(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175975
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】加工方法及び加工管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241212BHJP
B21D 28/00 20060101ALI20241212BHJP
B30B 15/00 20060101ALI20241212BHJP
B21J 5/00 20060101ALI20241212BHJP
B21D 5/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B21D28/00 Z
B30B15/00 Z
B21J5/00 Z
B21D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094126
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100221556
【弁理士】
【氏名又は名称】金田 隆章
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 光央
(72)【発明者】
【氏名】野尻 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】濱田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】高見 文宣
【テーマコード(参考)】
3C100
4E048
4E063
4E087
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA57
3C100AA58
3C100BB13
3C100BB15
4E048AD01
4E063AA01
4E063JA07
4E063LA04
4E087AA08
4E087CA11
4E087DB05
4E087DB07
(57)【要約】
【課題】被加工物の加工品質を向上させる加工方法及び加工管理システムを提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る加工方法は、プロセッサが、加工機に、第1の工程で被加工物を加工させるステップと、プロセッサが、第1の工程による加工後の被加工物の物性値を予測するステップとを含む。加工方法は、プロセッサが、予測された物性値に基づいて、第2の工程による被加工物の加工条件を決定するステップを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサが、加工機に、第1の工程で被加工物を加工させるステップと、
前記プロセッサが、前記第1の工程による加工後の前記被加工物の物性値を予測するステップと、
前記プロセッサが、予測された前記物性値に基づいて、第2の工程による前記被加工物の加工条件を決定するステップと、
を含む加工方法。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記加工機に、決定された前記加工条件に基づいて前記第2の工程で前記被加工物を加工させるステップを更に含む、請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
前記加工機は、第1の加工機と第2の加工機とを含み、
前記プロセッサは、
前記第1の加工機に、前記第1の工程で前記被加工物を加工させ、
前記第2の加工機に、前記第2の工程で前記被加工物を加工させる、
請求項2に記載の加工方法。
【請求項4】
前記物性値は、前記第1の工程での加工によって変化する物理量である、請求項1に記載の加工方法。
【請求項5】
前記物性値は、前記被加工物のバリ高さ、厚さ、硬さ、及び加工寸法のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の加工方法。
【請求項6】
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、前記第1の工程での前記被加工物の加工の状態を示す加工状態データに基づいて、前記物性値を予測することを含む、請求項1に記載の加工方法。
【請求項7】
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、学習済みモデルに前記加工状態データを入力して前記学習済みモデルからの出力を取得し、前記出力を前記物性値として決定することを含み、
前記学習済みモデルは、前記加工状態データの入力に対して前記物性値を出力するように学習されたモデルである、
請求項6に記載の加工方法。
【請求項8】
前記第1の工程は、打抜き加工工程、曲げ加工工程、又は鍛造加工工程であり、
前記第2の工程は、打抜き加工工程、曲げ加工工程、又は鍛造加工工程である、
請求項1~7のいずれかに記載の加工方法。
【請求項9】
前記第1の工程は、打抜き加工工程であり、
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、前記打抜き加工工程で前記被加工物に加えられる荷重を示す荷重データに基づいて、前記物性値を予測することを含む、
