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特開2024-175984情報処理装置、露光装置、及び取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175984
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、露光装置、及び取得方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094141
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 陽司
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA06
2H197BA04
2H197BA09
2H197BA11
2H197CA08
2H197CB16
2H197CC16
2H197CD12
2H197CD13
2H197CD43
2H197CD48
2H197DA02
2H197DB06
2H197DB34
2H197EA05
2H197HA03
2H197HA05
2H197HA08
2H197HA10
(57)【要約】
【課題】 原版に関する情報に基づき、より簡便に露光装置における露光量に関する情報を取得する情報処理装置、露光装置、及び取得方法を提供する。
【解決手段】 情報処理装置は、第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により生成された学習モデルに、第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により生成された学習モデルに、第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記学習データを用いた機械学習により前記学習モデルを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に形成された第1パターンの種類に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に形成された第2パターンの種類に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1パターンの種類及び前記第2パターンの種類には、ラインアンドスペース及びホールパターンのいずれかが含まれることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1パターンの種類及び前記第2パターンの種類には、デバイスパターン及び前記デバイスパターンの周辺に設けられる補助パターンのいずれかが含まれることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に形成された第1パターンの寸法に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に形成された第2パターンの寸法に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1パターンの寸法には、前記第1パターンに含まれる各ラインの寸法、前記第1パターンに含まれる各ホールの寸法、前記第1パターンに含まれる各ライン又は各ホールの間隔に関する情報のうち少なくとも1つが含まれ、
前記第2パターンの寸法には、前記第2パターンに含まれる各ラインの寸法、前記第2パターンに含まれる各ホールの寸法、前記第2パターンに含まれる各ライン又は各ホールの間隔に関する情報のうち少なくとも1つが含まれる、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版の種類に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版の種類に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1原版の種類及び前記第2原版の種類には、ポジ型レチクル、ネガ型レチクル、バイナリレチクル、位相シフトレチクルのうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜の透過率に関する情報が含まれ、
前記第2原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に第2パターンとして形成された膜の透過率に関する情報が含まれることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜により変化する光の位相に関する情報が含まれ、
前記第2原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第2原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜により変化する光の位相に関する情報が含まれることを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に形成された第1パターンの断面形状に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に形成された第2パターンの断面形状に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜の膜厚に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に第2パターンとして形成された膜の膜厚に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版が製造された時の製造条件に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版が製造された時の製造条件に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版の使用履歴に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版の使用履歴に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
