IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-弁装置 図1
  • 特開-弁装置 図2
  • 特開-弁装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176025
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/18 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
F16K15/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094216
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米原 康裕
(72)【発明者】
【氏名】佐野 碧
(72)【発明者】
【氏名】小川 睦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一成
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA05
3H058BB22
3H058CA12
3H058CB12
3H058CC11
3H058CD05
3H058DD12
3H058DD17
3H058EE03
(57)【要約】
【課題】弁装置の部品点数を削減する。
【解決手段】弁装置100は、ハウジング10に形成された収容孔14と、収容孔14内に収容され、タンクポート13からシリンダポート12a,12bへの流体の流れを許容するとともに、シリンダポート12a,12bからタンクポート13への流体の流れを阻止するパイロットチェック弁4a,4bと、を備え、パイロットチェック弁4a,4bの弁体41は、円筒状の本体部41aと、本体部41aより大径の大径部41bと、を有し、本体部41aと大径部41bと収容孔14の内周面によって区画されるパイロット圧室60にパイロットチェック弁4a,4bの弁体41を開弁するための流体が導かれる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポート及び第2ポートを有するハウジングと、
前記ハウジングに形成された収容孔と、
前記収容孔内に収容され、前記第1ポートから前記第2ポートへの流体の流れを許容するとともに、前記第2ポートから前記第1ポートへの流体の流れを阻止するパイロットチェック弁と、を備え、
前記パイロットチェック弁の弁体は、
円筒状の本体部と、
前記本体部より大径の大径部と、を有し、
前記本体部と前記大径部と前記収容孔の内周面によって区画されるパイロット圧室に前記パイロットチェック弁の前記弁体を開弁するための流体が導かれることを特徴とする弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載された弁装置であって、
前記本体部に取り付けられ、前記収容孔と前記本体部との間をシールする第1シール部材と、
前記大径部に取り付けられ、前記収容孔と前記大径部との間をシールする第2シール部材と、を有し、
前記パイロット圧室は、前記第1シール部材と前記第2シール部材との間に形成されることを特徴とする弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パイロットチェック弁とオーバーロードリリーフ弁とを備えた弁装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-283785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された弁装置では、ピストンに圧力が作用すると、ピストンがパイロットチェック弁の弁体を押すことで、パイロットチェック弁が強制的に開弁される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された弁装置は、ピストンによってパイロットチェック弁の弁体を押す構造であるため、部品点数が多くなっていた。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、弁装置の部品点数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1ポート及び第2ポートを有するハウジングと、ハウジングに形成された収容孔と、収容孔内に収容され、第1ポートから第2ポートへの流体の流れを許容するとともに、第2ポートから第1ポートへの流体の流れを阻止するパイロットチェック弁と、を備え、パイロットチェック弁の弁体は、円筒状の本体部と、本体部より大径の大径部と、を有し、本体部と大径部と収容孔の内周面によって区画されるパイロット圧室にパイロットチェック弁の弁体を開弁するための流体が導かれることを特徴とする。
【0008】
