を担持する現像ローラーと、前記非磁性一成分現像剤から構成される現像剤層の厚さを規制する規制部材とを有し、前記現像ローラー上に当接させた前記規制部材により前記現像剤層を形成しつつ、前記静電潜像に前記非磁性一成分現像剤を供給するように構成される。前記非磁性一成分現像剤は、トナー粒子を含む正帯電性のトナーを含む。前記トナー粒子は、トナー母粒子と、前記トナー母粒子の表面に付着した外添剤粒子とを有する。前記外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子を含む。周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理を前記トナーに実施したとき、前記樹脂粒子の遊離率は、18質量%以上42質量%以下である。前記シリカ粒子の遊離率は、5質量%以上25質量%以下である。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態の画像形成装置は、白筋及び画像濃度のムラの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トナー粒子の一例を示す模式的断面図である。
図2】画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図3図2の画像形成装置が備える現像装置の構成を示す図である。
図4図2の画像形成装置が備える現像ローラーの構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本明細書で用いる用語の意味、及び測定方法について、説明する。トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する形状、物性等を示す値は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。本明細書に記載の各成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。「A及びBのうち少なくとも1つ」という表現は、「A及び/又はB」と同義である。
【0013】
粉体の体積中位径(D50)は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いて測定されたメディアン径である。個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。個数平均一次粒子径は、例えば100個の一次粒子の円相当径の個数平均値である。帯電量(単位:μC/g)は、何ら規定していなければ、温度25℃且つ相対湿度50%RHの環境下で、吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)を用いて測定した値である。軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT-500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。以上、本明細書で用いる用語の意味、及び測定方法について、説明した。
【0014】
<画像形成装置>
本発明の実施形態は、画像形成装置に関する。本実施形態の画像形成装置は、非磁性一成分現像剤と、像担持体と、像担持体の表面に形成された静電潜像に非磁性一成分現像剤を供給して、静電潜像を現像する現像装置とを備える。現像装置は、非磁性一成分現像剤を担持する現像ローラーと、非磁性一成分現像剤から構成される現像剤層の厚さを規制する規制部材とを有し、現像ローラー上に当接させた規制部材により現像剤層を形成しつつ、静電潜像に非磁性一成分現像剤を供給するように構成される。非磁性一成分現像剤は、トナー粒子を含む正帯電性のトナーを含む。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤粒子とを有する。外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子を含む。周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理をトナーに実施したとき、樹脂粒子の遊離率は、18質量%以上42質量%以下であり、シリカ粒子の遊離率は、5質量%以上25質量%以下である。
【0015】
より具体的に説明すると、樹脂粒子の遊離率の測定では、ノニオン界面活性剤(例えば、Triton(登録商標)-X100)2質量部と、水98質量部と、トナー2質量部とを含有するトナー分散液に対して、周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理を実施する。次に、超音波処理を実施する前のトナー粒子に含まれる樹脂粒子の質量M1Rに対する、超音波処理後にトナー母粒子から脱離した樹脂粒子の質量M2Rの百分率(100×M2R/M1R)を求める。質量M1R及び質量M2Rは、例えば、GC/MS分析により測定できる。その他の詳細な測定条件は、実施例に記載の方法又はこれに準拠する方法を採用できる。
【0016】
シリカ粒子の遊離率の測定では、ノニオン界面活性剤(例えば、Triton(登録商標)-X100)2質量部と、水98質量部と、トナー2質量部とを含有するトナー分散液に対して、周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理を実施する。次に、超音波処理を実施する前のトナー粒子に含まれるシリカ粒子の質量M1Sに対する、超音波処理後にトナー母粒子から脱離したシリカ粒子の質量M2Sの百分率(100×M2S/M1S)を求める。質量M1S及び質量M2Sは、例えば、ケイ素原子を検出対象とする蛍光X線分析により測定できる。その他の詳細な測定条件は、実施例に記載の方法又はこれに準拠する方法を採用できる。
【0017】
本実施形態の画像形成装置は、上述の構成を備えることにより、白筋及び画像濃度のムラの発生を抑制できる。その理由は以下のように推察される。本実施形態の画像形成装置が備えるトナー(非磁性一成分現像剤)は、外添剤粒子として、シリカ粒子及び樹脂粒子を含有する。シリカ粒子は、トナー粒子に優れた流動性を付与すると共に、トナー粒子が他の部材(特に、規制部材)に固着することを抑制する機能を果たす。また、樹脂粒子は、シリカ粒子がトナー母粒子に陥没することを抑制するスペーサー粒子として機能する。外添剤粒子が樹脂粒子を含むことで、シリカ粒子の機能が効果的に発揮される。そして、本実施形態の画像形成装置において、樹脂粒子及びシリカ粒子は、遊離率が最適化されている。
【0018】
具体的には、樹脂粒子の遊離率を18質量%以上とすることで、樹脂粒子は、スペーサー粒子としての機能を発揮し易くなり、シリカ粒子がトナー母粒子に陥没することを効果的に抑制できる。これにより、トナー粒子が他の部材(特に、規制部材)に固着することを抑制するというシリカ粒子の機能を更に効果的に発揮できる。また、シリカ粒子の遊離率を5質量%以上とすることで、トナーの流動性を十分に確保できる。これにより、現像ローラー上に形成される現像剤層の厚さを安定化できる。これらの結果、本実施形態の画像形成装置は、白筋の発生を抑制できる。また、樹脂粒子の遊離率を42質量%以下とすることで、樹脂粒子がトナー母粒子から脱離することを抑制できる。更に、シリカ粒子の遊離率を25質量%以下とすることで、シリカ粒子がトナー母粒子から脱離することを抑制できる。これらにより、トナー母粒子から脱離した樹脂粒子及びシリカ粒子が規制部材及び現像ローラーの当接部位に滞留する現象の発生を抑制できる。その結果、本実施形態の画像形成装置は、画像濃度のムラが発生することを抑制できる。以下、本実施形態の画像形成装置に用いるトナーの詳細を説明した後、装置の詳細を説明する。
【0019】
[トナー粒子]
トナーは、トナー粒子を含む正帯電性のトナーである。以下、図1を参照して、トナー粒子の一例について説明する。図1は、トナー粒子の一例であるトナー粒子1を示す。図1に示すトナー粒子1は、トナー母粒子2と、トナー母粒子2の表面に付着した外添剤粒子3とを備える。外添剤粒子3は、樹脂粒子4と、シリカ粒子5とを含む。
【0020】