パターンが形成された原版からの光により基板を露光する露光装置であって、
請求項1に記載の情報処理装置を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項17】
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により学習モデルを生成する第1工程と、
第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を前記学習モデルに入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する第2工程と、を有することを特徴とする取得方法。
【請求項18】
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により学習モデルを生成する第1工程と、
第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を前記学習モデルに入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する第2工程と、を有することを特徴とする取得方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項19】
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により学習モデルを生成する第1工程と、
第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を前記学習モデルに入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する第2工程と、
前記第2露光量に関する情報に基づき決定された露光量で前記第2基板を露光する第3工程と、
露光された前記第2基板を現像する第4工程と、
現像された前記第2基板から物品を製造する第5工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、露光装置、及び取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に所望の線幅を有するパターンを形成するために、露光装置において基板に対して所望の露光量で露光を行うことが求められている。
【0003】
特許文献1は、レジストの種類及び膜厚と、パターンの種類、最小寸法及び密度との少なくとも一つに基づいて最適露光量を設定する露光条件設定装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-72711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板上にパターンを形成するために行われる露光に用いられる原版(レチクル、マスク)は、に形成されたパターンと相関関係があり、原版に関する情報を考慮して露光量を設定することが重要である。
【0006】
しかし、原版に関する情報には多数のパラメータが含まれ、そのような多数のパラメータのそれぞれに対して露光量に及ぼす影響を定量化して、原版に関する情報に基づき露光量を取得することは容易ではない。
【0007】
そこで、本発明は、原版に関する情報に基づき、より簡便に露光装置における露光量に関する情報を取得する情報処理装置、露光装置、及び取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により生成された学習モデルに、第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原版に関する情報に基づき、より簡便に露光装置における露光量に関する情報を取得する情報処理装置、露光装置、及び取得方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】露光装置の模式的な構成図を示す図である。
図2】基板のパターンの線幅と原版のパターンの線幅の関係を示す図である。
図3】基板上におけるパターンの断面図を示す図である。
図4】塗布現像装置の模式的な構成図を示す図である。
図5】基板処理システムの模式的な構成図を示す図である。
図6】学習モデルを取得する方法を示すフローチャートである。
図7】学習モデルを用いて露光量を決定する方法を示すフローチャートである。
図8】露光装置を使用したデバイスの製造を説明するためのフローチャートである。
図9図8に示すフローチャートのステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。また、添付図面においては、本実施形態を容易に理解できるようにするために、実際とは異なる縮尺で描かれている場合がある。
【0012】
また以下では、後述の投影光学系101の光軸AXに平行な方向をZ軸、Z軸に垂直な平面内において露光時にレチクルR及び基板Wが走査される方向(走査方向)をY軸、当該平面内においてY軸に垂直な方向(非走査方向)をX軸としている。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、露光装置100の模式的な構成図を示している。露光装置100は、例えば、スキャン・アンド・リピート方式によって原版Rに形成(描画)されているパターンの像を基板W上に投影(転写)する投影型露光装置である。つまり、露光装置100は、パターンが形成された原版Rからの光により基板Wを露光する。露光装置100は、照明光学系106、原版ステージ103、投影光学系101、基板ステージ105、計測装置(計測手段)、及び制御部を備えている。
【0014】
