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特開2024-176017劣化診断装置、劣化診断システム及び劣化診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176017
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】劣化診断装置、劣化診断システム及び劣化診断方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/11 20060101AFI20241212BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
C01B13/11 Z
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094203
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】尾台 佳明
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 亮平
【テーマコード(参考)】
3C223
4G042
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF02
3C223FF05
3C223FF13
3C223FF21
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
4G042CA01
4G042CB29
(57)【要約】
【課題】オゾン発生器の運転状況の変化による影響を考慮しつつ、過去から現在に至るまでの一定の指標に従った劣化診断が可能な劣化診断装置、劣化診断システム及び劣化診断方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る劣化診断装置は、オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、案件関連情報及び測定データに基づき、一定の運転条件に応じた、運転状況におけるオゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、
前記オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、
前記案件関連情報及び前記測定データに基づき、前記一定の運転条件に応じた、前記運転状況における前記オゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、前記オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える劣化診断装置。
【請求項2】
前記性能評価指数は、前記オゾン発生器の最大オゾン発生量の推定値、オゾン発生効率及び電力原単位の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の劣化診断装置。
【請求項3】
前記性能評価指数の算出に用いるオゾン発生効率は、電力密度、オゾン濃度、冷水温度の二つ以上を用いて求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項4】
前記一定の運転条件は、定格水温と定格オゾン濃度を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項5】
前記一定の運転条件は、定格水温と定格原料ガス流量を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項6】
前記一定の運転条件は、前記オゾン発生器の放電電力が最大となる条件を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項7】
前記診断部であって、前記オゾン発生器の負荷状況を示す情報である負荷レベルと前記性能評価指数を出力する請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項8】
前記性能評価指数の値を用いて前記オゾン発生器のメンテナンスの時期を判断する判断部とを備える請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項9】
前記判断部であって、前記性能評価指数の前記運転状況に応じた値により前記オゾン発生器の将来の前記性能評価指数を予測し、前記オゾン発生器の前記メンテナンスの時期を判断する請求項8に記載の劣化診断装置。
【請求項10】
前記判断部であって、前記性能評価指数と前記オゾン発生器の負荷状況を示す情報である負荷レベルを用いて前記オゾン発生器の前記メンテナンスの時期を判断する請求項8に記載の劣化診断装置。
【請求項11】
前記測定データに前記オゾン発生器の冷水出口温度を含み、前記冷水出口温度を用いて前記性能評価指数を算出する請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項12】
前記測定データに前記オゾン発生器の電源装置の入力電力を含み、前記入力電力を用いて前記性能評価指数を算出する請求項1又は2に記載の劣化診断装置。
【請求項13】
前記測定データに前記オゾン発生器の前記電源装置の直流電流及び直流電圧を含み、前記直流電流及び前記直流電圧を用いて前記診断部で前記性能評価指数を算出する請求項12に記載の劣化診断装置。
【請求項14】
前記一定の運転条件に基づいて最大となるように算出されたオゾン濃度により前記性能評価指数を求めることを特徴とする請求項3に記載の劣化診断装置。
【請求項15】
オゾン発生器と、
前記オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、
前記オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、
前記案件関連情報及び測定データに基づき、前記一定の運転条件に応じた、前記運転状況における前記オゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、前記オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える劣化診断システム。
【請求項16】
前記オゾン発生器の前記運転状況を監視し、前記オゾン発生器を制御する監視制御装置とを備える請求項15に記載の劣化診断システム。
【請求項17】
オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得するステップと、
前記オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得するステップと、
前記案件関連情報及び測定データに基づき、前記一定の運転条件に応じた、前記運転状況における前記オゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、前記オゾン発生器の劣化状況を診断するステップとを備える劣化診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は無声放電式のオゾン発生器の劣化診断を行う劣化診断装置、劣化診断システム及び劣化診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無声放電式のオゾン発生器では、長期間使用するにしたがって、徐々にオゾン発生効率が低下していく場合が多い。そのため、通常、ある周期で開放点検や開放清掃、部品交換や修理等のメンテナンスを行うのが一般的である。しかし、一定周期でメンテナンスを行う場合、必要以上の頻度による無駄なメンテナンスや、メンテナンスが間に合わずに故障停止が発生するといった問題があるため、オゾン発生器の性能を監視しながら、性能低下時に警報を出し、メンテナンスの必要時期を知らせる方法が提案されている。