以上、図1を参照しつつ、トナー粒子を説明した。但し、トナー粒子は、図1で説明したトナー粒子1とは異なる構造であってもよい。例えば、トナー粒子は、シェル層を備えるトナー粒子(以下、カプセルトナー粒子と記載することがある)であってもよい。カプセルトナー粒子では、トナー母粒子が、例えば結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアの表面の少なくとも一部を被覆するシェル層とを備える。また、外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子以外の粒子を含んでいてもよい。以上、トナー粒子の詳細について、図1を基に説明した。
【0021】
[外添剤粒子]
外添剤粒子は、トナー母粒子の表面に付着する。外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子を含む。
【0022】
(樹脂粒子)
樹脂粒子が含有する樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂)が挙げられる。樹脂粒子が含有する樹脂は、架橋されていることが好ましい。樹脂粒子が含有する樹脂としては、スチレン-(メタ)アクリル樹脂が好ましく、架橋スチレン-(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。樹脂粒子におけるスチレン-(メタ)アクリル樹脂の含有割合としては、70質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
【0023】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、スチレン化合物と、(メタ)アクリル酸化合物との共重合体である。(メタ)アクリル酸化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル(特に、エステル部に炭素原子数1以上4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)が挙げられる。
【0024】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、スチレン化合物に由来する第一繰り返し単位と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する第二繰り返し単位とを有することが好ましい。
【0025】
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、2,3-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、o-tert-ブチルスチレン、m-tert-ブチルスチレン、及びp-tert-ブチルスチレン等)、及びハロゲン化スチレン(より具体的には、α-クロロスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、及びp-クロロスチレン等)が挙げられる。スチレン化合物としては、スチレンが好ましい。
【0026】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、第一繰り返し単位の含有割合としては、4.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以上14.0質量%以下がより好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸iso-プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(詳しくは、(メタ)アクリル酸n-ブチル)、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
【0028】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、第二繰り返し単位の含有割合としては、30.0質量%以上95.0質量%以下が好ましく、45.0質量%以上60.0質量%以下がより好ましい。
【0029】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂が架橋されている場合、スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、架橋剤に由来する第三繰り返し単位を更に有する。樹脂粒子が架橋スチレン-(メタ)アクリル樹脂を含有することで、樹脂粒子に適度な剛性が付与され、樹脂粒子がスペーサー粒子としての機能を発揮し易くなる。
【0030】
架橋剤としては、例えば、2個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。具体的な架橋剤としては、例えば、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、及び1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートが挙げられる。架橋剤としては、ジビニルベンゼンが好ましい。
【0031】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の有する全繰り返し単位に対して、第三繰り返し単位の含有割合としては、20.0質量%以上45.0質量%以下が好ましく、32.0質量%以上40.0質量%以下がより好ましい。第三繰り返し単位の含有割合を20.0質量%以上とすることで、樹脂粒子の剛性が最適化され、樹脂粒子がスペーサー粒子としての機能を更に発揮し易くなる。第三繰り返し単位の含有割合を45.0質量%以下とすることで、樹脂粒子の硬度が過度に高くなり、感光体の表面が研磨されることを抑制できる。
【0032】
スチレン-(メタ)アクリル樹脂としては、下記組み合わせ1又は2の繰り返し単位を有する樹脂が好ましい。なお、組み合わせ1又は2において、繰り返し単位の後ろに括弧書きで示される数値範囲は、全繰り返し単位に対するその繰り返し単位の好ましい含有割合を示す。
組み合わせ1:スチレンに由来する繰り返し単位(例えば、8.0質量%以上13.0質量%以下)、メタクリル酸n-ブチルに由来する繰り返し単位(例えば、50.0質量%以上55.0質量%以下)、及びジビニルベンゼン由来する繰り返し単位(例えば、34.0質量%以上40.0質量%以下)
組み合わせ2:スチレンに由来する繰り返し単位(例えば、8.0質量%以上12.0質量%以下)、及びメタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位(例えば、88.0質量%以上92.0質量%以下)
【0033】
樹脂粒子の遊離率は、18質量%以上42質量%以下であり、25質量%以上35質量%以下が好ましい。樹脂粒子の遊離率を18質量%以上とすることで、樹脂粒子はスペーサー粒子としての機能を確実に発揮できる。樹脂粒子の遊離率を42質量%以下とすることで、樹脂粒子がトナー母粒子から脱離することを抑制できる。
【0034】
樹脂粒子の遊離率は、主に、トナー粒子における樹脂粒子の含有量と、樹脂粒子をトナー母粒子に外添処理する際の条件(例えば、攪拌速度及び外添処理時間)と、樹脂粒子の個数平均一次粒子径とにより調整できる。具体的には、トナー粒子における樹脂粒子の含有量が高いほど、樹脂粒子の遊離率は高くなる。また、上述の攪拌速度を速くするほど、樹脂粒子はトナー母粒子に強く付着し、樹脂粒子の遊離率は低くなる。更に、上述の外添処理時間を長くするほど、樹脂粒子はトナー母粒子に強く付着し、樹脂粒子の遊離率は低くなる。更に、樹脂粒子の個数平均一次粒子径が大きいほど、樹脂粒子の遊離率は高くなる。
【0035】
樹脂粒子の個数平均一次粒子径としては、30nm以上130nm以下が好ましく、50nm以上100nm以下がより好ましく、70nm以上90nm以下が更に好ましい。樹脂粒子の個数平均一次粒子径を30nm以上とすることで、樹脂粒子は、スペーサー粒子としての機能を発揮し易くなる。また、樹脂粒子の個数平均一次粒子径を130nm以下とすることで、トナー母粒子から樹脂粒子が脱離することを更に効果的に抑制できる。
【0036】
トナー母粒子からの脱離を抑制しながら樹脂粒子の機能を十分に発揮させる観点から、トナー粒子における樹脂粒子の含有量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上4.0質量部以下が好ましく、0.2質量部以上1.3質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上1.0質量部以下が更に好ましく、0.7質量部以上1.0質量部以下が特に好ましい。樹脂粒子の含有量を0.1質量部以上とすることで、樹脂粒子は、スペーサー粒子としての機能を発揮し易くなる。樹脂粒子の含有量を4.0質量部以下とすることで、樹脂粒子がトナー母粒子から脱離することを更に効果的に抑制できる。