照明光学系106は、不図示のエキシマレーザー等のパルス光を生成する光源から射出された光を調整した後に原版Rに導光することで、原版Rを照明する。
【0015】
原版ステージ103は、基板W上に転写されるべきパターン(例えば回路パターン)が形成されている、例えば、石英ガラス製の原版Rを保持しながら、少なくともX軸及びY軸に平行に移動することができる。また、原版ステージ103は、露光を行う際に、投影光学系101の光軸AXに垂直なXY面内において、Y軸に平行な方向に一定速度で走査移動を行うと共に、目標位置を維持して走査を行うようにX軸に平行な方向に補正移動を行う。また、原版ステージ103にはバーミラー120が設けられている。そして第1干渉計121がバーミラー120に向けて光を出射しバーミラー120との間の距離を測定することで、原版ステージ103の各軸に平行な方向における位置情報を常時計測することができる。
【0016】
投影光学系101は、原版Rに形成されているパターンの像が所定の倍率(例えば1/2倍)で基板W上に投影されるように、原版Rを通過した光を基板W上に導光する。これにより、原版Rに形成されているパターンの像が、表面上にレジスト(感光剤)が塗布されている、例えば単結晶シリコンからなる基板W上に投影される。ここで、投影光学系101の像面は、Z軸(すなわち、投影光学系101の光軸AXに平行な方向)に対して垂直な関係にある。
【0017】
基板ステージ105は、不図示のチャックを介して基板Wを保持しながら、X軸、Y軸及びZ軸に平行な方向、さらには各軸回りの回転方向であるθX、θY及びθZ方向に移動(回転)することができる。また、基板ステージ105にはバーミラー123が設けられている。そして第2干渉計124がバーミラー123に向けて光を出射しバーミラー123との間の距離を測定することで、基板ステージ105の各軸に平行な方向における位置情報を常時計測することができる。
【0018】
計測装置(計測手段)は、基板ステージ105によって保持されている基板Wの表面のZ軸に平行な方向における位置や傾き(以下、これらを総称して「面位置」と呼ぶことがある。)を計測する。また、計測装置は、基板Wに向けて計測用の光束を投光する投光系と、基板Wから反射された光束を受光する受光系とを含んでいる。
【0019】
計測装置の投光系は、計測用光源110、コリメータレンズ111、スリット部材112、投光側光学系113及び投光側ミラー114から構成される。計測用光源110は、ランプや発光ダイオード等の光源であり、基板Wに向けて計測用の光束を射出する。コリメータレンズ111は、計測用光源110から射出された光束を断面内の強度分布が略均一となる平行光束に変換する。スリット部材112は、例えば互いの斜面が相対するように貼り合わせられた一対のプリズムであり、貼り合わせ面には、複数の開口(例えば九個のピンホール)を有するクロム等で形成された遮光膜が設けられている。そして、コリメータレンズ111からの平行光束を例えば九個の光束に分割する。投光側光学系113は、両テレセントリック系の光学系であり、スリット部材112を通過した九個の光束をそれぞれ、投光側ミラー114を介して基板W上の九個の計測点に導光する。ここで、スリット部材112のピンホールを有する平面と基板Wの表面を含む平面とは、投光側光学系113に対してシャインプルーフの条件を満たしている。また、露光装置100では、計測装置の投光系からの九個の光束は、入射角Φ(投影光学系101の光軸AXに対してなす角度)が70°以上となるように基板W上へ入射する。そして、次に示す計測装置の受光系が基板W上の九個の計測点を互いに独立して観察することができるように、九個の光束は、XY平面内においてY軸に対してθ(例えば22.5°)だけ回転した方向から基板W上へ入射する。
【0020】
次に、計測装置の受光系は、受光側ミラー115、受光側光学系116、補正光学系118及び光電変換手段119から構成される。受光側光学系116は、両テレセントリック系の光学系であり、受光側ミラー115によって反射された基板Wからの九個の光束を光電変換手段119へ導光する。なお、受光側光学系116には不図示のストッパー絞りが設けられており、ストッパー絞りは、九個の計測点それぞれにおいて基板W上に既に形成されているパターンによって生成される高次の回折光(ノイズ光)をカットすることができる。補正光学系118は、九個の補正レンズを含んでおり、それぞれが受光側光学系116を通過することで光軸が互いに平行になっている九個の光束を、光電変換手段119の検出面において互いに同一の大きさを有するスポット光となるように集光する。光電変換手段119は、例えば九個の一次元CCDラインセンサーからなる群で構成されており、検出面に入射した各光束の強度を検出した後、検出結果を演算回路126へ出力する。
【0021】
なお光電変換手段119としては、二次元の位置計測素子を複数配置したものを採用してもよい。また、計測装置の受光系における受光側光学系116、補正光学系118及び光電変換手段119については、基板W上の各計測点と光電変換手段119の検出面とが互いに共役となるように、予め倒れ補正が行われている。そのため、基板W上の各計測点における局所的な傾きに起因して発生する光電変換手段119の検出面上におけるピンホール像の位置変化を抑制することができる。これにより、基板W上の各計測点における光軸AXに沿った高さの変化を、光電変換手段119の検出面上におけるピンホール像の変化から検出することができる。
【0022】
制御部は、主制御部127、原版位置制御系122、基板位置制御系125、及び演算回路126から構成される。主制御部127は、例えばプロセッサやメモリを含むコンピュータ等で構成されており、露光装置100の各構成要素(及びこれらを制御する制御系)に回線を介して接続されることで、プログラム等に従って各構成要素の動作を統括して制御する。なお、制御部の構成要素のうち少なくとも1つは、露光装置100の他の構成要素と一体に、すなわち露光装置100の他の構成要素が設けられている筐体と同一の筐体内に設けられてもよい。また、制御部の構成要素のうち少なくとも1つは、露光装置100の他の構成要素とは別体に、すなわち、露光装置100の他の構成要素が設けられている筐体とは異なる筐体内に設けられてもよい。
