(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176027
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
H04N1/00 127B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094219
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴原 大賀
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA14
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE15
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】画像読取装置において排他制御を行う開始するタイミングをより適切に設定できるようにする。
【解決手段】画像読取装置は、端末装置においてWebブラウザによって表示される設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第1スキャン機能(ブラウザスキャン機能)と、Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)とを有する。画像読取装置は、第2スキャン機能よりも第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、Webブラウザによって設定画面が表示されたことに従って、第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、
スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、
前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、
を有する、前記処理手段と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記優先モードが設定されていない場合には、前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始し、
前記優先モードが設定されている場合には、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記設定画面の提供を受けるためのアクセスを前記Webブラウザから受け付けると、前記Webブラウザとの間でセッションを確立し、前記スキャン処理が完了するまで前記セッションを維持するように前記セッションを管理する管理手段を更に備え、
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている場合、前記セッションが確立されている状態において、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記優先モードが設定されていない場合、前記端末装置において前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されている状態で、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けることを可能にする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記優先モードが設定されていない場合、前記端末装置において前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されている状態で、他の端末装置で動作するWebブラウザに提供した設定画面を介してスキャン指示を受け付けることを可能にする、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
ユーザの操作に従って前記優先モードを設定する設定手段を更に備え、
前記設定手段は、前記Webブラウザに提供した操作画面を介して、前記優先モードを設定するための指示をユーザから受け付ける、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2スキャン機能は、前記画像読取装置の操作部を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を実行し、当該スキャン処理により得られた画像データを所定の送信先へ送信するスキャン機能を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第2スキャン機能は、前記画像読取装置と通信可能な外部装置から前記Webブラウザを用いずに送信されたスキャン指示に従って前記スキャン処理を実行するスキャン機能を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている場合、前記端末装置において前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されている状態で、他の端末装置で動作するWebブラウザに提供した設定画面を介してスキャン指示を受け付けないようにする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている状態で、前記画像読取装置の原稿台にセットされている原稿が取り除かれ、新たに原稿が前記原稿台にセットされると、前記優先モードを解除する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている状態で、前記画像読取装置の原稿台にセットされている原稿が取り除かれ、新たに原稿が前記原稿台にセットされると、前記スキャン指示を受け付けるまで一時的に前記優先モードを解除する、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、
スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、
前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、
を有する、前記処理手段と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第1モードと、
前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第2モードと、
のうちでユーザによって選択された制御モードで動作する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、
前記スキャン処理の実行に関するスキャン指示を受け付け可能な画面情報を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザから受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、
前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、
を有する、前記処理手段と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、設定されていない場合よりも前記Webブラウザに前記画面情報が表示されてから早いタイミングで前記排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
画像読取装置の制御方法であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理工程であって、スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能とにより、前記スキャン処理を実行可能である、前記処理工程と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御工程と、を含み、
前記制御工程では、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項15】
画像読取装置の制御方法であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理工程であって、スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能とにより、前記スキャン処理を実行可能である、前記処理工程と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御工程と、を含み、
前記制御工程では、
前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第1モードと、
前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第2モードと、