【0037】
樹脂粒子は、例えば、イオン性界面活性剤(乳化剤)の存在下、原料となるモノマー(例えば、スチレン化合物、(メタ)アクリル酸化合物及び架橋剤)を乳化重合させることによって製造できる。乳化重合に用いる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩が挙げられる。イオン性界面活性剤の使用量としては、例えば、原料となるモノマー100質量部に対して、1質量部以上5質量部以下である。重合開始剤の使用量としては、例えば、原料となるモノマー100質量部に対して、4質量部以上12質量部以下である。
【0038】
(イオン性界面活性剤)
トナー粒子は、樹脂粒子の表面に付着するイオン性界面活性剤を更に有することが好ましい。イオン性界面活性剤は、上述の樹脂粒子の製造において使用したイオン性界面活性剤に由来する。イオン性界面活性剤は、トナー粒子の帯電性能を調整する。イオン性界面活性剤としては、カチオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、カチオン界面活性剤が好ましい。
【0039】
カチオン界面活性剤としては、例えば、炭素原子数10以上25以下のアルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。具体的なカチオン界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、塩化セチルトリメチルアンモニウムがより好ましい。
【0040】
アニオン界面活性剤としては、例えば、炭素原子数10以上25以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。具体的なアニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。
【0041】
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、トナー粒子に流動性を付与する。シリカ粒子としては、正帯電性を付与する表面処理が施されたシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子の個数平均一次粒子径としては、10nm以上100nm以下が好ましく、15nm以上50nm以下がより好ましく、15nm以上30nm以下が更に好ましい。シリカ粒子の個数平均一次粒子径を10nm以上とすることで、トナー母粒子への埋没を更に効果的に抑制できる。また、シリカ粒子の個数平均一次粒子径を100nm以下とすることで、トナー母粒子からの脱離を更に効果的に抑制できる。
【0042】
シリカ粒子の遊離率は、5質量%以上25質量%以下であり、7質量%以上15質量%以下が好ましい。シリカ粒子の遊離率を5質量%以上とすることで、トナー粒子に十分な流動性を付与できる。その結果、本実施形態の画像形成装置は、現像ローラー上において現像剤から構成される現像剤層の厚さを安定化できる。シリカ粒子の遊離率を25質量%以下とすることで、トナー母粒子からシリカ粒子が脱離することを抑制できる。
【0043】
シリカ粒子の遊離率は、主に、トナー粒子におけるシリカ粒子の含有量と、シリカ粒子をトナー母粒子に外添処理する際の条件(例えば、攪拌速度及び外添処理時間)と、シリカ粒子の個数平均一次粒子径とにより調整できる。具体的には、トナー粒子におけるシリカ粒子の含有量が高いほど、シリカ粒子の遊離率は高くなる。また、上述の攪拌速度を速くするほど、シリカ粒子はトナー母粒子に強く付着し、シリカ粒子の遊離率は低くなる。更に、上述の外添処理時間を長くするほど、シリカ粒子はトナー母粒子に強く付着し、シリカ粒子の遊離率は低くなる。更に、シリカ粒子の個数平均一次粒子径が大きいほど、シリカ粒子の遊離率は高くなる。
【0044】
トナー母粒子からの脱離を抑制しながらシリカ粒子の機能を十分に発揮させる観点から、トナー粒子におけるシリカ粒子の含有量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.1質量部以上15.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
【0045】
(その他の外添剤粒子)
外添剤は、樹脂粒子及びシリカ粒子以外のその他の外添剤粒子を更に含んでもよい。その他の外添剤粒子としては、例えば、金属酸化物(具体的には、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等)の粒子、及び脂肪酸金属塩(具体的には、ステアリン酸亜鉛等)のような有機酸化合物の粒子が挙げられる。
【0046】
(トナー母粒子)
トナー母粒子は、例えば主成分として結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。トナー母粒子の製造方法としては、粉砕法及び凝集法が挙げられ、粉砕法が好ましい。
【0047】
(結着樹脂)
低温定着性に優れたトナーを提供する観点から、トナー母粒子は、結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、オレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂)、ビニル樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、及びN-ビニル樹脂)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰り返し単位が導入された共重合体(例えば、スチレン-アクリル酸エステル樹脂、及びスチレン-ブタジエン樹脂)も、結着樹脂として使用できる。
【0048】
トナー母粒子における結着樹脂の含有割合としては、60質量%以上95質量%以下が好ましく、80質量%以上90質量%以下がより好ましい。
【0049】
トナーの低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するための多価アルコールとしては、例えば、2価アルコール(例えば、ジオール化合物、及びビスフェノール化合物)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するための多価カルボン酸としては、例えば、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体(例えば、多価カルボン酸の無水物、及び多価カルボン酸ハライド)を使用してもよい。
【0050】
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,5-ペンタンジオール、2-ペンテン-1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4-ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
【0051】
ビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシエチレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0052】
3価以上のアルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
【0053】
2価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸)が挙げられる。
【0054】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシルプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
【0055】
ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物と、トリメリット酸との縮重合物が好ましい。
【0056】
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質な画像を形成する観点から、着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、2質量部以上10質量部以下がより好ましい。