【0023】
原版位置制御系122は、主制御部127からの駆動指令に基づいて原版ステージ103及び第1干渉計121の動作を制御する。基板位置制御系125は、主制御部127からの駆動指令に基づいて基板ステージ105及び第2干渉計124の動作を制御する。演算回路126は、光電変換手段119から得られた検出結果に基づいて、基板W上の九個の計測点から反射された各光束の強度値を算出する。
【0024】
また、主制御部127は、原版Rのスリット像を基板W上の所定の領域に形成するように、基板WのXY面内における位置とZ軸に平行な方向における位置とを調整することができる。ここで、XY面内における位置とは、X軸及びY軸に平行な方向における位置とZ軸回りの回転角度θZとを意味しており、Z軸に平行な方向の位置とは、Z軸に平行な方向の高さとX軸及びY軸回りの回転角度θX及びθYとを意味している。また、主制御部127は、原版位置制御系122及び基板位置制御系125に対して駆動指令を送信することで、原版ステージ103と基板ステージ105とを互いに同期走査させつつ原版R上のパターンを基板W上に形成する走査露光を行わせる。原版ステージ103をY方向に走査させる場合には、主制御部127は基板ステージ105を投影光学系101の縮小倍率分だけ補正した速度でY方向に走査させる。また、原版ステージ103の走査速度は、照明光学系106に設けられている不図示のマスキングブレードの走査方向における幅や、基板Wの表面に塗布されているレジストの感度等に基づいて、生産性が有利となるように予め決定される。
【0025】
次に、露光装置100において制御部によって行われる原版Rに形成されているパターンを基板W上に位置合わせするための制御について説明する。主制御部127は、XY面内における各位置については、まず第1干渉計121及び第2干渉計124から原版ステージ103及び基板ステージ105の位置データを取得すると共に、不図示のアライメント顕微鏡から基板Wの位置データを取得する。
【0026】
次に、主制御部127は、取得された各位置データに基づいて制御データを作成する。そして主制御部127は、作成した制御データに基づいて原版位置制御系122及び基板位置制御系125に駆動指令を送信することで、原版ステージ103及び基板ステージ105それぞれを所望の位置に移動させる。
【0027】
一方、主制御部127は、Z軸に平行な方向における位置(高さ)、すなわちフォーカス動作の制御については、演算回路126から基板W上の九個の計測点から反射された各光束の強度値を取得する。
【0028】
次に、主制御部127は、取得された各強度値に基づいて制御データを作成する。そして主制御部127は、作成した制御データに基づいて基板位置制御系125に駆動指令を送信することで、基板ステージ105を所望の位置(又は姿勢)に移動(変化)させる。具体的には、主制御部127は、走査方向(Y方向)に関して不図示の露光スリットの近傍に配置された計測装置(及び演算回路126)からの計測結果に基づいて基板ステージ105のZ軸に平行な方向における位置を算出する。
【0029】
そして、主制御部127は、算出されたZ軸に平行な方向における位置に基づいて、基板W上における露光位置が最適像面位置となるように基板ステージ105を制御する。
【0030】
次に、本実施形態に係る情報処理装置による処理について説明する。なお本実施形態に係る情報処理装置は、上述の主制御部127が兼ねるものとしているが、これに限らず主制御部127とは異なる制御部等で構成されていてもよい。
【0031】
図2は、基板Wのパターンの線幅(Wafer-CD)と原版Rのパターンの線幅(Reticle-CD)の関係を示している。図2に示されているように、基板Wのパターンの線幅と原版Rのパターンの線幅とには相関関係がある。具体的には、基板Wのパターンの線幅と原版Rの線幅とには、線形(1次)近似で表される相関関係がある。
【0032】
図3は、基板W上におけるパターンの断面図を示している。図3では、複数のパターンのうち、いくつのパターンにおいてパターン倒れが発生している箇所がある。膜厚、現像方法などプロセスによって決まる要素は同一条件であっても、基板Wのパターンの線幅によってパターン倒れが発生することがあり、基板Wのパターンの線幅と原版Rのパターンの線幅とには相関関係がある。そのため、膜厚、塗布現像方法などプロセスによって決まる要素は同一条件であっても、原版Rの種類、属性などの原版Rに関する情報によってパターン倒れが発生することがあるといえる。したがって、パターン倒れの発生を抑制するためには、原版Rに関する情報を考慮する必要がある。
【0033】
図4は、塗布現像装置400の模式的な構成図を示している。塗布現像装置400は、基板W上にレジストを塗布すると共に、露光された基板Wを現像する際に用いられる。図4に示されているように、塗布現像装置400には塗布ユニット401と現像ユニット402とが互いに分かれて設けられている。そして、塗布ユニット401は、塗布カップユニット403と塗布ベークユニット404とを有している。また、塗布カップユニット403は、基板W上に塗布されるレジストの種類に応じて使い分けられるように複数台設けられている。また塗布ベークユニット404も、基板Wをベークする温度に応じて使い分けられるように複数台設けられている。同様に現像ユニット402には、露光後且つ現像前にPEBを行う現像ベークユニット405と現像カップユニット406とがそれぞれ複数台設けられている。以上のように、塗布現像装置400では高スループットを達成するために各ユニットが複数台設けられていることが一般的である。
【0034】