この発明では、収容孔の内周面とパイロットチェック弁の弁体の外周面との間に、パイロットチェック弁の弁体を強制的に開弁するための流体が導かれるパイロット圧室を設けている。これにより、パイロットチェック弁の弁体を強制的に開弁するためのピストンなどの部品が不要になるため、部品点数を削減できる。
【0009】
また、本発明は、本体部に取り付けられ、収容孔と本体部との間をシールする第1シール部材と、大径部に取り付けられ、収容孔と本体部との間をシールする第2シール部材と、を有し、パイロット圧室は、第1シール部材と第2シール部材との間に形成されることを特徴とする。
【0010】
この発明では、パイロット圧室に導かれる流体の漏れを抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弁装置の部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る弁装置が適用される油圧回路の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る弁装置の断面図である。
図3図3は、図2に示す弁装置の主要部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明の弁装置100について説明する。
【0014】
まず、図1を参照して、弁装置100が適用される油圧回路Sについて説明する。
【0015】
図1に示すように、油圧回路Sは、閉回路によって構成され、ポンプ1と、シリンダ2と、弁装置100と、を備える。油圧回路Sでは、作動流体として作動油が用いられる。作動油に代えて、他の非圧縮性流体を作動流体として用いてもよい。
【0016】
ポンプ1は、図示しない電動機などの駆動源により駆動される。ポンプ1は、双方向に吐出可能で、容量が可変な斜板型アキシャルピストンポンプである。
【0017】
シリンダ2は、片ロッド型の流体圧シリンダである。シリンダ2は、シリンダチューブ2a内を摺動自在に移動するピストン2bと、ピストン2bに連結されシリンダチューブ2aの外部に突出するピストンロッド2cと、を備える。シリンダチューブ2a内は、ピストン2bによってロッド側室2dと反ロッド側室2eとに区画される。
【0018】
ポンプ1のポート1aとシリンダ2のロッド側室2dとは、第1通路3aによって接続され、ポンプ1のポート1bとシリンダ2の反ロッド側室2eとは、第2通路3bによって接続される。
【0019】
弁装置100は、第1通路3aとタンクTとを接続する流路上に設けられるパイロットチェック弁4aと、第2通路3bとタンクTとを接続する流路上に設けられるパイロットチェック弁4bと、第1通路3aの圧力が所定値P1以上になった場合に開弁して、第1通路3aからタンクTへ作動油を排出するリリーフ弁5aと、第2通路3bの圧力が所定値P1以上になった場合に開弁して、第2通路3bからタンクTへ作動油を排出するリリーフ弁5bと、を備える。
【0020】
パイロットチェック弁4aは、タンクTから第1通路3aへの作動油の流れを許容するとともに、第1通路3aからタンクTへの作動油の流れを阻止する。また、パイロットチェック弁4aは、第2通路3bからパイロット圧通路6aを通じて導かれた作動油の圧力が上昇すると、強制的に開弁される。
【0021】
パイロットチェック弁4bは、タンクTから第2通路3bへの作動油の流れを許容するとともに、第2通路3bからタンクTへの作動油の流れを阻止する。また、パイロットチェック弁4bは、第1通路3aからパイロット圧通路6bを通じて導かれた作動油の圧力が上昇すると、強制的に開弁される。
【0022】
このように構成された油圧回路Sの動作について説明する。
【0023】
ポンプ1がポート1aから作動油を吐出するように回転する(以下では、ポンプ1がポート1aから作動油を吐出するように回転することを「正回転」という。)と、ポート1aから吐出された作動油は、第1通路3aを通じてシリンダ2のロッド側室2dに供給される。また、このとき、反ロッド側室2e内の作動油は、第2通路3b及びポート1bを通じてポンプ1に吸い込まれる。
【0024】
第1通路3aの作動油は、パイロット圧通路6bを通じて、パイロットチェック弁4bにも供給される。パイロットチェック弁4bは、第1通路3aの作動油が供給されることで開弁する。
【0025】
反ロッド側室2eの単位長さ当たりの容積は、ロッド側室2dの単位長さ当たりの容積に比べ、ピストンロッド2cの体積分大きい。このため、反ロッド側室2eから排出される作動油の油量は、ロッド側室2dに供給される作動油の油量より多くなる。油圧回路Sでは、反ロッド側室2eから排出される作動油は、ポンプ1のポート1bから吸い込まれるが、反ロッド側室2eから排出される作動油の油量がロッド側室2dに供給される作動油の油量を上回る。このため、ポンプ1がポート1aから作動油を吐出する場合には、吸込側となる第2通路3bにおける余剰となる作動油(ポンプ1に吸い込まれない作動油)は、パイロットチェック弁4bを通じてタンクTに排出される。なお、ポンプ1が正回転しているときに、第2通路3b内の作動油の圧力が負圧(タンクTの圧力以下)になった場合には、タンクTからパイロットチェック弁4bを通じて第2通路3bに作動油が供給される。
