(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176022
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094212
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 房俊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕悦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航大
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA00
3L055DA15
3L055DA20
(57)【要約】
【課題】筐体下部に配置され外方に向けて傾斜する支持脚の強度を向上させる空気調和機を提供する。
【解決手段】外方に向けて傾斜し底部10Dと接続する上端面18aと設置面Gに設置される下端面18bとを有した支持脚18は、平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に補強手段を有する。筐体1の下部にあり外方へ向けて傾斜した支持脚18は、水平方向に対して垂直に形成した支持脚と比較して強度が劣る。平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に補強手段を有することで支持脚18の強度が向上するため、筐体1の荷重や支持脚18に加わる衝撃により支持脚18が破損することを未然に阻止することができる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に位置する底面と、上方に位置する上面と、当該上面及び前記底面を繋ぐ側面と、を有する筐体と、
当該筐体に配置され、空気を吸い込む吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を調和する空気調和部と、
前記筐体に配置され、前記空気調和部で調和された空気を吹き出す吹出口と、
前記底面に配置され、外方向に向けて傾斜し前記底面と接続する上端面と設置面に設置される下端面とを有した支持脚と、を備えたもので、
前記支持脚は、平面視で前記上端面と前記下端面とが重なる箇所に補強手段を有することを特徴とした空気調和機。
【請求項2】
前記補強手段は、前記支持脚の内側に形成することを特徴とした請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記補強手段は、前記上端面から前記下端面まで連通し水平方向に対して垂直に延びる円筒部で構成することを特徴とした請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記底面には、前記筐体を持ち上げるための取っ手を前記支持脚の近傍に配置することを特徴とした請求項3記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空気調和部は、前記吸込口から吸い込んだ空気を加湿し前記吹出口から送風する加湿手段であり、
前記筐体は、
前記加湿手段が使用する水を貯めたトレイと、
当該トレイに送る水を貯めた給水タンクと、を有し、
少なくとも前記筐体から前記給水タンクが着脱自在なことを特徴とした請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の空気を調和する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものでは、下方に位置する底面と、上方に位置する上面と、当該上面及び前記底面を繋ぐ側面と、を有する筐体において、当該筐体の底面に外方向に向けて傾斜する支持脚を備えたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、傾斜する支持脚は水平方向に対して鉛直に形成された支持脚と比較して強度が劣るため、筐体の荷重等に対する支持が十分ではなく、支持脚が破損する可能性が大きいことから、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、下方に位置する底面と、上方に位置する上面と、当該上面及び前記底面を繋ぐ側面と、を有する筐体と、
当該筐体に配置され、空気を吸い込む吸込口と、
前記筐体に収容され、前記吸込口から吸い込んだ空気を調和する空気調和部と、
前記筐体に配置され、前記空気調和部で調和された空気を吹き出す吹出口と、
