(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176006
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】プリーツスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/262 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
E06B9/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094186
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 英希
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA02
2E043AA04
2E043BC02
2E043CA03
2E043DA05
(57)【要約】
【課題】簡易な構造によってスクリーン畳み込み時におけるプリーツの歪みを解消すること。
【解決手段】プリーツスクリーンは、スクリーンとコードとレール材と矯正部材とを具備する。前記スクリーンは、上下方向に連なる複数のプリーツを有し畳み込み及び展開可能である。前記コードは、前記プリーツの背面側を挿通して垂下する昇降可能なものである。前記レール材は、前記スクリーンの下端及び前記コードの一端に連結されるレール材であって、前記スクリーンの畳み込み時に当該レール材の上端部において前記プリーツが前方に突出するように当該プリーツを支持する。前記矯正部材は、前記スクリーンの畳み込み時における前記レール材の上端部近傍のプリーツの歪みを矯正可能に、該プリーツの背面側に前記レール材の長手方向に沿って設けられる。前記矯正部材は、前記レール材の上端部近傍のプリーツのうち少なくとも前記レール材の直上のプリーツの背面側に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に連なる複数のプリーツを有し畳み込み及び展開可能なスクリーンと、
前記プリーツの背面側を挿通して垂下する昇降可能なコードと、
前記スクリーンの下端及び前記コードの一端に連結されるレール材であって、前記スクリーンの畳み込み時に当該レール材の上端部において前記プリーツが前方に突出するように当該プリーツを支持するレール材と、
前記スクリーンの畳み込み時における前記レール材の上端部近傍のプリーツの歪みを矯正可能に、該プリーツの背面側に前記レール材の長手方向に沿って設けられる矯正部材と、
を具備し、
前記矯正部材は、前記レール材の上端部近傍のプリーツのうち少なくとも前記レール材の直上のプリーツの背面側に設けられる、
プリーツスクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記矯正部材は、前記プリーツと前記コードとの間に設けられ、畳み込まれた前記プリーツに挟み込まれることにより当該プリーツの歪みを矯正するプレートである
プリーツスクリーン。
【請求項3】
請求項2に記載のプリーツスクリーンであって、
前記プレートは、畳み込まれたプリーツに挟み込まれた状態において、当該プレートの短手方向におけるプリーツ側の端部と該プリーツの頂部とが前後方向において略同位置となるサイズに形成される
プリーツスクリーン。
【請求項4】
請求項2または3に記載のプリーツスクリーンであって、
前記プレートは、当該プレートの短手方向におけるコード側の端部に、前記コードが挿通可能に形成された切欠きを有する
プリーツスクリーン。
【請求項5】
請求項2または3に記載のプリーツスクリーンであって、
前記プレートは、前記コードが挿通可能に形成された挿通孔を有する
プリーツスクリーン。
【請求項6】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記矯正部材は、前記プリーツの背面に取着されることにより該プリーツの剛性を高める生地部材である
プリーツスクリーン。
【請求項7】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記矯正部材は、前記プリーツの背面に取着されることにより該プリーツの剛性を高める少なくとも1つの棒状部材である
プリーツスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリーツスクリーンとして、スクリーンの前後幅の中央から後方側にずれた位置で昇降コードをスクリーンに挿通し、スクリーンの前後幅より狭い前後幅のボトムレールを昇降コードに吊下支持し、ボトムレール上にスクリーンを積層した状態でスクリーンを上方へ畳み込み可能に構成されたものが知られている。
【0003】
この種のプリーツスクリーンでは、スクリーンを畳み込んだ際にプリーツがボトムレールに支えられないため、スクリーンの剛性が弱い場合にはプリーツの長手方向の直線性が保たれずに歪んでしまう場合があった。その結果、畳み込まれたスクリーンの一部がボトムレールからずり落ちてしまう場合もあった。
【0004】
下記特許文献1に示されるプリーツスクリーンは、上端から前方に向かって延びる支持片が形成されたボトムレールを備える構成により、上記の課題を解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献に示されるプリーツスクリーンは特殊なボトムレールを備えたものであるため、より簡易な構造でプリーツの歪みを解消可能とする技術が望まれていた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構造によってスクリーン畳み込み時におけるプリーツの歪みを解消することができるプリーツスクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るプリーツスクリーンは、スクリーンとコードとレール材と矯正部材とを具備する。前記スクリーンは、上下方向に連なる複数のプリーツを有し畳み込み及び展開可能である。前記コードは、前記プリーツの背面側を挿通して垂下する昇降可能なものである。前記レール材は、前記スクリーンの下端及び前記コードの一端に連結されるレール材であって、前記スクリーンの畳み込み時に当該レール材の上端部において前記プリーツが前方に突出するように当該プリーツを支持する。前記矯正部材は、前記スクリーンの畳み込み時における前記レール材の上端部近傍のプリーツの歪みを矯正可能に、該プリーツの背面側に前記レール材の長手方向に沿って設けられる。前記矯正部材は、前記レール材の上端部近傍のプリーツのうち少なくとも前記レール材の直上のプリーツの背面側に設けられる。
【0009】
この構成によれば、少なくとも最下段のプリーツの背面側に矯正部材を設けるだけの簡易な構造によって、スクリーン畳み込み時におけるプリーツの歪みを解消することができる。
【0010】
前記矯正部材は、前記プリーツと前記コードとの間に設けられ、畳み込まれた前記プリーツに挟み込まれることにより当該プリーツの歪みを矯正するプレートであってもよい。
【0011】
この構成によれば、プレートを新たに設けただけの簡易な構造によって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0012】
前記プレートは、畳み込まれたプリーツに挟み込まれた状態において、当該プレートの短手方向におけるプリーツ側の端部と該プリーツの頂部とが前後方向において略同位置となるサイズに形成されてもよい。
【0013】
この構成によれば、プリーツの歪みを解消する効果をより高めることができる。
【0014】
前記プレートは、当該プレートの短手方向におけるコード側の端部に、前記コードが挿通可能に形成された切欠きを有してもよい。
【0015】
この構成によれば、プリーツスクリーンの操作時にプレートが長手方向に位置ずれしてしまうことを防止できる。また、プレートを後付けすることもできるようになる。
【0016】
前記プレートは、前記コードが挿通可能に形成された挿通孔を有してもよい。
【0017】
この構成によれば、プリーツスクリーンの操作時にプレートが長手方向及び短手方向に位置ずれしてしまうことを防止できる。
【0018】
前記矯正部材は、前記プリーツの背面に取着されることにより該プリーツの剛性を高める生地部材であってもよい。
【0019】
前記矯正部材は、前記プリーツの背面に取着されることにより該プリーツの剛性を高める少なくとも1つの棒状部材であってもよい。
【0020】