のうちでユーザによって選択された制御モードで動作する、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項16】
画像読取装置の制御方法であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理工程であって、
前記スキャン処理の実行に関するスキャン指示を受け付け可能な画面情報を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザから受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能とにより、前記スキャン処理を実行可能である、前記処理工程と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御工程と、を含み、
前記制御工程では、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、設定されていない場合よりも前記Webブラウザに前記画面情報が表示されてから早いタイミングで前記排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項17】
画像読取装置のコンピュータに、請求項14乃至16のいずれか一項に記載の画像読取装置の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿の画像を読み取って読取画像の画像データを生成する画像読取装置は、PULL機能及びPUSH機能といったスキャン機能を備えうる。PULL機能は、PCから送信されたスキャン指示に従ってスキャン処理を実行する機能である。PUSH機能は、画像読取装置本体の操作部を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を実行し、PCを介さずに、得られた画像データを所定の送信先へ直接送信する機能である。また、外部装置からWebブラウザによるアクセスを可能にするためにWebサーバが実装された画像読取装置は、Webブラウザに提供した操作画面を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を実行するブラウザスキャン機能を更に備えうる。
【0003】
上述の画像読取装置では、あるユーザからスキャン指示を受け付けてからスキャン処理が完了するまでの間、他のユーザからスキャン指示を受け付けないようにする排他制御が行われる。ブラウザスキャン機能を備える画像読取装置において排他制御を行う場合に、例えば、あるユーザが原稿をセットし、ブラウザ画面を用いてスキャン指示を行って排他制御が実行される前に、別のユーザがPULLスキャン機能のためのスキャン指示を行うことがありうる。その結果、セットされた原稿についての読取画像の画像データが、別のユーザの端末に保存される問題が生じる。
【0004】
このような問題を避けるために、スキャン指示を受け付けるよりも早くに排他制御を開始することが行われうる。例えば特許文献1には、スキャナ装置が、外部装置からスキャン予約指示を受信した場合に排他制御を開始するのではなく、ユーザがスキャナ装置を操作して排他指示を行った場合に排他制御を開始する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、画像読取装置において排他制御を開始するタイミングを変更することで、あるユーザがセットした原稿を読み取って得られた読取画像の画像データが、別のユーザの端末に保存されることを防止できる。しかし、例えば、スキャン指示用のブラウザ画面が表示された状態で原稿をスキャナ装置にセットした場合に、スキャナ装置を操作して排他指示を行うまでの間に、別のユーザがPULLスキャン機能でのスキャン指示を行うことと、セットされた原稿についての読取画像の画像データが、別のユーザの端末に保存される問題が生じる。
【0007】
本発明は、画像読取装置において排他制御を行う開始するタイミングをより適切に設定できるようにする技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る画像読取装置は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、を有する、前記処理手段と、前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する、ことを特徴とする。
【0009】
本開示の他の一態様に係る画像読取装置は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、を有する、前記処理手段と、前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第1モードと、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第2モードと、のうちでユーザによって選択された制御モードで動作する、ことを特徴とする。
【0010】
本開示の更に他の一態様に係る画像読取装置は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、前記スキャン処理の実行に関するスキャン指示を受け付け可能な画面情報を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザから受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、 前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、を有する、前記処理手段と、前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、設定されていない場合よりも前記Webブラウザに前記画面情報が表示されてから早いタイミングで前記排他制御を開始する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像読取装置において排他制御を開始するタイミングをより適切に設定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図。
【
図2】画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図。
【
図3】画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図。
【
図5】画像読取装置100の機能構成例を示すブロック図。
【
図6】ブラウザスキャン機能において使用される操作画面の例を示す図。
【
図7】ブラウザスキャン機能によるスキャン処理のシーケンスの例を示すシーケンス図。
【
図8】ブラウザスキャン機能の使用時の排他制御の例を示す図。
【
図9】PUSHスキャン機能において使用される操作画面の例を示す。
【
図10】排他制御の実行中に表示されるエラー画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一又は同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
まず、本開示のいくつかの実施形態に係る画像読取装置(原稿搬送装置)の構成例について説明する。
【0015】
<画像読取装置>
図1は、本実施形態に係る画像読取装置100の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取装置100は、読取対象の原稿101が積載される原稿台102を備える。原稿台102上の原稿は、原稿検出センサ110によって検出される。原稿台102上の原稿は、給紙ローラ106により1枚ずつ分離されて搬送路108に送り出される。搬送路108に送り出され、搬送路108を搬送される原稿101は、レジストセンサ109によって検出される。レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、画像読取ユニット104は、搬送路108を搬送中の原稿101の画像(原稿上に形成された画像)の読み取りを開始する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置100は、搬送路108の両側に2つの画像読取ユニット104を備える。一方の画像読取ユニット104が、原稿101の第一面(表面)の画像を読み取るように構成され、他方の画像読取ユニット104が、原稿101の第二面(裏面)の画像を読み取るように構成される。搬送路108を介して各画像読取ユニット104に対向する位置には、背景板105が配置されている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。なお、画像読取装置100は、1つの画像読取ユニット104のみを備えるように構成されてもよい。
【0017】