前記底面に配置され、外方向に向けて傾斜し前記底面と接続する上端面と設置面に設置される下端面とを有した支持脚と、を備えたもので、
前記支持脚は、平面視で前記上端面と前記下端面とが重なる箇所に補強手段を有することを特徴とした。
【0006】
また、請求項2では、前記補強手段は、前記支持脚の内側に形成することを特徴とした。
【0007】
また、請求項3では、前記補強手段は、前記上端面から前記下端面まで連通し水平方向に対して垂直に延びる円筒部で構成することを特徴とした。
【0008】
また、請求項4では、前記底面には、前記筐体を持ち上げるための取っ手を前記支持脚の近傍に配置することを特徴とした。
【0009】
また、請求項5では、前記空気調和部は、前記吸込口から吸い込んだ空気を加湿し前記吹出口から送風する加湿手段であり、
前記筐体は、
前記加湿手段が使用する水を貯めたトレイと、
当該トレイに送る水を貯めた給水タンクと、を有し、
少なくとも前記筐体から前記給水タンクが着脱自在なことを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、外方に傾斜する支持脚は、平面視で上端面と下端面とが重なる箇所に補強手段を有するので、傾斜する支持脚の強度を高めることができ筐体の荷重等に対して十分に支持することができるため、支持脚が破損する可能性が低減し製品性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に加湿装置の構成を示す図。
【
図2】同上実施形態に係る加湿装置から前パネル及び梁部を外した状態の斜視図。
【
図4】同上実施形態に係る筐体に対するトレイホルダの挿入を示す図。
【
図7】同上実施形態に係るトレイ及びトレイが載置されたトレイホルダの断面図。
【
図8】同上実施形態に係る給水タンク等の概略断面図であり、(a)はトレイ有状態を示し、(b)はトレイ無状態を示す図。
【
図9】同上実施形態に係る仕切板等の部分斜視図であり、(a)はトレイ有状態を示し、(b)はトレイ無状態を示す図。
【
図10】同上実施形態に係る加湿部、仕切構造部、トレイ及びトレイホルダの分解斜視図。
【
図11】同上実施形態に係る仕切構造部を軸受け側から見た斜視図。
【
図12】同上実施形態に係る水位検知用フロートと磁気センサの関係を説明するための概略断面図。
【
図15】同実施形態に係る加湿装置の支持脚の底面視図。
【
図16】同実施形態に係る加湿装置の支持脚の平面視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
空気調和機としての加湿装置100は、
図1から
図12の適宜の図に示すように、筐体1と、ファン2と、空気調和部であり加湿手段としての加湿部3と、紫外線照射部4と、トレイ5と、トレイホルダ6と、給水タンク7と、仕切構造部8と、制御部9と、磁気センサSと、を備える。
【0014】
以下では、加湿装置100の方向として、
図2に示すように規定した、上下、前後、左右の各方向を用いて説明を行う。他の図では、
図2に規定した各方向に対応する方向を示している。なお、上下方向は使用時の加湿装置100の方向として規定され得るが、前後と左右の各方向は説明の理解を容易にするための相対的な方向であることに留意されたい。
【0015】
筐体1は、側面としての前パネル1F、後パネル1B、左パネル1L、右パネル1R及び上面としての上パネル1Uと、これらパネルに囲まれるケーシング10と、を備える。
【0016】
上パネル1Uと繋がる左パネル1Lは、ケーシング10の底面としての底部10Dまで到る。一方で、上パネル1Uと繋がる右パネル1Rは、左パネル1Lよりも上下方向の長さが短い。これにより、筐体1の右パネル1Rと、底部10Dとの間には、トレイホルダ6が挿入される挿入口1aが形成される。
図4に示すように、トレイホルダ6が挿入口1aから挿入されて、
図2に示すように、筐体1にトレイホルダ6が装着された状態(以下、「ホルダ装着状態」と言う。)において、挿入口1aは、トレイホルダ6に固定されるホルダパネル6Rに塞がれた状態になる。ホルダ装着状態では、ホルダパネル6R及び右パネル1Rの各々の外面は概ね面一となる。そして、ホルダ装着状態における筐体1の外形は、概ね直方体状になる。
【0017】
筐体1の底部10Dには、支持脚18が配置されている。支持脚18は、底部10Dと接続する上端面18aと設置面Gに設置される下端面18bとの間が、筐体1の外方へ向かって所定角度で傾斜するように形成されている。そして、上端面18aと下端面18bとが平面視で重なる箇所において補強手段を有する。詳細は後述する。