これらの構成によれば、プリーツの剛性を高める部材をプリーツの背面に取着するだけの簡易な構造によって、プリーツの歪みを解消することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、簡易な構造によってスクリーン畳み込み時におけるプリーツの歪みを解消することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリーツスクリーンの展開(下降)状態の正面図である。
【
図2】
図1のプリーツスクリーンのボトムレール近傍の右側面図である。
【
図4】上記プレートの取付方法を示した斜視図である。
【
図5】上記プリーツスクリーンの畳み込み時のボトムレール近傍の正面図である。
【
図6】上記プレートを有しない従来のプリーツスクリーンを
図5と比較して示した正面図である。
【
図7】本発明の変形例に係るプリーツスクリーンのボトムレール近傍の斜視図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るプリーツスクリーンのボトムレール近傍の右側面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るプリーツスクリーンのボトムレール近傍の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0024】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
【0025】
[プリーツスクリーンの構成]
図1は、本実施形態に係るプリーツスクリーンの展開(下降)状態の正面図である。また
図2は
図1のプリーツスクリーンのボトムレール近傍の右側面図である。
図2(a)はスクリーン展開状態を示し、
図2(b)はスクリーン畳み込み途中の状態を示す。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るプリーツスクリーン100は、ヘッドボックス1と、当該ヘッドボックス1によって昇降可能に支持される上部スクリーン2及び下部スクリーン4を有する。
【0027】
上部スクリーン2の上端は、取付プレートを介してヘッドボックス1に連結されている。上部スクリーン2の下端は、取付プレートを介して中間バー3に連結され、下部スクリーン4の上端は、取付プレートを介して中間バー3に連結されている。下部スクリーン4の下端は、取付プレートを介してボトムレール5に連結されている。
【0028】
上部スクリーン2及び下部スクリーン4はいずれも、同
図Y方向に蛇腹状に折り加工された複数のプリーツが上下方向(Y方向)に畳み込み及び展開可能に形成されたプリーツスクリーンである。上部スクリーン2の生地は、例えば光を透過可能なシースルー素材で形成されている。一方、下部スクリーン4の生地は、例えば光を透過しない遮光性が高い素材で形成されている。当該上部スクリーン2及び下部スクリーン4の畳み込まれたときの前後幅(Z方向の長さ)は例えば30~35mmである。
【0029】
図2に示すように、下部スクリーン4の背面側の各プリーツには突出部41が形成されている。また図示しないが、上部スクリーン2の背面側の各プリーツにも同様に突出部が形成され、当該突出部41は、例えば、各プリーツの頂点部から所定長(例えば5~10mm)分の山部を重ねて溶着等により接合することで形成される。
【0030】
突出部41には挿通孔45が形成され、また図示しないが上部スクリーン2の突出部にも同様に挿通孔が形成されている。昇降コード6は、上記ヘッドボックス1から垂下され、上部スクリーン2の突出部の挿通孔及び下部スクリーン4の突出部41の挿通孔45を挿通している。昇降コード6の下端は、ボトムレール5のコードホルダに係止されることでボトムレール5に連結されている。また調光コード7は、上記ヘッドボックス1から垂下され、上部スクリーン2の突出部の挿通孔を挿通している。調光コード7の下端は、中間バー3のコードホルダ(図示せず)に係止されることで、中間バー3に連結されている。
【0031】
このように、上部スクリーン2を挿通する調光コード7並びに上部スクリーン2及び下部スクリーン4を挿通する昇降コード6をスクリーン表面側に露出させないことで意匠性を向上させ、上部スクリーン2の挿通孔及び下部スクリーン4の挿通孔45からの光漏れを防止することが可能となる。
