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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175981
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】太陽光パネル廃棄装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20241212BHJP
   B09B 101/15 20220101ALN20241212BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
B09B101:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094135
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】399036187
【氏名又は名称】エコシスAZ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】遠山 竜司
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA22
4D004AC07
4D004CA02
4D004CB12
(57)【要約】
【課題】撤去された太陽光パネルの効率的なリサイクルを実現可能とする、新規な構造の太陽光パネル廃棄装置を提供する。
【解決手段】太陽光パネル廃棄装置12であって、自動車14に搭載される装置フレーム16には、太陽光パネル1のフレーム部材3における一対の短辺枠4と一対の長辺枠5とにそれぞれ内側から係合可能とされた2対の係合爪72が各対向方向で接近及び離隔移動可能に設けられており、上下方向駆動手段96により係合爪72に上下方向で接近支持させた太陽光パネル1の一対の短辺枠4と一対の長辺枠5に対して各一対の係合爪72を内側から係合させて、水平方向駆動手段30で各一対の係合爪72を離隔方向へ駆動させることで、フレーム部材3を積層パネル本体2から離脱させるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層パネル本体の周囲を金属製のフレーム部材で囲んだ構造を有する太陽光パネルを廃棄するための太陽光パネル廃棄装置であって、
前記太陽光パネルが設置された現地を走行する自動車に搭載される装置フレームを備えており、
該装置フレームには、該太陽光パネルを下方から支持する支持部材が設けられており、
該装置フレームには、該支持部材の上方に位置する水平面内において直交2軸方向にそれぞれ対向状態で配置されて該太陽光パネルの前記フレーム部材における一対の短辺枠と一対の長辺枠とにそれぞれ内側から係合可能とされた2対の係合爪が各対向方向で接近及び離隔方向に移動可能に設けられており、
該支持部材によって支持された該太陽光パネルを該2対の係合爪に対して上下方向で相対的に接近及び離隔させる上下方向駆動手段を備えており、
該2対の係合爪を各対向方向で接近及び離隔方向に駆動させる水平方向駆動手段を備えており、
該上下方向駆動手段により該2対の係合爪に対して上下方向で接近させて支持せしめた該太陽光パネルの該一対の短辺枠と該一対の長辺枠に対して該各一対の係合爪を内側から係合させて、該水平方向駆動手段で各該一対の係合爪を離隔方向へ駆動させることで、該一対の短辺枠と該一対の長辺枠を該積層パネル本体から離脱させるようにしたことを特徴とする車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項2】
前記上下方向駆動手段を構成する駆動装置本体と前記水平方向駆動手段を構成する駆動装置本体が、前記装置フレームにおける最大横幅寸法と最大長さ寸法とを有する矩形状の平面枠内に納まるように配設されている請求項1に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項3】
前記上下方向駆動手段を構成する駆動装置本体と前記水平方向駆動手段を構成する駆動装置本体が、上下方向の投影において、前記支持部材で支持された前記太陽光パネルに重なる領域内に納まるように配設されている請求項1又は2に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項4】
前記水平方向駆動手段が、
単一の駆動装置本体と、
該駆動装置本体の駆動出力を前記2対の係合爪にそれぞれ伝達せしめて、該2対の係合爪を各対向方向で接近及び離隔方向に駆動させる伝動機構と
を、含んで構成されている請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項5】
前記支持部材が、前記太陽光パネルの前記積層パネル本体を下方から3以上の複数箇所でポイント的に支持する複数本の支持ロッドを有している請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項6】
前記上下方向駆動手段が、前記支持部材を上下方向に昇降させる請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項7】
前記2対の係合爪の少なくとも一対が、対向方向での相対的距離を調節可能とされている請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項8】
前記係合爪が着脱交換可能とされることによって、対向方向での相対的距離を調節可能とされている請求項7に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項9】
前記支持部材による前記太陽光パネルの支持位置に向けて、前記装置フレームの外方から該太陽光パネルを送り込むパネル搬送装置を備えている請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項10】
前記太陽光パネルの外周側に位置して、前記積層パネル本体から離脱した前記フレーム部材の該積層パネル本体から外周側への変位量を制限する飛出防止部を備えている請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項11】
前記飛出防止部が前記係合爪に一体的に設けられている請求項10に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項12】
前記水平方向駆動手段において、
前記フレーム部材の前記一対の短辺枠に対して内側から係合される前記一対の係合爪を離隔方向に駆動させて該一対の短辺枠を前記積層パネル本体から離脱させると共に、
前記フレーム部材の前記一対の長辺枠に対して内側から係合される前記一対の係合爪を離隔方向に駆動させて、該一対の短辺枠が離脱された該積層パネル本体における該一対の長辺枠を該積層パネル本体から離脱させる
作動制御装置が設けられている請求項1又は2に記載の車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置。
【請求項13】
請求項1又は2に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置が搭載されて、前記装置フレームが車両ボデーへ固定されていることを特徴とする現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車。
【請求項14】
全体寸法が普通自動車の規格寸法範囲内に納まっている請求項13に記載の現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車。
【請求項15】
積層パネル本体の周囲を金属製のフレーム部材で囲んだ構造とされた太陽光パネルの廃棄方法であって、
前記太陽光パネルが設置された現地において、複数の該太陽光パネルのそれぞれについて該積層パネル本体から該フレーム部材を取り外すと共に、該フレーム部材を一対の短辺枠と一対の長辺枠とに分解する工程と、
該フレーム部材が取り外されて単体状態とされた該積層パネル本体の複数枚を相互に重ね合わせた積層状態としてまとめる工程と、
該積層パネル本体から取り外されて分解された該短辺枠と該長辺枠からなるフレーム部材の複数本を相互にまとめる工程と、
該まとめられた複数枚の積層パネル本体を、積層パネル処理施設へまとめてトラック輸送する工程と、
該まとめられた複数本のフレーム部材を、金属処理施設へまとめてトラック輸送する工程と
を、含むことを特徴とする現場処理型の太陽光パネル廃棄方法。
【請求項16】
前記太陽光パネルが設置された現地において、複数の該太陽光パネルのそれぞれについて前記積層パネル本体から前記フレーム部材を取り外すと共に、該フレーム部材を前記一対の短辺枠と前記一対の長辺枠とに分解するに際して、請求項1又は2に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置を用いる請求項15に記載された現場処理型の太陽光パネル廃棄方法。
【請求項17】
積層パネル本体の周囲を金属製のフレーム部材で囲んだ構造を有する太陽光パネルを廃棄するための太陽光パネル廃棄装置であって、
設置用の装置フレームを備えており、
該装置フレームには、前記太陽光パネルを下方から支持する支持部材が設けられており、
該装置フレームには、該支持部材の上方に位置する水平面内において直交2軸方向にそれぞれ対向状態で配置されて該太陽光パネルの前記フレーム部材における一対の短辺枠と一対の長辺枠とにそれぞれ内側から係合可能とされた2対の係合爪が各対向方向で接近及び離隔方向に移動可能に設けられており、
該支持部材によって支持された該太陽光パネルを該2対の係合爪に対して上下方向で相対的に接近及び離隔させる上下方向駆動手段を備えており、
該2対の係合爪を各対向方向で接近及び離隔方向に駆動させる水平方向駆動手段を備えており、
該上下方向駆動手段により該2対の係合爪に対して上下方向で接近させて支持せしめた該太陽光パネルの該一対の短辺枠と該一対の長辺枠に対して該各一対の係合爪を内側から係合させて、該水平方向駆動手段で各該一対の係合爪を離隔方向へ駆動させることで、該一対の短辺枠と該一対の長辺枠を該積層パネル本体から離脱させるようになっており、