【0003】
オゾン発生器の劣化診断に用いられるオゾン発生効率は、主に、オゾン発生器を冷却するための冷水の水温、オゾン濃度、電力密度(放電電力をオゾン発生器内の放電面積で割ったもの)の3つのパラメータに依存する。オゾン発生器の性能を正確に評価するには、これらのパラメータがオゾン発生器の運転状況によって変化することを考慮する必要がある。特許文献1では、オゾン発生器の性能評価指数として電力原単位を用い、現在の水温に対応させて電力原単位の初期値を求め、電力原単位の初期値と現在値を比較することで、初期の稼働時と現在の稼働時とで水温が異なる場合であっても、オゾン発生器の性能低下の検知を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-217415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、現在の運転状況におけるパラメータ値に対応させて性能評価指数の初期値を求めるため、現在の状態と初期の状態との比較しかできず、過去から現在に至るまで一定の指標に従った劣化診断が困難であるという課題があった。
【0006】
本開示は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、オゾン発生器の運転状況の変化による影響を考慮しつつ、過去から現在に至るまでの一定の指標に従った劣化診断が可能な劣化診断装置、劣化診断システム及び劣化診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る劣化診断装置は、オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、案件関連情報及び測定データに基づき、一定の運転条件に応じた、運転状況におけるオゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える。
【0008】
本開示に係る劣化診断システムは、オゾン発生器と、オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、案件関連情報及び測定データに基づき、一定の運転条件に応じた、運転状況におけるオゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える。
【0009】
本開示に係る劣化診断方法は、オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得するステップと、オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得するステップと、案件関連情報及び測定データに基づき、一定の運転条件に応じた、運転状況におけるオゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、オゾン発生器の劣化状況を診断するステップとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る劣化診断装置、劣化診断システム及び劣化診断方法によれば、オゾン発生器の一定の運転条件を含む案件関連情報及びオゾン発生器の運転状況を示す測定データを用いてオゾン発生器の性能を評価することで、オゾン発生器の運転状況の変化による影響を考慮しつつ、過去から現在に至るまでの一定の指標に従った劣化診断を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態1に係る劣化診断システムを示す概略構成図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置のハードウェアの構成を示す概略構成図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置の劣化診断方法を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置の設計発生効率、電力密度、オゾン濃度及び水温の対応関係を示す表である。
図5】本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置の発生量指数及び放電電力の一例を示すグラフである。
図6】本開示の実施の形態2に係る劣化診断装置を示す概略構成図である。
図7】本開示の実施の形態2に係る劣化診断装置の発生量指数及び放電電力の一例を示すグラフである。
図8】本開示の実施の形態3に係る劣化診断装置の劣化診断方法を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施の形態4に係る劣化診断装置の劣化診断方法を示すフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態4に係る劣化診断装置の劣化診断方法におけるサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る劣化診断システムを示す概略構成図である。図1に示すように、劣化診断システム100は、オゾン発生器10と劣化診断装置1を備える。本開示の劣化診断装置1は、案件関連情報取得部2と、測定部4と、診断部5を備える。ここで、図1では劣化診断装置1が案件固有情報計算部3を備えた例を示しているが、案件固有情報計算部3は案件関連情報取得部2に機能として含まれていてもよいし、診断部5の中に機能として含まれていてもよい。
【0013】
案件関連情報取得部2は、オゾン発生器10が用いられる案件で決まり、オゾン発生器10の一定の運転条件を含む情報である案件関連情報12を取得する。このオゾン発生器10の一定の運転条件とは、オゾン発生器10が導入されるときに一意的に決まる所定の条件であり、例えばオゾン発生器10の定格条件等の予め定められた値である。案件固有情報計算部3は、案件関連情報に基づき案件固有情報13を算出する。測定部4は、オゾン発生器10の運転状況を示す測定データ14を取得する。このとき、オゾン発生器10の運転状況は、過去から現在に至るまでのオゾン発生器10の運転時の各データの変遷を示したものであり、例えばオゾン発生器10の運用時に取得可能なデータの初期値から現在値に至るまでのもの等である。診断部5は、案件関連情報12及び測定データ14を用いて、オゾン発生器10の一定の運転条件に応じた、現在又は劣化診断時の運転状況におけるオゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、性能評価指数の運転状況に応じた値によりオゾン発生器の劣化状況を診断する。この劣化状況とは、オゾン発生器10の性能低下の経年変化や性能低下の程度を示すものである。
【0014】
オゾン発生器10は、例えば一般的な無声放電式のオゾン発生器である。オゾン発生器10は、酸素を含む原料ガスが投入されると、電源装置(図示しない)からオゾン発生器10へ電力が供給される。これにより、オゾン発生器10の内部では、無声放電が生じ、原料ガス中の酸素からオゾンが生成され、オゾン含有ガスとして吐出される。また、このときの放電によって熱が発生するため、オゾン発生器10を冷却するための冷水がオゾン発生器10を通過する。一般的にはオゾン発生器10に対して冷水入口温度より冷水出口温度が3乃至5℃程度上昇するように冷水流量が設定される。
【0015】
オゾン発生量は、オゾン濃度と原料ガス流量の積で表される。定格オゾン発生量は、オゾン発生器10の運用で想定される最も高いオゾン発生量である。以下では、定格オゾン発生量を得るために必要なオゾン濃度と原料ガス流量を定格オゾン濃度と定格原料ガス流量と呼ぶ。
【0016】
通常の運転では、オゾン発生器10は、定格オゾン発生量よりもオゾン発生量を下げて運転される場合が多い。以下では、このような運転を部分負荷運転と呼ぶ。部分負荷運転での制御方式としては、濃度一定・原料ガス流量変化の方式と原料ガス流量一定・濃度変化の方式の2種類がある。
