(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176031
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】印刷装置、システム、それらの制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241212BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J29/38 204
G03G21/00 512
G03G21/00 396
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094227
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】請地 伸隆
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061BB37
2C061CG02
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HH03
2C061HJ01
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HK15
2C061HV26
2C061HV35
2C061KK03
2C061KK06
2C061KK35
2H270KA59
2H270KA60
2H270KA61
2H270LA79
2H270LA80
2H270LA97
2H270NA12
2H270ND03
2H270ND13
2H270ND19
2H270QB03
2H270RC05
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】定額制サービスでは、印刷装置を使用中に部品の寿命が訪れて、ユーザが印刷装置を使用できないダウンタイムが発生しないようにする必要があり、定額制サービス利用に沿って部品の寿命を判定する必要があった。
【解決手段】プリンタ102は、プリンタ102の使用状況と定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における対象の部品の消耗度を予測し(S701~S703)、前記予測した部品の消耗度と、前記部品について予め定められている消耗度のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する(S704~S705)。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと通信を行う印刷装置であって、
前記定額制サービスの契約情報を保持する保持手段と、
前記印刷装置の使用状況を管理する管理手段と、
前記使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測手段と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記定額制サービスの契約情報は、前記定額制サービスの契約期間の更新日時を特定可能な情報と、前記契約期間における上限印刷枚数の情報とを含み、
前記印刷装置の使用状況は、前記契約期間に印刷した印刷枚数を特定可能な情報を含み、
前記予測手段は、前記契約期間の更新日時での前記部品の特性値として、前記上限印刷枚数まで印刷した場合の前記部品の特性値を予測する、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記契約期間に印刷した印刷枚数の情報と、前記上限印刷枚数の情報と、予め定められた印刷1枚あたりの前記部品の特性値の増加数と、現時点における前記部品の特性値とを用いて、前記上限印刷枚数まで印刷した場合の前記部品の特性値を予測する、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷処理に応じて、前記部品の特性値を更新する更新手段を有することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記部品の特性値は、前記部品の交換に応じて初期化されることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記判定の結果を、前記サーバに通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記予測手段は、前記予測を複数の契約期間に渡って行い、
前記判定手段は、前記予測を前記複数の契約期間に渡って行う、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと、前記サーバと通信する印刷装置とを有するシステムであって、
前記印刷装置は、
前記印刷装置の使用状況を前記サーバに送信する送信手段を有し、
前記サーバは、
前記定額制サービスの契約情報を保持する保持手段と、
前記印刷装置から受信した使用状況を管理する管理手段と、
前記使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測手段と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定手段と、を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと通信を行う印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置で管理されている前記印刷装置の使用状況と、前記印刷装置に保持されている前記定額制サービスの契約情報とから、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測工程と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項10】
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと、前記サーバと通信する印刷装置とを有するシステムの制御方法であって、
前記印刷装置により実行される、
前記印刷装置の使用状況を前記サーバに送信する送信工程と、
前記サーバにより実行される、