請求項8に記載の加工方法。
【請求項10】
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、前記荷重データに基づいて、前記加工機の工具の摩耗量を推定し、推定された前記摩耗量に基づいて、前記物性値を予測することを含む、
請求項9に記載の加工方法。
【請求項11】
加工機と、
前記加工機を制御するプロセッサとを備え、
被加工物の加工を管理する加工管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記加工機に第1の工程で前記被加工物を加工させ、
前記第1の工程による加工後の前記被加工物の物性値を予測し、
予測された前記物性値に基づいて、第2の工程による前記被加工物の加工条件を決定する、
加工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工方法及び加工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、切断加工によって製造されたワークの加工品質を評価する切断加工評価システムを開示する。この切断加工評価システムは、状態変数に基づいて切断加工の評価を導出する評価モデルを、計測された切断結果に基づいて更新する学習処理部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、被加工物の加工品質を向上させる加工方法及び加工管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る加工方法は、
プロセッサが、加工機に、第1の工程で被加工物を加工させるステップと、
プロセッサが、第1の工程による加工後の被加工物の物性値を予測するステップと、
プロセッサが、予測された物性値に基づいて、第2の工程による被加工物の加工条件を決定するステップと、
を含む。
【0006】
本開示の一態様に係る加工管理システムは、
加工機と、
加工機を制御するプロセッサとを備え、
被加工物の加工を管理する加工管理システムであって、
プロセッサは、
加工機に第1の工程で被加工物を加工させ、
第1の工程による加工後の被加工物の物性値を予測し、
予測された物性値に基づいて、第2の工程による被加工物の加工条件を決定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、被加工物の加工品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係る加工管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1の加工管理システムによる前工程の動作を例示するフローチャートである。
【
図3】
図2の取得ステップで取得される荷重波形Lの一例を示すグラフである。
【
図4】工具摩耗量と打抜き後のバリ高さとの関係を例示するグラフである。
【
図5】打抜き加工後のワークの模式的な平面図である。
【
図6】バリ高さの算出方法の一例を説明するための図である。
【
図7】曲げ加工機に投入されるワークの形状の一例を示す模式図である。
【
図8】
図1の加工管理システムによる後工程の動作を例示するフローチャートである。
【
図9】第3変形例に係る加工管理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者らは、プレス加工等の塑性加工において、被加工物(ワーク)の加工品質を向上させるために研究を重ねた結果、以下のような知見を得た。
【0010】
塑性加工において、複数の加工機による加工工程が組み合わされることがある。加工品質を高く維持するためには、各工程に投入されるワークの外形形状、硬さ等の物性値の変動に合わせて、加工条件を調整することが求められる。物性値が変動する原因の一例は、加工機の金型、工具、刃等の部品が摩耗することにある。各工程が完了した後のワークの物性値は、部品の摩耗によって変動し得る。
【0011】
特許文献1は、加工時の状態をモニタリングし、切断加工によって製造されたワークの加工品質を評価する切断加工評価システムを開示する。
【0012】
しかしながら、複数の加工工程が組み合わされる場合、前工程と後工程の間には、ワークの物性値を測定するためのスペース又は時間的な余裕がないことがある。このような場合、前工程による物性値の変動を数値として把握できないまま後工程の加工を実施せざるを得ない。特許文献1で示されたように一工程内の情報を用いて加工品質を評価するシステムでは、ワークの物性値の変動に合わせて加工条件を最適化することができず、加工品質を高く維持することに限界があった。
【0013】
また、切断加工によって製造されたワークの加工品質を評価する特許文献1の切断加工評価システムは、加工済みのワークの加工品質を評価するに過ぎない。したがって、評価結果を次回以降の加工にフィードバックすることは可能であるが、既に加工が終わった当該ワークの加工品質を向上させることはできない。
【0014】
本発明者らは、これらの知見に基づいて、ワークの加工品質を従来に比べて向上させることを見出した。
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図しない。