【0018】
ケーシング10は、
図2に示すように、トレイホルダ6を収容するホルダ収容部11と、ホルダ収容部11に対して立設され、左右方向において右パネル1Rと対向する側壁部12と、ホルダ収容部11の上方に位置してファン2を収容するファン収容部13と、を備える。
【0019】
ホルダ収容部11は、前述の底部10Dを有する。筐体1内部の底部10Dの上方には、側壁部12より左側には加湿部3が収容される加湿部収容室R3が形成され、側壁部12より右側には給水タンク7が収容されるタンク収容室R7が形成される。側壁部12には、加湿部収容室R3とタンク収容室R7とを連通する連通孔12aが形成されている。連通孔12aは、仕切構造部8が配置されたトレイホルダ6がホルダ装着状態の場合に、後述の仕切板81によって塞がれた状態になる。
【0020】
図2に示すように、上パネル1Uにおけるタンク収容室R7の上方には、開閉可能な蓋17が取り付けられている。この蓋17により、筐体1の上方から給水タンク7をタンク収容室R7に格納することができる。なお、給水タンク7は、トレイホルダ6上にトレイ5を介して仕切構造部8が設置された状態において用いられる。ケーシング10は、例えば、前後方向に分割可能で、互いに組み合わされる2つの部材により構成される。
【0021】
図1に示すように、後パネル1Bには、外気を吸い込む吸込口P1が形成されている。ケーシング10のファン収容部13には、加湿部3で発生した加湿空気をファン2が吸うための吸気口Q1と、ファン2が加湿空気を排出するための排気口Q2と、が形成されている。上パネル1Uには、排気口Q2から排出された加湿空気を筐体1の外部に出すための吹出口P2が形成されている。ファン2が回転すると、吸込口P1、加湿部3、吸気口Q1、排気口Q2、吹出口P2の順に進む流路Wで空気が通過し、加湿部3で発生した加湿空気が吹出口P2から筐体1の外部に吹き出る。なお、流路Wにおける吸込口P1と加湿部3の間には、条件に応じて作動して温風を送るためのヒータTが設けられている。
【0022】
ファン2は、遠心ファンであり、例えばシロッコファンである。ファン2は、ケーシング10に取り付けられたファンモータ2aの回転に伴い回転する。
【0023】
加湿部3は、筐体1の内部に位置し、加湿空気を発生させる構成である。加湿部3は、
図2に示すように、加湿フィルタ30(気化フィルタ)と、加湿フィルタ30を保持する枠体31と、を備える。つまり、加湿装置100は、加湿フィルタ30により加湿空気を発生させる気化式である。
【0024】
加湿部3は、
図1に示す軸線AXを中心に、筐体1内で回転可能に設けられている。軸線AXは、
図1の紙面の垂直方向に延びる(つまり、筐体1の左右方向に延びる)。
図10に示すように、枠体31には一対の軸部31R,31Lが設けられ、加湿部3は、一方の軸部31Rが仕切構造部8(詳しくは後述の軸受け8R)に支持され、他方の軸部31Lがトレイホルダ6(詳しくは後述の軸受け6L)に支持される。加湿部3は、ケーシング10に取り付けられたターンモータ(図示せず)によって軸部31Lが回転駆動されることで、軸線AXを中心に回転可能である。
【0025】
加湿部3は、軸線AXが延びる方向に長尺の概ね直方体状をなし、直方体を構成する6面のうち、最も大きい面積を有する一対の面に相当する部分が、空気を通す第1通気部3a及び第2通気部3bとして機能する。なお、加湿部3のうち、軸線AXの径方向に位置し、第1通気部3a及び第2通気部3bを繋ぐ2つの側面は、加湿部3の回転を妨げないように曲面状に形成されている。
【0026】
図1に示すように、加湿部3の第1通気部3a及び第2通気部3bが前後方向に向く状態は、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水を吸うことが可能な「吸水可能状態」である。
図1は、第2通気部3bから加湿フィルタ30に入った空気が、第1通気部3aから加湿空気として出る態様(以下、第1態様)を示しているが、第1態様から加湿部3が180°回転して、第1通気部3aから加湿フィルタ30に入った空気が、第2通気部3bから加湿空気として出る態様(以下、第2態様)も吸水可能状態である。つまり、吸水可能状態を実現する加湿部3の態様としては、第1態様及び第2態様の2つの態様がある。加湿装置100の動作中、制御部9の制御の下で、加湿部3は、第1態様及び第2態様の一方から他方へ、所定の周期で変化する。
【0027】