画像読取ユニット104による画像の読み取りが行われた原稿101は、排出部103に向けて搬送ローラ107によって搬送路108を搬送され、最終的に排出部103に排出されて排出部103において積載される。排出部103に設けられた原稿検出センサ111は、排出部103に排出されて積載されている原稿101の検出に用いられる。また、搬送路108の排出口付近に設けられた原稿検出センサ112は、搬送路108に残っている原稿101の検出に用いられる。原稿検出センサ111及び112を用いることで、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出可能である。
【0018】
画像読取装置100は更に、搬送路108に沿って給紙ローラ106とレジストセンサ109との間の位置に、重送検出センサ120を備える。重送検出センサ120は、複数枚の原稿が重なった状態(静電気等により複数枚の原稿が密着した状態)で搬送路108を搬送される重送の検出に用いられる。重送検出センサ120は、例えば、超音波の発信部及び受信部を備える超音波センサで構成される。超音波センサを用いる場合、搬送路108上の原稿(原稿シート)を通過する際の超音波の減衰量に基づいて重送を検出可能である。
【0019】
図2は、画像読取ユニット104の概略的な構成例を示す断面図である。画像読取ユニット104は、筐体1041と、搬送路108に面して設けられたガラス板1042とを備える。筐体1041及びガラス板1042によって画像読取ユニット104の内部が密封されている。画像読取ユニット104の内部には、イメージセンサ1043と、一対の発光部1044a及び1044bと、が設けられている。
【0020】
イメージセンサ1043は、ラインイメージセンサで構成され、例えば、CCDラインセンサ又はコンタクトイメージセンサで構成される。原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿って配置されている。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。
【0021】
発光部1044aは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の上流側に配置される光源を有する。発光部1044bは、イメージセンサ1043に対して原稿101の搬送方向の下流側に配置される光源を有する。イメージセンサ1043は、発光部1044aと発光部1044bとの間に挟まれた位置に配置される。発光部1044a及び1044bは、それぞれ、メージセンサ1043と平行に、主走査方向に沿って配置され、複数のLEDを含むLEDアレイで構成される。
図2に示すように、イメージセンサ1043は、発光部1044a及び1044bが原稿101に照射した光の反射光を受光することで、原稿101上の画像を読み取る。
【0022】
図3は、本実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成例を示すブロック図である。画像読取装置100の制御部10は、CPU11、RAM(ランダムアクセスメモリ)12、記憶部13、入出力I/F(インタフェース)14及び通信I/F15を備える。
【0023】
CPU11は、1つ以上のプロセッサで構成される。CPU11は、記憶部13に格納されているプログラムをRAM12に読み出して実行することで、画像読取装置100全体の制御を行う。RAM12は、CPU11による作業領域として使用される。記憶部13は、制御部10によって実行される各種プログラム(例えば、制御プログラム)、及び制御部10による処理に用いられる各種情報又はデータを格納するように構成される。例えば、イメージセンサ1043による原稿の画像の読み取りによって得られた画像データが記憶部13に保存される。記憶部13は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)及びSSD(ソリッドステートドライブ)等の1つ以上の記憶装置(メモリ)で構成される。
【0024】
入出力I/F14には、駆動回路24及び画像処理回路26が接続される。駆動回路24は、画像読取ユニット104の発光部1044a及び1044bを駆動する。画像処理回路26は、ADC25を介してイメージセンサ1043と接続される。イメージセンサ1043は、搬送中の原稿101の画像を主走査方向の1ライン単位で読み取って画像信号を出力する。ADC(アナログ/デジタル変換器)25は、イメージセンサ1043から出力されるアナログ形式の画像信号をデジタル形式の画像データに変換して出力する。画像処理回路26は、ADC25から出力された画像データに対して、シェーディング補正等の画像処理を行う。CPU11は、画像処理回路26から出力される画像データを取得する。
【0025】
通信I/F15は、外部装置との通信を行うためのインタフェースであり、有線通信インタフェース、無線LAN通信若しくはBluetooth(登録商標)通信等のための無線通信インタフェース、USBインタフェース、又はSCSIインタフェース等で構成されうる。本実施形態では一例として、通信I/F15は、有線LAN(ローカルエリアネットワーク)に接続された有線通信インタフェースであるものとする。なお、画像読取装置100は、個別の外部装置又はネットワークと接続される複数の通信I/F15を備えてもよい。例えば、画像読取装置100は、複数の通信I/F15として、ある外部装置と直接接続されたUSB又はSCSIインタフェースと、有線LANと接続された有線通信インタフェースとを備えてもよい。
【0026】
通信I/F15は、任意の通信プロトコルに従って外部装置と通信可能であり、任意の通信経路を介して外部装置と通信可能である。複数の外部装置と接続される場合、外部装置ごとに異なる通信プロトコル及び通信経路が用いられてもよい。例えば、通信I/F15は、ある端末とHTTPプロトコルで通信し、別の端末とFTPプロトコルで通信するように構成されてもよい。本実施形態の画像読取装置100は、HTTPプロトコルに従って外部装置と通信可能なWebサーバ500(
図5)を有する。このため、外部装置は、当該外部装置上で動作するWebブラウザにより、画像読取装置100のWebサーバ500にアクセス可能である。
【0027】
画像読取装置100は、制御部10に接続された操作部130を備える。操作部130は、入力部及び出力部を含む。入力部は、タッチパネル及びハードキー等を備え、ユーザからの各種操作の受け付けを行う。出力部(表示部)は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、ユーザに対して各種情報の出力(表示)を行う。入力部及び出力部は、タッチパネルディスプレイのように、1つのモジュールとして実現されてもよい。
【0028】
<画像読取処理>
画像読取装置100において、制御部10(CPU11)は、例えば、操作部130の操作により、又は外部装置から原稿の読み取りの開始指示(スキャン指示)を受けると、原稿台102にセットされた原稿101に対する画像読取処理を開始する。画像読取処理において、CPU11は、まず給紙ローラ106を駆動して、原稿台102からの原稿101の搬送を開始する。原稿台102に複数枚の原稿101がセットされた場合、1枚ずつ原稿が分離されて搬送路108を搬送される。CPU11は、その後、レジストセンサ109によって原稿101が検出されると、当該検出のタイミングを基準として、原稿101の画像の読み取りのための画像読取ユニット104の制御を行う。
【0029】
具体的には、CPU11は、発光部1044a及び発光部1044bの発光を制御し、イメージセンサ1043を駆動することで、原稿101の画像の読み取りを行う。画像読取ユニット104は、イメージセンサ1043によって原稿101の画像を読み取って読取画像の画像データを生成し、生成した画像データを制御部10へ出力する。制御部10は、得られた画像データを画像読取装置100のRAM12又は記憶部13に一時的に保存する。なお、画像データは、画像読取装置100と通信可能な外部装置(サーバ装置)に保存されてもよい。
【0030】
<画像読取システムの構成>
図4は、本実施形態に係る画像読取システムの構成例を示す。画像読取システムは、画像読取装置100と、ネットワークを介して画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末)200及び300とを含む。当該ネットワークは、有線LAN及び無線LAN等を含む。本実施形態では、画像読取装置100の通信I/F15は、ネットワークを介して端末200及び端末300と通信可能に接続される。
【0031】
端末200及び300は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)又はモバイル端末等の情報処理装置で構成される。例えば、端末200又は300が、スマートフォン又はタブレット端末等のモバイル端末で構成される場合、当該端末は、無線LAN通信用の無線アクセスポイントに無線接続し、当該無線アクセスポイントを介して有線LANに接続することで、画像読取装置100と通信してもよい。
【0032】
