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特開2024-1760抜き型における端材や廃材の再生板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法
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  • 特開-抜き型における端材や廃材の再生板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法 図1
  • 特開-抜き型における端材や廃材の再生板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法 図2
  • 特開-抜き型における端材や廃材の再生板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法 図3
  • 特開-抜き型における端材や廃材の再生板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001760
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】抜き型における端材や廃材の再生板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/44 20060101AFI20231227BHJP
   B27N 3/04 20060101ALI20231227BHJP
   B26D 3/00 20060101ALN20231227BHJP
【FI】
B26F1/44 F ZAB
B27N3/04 Z
B26D3/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100629
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】302065873
【氏名又は名称】株式会社メイク・ア・ボックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】浅井 和明
【テーマコード(参考)】
2B260
3C060
【Fターム(参考)】
2B260BA01
2B260CB01
2B260EA13
3C060AA01
3C060AA04
3C060BA03
3C060BB05
3C060BC21
3C060BD01
(57)【要約】
【課題】 端材や廃材を再利用板材(再生板材)として加工するとともに、所定の連結強度・曲げ強度などの基準試験を満たさないときに再度所定の大きさや厚みを得る状態に迅速に変更した再加工を容易にすることができる。
【解決手段】 抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材2X,2Yに加工した後に、前記ピース部材同士2X,2Yを連結するための連結部2a,2bを設けて連結するとともに、所定枚数を重ね合わせて所定厚みに再加工するとともに、前記再加工した再生板材の連結強度や曲げ強度等の試験測定を行い、前記測定結果が所定の結果を得られなかった場合には、前記連結部2a,2bから連結状態を解除してピース部材2X,2Yに戻すとともに、前記連結状態及び/又は前記所定厚みを変更して再加工する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材に加工した後に、前記ピース部材同士を連結するための連結部を設けて連結するとともに、所定枚数を重ね合わせて所定厚みに再加工することを特徴とする抜き型における端材や廃材の再生板材。
【請求項2】
前記各ピース部材は凸部と凹部が少なくとも一組設けられた連結部を有するとともに、前記ピース部材の大きさは約150~200mm程度の正方形状であるか、及び/又は、前記連結部の形状が略円形の前記凸部とこれを取り囲む前記凹部とからなる形状であることを特徴とする請求項1記載の抜き型における端材や廃材の再生板材。
【請求項3】
抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材に加工した後に、前記ピース部材同士を連結するための連結部を設けて連結するとともに、所定枚数を重ね合わせて所定厚みに再加工するとともに、前記再加工した再生板材の連結強度や曲げ強度等の試験測定を行い、前記測定結果が所定の結果を得られなかった場合には、前記連結部から連結状態を解除してピース部材に戻すとともに、前記連結状態及び/又は前記所定厚みを変更して再加工することを特徴とする抜き型における端材や廃材の再利用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚紙や段ボール等のシート材を打ち抜いて搬送する抜型加工(抜き型工程)において排出される抜き型における端材や廃材の再生板材と再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製のフィルム、厚紙、薄紙、段ボール等、シート状の打抜材の加工においては、打抜材を打抜装置、つまりストリッピング装置および製品分離装置へ順に移送することで所望形状の打抜材(所定箇所が打ち抜かれたシート材)を形成して製造する。この打ち抜き装置では、木型を使用して、打ち抜き装置の下型の上に打抜材(シート材)を搬送して、その後切断刃を有する上型を下型に向かって下降させることで下型と上型で打抜材を挟み込んで圧接し、打抜材に所望の形状の切り取り線を形成する。
【0003】