【0057】
トナー母粒子は、黒色着色剤を含有してもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
【0058】
トナー母粒子は、カラー着色剤を含有してもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
【0059】
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有してもよい。離型剤は、例えば、トナーのオフセットを更に効果的に抑制する目的で使用される。離型剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上15質量部以下がより好ましい。
【0060】
離型剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス、及び脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス及びフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物としては、例えば、酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体が挙げられる。植物系ワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、及びライスワックスが挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、みつろう、ラノリン及び鯨ろうが挙げられる。鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セレシン、及びペトロラタムが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックスとしては、例えば、モンタン酸エステルワックス及びカスターワックスが挙げられる。脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスとしては、例えば、脱酸カルナバワックスが挙げられる。離型剤としては、カルナバワックスが好ましい。
【0061】
トナー母粒子が離型剤を含有する場合、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
【0062】
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有してもよい。電荷制御剤は、例えば、優れた帯電安定性又は優れた帯電立ち上がり特性を有するトナーを提供する目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。トナー母粒子に正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナー母粒子のカチオン性を強めることができる。
【0063】
正帯電性の電荷制御剤としては、例えば、アジン化合物、直接染料、酸性染料、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、4級アンモニウム塩化合物、及び4級アンモニウムカチオン基を含む樹脂が挙げられる。電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩化合物が好ましい。
【0064】
4級アンモニウム塩化合物としては、例えば、ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、及びジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩が挙げられる。
【0065】
帯電安定性に更に優れたトナーを提供する観点から、電荷制御剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0066】
[トナーの製造方法]
トナーは、例えば、トナー母粒子の調製工程と、外添工程とを備える製造方法により製造できる。
【0067】
(トナー母粒子の調製工程)
トナー母粒子の調製工程では、例えば、凝集法又は粉砕法によりトナー母粒子を調製する。
【0068】
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、トナー母粒子を構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてトナー母粒子を形成する。
【0069】
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易にトナー母粒子を調製できる上、製造コストの低減が可能である。粉砕法でトナー母粒子を調製する場合、トナー母粒子の調製工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。トナー母粒子の調製工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、トナー母粒子の調製工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
【0070】
混合工程では、結着樹脂と、必要に応じて添加する内添剤とを混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、トナー材料を溶融及び混練して、溶融混練物を得る。トナー材料としては、例えば混合工程で得られる混合物が用いられる。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物であるトナー母粒子が得られる。
【0071】
(外添工程)
本工程では、トナー母粒子の表面に樹脂粒子及びシリカを含む外添剤粒子を付着させることでトナー粒子を得る。トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させる方法としては、特に限定されないが、例えば、トナー母粒子及び外添剤粒子をミキサー等で攪拌する方法が挙げられる。混合機としては、例えばFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)が挙げられる。
【0072】
外添工程における混合時の攪拌速度としては、2000rpm以上5000rpm以下が好ましく、3000rpm以上4000rpm以下がより好ましい。外添処理時間としては、7分以上38分以下が好ましく、20分以上30分以下がより好ましい。
【0073】
なお、本工程は、多段階(例えば、二段階)で実施してもよい。本工程を二段階で実施する場合、例えば、一回目の外添処理では、トナー母粒子と外添剤粒子のうちの一部とをミキサー等で攪拌する。そして、二回目の外添処理では、一回目の外添処理で得られた混合物と、外添剤粒子の残りとをミキサー等で攪拌する。このように、本工程を多段階で行うことにより、トナー母粒子に対する複数の外添剤粒子の付着力をそれぞれ個別に調整することができる。
【0074】
[装置の詳細]
次に、本実施形態に係る画像形成装置のトナー以外の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。図3は、図2の画像形成装置が備える現像装置の構成を示す図である。なお、参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
【0075】
図2に示すように、画像形成装置100は、記録媒体としてのシートPに画像を形成する非磁性一成分現像方式のプリンターである。画像形成装置100は、給送部15、搬送部20、画像形成部30、及び排出部80を備える。
【0076】
給送部15は、複数枚のシートPを収容するカセット16を含む。シートPは、例えば、紙製又は合成樹脂製のシートである。給送部15は、搬送部20にシートPを給送する。搬送部20は、画像形成部30にシートPを搬送する。画像形成部30は、シートPに画像を形成する。搬送部20は、画像が形成されたシートPを排出部80に搬送する。排出部80は、画像形成装置100の外部にシートPを排出する。
【0077】
