(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176015
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車載端末及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 12/03 20210101AFI20241212BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20241212BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20241212BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20241212BHJP
【FI】
H04W12/03
H04W4/44
H04W88/04
H04W76/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094196
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹岡 航司
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】情報の取得に係るユーザの同意をテザリングのオンによって判定可能とする。
【解決手段】車両に搭載され、情報の送信に、事業者の通信装置にセルラー網を介して送信する第1のルートと、車両のユーザの端末のテザリングを用いて情報をセルラー網以外の網を介して事業者の通信装置に送信する第2のルートとを利用可能な車載端末が、テザリングがオンとの判定結果に応じて、ユーザが事業者による情報の取得に同意した場合の動作を実行する制御部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載端末であって、情報を事業者の通信装置にセルラー網を介して送信する第1のルートと、前記車両のユーザの端末のテザリングを用いて前記情報を前記セルラー網以外の網を介して前記事業者の通信装置に送信する第2のルートとを利用可能な車載端末において、
前記テザリングがオンとの判定結果に応じて、前記ユーザが前記事業者による前記情報の取得に同意した場合の動作を実行する制御部
を含む車載端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記テザリング用のデバイスを検出した場合に、前記テザリングがオンと判定する
請求項1に記載の車載端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両のイグニッションスイッチがオンとなった場合に前記テザリングのオンオフを判定する
請求項1に記載の車載端末。
【請求項4】
前記情報が、前記車両に関するデータを含む
請求項1から3の何れか1項に記載の車載端末。
【請求項5】
車両に搭載された車載端末であって、情報を事業者の通信装置にセルラー網を介して送信する第1のルートと、前記車両のユーザの端末のテザリングを用いて前記情報を前記セルラー網以外の網を介して前記事業者の通信装置に送信する第2のルートとを利用可能な車載端末が、前記テザリングがオンと判定した場合に、前記ユーザが前記事業者による前記情報の取得に同意した場合の動作を実行することを含む
車載端末の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載端末及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の異なる通信方式の無線通信ネットワークに選択的に接続できる電子機器、テザリング端末がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、情報の取得に係るユーザの同意を好適に判定可能とする車載端末及びその情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、車両に搭載された車載端末であって、情報を事業者の通信装置にセルラー網を介して送信する第1のルートと、前記車両のユーザの端末のテザリングを用いて前記情報を前記セルラー網以外の網を介して前記事業者の通信装置に送信する第2のルートとを利用可能な車載端末において、前記テザリングがオンであることを、前記ユーザが前記事業者による前記情報の取得に同意したと判定することと、前記同意に基づく所定の処理とを実行する制御部を含む車載端末である。
【0006】
本開示の他の態様は、上記車載端末の情報処理方法、コンピュータを上記車載端末として動作させるプログラム、プログラムを記録した記録媒体等を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の態様の一つによれば、情報の取得に係るユーザの同意を好適に判定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る通信システムの一例を示す図である。
【
図3】
図3Aは、通信装置の構成例を示し、