【0026】
このようにして、ポンプ1が正回転すると、ロッド側室2d内に作動油が供給されるとともに、反ロッド側室2e内の作動油が排出されることで、シリンダ2は、ピストンロッド2cが収縮するように駆動する。
【0027】
これに対し、ポンプ1がポート1bから作動油を吐出するように回転する(以下では、ポンプ1がポート1bから作動油を吐出するように回転することを「逆回転」という。)と、ポート1bから吐出された作動油は、第2通路3bを通じてシリンダ2の反ロッド側室2eに供給される。また、このとき、ロッド側室2d内の作動油は、第1通路3a及びポート1aを通じてポンプ1に吸い込まれる。
【0028】
第2通路3bの作動油は、パイロット圧通路6aを通じて、パイロットチェック弁4aに供給される。パイロットチェック弁4aは、第2通路3bの作動油が供給されることで開弁する。
【0029】
上述のように、反ロッド側室2eの単位長さ当たりの容積は、ロッド側室2dの単位長さ当たりの容積に比べ、ピストンロッド2cの体積分大きい。このため、反ロッド側室2eに供給される作動油の油量は、ロッド側室2dから排出される作動油の油量より多くなる。油圧回路Sでは、ロッド側室2dから排出される作動油は、ポンプ1のポート1aから吸い込まれるが、ロッド側室2dから排出される作動油の油量が反ロッド側室2eに供給される作動油の油量を下回る。このため、ポンプ1がポート1bから作動油を吐出する場合には、吸込側となる第1通路3aにおいて不足する作動油は、パイロットチェック弁4bを通じてタンクTから供給される。なお、ポンプ1が逆回転しているときに、第1通路3a内の作動油の圧力が負圧(タンクTの圧力以下)になった場合には、タンクTからパイロットチェック弁4aを通じて第1通路3aに作動油が供給される。
【0030】
このように、ポンプ1が逆回転すると、反ロッド側室2e内に作動油が供給されるとともに、ロッド側室2d内の作動油が排出されることで、ことによって、シリンダ2は、ピストンロッド2cが突出するように駆動する。
【0031】
また、外力によって、ピストンロッド2cがシリンダ2の伸長方向に引っ張られた場合には、ロッド側室2d内の作動油がピストン2bによって第1通路3aに押し出され、第1通路3a内の作動油の圧力が上昇する。第1通路3a内の作動油の圧力が所定値P1まで上昇すると、リリーフ弁5aが開弁して、第1通路3a内の作動油がタンクTへ排出される。これにより、第1通路3a内の作動油の圧力が高圧になることを防止できる。
【0032】
また、ピストン2bがシリンダ2の伸長方向に移動すると、反ロッド側室2eの容積が拡張する。ポンプ1が停止している場合には、ポンプ1から反ロッド側室2eには作動油が供給されない。この場合には、タンクTからパイロットチェック弁4bを通じて第2通路3b及び反ロッド側室2eに作動油が供給されるので、これらの作動油の圧力が負圧になることを防止できる。
【0033】
これに対して、外力によって、ピストンロッド2cがシリンダ2の収縮方向に押された場合には、反ロッド側室2e内の作動油がピストン2bによって第2通路3bに押し出され、第2通路3b内の作動油の圧力が上昇する。第2通路3b内の作動油の圧力が所定値P1まで上昇すると、リリーフ弁5bが開弁して、第1通路3a内の作動油がタンクTへ排出される。これにより、第2通路3b内の作動油の圧力が高圧になることを防止できる。
【0034】
また、ピストン2bがシリンダ2の収縮方向に移動すると、ロッド側室2dの容積が拡張する。ポンプ1が停止している場合には、ポンプ1からロッド側室2dには作動油が供給されない。この場合には、タンクTからパイロットチェック弁4aを通じて第1通路3a及びロッド側室2dに作動油が供給されるので、これらの作動油の圧力が負圧になることを防止できる。
【0035】
次に、図2及び図3を参照して、弁装置100の具体的な構成について説明する。図2は、弁装置100の断面図であり、図3は、図2におけるパイロットチェック弁4a及びリリーフ弁5a近傍の拡大図である。
【0036】
図2に示すように、弁装置100は、ハウジング10と、パイロットチェック弁4a,4bと、リリーフ弁5a,5bと、を備える。ハウジング10には、ポンプ1のポート1aに連通するポンプポート11aと、シリンダ2のロッド側室2dに連通する第2ポートとしてのシリンダポート12aと、ポンプ1のポート1bに連通するポンプポート11bと、シリンダ2の反ロッド側室2eに連通するシリンダポート12bと、タンクTに連通する第1ポートとしてのタンクポート13と、が設けられる。
【0037】
ポンプポート11aとシリンダポート12aは、通路15aによって接続される。通路15aは、第1通路3aの一部を構成する。ポンプポート11bとシリンダポート12bは、通路15bによって接続される。通路15bは、第2通路3bの一部を構成する。
【0038】