特許文献1には、粗粉砕した廃材木片を更に微粉砕した木片として流動性を有する接着剤又は接着硬化剤を添加混錬し、予め設定した所定の整形型に圧入又は流入させ初期の木製品を成型製造することを特徴とした廃却木材の再生方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55-117643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、抜型業界(打抜き加工)では、主に16mm厚と18mm厚のベニヤをレーザーカットしているが、端材や廃材として、例えば一辺が20cm以下サイズので(抜型加工が行われた直後に端材や廃材をすぐに加工する)、レーザーカットする事は余り時間が掛からない。それを組み合わせてインクジェットや彫刻を加工すれば好きなサイズで看板や壁面を制作する事が可能である。ただし、所定の大きさに連結させることは、さほど難しくはないが、厚さ方向に連結して、所定の厚さの元の強度や曲げ強度を保持することは難しかった。また、所定厚みの壁面などで使用する場合、曲げ強度や曲がり強度などを建築の基準などをクリアする必要が生じる場合がある。そして、ある用途に使用可能な再生材を作成したとしても、実際に加圧・圧縮試験や曲げ試験などを行うと、その厚みに応じた所定の試験結果を得ることは難しかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、端材や廃材を再利用板材(再生板材)として加工するとともに、所定の連結強度・曲げ強度などの基準試験を満たさないときに再度所定の大きさや厚みを得る状態に迅速に変更した再加工を容易にすることができる抜き型における端材や廃材を再利用板材と抜き型における端材や廃材の再利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材に加工した後に、前記ピース部材同士を連結するための連結部を設けて連結するとともに、所定枚数を重ね合わせて所定厚みに再加工することを特徴とする抜き型における端材や廃材からの再生板材である。
本発明によれば、抜型業界(抜型である木型を抜くときに生じる)端材や廃材を使って看板基材や壁面装飾基材として再生する。抜型業界では、主に16mm厚と18mm厚のベニヤをレーザーカットしているが、端材や廃材を例えば20cm以下、例えば約150~200mm程度)程度に端材や廃材を加工する、つまりレーザーカットする事は余り時間が掛からない。それを組み合わせてインクジェットや彫刻を加工すれば好きなサイズで看板や壁面を制作する事(再生加工)が可能である。しかし、所定厚みの所定の大きさの看板基材や壁面装飾基材を作成しても、連結強度や曲げ強度が初期に想定したものと異なる場合がある。そこで、連結強度や曲げ強度等が所望したものと異なる場合は、再加工するが、再加工しやすいものにしておき、再加工を容易にする。
【0008】
本発明としては、前記各ピース部材は凸部と凹部が少なくとも一組設けられた連結部を有するとともに、前記ピース部材の大きさは約150~200mm程度の正方形状であるか、及び/又は、前記連結部の形状が略円形の前記凸部とこれを取り囲む前記凹部とからなる形状であることを特徴とする。
本発明によれば、約150~200mm程度の正方形状であることから、縦方向に長さを調整する場合も横方向に長さを調整する場合も同じ長さ間隔での再設定が容易である。また、前記各ピース部材は凸部と凹部が少なくとも一組設けられて連結されることから、この凹凸による連結により、連結強度や曲げ強度を調整することが容易に可能である。なお、複数のピース片とピース片との連結状態としては、前記凸形状が略前記各ピース部材は凸部と凹部が少なくとも一組設けられた連結部を有するとともに、前記ピース部材の大きさは約150~200mm程度の正方形状であるか、及び/又は、前記連結部の形状が略円形の前記凸部とこれを取り囲む前記凹部とからなる形状であることを特徴とする状として、前記凸形状がこれを外周から取り囲む部材として、例えば連結強度を調整する場合は、前記略正円形状を変形させるが(例えば楕円形状に変形)、前記略正円形状を基準の出発点とすることとすると、変更した形状やどの程度変更させたかの基準が明確になる利点がある。
【0009】
また、本発明は、抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材に加工した後に、前記ピース部材同士を連結するための連結部を設けて連結するとともに、所定枚数を重ね合わせて所定厚みに再加工するとともに、前記再加工した再生板材の連結強度や曲げ強度等の試験測定を行い、前記測定結果が所定の結果を得られなかった場合には、前記連結部から連結状態を解除してピース部材に戻すとともに、前記連結状態及び/又は前記所定厚みを変更して再加工することを特徴とする抜き型における端材や廃材の再利用方法である。
本発明によれば、前記再加工した再生板材の連結強度や曲げ強度を測定したり、弾力性試験を行ったり等の試験測定を行い、前記測定結果が所定の結果を得られなかった場合には、前記連結部から連結状態を解除してピース部材に戻すとともに、前記連結状態及び/又は前記所定厚みを変更して再加工することから、前記測定結果が得られない場合でも、前記連結状態及び/又は前記所定厚みを変更して再加工すること容易に行うことが可能である。なお、前記測定結果が所定の基準を満たすときには、そのまま基準を満たす再生材として使用しても良いが、一度分解して接着剤を加えて再生板材として作成しても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、抜型業界では主に16mm厚と18mm厚のベニヤをレーザーカットしているが端材や廃材部分で例えば一辺が20cm以下サイズでレーザーカットする事は余り時間が掛からない。それを組み合わせてインクジェットや彫刻を加工すれば好きなサイズで看板や壁面を制作する事が可能である。
本発明によれば、約150~200mm程度の正方形状であることから、縦方向に長さを調整する場合も横方向に長さを調整する場合も同じ長さ間隔での再設定が容易である。また、前記各ピース部材は凸部と凹部が少なくとも一組設けられて連結されることから、この凹凸による連結により、連結強度や曲げ強度を再調整することが容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の再生板材の連結状態を示す斜視図である。