本実施形態において、端末200は、画像読取装置100を操作するユーザ(操作ユーザ)によって使用される端末装置である。なお、端末300は、この操作ユーザとは異なるユーザが操作する端末の例を示しており、その構成は端末200と同様である。端末200にはWebブラウザ210が予めインストールされている。操作ユーザは、端末200上で動作するWebブラウザ210を介して画像読取装置100を操作する。端末200は、操作ユーザの操作に従って、Webブラウザ210により画像読取装置100のWebサーバ500(
図5参照)にアクセスする。これにより、Webブラウザ210は、画像読取装置100の操作用の操作画面に対応する画面データとして、HTML(Hyper Text Markup Language)データをWebサーバ500から取得し、取得したHTMLデータに基づいて操作画面を表示する。端末200(Webブラウザ210)は、表示した操作画面を介して操作ユーザから原稿の読み取りの開始指示(スキャン指示)を受け付けると、当該スキャン指示を画像読取装置100へ送信する。
【0033】
画像読取装置100の制御部10(CPU11)は、端末200から受信したスキャン指示に従って、上述のように画像読取処理を行う。CPU11は、原稿101の搬送を開始して当該原稿の読み取りを行い、当該読み取りにより得られた読取画像の画像データを、RAM12又は記憶部13に一時的に保存する。保存された画像データは、その後、ネットワークを介して端末200、又はサーバ装置等の外部装置へ送信される。
【0034】
<画像読取装置の機能構成>
図5は、画像読取装置100の機能構成例(ソフトウェア構成例)を示すブロック図である。画像読取装置100は、OS上で動作するアプリケーションとしてWebサーバ500を有する。画像読取装置100の起動時に、CPU11は、OSを起動し、その後にWebサーバ500を起動する。Webサーバ500は、CPU11上に常駐するプロセスとして動作し、ネットワークを介してリクエスト(要求)を受信するまで待機する。リクエストの受信に応じて、Webサーバ500は、当該リクエストに応じたレスポンス(応答)を返す。なお、Webサーバ500上には、外部装置のWebブラウザと通信するためのWebサービスタスクが常駐し、Webブラウザからのリクエストの受け付けを行う。
【0035】
画像読取装置100は、Webサーバ500上で動作するアプリケーションとして、UI表示アプリケーション(UI表示アプリ)501、及びスキャンアプリケーション(スキャンアプリ)502を有する。UI表示アプリ501は、Webサーバ500の起動に応じて起動され、操作部130における画面の表示を制御する。スキャンアプリ502は、Webサーバ500が画像読取処理の開始指示(スキャン指示)を受け付けると、Webサーバ500によって起動される。スキャンアプリ502は、受け付けたスキャン指示に従って、スキャナドライバ(図示せず)を介して画像読取ユニット104を制御することで画像読取処理(スキャン処理)を行う。
【0036】
なお、本実施形態において、スキャンアプリ502は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段の一例として機能する。スキャンアプリ502は、スキャン機能として、後述するPUSHスキャン機能、PULLスキャン機能、及びブラウザスキャン機能を有する。ブラウザスキャン機能は、スキャン設定のための設定画面であって、スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末200など)で動作するWebブラウザに提供し、当該Webブラウザによって表示される設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第1スキャン機能の一例である。また、PUSHスキャン機能及びPULLスキャン機能は、Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第2スキャン機能の一例である。
【0037】
<セッションID(SID)>
セッションとは、一般に、通信の開始から終了までを指す。本明細書において、セッションは、端末装置上で動作するWebブラウザからWebサーバ500への接続が行われた時点でセッションが開始し、Webサーバ500から接続が切断されると終了する。このようなセッションの開始及び終了を管理することはセッション管理と称される。
【0038】
Webサーバ500は、レスポンス(応答)を送信する際に、アクセス元のWebブラウザの管理(例えば、識別状態及び処理の状態の管理)のために、セッションID(SID)を生成する。SIDは、通信中のWebブラウザが使用するセッションを識別するための識別子(ID)である。SIDは、複数のユーザ(端末装置)に対して個別に割り当てられる。SIDを割り当てられているユーザ(端末装置)は、画像読取装置100におけるスキャン操作を許可されたユーザとなる。
【0039】
<画像読取装置100のスキャン機能>
本実施形態の画像読取装置100は、本明細書において一例としてPULLスキャン機能、PUSHスキャン機能、及びブラウザスキャン機能と称される、3つのスキャン機能を備える。ここでは、画像読取装置100が有する各スキャン機能について説明する。
【0040】
●PULLスキャン機能
PULLスキャン機能は、PC等の外部装置からWebブラウザを用いずに送信されたスキャン指示(読取指示)に従ってスキャン処理を実行することで、読取画像の画像データを生成する機能である。例えば外部装置に予めインストールされたスキャンアプリケーションやスキャナドライバーから送信されるスキャン指示である。スキャン処理により得られた読取画像の画像データは、スキャン指示の送信元の外部装置へ送信される。
【0041】
●PUSHスキャン機能
PUSHスキャン機能は、画像読取装置100本体の操作部130(操作パネル)を介して受け付けたスキャン指示(読取指示)に従ってスキャン処理を実行し、得られた読取画像の画像データを所定の送信先へ直接送信する機能である。PUSHスキャン機能では、PC等の外部装置を介さずに、読取画像の画像データに対して画像読取装置100の内部で画像処理を行い、所定の形式(PDF形式等)のファイルを生成し、送信先(ユーザが指定した共有フォルダ等)へファイルを送信する。
【0042】
図9は、画像読取装置100の操作部130(表示部)に表示される、PUSHスキャン機能において使用される操作画面の例を示す。画像読取装置100の起動後に、UI表示アプリ501は、
図9(A)に示すホーム画面900を操作部130に表示する。ホーム画面900においてユーザによってスキャンボタン901が押されると、UI表示アプリ501は、
図9(B)に示す、スキャン設定用の設定画面910を操作部130に表示する。設定画面910では、一例として、解像度、原稿サイズ(A4、A5などの定型または自動検知)、カラーモード(カラー、グレー又は白黒)、読取面(片面又は両面)の各設定項目についての設定が可能である。
【0043】
ユーザが、設定画面910を用いて各設定項目について設定を入力した後に開始ボタン911を押すと、UI表示アプリ501からスキャンアプリ502へ、設定画面910におけるスキャン設定の内容及びスキャン指示を通知する。これにより、スキャンアプリ502が、スキャン設定に従ってスキャン処理の実行を開始する。
【0044】
●ブラウザスキャン機能
ブラウザスキャン機能は、スキャン設定のための設定画面であって、スキャン処理の開始を指示するスキャン指示(読取指示)を受け付け可能な設定画面を、画像読取装置100と通信可能な端末装置(端末200等)で動作するWebブラウザに提供し、当該Webブラウザによって表示される設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う機能である。即ち、ブラウザスキャン機能では、端末装置において動作するWebブラウザから送信されたスキャン指示に従ってスキャン処理を実行することで、読取画像の画像データを生成する。スキャン処理により得られた読取画像の画像データは、例えば、端末装置のWebブラウザからのリクエストに応じて当該Webブラウザへ送信されることで、端末装置へ送信される。
【0045】
ここで、
図6を参照して、ブラウザスキャン機能において使用される操作画面の例について説明する。これらの操作画面は、画像読取装置100のWebサーバ500から端末装置(以下では端末200とする)のWebブラウザへ送信される画面データ(例えば、HTMLデータ)に基づいて当該端末装置において表示される。
図6(A)~(D)は、それぞれ、端末200においてWebブラウザ210によってブラウザ画面として表示される操作画面の例として、ホーム画面600、スキャン設定画面610、画像確認画面620、及び機能設定画面630を示している。
【0046】
図6(A)に示すホーム画面600は、端末200のWebブラウザ210によるWebサーバ500へのアクセスに応じて端末200において表示される。ホーム画面600は、スキャン設定画面(
図6(B))に表示画面を遷移させるためのスキャン開始ボタン601と、画像読取装置100の機能設定画面(
図6(D))に表示画面を遷移させるための設定ボタン602とを含む。
【0047】