該太陽光パネルの外周側に位置して、該積層パネル本体から離脱した該フレーム部材の該積層パネル本体から外周側への変位量を制限する飛出防止部が、該係合爪に一体的に設けられていることを特徴とする太陽光パネル廃棄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルを廃棄するための太陽光パネル廃棄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、化石燃料を必要としないクリーンエネルギーへの要求の高まりから、太陽光をエネルギー源として発電を行う太陽光パネルの普及が進んでいる。太陽光パネルは、例えば、シリコン(ケイ素)結晶、ヒ化ガリウムなどの化合物半導体、アモルファスシリコン等で形成された太陽電池とその表面を覆うカバーガラスとを含む積層パネル本体と、積層パネル本体の外周を囲む金属製のフレーム部材とを、備えている。
【0003】
ところで、太陽光パネルは、耐用年数が一般的に25年程度とされており、耐用年数を経過した太陽光パネルは、安全性や土地の有効利用等の観点から速やかに撤去する必要がある。現時点では、耐用年数を経過した太陽光パネルは少ないが、太陽光パネルが急速に普及したことから、今後多くの太陽光パネルを撤去する必要が生じることも予測される。
【0004】
従来、撤去された太陽光パネルは、粉砕処理された後で埋立て処分されていたが、環境への配慮からリサイクル化が求められている。太陽光パネルのリサイクル方法としては、全体を破砕した後で分別してリサイクルする破砕方式が一般的だが、破砕後の分別では分別精度を高めることが難しく、リサイクル率が低いという問題があった。
【0005】
一方、太陽光パネルを分解して分別した後で破砕してリサイクルする分離方式も検討されている。分離方式では、金属製のフレーム部材を積層パネル本体から取り外すことによって、リサイクル率を大幅に高めることができる。フレーム部材の積層パネル本体からの分離は、例えば、特許第6964910号公報(特許文献1)に記載された太陽光パネルの解体装置によって半自動的に行うことが検討されている。特許文献1の解体装置は、太陽光パネルを載置部上に載置・固定して、太陽光パネルのフレーム部材を押出し部材によって太陽光パネルの外周側へ押し出すことで、フレーム部材を積層パネル本体から分離させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6964910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の太陽光パネルの解体装置は、太陽光パネルの撤去現場から離れた処理施設に設置して使用するものであって、撤去した太陽光パネルをトラックに積み込んで処理施設へ輸送する必要がある。しかし、本発明者が検討したところ、太陽光パネルはフレーム部材の厚さ寸法が積層パネル本体よりも大きく、複数の太陽光パネルを厚さ方向に積み重ねてトラックで輸送しようとすると、フレーム部材同士の重なり合いによって厚さ方向でかさばることから、輸送の効率が悪いという問題があった。
【0008】
本発明の解決課題は、撤去された太陽光パネルの効率的なリサイクルを実現可能とする、新規な構造の太陽光パネル廃棄装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明は、上述の太陽光パネル廃棄装置が搭載された太陽光パネル廃棄装置付き自動車を提供することも目的とする。更に、本発明は、撤去された太陽光パネルの効率的なリサイクルを実現可能とする、新規な太陽光パネル廃棄方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0011】
第一の態様は、
積層パネル本体の周囲を金属製のフレーム部材で囲んだ構造を有する太陽光パネルを廃棄するための太陽光パネル廃棄装置であって、前記太陽光パネルが設置された現地を走行する自動車に搭載される装置フレームを備えており、該装置フレームには、該太陽光パネルを下方から支持する支持部材が設けられており、該装置フレームには、該支持部材の上方に位置する水平面内において直交2軸方向にそれぞれ対向状態で配置されて該太陽光パネルの前記フレーム部材における一対の短辺枠と一対の長辺枠とにそれぞれ内側から係合可能とされた2対の係合爪が各対向方向で接近及び離隔方向に移動可能に設けられており、該支持部材によって支持された該太陽光パネルを該2対の係合爪に対して上下方向で相対的に接近及び離隔させる上下方向駆動手段を備えており、該2対の係合爪を各対向方向で接近及び離隔方向に駆動させる水平方向駆動手段を備えており、該上下方向駆動手段により該2対の係合爪に対して上下方向で接近させて支持せしめた該太陽光パネルの該一対の短辺枠と該一対の長辺枠に対して該各一対の係合爪を内側から係合させて、該水平方向駆動手段で各該一対の係合爪を離隔方向へ駆動させることで、該一対の短辺枠と該一対の長辺枠を該積層パネル本体から離脱させるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、上下方向駆動手段によって太陽光パネルを2対の係合爪に対して上下方向で接近させた状態で、水平方向駆動手段によって2対の係合爪を太陽光パネルのフレーム部材における一対の短辺枠と一対の長辺枠とに係合させて離隔方向へ駆動させることにより、フレーム部材の長辺枠及び短辺枠を積層パネル本体から簡単に取り外すことができる。それゆえ、太陽光パネルが設置された現地において、作業者が手作業でフレーム部材を積層パネル本体から取り外す場合に比して、フレーム部材を積層パネル本体から短時間で簡単に分離させることができる。そして、積層パネル本体と金属製のフレーム部材とを破砕前に分離させることにより、それら積層パネル本体とフレーム部材とを精度よく分別してリサイクルすることができて、特に破砕後に分別する破砕方式のリサイクルに比して、リサイクル効率の大幅な向上が図られる。
【0013】
また、本態様に係る太陽光パネル廃棄装置は、自動車に搭載される装置フレームを備えた車載型とされていることから、太陽光パネルが設置された現地へ容易に持ち込むことが可能であり、現地において積層パネル本体とフレーム部材とを分離させることができる。それゆえ、積層パネル本体と、積層パネル本体に比して厚さ寸法が大きいフレーム部材とを、別々にトラック等に積み込んで輸送することが可能となって、輸送効率の向上が図られる。
【0014】
しかも、自動車に搭載可能とされていることから、太陽光パネル廃棄装置を太陽光パネルが設置された現地へ簡単に輸送することが可能であり、現地でのフレーム部材の分離処理を簡単に実現することができる。
【0015】
第二の態様は、第一の態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記上下方向駆動手段を構成する駆動装置本体と前記水平方向駆動手段を構成する駆動装置本体が、前記装置フレームにおける最大横幅寸法と最大長さ寸法とを有する矩形状の平面枠内に納まるように配設されているものである。
【0016】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、上下方向駆動手段の駆動装置本体と左右方向駆動手段の駆動装置本体とが、水平方向において装置フレームから突出することなく装置フレーム内に納まっていることにより、極端に偏った重量バランスになり難い。それゆえ、例えば、トラックの荷台に装置フレームを載せて太陽光パネル廃棄装置をトラックに搭載する場合に、トラックの走行性能への悪影響を抑えることができて、太陽光パネルの設置現場が傾斜地や不整地であったとしても、走行安定性を確保し易い。
【0017】
第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記上下方向駆動手段を構成する駆動装置本体と前記水平方向駆動手段を構成する駆動装置本体が、上下方向の投影において、前記支持部材で支持された前記太陽光パネルに重なる領域内に納まるように配設されているものである。
【0018】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、上下方向駆動手段の駆動装置本体と左右方向駆動手段の駆動装置本体とが、上下方向の投影において太陽光パネルに重なる領域内に納まっていることにより、極端に偏った重量バランスになり難い。それゆえ、例えば、トラックの荷台に装置フレームを載せて太陽光パネル廃棄装置をトラックに搭載する場合に、トラックの走行性能への悪影響を抑えることができて、太陽光パネルの設置現場が傾斜地や不整地であったとしても、走行安定性を確保し易い。
【0019】
第四の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記水平方向駆動手段が、単一の駆動装置本体と、該駆動装置本体の駆動出力を前記2対の係合爪にそれぞれ伝達せしめて、該2対の係合爪を各対向方向で接近及び離隔方向に駆動させる伝動機構と
を、含んで構成されているものである。
【0020】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、2対の係合爪を1つの駆動装置本体によって駆動させることができて、係合爪ごとに駆動装置本体を設ける場合に比して、構造の簡単化や軽量化が図られると共に、駆動時の消費エネルギーを抑えることもできる。
【0021】
第五の態様は、第一~第四の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記支持部材が、前記太陽光パネルの前記積層パネル本体を下方から3以上の複数箇所でポイント的に支持する複数本の支持ロッドを有しているものである。
【0022】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、積層パネル本体が支持ロッドによってポイント的に支持されることにより、例えば損傷等によって積層パネル本体の下面が平坦ではなかったとしても、がたつき等の少ない安定した支持が可能になる。
【0023】
第六の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記上下方向駆動手段が、前記支持部材を上下方向に昇降させるものである。
【0024】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、水平方向駆動手段による係合爪の駆動構造を、上下方向駆動手段で昇降させる必要がなく、上下方向駆動手段によって昇降する部分を簡単な構造で軽量とすることができる。
【0025】
第七の態様は、第一~第六の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記2対の係合爪の少なくとも一対が、対向方向での相対的距離を調節可能とされているものである。