【0017】
濃度一定・原料ガス流量変化の方式は、オゾン濃度を定格オゾン濃度としたまま、原料ガス流量を下げる方法である。この手法は原料ガス流量が節約できるため、原料に液酸が使われる場合などに多く採用されている。
【0018】
原料ガス流量一定・濃度変化の方式は、原料ガス流量は定格原料ガス流量のままで、オゾン濃度を下げる方法である。この手法は、原料ガス代(製造のための電気代含む)が比較的安く、原料ガス流量の削減が原料ガス代削減に大きくは寄与しない場合や原料供給装置が構造上、原料ガス流量の任意の変化に追従しにくい場合などに多く採用されている。具体的には、オゾン発生器10の原料ガスが空気原料の場合とPSA原料の場合である。原料ガスがVPSA原料の場合は、濃度一定・原料ガス流量変化と原料ガス流量一定・濃度変化のどちらも採用されている。
【0019】
実施の形態1では、濃度一定・原料ガス流量変化の制御方式で部分負荷運転が実行される場合について述べる。
【0020】
図2は、本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置のハードウェアの構成を示す概略構成図である。コンピュータ22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)23、主記憶装置24、補助記憶装置25を備える。例えば、主記憶装置24はRAM、補助記憶装置25はハードディスク等の記憶媒体が考えられる。コンピュータ22の外部には入力装置21と出力装置28が設けられている。入力装置21は、例えば、マウスやキーボードである。また、出力装置28は、例えば、コンピュータ22からの出力結果を表示するディスプレイモニタ等が挙げられる。また、図2に示すように、コンピュータ22は、ネットワーク26を介して外部記憶装置27に接続され、外部の記録媒体から計算に必要な情報を取得する。また、コンピュータ22は、外部の記憶媒体に計算結果を保存できるようにしてもよい。
【0021】
案件関連情報取得部2、案件固有情報計算部3、測定部4及び診断部5は、コンピュータ22の内部演算処理としてCPU23及び主記憶装置24により実現される。すなわち、診断部5等における各処理は、メモリである主記憶装置24上に展開されたプログラムをプロセッサであるCPU23が実行することによって実現される。CPU23は、主記憶装置24上のデータを読み込み、各処理を行い、その結果を主記憶装置24に格納する。
【0022】
図3は、本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置の劣化診断方法を示すフローチャートである。以下、図3に沿って劣化診断装置1がオゾン発生器10の劣化診断をする方法を説明する。
【0023】
まずステップS101において、案件関連情報取得部2が案件関連情報12を取得する処理を実行する。案件関連情報12は、例えば、劣化診断システムを適用する対象の案件に使われているオゾン発生器10の構造上の仕様や一定の運転条件などである。案件関連情報は、対象案件が決まれば一意に決まる。案件は、機場ごと、工事ごとに決まるものに限る必要はない。例えば、A浄水場B期工事と言う案件の中に2種類のオゾン発生器アとイが存在したとすれば、A浄水場B期工事アとA浄水場B期工事イという二つの案件があるものとしてもよい。
【0024】
案件関連情報12は、例えば原料タイプ、定格オゾン発生量Gr[kg/h]、定格オゾン濃度Crとその単位(単位は[g/m(N)]又は[wt%])、定格冷水温度tr[℃]、定格冷水流量fw[L/min]、オゾン発生器の電極本数p、最大放電電力Emax[kW]等が含まれる。原料タイプには、例えば空気原料、液酸原料、(V)PSA原料等が含まれる。定格冷水温度は、オゾン発生器の原料の入り口における温度の定格値である。
【0025】
本実施の形態では、オゾン発生器10は、濃度一定・原料ガス流量変化の制御方式で部分負荷運転を行う場合を仮定している。そのため、案件関連情報12は、定格オゾン濃度Crを含み、定格原料ガス流量は含まないものとしている。一方、例えば、オゾン発生器10が原料ガス流量一定・濃度変化の制御方式で部分負荷運転を行う場合、案件関連情報12は、定格原料ガス流量を含み、定格オゾン濃度Cr含まないものとしてもよい。また、案件関連情報12は、部分負荷運転の制御方式の情報を含んでいてもよい。
【0026】
本実施の形態の説明では、定格オゾン濃度の単位は両者に対応した記載を原則とするが、1つの例に絞る場合は[wt%]が選ばれている例を示す。
【0027】
次に、ステップS102において、案件固有情報計算部3が案件関連情報12に基づき、案件固有情報13を算出する処理を実行する。案件固有情報13は、例えば、放電面積S[cm]、定格原料ガス流量fr[m/h(N)]、最大電力密度D[W/cm]、最大条件設計発生効率emax[kWh/kg]等が含まれる。なお、ここでは案件固有情報13が案件関連情報12から算出される例を示したが、案件固有情報13は案件関連情報12として予め入力されていてもよい。
【0028】
放電面積S[cm]は、案件関連情報12に含まれるオゾン発生器の電極本数pと、オゾン発生器の固有の定数である電極直径r[cm]、電極放電長さL[cm]とから式(1)のようにして求められる。
【0029】
【数1】
【0030】
なお電極放電長さL[cm]が複数存在する場合は、その情報も案件関連情報12として用いてもよい。
【0031】
また、定格原料ガス流量fr(単位は[m/h(N)]又は[kg/h])は、案件関連情報12に含まれる定格オゾン発生量Gr[kg/h]と、定格オゾン濃度Cr(単位は[g/m(N)]又は[wt%])から式(2)または式(3)のように求められる。
【0032】
【数2】
【0033】
(3)式のように、例えば定格オゾン濃度の単位に[wt%]が選ばれている場合は、定格原料ガス流量は[kg/h]単位と考える。その場合、現地にある原料ガス流量計は[kg/h]単位であり、測定データも[kg/h]単位となる。
【0034】
また、最大電力密度Dmax[W/cm]は、案件関連情報12に含まれる最大放電電力Emax[kW]と、式(1)で求めた放電面積S[cm]とを用いて式(4)のように求めることができる。
【0035】
【数3】
【0036】
最大電力密度Dmaxは案件関連情報12に含まれていてもよい。
【0037】
図4は、本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置の設計発生効率、電力密度、オゾン濃度及び水温の対応関係を示す表である。設計発生効率はオゾン発生器10のオゾン発生効率であり、一般的にオゾン濃度、冷水入口温度、電力密度の3つのパラメータに依存して変化する。本開示の劣化診断装置1では、オゾン発生器10の型式試験等によって予めこれらの特性を取得しておき、オゾン濃度、冷水入口温度、電力密度の3パラメータに対する設計発生効率をデータベースとして予め保持しているものとする。図4の上の表では、一例として、電力密度が0.01[W/cm]のときのオゾン濃度、冷水入口温度に対するオゾン発生器10の設計発生効率を示している。横方向(列方向)が冷水入口温度、縦方向(行方向)がオゾン濃度の違いであり、各交点にその条件での発生効率(***)が記載されている。図4では、記載を省略しているが、例えば、同様な表を電力密度が0.02[W/cm]、0.03 [W/cm] ・・・等と電力密度が取り得る最大値まで、0.01[W/cm]刻みで準備してもよい。図4のようなデータベースを用いることにより、任意のオゾン濃度、冷水入口温度、電力密度のときの設計発生効率を求められる。
【0038】