図6(B)に示すスキャン設定画面610は、スキャン設定の入力を受け付けるための操作画面である。スキャン設定画面610では、一例として、カラーモード(カラー、グレー又は白黒)、原稿(用紙)サイズ、解像度、読取面(片面又は両面)の各設定項目、あるいは重送検知を行うか否か、画像の傾き補正を行うか否かの設定項目、出力ファイルの形式である出力モード(pdf、jpgなど)の設定項目についての設定が可能である。ユーザが、スキャン設定画面610を用いて各設定項目について設定を入力した後にスキャンボタン611を押すと、端末200(Webブラウザ210)は、スキャン設定及びスキャン指示を画像読取装置100へ送信することで、画像読取装置100にスキャン処理を実行させる。
【0048】
図6(C)は、読取画像(スキャン画像)の確認のための画像確認画面620を示す。画像確認画面620は、表示エリア621と保存ボタン622と継続スキャンボタン623とを含む。Webブラウザ210は、ユーザによる読取画像の確認のために表示エリア621に読取画像のプレビュー画像を表示する。ここでは読取画像のサムネイルを表示しており、読取画像はまだ画像読取装置100内にある。保存ボタン622は、スキャン処理により得られた読取画像の画像データを、ネットワークを介して画像読取装置100から取得(ダウンロード)して端末200内に保存することを指示するために用いられる。継続スキャンボタン623は、スキャン処理により得られた読取画像の画像データに追加する新たな読取画像を取得するスキャン処理を実行指示するために用いられる。
【0049】
<ブラウザスキャン機能の使用時の排他制御>
図8は、画像読取装置100におけるブラウザスキャン機能の使用時の排他制御の例を示す。画像読取装置100のCPU11は、いずれかのスキャン機能(PULLスキャン機能、PUSHスキャン機能又はブラウザスキャン機能)のためのスキャン指示をユーザから受け付けると、スキャンアプリ502によってスキャン処理が行われている間、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う。
【0050】
例えば、CPU11は、端末200のWebブラウザからブラウザスキャン機能のためのスキャン指示を受け付けてスキャン処理を行う際に、PULLスキャン及びPUSHスキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う。また、CPU11は、PULLスキャン及びPUSHスキャン機能(第2スキャン機能)のためのスキャン指示以外に、他の端末装置で動作するWebブラウザに提供した設定画面を介するスキャン機能(第1スキャン機能)のためのスキャン指示も受け付けないようにする。
【0051】
本実施形態において、排他制御の実行状態は、RAM12に保持されている、排他制御の実行状態を示す排他フラグを用いて管理される。CPU11は、排他制御の実行状態を示す排他フラグをONに設定することで、排他制御の実行を開始する。排他フラグは、ONに設定されている場合には、排他制御が実行中である状態を示し、OFFに設定されている場合には、排他制御が実行されていない状態を示す。なお、ここでは排他フラグは予めOFFに設定されているものとする。
【0052】
本実施形態の画像読取装置100は、ブラウザスキャン機能が使用される場合の排他制御用の制御モードとして、ノーマルモード(優先モード:無効)及び優先モード(優先モード:有効)を有する。ノーマルモードと優先モードでは、排他制御を開始するタイミングが異なる。ノーマルモードと優先モードとの間の制御モードの設定の切り替えにより、排他制御を開始するタイミングが切り替えられる。優先モードは、Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)よりもブラウザ介する第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先するために設定される。
【0053】
ノーマルモードは、スキャン処理を開始する際に排他制御を開始する制御モードである。ノーマルモードが設定されている場合、画像読取装置100は、スキャン処理が行われている間に、上述の排他制御を行う。このように、ノーマルモードは、第1スキャン機能(ブラウザスキャン機能)によるスキャン処理が開始されたことに従って、第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する第1モードの一例である。
【0054】
優先モードは、スキャン処理を開始する際ではなく、端末装置におけるブラウザスキャン機能用の操作画面の表示がスキャン設定画面(例:スキャン設定画面610)に遷移したら、排他制御を開始する制御モードである。優先モードが設定されている場合、画像読取装置100は、端末装置においてスキャン設定画面の表示中、及びスキャン設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理が行われている間に、上述の排他制御を行う。この排他制御により、スキャン設定画面の表示中には、他のスキャン機能についてのスキャン指示の受け付けよりも、ブラウザスキャン機能についてのスキャン指示の受け付けが優先される。このように、優先モードは、Webブラウザ210によって設定画面が表示されたことに従って、第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する第2モードの一例である。
【0055】
図8(A)及び(B)は、ブラウザスキャン機能用の操作画面の表示状態(Webブラウザの表示画面)に応じた排他制御(ブラウザスキャン機能以外の各スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けの可否)の例を示している。
図8(A)は、制御モードとしてノーマルモードが設定されている(優先モードが無効化されている)場合を示し、
図8(B)は、制御モードとして優先モードが設定されている(優先モードが有効化されている)場合を示す。
【0056】
図8(A)に示すように、ノーマルモードが設定されている場合、端末200においてホーム画面(例:ホーム画面600)又はスキャン設定画面(例:スキャン設定画面610)が表示されている状態において、PULL及びPUSHスキャン機能のためのスキャン指示を受け付ける制御が行われる。一方、別の端末のWebブラウザからのブラウザスキャン機能のためのスキャン指示については、端末200においてホーム画面が表示されている状態においてのみ受け付ける制御が行われる。
【0057】
図8(B)に示すように、優先モードが設定されている場合、端末200においてホーム画面が表示されている状態においてのみ、(当該ブラウザスキャン機能以外の)他のスキャン機能のためのスキャン指示を受け付ける制御が行われる。このように、優先モードが設定されている場合においては、端末200においてブラウザスキャン機能のためのスキャン設定画面が表示されている状態では、ノーマルモードと異なり、当該ブラウザスキャン以外のスキャン指示を受け付けない制御が行われる。
【0058】
<優先モードの設定操作>
図6(D)は、端末200においてWebブラウザ210によって表示される機能設定画面630である。上述のように、ホーム画面600において設定ボタン602が押されると、Webブラウザ210は、表示画面を機能設定画面630に遷移させる。
【0059】
機能設定画面630は、優先モードの有効/無効を切り替えるためのトグルスイッチ631と、設定を保存するためのボタン632とを含む。例えば、ユーザが、トグルスイッチ631を用いて優先モードを有効に設定し、ボタン632を押すと、Webブラウザ210は、設定内容を示す設定データを画像読取装置100へ送信する。画像読取装置100は、Webブラウザ210から受信した設定データを記憶部13に保存することで、優先モードを有効化する(制御モードを優先モードに設定する)。Webブラウザ210は、設定データの送信後、表示画面をホーム画面600に戻す。
【0060】
なお、本例では、端末200においてWebブラウザ210によって表示される操作画面(設定画面)を用いた優先モードの設定について説明しているが、画像読取装置100の操作部130に
図6(D)と同様の設定画面を操作部130に表示して、優先モードの設定をユーザから受け付けてもよい。また、画像読取装置100に設けたハードキーなどから優先モードの設定を受け付け可能にしてもよい。
【0061】
<ブラウザスキャン機能によるスキャン処理>
図7は、画像読取装置100における、ブラウザスキャン機能によるスキャン処理のシーケンスの例を示すシーケンス図である。
【0062】
端末200のユーザは、ブラウザスキャン機能によるスキャン処理を画像読取装置100に実行させるために、ネットワークを介して、端末200のWebブラウザ210による画像読取装置100のWebサーバ500へのアクセスを行う。ユーザはまず、端末200を操作してWebブラウザ210を起動する。
【0063】
S701で、端末200のユーザが、Webブラウザ210によって端末200の表示部に表示されるブラウザ画面のURL入力欄に、画像読取装置100上で動作するWebサーバ500のIPアドレスを入力する。これにより、Webブラウザ210は、Webサーバ500のIPアドレスを含むURLに対してHTTPリクエスト(要求)を送信する。