【0026】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、係合爪の対向方向での相対的な距離を調節することで、サイズの異なる複数種類の太陽光パネルの分解処理に容易に対応可能となる。
【0027】
第八の態様は、第七の態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記係合爪が着脱交換可能とされることによって、対向方向での相対的距離を調節可能とされているものである。
【0028】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、係合爪の交換によって係合爪の対向方向での相対的な距離を簡単に調節することができる。
【0029】
第九の態様は、第一~第八の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記支持部材による前記太陽光パネルの支持位置に向けて、前記装置フレームの外方から該太陽光パネルを送り込むパネル搬送装置を備えているものである。
【0030】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、パネル搬送装置によって、太陽光パネルを装置フレームの外方から支持部材による適切な支持位置まで容易に送り込むことができて、太陽光パネルの分解処理をより簡単にすることができる。
【0031】
第十の態様は、第一~第九の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記太陽光パネルの外周側に位置して、前記積層パネル本体から離脱した前記フレーム部材の該積層パネル本体から外周側への変位量を制限する飛出防止部を備えているものである。
【0032】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、係合爪によって積層パネル本体から外周側へ分離されるフレーム部材が、積層パネル本体から外周側へ大きく飛び出すのを、飛出防止部によって防ぐことができる。それゆえ、積層パネル本体から分離したフレーム部材の飛散が抑制されて、フレーム部材を容易に回収することができる。
【0033】
第十一の態様は、第十の態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置において、前記飛出防止部が前記係合爪に一体的に設けられているものである。
【0034】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、フレーム部材を積層パネル本体から離脱させる係合爪に飛出防止部を設けることにより、フレーム部材の飛び出しを積層パネル本体から近い位置で速やかに制限することができる。
【0035】
第十二の態様は、第一~第十一の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置であって、前記水平方向駆動手段において、前記フレーム部材の前記一対の短辺枠に対して内側から係合される前記一対の係合爪を離隔方向に駆動させて該一対の短辺枠を前記積層パネル本体から離脱させると共に、前記フレーム部材の前記一対の長辺枠に対して内側から係合される前記一対の係合爪を離隔方向に駆動させて、該一対の短辺枠が離脱された該積層パネル本体における該一対の長辺枠を該積層パネル本体から離脱させる作動制御装置が設けられているものである。
【0036】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、短辺枠と長辺枠が積層パネル本体から順次に取り外されることから、フレーム部材を積層パネル本体から取り外すと共に、フレーム部材を一対の短辺枠と一対の長辺枠とに分解することができる。
【0037】
また、一対の短辺枠を一対の長辺枠に先立って取り外すことで、各枠をより良好に分解することが可能になる。即ち、一般に短辺枠と長辺枠は、積層パネル本体に固着されていることから、積層パネル本体に対する固着力は辺長の長い長辺枠の方が短辺枠よりも大きい。また、短辺枠と長辺枠は、隣り合う枠相互間でも固着されている。それゆえ、積層パネル本体への固着力の小さい短辺枠を先に外すことで、長辺枠の取り外しに際して隣り合う枠相互間の固着力を取り除いて、長辺枠の取り外しに要する力を軽減できて、水平方向駆動手段を駆動させる動力源の小型化や、短辺枠及び長辺枠の変形量の軽減などが図られ得る。
【0038】
第十三の態様は、現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車であって、第一~第十二の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置が搭載されて、前記装置フレームが車両ボデーへ固定されていることを特徴とするものである。
【0039】
本態様に従う構造とされた現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車によれば、太陽光パネル廃棄装置が搭載されていることにより、太陽光パネルの設置現場へ自動車で乗り付けるだけで、太陽光パネル廃棄装置を簡単に太陽光パネルの設置現場へ持ち込むことができる。
【0040】
また、太陽光パネル廃棄装置が装置フレームを備えていることから、太陽光パネル廃棄装置の装置フレームを車両ボデーに固定することにより、太陽光パネル廃棄装置を自動車に簡単に搭載することができる。
【0041】
第十四の態様は、第十三の態様に記載された現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車において、全体寸法が普通自動車の規格寸法範囲内に納まっているものである。
【0042】
本態様に従う構造とされた現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車によれば、全体寸法が普通自動車の規格寸法範囲内に納まっていることによって、普通自動車用の運転免許で運転することができる。
【0043】
第十五の態様は、積層パネル本体の周囲を金属製のフレーム部材で囲んだ構造とされた太陽光パネルの廃棄方法であって、(a)前記太陽光パネルが設置された現地において、複数の該太陽光パネルのそれぞれについて該積層パネル本体から該フレーム部材を取り外すと共に、該フレーム部材を一対の短辺枠と一対の長辺枠とに分解する工程と、(b)該フレーム部材が取り外されて単体状態とされた該積層パネル本体の複数枚を相互に重ね合わせた積層状態としてまとめる工程と、(c)該積層パネル本体から取り外されて分解された該短辺枠と該長辺枠からなるフレーム部材の複数本を相互にまとめる工程と、(d)該まとめられた複数枚の積層パネル本体を、積層パネル処理施設へまとめてトラック輸送する工程と、(e)該まとめられた複数本のフレーム部材を、金属処理施設へまとめてトラック輸送する工程とを、含むことを特徴とするものである。
【0044】
本態様に従う太陽光パネルの廃棄方法によれば、太陽光パネルが設置された現地において、撤去された太陽光パネルについてフレーム部材を積層パネル本体から取り外して、積層パネル本体の複数枚を積層状態でまとめて、積層パネル処理施設へトラック輸送することにより、積層パネル本体を太陽光パネルの設置現場から効率的に運び出すことができる。また、積層パネル本体から取り外されたフレーム部材を一対の短辺枠及び一対の長辺枠に分解して、短辺枠及び長辺枠の複数本を相互にまとめて、金属処理施設へトラック輸送することにより、フレーム部材を太陽光パネルの設置現場から効率的に運び出すことができる。
【0045】
第十六の態様は、第十五の態様に記載された太陽光パネルの廃棄方法において、前記太陽光パネルが設置された現地において、複数の該太陽光パネルのそれぞれについて前記積層パネル本体から前記フレーム部材を取り外すと共に、該フレーム部材を前記一対の短辺枠と前記一対の長辺枠とに分解するに際して、請求項1又は2に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置を用いるものである。
【0046】
本態様に従う構造とされた車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によれば、第一~第十二の何れか1つの態様に記載された車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置を用いることによる効果を得ることができる。
【0047】
第十七の態様は、積層パネル本体の周囲を金属製のフレーム部材で囲んだ構造を有する太陽光パネルを廃棄するための太陽光パネル廃棄装置であって、設置用の装置フレームを備えており、該装置フレームには、前記太陽光パネルを下方から支持する支持部材が設けられており、該装置フレームには、該支持部材の上方に位置する水平面内において直交2軸方向にそれぞれ対向状態で配置されて該太陽光パネルの前記フレーム部材における一対の短辺枠と一対の長辺枠とにそれぞれ内側から係合可能とされた2対の係合爪が各対向方向で接近及び離隔方向に移動可能に設けられており、該支持部材によって支持された該太陽光パネルを該2対の係合爪に対して上下方向で相対的に接近及び離隔させる上下方向駆動手段を備えており、該2対の係合爪を各対向方向で接近及び離隔方向に駆動させる水平方向駆動手段を備えており、該上下方向駆動手段により該2対の係合爪に対して上下方向で接近させて支持せしめた該太陽光パネルの該一対の短辺枠と該一対の長辺枠に対して該各一対の係合爪を内側から係合させて、該水平方向駆動手段で各該一対の係合爪を離隔方向へ駆動させることで、該一対の短辺枠と該一対の長辺枠を該積層パネル本体から離脱させるようになっており、該太陽光パネルの外周側に位置して、該積層パネル本体から離脱した該フレーム部材の該積層パネル本体から外周側への変位量を制限する飛出防止部が、該係合爪に一体的に設けられていることを特徴とするものである。
【0048】
本態様に従う構造とされた太陽光パネル廃棄装置によれば、係合爪によって積層パネル本体から外周側へ分離されるフレーム部材が、積層パネル本体から外周側へ大きく飛び出すのを、飛出防止部によって防ぐことができる。それゆえ、積層パネル本体から分離したフレーム部材の飛散が抑制されて、フレーム部材を容易に回収することができる。しかも、フレーム部材を積層パネル本体から離脱させる係合爪に飛出防止部を設けることにより、フレーム部材の飛び出しを積層パネル本体から近い位置で速やかに制限することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、撤去された太陽光パネルの効率的なリサイクルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の第一の実施形態としての現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車を示す斜視図