前記印刷装置から受信した使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測工程と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とするシステムの制御方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項9に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、システム、それらの制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機などの印刷装置では、印刷に使用する本体と消耗品を定額で利用できる定額制サービスが存在する。定額制サービスは、一般に月額プランの料金に応じて一定枚数印刷するまでは同額の請求を行うことを特徴とした印刷環境を提供するサービスである。定額制サービスでは、印刷に必要な消耗品と、印刷装置本体も定額制サービス提供者が用意するため、ユーザは契約を行うだけで印刷環境が準備できるサービスとなっている。
【0003】
なお、定額制サービスでは、ユーザの使用環境の変化等に伴い定額制サービス契約を解除することで、ユーザから定額制サービス提供者に印刷装置を返却するケースが存在する。定額制サービス提供者は、ユーザから返却された印刷装置を、リファービッシュと呼ばれる整備工程を経て再生品として次のユーザに印刷装置を提供する場合もある。
このため、ユーザが定額制サービスを契約して使用開始する印刷装置は、新品とは限らず中古品の可能性もある。印刷装置が中古品である場合、それまでの印刷装置の使用状況に応じて印刷装置内の各部品がある程度消耗していることになる。
【0004】
定額制サービス提供者は、ユーザが印刷装置を使用中に各部品の寿命が訪れて、ユーザが印刷装置を使用できない状況に陥らないようにする必要がある。すなわち、定額制サービス提供者は、ユーザに提供している印刷装置の各部品の寿命を検知し、ユーザが印刷装置を正常に利用し続けられるように印刷環境を整える必要がある。
特許文献1には、印刷装置の各部品の寿命、または寿命になる推定時期を、通紙枚数に基づいて推定し、ネットワーク回線を介してユーザに通知する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、定額制サービスの契約内容に沿って寿命を推定することはなされていなかった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明は、印刷装置の各部品の寿命に関して定額制サービスの契約内容に沿って適切に判定する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと通信を行う印刷装置であって、前記定額制サービスの契約情報を保持する保持手段と、前記印刷装置の使用状況を管理する管理手段と、前記使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測手段と、前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷装置の各部品の寿命に関して定額制サービス利用に沿って適切に判定することができる。これにより、適切なタイミングで部品交換を行うことが可能となり、部品寿命によるダウンタイムの発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態を示す情報処理システムの全体構成を例示する図。
【
図2】本実施形態の印刷装置の構成を例示するブロック図。
【
図4】部品の消耗度を更新し管理する処理の流れを例示するフローチャート。
【
図5】部品の消耗度を判定するための部品消耗度管理テーブルを例示する図。
【
図6】定額制サービスに関するサービス情報保持テーブルを例示する図。
【
図7】第1実施形態において定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理の流れを例示するフローチャート。
【
図8】第2実施形態において定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理の流れを例示するフローチャート。
【
図9】第3実施形態において定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理の流れを例示するフローチャート。
【
図10】本実施形態の定額制サービスサーバの構成を例示するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成要素は、本発明の例としての形態を示すものであり、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0012】
〔第1実施形態〕
<システム構成>
本発明の一実施形態の一例を示すシステム構成について
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す情報処理システムの全体構成を例示する図である。
本実施形態の情報処理システム100は、ネットワーク101と、ネットワーク101を介して通信する例えばインクジェット式のプリンタ102と、定額制サービスサーバ103とを有する。プリンタ102は、本実施形態の印刷装置の一例であり、定額制サービスに契約されている印刷装置である。
【0013】
<印刷装置のハードウェア構成>
図2は、本実施形態におけるプリンタ102のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。また、
図3は、プリンタ102の一例を示す模式図である。
プリンタ102は、ROM201、RAM202、CPU203、ネットワーク通信部204、表示部205、操作部206、スキャナ部207、プリント部208等を有する。
【0014】
ROM201は、CPU203が実行する制御プログラムやデータテーブル、オペレーティングシステム(OS)プログラム等の固定データを格納する。本実施形態では、ROM201に格納されている各制御プログラムは、ROM201に格納されている組み込みOSの管理下で、スケジューリングやタスクスイッチ、割り込み処理等のソフトウェア実行制御を行う。なお、ROM201は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などでも構成され、電源を断っても記録内容が消えない不揮発メモリとしても利用可能である。
【0015】