【0064】
Webサーバ500は、Webブラウザ210からHTTPリクエストを受信すると、当該HTTPリクエストに対するレスポンス(応答)として、ホーム画面600の画面データ(HTMLデータ)をWebブラウザ210へ送信する。これにより、Webブラウザ210は、ホーム画面600をブラウザ画面として表示する。
【0065】
次にS702で、端末200のユーザが、ホーム画面600のボタン601を押すことで、スキャン設定画面610の表示指示を入力すると、Webブラウザ210はまず、SID(セッションID)の発行リクエストを、Webサーバ500へ送信する。
【0066】
Webサーバ500は、受信したリクエストに従って、SIDをWebブラウザ210に対して発行し、発行したSIDをセッション管理テーブルに格納する。セッション管理テーブルは、例えば、RAM12又は記憶部13に保持されている。Webサーバ500は、発行したSID(
図7の例では「AAA」)を、受信したリクエストに対するレスポンスとしてWebブラウザ210へ送信する。ただし、Webサーバ500は、他の端末(他のWebブラウザ)に対してSIDを既に発行済みの状態ある場合、エラー情報を含むレスポンスをWebブラウザ210へ送信する。
【0067】
このように、Webサーバ500は、設定画面(スキャン設定画面610)の提供を受けるためのアクセスをWebブラウザ210から受け付けると、Webブラウザ210との間でセッションを確立し、当該セッションに対応するSIDをセッション管理テーブルに格納して管理する。Webサーバ500は、Webブラウザ210との間のセッションをスキャン処理によって得られた画像データの送信が完了するまで維持するように、当該セッションを管理(SIDを管理)する。
【0068】
ここで、画像読取装置100は、Webブラウザから(SIDの発行リクエスト以外の)リクエストを受信すると、SIDの有効性の確認処理を含む、リクエストに従った処理(リクエスト処理)を、Webサーバ500上のWebサービスタスクにより行う。
【0069】
まず、画像読取装置100は、リクエスト内にSIDが付加されているか否かを確認する。画像読取装置100は、受信したリクエスト内にSIDが含まれていない場合、SIDが無いことを示すエラー情報を表示するためのレスポンス(応答)を、Webブラウザへ送信し、Webサーバ500上のWebサービスタスクにおけるリクエスト処理を終了する。
【0070】
一方、画像読取装置100は、受信したリクエスト内にSIDが含まれている場合、当該SIDがセッション管理テーブルに格納されているか否かを確認する。画像読取装置100は、セッション管理テーブルにSIDが格納されていない場合、SIDが無いことを示すエラー情報を表示するためのレスポンスを送信し、Webサービスタスクにおけるリクエスト処理を終了する。画像読取装置100は、受信したリクエスト内に含まれているSIDが、セッション管理テーブルに格納されている場合、受信したリクエストに対するレスポンスをWebブラウザへ送信する。
【0071】
ただし、本実施形態では、セッション管理テーブルに格納されるSIDの上限数が1である場合を想定する。この場合、画像読取装置100は、上述のように、別のブラウザに対して発行されたSIDがセッション管理テーブルに既に格納されている場合に、受信したリクエストに対して、エラーを表示するためのレスポンスを送信する。その後、画像読取装置100は、Webサービスタスクにおけるリクエスト処理を終了する。
【0072】
S702においてWebサーバ500から、発行済みのSIDを含むレスポンスが送信されると、Webブラウザ210は、当該レスポンスを受信する。当該レスポンスの受信に応じて、S703で、Webブラウザ210は、スキャン設定画面610を求めるリクエストを、Webサーバ500へ送信する。
【0073】
S703におけるリクエストを受信すると、Webサーバ500は、S704で、記憶部13に保存されている設定データを参照し、優先モードが有効である(制御モードとして優先モードが設定されている)か否かを判定する。Webサーバ500は、優先モードが有効である(制御モードとして優先モードが設定されている)場合には、S705において上述の排他制御の実行を開始し、S706へ処理を進める。Webサーバ500(CPU11)は、RAM12に保持されている、排他制御の実行状態を示す排他フラグをONに設定することで、排他制御の実行を開始する。一方、Webサーバ500は、優先モードが無効である(制御モードとしてノーマルモードが設定されている)場合、排他制御の実行を開始せずにS706へ処理を進める。
【0074】
S706で、Webサーバ500は、スキャン設定画面610を求めるリクエストに対するレスポンスとして、スキャン設定画面610の画面データをWebブラウザ210へ送信する。これにより、Webブラウザ210は、スキャン設定画面610をブラウザ画面として表示する。
【0075】
次にS707で、端末200のユーザが、スキャン設定画面610のスキャンボタン611を押すことで、スキャン指示を入力する。これに応じて、Webブラウザ210は、スキャン処理の開始を求めるリクエスト(スキャン処理の開始を指示するスキャン指示)を、Webサーバ500へ送信する。
【0076】
Webサーバ500は、上記リクエストを受信すると、S708で、スキャンアプリ502を起動し、Webブラウザ210からのスキャン指示で指定されたスキャン設定に従ってスキャン処理を開始するよう、スキャンアプリ502に指示する。
【0077】
起動されたスキャンアプリ502は、S709で、記憶部13に保存されている設定データを参照し、優先モードが有効である(制御モードとして優先モードが設定されている)か否かを判定する。スキャンアプリ502は、優先モードが無効である(制御モードとしてノーマルモードが設定されている)場合には、S710において上述の排他制御の実行を開始し、S711へ処理を進める。スキャンアプリ502(CPU11)は、RAM12に保持されている、排他制御の実行状態を示す排他フラグをONに設定することで、排他制御の実行を開始する。一方、スキャンアプリ502は、優先モードが有効である(制御モードとして優先モードが設定されている)場合、すでに排他制御が実行されているためそのままS711へ処理を進める。S711で、スキャンアプリ502は、Webブラウザ210から受信したスキャン設定に従ってスキャン処理を行う。
【0078】
スキャンアプリ502によってスキャン処理が正常に開始されると、Webサーバ500は、S712で、スキャン処理が開始されたことを示す情報(result:0)を、S707において受信したリクエストに対するレスポンスとして、Webブラウザ210へ送信する。
【0079】
Webブラウザ210は、スキャン処理が開始されたことを示す情報を含むレスポンスを受信した後、S713で、スキャン処理のステータス(実行状況)を確認するためのステータス取得リクエストを、Webサーバ500へ送信する。Webサーバ500は、スキャン処理が実行中である場合、スキャン処理が実行中であることを示すステータス情報(status:1)を含むレスポンスを、Webブラウザ210へ送信する。なお、ステータス取得リクエストは、例えば所定の時間間隔で、繰り返し送信される。
【0080】
スキャンアプリ502は、スキャン処理が完了すると、S714で、スキャン処理が完了したことを示す通知を、Webサーバ500へ送信する。その後、S715で、Webサーバ500は、Webブラウザ210からS713と同様のステータス取得リクエストを受信すると、スキャン処理が完了したことを示すステータス情報(status:0)を含むレスポンスを、Webブラウザ210へ送信する。
【0081】
スキャン処理が完了したことを示すステータス情報を含むレスポンスを受信すると、S716で、Webブラウザ210は、スキャン処理により得られた読取画像の画像データを取得するためのリクエストを、Webサーバ500へ送信する。Webサーバ500は、受信したリクエストに対するレスポンスとして、画像確認画面620の画面データをWebブラウザ210へ送信する。これにより、Webブラウザ210は、画像確認画面620をブラウザ画面として表示する。
【0082】
次にS717で、端末200のユーザが、画像確認画面620の保存ボタン622を押すことで、保存指示を入力する。これに応じて、Webブラウザ210は、S718で、スキャン処理により得られた読取画像の画像データのダウンロードを求めるリクエストを、Webサーバ500へ送信する。Webサーバ500は、受信したリクエストに応じてWebブラウザ210への画像データの送信を開始する。その際、Webサーバ500は、画像データ(読取画像ファイル)の送信の開始を示す通知を、Webブラウザ210へ送信する。なお、画像確認画面620において継続スキャンボタン623が押されると、Webブラウザ210は、S707に処理を戻し、スキャン処理の開始を求めるリクエストを、再びWebサーバ500へ送信する。
【0083】