図2図1に示す現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車の平面図
図3図1に示す現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車の右側面図
図4図1に示す現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車の背面図
図5図1に示す車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置を構成する上部分解装置を示す斜視図
図6図5に示す上部分解装置の正面図
図7図5に示す上部分解装置の平面図
図8図5に示す上部分解装置の右側面図
図9図1に示す車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置を構成する下部支持装置を示す斜視図
図10図9に示す下部支持装置の正面図
図11図9に示す下部支持装置の右側面図
図12図9に示す下部支持装置の底面図
図13図1に示す車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置によるフレーム部材の取外し工程を説明する要部拡大図
図14】本発明の別の一実施形態としての車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0052】
図1図4には、本発明の第一の実施形態としての現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車10が示されている。現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車10は、車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置12(以下、太陽光パネル廃棄装置12と称する)が、自動車14に搭載された構造とされている。以下の説明において、上下方向とは鉛直上下方向である図3中の上下方向を、前後方向とは自動車14の前後方向である図3中の左右方向を、左右方向とは自動車14の左右方向である図2中の左右方向を、それぞれ言う。
【0053】
太陽光パネル廃棄装置12は、太陽光パネル1の廃棄に使用される装置であって、装置フレーム16に対して、上部分解装置18と、下部支持装置20とが、取り付けられた構造を有している。
【0054】
装置フレーム16は、例えば、長手状の鋼材を組み合わせて構成されており、前後一対の矩形枠部22,22と、それら矩形枠部22,22を下辺部の両隅部において前後方向で相互に連結する下連結部24,24と、矩形枠部22,22を上辺部の左右中間において前後方向で相互に連結する上連結部26,26と、を含んでいる。矩形枠部22,22は、上下方向の外寸よりも左右方向の外寸が大きくされた長方形矩状とされており、下辺部の両隅部から下方へ延び出す支持脚部28によって、自動車14の荷台140(後述)に連結されている。そして、支持脚部28の荷台140への固定によって、装置フレーム16が自動車14の荷台140に搭載されている。装置フレーム16の外寸は、普通自動車の規格寸法内に納まるように設定されている。本実施形態では、装置フレーム16の上下方向の外寸が自動車14の上下方向の最大寸法以下とされており、左右方向の外寸が自動車14の左右方向の最大寸法以下とされており、前後方向の外寸が自動車14の前後方向の最大寸法以下とされている。特に、装置フレーム16の前後方向と左右方向の各外寸は、自動車14の荷台140の前後方向と左右方向の各外寸よりも小さくされており、荷台140上に納まる大きさとされている。
【0055】
上部分解装置18は、後述する複数の係合爪72を駆動する水平方向駆動手段としての水平駆動装置30を備えている。水平駆動装置30は、図5図8にも示すように、上下方向視において四角枠状とされた枠状取付部材32の内周側に、駆動装置本体としての水平出力装置34と、伝動機構としての水平伝動機構36とが、配設された構造を有している。枠状取付部材32は、4本の直線的に延びる鋼材を組み合わせて四角枠状とすることで形成されており、上下方向視において前後外寸が左右外寸よりも大きくされた長方形とされている。
【0056】
水平出力装置34は、外部からの電源等の動力源の供給によって駆動出力を発生するアクチュエータであって、本実施形態では、電動式のリニアアクチュエータとされている。即ち、本実施形態の水平出力装置34は、長手軸状のピストンロッド38と、ピストンロッド38の一方の端部が挿入されたシリンダ40とを備える油圧シリンダとされており、図示しない油圧ポンプによって作動流体である鉱油をシリンダ40に対して供給又は排出することで、ピストンロッド38がシリンダ40に対して軸方向に相対移動するようになっている。なお、水平出力装置34の作動流体は、鉱油に限定されるものではなく、他の液体であってもよいし、空気等の気体であってもよい。また、水平出力装置34は、リニアアクチュエータに限定されるものではなく、例えば、回転駆動力を出力する電気モータ等であってもよい。
【0057】
水平出力装置34のシリンダ40は、第一のプレート部材42に取り付けられている。第一のプレート部材42は、前後方向が長手とされた平板状であって、後部がシリンダ40の下面に重ね合わされてシリンダ40に固定されていると共に、前部にはピストンロッド38の下方において上下方向に貫通する前後長尺の第一の前後スリット44が形成されている。また、第一のプレート部材42の前端部には、板状のガイド部46が上方へ突出して設けられており、ガイド部46を前後板厚方向に貫通する円形孔に対して、ピストンロッド38の前端部分が軸方向に摺動可能に挿通されている。これにより、ピストンロッド38が軸方向の駆動時にガイド部46によって案内されて、ピストンロッド38の軸ブレが抑えられる。また、第一のプレート部材42は、前部の一部において左右両外側へ向けて突出しており、当該突出部分には、上下方向に貫通して左右方向に直線的に延びる第一の左右スリット48がそれぞれ形成されている。
【0058】
第一のプレート部材42の下方には、第二のプレート部材50が配されている。第二のプレート部材50は、上下方向視においてL字形状とされた板材であって、上下板厚方向に貫通して前後方向に直線的に延びる第二の前後スリット52と、上下板厚方向に貫通して左右方向に直線的に延びる第二の左右スリット54とを、備えている。第二のプレート部材50は、第一のプレート部材42の前部の下方に離隔して略平行に配されており、第二の前後スリット52が第一の前後スリット44と上下方向の投影において重なる位置に配置されている。
【0059】
水平出力装置34のピストンロッド38は、水平伝動機構36に接続されている。水平伝動機構36は、相互にピン接合された複数のリンクを備えたリンク装置とされている。水平伝動機構36は、前方リンク装置56aと、後方リンク装置56bと、左方リンク装置56cと、右方リンク装置56dとを、備えている。
【0060】
より具体的には、ピストンロッド38の途中に下方へ延び出す出力部材58が固定されており、出力部材58が第一のプレート部材42の第一の前後スリット44を貫通して下方へ突出している。出力部材58の下端部は、出力部材58から前方へ延び出す第一の前リンク60aと、出力部材58から後方へ延び出す第一の後リンク60bと、出力部材58から左方へ延び出す第一の左リンク60cと、出力部材58から右方へ延び出す第一の右リンク60dとに、それぞれ接続されている。前後左右の第一のリンク60a,60b,60c,60dは、それぞれ長手板状とされて、両端部分には上下板厚方向に貫通するピン接合用の円形孔が形成されている。そして、前後左右の第一のリンク60a,60b,60c,60dは、何れも、一方の端部が出力部材58によって軸支されており、上下方向に延びる軸回りで出力部材58に対する回転が許容されている。
【0061】
第一の前リンク60aは、出力部材58と反対側の他方の端部が、第二の前リンク62aの一方の端部に対して、上下軸回りでの相対回転を許容するようにピン接合されている。第二の前リンク62aは、第一の前リンク60aと同様に長手板状で両端部分に円形孔が形成された構造とされており、第一の前リンク60aの前端部よりも前方へ延び出している。第一の前リンク60aと第二の前リンク62aとを接合するピンは、第二のプレート部材50の第二の左右スリット54に挿入されており、第一の前リンク60aと第二の前リンク62aとの接続部分の変位方向が左右方向に限定されている。
【0062】
第二の前リンク62aの他方の端部は、前方駆動部材64aに接続されている。前方駆動部材64aは、左右方向に直線的に延びる長手状の部材であって、左右方向の中央部分に第二の前リンク62aの他方の端部が接続されている。第二の前リンク62aは、前方駆動部材64aに対してピン接合されており、接合部分における上下軸回りでの回転が許容されている。
【0063】
そして、ピストンロッド38が前後方向に駆動すると、第一の前リンク60aと第二の前リンク62aとを含んで構成された前方リンク装置56aを介して、ピストンロッド38の出力が前方駆動部材64aへ伝達されて、前方駆動部材64aが前後方向に移動させられる。
【0064】
前方駆動部材64aには、それぞれ円形ロッド状とされた2本の前方連結ロッド66a,66aが、左右方向の両端部分から後方へ向けて延び出すように固定されており、枠状取付部材32の前方辺部を前後方向に貫通している。枠状取付部材32よりも前方へ突出した前方連結ロッド66a,66aの前端部は、前方爪保持部材68aに固定されている。前方爪保持部材68aは、左右方向に直線的に延びる長手状の部材とされている。前方爪保持部材68aは、前方連結ロッド66aが枠状取付部材32に対する前後方向の相対変位を許容されていることから、前方駆動部材64aの前後方向への移動に伴って、前方駆動部材64aと一体的に前後方向へ移動する。
【0065】