図3Bは、スマートデバイスの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、DCMの処理例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、通信システムにおける動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
コネクティッドカー及び自動運転車両などの通信機能を備える車両に係る事業者(例えば、車両の製造会社、販売会社、及びレンタル会社など)は、車両に関するデータ(例えば、車両の運転に関するデータ、及び車両の通信に関するデータなど)などの収集を所望することがある。このため、事業者の通信装置(通信設備)が、車両に搭載された車載端末から送信される所定のデータ(IoTデータ)をネットワーク経由で受信することが考えられている。
【0010】
車載端末と通信装置とを結ぶネットワークとして、車両のユーザが契約した移動体通信事業者(MNO:通信キャリア)のネットワーク(通信キャリア網と呼ばれる)を用いることが考えられる。但し、通信装置へのアクセスは、上述した通信キャリア網のほかに、他の通信キャリアの通信キャリア網及びインターネットを経由するケース、或いは、テザリングを用いて無線LAN及びインターネットを経由するケースなどが考えられる。通信装置へのアクセスに用いるアクセス網を複数のアクセス網からユーザが選択できるようにすれば、ユーザにとって有利な条件で車両に関するデータを通信装置へ送信することが可能となるため、車両に関するデータの収集に対するユーザの協力を得やすくなる。一方、事業者にとってはより多くのデータ収集が可能となる。
【0011】
通信装置側での車載端末からのデータ取得(所定場所への記憶保管等)の可否は、車両のユーザと事業者との契約によって定め得る。但し、データ取得がユーザの意思(同意又は非同意)に従って好適に(確実に)行われるようにすることが好ましい。以下に説明する実施形態は、上記した問題を解決可能な通信システムについて説明する。
【0012】
以下、図面に基づいて本開示の実施形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
図1は、実施形態に係る通信システムの一例を示す図である。通信システムは、車両に搭載された車載端末の一例であるDCM(Data Communication Module)10と、通信装置20とを含む。車載端末は、DCM以外の情報処理装置であってもよい。車載端末は、据え置きタイプでも可搬性を有するタイプでもよい。
【0013】
DCM10は、車載装置(例えば、カーナビゲーション装置、ドライブレコーダ、及び、ECU(Electronic Control Unit)等)から、車両データ(情報又はデータの一例)を収集することができる。車両データは、車両に関する情報(位置、車速等の車両の運転に関するデータなど)を含むことができる。また、車両データは、車両(車載端末)の通信に関するデータを含むこともできる。通信装置20側の取得対象の情報(データ)は、車両データ以外であってもよい。DCM10から送信されるデータ(ユーザデータ)は、通信装置20を経由して所定の通信相手(例えばサーバ51、或いはサーバ52)へ送ることができる。もっとも、データの宛先は通信装置20であってもよい。
【0014】
DCM10が通信装置20との通信に用いるデフォルトのネットワークとして、車両のユーザが契約した通信キャリア網2が用いられる。通信キャリア網はMNO(Mobile Network Operator)網であっても、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)網であってもよい。通信キャリア網2は、無線アクセス網(基地局)とコア網とを有する。通信キャリア網2が使用される場合、通信装置10は、通信キャリア網2のコア網の一部を構成する。通信キャリア網2におけるDCM10の認証には、DCM10が有する第1SIM(Subscriber Identity Module)105に記憶された認証情報が用いられる。通信キャリア網2は、4G(LTE)網であっても、5G網であっても、6G網であってもよい。
【0015】
また、ユーザは、テザリング用デバイス13(ユーザの端末の一例)を用いたテザリングにより、無線LAN(Wi-Fi)4をアクセス網として用いることもできる。テザリングは、Wi-Fiテザリングでも、Bluetooth(登録商標)テザリングでも、USB(Universal serial Bus)テザリングでもよい。アクセス網として無線LAN4が用いられる場合、DCM10から通信装置20までの経路は、インターネット1を経由する。このように、ユーザは、通信装置20へのアクセスに関し、通信キャリア網2を経由するルート(第1のルート)以外に、無線LAN4及びインターネット1を経由するルート(第2のルート)との少なくとも一方を用いて通信装置20にアクセスすることができる。通信キャリア網2はセルラー網の一例である。無線LAN4及びインターネット1は、セルラー網以外の網の一例である。
【0016】