なお、データベースの表の刻みは図4の通りでなくても良い。定格オゾン濃度、定格冷水温度は端数となることは少ないが、図4は後述の測定データ14にも用いるためオゾン濃度や冷水温度は端数となり得る。表の刻みが細かければより正確になるが、データベース量が膨大となるため、表の刻みは粗くして、端数は表中の前後の値の補間で求めても良い。電力密度の刻みを粗くした場合も、当該濃度と当該水温における設計発生効率を、直近上位と直近下位の二つの電力密度に対して各々算出したのち、直線補間を行うなどで算出できる。また、電力密度が一定値以下、水温が一定値以下、濃度が一定値以下では発生効率がほとんど変化しなくなることから、上記一定値以下は同じ発生効率として表を省略してもよい。
【0039】
さらに、図4においてはオゾン濃度の単位として[wt%]を想定した数値となっているが、オゾン濃度の単位が[g/m(N)]で扱われる場合、[g/m(N)]単位で表示された表を備えても良いし、都度[g/m(N)]から[wt%]への単位変換を行って[wt%]表示の表を使用したのち、[wt%]から[g/m(N)]単位へ再変換してもよい。
【0040】
設計発生効率の単位は[kWh/kg]としており、定義としては「オゾン1kgを製造するために必要な放電電力(電源装置出力電力)」であるため、数値が小さいほどオゾンを発生させる効率が良いことになる。
【0041】
最大条件設計発生効率emaxは、案件関連情報12に含まれる定格オゾン濃度、定格冷水温度と、案件固有情報13に含まれる最大電力密度で求められるオゾン発生効率である。
【0042】
次に、ステップS103において、測定部4はオゾン発生器10の運転状況を示す測定データ14を取得する処理を実行する。測定データ14は、例えば、放電電力E、オゾン濃度C、オゾンの原料ガス流量f及びオゾン発生器10の冷水温度の少なくともいずれかを含む。ここで、オゾン発生器10の冷水温度とは、オゾン発生器10の入口温度と出口温度があり、それぞれ冷水入口温度tiと冷水出口温度toとする。本実施の形態の劣化診断装置1においては、放電電力E(電源装置の出力電力)[kW]、オゾン濃度C(単位は[wt%]又は[g/m(N)])、原料ガス流量f(単位は[wt%]又は[m/h(N)])、冷水入口温度ti[℃]等を取得したものとする。このときの測定データ14は、現地測定データのサンプリングの最小単位のデータでも良いが、適宜間引いたり、数秒、数分あるいは1時間程度の平均値を求めたりして、数秒、数分あるいは1時間程度毎に1セットのデータとしても良い。また、測定データ14は、対象評価期間の最初のデータを入力し、後述のステップS107までのループを繰り返して、対象評価期間の最後のデータまでを入力するものとする。なお、評価対象期間等は別途入力するなどにより、予め決まっていてもよい。
【0043】
次に、ステップS104において、診断部5は、測定データ14を用いてオゾン発生器10の測定オゾン発生量Gm及び測定発生効率emを求める。
【0044】
測定オゾン発生量Gmは、測定データ14に含まれる原料ガス流量f、オゾン濃度Cから算出される値であり、式(5)、式(6)のようにして求められる。また、測定発生効率emは、測定データ14に含まれる放電電力Eと、式(5)または式(6)で算出されたオゾン発生量Gmとを用いて算出される値であり、式(7)のようにして求められる。
【0045】
【数4】
【0046】
なお、式(5)は定格オゾン濃度の単位が[g/m(N)]の場合であり、式(6)は定格オゾン濃度の単位が[wt%]の場合を示している。
【0047】
次に、ステップS105において、診断部5は、測定データ14を用いてオゾン発生器10の測定電力密度Dmを求める。測定電力密度Dmは測定データ14に含まれる放電電力Eと、案件固有情報13に含まれる放電面積Sを用いて算出される値であり、式(8)のようにして求められる。
【0048】
【数5】
【0049】
ステップS106では、まずステップ102の最大条件設計発生効率emaxと同様な方法で測定条件設計発生効率em’の算出を行う。このとき、オゾン濃度及び冷水入口温度は測定データ14の値、電力密度は式(8)で求めた測定電力密度Dmとする。これらの値と対応する値を図4のようなデータベースから参照することで、測定条件設計発生効率em’の値を求めることができる。
【0050】
次に、ステップS106では、定格オゾン濃度、定格冷水入口温度の時の、最大オゾン発生量の推定値(推定最大オゾン発生量)を求める。このときの発生効率を推定発生効率と呼ぶ。推定発生効率eは、測定条件設計発生効率em’、案件固有情報13に含まれる最大条件設計発生効率emax及びステップS104で求めた測定発生効率emを用いることで、式(9)のようにして求めることができる。
【0051】
【数6】
【0052】
ここで、測定条件設計発生効率em’とは、現地においてある瞬間に測定されたオゾン濃度、冷水入口温度及び電力密度の条件における設計発生効率である。一方、求めたいのは、定格オゾン濃度、定格冷水(入口)温度の条件において、ある瞬間の例えば劣化したオゾン発生器が出せる最大のオゾン発生量である。一般的に電源装置の劣化は少ないため、出せる最大放電電力は経年で変わらないと仮定すると、最大電力密度の時の発生効率が分かればよく、これを最大条件設計発生効率emaxとしている。
【0053】
式(9)では、最大条件設計発生効率emaxと測定条件設計発生効率em’の比が、オゾン濃度、冷水入口温度及び電力密度の違い(3条件がそれぞれ、現地におけるある瞬間の測定値の場合と一定の運転条件の場合との違い)による変化率(倍率)を表しており、この比を測定発生効率に乗ずることにより、求めたい条件(一定の運転条件)でのオゾン発生器10の推定発生効率を求めることができる。オゾン発生器10の推定最大オゾン発生量G[kg/h]はこの推定発生効率eと、案件関連情報12に含まれる最大放電電力Emaxを用いることで、式(10)のようにして求められる。
【0054】
【数7】
【0055】
次に、ステップS107では、診断部5が案件関連情報12、案件固有情報13及び測定データ14を用いて、オゾン発生器10の一定の運転条件に応じた性能評価指数を算出する。なお、案件固有情報13が案件関連情報12として入力された場合は、ステップS107では、診断部5は案件関連情報12及び測定データ14を用いて、オゾン発生器10の一定の運転条件に応じた性能評価指数を算出する。一方、案件固有情報13が案件関連情報12として入力される代わりに、診断部5で案件固有情報13を算出してもよい。ここでは、性能評価指数として推定最大オゾン発生量値Gと、案件関連情報12に含まれる定格オゾン発生量Grから算出される発生量指数α[%]の算出方法を以下の式(11)に示す。
【0056】
【数8】
【0057】
なお、本実施の形態では性能評価指数を発生量指数αとして算出した例を示したが、性能評価指数は、オゾン発生器の最大オゾン発生量の推定値、オゾン発生効率及び電力原単位等でもよく、さらにこれらを規格化して用いても良い。ここで、電力原単位[kWh/kg]とは、オゾン発生効率[kWh/kg]を「電源効率[%]/100」で除したものと定義しており、言い換えれば「オゾン1kgを製造するために必要な電源装置入力電力」である。
【0058】
次に、ステップS108では、診断部5で対象とする評価期間の最後のデータまでの入力及び計算が完了したか判定する。対象とする評価期間は、通常、データの存在する最後(最新)までとするが、ユーザが任意に設定してもよい。この評価期間分の計算が完了するまで、本開示の劣化診断装置1は各データに対してステップS103からステップS107を繰り返すものとする。
【0059】
図5は、本開示の実施の形態1に係る劣化診断装置の発生量指数及び放電電力の一例を示すグラフである。ステップS109では、診断部5が例えば図5のように横軸を時間(年月日)、縦軸を発生量指数としたグラフを描画し、出力装置28のような画面等に出力する。また、このときに、図5のように縦軸が測定データ14の放電電力Eのものを同時に出力してもよい。例えば図5の状態であれば、現時点(グラフの最も右のポイント)において、発生量指数が約95%となっており、100%を下回っていることから、定格水温、定格濃度の条件では、最大電力を投入しても定格オゾン発生量が出せないことが判り、仮に近い時期に定格オゾン発生量の運転が見込まれる場合には、オゾン発生器10で定格オゾン発生量での運転が困難となり、オゾン発生器10にメンテナンス等の処置が必要な状況である。このように算出することで、性能評価指数によりオゾン発生器10の劣化状況を診断することができる。