第一の後リンク60bは、出力部材58と反対側の端部である他方の端部が、後方駆動部材64bにピン接合されており、接合部分における上下軸回りでの回転が許容されている。そして、ピストンロッド38が前後方向に駆動すると、第一の後リンク60bを含んで構成された後方リンク装置56bを介して、ピストンロッド38の出力が後方駆動部材64bへ伝達されて、後方駆動部材64bが前後方向に移動させられる。
【0066】
後方駆動部材64bには、それぞれ円形ロッド状とされた2本の後方連結ロッド66b,66bが、左右方向の両端部分から後方へ向けて延び出すように固定されており、枠状取付部材32の後方辺部を前後方向に貫通している。枠状取付部材32よりも後方へ突出した後方連結ロッド66b,66bの後端部は、後方爪保持部材68bに固定されている。後方爪保持部材68bは、左右方向に直線的に延びる長手状の部材とされている。後方爪保持部材68bは、後方連結ロッド66bが枠状取付部材32に対する前後方向の相対変位を許容されていることから、後方駆動部材64bの前後方向への移動に伴って、後方駆動部材64bと一体的に前後方向へ移動する。
【0067】
前方駆動部材64aと後方駆動部材64bは、ピストンロッド38の駆動時に、相互に前後方向の反対側へ向けて駆動され、前方爪保持部材68aと後方爪保持部材68bも相互に前後方向の反対側へ向けて駆動される。即ち、前方駆動部材64a(前方爪保持部材68a)が前方へ移動する場合には、後方駆動部材64b(後方爪保持部材68b)が後方へ移動し、前方駆動部材64a(前方爪保持部材68a)が後方へ移動する場合には、後方駆動部材64b(後方爪保持部材68b)が前方へ移動する。
【0068】
第一の左リンク60cは、出力部材58と反対側の他方の端部が、第二の左リンク62cの一方の端部に対して、上下軸回りでの相対回転を許容するようにピン接合されている。第二の左リンク62cは、第一の左リンク60cと同様に長手板状で両端部分に円形孔が形成された構造とされており、第一の左リンク60cの左端部よりも左方へ延び出している。第一の左リンク60cと第二の左リンク62cとを接合するピンは、第一のプレート部材42の左側の第一の左右スリット48に挿入されており、第一の左リンク60cと第二の左リンク62cとの接続部分の変位方向が左右方向に限定されている。
【0069】
第二の左リンク62cの他方の端部は、左方駆動部材64cに接続されている。左方駆動部材64cは、前後方向に直線的に延びる長手状の部材であって、前後方向の中央部分に第二の左リンク62cの他方の端部が接続されている。第二の左リンク62cは、左方駆動部材64cに対してピン接合されており、接合部分における上下軸回りでの回転が許容されている。
【0070】
そして、ピストンロッド38が前後方向に駆動すると、第一の左リンク60cと第二の左リンク62cとを含んで構成された左方リンク装置56cを介して、ピストンロッド38の出力が左方駆動部材64cへ伝達されて、左方駆動部材64cが左右方向に移動させられる。
【0071】
左方駆動部材64cには、それぞれ円形ロッド状とされた3本の左方連結ロッド66c,66c,66cが、前後方向の中央部分及び両端部分から左方へ向けて延び出すように固定されており、枠状取付部材32の左方辺部を左右方向に貫通している。枠状取付部材32よりも左方へ突出した左方連結ロッド66c,66c,66cの左端部は、左方爪保持部材68cに固定されている。左方爪保持部材68cは、前後方向に直線的に延びる長手状の部材とされている。左方爪保持部材68cは、左方連結ロッド66cが枠状取付部材32に対する左右方向の相対変位を許容されていることから、左方駆動部材64cの左右方向への移動に伴って、左方駆動部材64cと一体的に左右方向へ移動する。
【0072】
第一の右リンク60dは、出力部材58と反対側の他方の端部が、第二の右リンク62dの一方の端部に対して、上下軸回りでの相対回転を許容するようにピン接合されている。第二の右リンク62dは、第一の右リンク60dと同様に長手板状で両端部分に円形孔が形成された構造とされており、第一の右リンク60dの右端部よりも右方へ延び出している。第一の右リンク60dと第二の右リンク62dとを接合するピンは、第一のプレート部材42の右側の第一の左右スリット48に挿入されており、第一の右リンク60dと第二の右リンク62dとの接続部分の変位方向が左右方向に限定されている。
【0073】
第二の右リンク62dの他方の端部は、右方駆動部材64dに接続されている。右方駆動部材64dは、前後方向に直線的に延びる長手状の部材であって、前後方向の中央部分に第二の右リンク62dの他方の端部が接続されている。第二の右リンク62dは、右方駆動部材64dに対してピン接合されており、接合部分における上下軸回りでの回転が許容されている。
【0074】
そして、ピストンロッド38が前後方向に駆動すると、第一の右リンク60dと第二の右リンク62dとを含んで構成された右方リンク装置56dを介して、ピストンロッド38の出力が右方駆動部材64dへ伝達されて、右方駆動部材64dが左右方向に移動させられる。
【0075】
右方駆動部材64dには、それぞれ円形ロッド状とされた3本の右方連結ロッド66d,66d,66dが、前後方向の中央部分及び両端部分から左方へ向けて延び出すように固定されており、枠状取付部材32の右辺部を左右方向に貫通している。枠状取付部材32よりも右方へ突出した右方連結ロッド66d,66d,66dの右端部は、右方爪保持部材68dに固定されている。右方爪保持部材68dは、前後方向に直線的に延びる長手状の部材とされている。右方爪保持部材68dは、各右方連結ロッド66dが枠状取付部材32に対する左右方向の相対変位を許容されていることから、右方駆動部材64dの左右方向への移動に伴って、右方駆動部材64dと一体的に左右方向へ移動する。
【0076】
左方駆動部材64cと右方駆動部材64dは、ピストンロッド38の駆動時に、相互に左右方向の反対側へ向けて駆動され、左方爪保持部材68cと右方爪保持部材68dも相互に左右方向の反対側へ向けて駆動される。即ち、左方駆動部材64c(左方爪保持部材68c)が左方へ移動する場合には、右方駆動部材64d(右方爪保持部材68d)が右方へ移動し、左方駆動部材64c(左方爪保持部材68c)が右方へ移動する場合には、右方駆動部材64d(右方爪保持部材68d)が左方へ移動する。
【0077】
本実施形態の水平駆動装置30は、1つの水平出力装置34の出力が、水平伝動機構36によって前後左右の爪保持部材68a,68b,68c,68dにそれぞれ及ぼされて、前後方向で対をなす爪保持部材68a,68bと、左右方向で対をなす爪保持部材68c,68dとを、それぞれ相互接近方向と相互離隔方向とに駆動させることが可能とされている。本実施形態では、前後の爪保持部材68a,68bが相互接近方向へ移動する際に、左右の爪保持部材68c,68dが相互離隔方向へ移動し、前後の爪保持部材68a,68bが相互離隔方向へ移動する際に、左右の爪保持部材68c,68dが相互接近方向へ移動する。
【0078】
前後左右の爪保持部材68a,68b,68c,68dは、互いに略同じ断面形状でそれぞれ長手方向に延びている。即ち、各爪保持部材68は、何れも、全体として略矩形の横断面形状を有しており、長手方向及び上下方向と直交する幅方向の両面に開口する係止溝70,70が形成されている。係止溝70は、爪保持部材68の全長に亘って略一定の矩形断面で直線的に延びている。係止溝70は、爪保持部材68の上下方向の中央よりも上方に位置しており、爪保持部材68に対する連結ロッド66の固定位置が係止溝70よりも下側とされている。
【0079】
このような構造とされた水平駆動装置30には、係合爪72が取り付けられている。係合爪72は、前後左右の爪保持部材68a,68b,68c,68dにそれぞれ取り付けられている。係合爪72は、鋼材等の金属材で形成されており、略一定の断面形状で直線的に延びている。より具体的には、係合爪72は、図6に示すように、略上下直交方向に広がる矩形平板状の連結板部74と、連結板部74の幅方向一方の端部から上方へ突出する取付部76と、連結板部74の幅方向他方の端部から下方へ突出する爪部78とを、一体的に備えている。
【0080】
取付部76は、連結板部74から上方へ延び出す矩形板状の外側当接部80と、外側当接部80の上端部から延び出して連結板部74と上下方向で離隔対向する上側当接部82と、上側当接部82における外側当接部80と反対側の端部から下方へ延び出す内側当接部84と、内側当接部84の下端部から外側当接部80へ向けて突出して上側当接部82と上下方向で離隔対向する係止突部86とを、一体的に備えている。そして、取付部76の長さ方向の端部開口へ爪保持部材68が挿入されて、取付部76の外側当接部80と上側当接部82と内側当接部84とが、爪保持部材68の表面に重ね合わされると共に、係止突部86が爪保持部材68の係止溝70に差し入れられることにより、係合爪72が爪保持部材68に取り付けられている。従って、係合爪72は、爪保持部材68に対して、爪保持部材68の長さ方向に移動可能な状態で取り付けられている。本実施形態では、前後の爪保持部材68a,68bに対して、2つの係合爪72,72が左右方向で相互に離れた位置に取り付けられており、左右の爪保持部材68c,68dに対して、3つの係合爪72,72,72が前後方向で相互に離れた位置に取り付けられている。なお、係合爪72が爪保持部材68から意図せずに脱落するのを防ぐために、係合爪72の爪保持部材68に対する長さ方向の変位量を制限する脱落防止機構を設けることもできる。脱落防止機構は、例えば、係合爪72に対する長さ方向の外方において爪保持部材68を貫通する着脱可能な抜止ピンを突出状態で設けて、抜止ピンと係合爪72とを係止させることにより実現することができる。
【0081】
爪部78は、上下方向に広がる板状とされている。爪部78の下面は、係合爪72の幅方向で傾斜する傾斜面88とされており、傾斜面88が幅方向外側に向けて下傾している。これにより、爪部78は、下端の幅方向外側のエッジが鋭角となっている。爪部78における幅方向外側エッジの角度θ(図6参照)は、90°<θ≦30°の範囲内に設定されることが望ましく、より好適には、80°≦θ≦45°の範囲内に設定される。爪部78は、係合爪72の幅方向において取付部76の内側当接部84よりも内側に位置している。なお、係合爪72の幅方向とは、前後の爪保持部材68a,68bに取り付けられた係合爪72においては前後方向であり、左右の爪保持部材68c,68dに取り付けられた係合爪72においては左右方向である。
【0082】