図5は、基板処理システム1000の模式的な構成図を示している。図5の基板処理システム1000には露光装置100のパターン形成情報が入力されている。図5に示されているように、基板処理システム1000では露光装置100と塗布現像装置400とがインターフェースブロック500を介して互いに連結されている。基板処理システム1000では、塗布現像装置400によってレジストが塗布された基板Wが、インターフェースブロック500を通過することで露光装置100に搬送される。そして、露光装置100によって露光が行われた基板Wは、インターフェースブロック500を再び通過することで塗布現像装置400に搬送された後、塗布現像装置400によって現像される。また、図5に示されているように、基板処理システム1000では露光装置100と塗布現像装置400との間においてネットワーク501を介して互いの情報が送受信される。また、ネットワーク501は、有線接続でも無線接続でもよく、その他の装置に更に接続されていてもよい。
【0035】
図6は、学習モデルを取得する方法を示すフローチャートである。ここでは、情報処理装置である主制御部127が、機械学習によって露光量に関する情報を表す出力データを出力させる学習モデルを取得するものとして説明する。また、露光装置100における露光に用いられる原版Rに関する情報を入力データ、原版Rを介して基板Wを露光する際の露光量に関する情報を表す出力データとする学習モデルを取得する方法について説明する。ここで、原版Rを介して基板Wを露光してパターン形成する場合、原版Rの種類、属性などによって望ましい露光量は異なるため、原版Rに関する情報と露光量とには相関関係がある。
【0036】
ステップS601において、主制御部127は、機械学習により学習モデルを生成するための学習データを作成する。まず、主制御部127は、露光装置100において基板W(第1基板)を露光するために用いられた原版R(第1原版)に関する情報を取得する。
【0037】
ここで、原版Rに関する情報について具体的に説明する。原版Rに関する情報には、原版Rに形成されたパターンの種類(カテゴリ)、原版Rに形成されたパターンの寸法に関する情報が含まれうる。原版Rに形成されたパターンの種類には、例えば、ラインアンドスペース及びホールパターンのいずれかが含まれうる。また、原版Rに形成されたパターンの種類には、例えば、デバイスの回路などを構成するパターンであるデバイスパターン及びデバイスパターンの周辺に設けられる補助パターンのいずれかが含まれうる。ここで、補助パターンは、例えば、デバイスパターンのエッジを強調して解像度を上げるためにデバイスパターンの周囲に設けられたパターンを含む。また、補助パターンは、基板Wの位置合わせに用いるマークを形成するためにデバイスパターンの周囲に設けられたパターンを含む。
【0038】
また、原版Rに形成されたパターンの寸法を示す情報には、例えば、原版Rに形成されたパターンに含まれる各ラインの寸法、原版Rに形成されたパターンに含まれる各ホールの寸法、(例えば、それらの寸法の平均値、標準偏差、面内における分布などに関する情報)のうち少なくとも1つが含まれうる。また、原版Rに形成されたパターンの寸法を示す情報には、例えば、原版Rに形成されたパターンに含まれる、各ラインの間隔又は各ホールの間隔に関する情報(例えば、それら、間隔の平均値、標準偏差、面内における分布などに関する情報)が含まれうる。
【0039】
また、原版Rに関する情報には、原版Rの種類に関する情報が含まれうる。原版Rの種類に関する情報には、例えば、ポジ型レチクル、ネガ型レチクル、バイナリレチクル、位相シフトレチクルのうちの少なくとも1つが含まれうる。ここで、ポジ型レチクルとは、ポジ型レジストを用いて製造されたレチクルであり、ネガ型レチクルはネガ型レジストを用いて製造されたレチクルである。また、原版Rの種類に関する情報に位相シフトレチクルが含まれる場合、原版Rに関する情報には、原版Rにパターンとして形成された膜の透過率に関する情報(例えば、透過率の平均値、標準偏差、面内における分布などに関する情報)が含まれうる。また、原版Rが位相シフトレチクルの場合、原版Rにパターンとして形成された膜により変化する光の位相に関する情報(例えば、位相の平均値、標準偏差、面内における分布などに関する情報)が含まれうる。
【0040】
また、原版Rに関する情報には、原版Rに形成されたパターンの断面形状に関する情報、原版Rにパターンとして形成された膜(Cr膜、MoSi膜、Si膜など)の膜厚に関する情報(例えば、膜厚の平均値、標準偏差、面内における分布などに関する情報)が含まれうる。
【0041】
また、原版Rに関する情報には、原版Rが製造された時の製造条件(例えば、パターン形成時の条件、ドライエッチングの条件など)に関する情報、原版Rの使用履歴に関する情報(例えば、露光工程で原版Rが使用された回数、原版Rが洗浄された回数、それらの時系列データなどの情報)が含まれうる。
【0042】
次に、主制御部127は、露光装置100において原版R(第1原版)を用いて基板W(第1基板)を露光したときの露光量に関する情報を取得する。ここで、露光量に関する情報は、学習モデルの教師データとして用いられる。また、露光量に関する情報は、上述のように露光を行った基板Wに対してパターンの線幅の計測を実際に行い、所望の線幅を達成している露光量に関する情報を取得することで作成することができる。また、露光量に関する情報には、基板W上の複数のショット領域における露光量の平均値、標準偏差、基板W上における露光量の分布に関する情報が含まれうる。
【0043】
そして、主制御部127は、原版Rに関する情報から入力データを作成し、露光量に関する情報から教師データを作成して、機械学習により学習モデルを生成するための学習データを作成する。ここで、原版Rに関する情報、及び露光量に関する情報は予め取得されて、主制御部127の記憶装置(不図示)、又は外部の記憶装置(不図示)に保存しておき、主制御部127は、主制御部127の記憶装置(不図示)、又は外部の記憶装置(不図示)から取得してもよい。
【0044】