【0060】
上述のように、本開示の劣化診断装置1は、案件関連情報取得部2と、測定部4と、診断部5とを備える。ここで、本実施の形態の劣化診断装置1は案件固有情報計算部3を備えた例を示しているが、案件固有情報計算部3の機能は案件関連情報取得部2に含まれていてもよい。また、劣化診断システム100はオゾン発生器10と、劣化診断装置1を備える。このとき、劣化診断システム100は、オゾン発生器10の運転状況を監視し、オゾン発生器10を制御する監視制御装置(図示せず)とを備えていてもよい。あるいは、劣化診断装置1または劣化診断システム100が、オゾンシステム全体を監視制御する監視制御装置に組み込まれていても良いし、浄水場や工場等の全体を監視制御する監視制御システムに組み込まれていてもよい。一方で、劣化診断装置1はオゾン発生器10とは遠く離れた場所に存在していても良く、その場合のオゾン発生器10の測定データ14の授受はオンラインでもオフラインでも良い。
【0061】
本開示の劣化診断装置1、劣化診断システム100及び劣化診断方法は、案件関連情報12及び測定データ14を用いて、現在の運転状況におけるオゾン発生器10の性能を、一定の運転条件で運転された場合にどのようになるかと言う視点で評価する性能評価指数を算出し、性能評価指数によりオゾン発生器10の劣化状況を診断する。このため、オゾン発生器の運転状況の変化による影響を考慮しつつ、過去から現在に至るまでの一定の指標に従った劣化診断を可能とする。
【0062】
また、上述のように、濃度一定・原料ガス流量変化運転において、その運転方法を考慮の上で、一定の運転条件で運転された場合の性能評価指数を算出することで、現地での運用のように運転条件が定格とは限らず、常に変化している状況においても、オゾン発生器の性能を同一の条件で比較できるようになり、その経年変化が一目でわかるようになる。その結果、メンテナンス時期の判断が非常にやり易くなるという効果がある。
【0063】
また、濃度一定・原料ガス流量変化の運転において、一定の運転条件として、定格オゾン濃度のほか、定格の冷水温度を採用したため、例えば、現地の水温が低くてオゾン発生効率が良いためにオゾン発生量が大きくなっているような状況においても、定格の高い水温になったときの性能が推定でき、実用性が高いという効果がある。
【0064】
また、オゾン発生効率の算出に当たって、オゾン発生効率に影響を与える3つのパラメータである電力密度、オゾン濃度、冷水温度のうちの二つ以上(上記実施の形態では3つとも)を使用してオゾン発生効率を求めているため、より正確に評価できるという効果がある。
【0065】
また、一般的に初期設計では、オゾン発生器は定格オゾン発生量ギリギリではなく、最大電力を投入した場合には、定格オゾン発生量以上のオゾン発生量が出せるように作られている。本実施の形態においては、定格の電力ではなく、最大放電電力を基準にした最大電力密度でのオゾン発生量を指標としているため、当初保持していた定格オゾン発生量以上出せるいわゆる余力も含めて、性能がどのように変化したか判定でき、実際の運用にあった実用的な評価が出来るという効果がある。なお、図5において、初期(グラフの左端のポイント)では発生量指数が100%を超えているのはこのためである。
【0066】
また、本実施の形態では、オゾン発生器10の劣化を診断する際に、推定最大オゾン発生量を定格オゾン発生量で規格化した指標である発生量指数を用いたが、規格化する前の推定最大オゾン発生量を用いても良い。また、最大放電電力[kW]は案件により固定であるから、推定最大オゾン発生量の算出に用いた推定発生効率でも良い。さらに、最大放電電力を出すときの電源効率は一定で一意的に決まるため、推定発生効率と電源効率を用いて推定電力原単位を求めて使用してもよく、これらの指標を用いた場合でも発生量指数と同様の効果を奏する。
【0067】
また、原料ガス流量とオゾン含有ガス流量は、kg/h単位の場合は同一だが、m/h(N)単位の場合は若干の差異がある。本実施の形態では、簡単化のためオゾン発生量の算出に原料ガス流量を用いているが、より正確にはオゾン発生量はオゾン含有ガス流量[m/h(N)]とオゾン濃度[g/m(N)]の積で決まる値あり、原料ガス流量[m/h(N)]からオゾン含有ガス流量[m/h(N)]へ換算し、性能評価指数を算出することもできる。
【0068】
実施の形態2.
実施の形態2では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態2に係る劣化診断装置1b及び劣化診断システム100bについて説明する。
【0069】
図6は、本開示の実施の形態2に係る劣化診断装置を示す概略構成図である。図6に示すように、劣化診断装置1bは、劣化診断装置1の構成に加えて判断部6を備える。以下では、劣化診断装置1bについて、実施の形態1と重複する部分の説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0070】
判断部6は、診断部5で算出された性能評価指数、図5のグラフ等により、性能評価指数の値を用いてオゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断する。発生量指数αの値を用いてオゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断する方法として、例えば、図5のように発生量指数αの値から定格オゾン発生量を出せないと診断されたときに判断部6でメンテナンスが必要と報知する方法がある。なお、このとき性能評価指数に閾値を設けてメンテナンスが必要か否かを判断することで、オペレータによる判断を容易にすることや、判断部6による判断の自動化も可能である。ここで、本開示におけるメンテナンス作業とは、ある周期で生じる開放点検や開放清掃、部品交換や修理等である。
【0071】
また、判断部6は、オゾン発生器10の負荷状況を示す情報である負荷レベルと性能評価指数を用いてオゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断する機能を有していてもよい。負荷レベルには放電電力E、電源装置入力電力Ei、電源装置の出力指令値等が考えられる。電源装置から見た場合に出力電力に相当する放電電力E、電源装置入力電力Ei[kW]は電源効率er[%]との間に以下の式(12)の関係が成り立つ。
【0072】
【数9】
【0073】
式(12)より、例えば、測定データ14の値として入力電力が得られた場合に、入力電力を負荷レベルとすることができる。この負荷レベルが大きければ負荷が高く、小さければ負荷が低かったことになる。このような、負荷を表す指標を同時に表示することによって、図示はしないものの、例えば、比較的高負荷が続いた期間の方が、低負荷が続いた期間よりも性能低下(発生量指数の低下)が早いと言うような傾向が見いだせる可能性が高い。よって、負荷を含めての性能低下の経年変化を観測することにより、例えば「今後は高負荷が予想されるため、現時点で性能低下の閾値に達していなくても早めのメンテが必要」や「今後は低負荷が予想されるため、性能低下の閾値に達しているがすぐにはメンテが不要」等と言った判断も可能となる。このような高度な判断は、例えば診断部5によって示されたグラフ(図5など)を見て、人間が判断すれば容易であるし、AI(人工知能)等を使えば、判断部6において自動的に行うことも可能である。また、負荷レベルを積算した値を使用すれば、単純な運転時間の積算値よりも、より実態に近い過去の使用状況が把握できる。
【0074】