画像形成部30は、露光ユニット32、第一トナー像生成ユニット34A、第二トナー像生成ユニット34B、第3トナー像生成ユニット34C、第4トナー像生成ユニット34D、第一トナーコンテナ36A、第二トナーコンテナ36B、第3トナーコンテナ36C、第4トナーコンテナ36D、中間転写ベルト62、二次転写ローラー64、及び定着装置70を有する。ここでは、画像形成装置100はタンデム方式であり、第一トナー像生成ユニット34A、第二トナー像生成ユニット34B、第3トナー像生成ユニット34C及び第4トナー像生成ユニット34Dが、中間転写ベルト62に沿うようにして直線状に配列されている。
【0078】
なお、本明細書の以下の説明において冗長を避けるために、第一トナー像生成ユニット34A、第二トナー像生成ユニット34B、第3トナー像生成ユニット34C及び第4トナー像生成ユニット34Dを、それぞれトナー像生成ユニット34A、トナー像生成ユニット34B、トナー像生成ユニット34C及びトナー像生成ユニット34Dと記載することがある。同様に、第一トナーコンテナ36A、第二トナーコンテナ36B、第3トナーコンテナ36C及び第4トナーコンテナ36Dを、それぞれトナーコンテナ36A、トナーコンテナ36B、トナーコンテナ36C及びトナーコンテナ36Dと記載することがある。
【0079】
露光ユニット32は、画像データに基づく光をトナー像生成ユニット34A~34Dの各々に照射し、トナー像生成ユニット34A~34Dの各々に静電潜像を形成する。
【0080】
トナー像生成ユニット34Aは、静電潜像に基づきイエロー色のトナー像を形成する。トナー像生成ユニット34Bは、静電潜像に基づきシアン色のトナー像を形成する。トナー像生成ユニット34Cは、静電潜像に基づきマゼンタ色のトナー像を形成する。トナー像生成ユニット34Dは、静電潜像に基づきブラック色のトナー像を形成する。
【0081】
トナーコンテナ36Aは、イエロー色のトナー像を形成するためのトナーを収容する。トナーコンテナ36Bは、シアン色のトナー像を形成するためのトナーを収容する。トナーコンテナ36Cは、マゼンタ色のトナー像を形成するためのトナーを収容する。トナーコンテナ36Dは、ブラック色のトナー像を形成するためのトナーを収容する。トナーコンテナ36A~36Dに収容されるトナーは、何れも上述したトナー(図3に示すトナーT)である。
【0082】
中間転写ベルト62は矢印R1方向に回転する。中間転写ベルト62の外表面には、トナー像生成ユニット34A~34Dから4色のトナー像が順次転写される。二次転写ローラー64は、中間転写ベルト62の外表面に形成されたトナー像をシートPに転写する。定着装置70は、シートPを加熱及び加圧して、トナー像をシートPに定着させる。
【0083】
画像形成装置100は、定着オイルの塗布機構を備えないオイルレス定着方式が採用されている。画像形成装置100は、オイルレス定着方式であるため、小型化及び低コスト化が可能である。一方、オイルレス定着方式の画像形成装置100に用いるトナーは、定着性を確保する観点から、比較的多量の離型剤を含有する傾向がある。ここで、公知のトナーにおいて、離型剤の含有量を増加させると、トナー粒子が規制ブレード54及び感光体ドラム40に固着し易くなる傾向がある。これに対して、画像形成装置100に用いる上述のトナーは、シリカ粒子及び樹脂粒子を含有し、その遊離率が最適化されている。そのため、画像形成装置100に用いる上述のトナーは、規制ブレード54及び感光体ドラム40にトナー粒子が固着することを抑制できる。
【0084】
以上、画像形成装置100の構成の概要について説明した。次に、画像形成装置100の構成の詳細について説明する。なお、以下において、区別する必要がない場合には、トナー像生成ユニット34A、トナー像生成ユニット34B、トナー像生成ユニット34C及びトナー像生成ユニット34Dの各々を、トナー像生成ユニット34と記載する。
【0085】
トナー像生成ユニット34は、像担持体としての感光体ドラム40、帯電装置42、現像装置50、一次転写ローラー44、除電装置46、及びクリーナー48を含む。トナー像生成ユニット34において、帯電装置42、現像装置50、一次転写ローラー44、除電装置46、及びクリーナー48は、感光体ドラム40の周面に沿って、この順で配置される。
【0086】
感光体ドラム40は、中間転写ベルト62の外表面に当接するように配置される。一次転写ローラー44は、中間転写ベルト62を介して、感光体ドラム40に対向するように配置される。
【0087】
感光体ドラム40は矢印R2方向に回転する。帯電装置42は感光体ドラム40の周面を帯電する。感光体ドラム40の周面には、露光ユニット32によって光が照射され、静電潜像が形成される。
【0088】
感光体ドラム40としては、例えば、アモルファスシリコンを含有する感光層を備えた感光体、又は有機光導電体を含有する感光層を備えた感光体が使用できる。
【0089】
図3に示すように、現像装置50は、現像ローラー52と、規制ブレード54(規制部材)と、供給ローラー56と、攪拌部材58と、筐体60とを有している。現像装置50は、感光体ドラム40の周面に形成された静電潜像にトナーTを供給し、静電潜像にトナーTを付着させることにより静電潜像を現像する。これにより、感光体ドラム40の周面にトナー像が形成される。
【0090】
現像ローラー52は、トナーTを担持する。トナーTは、上述したトナー(非磁性一成分現像剤)である。トナーTは、対応するトナーコンテナ(図2に示すトナーコンテナ36A~36Dの何れか)から供給される。現像ローラー52は、感光体ドラム40と当接するように配置され、感光体ドラム40の回転に伴い矢印R3方向に従動回転可能に設けられている。現像ローラー52は、担持したトナーTを感光体ドラム40に供給する。
【0091】
図4に示すように、現像ローラー52は、導電性基材52aと、導電性基材52aの表面を被覆するシリコーンゴム層52bと、シリコーンゴム層52bの表面を被覆するウレタン層52cとを有することが好ましい。現像ローラー52がシリコーンゴム層52bを有することで、現像ローラー52の弾性を最適化できる。現像ローラー52がウレタン層52cを有することで、現像ローラー52の表面抵抗を最適化できる。
【0092】
規制ブレード54は、トナーTから構成されるトナー層(不図示)の厚さを規制する。トナー層は、現像ローラー52上に形成される。規制ブレード54は、その一端が現像ローラー52の周面に当接している。規制ブレード54は、例えば板バネであり、所定の圧力で現像ローラー52に押圧されている。規制ブレード54の構成材料としては、例えば、樹脂(より具体的には、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等)、金属(より具体的には、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等)、及びこれらの複合材料が挙げられる。
【0093】
規制ブレード54の構成材料としては、SUSが好ましい。つまり、本実施形態の画像形成装置において、規制部材としては、SUS製ブレードが好ましい。SUS製ブレードは、導電性を有すると共に、適度に弾性変形し易いため、トナー層の厚さを適切に規制できる。また、現像ローラー52に対する規制ブレード54の接触線圧としては、15N/m以上45N/m以下が好ましく、35N/m以上45N/m以下がより好ましい。規制ブレード54の接触線圧を15N/m以上とすることで、トナー層の厚さを適切に規制できる。規制ブレード54の接触線圧を45N/m以下とすることで、トナーT及び現像ローラー52の摩擦が過剰に大きくなることを抑制し、トナー層の厚さを十分に確保できる。
【0094】
供給ローラー56は、現像ローラー52にトナーTを供給する。供給ローラー56は、現像ローラー52に当接し、かつ矢印R4方向に回転できるように支持されている。
【0095】
攪拌部材58は、トナーTを攪拌すると共に、トナーTを供給ローラー56側に搬送する。筐体60は、現像装置50の各部材及びトナーTを収容する。
【0096】
現像装置50は、現像ローラー52上に当接させた規制ブレード54によりトナー層を形成しつつ、感光体ドラム40の周面に形成された静電潜像にトナーT(詳しくは、トナー層に含まれるトナーT)を供給し、静電潜像をトナー像として現像するように構成されている。
【0097】
引き続き、図2を参照して、画像形成装置100の構成の詳細について説明する。一次転写ローラー44は、感光体ドラム40の周面に形成されたトナー像を中間転写ベルト62の外表面に転写する。除電装置46は、トナー像が中間転写ベルト62に転写された後の感光体ドラム40の周面を除電する。クリーナー48は、感光体ドラム40の周面に残留しているトナーTを除去する。クリーナー48は、例えば、クリーニングブレードを有する。