【0032】
なお
図2では図示を省略しているが、上部スクリーン2及び下部スクリーン4の各背面側には、上部スクリーン2及び下部スクリーン4の各プリーツを一定間隔で保持するためのピッチコードが設けられている。
【0033】
上記上部スクリーン2は、上記調光コード7の昇降により中間バー3が昇降することで展開可能とされており、上記下部スクリーン4は、上記昇降コード6の昇降によりボトムレール5が昇降することで展開可能とされている。
【0034】
ヘッドボックス1は、横長直方体形状を有し、その上面及び後面に配置された略L字状のブラケット16を介して建物内部の窓枠の天井面や壁面等の固定面にネジ等により固定される。
【0035】
ヘッドボックス1内には、上部スクリーン2の昇降動作のための第1駆動系と、下部スクリーン4の昇降動作のための第2駆動系が設けられている。第1駆動系と第2駆動系はヘッドボックス1の内部に前後方向(同
図Z方向)で並列して配置されており、
図1ではそのうち前方の第1駆動系のみが図示されている。
【0036】
なお、例えば、第1駆動系と第2駆動系とを上下方向に位置を異ならせるように並設してもよく、第1駆動系と第2駆動系の配列を前後方向あるいは上下方向に逆にしてもよい。
【0037】
図1に示すように、各駆動系は、2つの巻取ドラム9(中間バー3用の巻取ドラム9a及び不図示のボトムレール5用の巻取ドラム9b)、駆動軸10(中間バー3用の駆動軸10a及び不図示のボトムレール5用の駆動軸10b)、ブレーキ11(中間バー3用のブレーキ11a及び不図示のボトムレール5用のブレーキ11b)、ストッパ12(中間バー3用のストッパ12a及び不図示のボトムレール5用のストッパ12b)で構成される。その他、ヘッドボックス1の例えば左端には下限リミット17が設けられている。
【0038】
駆動軸10a及び10bは、それぞれ、同図左右方向(X方向)に延在する角柱状の部材であり、ヘッドボックス1内において軸心方向を左右方向に向けて回転可能に軸支される。
【0039】
巻取ドラム9aは、駆動軸10aと一体回転するように駆動軸10aに貫通され、調光コード7の一端が巻取り及び巻解き可能に連結される。巻取ドラム9bは、駆動軸10bと一体回転するように駆動軸10bに貫通され、昇降コード6の一端が巻取り及び巻解き可能に連結される。
【0040】
ストッパ12a及び12bは、それぞれ、駆動軸10a及び10bの巻解き方向の回転を規制する。またストッパ12a及び12bは、それぞれ、駆動軸10a及び10bの回転を規制する状態と許容する状態とに切替可能である。
【0041】
ブレーキ11a及び11bは、それぞれ、調光コード7及び昇降コード6の巻解速度(巻取ドラム9a及び9bの回転速度)を減速することで、上部スクリーン2が下端位置まで下降した際の中間バー3による衝撃力、及び、下部スクリーン4が下端位置まで下降した際のボトムレール5による衝撃力を緩和する。
【0042】
下限リミット17は、駆動軸10a及び10bそれぞれの他端部を支持すると共に、駆動軸10bの回転に連動して巻取ドラム9bによる昇降コード6の巻解き量を、予め設定された最大巻解き量に規制する。最大巻解き量は調節可能であり、これによりボトムレール5の下限位置を設定することができる。
【0043】
その他、ヘッドボックス1には、巻取ドラム9aの駆動軸10aと巻取ドラム9bの駆動軸10bとを独立的に回転させる単独状態と連動して回転させる連動状態とに切り替える連動機構も設けられている。
【0044】
操作ユニット13は、無端状の操作コード14(例えばボールチェーン)、当該操作コード14が巻き掛けられるプーリ15、その他、プーリ15と一体回転するように連結される操作軸等で構成されており、ユーザの操作コード14に対する昇降操作に応じて上記上部スクリーン2及び下部スクリーン4を昇降させる。
【0045】
上記操作コード14のうち、正面から見て奥側のチェーンは、調光コード7(上部スクリーン2及び中間バー3)の昇降動作に用いられ、手前側のチェーンは、昇降コード6(下部スクリーン4及びボトムレール5)の昇降動作に用いられる。
【0046】