一方、制御部9は、加湿装置100の動作停止指示を受け付けると、加湿部3を、第1通気部3a及び第2通気部3bが上下方向に向く状態とする(つまり、第1態様又は第2態様の加湿部3を90°回転させた状態とする)。この状態は、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水から離れる「離間状態」である。この離間状態により、加湿フィルタ30がトレイ5の中の水に常時浸っていることを防ぎ、雑菌の繁殖を抑えることができる。
【0028】
紫外線照射部4は、筐体1の内部に紫外線を照射する。具体的に、紫外線照射部4は、高い除菌、殺菌効果がある深紫外線(UV-C)を発する深紫外線LEDが実装されたLEDモジュールから構成される。
【0029】
紫外線照射部4は、ケーシング10の前側に固定される梁部14に取り付けられる。
図3に示すように、梁部14は、側壁部12、及び、側壁部12と対向する壁部15の間に位置し、ケーシング10に対して左右方向に延びる梁構造を付与する。つまり、梁部14は、一端(右端)が側壁部12に固定され、他端(左端)が壁部15に固定される。このように設けられる梁部14は、
図1に示すように、前パネル1Fの後方に位置して、前パネル1Fに接触する。これにより、組み立て時などに生じた前パネル1Fの歪みを抑えることができる。
【0030】
図1に示すように、梁部14は、前パネル1Fの背後に位置する。梁部14には、紫外線照射部4を収めるモジュールケース14aが形成されている。モジュールケース14aに収められた紫外線照射部4は、軸線AXよりも高い位置に位置し、加湿部3(加湿フィルタ30)に向けて紫外線U(深紫外線)を照射する。具体的に、紫外線照射部4は、加湿部3の軸線AXに向けて紫外線Uを照射する。前述のように、加湿装置100の動作中、加湿部3は、第1態様及び第2態様の一方から他方へ所定の周期で変化するため、第1通気部3a及び第2通気部3bの双方に対して偏りなく紫外線Uを照射することができる。
【0031】
トレイ5は、加湿空気を発生させるための水を貯える。トレイホルダ6に載せられたトレイ5は、ホルダ装着状態において筐体1の内部に位置する。以下では、トレイホルダ6にトレイ5が載置された状態を「トレイ有状態」と言い、トレイホルダ6からトレイ5が取り外された状態を「トレイ無状態」と言う。
【0032】
トレイ5は、ステンレス鋼で形成されており、紫外線Uを受けたとしても、その劣化が抑制される。トレイ5の材質については、後に詳述する。
【0033】
トレイ5は、
図5に示すように、縁部50と、縁部50の下方に位置する、主水槽部51、タンク対向部52及びフロート水槽部53と、を有する。主水槽部51は、加湿部3の下方に位置し、加湿部3が吸う水が貯えられる部分である。タンク対向部52は、上下方向において、後述の受け部材80を挟んで給水タンク7と対向する平板状の部分である。フロート水槽部53は、タンク対向部52よりも下方に窪んだ部分であり、後述の水位検知用フロート83が浮く水が貯えられる部分である。フロート水槽部53は、平板状の底である平底部53aを有する。
【0034】
トレイホルダ6は、
図6に示すように、トレイ5が収容されるトレイ収容部60と、トレイ収容部60を囲んで立設された立壁部61と、立壁部61を囲んで立設された外周壁部62と、を備える。
【0035】
図7は、トレイ5、及び、トレイ5が載置されたトレイホルダ6の断面図である。当該断面図は、主水槽部51に相当する部分を、前後方向に延びる軸と上下方向に延びる軸とによって定まる仮想平面に沿った断面を示す。なお、
図7と、後述の
図8、
図12では、図面の見易さを考慮して断面を示すハッチングを適宜省略した。
【0036】
図7に示すように、トレイ5の縁部50は、トレイホルダ6の立壁部61に支持される。縁部50は、トレイホルダ6にトレイ5が載置された状態で、立壁部61と当接して立壁部61に支持される被支持部50aと、被支持部50aと繋がり立壁部61の外面に沿う沿設部50bと、を有する。
【0037】
トレイホルダ6のトレイ収容部60には、トレイ5の下面の一部を覗かせる、2つの開口部6a,6bが設けられている。開口部6a,6bは、前後方向(第1の方向)に間隔を空けて設けられている。ユーザは、開口部6a,6bからトレイ5の下面を押し上げることによって、トレイホルダ6からトレイ5を容易に取り外すことができる。
【0038】
トレイ収容部60は、2つの開口部6a,6bの間に、受け皿部601を有する。トレイ5の主水槽部51は、受け皿部601に向かって膨らむ曲板状に形成されている。具体的に、主水槽部51は、