【0017】
(実施の形態)
1.構成
図1は、本開示の実施の形態に係る加工管理システム100の構成例を示すブロック図である。加工管理システム100は、加工品の製造工程を管理する。加工管理システム100は、打抜き加工機1を制御する打抜き加工制御装置(第1の加工制御装置)10と、曲げ加工機2を制御する曲げ加工制御装置(第2の加工制御装置)20とを含む。打抜き加工機1は本開示の第1の加工機の一例であり、曲げ加工機2は第2の加工機の一例である。
【0018】
打抜き加工機1は、ワークに対して打抜き加工を行う。打抜き加工制御装置10は、CPU11と、記憶装置12と、入出力インタフェース13とを備える。
【0019】
CPU11は、情報処理を行って打抜き加工制御装置10の後述の機能を実現する。このような情報処理は、例えば、CPU11が記憶装置12に格納されたプログラムの指令に従って動作することにより実現される。CPU11は、本開示のプロセッサの一例である。プロセッサは、情報処理のための演算を行う演算回路を含めばよく、CPUに限定されない。例えば、プロセッサは、MPU、FPGA等の回路で構成されてもよい。
【0020】
記憶装置12は、種々のデータ、及び打抜き加工制御装置10の機能を実現するために必要なプログラムと、後述の摩耗予測モデル121と、バリ予測モデル122とを含む種々の情報を記録する記録媒体である。記憶装置12は、例えば、フラッシュメモリ、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)等の半導体記憶装置、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶装置、その他の記録媒体単独で又はそれらを組み合わせて実現される。記憶装置12は、SRAM、DRAM等の揮発性メモリを含んでもよい。
【0021】
入出力インタフェース13は、打抜き加工制御装置10と外部機器とを接続するインタフェース回路である。入出力インタフェース13は、既存の有線通信規格又は無線通信規格に従って外部機器とデータ通信を行う通信回路であってもよい。このような外部機器の一例は、打抜き加工機1である。
【0022】
外部機器の他の例は、打抜き加工機1の金型の工具部分に取り付けられた荷重センサ5である。入出力インタフェース13は、荷重センサ5による検出結果等の情報を打抜き加工制御装置10に入力する。荷重センサ5は、例えば打抜き加工機1のパンチとパンチバッキングプレートとの間に設置される。荷重センサ5は、例えば圧電式力センサ、又はひずみゲージ式等の電気式力センサであり、パンチがワークを打ち抜く際にパンチに加わる荷重を測定する。
【0023】
外部機器の更に他の例は、金型に取り付けられた1又は複数の位置センサである。位置センサは、金型の傾き、金型の高さ等を検出する。
【0024】
また、CPU11は、入出力インタフェース13を介して外部機器に情報を出力する。このような外部機器は、例えば曲げ加工制御装置20、ディスプレイ、他の情報処理端末等である。
【0025】
曲げ加工制御装置20は、ワークに対して曲げ加工を行う。曲げ加工制御装置20は、CPU21と、記憶装置22と、入出力インタフェース23とを備える。CPU21、記憶装置22、及び入出力インタフェース23は、それぞれ、打抜き加工制御装置10のCPU11、記憶装置12、及び入出力インタフェース13と同様の構成を有してもよい。入出力インタフェース23は、曲げ加工制御装置20と、打抜き加工制御装置10等の外部機器とを接続する。
【0026】
記憶装置22は、種々のデータ、及び曲げ加工制御装置20の機能を実現するために必要なプログラムと、後述の曲げ条件導出モデル221とを含む種々の情報を記録する。
【0027】
2.動作
2-1.前工程
図2は、
図1の加工管理システム100による前工程の動作を例示するフローチャートである。本実施の形態では、前工程の動作は、打抜き加工に関する動作である。
図2の処理は、例えば打抜き加工制御装置10のCPU11によって実行される。
【0028】
まず、CPU11は、打抜き加工機1を制御して、ワークに対して打抜き加工を施す(S11)。
【0029】
CPU11は、打抜き加工の際に荷重センサ5によって検出された荷重波形を、荷重センサ5から取得する(S12)。荷重波形は、打抜き加工の状態を示す加工状態データの一例である。CPU11は、金型に取り付けられた1又は複数の位置センサから位置データを取得してもよいし、他の加工状態データを取得してもよい。CPU11は、加工状態をモニタリングすることによる情報を取得して、取得したアナログ信号をデジタル信号に変換して波形として表現する処理、波形から特徴量を抽出する処理等を実施する。
【0030】
図3は、取得ステップS12で取得される荷重波形Lの一例を示すグラフである。
図3の荷重波形Lは、打抜き加工機1のパンチに取り付けられた荷重センサ5によって検出された荷重を示している。
図3のグラフでは、打抜き加工の1ショット中、パンチがワークに接触した時点から、時間経過とともにパンチに加わる荷重が大きくなって行くことがわかる。ワークの打抜きが完了すると、パンチに加わる荷重はなくなる。荷重波形Lは、打抜き加工機1の金型の工具部分にかかる負荷状態を表す。
【0031】
