(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176011
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】空気浄化システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/044 20060101AFI20241212BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20241212BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F7/003
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094191
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】地田 祐太
【テーマコード(参考)】
3L053
3L056
【Fターム(参考)】
3L053BD02
3L056BD01
(57)【要約】
【課題】汚染物質を室外へ排出しなくても空気の清浄度を保ちやすい空気浄化システムを提供する。
【解決手段】空気浄化システム80は、空調装置20A、20Bと、一端が空調装置20A、20Bに接続されると共に、他端に設けられた吹出口50Aが複数の室72のそれぞれに開口した複数の給気ダクト50と、複数の給気ダクト50へ、汚染物質を浄化する浄化物質を放出可能な空気清浄機30と、空気清浄機30の駆動を制御する制御装置10と、複数の室72にそれぞれ設けられ、空気中の汚染物質量を検知するセンサ40と、を備え、制御装置10は、センサ40が所定値以上の汚染物質量を検知した場合に、空気清浄機30を駆動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置と、
一端が前記空調装置に接続されると共に、他端に設けられた吹出口が複数の室のそれぞれに開口した複数の給気ダクトと、
前記複数の給気ダクトへ、汚染物質を浄化する浄化物質を放出可能な空気清浄機と、
前記空気清浄機の駆動を制御する制御装置と、
前記複数の室にそれぞれ設けられ、空気中の汚染物質量を検知するセンサと、
を備え、
前記制御装置は、
前記センサが所定値以上の汚染物質量を検知した場合に、前記空気清浄機を駆動させる、
空気浄化システム。
【請求項2】
前記空気清浄機は、
前記浄化物質が放出される前記給気ダクトを切り替え可能な切り替え機構を有し、
前記制御装置は、
前記切り替え機構を制御して、所定値以上の汚染物質量が検知された室に接続された給気ダクトへ前記浄化物質を放出する、請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項3】
前記複数の室を備えた建物の何れかの部分に設けられた吸込口から、前記空調装置へ還気する還気ダクトを備え、
前記空気清浄機は、前記還気ダクトの空気に含まれる汚染物質を捕集するフィルタを備えている、
請求項1又は2に記載の空気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、空気の清浄度を良好に保つ全館空調システムが記載されている。この全館空調システムは、居住空間内の汚染物質を検知する汚染物質センサを備え、いずれかの汚染物質センサがあらかじめ定められた所定の値以上の汚染物質を検知した場合に、空気清浄モードを実行する。この空気清浄モードでは、所定の値以上の汚染物質が検知された室の換気量を多くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、空気の入れ替えにより空気の清浄度を保っている。このような空調システムでは、汚染物質を室外へ排出する必要がある。そして、仮に空気の吸込口を設けていない室があると、当該室で発生した汚染物質は、建具の隙間や通気口を経由して、他の室や廊下などへ排出されて建物内に拡散し易い。このため、このような空調システムでは、室ごとに吸込口を設けることが好ましい。しかしながら、室ごとに空気の吸込口を設ける場合、当該吸込口に開口するダクトなどの空調経路を設ける必要があり、空調システムの構成が複雑なものとなる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、汚染物質を室外へ排出しなくても空気の清浄度を保ちやすい空気浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の空気浄化システムは、空調装置と、一端が前記空調装置に接続されると共に、他端に設けられた吹出口が複数の室のそれぞれに開口した複数の給気ダクトと、前記複数の給気ダクトへ、汚染物質を浄化する浄化物質を放出可能な空気清浄機と、前記空気清浄機の駆動を制御する制御装置と、前記複数の室にそれぞれ設けられ、空気中の汚染物質量を検知するセンサと、を備え、前記制御装置は、前記センサが所定値以上の汚染物質量を検知した場合に、前記空気清浄機を駆動させる。
【0007】
第一態様の空気浄化システムでは、空気清浄機から複数の給気ダクトへ、汚染物質を浄化する浄化物質を放出できる。そして、複数の室にそれぞれ設けられたセンサが、所定値以上の汚染物質量を検知した場合に、空気清浄機が駆動される。
【0008】