図7は、本開示の実施の形態2に係る劣化診断装置の発生量指数及び放電電力の一例を示すグラフである。判断部6は、性能評価指数の運転状況に応じた値によりオゾン発生器10の将来の性能評価指数を予測し、オゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断する。本実施の形態では、性能評価指数の一例として、発生量指数に対する予測が行われた場合について説明する。例えば、図7に示すように、判断部6では、まず図5における発生量指数の経年変化を表わすグラフに対して、近似曲線を追加する。近似曲線は、線形近似、二次関数、三次関数、・・・などから誤差が最も少なくなる最適なものが選択され、ここでは三次関数が選択されている。次に、図7では、現時点までの発生量指数の傾向を表わした近似曲線を延長することにより、将来の発生量指数を予測する。このため、これまでの性能低下傾向が続くと仮定した場合の将来的な予測が可能となる。従って、例えば次回のメンテナンス時期が決まっているような場合においては、その時期まで近似曲線を延長することにより、次回のメンテナンス時期までにどこまで性能が低下するか予測することが出来る。
【0075】
また、近似曲線を正しく設定するため、例えば運転を停止していた期間、言い換えれば発生量指数が計算できない期間は、値をゼロとせずにブランクにしている。さらに、図7においては、例えばグラフは運用開始からの全期間を表示している場合、近似曲線の設定もグラフの全期間を対象にした近似を行っている。ところが、上記全期間で劣化傾向が同一とは限らない。例えば、運用開始(グラフの左端のポイント)から約2年間は性能低下が全くなく、2年経過以降に性能低下傾向が見られた場合などは、近似曲線を設定するとき、2年目以降だけを対象とした方がより正確な将来予測が可能となる。このような判断も、人間がグラフを見て判断すれば容易であるし、システムによって自動的に行うのであればAI(人工知能)等を使えば可能である。
【0076】
本実施の形態の劣化診断装置1b、劣化診断システム100b及び劣化診断方法は、実施の形態1と同様に、案件関連情報12及び測定データ14を用いて、オゾン発生器10の一定の運転条件に応じた運転状況を示す性能評価指数を算出し、性能評価指数によりオゾン発生器10の劣化状況を診断する。このため、オゾン発生器の運転状況の変化による影響を考慮しつつ、過去から現在に至るまでの一定の指標に従った劣化診断を可能とする。
【0077】
さらに、本実施の形態において、判断部6は性能評価指数の値を用いてオゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断することで、異常データや一時的な変動に左右されることなく、確かな傾向としての性能低下に基づいた正しいメンテ時期の判断が可能になるという効果がある。なお、判断部6によるメンテナンス時期の判断には、発生量指数、推定最大オゾン発生量、推定発生効率、推定電力原単位などの性能評価指数を用いてもよく、それらに対して閾値を設けることでメンテナンス時期を判断してもよい。
【0078】
さらに、本実施の形態では判断部6は性能評価指数とともに、オゾン発生器10の負荷状況を示す情報である負荷レベルを用いてオゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断する機能を有するため、より実態に合った判断が出来るようになるという効果を奏する。
【0079】
さらに、本実施の形態では、判断部6は、性能評価指数の運転状況に応じた値によりオゾン発生器10の将来の性能評価指数を予測し、オゾン発生器10のメンテナンスの時期を判断するため、将来の劣化状況やメンテナンス必要時期等を判断することが可能となるという効果がある。
【0080】
さらに、診断部5において、オゾン発生器10の性能評価指数とともに、オゾン発生器10の負荷状況を示す情報である負荷レベルを用いてオゾン発生器10の劣化診断を行っても良く、その場合も同様に、より実態に合った判断が出来るようになるという効果を奏する。
【0081】
実施の形態3.
実施の形態3では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態3に係る劣化診断装置1c及び劣化診断システム100cについて説明する。
【0082】
図8は、本開示の実施の形態3に係る劣化診断装置の劣化診断方法を示すフローチャートである。図8図3に対して、ステップS301の内容とステップS302の内容が異なっており、それ以外は同一であるため同一の符号を付している。まず、ステップS301では、測定部4において、測定データ14を取得する。このとき、測定データ14は、電源装置の入力電力 Ei[kW]、オゾン濃度 C([wt%]又は[g/m(N)])、冷水出口温度to[℃]を含む。
【0083】
次に、ステップS302では、ステップS301で取得した測定データ14を変換する。このとき、変換するパラメータは入力電力と冷水出口温度である。まず電源装置入力電力だが、この値は、式(12)を用いて放電電力に換算することができる。ここで、電源効率は、当該S/W内に、入力電力に対する電源効率の関数の形でデータベースとして保持しておいてもよく、データベースは数式でも表形式でも良い。
【0084】
ここでは入力する測定データが電源装置の入力電力の場合を示したが、電源装置の直流電流I[A]と直流電圧V[V]を測定データとして入力し、オゾントランス効率β[%]を用いて式(13)のように表すこともできる。
【0085】
【数10】
【0086】
なお、式(13)のオゾントランス効率βは電源効率等と同様に、例えば当該S/W内にデータベースとして保持しておけばよい。
【0087】
さらに、ステップS302において、測定データ14のうち、冷水出口温度toと、式(12)又は式(13)で求めた放電電力Eと、定格冷水流量fwから、冷水入口温度tiを求めると、例えば式(14)のようになる。ここで「0.9」は、放電電力のうち、オゾン発生に寄与せずに放熱される電力の比率であり、例えば空気原料の場合の数値である。また、通常、冷水流量は運用中一定のため、式(14)では定格冷水流量fwを用いたが、冷水流量の測定を行っているシステムにおいては、冷水流量の測定値を用いてもよい。
【0088】
【数11】
【0089】
式(12)及び式(14)を用いることで、実施の形態1と異なる測定データ14の場合でもオゾン発生器10の劣化診断が可能となる。
【0090】
本実施の形態の劣化診断装置1c、劣化診断システム100c及び劣化診断方法は、実施の形態1と同様に、案件関連情報12及び測定データ14を用いて、オゾン発生器10の一定の運転条件に応じた性能評価指数を算出し、性能評価指数によりオゾン発生器10の劣化状況を診断する。
【0091】
さらに、本実施の形態では、測定データ14にオゾン発生器10の冷水出口温度を含み、冷水出口温度を用いて冷水入口温度を計算して性能評価指数を算出する。一般的なオゾン発生器の現地運用においては、オゾン発生器の冷水出口温度によって異常を監視することから冷水出口温度を測定している場合が多く、それに伴い、冷水入口温度を測定していない場合も多い。このため、冷水出口温度を用いることで、測定しやすい、又は元々測定しているデータを使用することが可能となるという効果がある。
【0092】
さらに、本実施の形態では、測定データ14にオゾン発生器10の電源装置の入力電力を含み、入力電力を用いて放電電力を計算して性能評価指数を算出する。あるいは、測定データ14にオゾン発生器10の電源装置の直流電流と直流電圧を含み、直流電流と直流電圧を用いて放電電力を計算して性能評価指数を算出しても良い。放電電力Eは高電圧高周波数で測定が難しいため、測定データとして測定していない場合もある一方、電源装置入力電力や電源装置の直流電流[A]と直流電圧[V]を測定している場合もある。よって、本実施の形態によれば、測定しやすい、あるいは元々測定しているデータを使用することが可能となるという効果がある。
【0093】
実施の形態4.