図2に戻り、CPU11は、摩耗予測モデル121を用いて打抜き加工機1の工具の摩耗量を予測する(S13)。例えば、CPU11は、ステップS12で取得された荷重波形Lを摩耗予測モデル121に入力し、摩耗予測モデル121から出力される予測摩耗量を取得する。
【0032】
摩耗予測モデル121は、荷重波形L等の加工状態データの入力に対して、打抜き加工機1の工具の摩耗量を示す情報を出力するように学習された学習済みモデルである。このような学習済みモデルは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network、CNN)の構造を有するモデルに多数の荷重波形及び工具摩耗量を学習させることによって得られる。
【0033】
打抜き加工等のプレス加工時に工具(パンチ又はワーク)に加わる荷重を時系列で示す波形は、工具の摩耗量に依存することが知られている。したがって、加工中に得られる荷重波形から、工具の摩耗量を推定することが考えられる。このように、荷重波形と工具の摩耗量との間には相関関係がある。
【0034】
摩耗予測モデル121の学習方法の一例は、次の通りである。まず、打抜きによる工具摩耗量と工具にかかる荷重波形とを含む学習用データセットを多数用意する。学習用データセットの工具摩耗量及び荷重波形は、シミュレーション等を用いて用意されてもよい。あるいは、学習用データセットの工具摩耗量及び荷重波形は、実験室環境での摩耗量に対する系統的な実験によって得られたデータであってもよい。すなわち、学習用データセットの工具摩耗量及び荷重波形は、それぞれ、ワークを打ち抜く前に計測された工具摩耗量、及び実際にワークを打ち抜く際に測定された荷重波形であってもよい。
【0035】
学習用データセットにおいて工具摩耗量は正解データであり、学習モデルは、このような正解データがラベルとして付された荷重波形を学習する。すなわち、摩耗予測モデル121のための学習用データセットにおいて、工具に係る荷重を示す荷重波形は説明変数であり、工具摩耗量は目的変数である。
【0036】
このようにして用意された多数の学習用データセットは、サーバ等の情報処理装置の記憶装置に格納されて、摩耗予測モデル121の学習に用いられる。
【0037】
摩耗予測モデル121は、例えば、これらの荷重波形のモデル波形と生産現場で得られる実波形を比較して、荷重波形のモデル波形と実波形との差分を最小にする波形を選定する。摩耗予測モデル121は、選定された波形に紐付けられる工具摩耗量を算出する。
【0038】
ステップS13の次に、CPU11は、バリ予測モデル122を用いて、ステップS11の加工によってワークに生じたバリの高さを予測する(S14)。
【0039】
バリ予測モデル122は、打抜き加工機1の工具の摩耗量を示す情報の入力に対して、ワークのバリ高さ(又はバリの大きさ)を出力するように学習された学習済みモデルである。このような学習済みモデルは、例えば、CNNの構造を有するモデルに多数の工具摩耗量及びバリ高さを学習させることによって得られる。
【0040】
バリ予測モデル122のための学習用データセットにおいて、バリ高さを示す情報は正解データであり、学習モデルは、このような正解データがラベルとして付された工具摩耗量を学習する。すなわち、バリ予測モデル122のための学習用データセットにおいて、工具摩耗量は説明変数であり、バリ高さは目的変数であるといえる。
【0041】
バリ予測モデル122のための学習用データセットは、例えば、実験室環境での摩耗量に対する系統的な実験によって得られたデータであってもよい。
図4は、工具摩耗量と打抜き後のバリ高さとの関係を例示するグラフである。バリ予測モデル122は、前述のような実験の結果を用いて用意された工具摩耗量と打抜き後のバリ高さとのデータセットを元にして、
図4に示すような関係性を求めておくことで、予測された工具摩耗量から、ワークのバリ高さを予測することができる。
【0042】
ここで、バリ高さの算出方法の一例を説明する。
図5は、打抜き加工後のワーク84の模式的な平面図である。
図5では、打抜き位置の設計寸法81を破線で示し、実際に打抜かれた領域を示す実打抜き寸法82を実線で示している。例えば、設計寸法81及び実打抜き寸法82は、設計寸法81の中心からの距離として測定される。実打抜き寸法82は、設計寸法81からずれることがある。
【0043】
図6は、バリ高さの算出方法の一例を説明するための図である。一例では、周長方向の全周にわたって実打抜き寸法82を測定し、周長方向の全周にわたって設計寸法81及びワークの打抜き寸法82の平均値を算出し、両平均値の差分をバリ高さ8として算出する。
【0044】
なお、上記のバリ高さの算出方法は一例に過ぎず、バリ高さの算出の基準は、必ずしも設計寸法81でなくてもよい。例えば、金型のパンチ、ダイ等の工具の摩耗がほとんど進行していない場合は、実打抜き寸法82と設計寸法81にはほとんど差が生じない。このことから、工具の摩耗がほとんど進行していない状態で打ち抜かれワークの打抜き寸法をバリ高さの算出の基準にしてもよい。
【0045】
また、上記では、残ワーク84の打抜き寸法82からバリ高さを算出する例を示したが、バリ高さは、抜き落とされたワークの寸法から算出されてもよい。
【0046】