このため、浄化物質が空調空気と共に室内へ放出されて、汚染物質が浄化される。これにより、汚染物質を室内で浄化できる。したがって、汚染物質を室外へ排出しなくても空気の清浄度を保ちやすい。
【0009】
また、汚染物質を室内で浄化できるため、当該室で発生した汚染物質は、建具の隙間や通気口を経由して、他の室や廊下などへ排出され難い。
【0010】
第二態様の空気浄化システムは、第一態様の空気浄化システムにおいて、前記空気清浄機は、前記浄化物質が放出される前記給気ダクトを切り替え可能な切り替え機構を有し、前記制御装置は、前記切り替え機構を制御して、所定値以上の汚染物質量が検知された室に接続された給気ダクトへ前記浄化物質を放出する。
【0011】
第二態様の空気浄化システムでは、所定値以上の汚染物質量が検知された室に接続された給気ダクトへ、選択的に浄化物質が放出される。このため、汚染物質が所定量以上存在する室をピンポイントに浄化できる。これにより、全ての給気ダクトに浄化物質が放出される場合と比較して、空気清浄機の出力に対する空気の清浄効率を高くできる。
【0012】
第三態様の空気浄化システムは、第一態様又は第二態様の空気浄化システムにおいて、前記複数の室を備えた建物の何れかの部分に設けられた吸込口から、前記空調装置へ還気する還気ダクトを備え、前記空気清浄機は、前記還気ダクトの空気に含まれる汚染物質を捕集するフィルタを備えている。
【0013】
第三態様の空気浄化システムでは、空気清浄機が、還気ダクトの空気に含まれる汚染物質を捕集するフィルタを備えている。このため、浄化物質により浄化されずに残った汚染物質を除去できる。これにより、フィルタを備えない構成と比較して、空気浄化性能が高い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、汚染物質を室外へ排出しなくても空気の清浄度を保ちやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る空気浄化システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る制御装置の電気構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る空気浄化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る空気浄化システムについて、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0017】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0018】
<空気浄化システム>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る空気浄化システム80は、制御装置10、空調装置20、空気清浄機30及びセンサ40を備えて形成されている。
【0019】
空気浄化システム80は、空調装置20から供給される空調空気に対して、空気清浄機30から放出した浄化物質を付与して、建物70の各室72(室72A~72Eのうちの任意の室)で発生した汚染物質を浄化するシステムである。この空気浄化システム80では、センサ40によって検知された各室72における空気中の汚染物質量に応じて、制御装置10が空気清浄機30を制御する。
【0020】
(空調装置)
空調装置20(空調装置20A及び20B)は、建物70の1階部分及び2階部分にそれぞれ設けられた空気調和設備であり、室内機22、室外機24及びリモコン26を備えている。空調装置20は、1台の室内機22及び室外機24で複数の居室を空調できる。室内機22及び室外機24は冷媒管(不図示)で接続されている。
【0021】
本実施形態においては、2階の空調装置20Aは、2階の室72A及び72Bを空調する。また、1階の空調装置20Bは、1階の室72C、72D及び72Eを空調する。
【0022】
室内機22には複数の給気ダクト50の一端がそれぞれ接続されている。2階の空調装置20Aの室内機22に接続された給気ダクト50の他端の吹出口50Aは、複数の室72A及び72Bのそれぞれに開口している。1階の空調装置20Bの室内機22に接続された給気ダクト50の他端の吹出口50Aは、複数の室72C、72D及び72Eのそれぞれに開口している。
【0023】
2階の室72Aには、2本の給気ダクト50が接続され、2つの吹出口50Aが設けられている。このように、本発明においては、1つの室に、複数の吹出口50Aを設けることができる。なお、各吹出口50Aには、図示しないガラリが設けられている。
【0024】
給気ダクト50は、2階の空調装置20Aのように、室内機22に直接接続してもよいし、1階の空調装置20Bのように、チャンバー54等を介して室内機22に接続してもよい。このように、本発明における「一端が空調装置に接続された給気ダクト」とは、チャンバー54等により集約及び分岐している給気ダクトも含む。
【0025】
2階の空調装置20Aのように、室内機22には還気ダクト52を接続してもよい。還気ダクト52は、建物70の何れかの部分に設けられた吸込口52Aから吸込まれた空気を室内機22へ戻すダクトである。
【0026】
なお、1階の空調装置20Bのように、還気ダクト52を設けず、室内機22が建物70の室内空間から直接空気を吸込んでもよい。