図1に示すように、中央部が下に膨らみ、且つ、加湿部3が軸線AX周りに回転する際に加湿部3の外周が描く円弧状の軌跡に沿う曲板状に形成されている。この主水槽部51の形状により、トレイ5に貯める水を極力少なくすることができる。本実施形態の主水槽部51は、前後で対称の曲板状に形成されている。主水槽部51は、上下方向において、受け皿部601と対向する底板部51aを有する。
【0039】
受け皿部601は、前後方向(第1の方向)における一端と他端に底板部51aに向かって突起する桟601aを有する。
図6に示すように、桟601aは、左右方向(第2の方向)に延びて設けられている。この桟601aにより、トレイ5の下面に結露が生じた場合に滴る水滴を、受け皿部601に溜めることができる。また、
図7に示すように、トレイホルダ6にトレイ5が載置されたトレイ有状態では、桟601aと底板部51aの間には隙間が生じる。この隙間により、トレイ5の下面の水滴を受け皿部601に向けて良好に通すことができる。
【0040】
給水タンク7は、
図2に示すように、筐体1内のタンク収容室R7に収容され、トレイ5に供給するための水を貯える。
図8(a)、(b)に示すように、給水タンク7は、タンク本体70と、タンク本体70の下端に取り付けられたタンクキャップ71と、を備える。タンクキャップ71は、給水口71aと、給水口71aを開閉する弁機構72と、を有する。
【0041】
仕切構造部8は、
図10に示すように、一体に形成された、受け部材80、仕切板81及びフロート支持部82を備える。仕切構造部8は、トレイ5及びトレイホルダ6とは別体の構成である。仕切構造部8(つまり、一体の受け部材80、仕切板81及びフロート支持部82)は、トレイ5に対して着脱可能である。
【0042】
受け部材80は、
図8(a)に示すように、給水タンク7を受ける受け皿状の部材である。受け部材80は、その縁で給水タンク7のタンクキャップ71を受けると共に、縁から凹んで形成される底面から弁機構72に向かって突起するピン状部80aを有する。
【0043】
給水タンク7は、タンク収容室R7に収容されると、タンクキャップ71が受け部材80に受けられる(支持される)格好となる。この際、給水タンク7の弁機構72がピン状部80aに相対的に押し上げられる。これにより、弁機構72が開状態となり、給水口71aから受け部材80への流路が開放され、給水タンク7から受け部材80を経て、トレイ5に水が供給される。トレイ5の水面が給水口71aの下端まで達すると、外気が給水口71aからタンク本体70へ入らなくなるため、給水タンク7からトレイ5への水の供給が止まる。そして、トレイ5の水が減り、その水面が給水口71aの下端よりも低くなると、外気が給水口71aからタンク本体70に入ると共に、給水口71aから水が出る。この機構により、トレイ5における水位は一定に保たれる。なお、仕切板81には、受け部材80に溜まった水を加湿部3の側へ通過させる通水孔81a(
図10、
図11参照)が形成されている。
【0044】
仕切板81は、
図2に示すように、加湿部3と給水タンク7を仕切る板状の部材である。ここで、トレイホルダ6の立壁部61には、
図6に示すように、切り欠き61aが形成されている。
図6では示されていないが、切り欠き61aは、前後方向に互いに対向して、一対設けられている。一対の切り欠き61aは、トレイホルダ6に載置されたトレイ5上に仕切構造部8がさらに載置された状態で、トレイ5の縁部50を挟んで仕切板81の下方に位置する。また、トレイホルダ6の外周壁部62には、仕切板81の左右の端部が挿入される一対の仕切板ガイド62aが設けられている。仕切板ガイド62aは、外周壁部62の外周に向かって凹み、且つ、上下方向に延びる溝状の部分である。
【0045】
仕切板81は、
図10、
図11に示すように、切り欠き61aと嵌合可能な嵌合可能部81bと、仕切板ガイド62aに挿入される挿入リブ81cと、を有する。挿入リブ81cは、嵌合可能部81bよりも仕切板81の外側に位置する。嵌合可能部81bは、一対の切り欠き61aに対応して一対ある。挿入リブ81cも、一対の仕切板ガイド62aに対応して一対ある。仕切構造部8は、仕切板ガイド62aに挿入リブ81cを挿入することで、トレイホルダ6に対して仕切板81が立つ格好でトレイホルダ6に取り付けられる。
【0046】
図8(a)、
図9(a)は、「トレイ有状態」の各部の関係を示す。トレイ有状態では、
図9(a)に示すように、切り欠き61aがトレイ5の縁部50に覆われて嵌合可能部81bとは嵌合しない。そして、