図2に戻り、CPU11は、ステップS14で得られたバリ高さデータを、入出力インタフェース13を介して曲げ加工制御装置20に送信する(S15)。
【0047】
2-2.後工程
前工程で打抜き加工されたワーク84は曲げ加工機2に送られ、後工程として曲げ加工される。
【0048】
図7は、曲げ加工機2に投入されるワーク84の形状の一例を示す模式図である。
図7は、長方形形状を有するワーク84の例を示している。ワーク84の縁にはバリ83がある。例えば、曲げ加工機2は、
図7に示した破線A―Aでワーク84が曲がるように、ワーク84に曲げ加工を施す。
【0049】
図8は、
図1の加工管理システム100による後工程の動作を例示するフローチャートである。
図8の処理は、例えば曲げ加工制御装置20のCPU21によって実行される。
【0050】
まず、CPU21は、入出力インタフェース23を介して、曲げ加工制御装置20から送信されたバリ高さデータを取得する(S21)。このバリ高さデータは、ステップS15で曲げ加工制御装置20から送信されたデータである。
【0051】
次に、CPU21は、曲げ条件導出モデル221を用いて、曲げ条件を導出する(S22)。曲げ条件は、曲げ加工機2による曲げ加工の加工条件である。CPU21は、ステップS22で導出された曲げ条件に基づいて曲げ加工機2を制御し、ワークに対して曲げ加工を施す(S23)。
【0052】
曲げ条件導出モデル221は、バリ高さデータの入力に対して、曲げ角度等の曲げ条件を出力するモデルである。
【0053】
曲げ条件導出モデル221の一例は、バリ高さデータの入力に対して、曲げ角度等の曲げ条件を出力するように学習された学習済みモデルである。このような学習済みモデルは、例えば、CNNの構造を有するモデルに多数のバリ高さデータ及び曲げ条件を学習させることによって得られる。曲げ条件導出モデル221のための学習用データセットにおいて、曲げ条件を示す情報は正解データであり、学習モデルは、このような正解データがラベルとして付されたバリ高さデータを学習する。
【0054】
次に、曲げ条件導出モデル221の他の例を説明する。この例では、曲げ条件導出モデル221は、相関式で表される。相関式の一例は、曲げ品質を目的変数とし、曲げ条件及びワークの物性値を説明変数とする1又は複数の多項式で表される。例えば、相関式は、次の式(1)と式(2)とを含む。
【0055】
Y1 = f(X1)+f(X2)+f(X3)+f(X4)+f(X5)+f(X6)+f(X7)+f(X8) ・・・(1)
【0056】
Y2 = F(X1)+F(X2)+F(X3)+F(X4)+F(X5)+F(X6)+F(X7)+F(X8) ・・・(2)
【0057】
例えば、目的変数Y1は曲げ角度であり、目的変数Y2はねじれ角度である。
【0058】
説明変数については、例えば、X1は押し込み荷重、X2は押し込み位置、X3は押し込み速度、X4はワーク掴み荷重、X5はワークのバリ高さ、X6はワークの厚さ、X7はワークの材質、X8はワークの硬さ(硬度)を示す。
【0059】
f(Xn)及びF(Xn)は、説明変数Xnと目的変数との関係を示す相関関係式である。例えば、f(X1)は、押し込み荷重X1と曲げ角度Y1との関係を表す。
【0060】
例えば、各説明変数と各目的変数との相関関係式f(Xn)及びF(Xn)は、シミュレーション上で加工条件を多数の条件間で変化させることによって算出される。あるいは、又はこれに加えて、f(Xn)及びF(Xn)は、実験環境又は工場現場において加工条件を多数の条件間で変化させることによって得られた測定を用いて算出されてもよい。あるいは、f(Xn)及びF(Xn)は、現実の測定値とシミュレーションの測定値とに基づいて算出されてもよい。
【0061】
本実施の形態では、例えば、ワークのバリ高さX5が変動すると曲げ角度Y1が変動することになるが、曲げ条件導出モデル221は、このY1の変動値を相殺するように他の説明変数を制御して変動させることで、Y1を安定化させることができる。
【0062】
例えば、ワークのバリ高さX5が変動した場合、曲げ条件導出モデル221は、Y1の変動値を相殺するように、曲げ加工機2の押し込み荷重X1の変動値を算出する。これにより、曲げ条件導出モデル221を用いるCPU21は、曲げ加工の加工サイクルごとに、押し込み荷重を適正に制御することができる。
【0063】
このようにして、加工管理システム100は、曲げ品質を安定化させることができる。具体的には、加工管理システム100は、前工程においてワークのバリ高さ、厚さ、材質、硬さ等に変動があったとしても、後工程で曲げ加工された製品の品質が低下するおそれを低減することができる。例えば、前工程が原因でバリ高さが増加し、これにより曲げ方向におけるワークの剛性が増加することになったとしても、曲げ加工制御装置20は、剛性の増加分に合わせて曲げ加工における押し込み荷重を増加させるという制御をすることができる。このようにして、加工管理システム100は、ワークの曲げ角度を一定に保つことができる。
【0064】
以上のように、加工管理システム100は、前工程で予測されたワークの物性値に基づいて、後工程における加工条件を算出し、曲げ品質を安定化させることができる。
【0065】
3.効果等