通信装置20は、1つのコンピュータ又は2以上のコンピュータの集合(クラウド)によって構成することができる。通信装置20は、インターネット1と接続されたゲートウェイ(GW)21を有する。GW21は、インターネットなどの非3GPP(登録商標)無線アクセス(Untrusted Non-3GPP(登録商標) IP Access)を収容するゲートウェイである。例えば、通信装置20がLTE(4G)に適合する場合はePDG(Evolved Packet Data Gateway)であり、5Gに適合する場合はN3IWF(non-3GPP(登録商標) Interworking Function)であり、3Gに適合する場合はPDGである。GW21は、インターネット1から受信される信号形式を、通信装置20内で使用される、通信キャリア網2のコア網に適合したフォーマットに変換することができる。インターネット1は、通信キャリア網2(3GPP(登録商標)無線アクセス)に比べて通信の信頼性(セキュリティ)が劣る。このため、DCM10がテザリングにより第2のルートを用いて通信装置20と通信する場合、DCM10とGW21との間には、論理的なトンネルが確立される。トンネルは、例えば、IPsecトンネルモードによって確立されるIPsecトンネルである。但し、トンネルはIPsecトンネル以外であってもよい。
【0017】
通信装置20は、認証部22と、ルーティング部23とを備える。認証部22は、トンネルが確立された後に、DCM10からトンネルを通じて送られてくる認証情報をGW21経由で受け取り、DCM10(ユーザ)の認証を行う。認証情報として、本実施形態では、第1SIM105に格納された、通信キャリア網2における認証用の認証情報が用いられる。但し、認証情報は、第1SIM105以外の、DCM10が有するセキュアな記憶領域に記憶されたものであってもよい。通信装置20がLTE(4G)のコア網の一部として動作する場合には、認証部22は、認証処理を行うHSS(Home Subscriber Server)として動作する。但し、認証部22は、HSSとAAA(Authentication Authorization Accounting)の組み合わせとして動作してもよい。通信装置20が5Gのコア網の一部として動作する場合には、認証部21はAUSF(Authentication Server Function)、すなわち、UDM(Unified Data Management)に格納されている加入者情報に対して加入者/UE(DCM10)を認証するネットワーク機能として動作する。認証方式として、例えば、EPA-AKAが適用される。但し、認証方式はこれ以外であってもよい。
【0018】
DCM10が通信キャリア網2以外のアクセス網(アクセス回線)を用いて通信装置20にアクセスする場合に用いられる認証情報は、通信キャリア網2について使用される認証情報と同じ認証情報が使用される。本実施形態では、認証情報として、第1SIM105に記憶された通信キャリア網2用の認証情報が使用される。
【0019】
ルーティング部23は、DCM10からのユーザデータの宛先(通信相手:例えば、サーバ51又はサーバ52)への経路の設定及び判定を行う。ルーティング部23とDCM10との間には、通信経路(セッション)が確立される。ルーティング部23は、通信装置20がLTE(4G)のコア網の一部として動作する場合、PGW(Packet data network Gateway)として動作する。通信装置20が5Gのコア網の一部として動作する場合には、ルーティング部23は、UPF(User Plane Function)として動作する。
【0020】
DCM10がサーバ51又はサーバ52と通信する場合、ルーティング部23によって、サーバ51又はサーバ52宛のデータは必ずトンネルを通って通信装置20に到達し、ルーティング部23を通じてサーバ51又はサーバ52へ送信される。サーバ51又はサーバ52から送信されるDCM10宛のデータは、必ず通信装置20を経由し、トンネルを通じて転送される。
【0021】
通信キャリア網2を経由するDCM10と通信装置20との間の経路(第1のルート)
を用いて通信が行われている状態において、DCM10とGW21との間のテザリングを用いた通信経路(第2のルート)が確立されてもよい。すなわち、第1のルートと第2のルートとは並列に利用されてもよい。通信装置20では、例えば、GW21におけるトンネルの確立又は非確立を以て、テザリングのオン又はオフを判定することができる。
【0022】
図2は、DCM10の構成例を示す図である。DCM10は、バスを介して相互に接続された、CPU101と、メモリ102と、補助記憶装置103と、無線通信部104と、SIM105とを備える。補助記憶装置103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、及び、SSD(Solid State Drive)、EEPROM等である。補助記憶装置103は、例えば、OS(Operation System)と、複数種類のアプリケーションプログラム(アプリ)とが記憶される。アプリは、通信制御プログラムなどの様々な機能を実現するためのプログラムを含む。メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリを含む。メモリ102および補助記憶装置103(これらをまとめて記憶装置とも表記する)は、それぞれ、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。
【0023】