前方爪保持部材68aに取り付けられた係合爪72,72と、後方爪保持部材68bに取り付けられた係合爪72,72とは、水平駆動装置30によって、それぞれ前後方向で相互に接近する方向及び離隔する方向に変位可能とされている。また、左方爪保持部材68cに取り付けられた係合爪72,72,72と、右方爪保持部材68dに取り付けられた係合爪72,72,72とは、水平駆動装置30によって、それぞれ左右方向で相互に接近する方向及び離隔する方向に変位可能とされている。このように、前方爪保持部材68aに取り付けられた係合爪72,72と、後方爪保持部材68bに取り付けられた係合爪72,72とが、前後方向で対をなしていると共に、左方爪保持部材68cに取り付けられた係合爪72,72,72と、右方爪保持部材68dに取り付けられた係合爪72,72,72とが、左右方向で対をなしている。そして、それら2対の係合爪72が、水平駆動装置30を構成する1つの水平出力装置34の出力によって、同時に相互接近方向及び相互離隔方向へ駆動されるようになっている。
【0083】
このような構造とされた上部分解装置18は、図1図4に示すように、装置フレーム16によって支持されている。即ち、装置フレーム16の上連結部26に固定されて下方へ延び出す枠連結部材90が、下端において水平駆動装置30の枠状取付部材32に連結されており、枠状取付部材32が枠連結部材90を介して上連結部26によって吊下げ状態で支持されている。本実施形態では、前後方向で相互に離隔した2つの枠連結部材90,90が枠状取付部材32の左右両辺部分にそれぞれ連結されており、枠状取付部材32が装置フレーム16に対して周方向の4箇所で支持されている。
【0084】
また、図4に示すように、後方側の枠連結部材90,90には、左右方向の内側へ向けて延び出す水平出力装置連結部材92がそれぞれ固定されており、水平出力装置連結部材92,92の左右内端部が水平出力装置34に固定された第一のプレート部材42に連結されている。これにより、水平出力装置34が第一のプレート部材42及び水平出力装置連結部材92,92を介して装置フレーム16に支持されている。これらにより、上部分解装置18が装置フレーム16によって固定的に支持されている。なお、第二のプレート部材50は、第一のプレート部材42に対して連結固定されている。
【0085】
水平駆動装置30の水平出力装置34は、図2に示すように、上下方向の投影において、装置フレーム16における最大横幅寸法と最大長さ寸法を有する矩形状の平面枠内(図2中の薄墨部分)に納まるように配設されている。また、水平出力装置34は、上下方向の投影において、図2中に二点鎖線で示す太陽光パネル1に重なる領域内に納まるように配設されている。本実施形態では、1つの水平出力装置34によって4方向の係合爪72を駆動させることから、複数の水平出力装置を設ける場合に比して、コンパクト化が図られている。
【0086】
下部支持装置20は、図9図12に示すように、支持部材94と、上下方向駆動手段としての上下駆動装置96とを、備えている。
【0087】
支持部材94は、全体として平板状とされた支持板部98を備えている。支持板部98は、図12に示すように、上下方向視において四方へ突出する4つの腕部100を備えた略X形状とされている。支持板部98は、上下方向に貫通する貫通孔102を各腕部100の先端部分にそれぞれ備えており、貫通孔102の開口周縁部から下方へ向けて突出する筒状のガイド筒部材104が支持板部98の下面に固定されている。また、支持板部98の各腕部100の中間部分には、下面にリンク支持部106が取り付けられている。リンク支持部106は、下方へ向けて開口する凹形状とされており、支持板部98から下方へ向けて突出して腕部100の幅方向で相互に対向する一対の支持片を備えている。なお、ガイド筒部材104及びリンク支持部106の支持板部98への固定方法は特に限定されないが、例えば、ボルト固定、溶接、機械的な係合等によって固定され得る。
【0088】
支持部材94は、支持板部98の各貫通孔102に挿通された4つの支持ロッド108,108,108,108を備えている。支持ロッド108は、上部が円形ロッド状とされて、支持板部98の貫通孔102に下方から挿通されていると共に、下端部には後述する第二のリンク124を厚さ方向の両側から挟み込んでピン接合される出力側接合部110が設けられている。支持ロッド108は、貫通孔102及びガイド筒部材104の内孔に隙間を持って挿通されており、支持板部98に対して上下方向に相対変位可能とされている。支持ロッド108は、下死点において上端面が支持板部98の上面に対して面一又は可能に位置すると共に、上死点において上部が支持板部98よりも上方に突出する。
【0089】
上下駆動装置96は、駆動装置本体としての上下出力装置112を備えている。上下出力装置112は、水平出力装置34と同様のアクチュエータとされている。本実施形態の上下出力装置112は、シリンダ114とピストンロッド116を備えた油圧式のリニアアクチュエータとされており、ピストンロッド116がシリンダ114に対して伸縮移動することで駆動出力を発揮する。上下駆動装置96は、シリンダ114が支持板部98の中央部分の下面に重ね合わされて固定されており、ピストンロッド116がシリンダ114から下向きに突出しており、上下方向の駆動出力を発揮する。
【0090】
上下出力装置112のピストンロッド116には、上下伝動機構118が接続されている。上下伝動機構118は、4つの連結アーム部120,120,120,120を備える第一のリンク122と、4つの連結アーム部120,120,120,120の各1つに接続される4つの第二のリンク124,124,124,124とを、備えている。
【0091】
第一のリンク122は、ピストンロッド116の下端部に外挿状態で固定される中央筒状部126を備えており、中央筒状部126の周方向の4箇所から放射状に連結アーム部120,120,120,120が延び出している。連結アーム部120は、中央筒状部126から外周へ延び出した先で屈曲して上方へ延びており、上端部には溝形状の入力側接合部128が設けられている。入力側接合部128は、離隔対向する一対の取付片を備えており、それら取付片を対向方向に貫通する円形のピン挿通孔が形成されている。
【0092】
第二のリンク124は、全体として長手板状とされており、長さ方向の中間の一部に幅方向に屈曲する屈曲部130が設けられていることによってへの字状とされている。第二のリンク124は、長さ方向の両端部分と長さ方向中間の屈曲部130とに、厚さ方向に貫通するピン挿通孔が形成されている。また、第二のリンク124は、一方の端部が第一のリンク122の入力側接合部128における一対の取付片の対向間に差し入れられて、第一のリンク122とピン接合されていると共に、長さ方向の途中に設けられた屈曲部130が支持板部98に固設されたリンク支持部106における一対の支持片の対向面間に差し入れられて、リンク支持部106にピン接合されている。
【0093】
第二のリンク124の他方の端部には、支持ロッド108が取り付けられている。即ち、第二のリンク124の他方の端部が、支持ロッド108の下端部に設けられた出力側接合部110に差し入れられて、角度変化可能にピン接合されている。
【0094】
上下出力装置112のピストンロッド116が上下方向で駆動変位すると、ピストンロッド116に固定された第一のリンク122がピストンロッド116と一体的に上下方向で変位する。第一のリンク122の各連結アーム部120に接続された第二のリンク124は、一方の端部が上下方向に変位することで、長さ方向中間に設定されたリンク支持部106によるピン支持箇所を支点として揺動し、他方の端部が当該支点を中心として揺動変位する。そして、第二のリンク124の他方の端部に接続された支持ロッド108が、第二のリンク124の他方の端部の揺動に従って上下方向に変位し、支持板部98の上面から上方への支持ロッド108の突出高さが変化する。要するに、上下駆動装置96は、上下出力装置112の出力を上下伝動機構118によって支持部材94の一部である支持ロッド108に伝達することにより、支持部材94(支持ロッド108)を上下方向に昇降させる。図9図11では、支持ロッド108が上側へ最大まで突出した状態を図示したが、当該図示された状態からピストンロッド116が上方へ移動することによって、支持ロッド108が下方へ移動し、支持ロッド108の支持板部98から上方への突出高さが小さくなる。
【0095】
なお、第二のリンク124の他方の端部に設けられたピン挿通孔は、第二のリンク124の長さ方向に延びる長手状とされており、当該ピン挿通孔に第二のリンク124と支持ロッド108とを接続するピンが挿通されることで、第二のリンク124と支持ロッド108との接続部分にカム機構が構成されている。このカム機構によって、第二のリンク124の揺動変位が、支持ロッド108の上下方向の直線的な変位に変換されることから、支持ロッド108が貫通孔102の内面に押し当てられることによる作動不良が防止される。
【0096】
下部支持装置20は、図1図3に示すように、上下出力装置112のシリンダ114に固定されて左右両側へ延び出す一対の上下出力装置連結部材132,132によって、下連結部24に連結されており、装置フレーム16に支持されている。本実施形態では、上下駆動装置96が装置フレーム16の下端よりも下方へ突出しているが、例えば、装置フレーム16の下端よりも上方に納まるように配置してもよい。
【0097】
上下駆動装置96の上下出力装置112は、図2からも明らかなように、上下方向の投影において、装置フレーム16における最大横幅寸法と最大長さ寸法を有する矩形状の平面枠内(図2中の薄墨部分)に納まるように配設されている。また、上下出力装置112は、上下方向の投影において、図2中に二点鎖線で示す太陽光パネル1に重なる領域内に納まるように配設されている。本実施形態では、1つの上下出力装置112によって支持部材94の昇降駆動が実現されていることから、複数の上下出力装置を設ける場合に比して、コンパクト化が図られている。
【0098】
かくの如き構造とされた太陽光パネル廃棄装置12は、太陽光パネル1の廃棄に使用される。太陽光パネル1は、図1に示すように、全体として略長方形板状とされており、太陽電池を含む板状の積層パネル本体2と、積層パネル本体2の外周を囲むように装着された矩形枠状のフレーム部材3とを、備えている。フレーム部材3は、アルミニウム合金等の金属で形成されており、一対の短辺枠4,4と一対の長辺枠5,5とによって構成されている。
【0099】