図8(a)に示すように、給水タンク7が受け部材80に受けられて弁機構72がピン状部80aに押された状態になる。これにより、前述の通り、給水タンク7からトレイ5への給水が可能である。
【0047】
図8(b)、
図9(b)は、「トレイ無状態」の各部の関係を示す。トレイ無状態では、
図9(b)に示すように、トレイ5及び縁部50が無いことで、嵌合可能部81bが切り欠き61aに嵌合する。そして、
図8(b)に示すように、受け部材80及びピン状部80aがトレイ有状態の時よりも下がる(つまり、仕切構造部8全体がトレイ有状態の時よりも下がる)ことにより、ピン状部80aが弁機構72から離れる。したがって、弁機構72が閉状態となり、給水口71aから受け部材80への流路が閉塞され、給水タンク7からの給水が停止される。これにより、ユーザがトレイホルダ6にトレイ5を装着し忘れて、仕切構造部8を載せたトレイホルダ6を筐体1に装着してしまった場合であっても、給水タンク7からトレイホルダ6に水が流れ出ることを防止することができる。
【0048】
ここで、給水タンク7のタンク本体70は、上下方向において立壁部61と対向する対向部70aを有する。
図8(a)に示すように、トレイ有状態では、給水タンク7は、タンクキャップ71が受け部材80に支持されると共に、対向部70aがトレイ5の縁部50に支持される。一方、
図8(b)に示すように、トレイ無状態では、給水タンク7は、タンクキャップ71が受け部材80から離れ、対向部70aが立壁部61に直接支持される。これにより、トレイ無状態では、給水タンク7は、トレイ5の縁部50の厚さ分だけトレイ有状態よりも僅かに下がる。一方で、
図8(a)及び
図8(b)を比較して分かるように、トレイ無状態では、嵌合可能部81b(つまり、仕切構造部8全体)が、縁部50の厚さと、切り欠き61aの深さ(上下方向の長さ)の合計分だけ下がる。したがって、トレイ無状態では、この切り欠き61aの深さに応じた距離だけ、給水タンク7の弁機構72からピン状部80aを離すことができる。
【0049】
図8(a)に示すように、トレイホルダ6は、トレイ有状態でトレイ5における受け部材80と対向する部分(前述のトレイ5のタンク対向部52)に当接する台部602と、台部602よりも低い位置にある低床部603と、台部602を囲むリブ604と、を有する。
図6に示すように、低床部603は、受け皿部601の底と繋がる。台部602は、低床部603から上方に隆起し、本実施形態では円状に形成されている。台部602により、トレイ5及びトレイ5上に位置する仕切構造部8を安定させることができる。リブ604は、一部が間欠したリング状に形成されている。リブ604の間欠した部分により、通気を確保することができ、リブ604と台部602の間に溜まってしまった水が乾燥し易い。
【0050】
受け部材80は、
図8(a)に示すトレイ有状態でトレイ5(具体的にはタンク対向部52)に支持される脚部80bを有する。脚部80bは、
図10に示すように、概ね円盤状に形成された受け部材80の外周の下端部に相当する。これにより、脚部80bの下端はリング状をなし、トレイ無状態では、
図6に示す台部602とリブ604の間に嵌め合わされる。つまり、
図8(b)に示すトレイ無状態では、前述のように、トレイ有状態の時よりも位置が低下する仕切構造部8の脚部80bが低床部603に支持される。これにより、仕切構造部8は、トレイ有状態では脚部80bにおいてトレイ5に確実に支持される一方で、トレイ無状態ではトレイホルダ6の低床部603に確実に支持される。
【0051】
また、トレイホルダ6のリブ604は、
図8(a)に示すトレイ有状態で、トレイ5における受け部材80と対向しない部分に当接する。そして、
図8(b)に示すトレイ無状態では、脚部80bが、台部602とリブ604の間の低床部603に支持される。ここで、トレイ有状態では、トレイ5は、受け部材80の脚部80bを介して給水タンク7の荷重を受けるが、リブ604があることによって、トレイ5の台部602に支持されている部分の周囲もリブ604で支持することができる。つまり、リブ604により、トレイ5の局所に給水タンク7の荷重が集中することを抑制でき、トレイ5が変形してしまうことを抑制できる。
【0052】
図10に示すフロート支持部82は、トレイ5に貯えられた水に浮く水位検知用フロート83を、当該水の変位に応じて変位可能に支持する。具体的に、水位検知用フロート83は、前述のフロート水槽部53の中の水に浮く。本実施形態のフロート支持部82は、水位検知用フロート83を前後方向に延びる軸線BXを中心に回転可能に支持する。したがって、トレイ5内の水が変位すると、水位検知用フロート83は、軸線BXを中心として円弧状に変位する。
