(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175997
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
B60R 13/06 20060101AFI20241212BHJP
B60J 10/15 20160101ALI20241212BHJP
B60J 10/18 20160101ALI20241212BHJP
B60J 10/24 20160101ALI20241212BHJP
B60J 10/33 20160101ALI20241212BHJP
B60J 10/84 20160101ALI20241212BHJP
【FI】
B60R13/06
B60J10/15
B60J10/18
B60J10/24
B60J10/33
B60J10/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094165
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】小田 廣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201AA37
3D201CA03
3D201DA09
3D201DA10
3D201DA11
3D201DA13
3D201DA23
3D201DA49
3D201EA02E
3D201EA02H
(57)【要約】
【課題】フランジに対する保持力を一層高めて組付け作業性を容易にする。
【解決手段】自動車100のボディBのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジFに取付けられ、車内側側壁11と車外側側壁12と底壁13からなる断面略U字形で長手方向に延びる取付基部10と、取付基部10の内部には略U字形に曲げられた芯材17が埋設され、
両側壁内側には突条片15,16が設けられ、ドアD閉時にドアDに弾接する中空シール部20とを備えるウェザーストリップ1で、取付基部10の車内側側壁11の先端側に、長手方向に延び取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材30を設け、取付基部10の車外側側壁12の先端側に、長手方向に延び取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材40を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジに取付けられ、車内側側壁と車外側側壁と両側壁を接続する底壁からなる断面略U字形で長手方向に延びる取付基部と、前記取付基部の内部に略U字形に曲げられた芯材が埋設され、前記両側壁の内側にはそれぞれ前記フランジの面に接する突条片が設けられ、前記取付基部の前記車外側側壁の車外側面には前記取付基部と一体的に押出成形されるとともに、前記ドア閉時には前記ドアに弾接する中空シール部とを備えるウェザーストリップにおいて、
前記取付基部の前記車内側側壁の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材を設けるとともに、
前記取付基部の前記車外側側壁の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材を設けたことを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項2】
自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジに取付けられ、車内側側壁と車外側側壁と両側壁を接続する底壁からなる断面略U字形で長手方向に延びる取付基部と、前記取付け基部の内部に略U字形に曲げられた芯材が埋設され、前記両側壁の内側にはそれぞれ前記フランジの面に接する突条片が設けられ、前記取付基部の前記車外側側壁の車外側面には前記取付基部と一体的に押出成形されるとともに、前記ドア閉時には前記ドアに弾接する中空シール部とを備え、前記芯材は押出成形後に前記取付基部内でバラバラに分離されるタイプのウェザーストリップであって、
前記取付基部の前記車内側側壁の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材を設けるとともに、
前記取付基部の前記車外側側壁の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材を設けたことを特徴とするウェザーストリップ。
【請求項3】
前記車内側帯状部材は、前記取付基部の前記車内側側壁の先端側を断面L字形状に覆う、前記取付基部の前記車内側側壁の先端に設けられた車内側帯状部材先端部と、前記車内側帯状部材先端部の車内側端部から前記車内側側壁の車内側面に沿って前記底壁側に向かって延びる車内側帯状部材車内側部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェザーストリップ。
【請求項4】