RAM202は、バックアップ電源を必要とするDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成される。RAM202は、CPU203の主メモリとワークメモリとしても用いられ、パーソナルコンピュータ(PC)等から受信した印刷情報を一旦保存するための受信バッファや各種の情報を保存する。RAM202には、ネットワーク通信部204が受信した画像データ等も記憶する。
CPU203はシステム制御部であり、プリンタ102内の各部を制御するための中央演算装置である。CPU203は、ROM201等に格納されるプログラムを読み出して実行することにより、各種制御を行う。
【0016】
ネットワーク通信部204は、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークに接続して、他の装置との通信を行う。
表示部205は、LED(発光ダイオード)やLCD(液晶ディスプレイ)などから構成され、データの表示やプリンタ102の状態の通知を行う。
操作部206は、ユーザが各種の入力操作を行うためのスイッチ、ハードキー等から成る。また、
図3に示すタッチパネル301のように、表示部205が入力操作などを行う操作部としての機能を果たす形態とすることも可能である。
【0017】
プリンタ102において、スキャン機能はスキャナ部207で、印刷機能はプリント部208によって実現される。
CPU203はスキャナ部207を制御し、ガラス状の透明な原稿台302にセットされた原稿を光学的に読取り電子データに変換し、更に指定されたファイル形式に変換した画像データを、ネットワーク経由で外部装置に送信したりRAM202に格納したりする。本実施形態では、原稿台を使用したフラットベット型のスキャナを用いているが、原稿積載トレイに積載した原稿を自動で原稿送り装置に給紙して原稿を読み取る、自動原稿送り装置型を用いてもよい。
【0018】
プリント部208は、ROM201やRAM202に保存された情報や、PC等から受信した印刷ジョブに基づき、インク等の非消色性着色剤(記録剤)を用いて紙等の記録媒体上に画像形成し、印刷結果を出力する。プリント部208は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の印字ヘッドを備えている。各印字ヘッドからは対応した色の着色剤を吐出し、画像を形成する。プリント部208によって画像形成された印刷結果は、印刷結果排出口303から排出される。なお、プリント部208は、インクジェット方式に限定されるものではなく、トナーなどの他の記録剤を用いる構成でもよい。
【0019】
コピー機能は、スキャン部107で読み取って生成した画像データをプリント部208へ転送し、プリント部208がその画像データに基づいて、記録媒体に画像を記録することで実現される。
上述した各部は、システムバス209で相互に接続され、データを相互に送受信することが可能である。
【0020】
<定額制サービスサーバのハードウェア構成>
図10は、定額制サービスサーバ103のハードウェア構成の一例を示す図である。
図10に示すように、定額制サービスサーバ103は、CPU1001、RAM1002、ROM1003、外部記憶装置1007を備える。CPU1001は、ROM1003や外部記憶装置1007に記憶された、或いはネットワーク210よりダウンロードしたソフトウェア(プログラム)を必要に応じてRAM1002にロードして実行し、システムバス1009に接続された各デバイスを総括的に制御する。
【0021】
RAM1002は、CPU1001の主メモリあるいはワークエリアなどとして機能する。外部記憶装置1007は、ハードディスク(HD)やソリッドステートドライブ(SSD)等からなる。外部記憶装置1007は、ブートプログラム、オペレーティングシステム(OS)等を含む各種のアプリケーションや、各種データを記憶する。
【0022】
KBDC1004は、キーボードコントローラーであり、不図示のキーボードやポインティングデバイス等の入力装置からの入力情報をCPU1001に送る。
VC1005は、ビデオコントローラーであり、不図示のLCD等からなる表示装置の表示を制御する。
DC1006は、ディスクコントローラーであり、外部記憶装置1007とのアクセスを制御する。
【0023】
ネットワーク通信部1008は、インターネットやローカルエリアネットワーク等のネットワークに接続して、他の装置との通信を行う。定額制サービスサーバ103は、ネットワーク通信部1008を介してネットワーク101に接続し、ネットワークを介してプリンタ102等と通信可能である。
【0024】
なお、定額制サービスサーバ103は、1台のコンピュータにより実現されるものであっても、複数のコンピュータにより実現されるものであってもよい。定額制サービスサーバ103は、クラウドコンピューティングの技術を用いて実現されるものであってもよい。
【0025】
<定額制サービス>
次に、情報処理システム100で提供される課金サービスの1つである定額制サービスについての概要を説明する。
定額制サービスは、契約期間に一定金額で予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する契約のサービスである。以下、詳細に説明する。
定額制サービスは、一般に月額プランの料金に応じて一定枚数印刷するまでは同額の請求を行うことを特徴とした印刷環境を提供するサービスである。一定枚数を超えた場合は、上位のプランに変更できたり、1枚毎に請求額が増える従量課金となったりする。ユーザが定額制サービスの申請をすると、サービス提供者は、消耗品含むプリンタ102をユーザに配送する。ユーザは、配送されてきたプリンタ102をネットワークに接続して使用する。プリンタ102は、ネットワーク通信部204を介して定額制サービスサーバ103から定額制サービス加入情報を受信し、ROM201に格納する。プリンタ102は、印刷に応じて、その印刷ジョブで何枚印刷したか、どれくらい消耗品を消費したかというようなジョブログを作成し、定額制サービスサーバ103に送信する。定額制サービスサーバ103は、ジョブログの情報を基に、月の印刷枚数を把握したり、ユーザ元の消耗品の消耗率を計算し、消耗品残量が残り少ないタイミングで消耗品の配送を行ったりする。このようなシステム構成のため、定額制サービスを提供するためには、プリンタ102が常にネットワークに繋がり、定額制サービスサーバ103にジョブログを定期的に送信する環境が保たれることが必須である。このため、ネットワークに繋がっていない場合は、プリンタ102は機能停止をせざるをえない。