【0053】
図12に示すように、水位検知用フロート83は、その下端部において磁石Mを保持している。また、トレイ5におけるフロート水槽部53の平底部53aを挟んで磁石Mの反対側には、磁石Mによる磁場(磁束密度)を検出する磁気センサSが設けられている。磁気センサSは、例えば、ケーシング10の底部10Dの内部に埋設されている。磁気センサSは、リードスイッチ、ホール素子、MR(Magneto Resistive Sensor)素子などから構成され、水位検知用フロート83の変位によって、磁石Mが磁気センサSに近づくことで、変化する磁石Mの磁束を検出する。制御部9は、磁気センサSが出力した検出信号に基づき、トレイ5内の水位を検知する。
【0054】
ここで、本実施形態のトレイ5は、オーステナイト系のステンレス鋼であるSUS304に対し、冷間加工を行うことで成形される。また、トレイ5は、SUS301、SUS316等で形成されていてもよい。
【0055】
図2に示す制御部9は、加湿装置100の全体動作を制御するマイクロコンピュータから構成され、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。制御部9は、図示しないPCB(Printed Circuit Board)に実装されている。当該PCBは、例えば、上パネル1Uとケーシング10の間に設けられる。制御部9は、加湿装置100が備える種々の電子部品と電気的に接続される。制御部9は、上パネル1Uに設けられた操作パネル(図示せず)に対してなされたユーザによる操作を受け付け、受け付けた操作内容に応じて、加湿装置100の各部を制御する。制御部9は、ヒータT、ファンモータ2a、加湿部3を回転駆動するターンモータ(図示せず)、及び、紫外線照射部4の各々の動作を制御する。また、制御部9は、磁気センサSの出力に基づき、トレイ5内の水位を検知する。
【0056】
次に、本実施形態における筐体1の底部10Dの構造について説明する。
【0057】
図13、及び
図14を参照する。筐体1の底部10Dには、四隅に配置された支持脚18と、左右端部にユーザが筐体1を持ち運ぶときに把持する取っ手10Tとがある。
支持脚18は、簡易な金型構成で一体成型が可能な構成であり、内側に補強手段としての円筒部19を有している。円筒部19は、内側空洞の有蓋円筒形状であり、上端の蓋部分にあるネジ穴19aにネジNを挿入し、底部10Dに軸着することで支持脚18を底部10Dに接続している。
取っ手10Tは、各支持脚18の近傍に形成されており、上方向へ所定距離だけ凹んだ凹部形状となっている。これにより、ユーザが取っ手10Tに指を入れて筐体1を把持することができる。
【0058】
次に、本実施形態における支持脚18の形状による強度と補強手段について説明する。
【0059】
筐体1の底部10Dにあり外方へ向けて傾斜した支持脚18は、水平方向に対して垂直に形成された支持脚と比較し強度が劣るため、筐体1の荷重や筐体1移動時に支持脚18が設置面Gに設置されたときの衝撃により、支持脚18が破損する可能性が水平方向に対して垂直に形成されたものと比較して高い。
【0060】
そこで、本実施形態では外方に向けて傾斜する支持脚18内に補強手段として円筒部19を有することで、補強手段により外観性が損なわれることを阻止しつつ支持脚18の強度を向上させ、筐体1の荷重や衝撃等による破損を未然に阻止するようにした。
【0061】
図14、
図15、及び
図16を参照する。円筒部19は、上端面18aと下端面18bとが平面視で重なる箇所において、上端面18aから下端面18bまで水平方向に対して垂直に延びるよう形成されている。これにより、支持脚18の強度が向上するため、筐体1の荷重、及び支持脚18がユーザや設置面Gに衝突したときに受ける負荷に耐えることができ、支持脚18が破損する可能性を低くすることができる。
【0062】
また、支持脚18の内側に補強手段としての円筒部19を形成したので、加湿装置100を通常使用するとき、ユーザが補強手段である円筒部19を直接目視できない。よって、筐体1の外観性を損ねることなく支持脚18を強化することができる。
【0063】
なお、本実施形態では支持脚18の下端面18bが左右方向に向けて傾斜しているが、これに限られない。例えば、下端面18bが前後方向に向けて傾斜する、あるいは前後方向と左右方向の間に向けて傾斜するものであってもよい。すなわち、筐体1の外方向に向けて傾斜した支持脚18において、平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に補強手段を有するものであれば、本発明の範疇に入る。