無線通信部104は、DCE(Data Circuit terminating Equipment)を含み、セルラー網(LTE、4G、5G又は6Gなど)、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(IEEE 802.11シリーズ、Wi-Fi含む)などの無線通信方式に従って外部の装置と通信を行う。外部の装置は、通信キャリア網2の場合は基地局であり、無線LAN4(Wi-Fi)の場合は、アクセスポイントであり、Bluetooth(登録商標)の場合は、Bluetooth(登録商標)対応の通信機器である。
【0024】
SIM105は、eUICCである。SIM105は、通信キャリア網2用のSIMであり、チップ型でもカード型でもよい。SIMがカード型である場合には、DCM10は、SIMスロット及びSIMカードリーダ等を備える。
【0025】
また、DCM10は、USBコネクタ107と、入力装置108と、ディスプレイ109とを含む。USBコネクタ107には、USBドングル13Bが接続可能である。USBコネクタ107には、USBケーブルを介してスマートデバイス13Aを接続することもできる。USBドングル13B及びスマートデバイス13Aは、テザリング用デバイス13の例である。スマートデバイス13Aは、スマートフォン或いはタブレット端末などである。
【0026】
入力装置108は、ボタン、キー、タッチパネルなどであり、情報の入力及び設定等に用いられる。ディスプレイ109は情報の表示に使用される。入力装置108は、ディスプレイ109に表示されるユーザインタフェースであってもよい。
【0027】
CPU101は、記憶装置に記憶された様々なプログラムを実行することにより、DCM10の動作(データ収集、収集されたデータの受け取り、及びデータの送受信、テザリングのオンオフ判定など)に関する様々な処理を実行する。CPU101は、制御部、コントローラ、又はプロセッサの一例である。
【0028】
図3は、通信装置20の構成例を示し、
図3Bは、スマートデバイス13Aの構成例を示す図である。
図3Aにおいて、通信装置20は、一例として、バス36を介して相互に接続された、プロセッサ31、記憶装置32、通信インタフェース(通信IF)33、入力装置34、及びディスプレイ35を有する。
【0029】
記憶装置32は、様々なプログラム及びデータを記憶する。プロセッサ31は、制御部の一例であり、CPU、DSP、GPU或いはこれらの組み合わせなどである。プロセッ
サ31は、記憶装置32に記憶されたプログラムを実行し、記憶装置32に記憶されたデータ等を用いた演算又は加工など、様々な処理を行う。プログラムの実行によって、通信装置20は、GW21、認証部22及びルーティング部23を備えた装置として動作する。プロセッサ31は、GW21、認証部22及びルーティング部23としての処理を行う制御部に相当する。通信IF33は、通信キャリア網2との通信インタフェース回路と、インターネット1との通信インタフェース回路とを含み、通信に係る信号の送受信、フォーマット(プロトコル)変換などを行う。入力装置34は、情報の入力及び設定等に使用されるボタン、キー、タッチパネルなどである。ディスプレイ35は情報の表示に使用される。
【0030】
図3Bにおいて、スマートデバイス13Aは、一例として、バス136を介して相互に接続された、プロセッサ131、記憶装置132、入力装置134、及びディスプレイ135を有する。これらは、性能や種類の違いはあるが、プロセッサ31、記憶装置32、入力装置34、及びディスプレイ35と同様の機能を有する。無線通信インタフェース(無線通信IF)133は、通信キャリア網、Bluetooth(登録商標)、及び無線LAN(Wi-Fi)のそれぞれに対する無線アクセスを可能とする通信インタフェース回路を含む。プロセッサ131は、記憶装置132に記憶されたプログラムを実行することによって様々な処理を行うことができる。
【0031】
図4は、DCM10の処理例を示すフローチャートである。ステップS01では、DCM10のCPU101は、例えば、車載装置から伝達される信号を用いて、車両のイグニッションスイッチのオン(車両の始動)を検出する。
【0032】
ステップS02では、CPU101は、テザリングのオンオフ判定を行う。例えば、オンオフ判定として。CPU101は、テザリング用デバイス13が接続状態か否かを判定する。例えば、CPU101は、USBコネクタ107に電気的に接続されているUSBドングル13B又はスマートデバイス13Aを検出できたか否かを以て接続状態か否かを判定することができる。或いは、CPU101は、Bluetooth(登録商標)接続又はWi-Fi接続によってテザリング用にペアリングされているスマートデバイス13Aが検出できたか否かを以て接続状態か否かを判定してもよい。接続状態は電気的な接続状態及び無線接続状態を含む。テザリング用デバイス13が接続状態(テザリング用デバイス13が検出された)と判定される場合には、処理がステップS03に進み、そうでない場合には、処理がステップS04に進む。
【0033】