【0026】
<部品消耗度管理テーブル>
図5は、部品の消耗度を判定するための定量的な基準を示す部品消耗度管理テーブルを例示する図である。
消耗度とは、対象の部品の寿命に関わる特性値であり、対象の部品がどの程度使用されたかを定量的に把握するための度合いである。本実施形態では、部品消耗度管理テーブルは、プリンタ102のROM201に保持されている。部品の消耗度の基準および交換の目安となる閾値は、部品ごとに異なる。例えば、印字ヘッドの場合は、印字ヘッドからインク滴を出力した回数によって消耗度を算出可能である。また、印刷用紙の搬送ローラの場合は、ローラ回転数によって消耗度を算出可能である。
【0027】
なお、
図5では、部品の例として各色の印刷ヘッドと搬送ローラを示しているが、これに限定されるものではなく、キャリッジユニットや各種センサーなど印刷装置に搭載される多数の部品が管理可能である。同様に、印字ヘッドとしてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色を示しているが、他の色の印字ヘッドがあってもよい。
【0028】
図5に示すように、各部品には、部品の交換を促す消耗度の閾値(しきい値)が設定されている。例えば、搬送ローラについては、回転数XXX回が交換の閾値である。また、印字ヘッドについては、吐出数YYY回が交換の閾値である。
【0029】
また、
図5に示すように、プリンタ102には交換が難しい部品も存在するため、部品単位ではなく本体耐久枚数という基準も持つ。本体耐久枚数まで印刷枚数が達した場合、各部品の交換を行うのではなく、プリンタ本体が丸ごと交換の対象となる。すなわち、プリンタ本体も交換部品の一つとみなす。本実施形態の部品消耗度管理テーブルでは、消耗単位(
図5の例ではプリンタ本体(本体耐久枚数)、搬送ローラ、印字ヘッドなど)ごとに、消耗度が管理される。
【0030】
また、本実施形態において定額制サービスは月額プランの料金に応じて一定枚数印刷が可能であるという考え方から、部品消耗度管理テーブルでは、各部品の印刷1枚当たりの論理的な消耗度増加数情報を持つ。例えば、搬送ローラについては、印刷1枚当たり回転数xxx回が増加するものとする。また、印字ヘッドについては、印刷1枚当たり吐出数yyy回が増加するものとする。
【0031】
なお、交換の閾値情報や、消耗度増加数情報の保持の仕方は、予め決められた値だけではなく、外部から変更可能な構成になっていてもよい。例えば、プリンタ102は、プリンタ102に接続されている定額制サービスサーバ103から、定額制サービス加入情報とともに交換の閾値情報および消耗度増加数情報を受け取り更新してもよい。
以下、説明を簡単にするために、プリンタ本体の耐久枚数を用いて部品の消耗度の説明を行う。プリンタ102の耐久枚数で説明を行うが、考え方は各部品に適用可能である。
【0032】
<部品消耗度更新処理>
プリンタ102が部品の消耗度を更新し管理する処理について
図4を用いて説明する。
図4は、プリンタ102がPCからのプリント機能実行時に部品の消耗度を更新する処理の流れを示すフローチャートである。
図4のフローチャートで示される一連の処理は、プリンタ102のCPU203が、ROM201等に記憶されているプログラムコードをRAM202に展開し実行することにより行われる。このフローチャートの処理は、プリンタ102がPCのプリンタドライバ等からの印刷データを受信したタイミングで実施される。なお、コピー機能やファクシミリ機能などにより印刷を行った場合も同様である。
【0033】
S401において、ネットワーク通信部204から受信した印刷データがRAM202に格納されると、CPU203は、プリント部208を用いて、該印刷データの印刷処理を実行する。
【0034】
次にS402において、CPU203は、印刷による部品の消耗度を計算する。例えば、印刷用紙の搬送ローラの場合は、ローラ回転数を保持していた値に加算することで新しい消耗度とする。具体的には、S401で4枚の印刷が行われたとすると、搬送ローラの場合、印刷1枚当たりの増加数「yyy」に「4」を乗算した値を、ROM201に保持している搬送ローラの回転数に加算する。この計算を、搬送ローラだけでなく、本体耐久数や、各部品(例えば印字ヘッド)についてそれぞれ行う。
【0035】
次にS403において、CPU203は、上記S402で計算した部品の消耗度で、ROM201に保持している部品の消耗度を更新し、本フローチャートの処理を終了する。
以上の処理により、現時点での各部品の消耗度がROM201に保存される。
なお、ここで更新される部品の消耗度は、その部品を交換した際に初期化されるものとする。
【0036】
<定額制サービス情報保持テーブル>
図6は、定額制サービス情報保持テーブルの一例を示す図である。サービス情報保持テーブルは、定額制サービスに関する情報を保持するテーブルであり、本実施形態ではプリンタ102のROM201に保持されているものとする。
【0037】
定額制サービス情報保持テーブルにおいて、毎月締め日時とは、プリンタ102が定額制サービスサーバ103からネットワーク通信部204によって受け取る情報で、月額プランの基準となる毎月の締め日時(更新日時)を示す。
次回締め日時とは、毎月締め日時から導かれる、次回の締め日時(更新日時)を示す。
定額プラン印刷枚数とは、契約中の月額プランの定額料金内で印刷可能な最大印刷枚数を示す。
当月印刷枚数とは、前回の締め日時から数えてプリンタ102で印刷された用紙の枚数を示す。
【0038】
例えば、毎月締め日時が“22日0時0分”と指示されると、現在の日時が“2022年11月30日”の場合、次回締め日時は“2022年12月22日0時0分”となる。
当月印刷枚数は、次回締め日時が訪れるたびに“0”に初期化され、印刷のたびに加算される。現在の日時が“2022年11月30日”で当月印刷枚数が“500枚”の場合、定額プラン印刷枚数が“2000枚”のため、次回締め日時まで定額料金内で印刷可能な残り印刷枚数は“1500枚”となる。次回締め日時である“2022年12月22日0時0分”が訪れると当月印刷枚数は“0”に初期化され、さらに次の締め日時が訪れるまでは定額料金内で印刷可能な残り印刷枚数は“2000枚”となる。
【0039】
なお、
図6の定額制サービス情報保持テーブルの例では、毎月締め日時と、次回締め日時(すなわち定額制サービスの契約期間の次回の更新日時)の両方を保持しているが、毎月締め日時から次回締め日時を特定可能であるため、毎月締め日時のみを保持する構成でもよい。