【0027】
なお、各室72との境界部や、各室72と廊下等との境界部には、図示しないガラリが設けられ、空気の循環経路とされている。このガラリは、建具のアンダーカットによって代用することもできる。
【0028】
リモコン26は、空調装置20A及び20B毎に設けられ、ユーザが、それぞれの空調装置20A、20Bの稼働及び停止を実行する指示や空調温度を入力できる。あるいは、本発明においては、空調装置20A及び20Bの双方を制御できるリモコンを用いてもよい。
【0029】
また、ユーザは、リモコン26を介して、制御装置10による空気清浄機30の制御の実行及び停止を指示できる。つまり、リモコン26では、空気浄化システム80を利用するユーザによって、空気浄化プログラム13Aを開始及び終了するための操作が実行される(後述する「指示情報」の入力)。
【0030】
また、リモコン26は表示画面を備えている。この表示画面には、上述した各種の入力を実施するための情報(文字やグラフィック、ボタン)が表示される。なお、指示情報の入力は、リモコン26とは別のコントローラ(例えば制御装置10に組み込んだコントローラ)を介して実行するものとしてもよい。
【0031】
なお、空調装置20は、外気の給気ダクト、外気への排気ダクト及び熱交換器(不図示)などを備えていてもよい。この場合、ユーザはリモコン26を介して換気の実行及び停止も指示できる。
【0032】
(空気清浄機)
空気清浄機30は、室内機22と一体的に、又は、チャンバー54と一体的に設けられた装置であり、内部に汚染物質を浄化する浄化物質を生成可能な生成装置が保持されている。空気清浄機30が稼働することにより、給気ダクト50内に浄化物質が放出される。また、給気ダクト50に放出された浄化物質は、空調空気と共に室72内へ拡散する。
【0033】
生成装置が生成する浄化物質としては、水素イオン、酸素イオン、その他のプラスイオンやマイナスイオン、オゾン等が挙げられる。生成装置は、これらの浄化物質のうち1種類を生成できるものとしてもよいし、複数種類を生成できるものとしてもよい。
【0034】
空気清浄機30は、図示しない切り替え機構を有しているものとしてもよい。切り替え機構は、浄化物質が放出される給気ダクト50を切り替え可能な機構である。すなわち、空気清浄機30は、切り替え機構を備えていることで、制御装置10の制御によって、全ての室72ではなく、制御装置10によって指定された室72へ選択的に浄化物質を放出することができる。
【0035】
切り替え機構の一例としては、空気清浄機30の浄化物質発生源と各給気ダクト50との連通孔にそれぞれ設けられた電磁弁が挙げられる。空気清浄機30は、給気ダクト50毎に設けられた電磁弁を開閉することにより、任意の給気ダクト50へ浄化物質を放出することができる。
【0036】
また、切り替え機構の一例としては、可動式の放出ノズルが挙げられる。空気清浄機30は、放出ノズルを任意の給気ダクト50内へ挿入することにより、当該給気ダクト50へ浄化物質を放出することができる。
【0037】
なお、空気清浄機30は、汚染物質を捕集するフィルタを備えているものとしてもよい。このフィルタは、例えば空調装置20Aにおいては、還気ダクト52の空気に含まれる汚染物質(浄化物質で浄化できなかった汚染物質)を捕集することができる。また、空調装置20Bにおいては、チャンバー54から各給気ダクト50へ送られる前の空気に含まれた汚染物質を捕集することができる。
【0038】
また、このようなフィルタは、空気清浄機30とは別に設けてもよい。この場合、フィルタは、空調装置20A又は20Bによる還気経路において、還気ダクト52または室内機22から室内空気を吸い込み後、給気ダクト50へ放出される前の何れかの場所に設けるものとする。
【0039】
(センサ)
センサ40は、給気ダクト50が接続された室72(室72A、72B、72C及び72E)にそれぞれ設けられ、空気中の汚染物質量(空気の単位体積あたりの汚染物質量、すなわち濃度)を検知可能な空気質検出センサである。センサ40としては、一例として、空気中のPM2.5濃度、ハウスダスト濃度等の他、CO2濃度、臭気、空気の温度、湿度等を検出できるものを用いることができる。
【0040】
なお、PM2.5及びハウスダストは、本発明における汚染物質の一例である。PM2.5には、炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩のほか、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどの無機元素などが含まれるが、直径2.5μm以下の粒子全般が含まれる。ハウスダストには、ダニ、カビ、細菌、花粉等が含まれる。
【0041】
また、臭気の原因物質は、本発明における汚染物質の一例である。本実施形態においては、センサ40が各種の汚染物質のほか、空気の温度、湿度等を検出できる実施形態について説明したが、本発明におけるセンサは、少なくとも1種類の汚染物質を検出できるものであればよい。
【0042】
なお、センサ40は建物70の全ての室に設ける必要はない。例えば室72Dにはセンサ40を設けていない。例えば倉庫等、汚染物質が発生し難い室にはセンサ40を設けなくてもよい。また、このようなこの室72Dには、浄化物質を放出してもよいし、しなくてもよい。
【0043】