【0064】
また、本実施形態では補強手段として円筒部19を支持脚18に形成する内容で説明したが、これに限られない。例えば、上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に部材を埋め込み支持脚18を補強してもよい。すなわち、平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所にあり支持脚18の強度が向上するものであれば、本発明での補強手段の範疇である。
【0065】
次に、本発明の効果を説明する。
【0066】
外方に向けて傾斜し底部10Dと接続する上端面18aと設置面Gに設置される下端面18bとを有した支持脚18は、平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に補強手段を有する。筐体1の下部にあり外方へ向けて傾斜した支持脚18は、水平方向に対して垂直に形成した支持脚と比較して強度が劣る。平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に補強手段を有することで支持脚18の強度が向上するため、筐体1の荷重や支持脚18に加わる衝撃により支持脚18が破損する可能性が低減し製品性が向上する。
【0067】
また、補強手段は、支持脚18の内側に形成する。支持脚18の外側に補強手段が付加されることがないため外観を損ねることがないため、製品性の低下が阻止できる。
【0068】
また、補強手段は、上端面18aから下端面18bまで連通し水平方向に対して垂直に延びる円筒部19で構成する。簡易な構成で支持脚18の強度向上を実現することができるため、補強手段増加による大幅なコストアップが阻止でき製品性が向上する。
【0069】
また、底部10Dには、筐体1を持ち上げるための取っ手10Tを支持脚18の近傍に配置する。ユーザが取っ手10Tを把持して持ち上げるとき、取っ手10T付近に負荷が加わることから、取っ手10T近傍に配置する支持脚18にも負荷が加わる。支持脚18内に補強手段としての円筒部19が形成されたことで、取っ手10Tによる負荷に対しての耐久性が上がることから、支持脚18が破損する可能性が低減し製品性が向上する。
【0070】
また、本発明は水を貯めたトレイ5と、当該トレイ5に送る水を貯めた給水タンク7と、を有し、少なくとも筐体1から給水タンク7が着脱自在な加湿装置100で適用される。加湿装置100では、加湿運転により給水タンク7内の水量が変動することで筐体1の重量が時間経過で変化するので、支持脚18が受ける筐体1の荷重の時間当たりの変化が大きい。また、給水タンク7内の水が無くなったとき、筐体1から給水タンク7を取り出して給水し、満水状態の給水タンク7を筐体1に装着する。満水状態の給水タンク7を筐体1に装着するとき、筐体1の底部10Dに衝撃が加わり支持脚18が大きな負荷を受ける。筐体1側から受ける負荷が大きい加湿装置100において、支持脚18が平面視で上端面18aと下端面18bとが重なる箇所に補強手段を有することで、支持脚18の強度を向上させ破損する可能性が低減するため、製品性が向上する。
【0071】
以上、本実施形態に基づき説明したが、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0072】
例えば、本発明に係る空気調和機は、加湿装置100以外にも空調機、除湿機、乾燥機などの、他の空調機器にも適用することができる。
【0073】
また、紫外線照射部4は、紫外線領域の光を発するものであれば任意であり、深紫外線(UV-C)を発するものに限られない。また、加湿部3は、筐体1に対して回転可能な構成に限られない。加湿部3は、筐体1に対して回転せず、トレイ5の上方に設置されるものであってもよい。この場合、仕切板81に設けられた軸受け8Rの代わりに、加湿部3の一部を支持する任意形状の支持部を設ければよい。この支持部は、トレイ5に対する加湿部3の相対位置を定めるものであることが好ましい。また、嵌合可能部81bは、仕切板81の一部である例に限られず、少なくとも受け部材80と一体に形成された構成であればよい。
【符号の説明】
【0074】
100 加湿装置
1 筐体
P1 吸込口
P2 吹出口
1F 前パネル
1B 後パネル
1L 左パネル
1R 右パネル
1U 上パネル
10 ケーシング
10D 底部
10T 取っ手
18 支持脚
18a 上端面
18b 下端面
19 円筒部
3 加湿部
5 トレイ
7 給水タンク