以上のように、本実施の形態に係る加工方法は、打抜き加工機1に、第1の工程でワークを加工させるステップ(S11)と、第1の工程による加工後のワークの物性値を予測するステップ(S14)と、予測された物性値に基づいて、第2の工程によるワークの加工条件を決定するステップ(S22)とを含む。加工方法は、曲げ加工機2に、決定された加工条件に基づいて第2の工程でワークを加工させるステップ(S23)を更に含んでもよい。本実施の形態では、ステップS11及びS14はCPU11によって実行され、ステップS22及びS23はCPU21によって実行される。
【0066】
本方法によれば、予測された物性値に基づいて決定された加工条件を第2の工程で用いることにより、ワークの加工品質を向上させることができる。
【0067】
物性値を予測するステップは、第1の工程でのワークの加工の状態を示す加工状態データに基づいて、物性値を予測することを含んでもよい。例えば、物性値を予測するステップは、CPU11が、学習済みモデルに加工状態データを入力して学習済みモデルからの出力を取得し、その出力を物性値として決定することを含んでもよい。この構成によれば、ワークの加工品質を向上させることができる。
【0068】
物性値を予測するステップは、第1の工程でワークに加えられる荷重を示す荷重データに基づいて、物性値を予測することを含んでもよい。例えば、物性値を予測するステップは、荷重データに基づいて、打抜き加工機1の工具の摩耗量を推定し(S13)、推定された摩耗量に基づいて、物性値を予測すること(S14)を含んでもよい。
【0069】
(他の実施の形態)
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態としての変形例を説明する。
【0070】
(第1変形例)
上記実施の形態では、打抜き加工における工具摩耗がワークのバリ高さに影響を与え、打抜き加工制御装置10が、曲げ加工制御装置20にバリ高さデータを送信する例を説明した。しかしながら、打抜き加工における工具摩耗が影響を与え得るワークの物性値は、バリ高さに限定されない。例えば、打抜き加工は、ワークのバリ高さ、厚さ、硬さ、及び加工寸法のうちの少なくとも1つに影響を与え得る。
【0071】
前述のワークのバリ高さ、厚さ、硬さ、及び加工寸法は、本開示のワークの物性値の一例である。ワークの物性値は、ワークの形状、性質を含むワークの物理的性質を表す物理量である。
【0072】
打抜き加工における工具摩耗がワークのバリ高さに影響を与え得るのは、例えば、工具摩耗によりワークの引き伸ばし方が変化するからである。打抜き加工における工具摩耗がワークの厚さに影響を与え得るのは、例えば、工具摩耗によりワークの引き伸ばし方が変化するからである。打抜き加工における工具摩耗がワークの硬さに影響を与え得るのは、例えば、工具摩耗によりワークの加工硬化の仕方が変化するからである。打抜き加工における工具摩耗がワークの厚さに影響を与え得るのは、例えば、工具摩耗によりワークの引き伸ばし方が変化するからである。
【0073】
CPU11は、打抜き加工における工具摩耗が影響を与え得るワークの物性値に応じた物性値予測モデルを用いて、ワークの物性値を予測する。例えば、工具摩耗がワークの硬さに影響を与える場合、CPU11は、ステップS14に代えて、硬さ予測モデルを用いてワークの硬さを予測する。このように、予測モデルは、前工程により影響が生じ得るワークの物性値を予測するモデルであってもよい。このような予測モデルは、打抜き加工機1の工具の摩耗量を示す情報の入力に対して、ワークの物性値を出力するように学習された学習済みモデルである。
【0074】
(第2変形例)
上記実施の形態では、前工程が打抜き加工であり、後工程が曲げ加工である例を説明した。しかしながら、本開示の前工程及び後工程はこれらに限定されない。
【0075】
前工程は、打抜き加工以外の塑性加工、例えば曲げ加工又は鍛造加工であってもよい。前工程が曲げ加工である場合、第1の加工機は曲げ加工機である。前工程が鍛造加工である場合、第1の加工機は鍛造加工機である。
【0076】
後工程は、曲げ加工以外の塑性加工、例えば打抜き加工又は鍛造加工であってもよい。後工程が打抜き加工である場合、第2の加工機は打抜き加工機である。後工程が鍛造加工である場合、第2の加工機は鍛造加工機である。
【0077】
したがって、前工程及び後工程はいずれも、打抜き加工、曲げ加工、及び鍛造加工から選択可能である。この場合、前工程と後工程との組合せは9通りある。
【0078】
前工程が曲げ加工である場合、前工程が影響を与え得るワークの物性値は、例えば、ワークの厚さ、硬さ、及び加工寸法のうちの少なくとも1つである。
【0079】
曲げ加工がワークの厚さに影響を与え得るのは、曲げ加工での塑性変形がばらつき、加工箇所の厚さが変化するからである。曲げ加工がワークの硬さに影響を与え得るのは、例えば、曲げ加工での塑性変形がばらつき、加工箇所の硬さが変化するからである。曲げ加工がワークの加工寸法に影響を与え得るのは、例えば、ワーク押さえ部などの工具の摩耗により、曲げ時の張力が変わり、曲げ角度が変化するからである。
【0080】
前工程が鍛造加工である場合、前工程が影響を与え得るワークの物性値は、例えば、ワークの厚さ、硬さ、加工寸法、及びバリ高さのうちの少なくとも1つである。
【0081】