前記車内側帯状部材の前記車内側帯状部材先端部の幅は、前記芯材の厚さよりも大きく、前記車内側帯状部材車内側部は、前記芯材の車内側端部よりも前記底壁側まで延び、
前記車外側帯状部材は、前記取付基部の前記車外側側壁の先端側を断面L字形状に覆う、前記取付基部の前記車外側側壁の先端に設けられた車外側帯状部材先端部と、前記車外側帯状部材先端部の車外側端部から前記車外側側壁の車外側面に沿って前記底壁側に向かって延びる車外側帯状部材車外側部を有するとともに、
前記車外側帯状部材の前記車外側帯状部材先端部の幅は、前記芯材の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のウェザーストリップ。
【請求項5】
前記取付基部の前記車外側側壁に対する前記中空シール部の2つの付け根部のうち、第一付け根部は前記取付基部の前記車外側側壁の前記底壁側に、第二付け根部は前記取付基部の前記車外側側壁の先端に設けられ、前記車外側帯状部材は、前記第二付け根部を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載のウェザーストリップ。
【請求項6】
前記取付基部の前記車外側側壁に設けられた前記突条片の一つは、前記取付基部の前記車外側側壁の先端から車内側に向けて延びる車外側第一突条片であり、前記車外側第一突条片の付け根部は、前記車外側帯状部材先端部を覆うとともに前記自動車ボディに弾接することを特徴とする請求項3に記載のウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボディのドア開口部に沿って取付けられ、ドア閉時にドアに弾接して車内外をシールするウェザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ボディのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジFに対して、
図5に示すようなウェザーストリップ50が取付けられている(例えば、特許文献1の
図3参照)。
このようなウェザーストリップ50は、自動車のサイドドアやスライドドアの開口部周縁部に沿って設けられたフランジFに挿入されるようにして取付けられ、車内側側壁61と車外側側壁62と両側壁61,62を接続する底壁63からなる断面略U字形の取付基部60と、その取付基部60の車外側側壁62に一体成形され、ドア閉時にそのドアに弾接する中空シール部70とからなる。
取付基部60の両側壁61,62の内側には挿入時にフランジFの面に接する複数の突条片65が設けられ、車内側側壁61には舌状のリップ部66が設けられている。また、取付基部60の内部には略U字形に曲げられた芯材67が埋設されている。
【0003】
芯材67としては、ウェザーストリップ50の押出加硫成形後に取付基部60の内部にバラバラに分離せず、そのままの状態で存在するもの(いわゆる連結タイプ)や、複数の連結部を設けて魚の骨状にしたものを使用し、ウェザーストリップ50の押出加硫成形後に取付基部60の内部で連結部をバラバラに分離するもの(いわゆるブレイクタイプ)がある。
【0004】
連結タイプの芯材67を使用しているウェザーストリップ50は、取付基部60の中で芯材67が分離されてなく連結しているので、長手方向に引っ張ってもほどんど伸びない。その結果、保持力に優れる。また、近年の自動車の軽量化の関係上、ウェザーストリップ50の芯材67は従来の板厚よりも薄いものが使用されるようになってきている。連結タイプの芯材67は、自動車に組付ける際にも連結している必要があるため、板厚が薄い連結部であっても破断しないように剛性の高い金属材、例えばハイテンション材を使用する必要がある。一般的に、ハテインション材は材料が高価な為、コストが高くなる。
これに対して、ブレイクタイプの芯材67を使用しているウェザーストリップ50は、取付基部60の中で芯材67が分離された状態となっているので、長手方向に引っ張ると容易に伸びる。その結果、保持力が小さくフランジFに取付けられた後、短時間の間に脱落し易いという問題がある。また、ブレイクタイプの芯材67の場合は、板厚が薄い連結部であっても、ウェザーストリップ50を押出加硫成形する時のみ連結していれば良い為、剛性の高い金属材であるハイテンション材を使用する必要がなく、原材料費が比較的安価な従来金属材料を使用可能であり製造コストを抑えることが可能である。
また、保持力が小さいと、
図6に実線で示すように、曲がりやすく垂れ下がるため組付け作業には作業者2名が必要である。つまり、
図6のように、ウェザーストリップ50をフランジFに仮組付けした場合、ウェザーストリップ50はフランジFから短時間内で脱落し易いため作業者は片手で仮組付けした部分を常時押さえる必要があり、作業者1名による作業は困難であった。
【0005】
特許文献1では、