タンクポート13は、ポンプポート11aとポンプポート11bとの間に、これらに並んで設けられる。
【0039】
ハウジング10には、パイロットチェック弁4a,4b及びリリーフ弁5a,5bを収容する収容孔14がさらに設けられる。本実施形態では、収容孔14は、通路15a及び通路15bと交差し、ハウジング10を貫通するように形成される。
【0040】
次に、パイロットチェック弁4a,4b及びリリーフ弁5a,5bの具体的な構造について説明する。パイロットチェック弁4a及びリリーフ弁5aと、パイロットチェック弁4b及びリリーフ弁5bとは、それぞれ同一の構造であるので、以下では、パイロットチェック弁4a及びリリーフ弁5aの構造のみを説明し、パイロットチェック弁4b及びリリーフ弁5bについては、説明を省略する。
【0041】
図3に示すように、パイロットチェック弁4aは、収容孔14に摺動自在に収容される弁体41と、弁体41を閉弁方向に付勢する付勢部材としてのばね42と、ばね受け45と、を備える。
【0042】
弁体41は、円筒状の本体部41aと、本体部41aに連続して設けられ、本体部41aより大径の大径部41bと、本体部41aに対して大径部41bとは反対側に設けられ、本体部41aより小径の小径部41cと、小径部41cより先端側に設けられ、ハウジング10の収容孔14内に形成された弁座部14aに離着座するシート部41dと、本体部41aと小径部41cとの境界部分に設けられ、弁体41の外部と内部とを連通する複数の連通孔41eと、本体部41aに取り付けられ、収容孔14と本体部41aとの間をシールする第1シール部材としてのOリング43と、大径部41bに取り付けられ、収容孔14と大径部41b部との間をシールする第2シール部材としてのOリング44と、を有する。
【0043】
ばね42は、コイルばねによって構成され、ばね受け45と収容孔14を閉塞する蓋部材46との間で、圧縮された状態で保持される。
【0044】
弁装置100は、パイロット圧通路6aを通じて第2通路3bの圧力が導かれるパイロット圧室60をさらに備える。パイロット圧室60は、収容孔14の内周面と弁体41の外周面との間で、かつ、Oリング43とOリング44との間。に形成される。つまり、パイロット圧室60は、収容孔14の内周面、弁体41の外周面、Oリング43、及びOリング44によって区画された領域である。
【0045】
図3に示すように、リリーフ弁5aは、弁体51と、弁体51を閉弁方向に付勢する付勢部材としてのばね52と、弁座部材53と、を備える。
【0046】
ばね52は、コイルばねによって構成され、弁体51と弁体41の内部に形成されたばね受け部41fとの間で、圧縮された状態で保持される。
【0047】
弁座部材53は、弁体41内にねじ止めなどにより固定される。弁座部材53には、弁体51が離着座するシート部53aと、弁座部材53の外部と内部とを連通する複数の連通孔53bと、が設けられる。これにより、弁座部材53の内部(内部通路53c)は、連通孔53b及び連通孔41eを通じて通路15aに常時連通する。
【0048】
また、弁座部材53の内部には、ばね受け45が固定される。これにより、ばね42による付勢力が、ばね受け45及び弁座部材53を介して弁体41に作用し、弁体41のシート部41dは、弁座部14aに着座するように押し付けられる。
【0049】
次に、図2及び図3を参照しながら、パイロットチェック弁4a及びリリーフ弁5aの動作を具体的に説明する。
【0050】
まず、パイロットチェック弁4aの動作について説明する。
【0051】
パイロットチェック弁4aは、ばね42によって弁体41のシート部41dがハウジング10の弁座部14aに着座している。これにより、第1通路3a(通路15a)とタンクTとの連通が遮断される。パイロットチェック弁4aは、タンクTの圧力が第1通路3a(通路15a)内の作動油の圧力を上回る、言い換えると、第1通路3a(通路15a)内の作動油の圧力がタンク圧未満(負圧)になると、ばね42の付勢力に抗して弁体41が移動し、弁体41が開弁する。
【0052】
また、上述のように、弁装置100は、パイロット圧室60を備えている。パイロット圧室60に導かれた作動油の圧力は、弁体41の大径部41bに作用する。大径部41bに作用する作動油の圧力は、弁体41を開弁方向に付勢する。
【0053】
第2通路3bの圧力の上昇に伴ってパイロット圧室60内の圧力が上昇し、弁体41の大径部41bに作用する圧力による開弁方向への付勢力がばね42による閉弁方向への付勢力を上回ると、ばね42の付勢力に抗して弁体41が移動し、弁体41が開弁する。これにより、第1通路3a(通路15a)とタンクTとが連通し、第1通路3a(通路15a)からタンクTへ流体が流れることが許容される。
【0054】
次に、リリーフ弁5aの動作について説明する。
【0055】