ステップS03では、CPU101は、テザリングがオン、すなわち、ユーザが通信装置20側での車両データなどの所定の情報の取得に同意している場合の処理を実行する。例えば、CPU101は、第1のルート及び第2のルートの少なくとも一方で通信装置20との通信路を確立し、車両データを送信する。これに対し、ステップS04に処理が進んだ場合には、CPU101は、テザリングがオフ、すなわち、ユーザが車両データ等の情報の取得に非同意である場合の処理を実行する。
【0034】
例えば、CPU101は、第1のルート及び第2のルートの少なくとも一方の経路を確立する処理は行うが、取得対象の情報(車両データ等)は送信しない処理を行うことができる。或いは、CPU101は、通信装置20への経路を確立し、取得対象の情報は送信するが、通信装置20側での取得対象の情報の取得を禁止する旨の情報を通信装置20に送信することができる。この場合、通信装置20では、通信装置20の記憶装置32における情報の保存、或いは、ルーティング部23から通信相手(サーバ51又はサーバ52)への取得対象の情報の送信停止、サーバ51又はサーバ52が受信した情報の記憶禁止などが行われる。
【0035】
なお、ステップS02でのテザリングのオンオフ判定は、上記した接続判定の代わりに、テザリングに伴うIPsecトンネルが確立されたか(確立手順が実行されたか)否かの判定でもよい。また、IPsecトンネルの確立又は確立手順の実施が通信装置20で判定され、その判定結果をDCM10が受信したか否かを以て、テザリングのオンオフが判定されてもよい。また、GW21で取得対象のデータが受信されることを通信装置20がテザリングのオンと判定してもよい。
【0036】
図5は、通信システムの動作例を示すシーケンス図である。
図5における動作例は、
図4に示した処理例とは別の処理例を示す。DCM10において、CPU101が車両のイグニッションスイッチのオンを検出し(
図5<1>)、テザリングのオンを判定すると(
図5<2>)、第1のルートでの通信路確立(
図5<3>)と、テザリングを用いた第2のルートでの通信路確立(
図5<4>)が行われる。DCM10のCPU101は、予めなされた設定等に応じて、第1及び第2のルートの少なくとも一方(何れか一方でも良い)での車両データの送信を決定する(
図5<5>)。
【0037】
取得対象である車両データは、例えば第2のルートで通信装置20に送信され(
図5<6>)、ルーティング部23を経てDCMの通信相手であるサーバ51に転送される(
図5<7>)。通信装置20及びサーバ51は、ユーザの同意があるとの前提で、車両データの取得(記憶等)を行う(
図5<8>及び
図5<9>)。但し、車両データの取得は、通信装置20とサーバ51との何れか一方であってもよい。また、テザリングのオンオフの判定の契機は、イグニッションスイッチのオンの検出以外であってもよい。
【0038】
実施形態に係る通信システムは、車両に搭載された車載端末(DCM10)を備える。DCM10は、通信装置20へのデータ送信に関して、第1のルートと第2のルートとを利用可能である。そして、DCM10は、テザリングのオンオフ判定を行い、テザリングがオンとの判定結果に応じて、ユーザが事業者による情報の取得に同意した場合の動作を実行する。テザリングのオンオフ判定によって、データ取得の同意を好適に判定することができる。
【0039】
CPU101(制御部)は、テザリング用のデバイス(テザリング用デバイス13)を検出した場合に、テザリングがオンと判定することができる。このため、例えば、ユーザがUSBドングル13BをUSBコネクタ107に挿しっぱなしにして、同意しないときにUSBドングル13BをUSBコネクタ107か抜くようにすれば良い。このような簡易な手法で、ユーザは確実な同意又は非同意の意思を示すことができる。
【0040】
また、イグニッションスイッチのオンを契機にテザリングのオンオフ判定が行われることで、ユーザの車両の運転毎に、車両データの取得可否が判定されるようになる。これによって、ユーザが取得を許容する運転を選択することができる。なお、テザリングのオンオフ判定が、イグニッションスイッチのオンの検出時以外(例えば、車両の稼働状態において、USBドングル13BをUSBコネクタ107に差し込む、スマートデバイス13Aとのペアリングを行うなどの、テザリングの設定が行なわれたとき)でもなされるようにして、ユーザが所望のタイミングでデータ取得に対する同意の意思を示せるようにしてもよい。
【0041】
なお、データの「取得」は、データの記憶(記録)及び利用(事業者内での利用、サードパーティへの提供など)を含むことができる。データの非取得は、車載端末がデータを送信しないこと、通信装置20が車載端末にデータの送信を要求しないこと、通信装置20等がデータを記憶しないこと、記憶しても使用しないことなどを含み得る。
【0042】
また、DCM10とテザリング用デバイス13との接続状態がDCM10のディスプレ
イ109、或いはスマートデバイス13Aのディスプレイ135に表示されるようにしてもよい。さらに、ディスプレイ109或いは135において、改めてデータの取得に関して同意するか否かの入力を促す表示がなされ、同意する旨の入力を求めてもよい。
【0043】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0044】
1・・・インターネット、2・・・通信キャリア網、4・・・無線LAN、10・・・DCM、13・・・テザリング用デバイス、20・・・通信装置、101・・・CPU