実施の形態4では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態4に係る劣化診断装置1d及び劣化診断システム100dについて説明する。
【0094】
図9は、本開示の実施の形態4に係る劣化診断装置の劣化診断方法を示すフローチャートである。図9図3に対して、ステップS401の内容とステップS402の内容が異なっており、それ以外は同一であるため同一の符号を付している。本実施の形態においては、オゾン発生器の制御方法として、原料ガス流量一定・濃度変化を前提としている。まず、ステップS401においては、図3のステップS102の中にあった最大条件設計発生効率emaxの計算を行わない。これは、濃度が変化するため、最大条件における濃度が一意的に定まらないからである。原料ガス流量一定・濃度変化制御を用いるのは比較的国内の案件に多く、濃度の単位として、g/m(N)が使われることが多いため、本実施の形態においては濃度の単位をg/m(N)とした例を示すが、単位だけの問題でありこれには限らなくてよい。最大条件設計発生効率emaxの計算を行わないこと以外は、図3のステップS102と同じである。
【0095】
実施の形態1と同様の部分の説明は省略し、ステップS402の推定最大オゾン発生量の算出方法について述べる。実施の形態1では、濃度一定・原料ガス流量変化であったため、推定最大オゾン発生量となるときのオゾン濃度が予め決定できる(定格オゾン濃度で良い)。これに対して、本実施の形態においては、原料ガス流量一定・濃度変化のため、推定最大オゾン発生量となるときのオゾン濃度がどこまで増えるか分からず、その濃度によって発生効率が変わることから、繰返し計算により解を求める必要が生じる。
【0096】
図10は、本開示の実施の形態4に係る劣化診断装置の劣化診断方法におけるサブルーチンを示すフローチャートである。図10はステップS402のサブルーチンとして記載されており、まずステップS411において、測定条件設計発生効率em’を算出する。オゾン濃度、冷水入口温度及び放電電力を測定データ14から取得し、放電電力Eを式(8)で測定電力密度Dmに変換したのちに、例えば図4と同様だがオゾン濃度はg/m(N)単位で表した表を使用して設計発生効率を求め、これを測定条件設計発生効率em’[kWh/kg]とする。
【0097】
次に、ステップS412において、オゾン濃度の初期値を設定する。このときのオゾン濃度は予め仮定された値である仮定オゾン濃度C’[g/m(N)]であり、例えばゼロに近いところから始めても良く、測定オゾン濃度の1/2程度に設定しても良い。仮に現地で放電電力が高く、現地の水温が低い状態で高濃度が測定されており、定格水温を想定したオゾン濃度が測定値より下がるような場合においても、推定最大濃度が測定値の1/2以下になることは、通常考えられないからである。
【0098】
次に、ステップS413において、仮定濃度での設計発生効率e1を算出する。このときの設計発生効率は、仮定オゾン濃度、案件関連情報12の定格冷水温度及び案件固有情報13の最大電力密度を用いて算出する。仮定濃度での設計発生効率e1の求め方であるが、例えば、図4と同様だがオゾン濃度はg/m(N)単位で表した表を使用すればよい。これは、ステップS401で求めなかった最大条件設計発生効率emaxに相当するもので、最大条件設計発生効率emaxのうちオゾン濃度だけが変数となっているものである。
【0099】
次に、ステップS414では、ステップS413までに仮定した値を用いて仮定放電電力E’[kW]を算出する。発生効率を決める3つのパラメータがステップS411の条件(すべて測定データ)からステップS413の条件(オゾン濃度は仮定、水温は定格、電力密度は最大)に変化した場合、実際に測定されたパラメータを用いてステップS104で算出された測定発生効率emから想定される発生効率である仮定発生効率e’[kWh/kg]は、仮定濃度での設計発生効率e1[kWh/kg]と測定条件設計発生効率em’との比を用いて、式(15)のようになる。
【0100】
【数12】
【0101】
また、定格原料ガス流量fr、仮定オゾン濃度C’を用いると仮定オゾン発生量G’[kg/h]は式(16)のようになる。
【0102】
【数13】
【0103】
式(15)で求めた仮定発生効率e’と式(16)で求めた仮定オゾン発生量G’を用いて仮定放電電力E’[kW]を算出すると式(17)のようになる。
【0104】
【数14】
【0105】
この仮定放電電力が案件関連情報12の最大放電電力Emaxと一致するときの仮定濃度と仮定オゾン発生量が、それぞれ推定最大濃度と推定最大オゾン発生量である。次に、ステップS415で仮定放電電力が最大放電電力以上となるまで、ステップS416でオゾン濃度を0.1[g/m(N)]ずつ増加させながら、ステップS413からステップS414を繰り返して計算する。ステップS415がYesになると、ステップS417で推定最大濃度と推定最大オゾン発生量が求まる。その後、ステップ402に戻り、以降は実施の形態1や2と同様の計算を行う。
【0106】
本実施の形態の劣化診断装置1d、劣化診断システム100d及び劣化診断方法は、実施の形態1と同様に、案件関連情報12及び測定データ14を用いて、オゾン発生器10の一定の運転条件に応じた性能評価指数を算出し、性能評価指数によりオゾン発生器10の劣化状況を診断する。
【0107】
さらに、原料ガス流量一定・濃度変化運転を考慮した本実施の形態においては、一定の運転条件において、最大となるオゾン濃度を算出し、このオゾン濃度を用いて性能評価指数を求める。このため、一定の運転条件における性能評価指数を導入でき、現地での運用のように運転条件が定格とは限らず常に変化している状況においても、オゾン発生器の性能を同一の条件で比較できる。経年変化が一目でわかるようになったので、その結果、メンテナンス時期の判断がやり易くなるという効果がある。特に、原料ガス流量一定・濃度変化の場合は、発生効率に影響するオゾン濃度が変化するため、最大濃度が一意的に決まらない難しさがあるが、初期濃度を仮定して最大濃度を算出することにより原料ガス流量一定・濃度変化運転時の最大オゾン発生量を求めることができる。
【0108】
また、原料ガス流量一定・濃度変化の運転において、一定の運転条件として、定格原料ガス流量のほか、定格の冷水温度を採用したため、例えば、現地の水温が低くてオゾン発生効率が良いためにオゾン発生量が大きくなっているような状況においても、定格の高い水温になったときの性能が推定でき、実用性が高いという効果がある。
【0109】
上記実施の形態においては、例えば式(16)において、簡単化のため、オゾン発生量の算出に原料ガス流量を用いているが、単位がm/h(N)のため、より正確には、原料ガス流量の代わりにオゾン含有ガス流量を用いる。直接的に定格オゾン含有ガス流量を用いても良いが、公知の方法により、定格原料ガス流量と仮定オゾン濃度を用いてオゾン含有ガス流量へ変換するのが好ましい。
【0110】