ステップS602において、主制御部127は、全ての基板Wに対してステップS601の処理を実行したか判断する。そして、全ての基板Wに対してステップS601の処理を実行した場合には(ステップS602のYes)、ステップS604に進む。一方、ステップS601の処理を実行していない基板Wがある場合には(ステップS602のNo)、ステップS601に戻る。すなわち、複数の基板Wについて取得すべき原版Rに関する情報と露光量に関する情報がある場合には、基板Wのそれぞれに対してステップS601の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS603において、主制御部127は、ステップS601において取得された学習データを用いた機械学習によって学習モデルを生成する。ここで、学習モデルは、例えば多層パーセプトロンで構成されたニューラルネットワークにおいて、誤差逆伝搬法等のアルゴリズムを用いた機械学習により内部の確率変数が最適化されたモデルである。
【0046】
そして、後述するように、新規の基板Wに対して取得される原版Rに関する情報を含む入力データをステップS603で生成された学習モデルに入力することにより、基板Wに対する露光量を表す出力データを取得することができる。
【0047】
ここで、原版Rに関する情報に膜厚の分布を表す画像などの画像情報が含まれる場合、主制御部127は畳み込みニューラルネットワークを含む学習モデルを生成してもよい。また、原版Rに関する情報に原版Rの使用回数などの時系列データの情報が含まれる場合には、主制御部127は再帰型ニューラルネットワークを含む学習モデルを生成してもよい。また、学習データの数が少ない場合には、主制御部127はサポートベクターマシンを含む学習モデルを生成してもよい。
【0048】
ステップS604では、主制御部127は、ステップS603において生成された学習モデルの情報を主制御部127の記憶装置(不図示)、又は外部の記憶装置(不図示)に保存する。ここで、学習モデルの情報とは、例えば、パーセプトロンの層数及びニューロン数等のニューラルネットワークの構造を表す情報や最適化された確率変数の情報が含まれうる。
【0049】
以上のように、主制御部127は、基板W(第1基板)を露光するために用いられた原版R(第1原版)に関する情報と基板Wを露光したときの露光量に関する情報とを含む学習データを用いた学習により学習モデルを生成している。
【0050】
図7は、学習モデルを用いて露光量を決定する方法を示すフローチャートである。ここでは、主制御部127が、ステップS603で生成された学習モデルを用いて露光量を決定するものとして説明する。
【0051】
ステップS701において、主制御部127は、ステップS604で保存された学習モデルの情報、すなわち、例えば上記のニューラルネットワークの構造を表す情報や最適化された確率変数の情報を取得する。そして、主制御部127は、取得した情報に基づき学習モデルを構築する。
【0052】
ステップS702において、主制御部127は、露光装置100において基板W(第2基板)が露光されるときの原版R(第2原版)に関する情報を取得する。ここで取得される原版Rに関する情報には、ステップS601において取得される原版Rに関する情報と同様の情報が含まれうる。ここで、ステップS702において、主制御部127は、基板Wそれぞれの原版Rに関する情報を順次取得してもよく、複数の基板Wの原版Rに関する情報を一度にまとめて取得してもよい。
【0053】
ステップS703において、主制御部127は、ステップS701で構築された学習モデルに、ステップS702で取得された原版Rに関する情報から構成される入力データを入力する。そして、学習モデルから出力データとしい出力される露光量に関する情報を取得する。ここで取得される露光量に関する情報には、ステップ601において取得される露光量に関する情報と同様の情報が含まれうる。
【0054】
ステップS704において、主制御部127は、取得された露光量に関する情報を出力することで、露光装置100において、出力された露光量に関する情報に基づいて決定された露光量で基板Wの露光が行われる。このとき、主制御部127は、学習モデルから出力された結果から基板Wそれぞれに対する露光量の間のばらつき等を示す統計値を算出してもよい。これにより、算出された統計値に基づいて露光量に閾値を設定し、学習モデルから出力された露光量に関する情報から決定された露光量が閾値を上回っている場合には採用しないようにすることができる。
【0055】
上記の一連の処理は露光装置100に設けられている主制御部127によって行われているが、これに限らず、例えば、露光装置100の外部にある情報処理装置を用いて行ってもよい。また、露光装置に設けられている主制御部127と外部にある情報処理装置とを組み合わせて、上記の一連の処理を行ってもよい。この場合、例えば、主制御部127が学習モデルを取得し、学習モデルの情報を外部にある情報処理装置に出力する。そして、外部にある情報処理装置が学習モデルを構築して、学習モデルを用いて露光量を決定することができる。また、例えば、外部にある情報処理装置が学習モデルを取得し、学習モデルの情報を主制御部127に出力する。そして、主制御部127が学習モデルを構築して、学習モデルを用いて露光量(第2露光量)に関する情報を決定することができる。
【0056】
以上のように、主制御部127は、基板W(第2基板)を露光するために用いられる原版R(第2原版)に関する情報を学習モデルに入力することにより、基板W(第2基板)を露光するときの露光量(第2露光量)に関する情報を取得する。
【0057】
以上、本実施形態に係る情報処理装置によれば、原版に関する情報を入力データとして学習モデルに入力することにより、露光量に関する情報を取得することができる。
【0058】
<物品の製造方法>
物品として、例えば、デバイス(半導体デバイス、磁気記憶媒体、液晶表示素子等)、カラーフィルタ、又はハードディスク等の製造方法について説明する。かかる製造方法は、光源部を有するリソグラフィ装置(例えば、露光装置、描画装置等)を用いて、光源部からの光を基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板等)に照射することにより、パターンを基板に形成する工程を含む。かかる製造方法は、パターンを形成された基板を処理する工程(処理ステップ)を更に含む。該処理ステップは、該パターンの残膜を除去するステップを含みうる。また、該処理ステップは、該パターンをマスクとして基板をエッチングするステップを含みうる。また、該処理ステップは、他の周知のステップとして、ダイシング、ボンディング、パッケージング等のステップを含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0059】