その後、S719で、Webブラウザ210は、画像データの送信のステータスを確認するためのステータス取得リクエストを、Webサーバ500へ送信する。Webサーバ500は、画像データの送信が実行中である場合、そのことを示す通知を含むレスポンスを、Webブラウザ210へ送信する。なお、ステータス取得リクエストは、例えば所定の時間間隔で、繰り返し送信される。
【0084】
Webサーバ500は、Webブラウザ210への画像データの送信が完了すると、S720で、Webブラウザ210からのステータス取得リクエストに対するレスポンスとして、画像データの送信の完了を示す通知を含むレスポンスを送信する。更に、S721で、Webサーバ500は、(S705又はS710において開始された)排他制御の実行を終了する。Webサーバ500(CPU11)は、RAM12に保持されている、排他制御の実行状態を示す排他フラグをOFFに設定することで、排他制御の実行を終了する。
【0085】
Webブラウザ210への画像データの送信が完了すると、Webサーバ500とWebブラウザ210との間の通信が終了する。これに応じて、Webサーバ500は、Webブラウザ210とのセッションを切断し、セッション管理テーブルに格納されているSIDを削除する。このように、CPU11は、優先モードが設定されている場合、Webブラウザ210とのセッションが確立されている状態において(Webブラウザにスキャン設定画面210が表示されて以後の状態であり、換言すると、SIDがセッション管理テーブルに格納された状態で維持されている間)、第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)のためのスキャン指示を受け付けないように排他制御を行う。
【0086】
<排他制御の例>
S705又はS710において排他制御の実行が開始された場合の、排他制御の例について説明する。例えば、あるユーザが、画像読取装置100の操作部130を操作し、スキャン設定用の設定画面910を表示させ、各設定項目について設定を入力した後に開始ボタン911を押した(PUSHスキャン機能のためのスキャン指示を入力した)場合を想定する。この場合、UI表示アプリ501(CPU11)は、RAM12に保持されている排他フラグがONであることに従って(即ち、排他制御が実行中であることに従って)、PUSHスキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする。その際、UI表示アプリ501は、
図10に示すエラー画面1000を操作部130に表示することで、他の機器が画像読取装置100を使用中であることをユーザに通知する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態の画像読取装置100において、スキャンアプリ502は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う。スキャンアプリ502は、端末装置においてWebブラウザによって表示される設定画面(スキャン設定画面)を介して受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第1スキャン機能(ブラウザスキャン機能)と、Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)とを有する。CPU11は、スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う。CPU11は、第2スキャン機能よりも第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、Webブラウザによって設定画面が表示されたことに従って、第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する。
【0088】
このように、本実施形態の画像読取装置100は、第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)よりも第1スキャン機能(ブラウザスキャン機能)のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードを設定できるように構成される。CPU11は、優先モードが設定されていない場合には、第1スキャン機能によるスキャン処理が開始されたことに従って、第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する。一方、CPU11は、優先モードが設定されている場合には、Webブラウザ210によって設定画面が表示されたことに従って、第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する。このように、優先モードを設定するか否かに応じて、排他制御を開始するタイミングを変更することができる。したがって、本実施形態によれば、このような優先モードを設けることで、画像読取装置100において排他制御を行う開始するタイミングをより適切に設定できるようになる。
【0089】
例えば、優先モードを無効にすることで、あるユーザがセットした原稿を読み取って得られた読取画像の画像データが、別のユーザの端末に保存されることを防止できる。一方、優先モードを有効にすることで、例えば、端末装置においてスキャン指示用のブラウザ画面が表示された状態でスキャン指示が行われずに放置された場合に、誰にも使用されていない状態であるにもかかわらず画像読取装置100を使用できない状況が発生することを防止できる。
【0090】
また、本実施形態の画像読取装置100は以下のようにも構成されてもよい。具体的には、スキャンアプリ502は、スキャン処理の実行に関するスキャン指示を受け付け可能な画面情報を、端末装置で動作するWebブラウザに提供し、当該Webブラウザから受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能(ブラウザスキャン機能)と、Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従ってスキャン処理を行う第2スキャン機能(PULL及びPUSHスキャン機能)とを有する。CPU11は、スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う。CPU11は、第2スキャン機能よりも第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、設定されていない場合よりもWebブラウザに画面情報が表示されてから早いタイミングで排他制御を開始する。このような構成によっても、上述の実施形態と同様、優先モードを設定するか否かに応じて、排他制御を開始するタイミングを変更することができる。したがって、優先モードを設けることで、画像読取装置100において排他制御を行う開始するタイミングをより適切に設定できるようになる。
【0091】
<変形例>
上述の実施形態は種々の変形が可能である。例えば、画像読取装置100は、優先モードが設定されている場合に、必要に応じて優先モードを解除できるように構成されてもよい。具体的には、CPU11は、優先モードが設定されている状態で、画像読取装置100の原稿台102にセットされている原稿が取り除かれ、新たに原稿が原稿台102にセットされると、優先モードを解除してもよい。また、CPU11は、その際に、スキャン指示を受け付けるまで一時的に優先モードを解除し、スキャン指示の受け付け後に優先モードを再度設定(有効化)してもよい。あるいは、画像読取装置100は、操作部130に表示される操作画面を用いて、ユーザが優先モードを強制的に解除できるように構成されてもよい。このように、優先モードを必要に応じて解除できるようにすることで、ユーザにとっての利便性の向上が可能である。
【0092】
本明細書の開示は、以下の画像読取装置及びその制御方法、並びにプログラムを含む。
(項目1)
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、
スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、
前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、
を有する、前記処理手段と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置。
(項目2)
前記制御手段は、
前記優先モードが設定されていない場合には、前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始し、
前記優先モードが設定されている場合には、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する、
ことを特徴とする項目1に記載の画像読取装置。
(項目3)
前記設定画面の提供を受けるためのアクセスを前記Webブラウザから受け付けると、前記Webブラウザとの間でセッションを確立し、前記スキャン処理が完了するまで前記セッションを維持するように前記セッションを管理する管理手段を更に備え、