中間バー3の長手方向の両端部は、組立時に上記上部スクリーン2の下端及び下部スクリーン4の上端を挿入可能とするために開口しており、当該開口には、レールキャップ3aが着脱可能に設けられている。同様に、ボトムレール5の長手方向の両端部の開口にも、下部スクリーン4の下端を挿入可能とするためにレールキャップ5aが着脱可能に設けられている。
【0047】
図2に示すように、ボトムレール5は、断面略台形状(上底よりも下底が長い台形柱状)を有している。当該ボトムレール5の面のうち同図において上記台形の上底に対応する面には、上記昇降コード6の下端が連結され、上記台形の左脚(左側辺)に対応する面には、下部スクリーン4の下端が連結される。
【0048】
図2(a)に示すように、ボトムレール5の、下部スクリーン4の下端との連結面は、下部スクリーン4が全て展開されて下限位置にある時に斜め上方を向くように設計されている。
【0049】
また
図2(b)に示すように、ボトムレール5は、下部スクリーン4の畳み込み時に当該ボトムレール5の上端部においてプリーツが前方(Z方向)に突出するように当該プリーツを支持する。
【0050】
同図に示すように、ボトムレール5の上端部近傍のプリーツのうち、ボトムレール5の直上のプリーツの背面側には、ボトムレール5の長手方向に沿って、プレート20が設けられている。当該プレート20は、下部スクリーン4の畳み込み時における、ボトムレール5の上端部近傍のプリーツの歪みを矯正可能な矯正部材として設けられる。プレート20は、例えば透明な樹脂材料(PMMA、PC)とすることで、下部スクリーン4を光が通過したときに、プレート20を設けた箇所のスクリーンの色合いが変化することを抑制する。なお、ここでいう歪みとは、プリーツの先端部が長手方向に沿って波打つような形状となる「波打ち」と、プリーツの長手方向における昇降コード6間(即ち、不図示のピッチコード間)において垂れるような形状となる「弛み」とを含むものとする。
【0051】
[プレートの詳細]
図3は、
図2のプレート20の平面図である。また
図4は、当該プレート20の取付方法を示した斜視図である。なお
図4においては、ボトムレール5は図示を省略している。また
図5は、上記プリーツスクリーン100の畳み込み時のボトムレール5近傍の正面図である。
図6は、上記プレート20を有しない従来のプリーツスクリーンを
図5と比較して示した正面図である。
【0052】
図6に示すように、スクリーンの畳み込み時にボトムレールがその上端部においてプリーツが前方に突出するように当該プリーツを支持する構造の従来のプリーツスクリーンでは、スクリーンを畳み込んだ際に前方に突出したプリーツがボトムレールに支えられないため、スクリーンの剛性が弱い場合にはプリーツの長手方向の直線性が保たれずに、波打ったり(特にピッチコードから離れた部分が)弛んだりしてしまう歪みの問題が生じる場合があった。その結果、畳み込まれたスクリーンの一部がボトムレールからずり落ちてしまう場合もあった。本実施形態に係るプレート20は、このプリーツの歪みを矯正する目的で設けられる。
【0053】
図2乃至
図4に示すように、プレート20は、ボトムレール5の直上のプリーツと昇降コード6との間に、ボトムレール5の長手方向に沿って、畳み込まれたプリーツに挟み込まれるように設けられる。
【0054】
また
図2(b)及び
図4(b)に示すように、プレート20は、上記畳み込まれたプリーツに挟み込まれた状態において、当該プレート20の短手方向におけるプリーツ側の端部の縁部22と該プリーツの頂部とが前後方向(Z方向)において略同位置となるサイズに形成されている。これにより、前後方向(Z方向)における後方から前方に向かって、プレート20がプリーツの頂部を背面側から押圧するように作用する。
【0055】
また
図3及び
図4に示すように、プレート20は、上記縁部22とは反対側(昇降コード6側)の端部に、当該昇降コード6が挿通可能に形成された切欠き21を有する。
図4に示すように、プレート20をプリーツスクリーン100に取り付ける際には、上記縁部22をプリーツの頂部の裏側に合わせて、同図(a)の矢印で示すようにその主面が正面を向いた状態で横方向からプリーツと昇降コード6との間に挿入し、同図(b)に示すようにプレート20の縁部22(プリーツの頂部)を軸として約90度回転させ、他端部の切欠き21に昇降コード6を挿通させる。
【0056】