鍛造加工がワークの厚さに影響を与え得るのは、例えば、ワークの材料硬度、金型の摩耗等の影響により、鍛造加工によるワークのつぶれ量がバラつくためである。鍛造加工がワークの硬さに影響を与え得るのは、例えば、ワークの材料硬度、金型の摩耗等の影響により、鍛造加工によるワークのつぶれ量がバラつき、ワークの加工硬化量がバラつくためである。鍛造加工がワークの加工寸法に影響を与え得るのは、例えば、ワークの材料硬度、金型の摩耗等の影響により、鍛造加工によるワークのつぶれ量がバラつき、ワークの寸法がバラつくためである。鍛造加工がワークのバリ高さに影響を与え得るのは、例えば、バリを許容する金型設計があること等の原因により、バリ高さが制御できずにバラつくためである。
【0082】
後工程が打抜き加工である場合、CPU21は、ワークの物性値により、以下のように加工条件を変更する。例えば、前工程によってワークの硬さが変動する場合、CPU21は、打抜き速度を変更することで、衝撃力を増加させる。前工程によってバリ高さが変動する場合、CPU21は、打抜き時のパンチ押し込み量を変更することで、バリの影響によりカス詰まりが生じるおそれを低減することができる。
【0083】
後工程が曲げ加工である場合、CPU21は、ワークの物性値により、以下のように加工条件を変更する。例えば、前工程によってワークの厚さが変動する場合、CPU21は、曲げ加工時の押し込み荷重、押し込み位置、又はダイハイトを変える。前工程によってワークの硬さが変動する場合、CPU21は、曲げ加工時の押し込み荷重、押し込み位置、又はダイハイトを変える。前工程によってワークの加工寸法が変動する場合、CPU21は、曲げ中心又は曲げ位置をずらす。前工程によってワークのバリ高さが変動する場合、CPU21は、曲げ加工時の押し込み荷重、押し込み位置、又はダイハイトを変える。
【0084】
後工程が鍛造加工である場合、CPU21は、ワークの物性値により、以下のように加工条件を変更する。例えば、前工程によってワークの厚さが変動する場合、鍛造加工時の押し込み位置、押し込み量、又はダイハイトを変える。例えば、前工程によってワークの硬さが変動する場合、鍛造加工時の押し込み荷重を変える。例えば、前工程によってワークの加工寸法が変動する場合、鍛造加工時の押し込み位置、押し込み量、又はダイハイトを変える。
【0085】
本変形例では、曲げ条件導出モデル221に代えて、上記のような加工条件を導出する加工条件導出モデルが使用されてもよい。
【0086】
(第3変形例)
上記実施の形態では、第1の加工制御装置の一例である打抜き加工制御装置10と、第2の加工制御装置の一例である曲げ加工制御装置20とが、別体として設けられた例を説明した。しかしながら、第1の加工制御装置と第2の加工制御装置とは統合されていてもよい。例えば、第1の加工制御装置と第2の加工制御装置とは1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0087】
図9は、第3変形例に係る加工管理システム300の構成例を示すブロック図である。加工管理システム300は、打抜き加工機1と、曲げ加工機2と、荷重センサ5と、加工制御装置310を備える。加工制御装置310は、打抜き加工機1と、曲げ加工機2と、荷重センサ5とに接続されている。この接続は、ネットワークを介した接続であってもよい。したがって、加工制御装置310は、ネットワーク上のサーバ装置であってもよい。
【0088】
加工制御装置310は、CPU311と、記憶装置312と、入出力インタフェース313とを備える。CPU311、記憶装置312、及び入出力インタフェース313は、それぞれ、打抜き加工制御装置10のCPU11、記憶装置12、及び入出力インタフェース13と同様の構成を有してもよい。
【0089】
また、第1の加工制御装置及び第2の加工制御装置の機能(構成要素)は、3以上の筐体に分散して設けられていてもよい。第1の加工制御装置及び第2の加工制御装置のうちの少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0090】
(第4変形例)
上記実施の形態では、第1の加工機の一例である打抜き加工機1による加工工程と、第2の加工機の一例である曲げ加工機2による加工工程とが組み合わされた例について説明した。しかしながら、第1の加工機と第2の加工機とは統合されていてもよい。統合された加工機には、例えば、一般的に複合金型と呼ばれる金型が搭載される。複合金型においては、金型内の領域が複数に分割されている。複合金型を利用することにより、ワークを金型から取り出すことなく、複数の加工工程(例えば、上記の前工程及び後工程)を連続してワークに適用することができる。
【0091】
(第5変形例)
第1の加工制御装置及び/又は第2の加工制御装置は、ユーザに情報を報知する報知装置を備えてもよい。このような報知装置は、LED等の光源、ディスプレイ、表示器等の視覚的な報知装置、及び/又は、スピーカ、ブザー、クラクション等の音源(聴覚的な報知装置)を含み得る。
【0092】
例えば、第1の加工制御装置の一例である打抜き加工制御装置10のCPU11は、打抜き加工機1において、予測された工具摩耗量、又はワークのバリ高さの値に基づいて、打抜き状態が正常か否かを判定し、正常でないときに報知装置によって警報を発してもよい。
【0093】