<制御装置>
制御装置10は、室72において汚染物質が所定量以上発生した場合に、空気清浄機30の駆動を制御して浄化物質を放出し、当該汚染物質を浄化させるための装置である。なお、
図1においては、制御装置10は、リモコン26と別体に設けられているが、これらを一体化してもよい。また、制御装置10は、建物70のHEMS(Home Energy Management System)コントローラ等に組み込んでもよい。
【0044】
(制御装置の電気的な構成)
図2に示すように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18及び外部I/F部19を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、媒体読み書き装置16、通信I/F部18及び外部I/F部19はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0045】
(記憶部)
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、空気浄化プログラム13Aが記憶されている。空気浄化プログラム13Aは、空気浄化プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの空気浄化プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、空気浄化プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、空気浄化プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0046】
記憶部13には、浄化物質データベース13Bが記憶される。浄化物質データベース13Bには、空気清浄機30にから放出可能な浄化物質と、当該浄化物質が浄化可能な汚染物質の対応関係が記憶されている。また、浄化物質データベース13Bには、後述する制御部11Cが浄化物質を放出させるか否かを判定する閾値である汚染物質量が、汚染物質毎に記憶されている。
【0047】
(制御装置の機能的な構成)
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る制御装置10の機能的な構成について説明する。
図2に示すように、制御装置10は、検知情報取得部11A、入力情報取得部11B及び制御部11Cを含む。制御装置10のCPU11は、空気浄化プログラム13Aを実行することで、検知情報取得部11A、入力情報取得部11B及び制御部11Cとして機能する。
【0048】
なお、
図3において、制御装置10は、外部I/F部19を介してセンサ40、リモコン26及び空気清浄機30と接続されている。制御装置10は、通信I/F部18を介してセンサ40、リモコン26及び空気清浄機30と接続してもよい。
【0049】
(検知情報取得部)
検知情報取得部11Aは、各センサ40の検知情報を取得する。具体的には、センサ40が空気中の汚染物質を検知した際に、当該汚染物質の種別と、当該汚染物質量と、を取得する。
【0050】
(入力情報取得部)
入力情報取得部11Bは、ユーザがリモコン26を介して入力した入力情報を感知する。この入力情報には、空気浄化プログラム13Aを開始及び終了させるための「指示情報」が含まれる。
【0051】
(制御部)
制御部11Cは、何れかの室72のセンサ40が所定値以上の汚染物質量を検知し、検知情報取得部11Aが当該情報を取得した場合に、空気清浄機30を駆動させる。つまり、制御部11Cは、検知情報取得部11Aによって取得された汚染物質量が所定値以上か否かを判定する。そして汚染物質量が所定値以上の場合に、空気清浄機30を駆動させて、浄化物質を放出させる。
【0052】
例えば、
図1に示す室72Aのセンサ40が、室72Aにおいて汚染物質Dを検知し、かつ、室72Aの汚染物質Dの濃度が所定値以上である場合、空気清浄機30から浄化物質が放出され、各吹出口50Aから浄化物質Cが放出される。
【0053】
なお、空気清浄機30が切り替え機構を備えている場合は、制御装置10は、当該切り替え機構を制御して、所定値以上の汚染物質量が検知された室72Aに接続された給気ダクト50へ、浄化物質を放出することができる。このとき室72Aに開口する吹出口50Aのみから浄化物質Cが放出される。
【0054】
ここで、制御部11Cが判定する「所定値」は、浄化物質データベース13Bに記憶された閾値である。制御部11Cは、何れかの室72のセンサ40が所定値以上の汚染物質量を検知した場合に、浄化物質データベース13Bを読み出して、検知された汚染物質量が、閾値以上か否かを判定する。
【0055】
<作用>
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る空気浄化システム80の作用を説明する。ユーザからのリモコン26を介した実行指示等に応じて、制御装置10のCPU11が空気浄化プログラム13Aを実行することにより、
図4に示す芳香制御処理が実行される。
【0056】
(空気浄化処理)
空気浄化処理が開始されると、ステップS102で、CPU11は、検知情報が取得されたか否かを判定する。CPU11が何れかのセンサ40から検知情報を取得すると、ステップS104へ移行する。ステップS102で否定判定された場合、ステップS102を繰り返して、検知情報を取得待ちする。