このように、プレート20に昇降コード6が挿通する切欠き21を設けることで、プリーツスクリーン100の操作時にプレート20が長手方向(X方向)に位置ずれしてしまうことを防止できる。また、プレート20をプリーツスクリーンの製造後に後付けすることもできるようになる。
【0057】
[プリーツスクリーンの動作]
次に、以上のように構成されたプリーツスクリーン100の動作について、特に下部スクリーン4及びプレート20に関する点を中心に説明する。
【0058】
まず、下部スクリーン4が畳み込まれた状態から展開(下降)させる場合、ユーザが操作コード14を操作してストッパ12bを解除する。これによりボトムレール5及び下部スクリーン4が自重により下降し、
図2(a)に示すように下部スクリーン4が展開する。
【0059】
次に、下部スクリーン4が展開した状態から畳み込む(上昇させる)場合、ユーザが操作コード14を操作して昇降コード6の巻取方向に回転させると、駆動軸10bと巻取ドラム9bが一体に回転して巻取ドラム9bが昇降コード6を巻取り、ボトムレール5が上昇して下部スクリーン4が最下端のプリーツから上端のプリーツに向かって順次畳み込まれる。この後、操作コード14の操作を終了すると、駆動軸10bの回転がストッパ12bによって拘束され、下部スクリーン4の畳み込まれた状態が維持される(
図2(b))。
【0060】
このとき、ボトムレール5の直上のプリーツの背面にプレート20が設けられていることで、
図5に示すように、下部スクリーン4の畳み込み時におけるボトムレール5の上端部近傍のプリーツの歪み(
図6参照)を矯正・解消し、プリーツの直線性を保持することができる。即ち、ボトムレール5の上端部近傍のプリーツの「波打ち」及び「弛み」を矯正・解消することができる。
【0061】
なお、プレート20は長尺平板状の部材であるものとしたが、例えば前後方向(Z方向)の後端部(即ち、切欠き21が形成された側)の少なくとも一部を長手方向に沿って断面L字状に折り曲げた形状としてもよい。このような形状によれば、プレート20の長手方向に沿った剛性が高まるため、例えば下部スクリーン4が重い生地であったとしても、重量に抗して上述したプリーツの歪みを矯正・解消することができる。
【0062】
<第1実施形態の変形例>
図7は、上記第1実施形態の変形例に係るプリーツスクリーン100のボトムレール5近傍の斜視図である。なお同図においてもボトムレール5の図示は省略している。
【0063】
上述の第1実施形態では、プレート20は切欠き21により昇降コード6に挿通されることで、長手方向(X方向)で固定されていた。これに代えて当該変形例では、同図に示すように、プレート20は、縁部22とは反対側の端部側に、昇降コード6を挿通可能な挿通孔23を有する。
【0064】
この構成により、プレート20が昇降コード6により固定されるため、プリーツスクリーン100の操作時にプレート20が長手方向及び短手方向に位置ずれしてしまうことを防止できる。
【0065】
なおこの変形例においては、プレート20は昇降コード6に固定されるため、上記第1実施形態と異なり、プレート20の縁部22と該プリーツの頂部とが前後方向(Z方向)において略同位置となるサイズに形成されていなくてもよい。
【0066】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。同図及びこれ以降の図において、上記第1実施形態と同様の構成及び機能を有する箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0067】
図8は、本実施形態に係るプリーツスクリーン100のボトムレール5近傍の右側面図である。
【0068】
上述の第1実施形態では、矯正部材としてプレート20が設けられたが、本実施形態では、それに代わる矯正部材として、ボトムレール5の直上のプリーツの背面に生地部材30が設けられる。
【0069】
当該生地部材30は、例えば下部スクリーン4よりも厚手の畳み込み可能な生地で構成され、上記直上のプリーツの背面に溶着等により取着されることにより、該プリーツの剛性を高める効果を有する。
【0070】
この構成により、プリーツの剛性を高める生地部材30をプリーツの背面に取着するだけの簡易な構造によって、プリーツの歪みを解消することができる。