次に、物品の製造方法の一例として、上述の露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を図8及び図9を参照して説明する。図8は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造方法を例に説明する。
【0060】
ステップS1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップS2(マスク製作)では設計した回路パターンに基づいてマスク(原版)を製作する。ステップS3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハ(基板)を製造する。ステップS4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上に実際の回路を形成する。ここで、露光装置は、回路パターンが形成された原版を照明して、原版の回路パターンの像をウエハ上に投影することにより、ウエハ上に回路パターンを形成する。ステップS5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップS4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。ステップS6(検査)では、ステップS5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップS7)される。
【0061】
図9は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップS11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップS12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップS13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS14(イオン打ち込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップS15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップS16(露光)では、露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに露光する。ステップS17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップS18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップS19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0063】
また、露光装置の一例として、パターンが形成された原版からの光を基板に照射することにより、基板を露光する露光装置について説明したが、これらに限定されるものではない。また、露光装置の一例として、荷電粒子光学系を介して荷電粒子線(電子線やイオンビームなど)で基板に描画を行って、基板にパターン形成を行う描画装置などの装置であっても良い。
【0064】
<他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0065】
<実施形態のまとめ>
本明細書の開示は、以下の情報処理装置、露光装置、取得方法、プログラム、及び物品の製造方法を含む。
【0066】
(項目1)
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により生成された学習モデルに、第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得することを特徴とする情報処理装置。
【0067】
(項目2)
前記学習データを用いた機械学習により前記学習モデルを生成する、
ことを特徴とする項目1に記載の情報処理装置。
【0068】
(項目3)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に形成された第1パターンの種類に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に形成された第2パターンの種類に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の情報処理装置。
【0069】
(項目4)
前記第1パターンの種類及び前記第2パターンの種類には、ラインアンドスペース及びホールパターンのいずれかが含まれることを特徴とする項目3に記載の情報処理装置。
【0070】
(項目5)
前記第1パターンの種類及び前記第2パターンの種類には、デバイスパターン及び前記デバイスパターンの周辺に設けられる補助パターンのいずれかが含まれることを特徴とする項目3に記載の情報処理装置。
【0071】
(項目6)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に形成された第1パターンの寸法に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に形成された第2パターンの寸法に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1乃至5のいずれか1項目に記載5情報処理装置。
【0072】
(項目7)
前記第1パターンの寸法には、前記第1パターンに含まれる各ラインの寸法、前記第1パターンに含まれる各ホールの寸法、前記第1パターンに含まれる各ライン又は各ホールの間隔に関する情報のうち少なくとも1つが含まれ、