撤去された太陽光パネル1は、図3図4に示すように、太陽光パネル廃棄装置12における上部分解装置18と下部支持装置20との上下間へ後方から差し入れられて、下部支持装置20の支持板部98の上面に重ね合わされる。これにより、太陽光パネル1は、支持部材94によって下方から支持される。支持部材94に支持された太陽光パネル1は、略上下直交方向(水平方向)に広がっており、フレーム部材3における一対の短辺枠4,4と一対の長辺枠5,5とが、同じ水平面内において直交2軸方向にそれぞれ対向して配置されている。なお、太陽光パネル1を支持板部98上に載置する際には、差し入れやすさのために、支持ロッド108を最下点に位置させておくことが望ましい。
【0100】
図中には明示されていないが、例えば、太陽光パネル1を後方から前方へ送り込んで、太陽光パネル1の支持部材94上への差し入れを補助するパネル搬送装置を設けることもできる。パネル搬送装置は、例えば、公知の各種コンベヤ等を採用することができ、ローラーコンベヤが好適に採用され得る。なお、パネル搬送装置は、摩擦抵抗力を低減する等して太陽光パネル1の差し入れを受動的に補助するものであってもよいが、好適には、太陽光パネル1を動力によって能動的に送り込むものとされる。
【0101】
支持部材94上の適切な位置まで太陽光パネル1が差し入れられて、太陽光パネル1が支持板部98の上方に重ね合わされた状態で、上下出力装置112を作動させて、支持ロッド108を支持板部98よりも上方へ突出させる。これにより、太陽光パネル1における積層パネル本体2の四隅付近が、それぞれ支持ロッド108によってポイント的に支持されると共に、太陽光パネル1が上方へ持ち上げられて係合爪72に接近する。太陽光パネル1が支持ロッド108によってポイント的に支持されることにより、太陽光パネル1の下面が波打っていたり、太陽光パネル1の下面に凹凸があったとしても、太陽光パネル1の支持が安定し易くなる。特に、本実施形態では、4つの支持ロッド108,108,108,108による4点支持であることから、例えば1つの支持ロッド108が太陽光パネル1の下面の凹みに当たる等してうまく支持できなかったとしても、他の3つの支持ロッド108,108,108によって太陽光パネル1を安定して支持することができる。尤も、支持ロッドの数や形状,水平面内での配設位置などは限定されるものでなく、例えば複数本の支持ロッドの少なくとも一つを水平面内で位置調節可能にしても良い。また、少なくとも一つの支持ロッドは、コイルスプリングやばね部材などを介することで上下方向の位置を弾性的に調節可能とされていてもよい。このような構成により、例えば変形した太陽光パネル1の安定支持等に適宜に対応することも容易となる。
【0102】
上下駆動装置96によって太陽光パネル1が持ち上げられて係合爪72に上下方向で接近した状態において、係合爪72は、図13に示すように、積層パネル本体2の上方でフレーム部材3の内周側に差し入れられている。なお、係合爪72は、積層パネル本体2の上面に押し当てられていてもよく、太陽光パネル1が係合爪72と支持ロッド108との間で上下方向に挟み込まれて位置決め状態で保持されていてもよい。尤も、本実施形態では、上部分解装置18に積層パネル本体2の上面に当接する図示しない当接部が設けられており、当該当接部と支持ロッド108との間で積層パネル本体2が上下方向に挟み込まれることによって、太陽光パネル1が位置決め状態で保持されている。かかる図示しない当接部は、例えば弾性的に当接したり、上下方向に可動とされていてもよい。
【0103】
そして、水平出力装置34の出力によって、フレーム部材3の内周側に位置する係合爪72を外周側へ移動させることにより、係合爪72の爪部78がフレーム部材3の上端部に内側から係合される。フレーム部材3の上端部に係合した係合爪72を更に外周側へ駆動させることにより、フレーム部材3が係合爪72の爪部78によって外周側へ押し込まれて、フレーム部材3の短辺枠4又は長辺枠5が積層パネル本体2から外側へ取り外される。これにより、フレーム部材3が積層パネル本体2から分離する。
【0104】
本実施形態では、前後で対をなす各係合爪72が同時に前後方向の反対側へ離隔駆動することから、前後の短辺枠4,4が同時に取り外される。また、左右で対をなす各係合爪72は、前後で対をなす各係合爪72が前後方向の外側へ離隔駆動する際に左右方向の内側へ接近駆動し、前後で対をなす各係合爪72が前後方向の内側へ接近駆動する際に左右方向の外側へ離隔駆動する。従って、水平出力装置34におけるピストンロッド116の一往復作動によって、前後で対をなす各係合爪72と、左右で対をなす各係合爪72とが、それぞれ外側へ一度ずつ離隔駆動することから、一対の短辺枠4,4と、一対の長辺枠5,5とが、積層パネル本体2から順に取り外される。このように、前後方向で対をなす係合爪72が前後両側の短辺枠4,4を同時に取り外すように作動し、左右方向で対をなす係合爪72が左右両側の長辺枠5,5を同時に取り外すように作動することから、係合爪72をフレーム部材3に押し当てることによる反力が相殺される。それゆえ、太陽光パネル廃棄装置12(装置フレーム16)の車両への固定強度や上部分解装置18の装置フレーム16への固定強度等を比較的に小さくすることができる。
【0105】
本実施形態では、前後で対をなす各係合爪72を相互離隔方向へ駆動させて、一対の短辺枠4,4を積層パネル本体2から離脱させた後、左右で対をなす各係合爪72を相互離隔方向へ駆動させて、一対の短辺枠4,4を離脱させた状態の積層パネル本体2から一対の長辺枠5,5を離脱させるように、水平駆動装置30の作動が制御されている。このような水平駆動装置30の作動を制御する作動制御装置は、本実施形態において、水平出力装置34の出力制御装置と、水平伝動機構36のリンク装置とによって、構成されている。なお、例えば、4つの水平出力装置34が設けられて、それら4つの水平出力装置34の出力が前後左右の爪保持部材68に対してそれぞれ水平伝動機構を介することなく及ぼされるようにしてもよいが、その場合には、それら水平出力装置34の出力制御装置によって作動制御装置が構成され得る。
【0106】
また、短辺枠4と長辺枠5が積層パネル本体2から順次に取り外されることから、フレーム部材3を積層パネル本体2から取り外すと共に、フレーム部材3を一対の短辺枠4,4と一対の長辺枠5,5とに分解することができる。特に本実施形態では、一対の短辺枠4,4を、一対の長辺枠5,5に先立って取り外すことで、各枠をより良好に分解することが可能になる。即ち、一般に各枠4,5は、積層パネル本体2に固着されていることから、積層パネル本体2に対する固着力は辺長の長い長辺枠5の方が短辺枠4よりも大きい。また、各枠4,5は、隣り合う枠相互間でも固着されている。それ故、積層パネル本体2への固着力の小さい短辺枠4,4を先に外すことで、長辺枠5の取り外しに際して隣り合う枠相互間の固着力を取り除いて長辺枠5の取り外しに要する力を軽減できて、水平出力装置34の一層の小型化も可能になると共に、取り外しに際しての各枠4,5の変形量の軽減も図られ得る。加えて、本実施形態では、上述のように短辺枠4を先に取り外すことで、短辺枠4,4を取り外す際の係合爪72のストローク量に比して、長辺枠5,5を取り外す際の係合爪72のストローク量をより大きく確保することが可能になって、長辺枠5に当接する際の係合爪72の移動速度を、ストローク量が多いことで有利に確保することも可能になり、その結果、水平出力装置34の更なる小型化も可能になる。
【0107】
このように、金属製のフレーム部材3を、積層パネル本体2から取り外すことにより、積層パネル本体2及びフレーム部材3の効率的なリサイクルが可能となる。しかも、フレーム部材3の積層パネル本体2からの取外しは、水平出力装置34及び上下出力装置112の出力を利用して、半自動的に行うことができる。それゆえ、人力で取り外す場合に比して、作業時間の短縮、労力の軽減、積層パネル本体2及びフレーム部材3の分離状態の安定化等が実現される。
【0108】
また、1つの水平出力装置34の出力を水平伝動機構36で四方の各係合爪72に伝達することにより、太陽光パネル1の四辺に設けられた短辺枠4,4と長辺枠5,5とを、1つの水平出力装置34によって積層パネル本体2から取り外すことができる。それゆえ、複数の水平出力装置(例えば、四方に向けて出力する4つの水平出力装置)を設ける場合に比して、太陽光パネル廃棄装置12の軽量化、消費エネルギーの低減等が図られる。このことは小型の自動車14への搭載を可能に為し得て、太陽光パネル1が設置される山間部等への自動車14の侵入や太陽光パネル1の設置敷地内での不整地走行などを容易に実現可能とし得る点で大きなメリットとなる。
【0109】
なお、本実施形態の太陽光パネル廃棄装置12では、係合爪72が、爪保持部材68の長さ方向へのスライドによって、爪保持部材68から取外し可能とされている。従って、例えば、係合爪72が長期間の使用によって摩耗したり損傷した場合や、形状や構造の異なる別の係合爪を採用することが望ましい場合などに、係合爪72を適宜に交換することができる。このような係合爪72の交換を利用すれば、例えば、サイズの異なる複数種類の太陽光パネル1に太陽光パネル廃棄装置12を使用する場合に、連結板部74の幅寸法が異なる別の係合爪に適宜に換装することで、前後方向又は左右方向で対向配置されて対をなす係合爪の爪部78間の距離を調節することができて、爪部78間の距離を各サイズの太陽光パネル1に対して簡単に最適化することができる。
【0110】
また、本実施形態に示す係合爪72を、図14に示すような別構造の係合爪134と交換することもできる。係合爪134は、積層パネル本体2から分離したフレーム部材3の外周側への飛び出しを防止するための飛出防止部136を一体的に備えている。飛出防止部136は、板状とされており、連結板部74の幅方向外側の端部において外側当接部80と反対側である下側へ向けて延び出している。飛出防止部136は、下端が爪部78の下端よりも更に下方まで突出していることが望ましいが、爪部78の下端より上方に位置していてもよい。
【0111】
そして、太陽光パネル1のフレーム部材3を係合爪134によって積層パネル本体2から取り外す際に、飛出防止部136は、フレーム部材3に対して爪部78と反対側の外側に位置して、フレーム部材3の外周面に隙間をもった近接状態で或いは当接状態で重ね合わされている。爪部78をフレーム部材3に押し当ててフレーム部材3を積層パネル本体2から外周側へ分離させる際に、積層パネル本体2から勢いよく分離したフレーム部材3が外周側へ飛び出そうとする場合があるが、このような飛出防止部136を備えた係合爪134を採用すれば、外周側へ飛び出そうとするフレーム部材3が飛出防止部136に当接して外周側への変位量を制限される。それゆえ、積層パネル本体2から取り外されたフレーム部材3が周囲に飛び散るのを防ぐことができて、フレーム部材3の回収が容易になる。