図5に示すように、取付基部60の車内側側壁61端末部の車内側に、長手方向に延びる硬質材料からなる一条の帯状部材75を設けて車外側側壁62をフランジFの面に押付けるようにしたので、保持力が向上するが、これはウェザーストリップ50のコーナー部における構造に関するものであり、直線部においての保持力は十分に向上するものではなく組付け作業性が悪いことには変わりない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、フランジに対する保持力を一層高めて組付け作業性を容易にするウェザーストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、自動車(100)のボディ(B)のドア(D)開口周縁部に沿って設けられたフランジ(F)に取付けられ、車内側側壁(11)と車外側側壁(12)と両側壁(11,12)を接続する底壁(13)からなる断面略U字形で長手方向に延びる取付基部(10)と、前記取付基部(10)の内部に略U字形に曲げられた芯材(17)が埋設され、前記両側壁(11,12)の内側にはそれぞれ前記フランジ(F)の面に接する突条片(15,16)が設けられ、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の車外側面には前記取付基部(10)と一体的に押出成形されるとともに、前記ドア(D)閉時には前記ドア(D)に弾接する中空シール部(20)とを備えるウェザーストリップ(1)において、
前記取付基部(10)の前記車内側側壁(11)の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部(10)を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材(30)を設けるとともに、
前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部(10)を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材(40)を設けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、自動車(100)のボディ(B)のドア(D)開口周縁部に沿って設けられたフランジ(F)に取付けられ、車内側側壁(11)と車外側側壁(12)と両側壁(11,12)を接続する底壁(13)からなる断面略U字形で長手方向に延びる取付基部(10)と、前記取付基部(10)の内部に略U字形に曲げられた芯材(17)が埋設され、前記両側壁(11,12)の内側にはそれぞれ前記フランジ(F)の面に接する突条片(15,16)が設けられ、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の車外側面には前記取付基部(10)と一体的に押出成形されるとともに、前記ドア(D)の閉時には前記ドア(D)に弾接する中空シール部(20)とを備え、前記芯材(17)は押出成形後に前記取付基部(10)内でバラバラに分離されるタイプのウェザーストリップ(1)において、
前記取付基部(10)の前記車内側側壁(11)の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部(10)を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材(30)を設けるとともに、
前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の先端側に、前記長手方向に延び前記取付基部(10)を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材(40)を設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記車内側帯状部材(30)は、前記取付基部(10)の前記車内側側壁(11)の先端側を断面L字形状に覆う、前記取付基部(10)の前記車内側側壁(11)の先端に設けられた車内側帯状部材先端部(31)と、前記車内側帯状部材先端部(31)の車内側端部から前記車内側側壁(11)の車内側面に沿って前記底壁(13)側に向かって延びる車内側帯状部材車内側部(32)を有することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記車内側帯状部材(30)の前記車内側帯状部材先端部(31)の幅(31T)は、前記芯材(17)の厚さ(17T)よりも大きく、前記車内側帯状部材車内側部(32)は、前記芯材(17)の車内側端部(17a)よりも前記底壁(13)側まで延び、
前記車外側帯状部材(40)は、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の先端側を断面L字形状に覆う、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の先端に設けられた車外側帯状部材先端部(41)と、前記車外側帯状部材先端部(41)の車外側端部から前記車外側側壁(12)の車外側面に沿って前記底壁(13)側に向かって延びる車外側帯状部材車外側部(42)を有するとともに、