また、上記実施の形態においては、原料ガス流量一定・濃度変化運転を想定し、原料ガス流量は定格値で一定であることを前提にしている。しかし、実際は、意図せずに、経年的に原料ガス流量が定格値からずれてしまっている場合もある。そのような場合は、原料ガス流量の測定値を用いて、オゾン濃度の測定値を補正しても良い。詳細は割愛するが、図4のような表において測定値から求めた電力密度の表を用いて、同じ電力密度の状態で原料ガス流量が変化したときオゾン濃度がどのように変わるか算出可能である。従って、例えば、原料ガス流量の測定値が定格値よりも下がってしまったためにオゾン濃度が高めになっている場合、原料ガス流量が定格値まで増えた時にオゾン濃度がいくらになるか、といった補正が可能である。
【0111】
また、本開示におけるオゾン発生器10の劣化とは、不可逆なものとは限らず、例えば清掃や部品交換などのメンテナンスで回復するような場合も含むものとする
【0112】
また、本開示では、基本的に性能評価指数の経年変化に着目している。特に明言されていないだけで、ここには時間の概念が入っており、運用期間中の積算時間等も影響していることになる。
【0113】
さらに、一般的には診断には判断が含まれる場合も多いが、本開示では判断と分けて、診断とは判断のためのデータ処理、データ出力等として使用している。
【0114】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能である。また本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0115】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、
前記オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、
前記案件関連情報及び前記測定データに基づき、前記一定の運転条件に応じた、前記運転状況におけるオゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、前記オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える劣化診断装置。
(付記2)
前記性能評価指数は、前記オゾン発生器の最大オゾン発生量の推定値、オゾン発生効率及び電力原単位の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする付記1に記載の劣化診断装置。
(付記3)
前記性能評価指数の算出に用いる前記オゾン発生効率は、電力密度、オゾン濃度、冷水温度の二つ以上を用いて求めることを特徴とする付記1又は2に記載の劣化診断装置。
(付記4)
前記一定の運転条件は、定格水温と定格オゾン濃度を含むことを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記5)
前記一定の運転条件は、定格水温と定格原料ガス流量を含むことを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記6)
前記一定の運転条件は、前記オゾン発生器の放電電力が最大となる条件を含むことを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記7)
前記診断部であって、前記オゾン発生器の負荷状況を示す情報である負荷レベルと前記性能評価指数を出力する付記1から6のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記8)
前記性能評価指数の値を用いて前記オゾン発生器のメンテナンスの時期を判断する判断部とを備える付記1から7のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記9)
前記判断部であって、前記性能評価指数の前記運転状況に応じた値により前記オゾン発生器の将来の前記性能評価指数を予測し、前記オゾン発生器の前記メンテナンスの時期を判断する付記8に記載の劣化診断装置。
(付記10)
前記判断部であって、前記性能評価指数と前記オゾン発生器の負荷状況を示す情報である負荷レベルを用いて前記オゾン発生器の前記メンテナンスの時期を判断する付記8に記載の劣化診断装置。
(付記11)
前記測定データに前記オゾン発生器の冷水出口温度を含み、前記冷水出口温度を用いて前記性能評価指数を算出する付記1から10のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記12)
前記測定データに前記オゾン発生器の電源装置の入力電力を含み、前記入力電力を用いて前記性能評価指数を算出する付記1から11のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記13)
前記測定データに前記オゾン発生器の電源装置の直流電流及び直流電圧を含み、前記直流電流及び前記直流電圧を用いて前記診断部で前記性能評価指数を算出する付記1から12のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記14)
前記一定の運転条件に基づいて最大となるように算出されたオゾン濃度により前記性能評価指数を求めることを特徴とする付記3から13のいずれか一項に記載の劣化診断装置。
(付記15)
オゾン発生器と、
前記オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得する案件関連情報取得部と、
前記オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得する測定部と、
前記案件関連情報及び測定データに基づき、前記一定の運転条件に応じた、前記運転状況における前記オゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、前記オゾン発生器の劣化状況を診断する診断部とを備える劣化診断システム。
(付記16)
前記オゾン発生器の前記運転状況を監視し、前記オゾン発生器を制御する監視制御装置とを備える付記15に記載の劣化診断システム。
(付記17)
オゾン発生器の一定の運転条件の情報を含む案件関連情報を取得するステップと、
前記オゾン発生器の運転状況を示す測定データを取得するステップと、
前記案件関連情報及び測定データに基づき、前記一定の運転条件に応じた、前記運転状況における前記オゾン発生器の性能を示す性能評価指数を算出し、前記オゾン発生器の劣化状況を診断するステップとを備える劣化診断方法。
【符号の説明】
【0116】
1 1b 1c 1d 劣化診断装置、2 案件関連情報取得部、3 案件固有情報計算部、4 測定部、5 診断部、6 判断部、10 オゾン発生器、12 案件関連情報、13案件固有情報、14 測定データ、性能評価指数15 21 入力装置、22 コンピュータ、23 CPU、24 主記憶装置、25 補助記憶装置、26 ネットワーク、27 外部記憶装置、28 出力装置、100 100b 100c 100d 劣化診断システム
図1
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図10