図2】上記第1の実施形態の再生板材の連結状態を示す斜視図である。
図3】上記第1の実施形態の再生板材の連結状態を示す平面図である。
図4】上記第1の実施形態の再生板材の連結状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施する具体的な形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1図2は、本発明の第1の実施形態の再生板材の連結状態を示す斜視図である。
本実施形態では、抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材2に加工した後に、前記ピース部材同士2X,2Yを連結部2a,2bを設けて連結する。前記ピース部材2X,2Yの大きさは約150~200mm程度の正方形状であるとともに、前記各ピース部材2X,2Yは、凸部2aと凹部2bが少なくとも一組設けられて連結される。抜型工程で使用される木製抜型では、主に16mm厚と18mm厚のベニヤをレーザーカットしているため、約150~200mm程度の大きさに加工することは、容易な作業であるが、正方形状とするのは、縦横の連結状態の再設定が行い易いことと、基準値の設定から高くしたり低くしたりの調整に優れることによる。
【0014】
抜型工程で使用される木製抜型を作成する工程の端材や廃材を所定形状の大きさのピース部材2X,2Yに加工した後に、前記ピース部材同士を連結するための連結部を設けて連結するとともに、所定枚数を重ね合わせて所定厚みに再加工するとともに、前記再加工した再生板材の連結強度や曲げ強度等の測定したり、弾力性試験を行ったり等の試験測定を行い、前記測定結果が所定の結果を得られなかった場合には、前記連結部から連結状態を解除してピース部材に戻すとともに、前記連結状態及び/又は前記所定厚みを変更して再加工する。例えば、円形状の凹凸部を楕円形状に再度加工して再度連結強度を測定するか、重ね合わせ枚数を再度調整して曲げ強度を測定する。
なお、一度分解して接着剤を加えて再生板材として作成しても良い。
本実施形態においては、前記ピース部材2の大きさは約150~200mm程度の正方形状であり、前記各ピース部材は凸部と凹部の連結部2a,2bが少なくとも一組設けられて連結される。なお、各ピース部材2が、再生板材1の外周側に配置される場合は、各ピース部材2(2X,2Y)は凸部2aと凹部2bを周辺部には設けない(図4)。
本実施形態によれば、まず、所定厚さのピース部材2を複数作成して、前記連結部2a,2b材で次のような加工工程にすることも可能である。すなわち、まず前記ピース部材2X,2Yを連結した状態で一度展示して製造・販売契約を打診して、製造・販売契約が決まった場合には、そのまま製造・販売するが、製造・販売に至らなかった場合には、前記連結部から連結状態を解除してピース部材に戻すとともに、これらを厚み方向に揃えて、廃棄処理工程に移すことから、廃棄処分にする工程で、所定の大きなスペースが不要で、運搬のし易くなる。
【0015】
ここで、厚みの調整は、複数のピース片2X,2Yの重ね合わせ枚数を調整することで、調整が可能である(図3(a)(b)(c))。図3(c)は、厚さの薄い部分と厚さの厚い部部とからなる再生板材1である。次に、前記連結状態の再調整として、略正円形状の連結部2a,2bから楕円形状等の他の連結形状に変更する(図4)。複数のピース片2Xとピース片2Yとの連結状態としては、前記凸形状2aが略正円形状として、前記凸形状がこれを外周から取り囲む部材2bとして(第1の連結状態)、例えば連結強度を調整する場合は、前記略正円形状を変形させるが(例えば楕円形状に変形:第2の連結状態3a、3b)、前記略正円形状を基準の出発点とすることとすると、変更した形状やどの程度変更させたかの基準が明確になる利点がある。
上記円形状の凹凸部2a,2bを楕円形状に再度加工して再度連結強度や連結状態を再調整する例としては、図4に示すように、円形状の凹凸部2a,2bを楕円形状に再度加工して再度連結強度を測定するか、重ね合わせ枚数を再度調整して連結強度や曲げ強度を測定する。重ね合わせ枚数を再度調整しながら、連結部2a,2bの形状を変化させることで、連結強度や曲げ強度の試験する幅(調整幅)を大きくするしなくても再設定が可能である。ここで、前記連結部2a、2bのみ接着剤を充填するようにして、前記再調整の際にのみ接着剤を連結に際する考慮要素とすることも可能である。
【0016】
また、本実施の形態では、16mm厚と18mm厚のベニヤ(ピース部材)2(2X,2Y)の位置合わせが可能である(図1図2)。これは、薄い方のピース片2X,2Yの枚数を少なくしたり、形状変化を防止する役割もあるが、ピース片とピース片の連結状態(連結強度)の調整が行い易いことが挙げられる。すなわち、同じ枚数同士のピース片同士2X,2Yでは、再調整の幅は小さくなるが、本実施形態のように、厚さの厚い方2Yと厚さの薄い方2Xとが交互に連結されていることで、各連結箇所2a,2bでの連結状態(連結強度)の再調整に大きな幅で再調整することが容易になる(大きく変化する値に設定することが容易になる。)
【0017】
以上、本実施の形態では、正方形状のピース片とピース片との連結させる例で説明したが、長方形状等のその他の形状で本発明を実施することも可能である。また、本実施形態では、略正円形状や楕円形状の連結部2a,2bを例に説明したが、その他の形状で本発明を実施することも可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 再生板材、
2,2C ピース部材(ピース片)、2C 周縁部やコーナ部のピース部材、
2X,2Y ピース部材(ピース片)、2X 厚さの薄いピース部材、2Y 厚さの厚いピース部材、
2a,2b 連結部(第1形状の連結部)、2a 凸部、 2b 凹部、
3a,3b 連結部(第2形状の連結部)、3a 凸部、 3b 凹部、

図1
図2
図3
図4