前記車外側帯状部材(40)の車前記外側帯状部材先端部(41)の幅(41T)は、前記芯材(17)の厚さ(17T)よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の車外側面に対する前記中空シール部(20)の2つの付け根部(21,22)のうち、第一付け根部(21)は前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の前記底壁(13)側に、第二付け根部(22)は前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の先端に設けられ、前記車外側帯状部材(40)は、前記第二付け根部(22)を構成することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)に設けられた前記突条片(16)の一つは、前記取付基部(10)の前記車外側側壁(12)の先端から車内側に向けて延びる車外側第一突条片(16a)であり、前記車外側第一突条片(16a)の付け根部(16a1)は、前記車外側帯状部材先端部(41)を覆うとともに前記自動車(100)のボディ(B)に弾接することを特徴とする。
【0014】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウェザーストリップの取付基部の車内側側壁の先端側には、取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材が設けられ、取付基部の車外側側壁の先端側には、取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材が設けられているので、車内側帯状部材及び車外側帯状部材を設定した部位の剛性は向上して伸び難くなる。
したがって、ウェザーストリップをフランジに対して仮組付けする際に、ウェザーストリップはフランジに強く組付きフランジから容易に脱落しないので、作業員1名による作業が可能となる。つまり、ウェザーストリップをフランジに仮組付けした場合、作業者は片手で仮組付けした部分を常時押さえる必要はなく、両手をウェザーストリップから離してもウェザーストリップはフランジから落下することはないので作業者は両手を使用した作業を行うことができ効率的である。
【0016】
特に、芯材が、ウェザーストリップの加硫後に取付基部内でバラバラに分離される、いわゆるブレイクタイプのものからなる場合、ウェザーストリップの押出加硫成形後に取付基部内部に分離されていないそのままの状態で存在する、いわゆる連結タイプのものと比較して、フランジに対する保持力が大きく低下するが、本発明のように、取付基部の両端に、取付基部を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材及び車外側帯状部材を設けることによって、取付基部両端の剛性が向上して伸び難くなり保持力が飛躍的に大きくなる。
このように、本発明は、芯材がブレイクタイプのものが埋設された取付基部を有するウェザーストリップに適用した場合に特に有効である。
【0017】
また本発明によれば、車内側帯状部材は、取付基部の車内側側壁の先端側を断面L字形状に覆う、取付基部の車内側側壁の先端に設けられた車内側帯状部材先端部と、車内側帯状部材先端部の車内側端部から車内側側壁の車内側面に沿って底壁側に向かって延びる車内側帯状部材車内側部を有するので取付基部の両端の剛性が格段と向上して取付基部の端部が容易に開くことはなくかつ伸び難くなる。
よってフランジに対してウェザーストリップを組付ける際の組付作業性が向上する。
【0018】
また本発明によれば、車内側帯状部材の車内側帯状部材先端部の幅は、芯材の厚さよりも大きく、車内側帯状部材車内側部は、芯材の車内側端部よりも底壁側まで延び、車外側帯状部材は、取付基部の車外側側壁の先端側を断面L字形状に覆う、取付基部の車外側側壁の先端に設けられた車外側帯状部材先端部と、車外側帯状部材先端部の車外側端部から車外側側壁の車外側面に沿って底壁側に向かって延びる車外側帯状部材車外側部を有するとともに、車外側帯状部材の車外側帯状部材先端部の幅は、芯材の厚さよりも大きいので、取付基部の両端における剛性は大きく向上する。
【0019】
また本発明によれば、車外側帯状部材は、中空シール部の第二付け根部を構成するものであるので、中空シール部の第二付け根部の剛性が向上する。
【0020】
また本発明によれば、取付基部の車外側側壁の先端から車内側に向けて延びる車外側第一突条片の付け根部は、車外側帯状部材先端部を覆うとともに自動車ボディに弾接するものであるので、フランジに対するウェザーストリップのくぐり水防止性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るウェザーストリップが取付けられた自動車の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図である。
【
図3】
図2に示したウェザーストリップの要部を示す拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る別のウェザーストリップを示す