【0112】
なお、係合爪134の爪部78は、下端部においてフレーム部材3へ向けて突出する突出部138が設けられている。突出部138は、先端面が上下に凹凸を繰り返すギザギザを有しており、フレーム部材3を押圧する際に、爪部78が滑ってフレーム部材3との当接が意図せずに解消されるのを防止できて、フレーム部材3の分離作業の安定化が図られる。
【0113】
太陽光パネル廃棄装置12は、図1図4に示すように、自動車14の車両ボデーの一部を構成する荷台140に搭載される。即ち、装置フレーム16が荷台140の上面に載置されて、各支持脚部28がボルト等で荷台140に固定されることにより、太陽光パネル廃棄装置12を搭載した現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車10が構成されている。そして、現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車10を太陽光パネル1が設置された現地まで走行させることにより、太陽光パネル廃棄装置12を当該現地まで輸送して、現地において積層パネル本体2とフレーム部材3との分解処理を行うことができる。
【0114】
太陽光パネル廃棄装置12を搭載した現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車10は、全体寸法が日本の普通自動車の規格寸法範囲内に納まっており、日本の普通免許で運転することができる。また、太陽光パネル廃棄装置12の高さ寸法、幅寸法、長さ寸法は、それぞれ自動車14の最大高さ寸法、最大幅寸法、最大長さ寸法よりも小さくされていることから、太陽光パネル廃棄装置12を搭載した現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車10を搭載する前の自動車14と同様に運転することができる。特に、太陽光パネル廃棄装置12の幅寸法及び長さ寸法は、自動車14の荷台140の幅寸法及び長さ寸法よりも小さくされており、荷台140から外周へ突出することなく、荷台140上に納まっている。
【0115】
ところで、太陽光パネル廃棄装置12によって分離された積層パネル本体2とフレーム部材3(短辺枠4及び長辺枠5)は、パネル処理施設と金属処理施設にそれぞれトラック輸送される。以下に、現場処理型の太陽光パネル廃棄方法について説明する。
【0116】
先ず、太陽光パネル1が設置された現地において、複数の太陽光パネル1のそれぞれについて、積層パネル本体2からフレーム部材3を取り外すと共に、フレーム部材3を一対の短辺枠4,4と一対の長辺枠5,5とに分解する、パネル分解工程を実行する。この工程では、本実施形態に係る太陽光パネル廃棄装置12を使用してもよいし、例えば、作業者が手作業でフレーム部材3を積層パネル本体2から取り外してもよい。
【0117】
次に、フレーム部材3が取り外された単体状態の積層パネル本体2の複数枚を、相互に重ね合わせて積層状態でまとめる、パネル分別工程を実行する。まとめられた積層パネル本体2は、例えば、一定の枚数ごとにバンド等によって相互に束ねられていてもよい。また、例えば、フォークリフト用のパレット上にまとめて、フォークリフトでトラックに積載し易くすることもできる。
【0118】
また、積層パネル本体2から取り外されて分解された単体状態のフレーム部材3(短辺枠4及び長辺枠5)の複数本を相互にまとめる、フレーム分別工程を実行する。まとめられたフレーム部材3は、例えば、一定の本数ごとに紐、バンド、鎖等によって相互に束ねられていてもよい。
【0119】
次に、まとめられた複数枚の積層パネル本体2をトラックに積載して、積層パネル本体2をパネル処理施設へトラック輸送する、パネル輸送工程を実行する。また、まとめられた複数本のフレーム部材3(短辺枠4及び長辺枠5)をトラックに積載して、フレーム部材3を金属処理施設へトラック輸送する、フレーム輸送工程を実行する。このように、現地で分解処理された積層パネル本体2とフレーム部材3とが、別々のトラックに積載されて、別々の処理施設にそれぞれ輸送される。そして、積層パネル本体2がパネル処理施設でリサイクル処理されると共に、短辺枠4及び長辺枠5が金属処理施設でリサイクル処理される。
【0120】
このように、積層パネル本体2とフレーム部材3とを、太陽光パネル1が設置された現地で分解することによって、それら積層パネル本体2とフレーム部材3とを、別々のトラックに積み込んで、それぞれ別の目的地へトラック輸送することが可能となる。それゆえ、相互に異なるリサイクル処理が必要となる積層パネル本体2とフレーム部材3とを、それぞれの処理施設へ効率的に輸送することができる。
【0121】
また、フレーム部材3が取り外された単体状態の積層パネル本体2は、略平板状であることから、積層状態でまとめる際にフレーム部材3による隙間が形成されることなく、積層方向の高さが抑えられる。それゆえ、積層パネル本体2をスペース効率よくトラックに積載することができて、トラック輸送の効率化が図られる。
【0122】
さらに、積層パネル本体2から分離した単体状態のフレーム部材3は、短辺枠4と長辺枠5とに更に分解されて、略鉤形断面で直線的に延びる細長い部材とされることから、複数本を重ね合わせたり束ねたりすることによって、トラックにスペース効率よく積載することができて、トラック輸送の効率化が図られる。
【0123】
なお、単体状態の積層パネル本体2と、単体状態のフレーム部材3とを、各別にまとめて、積層パネル本体2を積載したトラックによって積層パネル本体2をパネル処理施設へトラック輸送し、フレーム部材3を積載したトラックによってフレーム部材3を金属処理施設へトラック輸送する、上述の如き現場処理型の太陽光パネル廃棄方法においては、必ずしも本実施形態に係る太陽光パネル廃棄装置12を使用しなくてもよく、例えば、従来のように作業者が手作業でフレーム部材3を積層パネル本体2から取り外してもよい。
【0124】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、上下駆動装置は、支持部材上に載置される太陽光パネルと、係合爪との上下方向での距離を変更可能であればよいことから、例えば、係合爪側を昇降させて、係合爪を上下方向で太陽光パネルに対して接近及び離隔させるものであってもよい。
【0125】
前記実施形態に示した上部分解装置18及び下部支持装置20の装置フレーム16への連結構造は、あくまでも例示であって、特に限定されない。また、装置フレーム16自体の構造も適宜に変更され得る。
【0126】
係合爪の数、大きさ、形状等は、前記実施形態に例示したものに限定されない。具体的には、例えば、爪保持部材68に対して、より長尺の係合爪を1つだけ取り付けることもできるし、前記実施形態よりも多数の係合爪を取り付けることもできる。
【0127】
前記実施形態では、前後の係合爪が前後外側へ移動する際に、左右の係合爪は左右内側へ移動する構造について説明したが、前後左右の係合爪が何れも外側へ移動するようにしてもよい。具体的には、例えば、前後の係合爪を駆動させる駆動装置本体と、左右の係合爪を駆動させる駆動装置本体とを、別々に設けることによって、前後の係合爪と左右の係合爪とを同時に外側へ駆動させることができる。
【0128】
係合爪は、前記実施形態に示すように、爪保持部材68に対して着脱可能に取り付けられて交換できることが望ましいが、例えば、着脱不能な態様で固定的に設けられていてもよい。
【0129】
図14に示した係合爪134に一体的に設けられた飛出防止部136は、あくまでも一例であって、例えば、係合爪とは別の部位に飛出防止部を設けることもできる。
【符号の説明】
【0130】
10 現場処理用太陽光パネル廃棄装置付き自動車(第一の実施形態)
12 車載型の現場処理用太陽光パネル廃棄装置
14 自動車
16 装置フレーム
18 上部分解装置
20 下部支持装置
22 矩形枠部
24 下連結部
26 上連結部
28 支持脚部
30 水平駆動装置(水平方向駆動手段)
32 枠状取付部材
34 水平出力装置(駆動装置本体、作動制御装置)
36 水平伝動機構(伝動機構、作動制御装置)
38 ピストンロッド
40 シリンダ
42 第一のプレート部材
44 第一の前後スリット
46 ガイド部
48 第一の左右スリット
50 第二のプレート部材
52 第二の前後スリット
54 第二の左右スリット
56a 前方リンク装置
56b 後方リンク装置
56c 左方リンク装置
56d 右方リンク装置
58 出力部材
60a 第一の前リンク
60b 第一の後リンク
60c 第一の左リンク
60d 第一の右リンク
62a 第二の前リンク
62c 第二の左リンク
62d 第二の右リンク
64a 前方駆動部材
64b 後方駆動部材
64c 左方駆動部材
64d 右方駆動部材
66 連結ロッド
66a 前方連結ロッド
66b 後方連結ロッド
66c 左方連結ロッド
66d 右方連結ロッド
68 爪保持部材
68a 前方爪保持部材
68b 後方爪保持部材
68c 左方爪保持部材
68d 右方爪保持部材
70 係止溝
72 係合爪
74 連結板部
76 取付部
78 爪部
80 外側当接部
82 上側当接部
84 内側当接部
86 係止突部
88 傾斜面
90 枠連結部材
92 水平出力装置連結部材
94 支持部材
96 上下駆動装置(上下方向駆動手段)
98 支持板部
100 腕部
102 貫通孔
104 ガイド筒部材
106 リンク支持部
108 支持ロッド
110 出力側接合部
112 上下出力装置(駆動装置本体)
114 シリンダ
116 ピストンロッド
118 上下伝動機構
120 連結アーム部
122 第一のリンク
124 第二のリンク
126 中央筒状部
128 入力側接合部
130 屈曲部
132 上下出力装置連結部材
134 係合爪(別実施形態)
136 飛出防止部
138 突出部
140 荷台
1 太陽光パネル
2 積層パネル本体
3 フレーム部材
4 短辺枠
5 長辺枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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図12
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