また、当月印刷枚数の代わりに、当月印刷枚数を特定可能な他の情報を保持する構成でもよい。例えば、当月頭のトータル印刷枚数を保持しておき、当月頭のトータル印刷枚数と、その時点でのトータル印刷枚数から当月印刷枚数を特定するようにしてもよい。
【0040】
<定額制サービス利用時の部品寿命予測処理>
以下、第1実施形態において、プリンタ102が定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理について
図7のフローチャートを用いて説明する。
図7は、第1実施形態において定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理の流れを例示するフローチャートである。このフローチャートで示される一連の処理は、プリンタ102のCPU203が、ROM201等に記憶されているプログラムコードをRAM202に展開し実行することにより行われる。なお、このフローチャートの処理は定期的に実施される。例えば、プリンタ102が印刷を行うたびなど所定の処理の実施に伴って実施してもよいし、1週間ごとなどの一定間隔に実施してもよい。
【0041】
S701において、CPU203は、定額制サービスの定額料金内で印刷可能な残り印刷枚数を算出する。ここでは、月契約の場合を例に説明する。
図6で示した例と同じく、当期間(以下「当月」という)の印刷枚数が500枚、定額プラン印刷枚数が2000枚とする。この場合、当月の残り印刷枚数は「2000-500=1500枚」と計算される。
【0042】
S701の処理の後、CPU203は、S702に処理を進める。以降のS702~S706の処理は、消耗度確認対象部品(部品消耗度管理テーブルで示した部品)単位、
図5の例ではプリンタ本体(本体耐久枚数)、搬送ローラ、印字ヘッドなどの単位で、順次行われる。
【0043】
まずS702において、CPU203は、消耗度確認対象部品のうち、まだS702~S706について未処理の部品を対象部品とし、対象部品の消耗度を読出す。なお、部品の消耗度は、
図4の処理により求められROM201に保持されている。
【0044】
次にS703において、CPU203は、上記S701で求めた残り印刷枚数情報と、
図5のような部品消耗度管理テーブルにある対象部品の印刷1枚当たりの増加数とを乗算し、その部品の次回締め日時における消耗度を算出(予測)する。例えば、対象部品がプリンタ本体(本体耐久枚数)の場合、印刷1枚当たりの増加数は「1」であるため、「残り印刷枚数1500×1=1500枚」という値が、次回締め日時における消耗度として算出される。現在の本体耐久枚数が17111枚だとすると、次回締め日時における本体耐久枚数は「17111+1500=18611枚」と算出される。対象部品が搬送ローラの場合の場合、現在の回転数をzzzとすると、次回締め日時における回転数は「zzz+1500×xxx」で算出さる。また、対象部品が印字ヘッドの場合の場合、現在の吐出数をwwwとすると、次回締め日時における吐出数は「www+1500×yyy」で算出される。
【0045】
次にS704において、CPU203は、上記S703で算出された次回締め日時における対象部品の消耗度(現在の消耗度+増加見込み数)と、部品消耗度管理テーブルに保持された対象部品の交換閾値を比較する。次回締め日時における対象部品の消耗度より交換閾値のほうが大きくなる場合、次回締め日時においてその部品はまだ寿命を迎えないと判定される。一方、次回締め日時における対象部品の消耗度より交換閾値のほうが小さくなる又は等しくなる場合、次回締め日時においてその部品は寿命を迎えていると判定される。例えば、次回締め日時における本体耐久枚数の消耗度が18611枚と算出されている場合、本体耐久枚数の交換閾値は20000枚であるため、次回締め日時においてまだ交換閾値を超えていないと推測され、本体ははまだ寿命を迎えないと判定される。一方、次回締め日時における本体耐久枚数の消耗度が20001枚と算出されている場合、本体耐久枚数の交換閾値は20000枚であるため、次回締め日時においてすでに交換閾値を超えていると推測され、本体はすでに寿命を迎えていると判定される。なお、対象部品が搬送ローラの場合の場合、次回締め日時における回転数(上述の例では「zzz+1500×xxx」)と交換閾値XXXとを比較する。また、対象部品が印字ヘッドの場合の場合、次回締め日時における吐出数(上述の例では「www+1500×yyy」)と交換閾値YYYとを比較する。
【0046】
ここで、次回締め日時における対象部品の消耗度(現在の消耗度+増加見込み数)が交換閾値よりも大きい場合(S704でYesの場合)、CPU203は、S705に処理を進める。
S705において、CPU203は、次回締め日時においてその部品は寿命を迎えているとし、その部品を交換対象部品として設定し、例えばROM201に保持する。S705の処理の後、CPU203は、S706に処理を進める。
一方、次回締め日時における対象部品の消耗度(現在の消耗度+増加見込み数)が交換閾値よりも大きくない場合(S704でNoの場合)、CPU203は、S706に処理を進める。
【0047】
S706において、CPU203は、消耗度確認対象部品のうち、まだS702~S706について未処理の部品が残っているか確認する。ここで、未処理の部品が残っている場合(S706でYesの場合)、CPU203は、S707において次の確認対象部品を対象部品にし、S702に処理を戻す。
一方、未処理の部品が残っていない場合(S706でNoの場合)、CPU203は、本フローチャートの処理を終了する。
【0048】
なお、プリンタ102は、定期的に、定額制サービスサーバ103にジョブログ等を送信しているが、その際に、上記S705で交換対象部品として設定された部品の情報(すなわち
図7の判定処理の結果)も定額制サービスサーバ103に送信するものとする。なお、
図7の処理の終了時に、交換対象部品として設定された部品の情報を定額制サービスサーバ103に送信してもよい。また、送信済みの交換対象部品の情報については、重複して送信しないようにしてもよい。なお、
図7の処理の開始時点で、交換対象部品として設定されている部品については、上述の消耗度確認対象部品から外し、S702~S705の処理が重複して行われないようにしてもよい。
【0049】
定額制サービスサーバ103は、
図7のように設定され、送信された交換対象部品の情報を受信したことに応じて、プリンタ102のユーザに、該交換対象部品を送付するための処理を実行する。この際、定額制サービスサーバ103は、交換対象部品を送付するための処理が重複して実行されないように制御する。