図1のA-A線断面図である。
【
図5】従来例に係るウェザーストリップを示す断面図である。
【
図6】フランジに対して取付けられる本発明に係るウェザーストリップと従来例に係るウェザーストリップの撓み状態を比較して示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明の実施形態に係るウェザーストリップ1についてスライドドアDを有する自動車100に適用された例を示して説明する。なお、従来で示したものと同一部分には同一符号を付した。
【0023】
本発明の実施形態に係るウェザーストリップ1は、
図1乃至
図3に示すように、自動車100のボディBのドア開口周縁部に沿って設けられたフランジFに挿入されるようにして取付けられる取付基部10と、その取付基部10に設けられスライドドアDの閉時にそのドアDに弾接する中空シール部20を備え、取付基部10と中空シール部20が一体的に押出成形されることによって製造されている。フランジFは、自動車100のボディBのドア開口周縁部に沿って一周するように設けられ、
図2では自動車100の上辺部で自動車100の前後方向に水平に延びるフランジFに取付けられたウェザーストリップ1の断面形状を示している。
【0024】
取付基部10は、車内側側壁11と車外側側壁12と、それら両側壁11,12を接続する底壁13からなる断面略U字形で長手方向(自動車100の前後方向)に延びるものであり、EPDMなどのソリッドゴムの微発泡材で形成されている。そして、両側壁11,12の内側(フランジF対向面側)にはそれぞれ挿入時にフランジFの面に接する複数の突条片15,16が設けられ、また車内側側壁11の車内側には車内側側壁11と底壁13の接続部から車内側に向けて延びる断面舌状のリップ部18が設けられている。また取付基部10の内部には略U字形に曲げられた芯材17が埋設されている。
【0025】
芯材17としては、複数の連結部を設けて魚の骨状にしたものを使用し、ウェザーストリップ1の押出加硫成形後に取付基部10の内部で連結部をバラバラに分離するもの(いわゆるブレイクタイプ)が使用されている。
【0026】
取付基部10の車内側側壁11に設けられた突条片15は、車内側側壁11の先端から車外側に向けて延びるリップ形状で、フランジFの車内側面に弾接する。
取付基部10の車外側側壁12に設けられた突条片16は、車外側第一突条片16a,車外側第二突条片16b,車外側第三突条片16cからなり互いに間隔をおいて設けられ、
それぞれフランジFの車外側面に弾接する。車外側第一突条片16aは、車外側側壁12の先端から車内側に向けて延びるリップ形状で十分撓んだ状態でフランジFに弾接する。これに対して、車外側第二突条片16b及び車外側第三突条片16cは、塊状でフランジFに当接して支持する。車外側第二突条片16b及び車外側第三突条片16cは、取付基部10と同じソリッドゴムの微発泡材で形成されているが、車外側第一突条片16aは、スポンジゴム材で形成されている。
【0027】
車内側の突条片15は、車外側の突条片16(車外側第一突条片16a,車外側第二突条片16b,車外側第三突条片16c)よりも大きい断面形状で、その先端15aは、フランジFに弾接する前の状態では、車外側第二突条片16bの下側面と、車外側第三突条片16cの上側面と、車外側第二突条片16bの先端16bEと車外側第三突条片16cの先端16cEとを結ぶ仮想線Kと、車外側側壁12の車内側面とで囲まれる領域Rに設けられており、しかも、車外側第二突条片16bの下側面寄りの位置になっている。
また、突条片15の上側面15bは、先端15aまで略直線状に延びている。これに対して突条片15の下側面15cは、先端15aの手前までは略直線状に延びているが、先端15aにいくにしたがって突条片15の厚さが徐々に小さく上方に向かって湾曲するように面取りされている。
【0028】
また、取付基部10の底壁13内側にはフランジFの先端に粘接する不乾性シーラーSが取付けられている。ウェザーストリップ1をフランジFに取付けたときに突条片15が弾接して撓むが突条片15の先端15aは面取りされているのでシーラーSにはほとんど接触しないようになっている。突条片15の先端15aにシーラーSが多量に粘着するようだと、突条片15の摩擦係数が低下し、すべってフランジFの保持力が低下し、好ましくない。なおシーラーSについては省くことも可能である。
【0029】
また、中空シール部20は、車外側に向けて膨出するように取付基部10の車外側側壁12の車外側面に対して一体的に設けられたものであり、EPDMなどのスポンジゴム材で形成されている。
取付基部10の車外側側壁12の車外側面に対する中空シール部20の2つの付け根部21,22のうち、第一付け根部21は、取付基部10の車外側側壁12の底壁13側で、車外側側壁12と底壁13の接続部から少し車外側側壁12の先端側(上側)に寄った位置に設けられ、第二付け根部22は取付基部10の車外側側壁12の先端に設けられている。
【0030】