【0057】
ステップS104で、CPU11は、浄化物質データベース13Bを読み出して、検知された汚染物質量が所定値以上か否かを判定する。ステップS104で肯定判定された場合は、ステップS106へ移行する。一方、ステップS104で否定判定された場合は、ステップS114へ移行する。
【0058】
ステップS106で、CPU11は、空気清浄機30を駆動させて、給気ダクト50へ、浄化物質を放出する。このとき、空気清浄機30に切り替え機構が設けられている場合、CPU11は、切り替え機構を制御して、所定値以上の汚染物質量が検知された室72に接続された給気ダクト50へ、浄化物質を放出する。ステップS106のあとは、ステップS108へ移行する。
【0059】
ステップS108で、CPU11は、検知情報を取得する。ステップS108のあとはステップS110に移行し、浄化物質データベース13Bを読み出して、検知された汚染物質量が所定値未満か否かを判定する。ステップS110で肯定判定された場合は、ステップS112へ移行する。一方、ステップS110で否定判定された場合は、ステップS108へ戻る。
【0060】
ステップS112で、CPU11は、空気清浄機30の駆動を停止する。ステップS112のあとは、ステップS114へ移行する。
【0061】
ステップS114で、CPU11は、空気浄化処理の終了タイミングが到来したか否かを判定し、肯定判定となった場合は空気浄化処理を終了する。この終了タイミングは、一例として、ユーザのリモコン26を介した入力(空気浄化処理の終了指示または空調装置20の空調制御の終了指示)によって到来する。ステップS110で否定判定となった場合はステップS102へ戻る。
【0062】
<効果>
本発明の実施形態に係る空気浄化システム80では、空気清浄機30から複数の給気ダクト50へ、汚染物質を浄化する浄化物質を放出できる。そして、複数の室72にそれぞれ設けられたセンサ40が、所定値以上の汚染物質量を検知した場合に、空気清浄機30が駆動される。
【0063】
このため、浄化物質が空調空気と共に室内へ放出されて、汚染物質が浄化される。これにより、汚染物質を室内で浄化できる。したがって、汚染物質を室外へ排出しなくても空気の清浄度を保ちやすい。
【0064】
また、汚染物質を室内で浄化できるため、当該室72で発生した汚染物質は、建具の隙間や通気口を経由して、他の室や廊下などへ排出され難い。
【0065】
また、本発明の実施形態に係る空気浄化システム80では、空気清浄機30は、浄化物質が放出される給気ダクト50を切り替え可能な切り替え機構を有していてもよい。この場合、所定値以上の汚染物質量が検知された室72に接続された給気ダクトへ、選択的に浄化物質を放出することができる。
【0066】
このため、汚染物質が所定量以上存在する室をピンポイントに浄化できる。これにより、全ての給気ダクト50に浄化物質が放出される場合と比較して、空気清浄機30の出力に対する空気の清浄効率を高くできる。
【0067】
また、本発明の実施形態に係る空気浄化システム80では、空気清浄機30が、還気ダクト58等の空気に含まれる汚染物質を捕集するフィルタを備えていてもよい。この場合、浄化物質により浄化されずに残った汚染物質を除去できる。これにより、フィルタを備えない構成と比較して、空気浄化性能が高い。
【0068】
<その他の実施形態>
上記実施形態においては、空気清浄機30を、室内機22やチャンバー54と一体的に設けているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば空気清浄機30は、各給気ダクト50へ浄化物質を放出できるものであれば、室内機22やチャンバー54と別体としてもよい。
【0069】
また、空気清浄機30は、放湿機能を備えていてもよい。この場合、上記の浄化物質を水分子に担持させて放出し、浄化効率を高めることができる。
【0070】
あるいは、空気清浄機30は、水分子(蒸気を含む)を浄化物質とは別に放出できるものとしてもよい。この場合、センサ40が検知した室72の湿度に応じて、制御装置10が空気清浄機30の駆動を制御して、室内の湿度を調整できる。
【0071】
また、上記実施形態において、例えば、検知情報取得部11A、入力情報取得部11B及び制御部11Cの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0072】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0073】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0074】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。このように、本発明は様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 制御装置
20 空調装置
20A 空調装置
20B 空調装置
30 空気清浄機
40 センサ
50 給気ダクト
50A 吹出口
52 還気ダクト
52A 吸込口
58 還気ダクト
70 建物
72 室
72A 室
72B 室
72C 室
72D E
80 空気浄化システム