【0098】
中間転写ベルト62の外表面に転写されたトナー像は、二次転写ローラー64によりシートPに転写される。すなわち、二次転写ローラー64は、感光体ドラム40の周面に形成されたトナー像を、中間転写ベルト62を介してシートPに転写する転写部に相当する。トナー像が転写されたシートPは、搬送部20によって定着装置70に搬送される。定着装置70は、シートPに転写されたトナー像を加圧する加圧ローラー72と、シートPに転写されたトナー像を加熱する定着ベルト74とを備える。なお、定着ベルト74の代わりに定着ローラーを使用してもよい。定着装置70に搬送されたシートPは、加圧ローラー72と定着ベルト74との間で加熱及び加圧される。これにより、トナー像(画像)がシートPに定着する。その後、シートPは、排出部80から画像形成装置100の外部に排出される。以上のようにして画像形成装置100はシートPに画像を形成する。
【0099】
画像形成装置100は、上述のトナーを非磁性一成分現像剤として用いるため、白筋及び画像濃度のムラの発生を抑制できる。
【0100】
以上、本実施形態の画像形成装置の一例である画像形成装置100について説明したが、本実施形態の画像形成装置は、上述した画像形成装置100に限定されない。例えば、本実施形態の画像形成装置は、モノクロ画像形成装置であってもよい。モノクロ画像形成装置は、例えばトナー像生成ユニット及びトナーコンテナを各々1つずつ備える。また、本実施形態の画像形成装置は、直接転写方式の画像形成装置であってもよい。直接転写方式の画像形成装置では、転写部が像担持体上のトナー像を記録媒体へ直接転写する。更に、現像ローラーは、図4に示す層構造とは異なる構造を有するローラーであってもよい。更に、規制部材は、規制ブレード以外の部材(例えば、規制ローラー)であってもよい。
【実施例0101】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
【0102】
[個数平均一次粒子径の測定]
本実施例に記載の各粒子(樹脂粒子、シリカ粒子等)の個数平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(電界放出形走査電子顕微鏡、日本電子株式会社製「JSM-7600F」)を用いて倍率30000倍で測定した。個数平均一次粒子径の測定において、100個の一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)を測定し、その個数平均値を求めた。
【0103】
[トナーに対する超音波処理]
ノニオン界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)120」、成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)2質量部と、イオン交換水98質量部とを混合し、ノニオン界面活性剤水溶液を得た。ノニオン界面活性剤水溶液(濃度:2質量%)100質量部と、測定対象となるトナー2質量部とを混合し、トナー分散液を得た。得られたトナー分散液に対して、超音波分散機(超音波工業株式会社製「ウルトラソニックミニウェルダーP128」、出力:100W、発振周波数:28kHz)を用いて超音波処理を5分間施した。続けて、超音波処理されたトナー分散液を、ブフナー漏斗及び定性ろ紙(株式会社アドバンテック製「FILTER PAPER 1号」、孔径約5μm)を用いて吸引ろ過した(吸引ろ過操作)。その後、ろ物にイオン交換水50mLを加えるリスラリー操作と、上述の吸引ろ別操作とを、3回繰り返した(洗浄処理)。洗浄処理により、トナー粒子の表面に付着していた界面活性剤を除去した。洗浄処理後、ろ物と、ろ物が載っているろ紙とをアルミニウム製の容器に載置した。次に、上述のアルミニウム製の容器を真空低温乾燥機に投入し、40℃で12時間真空乾燥を行った。これにより、ろ物(超音波処理後のトナー)を十分に乾燥させた。乾燥後のろ物を、超音波処理後の測定サンプルとした。別途、何も処理を行っていないトナーを用意し、これを未処理の測定サンプルとした。
【0104】
[樹脂粒子の遊離率の測定]
上述の超音波処理後の測定サンプルと、未処理の測定サンプルとを用いて、樹脂粒子の遊離率を測定した。測定装置としては、ガスクロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製「GCMS-QP2010 Ultra」)及びマルチショット・パイロライザー(フロンティア・ラボ株式会社製「PY-3030D」)を用いた。カラムとしては、GCカラム(アジレント・テクノロジー社製「Agilent(登録商標)J&W ウルトライナートキャピラリGCカラム DB-5ms」、相:シロキサン重合体にアリレンを入れて重合体の主鎖を強化したアリレン相、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm、長さ:30m)を用いた。
【0105】
測定サンプル100μg(超音波処理後の測定サンプル及び未処理の測定サンプルの何れか)について、以下の分析条件でGC/MS分析を行い、樹脂粒子に由来するピークを含むマススペクトル(横軸:イオンの質量/イオンの電荷数、縦軸:検出強度)を得た。
・熱分解温度:加熱炉「600℃」、インターフェイス部「320℃」
・昇温条件:40℃から速度28℃/分で320℃まで昇温し、320℃で5分間保持した。
・キャリアガス:ヘリウム(He)ガス(線速度36.1cm/分)
・カラムヘッド圧力:49.7kPa
・注入モード:スプリット注入(スプリット比1:200)
・キャリア流量:全流量「204mL/分」、カラム流量「1mL/分」、パージ流量「3mL/分」
【0106】
上記GC/MS分析により測定サンプルから得たマススペクトル(GC/MS法マススペクトル)に基づいて、測定サンプルに含まれる樹脂粒子の量を求めた。詳しくは、予め作成した検量線(GC/MS法マススペクトルのピーク面積と樹脂粒子の量との関係を示す検量線)を用いて、測定された樹脂粒子由来のピーク面積(詳しくは、樹脂粒子(A)~(E)についてはメタクリル酸n-ブチルのピーク面積、樹脂粒子(F)~(G)についてはメタクリル酸メチルのピーク面積)から、測定サンプルに含まれる樹脂粒子の量を求めた。詳しくは、超音波処理後の測定サンプルを用いて上記GC/MS分析を行うことで、超音波処理後のトナー粒子に含まれる樹脂粒子の量M3Rを測定した。また、未処理の測定サンプルを用いて上記GC/MS分析を行うことで、未処理のトナー粒子に含まれる樹脂粒子の量M1Rを測定した。そして、M1RからM3Rを減算した値を、超音波処理後にトナー母粒子から脱離した樹脂粒子の質量M2Rとした。次に、下記式にM1R及びM2Rを当てはめることにより、樹脂粒子の遊離率を算出した。
樹脂粒子の遊離率=100×M2R/M1R
【0107】
[シリカ粒子の遊離率の測定]
上述の超音波処理後の測定サンプルと、未処理の測定サンプルとを用いて、シリカ粒子の遊離率を測定した。錠剤成型圧縮機(株式会社前川試験機製作所製「BRE-33」)を用いて、測定サンプル(超音波処理後の測定サンプル及び未処理の測定サンプルの何れか)1.5gを加圧成型(圧力20MPa、加圧時間3秒)して、直径30mmの円柱状ペレットを作製した。得られたペレットについて以下の条件で蛍光X線分析を行い、ケイ素に由来するピークを含む蛍光X線スペクトル(横軸:エネルギー、縦軸:強度(光子の数))を得た。得られた蛍光X線スペクトルの測定元素に由来するピークのX線強度を、予め作成した検量線を用いて含有割合(単位:質量%)に換算した。得られた含有割合に基づいて、測定サンプルにおけるシリカ粒子の量を算出した。
【0108】
(蛍光X線分析の条件)
・分析装置:走査型蛍光X線分析装置(株式会社リガク製「ZSX」)
・X線管球(X線源):Rh(ロジウム)
・励起条件:管電圧50kV、管電流50mA
・測定領域(X線照射範囲):直径30mm
・測定元素:ケイ素
【0109】
詳しくは、超音波処理後の測定サンプルを用いて上記蛍光X線分析を行うことで、超音波処理後のトナー粒子に含まれるシリカ粒子の量M3Sを測定した。また、未処理の測定サンプルを用いて上記蛍光X線分析を行うことで、未処理のトナー粒子に含まれるシリカ粒子の量M1Sを測定した。そして、M1SからM3Sを減算した値を、超音波処理後にトナー母粒子から脱離したシリカ粒子の質量M2Sとした。次に、下記式にM1S及びM2Sを当てはめることにより、シリカ粒子の遊離率を算出した。
シリカ粒子の遊離率=100×M2R/M1R
【0110】