【0050】
なお、本実施形態では、印刷処理に応じて各部品の消耗度を更新しておき、該各部品の消耗度と、各部品の次回更新日時までの消耗度の増加分から、各部品の次回更新日時における消耗度を求める構成を説明した。しかし、部品ごとに、上限まで印刷した場合のその部品を交換してからトータルの印刷枚数と、印刷1枚あたりの増加数とに基づいて、その部品の更新日時における消耗度を求めるようにしてもよい。
【0051】
以上、第1実施形態によれば、印刷装置の使用状況と、定額制サービス契約情報とに基づいて、各部品の寿命算出を行い、定額制サービスの利用に沿った寿命予測を行うことが可能になる。すなわち、印刷装置の部品の寿命に関して定額制サービス利用に沿った予測を行うことができる。これにより、定額制サービス提供元では、適切なタイミングで交換部品を配送することができ、定額制サービスを利用している印刷装置の部品に寿命が訪れて、ユーザが印刷装置を使用できない状況に陥らないように、すなわちダウンタイムが発生しないようにすることができる。定額制サービスは、一般に月額プランの料金に応じて一定枚数の印刷をするまでは同額の請求を行うことを特徴とした印刷環境を提供するサービスである。つまり、定額制サービスを受けているユーザは、そのプランで定められた枚数まで所定期間内(月額プランの場合は一月内)に印刷を行うことが推測される。そのため、定額制サービス提供者には、印刷装置の各部品の寿命に関して定額制サービス利用に沿った予測を行いたいといった需要がある。例えば、現在の月額プランで定められた印刷枚数分の印刷を毎月行った場合に、何か月後にどの部品が寿命を迎え、部品交換を行うか印刷装置そのものを交換するかの判断を前もって行いたいといった需要がある。本発明によれば、定額制サービス契約情報も考慮して、各部品の寿命を適切に予測することができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では次回締め日時までの部品寿命の予測を行ったが、部品寿命の予測はさらに将来の締め日時まで行ってもよい。以下、第2実施形態の処理について
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
図8は、第2実施形態において定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理の流れを例示するフローチャートである。このフローチャートで示される一連の処理は、プリンタ102のCPU203が、ROM201等に記憶されているプログラムコードをRAM202に展開し実行することにより行われる。なお、このフローチャートの処理は定期的に実施される。例えば、プリンタ102が印刷を行うたびなど所定の処理の実施に伴って実施してもよいし、1週間ごとなどの一定間隔に実施してもよい。
【0054】
なお、
図8の処理は、
図7のS703~S705を、S801~S805に置き換える形となり、S701~S702及びS706~S707は
図7と同一の処理のため説明は省略する。
【0055】
第2実施形態では、CPU203は、S702において部品の消耗度を取得した後、S801に処理を進める。
S801において、CPU203は、各部品の寿命予測を行う月数(予測月数)の設定を行う。第1実施形態はこの予測月数の値が「1」の場合に対応するものであり、次回締め日時までの予測を行った。第2実施形態では、予測月数として「1」よりも大きい値を設定可能である。例えば予測月数が「2」の場合、次回締め日時と、さらに1か月先の締め日時までの予測を行う。本実施形態では予測月数は「2」であるものとして説明するが、予測月数は3以上であっても同様である。なお、予測月数の値は、例えば、定額制サービスサーバ103から送信され、定額制サービス加入情報等とともにROM201に記憶されているものとし、定額制サービスサーバ103からの情報により変更可能である。
CPU203は、ROM201から予測月数の値を取得し、各部品の寿命予測を行う月数(予測月数)として設定する(例えばRAM202に保存する)。なお、CPU203は、このタイミングで定額制サービスサーバ103と通信して、定額制サービスサーバ103から予測月数を取得して設定してもよい。
【0056】
S802において、CPU203は、対象部品について、予測月数に予測を行う月の残りがあるか(次の予測を行うか)を確認する。ここで、すでに全ての予測月数まで寿命予測を行っている場合、CPU203は、次の予測を行わないと判断し(S802でNoと判断し)、S706に処理を進める。
一方、まだ寿命予測を行っていない月がある場合、CPU203は、次の予測を行うと判断し(S802でYesと判断し)、S803に処理を進める。
【0057】
S803において、CPU203は、予測を行う月の締め日時までの増加見込み数の算出を行う。予測を行う月とは、次回締め日時の場合は「1」であり、さらに次の締め日時の場合は「2」、以降1か月ごとに1ずつ大きくなっていくものとする。第1の実施形態ではこの値が「1」の場合を説明した。本実施形態ではこの値が「2」の場合について説明を行う。
予測を行う月が「2」である場合、次回締め日時からさらに1か月先の締め日時までの予測を行う。部品の寿命予測は、S701で求めた残り印刷枚数情報と予測を行う月から「1」を引いた分の定額プラン印刷枚数を加算した値に、部品消耗度管理テーブルにある各部品の印刷1枚当たりの増加数をかけ、その部品の予測を行う月の締め日時における消耗度を算出する。例えば、本体耐久枚数の場合、印刷1枚当たりの増加数は「1」であるため、予測を行う月が「2」であるとき、残り印刷枚数「1500」と予測を行う月から「1」を引いた分の定額プラン印刷枚数「2000」を足すことになるため、「(1500+2000×(2-1))×1=3500枚」という値が算出される。現在の本体耐久枚数が17111枚だとすると、予測を行う月の締め日時における本体耐久枚数は「17111+3500=20611枚」と算出される。搬送ローラの場合の場合、現在の回転数を「zzz」とすると、予測を行う月が「2」であるときの締め日時における回転数は「zzz+3500×xxx×(2-1)」で算出され、その値を交換閾値「XXX」と比較することになる。また、印字ヘッドの場合の場合、現在の吐出数を「www」とすると、予測を行う月が「2」であるときの締め日時における回転数は「www+3500×yyy×(2-1)」で算出され、その値を交換閾値「YYY」と比較することになる。