前記第2パターンの寸法には、前記第2パターンに含まれる各ラインの寸法、前記第2パターンに含まれる各ホールの寸法、前記第2パターンに含まれる各ライン又は各ホールの間隔に関する情報のうち少なくとも1つが含まれる、
ことを特徴とする項目6に記載の情報処理装置。
【0073】
(項目8)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版の種類に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版の種類に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項目に記載の情報処理装置。
【0074】
(項目9)
前記第1原版の種類及び前記第2原版の種類には、ポジ型レチクル、ネガ型レチクル、バイナリレチクル、位相シフトレチクルのうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする項目8に記載の情報処理装置。
【0075】
(項目10)
前記第1原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜の透過率に関する情報が含まれ、
前記第2原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に第2パターンとして形成された膜の透過率に関する情報が含まれることを特徴とする項目9に記載の情報処理装置。
【0076】
(項目11)
前記第1原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜により変化する光の位相に関する情報が含まれ、
前記第2原版の種類に位相シフトレチクルが含まれる場合、前記第2原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜により変化する光の位相に関する情報が含まれることを特徴とする項目9に記載の情報処理装置。
【0077】
(項目12)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に形成された第1パターンの断面形状に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に形成された第2パターンの断面形状に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1乃至11のいずれか1項目に記載の情報処理装置。
【0078】
(項目13)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版に第1パターンとして形成された膜の膜厚に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版に第2パターンとして形成された膜の膜厚に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1乃至12のいずれか1項目に記載の情報処理装置。
【0079】
(項目14)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版が製造された時の製造条件に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版が製造された時の製造条件に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1乃至13のいずれか1項目に記載の情報処理装置。
【0080】
(項目15)
前記第1原版に関する情報には、前記第1原版の使用履歴に関する情報が含まれ、
前記第2原版に関する情報には、前記第2原版の使用履歴に関する情報が含まれる、
ことを特徴とする項目1乃至14のいずれか1項目に記載の情報処理装置。
【0081】
(項目16)
パターンが形成された原版からの光により基板を露光する露光装置であって、
項目1乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置を備えることを特徴とする露光装置。
【0082】
(項目17)
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により学習モデルを生成する第1工程と、
第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を前記学習モデルに入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する第2工程と、を有することを特徴とする取得方法。
【0083】
(項目18)
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により学習モデルを生成する第1工程と、
第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を前記学習モデルに入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する第2工程と、を有することを特徴とする取得方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【0084】
(項目19)
第1基板を露光するために用いられた第1原版に関する情報と前記第1基板を露光したときの第1露光量に関する情報とを含む学習データを用いた機械学習により学習モデルを生成する第1工程と、
第2基板を露光するために用いる第2原版に関する情報を前記学習モデルに入力することにより、前記第2基板を露光するときの第2露光量に関する情報を取得する第2工程と、
前記第2露光量に関する情報に基づき決定された露光量で前記第2基板を露光する第3工程と、
露光された前記第2基板を現像する第4工程と、
現像された前記第2基板から物品を製造する第5工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9