[結着樹脂の調製]
ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(ポリオキシエチレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)1.0モルと、テレフタル酸4.5モルと、無水トリメリット酸0.5モルと、酸化ジブチル錫4gとを反応容器に投入した。反応容器の内部を窒素雰囲気にした後、反応容器の内容物を230℃で8時間保持することで、重縮合反応させた。次に、反応容器の内圧が8.3kPaになるまで反応容器の内部を減圧した。これにより、反応容器内に残存する未反応の原料を留去した。次に、反応容器の内容物を洗浄及び乾燥させた。これにより、ポリエステル樹脂である結着樹脂(軟化点120℃)を得た。
【0111】
[トナー母粒子の調製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)を用いて、上述の結着樹脂(ポリエステル樹脂)100質量部と、着色剤としてのカーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)5質量部と、離型剤としてのカルナバワックス(株式会社加藤洋行製「カルナウバ1号」)10質量部と、電荷制御剤としての4級アンモニウム塩化合物(藤倉化成株式会社製「FCA210PS」)3質量部とを混合した。その後、得られた混合物を、2軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM45」)を用いて150℃で溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却させた。冷却後の混練物を、フェザーミル(登録商標)(ホソカワミクロン株式会社製「350×600型」)で粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、気流式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製「ジェットミルIDS-2型」)で微粉砕した。得られた微粉砕物をエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)で分級処理した。これにより、体積中位径(D50)8μmのトナー母粒子を得た。なお、体積中位径の測定には粒度計(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いた。
【0112】
[樹脂粒子の調製]
以下の方法により、外添剤粒子として用いる樹脂粒子(A)~(G)を調製した。詳細を表1に示す。表1において、「粒子径」は、個数平均一次粒子径を示す。「BMA」は、メタクリル酸n-ブチルを示す。「MM」は、メタクリル酸メチルを示す。「DBS」は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを示す。「CPC」は、セチルピリジニウムクロライドを示す。「BC」は、塩化ステアリルベンジルジメチルアンモニウムを示す。
【0113】
(樹脂粒子(A))
攪拌羽根、冷却管、温度計、及び窒素導入管を備えた容量1Lの4つ口フラスコ内に、600質量部のイオン交換水と、6質量部の乳化剤(アニオン界面活性剤)としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムと、100質量部のメタクリル酸n-ブチルと、20質量部のスチレンと、70質量部のジビニルベンゼンと、15質量部の重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド)とを、回転速度100rpmでフラスコ内容物を攪拌しながら投入した。
【0114】
続けて、フラスコ内容物を攪拌(回転速度100rpm)しながら、フラスコ内に窒素ガスを導入して、フラスコ内を窒素雰囲気にした。更に、フラスコ内容物を攪拌しながら、窒素雰囲気でフラスコ内容物の温度を90℃に上昇させた。その後、窒素雰囲気かつ温度90℃の条件で、フラスコ内容物を攪拌しながら150分間反応(詳しくは、重合反応)させた。これにより、反応生成物(個数平均一次粒子径80nmの樹脂粒子(A))を含有するエマルションを得た。続けて、得られたエマルションを冷却した後、固液分離した。次に、固液分離により得られた固形物を十分に洗浄した。次に、洗浄後の固形分を十分に乾燥させて、樹脂粒子(A)の粉体を得た。樹脂粒子(A)は、架橋スチレン-メタクリル樹脂を含有していた。
【0115】
(樹脂粒子(B)~(E))
反応時間を表1に示す通りに変更した以外は、樹脂粒子(A)の調製と同様の方法により、樹脂粒子(B)~(E)を調製した。
【0116】
(樹脂粒子(F))
窒素導入管、還流管及び滴下ロートを備える三口フラスコ(反応容器)に、乳化剤(カチオン界面活性剤)としてのセチルピリジニウムクロリド4.0質量部と、イオン交換水1230.0質量部とを投入し、イオン交換水にカチオン界面活性剤を溶解させた。別途、重合開始剤としての2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩1.5質量部と、イオン交換水15.0質量部とを混合し、重合開始剤溶液を調製した。次に、反応容器内を窒素雰囲気にした後、反応容器内容物の温度が70℃になるまで反応容器を加熱した。次に、重合開始剤溶液16.5質量部(2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩1.5質量部、及びイオン交換水15.0質量部)と、スチレン30.0質量部と、メタクリル酸メチル270.0質量部とを90分間かけて反応容器に滴下した。次に、反応容器の内容物を70℃で60分間反応させた。これにより、反応生成物(個数平均一次粒子径60nmの樹脂粒子(F))を含有するエマルションを得た。続けて、得られたエマルションを冷却した後、固液分離した。次に、固液分離により得られた固形物を十分に洗浄した。次に、洗浄後の固形分を十分に乾燥させて、樹脂粒子(F)の粉体を得た。樹脂粒子(F)は、スチレン-メタクリル樹脂を含有していた。
【0117】
(樹脂粒子(G))
乳化剤(カチオン界面活性剤)として、セチルピリジニウムクロリド4.0質量部の代わりに、塩化ステアリルベンジルジメチルアンモニウム1.5質量部を用いた以外は、樹脂粒子(F)の調製と同様の方法により、樹脂粒子(G)の粉体を調製した(個数平均一次粒子径120nm)。樹脂粒子(G)は、スチレン-メタクリル樹脂を含有していた。
【0118】
【表1】
【0119】
なお、樹脂粒子(A)~(E)が含有する架橋スチレン-メタクリル樹脂において、全繰り返し単位に対する第一繰り返し単位(スチレン化合物に由来する繰り返し単位)の含有割合は、10.5質量%であった。上述の架橋スチレン-メタクリル樹脂において、全繰り返し単位に対する第二繰り返し単位((メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位)の含有割合は、52.6質量%であった。上述の架橋スチレン-メタクリル樹脂において、全繰り返し単位に対する第三繰り返し単位(架橋剤に由来する繰り返し単位)の含有割合は、36.8質量%であった。
【0120】
樹脂粒子(F)~(G)が含有するスチレン-メタクリル樹脂において、全繰り返し単位に対する第一繰り返し単位(スチレン化合物に由来する繰り返し単位)の含有割合は、10.0質量%であった。上述のスチレン-メタクリル樹脂において、全繰り返し単位に対する第二繰り返し単位((メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し単位)の含有割合は、90.0質量%であった。
【0121】
<トナーの製造>
以下の方法により、表2に示すトナー(T-1)~(T-6)及びトナー(t-1)~(t-6)を調製した。トナー(T-1)~(T-6)は、実施例1~6の画像形成装置に用いた。トナー(t-1)~(t-6)は、比較例1~6の画像形成装置に用いた。表2には、上述の方法で測定した各トナーにおける樹脂粒子の遊離率[質量%]及びシリカ粒子の遊離率[質量%]を併せて示す。なお、表2において、「径」は、個数平均一次粒子径を示す。樹脂粒子又はシリカ粒子の「量」は、トナー母粒子100質量部に対する樹脂粒子又はシリカ粒子の含有量[質量部]を示す。
【0122】