【0058】
次にS804において、CPU203は、上記S803で算出された予測を行う月の締め日時における対象部品の消耗度(現在の消耗度+その月までの増加見込み数)と、部品消耗度管理テーブルに保持された対象部品の交換閾値を比較する。予測を行う月の締め日時における対象部品の消耗度より交換閾値のほうが大きくなる場合、予測を行う月の締め日時においてその部品はまだ寿命を迎えないと判定される。一方、予測を行う月の締め日時における対象部品の消耗度より交換閾値のほうが小さくなる又は等しくなる場合、予測を行う月の締め日時においてその部品は寿命を迎えていると判定される。例えば、予測を行う月の締め日時における本体耐久枚数が20611枚と算出されている場合、本体耐久枚数の交換閾値は20000枚であるため、予測を行う月の締め日時において交換閾値を超えたため、本体耐久枚数は予測を行う月の締め日時において交換対象と推測される。
【0059】
ここで、予測を行う月の締め日時における対象部品の消耗度(現在の消耗度+予測を行う月までの増加見込み数)が交換閾値よりも大きい場合(S804でYesの場合)、CPU203は、S805に処理を進める。
S805において、CPU203は、予測を行う月の締め日時においてその部品は寿命を迎えているとし、その部品を、予測を行う月の交換対象部品として設定し、例えばROM201に保持する。S805の処理の後、CPU203は、S706に処理を進める。
【0060】
一方、予測を行う月の締め日時における対象部品の消耗度(現在の消耗度+予測を行う月までの増加見込み数)が交換閾値よりも大きくない場合(S804でNoの場合)、CPU203は、S802に処理を戻し、次の予測を行う月の判定処理に進む。S803およびS804の処理は予測を行う月数の分繰り返される。
【0061】
なお、予測を行う月は小さい値から推測を行うようにすると、S804の判定でYesとなった場合にS805に進み、
図8の処理を終了することできるため、余計な計算処理を省略することが可能になる。
【0062】
以上、説明したように、第2実施形態によれば、部品消耗度情報と定額制サービス情報から各部品の寿命算出を行い、次回締め日時およびその先の締め日時における交換対象部品がなにか容易に判断することが可能になる。この予測結果を定額制サービスサーバ103に送信するなどを行うことで、定額制サービス提供者が、ユーザが印刷装置を正常に利用し続けられるように、前もってユーザの印刷環境を整えることが可能になる。
【0063】
〔第3実施形態〕
上述した第1実施形態および第2実施形態では、プリンタの内部に判定機能を備えてプリンタ自身で寿命予測を算出した。これに対し、第3実施形態では、定額制サービスサーバ103にて寿命予測の算出を行う。これは前述の通り、プリンタ102が常に定額制サービスサーバ103とネットワークで繋がっていることが定額制サービス提供の前提条件となることから、そのシステム構成を利用したものである。この第3実施形態では、プリンタ102が部品の消耗度情報を適宜送信する。定額制サービスサーバ103は、プリンタ102から受信した消耗度情報を外部記憶装置1007で記憶・管理し、判定処理の大部分を定額制サービスサーバ103で行う。なお、定額制サービスサーバ103にて寿命予測の算出を行うため、部品消耗度管理テーブルは定額制サービスサーバ103の外部記憶装置1007に保持している。
【0064】
以下、第3の実施形態のプリンタ102と定額制サービスサーバ103で部品の寿命予測を行う処理について
図9のフローチャートを用いて説明する。
図9は、第3実施形態において定額制サービス情報を用いて部品の寿命を判定する処理の流れを例示するフローチャートであり、プリンタ102が部品の消耗度を送信し、定額制サービスサーバ103が寿命予測を行う処理の流れを示す。なお、このフローチャートにおけるプリンタ102の処理は、プリンタ102のCPU203が、ROM201等に記憶されているプログラムコードをRAM202に展開し実行することにより行われる。また、定額制サービスサーバ103の処理は、定額制サービスサーバ103のCPU1001が、外部記憶装置1007等に記憶されているプログラムコードをRAM1002に展開し実行することにより行われる。
【0065】
また、このフローチャートの処理は、プリンタ102がPCのプリンタドライバ等からの印刷ジョブを受信したタイミングで実施される。なお、コピー機能やファクシミリ機能などにより印刷を行った場合も同様である。
【0066】
なお、
図8の処理は、
図7のS703~S705を、S801~S805に置き換える形となり、S701~S702及びS706~S707は
図7と同一の処理のため説明は省略する。
【0067】
図4に示したように、S401において、ネットワーク通信部204から受信した印刷データがRAM202に格納されると、プリンタ102は、プリント部208を用いて、該印刷データの印刷処理を実行する。
S402において、プリンタ102が印刷による部品の消耗度の計算する点については、第1の実施形態と同様である。
上記S402で部品の消耗度の計算を行った後、S903において、プリンタ102は、デバイス識別情報(例えばシリアルナンバー)と上記S402で計算した部品ごとの消耗度情報を、ネットワーク通信部204を通して定額制サービスサーバ103に送信する。
【0068】
定額制サービスサーバ103は、複数のプリンタとネットワークで接続されることとなるため、プリンタごとに一意となるデバイス識別情報に基づいて、プリンタと部品の消耗度情報を紐づける。なお、定額制サービスサーバ103は、ユーザの契約情報とデバイス識別情報を紐づけて外部記憶装置1007に保持している。したがって、デバイス識別情報がわかれば、ユーザの契約情報、つまり定額制加入プランに関する情報も取得することが可能である。
【0069】
S902において、定額制サービスサーバ103は、デバイス識別情報と部品ごとの消耗度情報を受信すると、外部記憶装置1007に保存する。これ以降に行う処理は、主体が定額制サービスサーバ103となるだけで、第1実施形態でプリンタ102が行う処理と同様である。
すなわち、S701において、定額制サービスサーバ103は、定額制サービスの定額料金内で印刷可能な残り印刷枚数を算出する。部品ごとにS702~S706の処理を実行する。そして、定額制サービスサーバ103は、未処理の部品が残っている場合(S706でYesの場合)、次の確認対象部品を対象部品にし(S707)、S702に処理を戻す。一方、未処理の部品が残っていない場合(S706でNoの場合)、本フローチャートの処理を終了する。