上述のように、弁座部材53の内部(内部通路53c)は、連通孔53b及び連通孔41eを通じて第1通路3a(通路15a)内に常時連通している。第1通路3a(通路15a)内の作動油の圧力が上昇すると、連通孔53b、連通孔41e、及び内部通路53cを通じて、リリーフ弁5aの弁体51を開弁方向に付勢する付勢力が上昇する。そして、第1通路3a(通路15a)内の作動油の圧力が所定値P1以上になると、ばね52の付勢力に抗して弁体51が移動し、弁体51が開弁する。これにより、第1通路3a(通路15a)内の作動油は、連通孔53b、連通孔41e、内部通路53c、及びタンクポート13を通じて、タンクTに排出される。
【0056】
このように、弁装置100では、ハウジング10の収容孔14の内周面とパイロットチェック弁4a,4bの弁体41の外周面との間に、パイロット圧室60を設けている。これにより、パイロットチェック弁4a,4bの弁体41を強制的に開弁するためのピストンなどの部品が不要になるため、部品点数を削減できる。
【0057】
また、弁装置100では、リリーフ弁5a,5bをそれぞれパイロットチェック弁4a,4bの弁体41の内部に設けているので、装置の大型化を抑制できる。
【0058】
弁装置100では、収容孔14の内周面と弁体41の外周面との間を、Oリング43及びOリング44によって区画することで、パイロット圧室60を形成している。このように、弁装置100では、Oリング43,44を追加することでパイロット圧室60を形成しているので、部品点数の増加を抑制できる。また、パイロット圧室60に導かれる流体の漏れを抑制できる。
【0059】
なお、上記実施形態では、上記弁装置100は、パイロットチェック弁4a,4b及びリリーフ弁5a,5bを備えている場合を例に説明したが、これらはいずれか一方のみを備えた構成であってもよい。
【0060】
また、収容孔14の内周面と弁体41の外周面との間のシール性が確保できるのであれば、Oリング43,44を設けなくてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、弁装置100を閉回路で構成される油圧回路Sに適用した場合を例に説明したが、弁装置100は、どのような油圧回路に適用してもよい。
【0062】
上記各部品の形状などは、実施形態の一例を示すものであり、本発明の技術思想を逸脱しない限り、適宜変更することが可能である。
【0063】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0064】
弁装置100は、 第1ポート(タンクポート13)及び第2ポート(シリンダポート12a,12b)を有するハウジング10と、ハウジング10に形成された収容孔14と、収容孔14内に収容され、第1ポート(タンクポート13)から第2ポート(シリンダポート12a,12b)への流体の流れを許容するとともに、第2ポート(シリンダポート12a,12b)から第1ポート(タンクポート13)への流体の流れを阻止するパイロットチェック弁4a,4bと、を備え、パイロットチェック弁4a,4bの弁体41は、円筒状の本体部41aと、本体部41aより大径の大径部41bと、を有し、本体部41aと大径部41bと収容孔14の内周面によって区画されるパイロット圧室60にパイロットチェック弁4a,4bの弁体41を開弁するための流体が導かれる。
【0065】
この構成では、ハウジング10の収容孔14の内周面とパイロットチェック弁4a,4bの弁体41の外周面との間に、パイロット圧室60を設けている。これにより、パイロットチェック弁4a,4bの弁体41を強制的に開弁するためのピストンなどの部品が不要になるため、部品点数を削減できる。また、ピストンを設けるスペースが不要になるので、弁装置100を小型化できる。
【0066】
弁装置100は、本体部41aに取り付けられ、収容孔14と本体部41aとの間をシールする第1シール部材(Oリング43)と、大径部41bに取り付けられ、収容孔14と大径部41bとの間をシールする第2シール部材(Oリング44)と、を有し、パイロット圧室60は、第1シール部材(Oリング43)と第2シール部材(Oリング44)との間に形成される。
【0067】
この構成では、パイロット圧室60に導かれる流体の漏れを抑制できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0069】
100・・・弁装置、1・・・ポンプ、2・・・シリンダ、2d・・・ロッド側室、2e・・・反ロッド側室、3a・・・第1通路、3b・・・第2通路、4a・・・パイロットチェック弁、4b・・・パイロットチェック弁、5a・・・リリーフ弁、5b・・・リリーフ弁、6a・・・パイロット圧通路、6b・・・パイロット圧通路、10・・・ハウジング、11a・・・ポンプポート、11b・・・ポンプポート、12a・・・シリンダポート(第2ポート)、12b・・・シリンダポート(第2ポート)、13・・・タンクポート(第1ポート)、14・・・収容孔、41・・・弁体、41a・・・本体部、41b・・・大径部、43・・・Oリング(第1シール部材)、44・・・Oリング(第2シール部材)、51・・・弁体、60・・・パイロット圧室、S・・・油圧回路、T・・・タンク
図1
図2
図3