そして、取付基部10の車内側側壁11の先端側には、長手方向(自動車100の前後方向)に延び取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材30が設けられている。
また取付基部10の車外側側壁12の先端側には、長手方向(自動車100の前後方向)に延び取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材40が設けられている。
なお、ここで、取付基部10を構成する材質としては、(比重0.9~1.0程度の)ソリッドゴムの微発泡材があげられ、取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料としては、(比重1.1~1.2程度の)ソリッドゴム材があげられる。
【0031】
硬質材料としては、
図6に示したように、ウェザーストリップ1の一部をフランジFに取付けた場合、作業者が両手を離しても、短時間の間ではウェザーストリップ1がフランジFから自重で落下しない程度の剛性を有するものが採用される。硬質材料としては、ゴム製であっても樹脂製であってもよい。
【0032】
車内側帯状部材30は、
図3に示すように、取付基部10の車内側側壁11の先端側を断面L字形状に覆う、取付基部10の車内側側壁11の先端に設けられた車内側帯状部材先端部31と、車内側帯状部材先端部31の車内側端部から車内側側壁11の車内側面に沿って底壁13側に向かって延びる車内側帯状部材車内側部32を有する。
【0033】
また、車内側帯状部材30の車内側帯状部材先端部31の幅31Tは、芯材17の厚さ17Tよりも大きく、車内側帯状部材車内側部32は、芯材17の車内側端部17aよりも底壁13側まで延びている。
更に、車外側帯状部材40は、取付基部10の車外側側壁12の先端側を断面L字形状に覆うように設けられ、取付基部10の車外側側壁12の先端に設けられた車外側帯状部材先端部41と、その車外側帯状部材先端部41の車外側端部から車外側側壁12の車外側面に沿って底壁13側に向かって延びる車外側帯状部材車外側部42を有するとともに、車外側帯状部材40の車外側帯状部材先端部41の幅41Tは、芯材17の厚さ17Tよりも大きい。
【0034】
また、車外側帯状部材40は、中空シール部20の第二付け根部22を構成している。
特に、第二付け根部22の底壁13側は、車外側帯状部材40の車外側帯状部材車外側部42の下端部42aで構成され、取付基部10の車外側側壁12に近づくに従って徐々に厚肉になっていて少し上側に向けて凸の湾曲をしている。
【0035】
また、取付基部10の車外側側壁12に設けられた突条片16の一つである、車外側第一突条片16aの付け根部16a1は、車外側帯状部材先端部41を上方から覆うとともに付け根部16a1の上面は自動車100のボディ(ボディパネル)Bに直接弾接している。
【0036】
このように構成されたウェザーストリップ1によれば、取付基部10と中空シール部20を備え、取付基部10には内部でバラバラに分離されるタイプの芯材17が埋設されたウェザーストリップ1で、取付基部10の車内側側壁11の先端側には、取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材30が設けられ、取付基部10の車外側側壁12の先端側には、同じく取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材40が設けられているので、車内側帯状部材30及び車外側帯状部材40を設定した部位の剛性は向上して伸び難くなる。
したがって、ウェザーストリップ1をフランジFに対して仮組付けする際に、ウェザーストリップ1はフランジFに強く組付き、
図6に点線で示すように、従来例で示したウェザーストリップ50(実線)よりも自重で垂れ下がる量は小さく、フランジFから短時間内では容易に脱落しない。
これにより作業員1名による作業が可能となる。つまり、ウェザーストリップ1をフランジFに仮組付けした場合、作業者は片手で仮組付けした部分を常時押さえる必要はなく、両手をウェザーストリップ1から離してもウェザーストリップ1はフランジFから落下することはないので作業者は両手を使用した作業を行うことができ効率的である。
【0037】
また、車内側帯状部材30は、取付基部10の車内側側壁11の先端側を断面L字形状に覆う、取付基部10の車内側側壁11の先端に設けられた車内側帯状部材先端部31と、その車内側帯状部材先端部31の車内側端部から車内側側壁11の車内側面に沿って底壁13側に向かって延びる車内側帯状部材車内側部32を有するので、取付基部10の両端の剛性が格段と向上して取付基部10の端部が容易に開くことはなくかつ伸び難くなる。
よってフランジFに対してウェザーストリップ1を組付ける際の組付作業性が向上する。
【0038】
また、車内側帯状部材30の車内側帯状部材先端部31の幅31Tは、芯材17の厚さ17Tよりも大きく、車内側帯状部材車内側部32は、芯材17の車内側端部17aよりも底壁13側まで延び、更に、車外側帯状部材40は、取付基部10の車外側側壁12の先端側を断面L字形状に覆う、取付基部10の車外側側壁12の先端に設けられた車外側帯状部材先端部41と、その車外側帯状部材先端部41の車外側端部から車外側側壁12の車外側面に沿って底壁13側に向かって延びる車外側帯状部材車外側部42を有するとともに、車外側帯状部材40の車外側帯状部材先端部41の幅41Tは、芯材17の厚さ17Tよりも大きいので、取付基部10の両端における剛性は更に大きく向上する。