【0071】
<第2実施形態の変形例>
上述の第2実施形態では、生地部材30はプリーツの背面に溶着等により取着されていた。これに代えて、生地部材30と同様の形状をなすプリーツ状部材を溶着以外の方法でプリーツの背面に取り付けてもよい。具体的には、当該プリーツ状部材のプリーツの頂部が下部スクリーン4のプリーツの頂部に背面側から当接するとともに、下部スクリーン4の畳み込み及び展開に連動するように、その少なくとも一部がプリーツ背面に固定されるように取付けられる。プリーツ状部材は、生地、樹脂、又は金属等から構成することができる。なお、プリーツ状部材は必ずしもプリーツ背面に直接固定される必要はなく、例えば昇降コード6に挿通され、前後方向(Z方向)に移動不能となるようにプリーツ背面に取付けられるようにしてもよい。
【0072】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係るプリーツスクリーン100のボトムレール5近傍の斜視図である。
【0073】
同図に示すように、本実施形態では、上記第1実施形態のプレート20及び第2実施形態の生地部材30に代えて、矯正部材として、ボトムレール5の直上のプリーツの背面に棒状部材40が設けられる。
【0074】
棒状部材40は、プリーツの頂部の裏側に例えば貼着等により取着されることで、該プリーツの剛性を高める効果を有する。当該棒状部材40は、例えば直径数mmの円柱状とされるが、その径や形状はこれに限られない。また同図では棒状部材40が1本のみ設けられているが、棒状部材40は複数本設けられてもよい。また棒状部材40は、貼着ではなく、例えば頂部の裏側に頂部に沿って設けられた細長袋状の収容部に挿入・収容されることで取着されてもよい。
【0075】
この構成によれば、プリーツの剛性を高める棒状部材40をプリーツの背面に取着するだけの簡易な構造によって、プリーツの歪みを解消することができる。
【0076】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0077】
上述の各実施形態では、矯正部材としてのプレート20、生地部材30及び棒状部材40は、ボトムレール5の上端部近傍のプリーツのうち、ボトムレール5の直上のプリーツの背面側にそれぞれ1つずつ設けられた。しかし、これらの矯正部材は、ボトムレール5の直上のプリーツのみならずそれよりも上部のプリーツの背面側にも同様に設けられても構わない。
【0078】
上述の各実施形態においては、レール材としてのボトムレール5の上端部近傍のプリーツに矯正部材が設けられた。これに代えて、または加えて、レール材としての中間バー3の上端部近傍のプリーツに矯正部材が設けられてもよい。
【0079】
上述の各実施形態では、上部スクリーン2が光を透過可能なシースルー素材で形成され、下部スクリーン4が光を透過しない遮光性が高い素材で形成されていた。しかしこれとは逆に、上部スクリーン2が遮光性が高い素材で形成され、下部スクリーン4がシースルー素材で形成されてもよい。この場合も上記矯正部材はボトムレール5及び中間バー3の少なくとも一方の上端部近傍のプリーツに設けられ得る。
【0080】
また、上記各実施形態のように上部スクリーン2と下部スクリーン4に分割されたプリーツスクリーンではなく単一のスクリーンを有するプリーツスクリーンのボトムレールに本発明の矯正部材が適用されてもよい。
【0081】
上述の各実施形態では、ボトムレール5が断面略台形状(上底よりも下底が長い台形柱状)を有し、その台形の上底に対応する面でプリーツが支持される例が示されたが、ボトムレール5(及び中間バー3)の形状はこれに限られない。例えば略直方体形状等、プリーツがレール材(ボトムレールまたは中間バー)の上端部において前方に突出するように支持されるものであればどのようなレール材を有するプリーツスクリーンにも本発明は同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1………ヘッドボックス
2………上部スクリーン
3………中間バー
4………下部スクリーン
5………ボトムレール
6………昇降コード
7………調光コード
20……プレート
21……切欠き
22……縁部
23……挿通孔
30……生地部材
40……棒状部材
100…プリーツスクリーン