また、第2の加工制御装置の一例である曲げ加工制御装置20は、ステップS21で取得したバリ高さデータ、又は曲げ加工状態に基づいて、加工状態が正常か否かを判定し、正常でないときに報知装置によって警報を発してもよい。
【0094】
(第6変形例)
上記実施の形態では、前工程が打抜き加工であり、後工程が曲げ加工である例を説明した。しかしながら、本開示の工程は2つに限定されず、3以上であってもよい。この場合、第2の加工制御装置の一例である曲げ加工制御装置20は、曲げ加工後のワークについて予測された物性値データを後続の工程を管理する第3の加工制御装置に送信してもよい。
【0095】
(第7変形例)
上記実施の形態では、打抜き加工の状態を示す加工状態データの一例として、荷重波形を挙げたが、加工状態データはこれに限定されない。例えば、加工状態データは、打抜き加工の状態を示す、荷重波形以外のデータであってもよい。また、例えば、加工状態データは、打抜き加工機1以外の第1の加工機による加工の状態を示すデータであってもよい。
【0096】
(態様例)
以下、本開示の態様を例示する。
【0097】
<態様1>
プロセッサが、加工機に、第1の工程で被加工物を加工させるステップと、
前記プロセッサが、前記第1の工程による加工後の前記被加工物の物性値を予測するステップと、
前記プロセッサが、予測された前記物性値に基づいて、第2の工程による前記被加工物の加工条件を決定するステップと、
を含む加工方法。
【0098】
<態様2>
前記プロセッサが、前記加工機に、決定された前記加工条件に基づいて前記第2の工程で前記被加工物を加工させるステップを更に含む、態様1に記載の加工方法。
【0099】
<態様3>
前記加工機は、第1の加工機と第2の加工機とを含み、
前記プロセッサは、
前記第1の加工機に、前記第1の工程で前記被加工物を加工させ、
前記第2の加工機に、前記第2の工程で前記被加工物を加工させる、
態様2に記載の加工方法。
【0100】
<態様4>
前記物性値は、前記第1の工程での加工によって変化する物理量である、態様1~3のいずれかに記載の加工方法。
【0101】
<態様5>
前記物性値は、前記被加工物のバリ高さ、厚さ、硬さ、及び加工寸法のうちの少なくとも1つである、態様4に記載の加工方法。
【0102】
<態様6>
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、前記第1の工程での前記被加工物の加工の状態を示す加工状態データに基づいて、前記物性値を予測することを含む、態様1~5のいずれかに記載の加工方法。
【0103】
<態様7>
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、学習済みモデルに前記加工状態データを入力して前記学習済みモデルからの出力を取得し、前記出力を前記物性値として決定することを含み、
前記学習済みモデルは、前記加工状態データの入力に対して前記物性値を出力するように学習されたモデルである、
態様6に記載の加工方法。
【0104】
<態様8>
前記第1の工程は、打抜き加工工程、曲げ加工工程、又は鍛造加工工程であり、
前記第2の工程は、打抜き加工工程、曲げ加工工程、又は鍛造加工工程である、
態様1~7のいずれかに記載の加工方法。
【0105】
<態様9>
前記第1の工程は、打抜き加工工程であり、
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、前記打抜き加工工程で前記被加工物に加えられる荷重を示す荷重データに基づいて、前記物性値を予測することを含む、
態様8に記載の加工方法。
【0106】
<態様10>
前記物性値を予測するステップは、前記プロセッサが、前記荷重データに基づいて、前記加工機の工具の摩耗量を推定し、推定された前記摩耗量に基づいて、前記物性値を予測することを含む、
態様9に記載の加工方法。
【0107】
<態様11>
加工機と、
前記加工機を制御するプロセッサとを備え、
被加工物の加工を管理する加工管理システムであって、
前記プロセッサは、
前記加工機に第1の工程で前記被加工物を加工させ、
前記第1の工程による加工後の前記被加工物の物性値を予測し、
予測された前記物性値に基づいて、第2の工程による前記被加工物の加工条件を決定する、
加工管理システム。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本開示は、加工方法及び加工管理システム、特に塑性加工の方法及び管理システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 打抜き加工機(第1の加工機)
2 曲げ加工機(第2の加工機)
5 荷重センサ
10 打抜き加工制御装置(第1の加工制御装置)
11 CPU(プロセッサ)
12 記憶装置
13 入出力インタフェース
20 曲げ加工制御装置(第2の加工制御装置)
21 CPU(プロセッサ)
22 記憶装置
23 入出力インタフェース
81 設計寸法
82 寸法
83 バリ
84 残ワーク
84 ワーク
100 加工管理システム
121 摩耗予測モデル
122 バリ予測モデル
221 条件導出モデル
300 加工管理システム
310 加工制御装置
311 CPU(プロセッサ)
312 記憶装置
313 入出力インタフェース