このように、第3実施形態では、各部品の寿命の予測処理にはプリンタ102は関与せず、定額制サービスサーバ103のみで完結することが可能である。
【0070】
なお、第3実施形態のS703~S705の処理の代わりに、第2実施形態においてプリンタ102で実行したS801~S805の処理を定額制サービスサーバ103で実行するようにしてもよい。
この構成により、次回締め日時およびその先の締め日時における交換対象部品がなにか容易に判断することが可能になり、定額制サービス提供者が、ユーザが印刷装置を正常に利用し続けられるように、前もってユーザの印刷環境を整えることが可能になる。
【0071】
以上、各実施形態によれば、印刷装置の使用状況と、定額制サービス契約情報に基づいて各部品の寿命を予測することで、定額制サービスの利用に沿った寿命予測を行うことが可能になる。これにより、例えば、ユーザが契約した月額プランで定められた印刷枚数分の印刷を毎月行った場合に、何か月後にどの部品が寿命を迎えるということがわかり、部品交換を行うか印刷装置そのものを交換するかの判断が前もって可能になる。よって、定額制サービス提供元では、適切なタイミングで交換部品を配送することができ、定額制サービスを利用している印刷装置の部品に寿命が訪れて、ユーザが印刷装置を使用できない状況に陥らないように、すなわちダウンタイムが発生しないようにすることができる。
【0072】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施形態を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0073】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施形態及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0074】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法およびプログラムを含む。
(構成1)
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと通信を行う印刷装置であって、
前記定額制サービスの契約情報を保持する保持手段と、
前記印刷装置の使用状況を管理する管理手段と、
前記使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測手段と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
(構成2)
前記定額制サービスの契約情報は、前記定額制サービスの契約期間の更新日時を特定可能な情報と、前記契約期間における上限印刷枚数の情報とを含み、
前記印刷装置の使用状況は、前記契約期間に印刷した印刷枚数を特定可能な情報を含み、
前記予測手段は、前記契約期間の更新日時での前記部品の特性値として、前記上限印刷枚数まで印刷した場合の前記部品の特性値を予測する、ことを特徴とする構成1に記載の印刷装置。
(構成3)
前記予測手段は、前記契約期間に印刷した印刷枚数の情報と、前記上限印刷枚数の情報と、予め定められた印刷1枚あたりの前記部品の特性値の増加数と、現時点における前記部品の特性値とを用いて、前記上限印刷枚数まで印刷した場合の前記部品の特性値を予測する、ことを特徴とする構成2に記載の印刷装置。
(構成4)
印刷処理に応じて、前記部品の特性値を更新する更新手段を有することを特徴とする構成3に記載の印刷装置。
(構成5)
前記部品の特性値は、前記部品の交換に応じて初期化されることを特徴とする構成4に記載の印刷装置。
(構成6)
前記判定の結果を、前記サーバに通知する通知手段を有することを特徴とする構成1~5のいずれかに記載の印刷装置。
(構成7)
前記予測手段は、前記予測を複数の契約期間に渡って行い、
前記判定手段は、前記予測を前記複数の契約期間に渡って行う、
ことを特徴とする構成1~6のいずれかに記載の印刷装置。
(構成8)
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと、前記サーバと通信する印刷装置とを有するシステムであって、
前記印刷装置は、
前記印刷装置の使用状況を前記サーバに送信する送信手段を有し、
前記サーバは、
前記定額制サービスの契約情報を保持する保持手段と、
前記印刷装置から受信した使用状況を管理する管理手段と、
前記使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測手段と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定手段と、を有する、
ことを特徴とするシステム。
(方法1)
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと通信を行う印刷装置の制御方法であって、
前記印刷装置で管理されている前記印刷装置の使用状況と、前記印刷装置に保持されている前記定額制サービスの契約情報とから、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測工程と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
(方法2)
契約期間に予め設定された上限印刷枚数までの印刷を許可する定額制サービスを管理するサーバと、前記サーバと通信する印刷装置とを有するシステムの制御方法であって、
前記印刷装置により実行される、
前記印刷装置の使用状況を前記サーバに送信する送信工程と、
前記サーバにより実行される、
前記印刷装置から受信した使用状況と前記定額制サービスの契約情報から、前記定額制サービスにおける契約期間の更新日時における前記印刷装置の所定の部品の寿命に関わる特性値を予測する予測工程と、
前記予測した前記部品の特性値と、前記部品について予め定められている特性値のしきい値とに基づいて、前記契約期間において前記部品が寿命となるか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とするシステムの制御方法。
(プログラム1)
コンピュータに、方法1に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。