【0039】
また、車外側帯状部材40は、中空シール部20の第二付け根部22を構成するものであるので、中空シール部20の第二付け根部22の剛性が向上する。
【0040】
さらに、取付基部10の車外側側壁12の先端から車内側に向けて延びる車外側第一突条片16aの付け根部16a1は、車外側帯状部材先端部41を覆うとともに自動車100のボディBに弾接するものであるのでフランジFに対するウェザーストリップ1のくぐり水防止性能は向上する。
【0041】
また、中空シール部20の第二付け根部22の底壁側は、車外側帯状部材40の車外側帯状部材車外側部42で構成され、車外側帯状部材車外側部42の下端部42aは、取付基部10の車外側側壁12に近づくに従って徐々に厚肉になっているので、これによりしっかり中空シール部20を支えることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係るウェザーストリップ1では、
図2に示すように、車内側帯状部材30の車内側帯状部材車内側部32を車内側帯状部材先端部31の車内側から底壁13側に、取付基部10の車内側側壁11のほぼ中央まで延びるように設けたが、
図4に示すように、車内側側壁11の車内側面の全部にわたってリップ部18の付け根部まで延びるようにしてもよいし、リップ部18の付け根部まで至らないまでも車内側側壁11の半分より底壁13側、すなわち下側に延びるようにすることもできる。
また、車外側帯状部材40の車外側帯状部材車外側部42についても、
図2では、車外側帯状部材先端部41の車外側からわずかに底壁13側に延びるものであったが、
図4に示すように、車外側帯状部材車外側部42を中空シール部20の第二付け根部22の下側から第一付け根部21の上側に至るまで延びるようにしてもよいし、第一付け根部21に至らないまでも車外側側壁12の半分より底壁13側、すなわち下側に延びるようにすることもできる。
【0043】
本実施形態では、車内側の突条片15について、その先端15aの位置や大きさ及び形状を特定してフランジFに対して一層組付き易くしたが、取付基部10の車内側側壁11の先端側に、取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車内側帯状部材30を設け、しかも取付基部10の車外側側壁12の先端側に、同じく取付基部10を構成する材質よりも硬度の高い硬質材料からなる車外側帯状部材40を設ければ、それだけで取付基部10の両端における剛性が向上してフランジFに対する保持力が向上するので、突条片15,16の形状等を、例えば、従来例(
図5)で示したものと同様に、一般的な断面形状としてもよい。
【0044】
また、芯材17についてはブレイクタイプのものを使用した場合、連結タイプのものと比較して、フランジFに対するウェザーストリップ1の取付基部10の保持力が大きく低下するので、取付基部10の両端に車内側帯状部材30及び車外側帯状部材40を設けることは特に有効であるものであったが、連結タイプの芯材が埋設された取付基部10の両端に車内側帯状部材30及び車外側帯状部材40を設けて保持力を一層高めるようにすることもできる。
【0045】
また、本実施形態に係るウェザーストリップ1は、自動車100のボディBにおいて、スライドドアDの開口周縁部に沿って設けられたフランジFに取付けられるものを例として説明したが、サイドドアの開口周縁部に沿って設けられたフランジFに取付けられるものであっても適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ウェザーストリップ
10 取付基部
11 車内側側壁
12 車外側側壁
13 底壁
15 突条片
15a 突条片の先端
15b 上側面
15c 下側面
16 突条片
16a 車外側第一突条片
16a1 車外側第一突条片の付け根部
16b 車外側第二突条片
16bE 車外側第二突条片の先端
16c 車外側第三突条片
16cE 車外側第三突条片の先端
17 芯材
17a 芯材の車内側端部
17b 芯材の車外側端部
17T 芯材の厚さ
18 リップ部
20 中空シール部
21 第一付け根部
22 第二付け根部
30 車内側帯状部材
31 車内側帯状部材先端部
31T 車内側帯状部材先端部の幅
32 車内側帯状部材車内側部
40 車外側帯状部材
41 車外側帯状部材先端部
41T 車外側帯状部材先端部の幅
42 車外側帯状部材車外側部
42a 車外側帯状部材車外側部の下端部
50 ウェザーストリップ
60 取付基部
61 車内側側壁
62 車外側側壁
63 底壁
65 突条片
66 リップ部
67 芯材
70 中空シール部
75 帯状部材
100 自動車
B ボディ
D ドア
F フランジ
K 仮想線
R 領域
S シーラー