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている場合、前記セッションが確立されている状態において、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の画像読取装置。
(項目4)
前記制御手段は、前記優先モードが設定されていない場合、前記端末装置において前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されている状態で、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けることを可能にする、
ことを特徴とする項目1乃至3のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目5)
前記制御手段は、前記優先モードが設定されていない場合、前記端末装置において前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されている状態で、他の端末装置で動作するWebブラウザに提供した設定画面を介してスキャン指示を受け付けることを可能にする、
ことを特徴とする項目4に記載の画像読取装置。
(項目6)
ユーザの操作に従って前記優先モードを設定する設定手段を更に備え、
前記設定手段は、前記Webブラウザに提供した操作画面を介して、前記優先モードを設定するための指示をユーザから受け付ける、
ことを特徴とする項目1乃至5のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目7)
前記第2スキャン機能は、前記画像読取装置の操作部を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を実行し、当該スキャン処理により得られた画像データを所定の送信先へ送信するスキャン機能を含む、
ことを特徴とする項目1乃至6のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目8)
前記第2スキャン機能は、前記画像読取装置と通信可能な外部装置から前記Webブラウザを用いずに送信されたスキャン指示に従って前記スキャン処理を実行するスキャン機能を含む、
ことを特徴とする項目1乃至7のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目9)
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている場合、前記端末装置において前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されている状態で、他の端末装置で動作するWebブラウザに提供した設定画面を介してスキャン指示を受け付けないようにする、
ことを特徴とする項目1乃至8のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目10)
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている状態で、前記画像読取装置の原稿台にセットされている原稿が取り除かれ、新たに原稿が前記原稿台にセットされると、前記優先モードを解除する、
ことを特徴とする項目1乃至9のいずれか1項目に記載の画像読取装置。
(項目11)
前記制御手段は、前記優先モードが設定されている状態で、前記画像読取装置の原稿台にセットされている原稿が取り除かれ、新たに原稿が前記原稿台にセットされると、前記スキャン指示を受け付けるまで一時的に前記優先モードを解除する、
ことを特徴とする項目10に記載の画像読取装置。
(項目12)
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、
スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、
前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、
を有する、前記処理手段と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第1モードと、
前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第2モードと、
のうちでユーザによって選択された制御モードで動作する、
ことを特徴とする画像読取装置。
(項目13)
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理手段であって、
前記スキャン処理の実行に関するスキャン指示を受け付け可能な画面情報を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザから受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、
前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能と、
を有する、前記処理手段と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、設定されていない場合よりも前記Webブラウザに前記画面情報が表示されてから早いタイミングで前記排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置。
(項目14)
画像読取装置の制御方法であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理工程であって、スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能とにより、前記スキャン処理を実行可能である、前記処理工程と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御工程と、を含み、
前記制御工程では、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
(項目15)
画像読取装置の制御方法であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理工程であって、スキャン設定のための設定画面であって、前記スキャン処理の開始を指示するスキャン指示を受け付け可能な設定画面を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザによって表示される前記設定画面を介して受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能とにより、前記スキャン処理を実行可能である、前記処理工程と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御工程と、を含み、
前記制御工程では、
前記第1スキャン機能による前記スキャン処理が開始されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第1モードと、
前記Webブラウザによって前記設定画面が表示されたことに従って、前記第2スキャン機能のためのスキャン指示を受け付けないようにする前記排他制御を開始する第2モードと、
のうちでユーザによって選択された制御モードで動作する、画像読取装置の制御方法。
(項目16)
画像読取装置の制御方法であって、
原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャン処理を行う処理工程であって、
前記スキャン処理の実行に関するスキャン指示を受け付け可能な画面情報を、前記画像読取装置と通信可能な端末装置で動作するWebブラウザに提供し、前記Webブラウザから受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第1スキャン機能と、前記Webブラウザを使用せずに受け付けたスキャン指示に従って前記スキャン処理を行う第2スキャン機能とにより、前記スキャン処理を実行可能である、前記処理工程と、
前記スキャン処理が行われている間に、新たにスキャン指示を受け付けないようにする排他制御を行う制御工程と、を含み、
前記制御工程では、前記第2スキャン機能よりも前記第1スキャン機能のためのスキャン指示の受け付けを優先する優先モードが設定されている場合、設定されていない場合よりも前記Webブラウザに前記画面情報が表示されてから早いタイミングで前記排他制御を開始する、
ことを特徴とする画像読取装置の制御方法。
(項目17)
画像読取装置のコンピュータに、項目14乃至16のいずれか1項目に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【0093】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
100:画像読取装置、104:画像読取ユニット、10:制御部、11:CPU、13:記憶部、130:操作部、210:Webブラウザ、500:Webサーバ