[トナー(T-1)]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて、上述のトナー母粒子100質量部と、シリカ粒子(X)(キャボット社製「CAB-O-SIL(登録商標)TG-7120」、個数平均一次粒子径20nm、疎水性シリカ粒子)2.0質量部と、樹脂粒子(A)0.8質量部とを、回転速度3,500rpmで25分間混合した(一回目の外添処理の時間)。得られた混合物を、200メッシュ(目開き75μm)の篩により篩別した。これにより、トナー(T-1)を得た。
【0123】
[トナー(T-2)~(T-6)及び(t-1)~(t-3)]
樹脂粒子及びシリカ粒子の種類と、一回目の外添処理の時間とを表2に示す通りに変更した以外は、トナー(T-1)の調製と同様の方法により、トナー(T-2)~(T-6)及び(t-1)~(t-3)を調製した。なお、シリカ粒子(Y)は、日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」(表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均一次粒子径:20nm)を示す。
【0124】
[トナー(t-4)]
上記FMミキサーを用いて、上述のトナー母粒子100質量部と、シリカ粒子(X)2.0質量部とを、回転速度3,500rpmで10分間混合した(一回目の外添処理)。次に、一回目の外添処理により得られた混合物に、樹脂粒子(G)0.6質量部を加え、上記FMミキサーを用いて回転速度3,500rpmで25分間混合した(二回目の外添処理)。二回目の外添処理で得られた混合物を、上述の篩により篩別した。これにより、トナー(t-4)を得た。
【0125】
[トナー(t-5)]
上記FMミキサーを用いて、上述のトナー母粒子100質量部と、シリカ粒子(X)2.0質量部とを、回転速度3,500rpmで10分間混合した(一回目の外添処理)。次に、一回目の外添処理により得られた混合物に、樹脂粒子(F)0.6質量部を加え、上記FMミキサーを用いて回転速度3,500rpmで30分間混合した(二回目の外添処理)。二回目の外添処理で得られた混合物を、上述の篩により篩別した。これにより、トナー(t-5)を得た。
【0126】
[トナー(t-6)]
上記FMミキサーを用いて、上述のトナー母粒子100質量部と、樹脂粒子(A)0.8質量部とを、回転速度3,500rpmで25分間混合した(一回目の外添処理)。次に、一回目の外添処理により得られた混合物に、シリカ粒子(Y)2.0質量部を加え、上記FMミキサーを用いて回転速度3,500rpmで25分間混合した(二回目の外添処理)。二回目の外添処理で得られた混合物を、上述の篩により篩別した。これにより、トナー(t-6)を得た。
【0127】
【表2】
【0128】
<評価>
トナー(T-1)~(T-6)及び(t-1)~(t-6)を後述する評価機の現像装置に投入し、それぞれ実施例1~6及び比較例1~6の画像形成装置とした。以下の方法により、各画像形成装置について、第一画像形成試験及び第二画像形成試験を行い、形成される画像に画像不良(白筋又は画像濃度のムラ)が発生するか否かを評価した。評価結果を表3に示す。
【0129】
[評価機]
評価機として、非磁性一成分現像剤を用いるモノクロプリンターである京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「PA-2000」を用いた。評価機は、規制ブレード及び現像ローラーを有する現像装置と、定着ローラーとを少なくとも備えていた。規制ブレードは、SUS製ブレードであった。現像ローラーは、導電性基材と、導電性基材の表面を被覆するシリコーンゴム層と、シリコーンゴム層の表面を被覆するウレタン層とを有していた。現像ローラーに対する規制ブレードの接触線圧は、40N/mであった。記録媒体としては、アスクル株式会社製「マルチペーパー スーパーホワイトA4」を用いた。
【0130】
[第一画像形成試験]
第一画像形成試験は、温度23℃、相対湿度50%RHで行った。評価機を用いて、パターン画像(印字率5%)1500枚を記録媒体に間欠印刷した。間欠印刷では、2枚連続で印刷し、その後、300秒のインターバルを挟むというセットを繰り返した。
【0131】
[第二画像形成試験]
第二画像形成試験は、温度10℃、相対湿度10%RHで行った。評価機を用いて、パターン画像(印字率1%)1500枚を記録媒体に連続印刷した。
【0132】
[判定]
第一画像形成試験又は第二画像形成試験で形成された画像を50枚目毎に目視で観察し、画像不良(白筋又は濃度ムラ)の発生の有無を確認した。第一画像形成試験又は第二画像形成試験において、最後に形成した画像(1500枚目の記録媒体に形成した画像)においても画像不良が確認されない評価対象は、判定を「A(合格)」とした。第一画像形成試験又は第二画像形成試験において、画像不良の発生が確認された評価対象は、判定を「B(不合格)」とした。
【0133】
表3の「判定」には、画像不良が発生した評価対象において、どの画像不良が発生したかを括弧書きで示している。表3の「枚数」には、画像不良が発生した枚数を記載している。但し、「枚数」が1500の評価対象は、最後に形成した画像(1500枚目の記録媒体に形成した画像)においても画像不良が確認されていないことを示す。
【0134】
【表3】
【0135】
表1~3に示すように、実施例1~6の画像形成装置は、非磁性一成分現像剤と、像担持体と、像担持体の表面に形成された静電潜像に非磁性一成分現像剤を供給して、静電潜像を現像する現像装置とを備えていた。現像装置は、非磁性一成分現像剤を担持する現像ローラーと、非磁性一成分現像剤から構成される現像剤層の厚さを規制する規制部材とを有し、現像ローラー上に当接させた規制部材により現像剤層を形成しつつ、静電潜像に非磁性一成分現像剤を供給するように構成されていた。非磁性一成分現像剤は、トナー粒子を含む正帯電性のトナーを含んでいた。トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤粒子とを有していた。外添剤粒子は、樹脂粒子及びシリカ粒子を含んでいた。周波数28kHz、出力100Wの超音波振動を5分間加える超音波処理をトナーに実施したとき、樹脂粒子の遊離率は、18質量%以上42質量%以下であり、シリカ粒子の遊離率は、5質量%以上25質量%以下であった。実施例1~6の画像形成装置は、各々、白筋及び画像濃度のムラの発生を抑制できた。
【0136】
一方、比較例1及び5の画像形成装置に用いたトナー(t-1)及び(t-5)は、樹脂粒子の遊離率が18質量%未満であった。トナー(t-1)及び(t-5)は、樹脂粒子がトナー母粒子に比較的強く付着していたため、樹脂粒子がスペーサー粒子としての機能を発揮し難かったと判断される。これにより、トナー(t-1)及び(t-5)は、画像形成に伴ってシリカ粒子がトナー母粒子に埋没し、トナー母粒子の表面が他の部材(特に、規制ブレード)と付着し易い状態になったと判断される。その結果、比較例1及び5の画像形成装置は、トナー粒子が規制ブレードに固着し、形成される画像に白筋が発生したと判断される。
【0137】
比較例2及び6の画像形成装置に用いたトナー(t-2)及び(t-6)は、シリカ粒子の遊離率が5質量%未満であった。トナー(t-2)及び(t-6)は、シリカ粒子がトナー母粒子に比較的強く付着していたため、トナー粒子の流動性が不十分であったと判断される。その結果、比較例2及び6の画像形成装置は、現像ローラーに形成される現像剤層(トナー層)の厚さを一定に保つことができず、形成される画像に白筋が発生したと判断される。
【0138】
比較例3及び4の画像形成装置に用いたトナー(t-3)及び(t-4)は、樹脂粒子の遊離率が42質量%超であった。トナー(t-3)及び(t-4)は、樹脂粒子がトナー母粒子に十分に強く付着していないため、画像形成に伴って樹脂粒子がトナー母粒子から脱離したと判断される。トナー母粒子から脱離した樹脂粒子は、現像ローラー及び規制ブレードが当接する位置に滞留すると判断される。その結果、比較例3及び4の画像形成装置は、形成される画像に画像濃度のムラが発生したと判断される。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本実施形態の画像形成装置は、例えば複写機、プリンター、又は複合機として用いることができる。
【符号の説明】
【0140】
1 トナー粒子
2 トナー母粒子
3 外添剤
5 樹脂粒子
6 シリカ粒子
40 感光体ドラム(像担持体)
50 現像装置
52 現像ローラー
54 規制ブレード(規制部材)
100 画像形成装置
T トナー
図1
図2
図3
図4