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特開2024-176036音声対話装置及び音声対話装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176036
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】音声対話装置及び音声対話装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20241212BHJP
【FI】
B60W50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094233
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】南里 卓也
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241BA60
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DD05Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
【課題】車両のドライバが音声対話装置と対話するときに、ドライバと音声対話装置の一体感を高めることが可能な音声対話装置を提供する。
【解決手段】音声対話装置(1)は、車両の制御状態に関する情報を取得する車両制御状態取得部(111)と、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分を推定する推定部(113)と、推定したドライバの気分に応じて、ドライバに対する返答の仕方を設定する対話返答方法設定部(114)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御状態に関する情報を取得する車両制御状態取得部と、
取得した前記車両の制御状態に関する情報に基づいて前記車両のドライバの気分を推定する推定部と、
推定した前記ドライバの気分に応じて、前記ドライバに対する返答の仕方を設定する対話返答方法設定部と、
を備える音声対話装置。
【請求項2】
前記車両制御状態取得部は、前記ドライバの操作により設定可能な前記車両の制御状態に関する情報を取得する
請求項1に記載の音声対話装置。
【請求項3】
前記車両制御状態取得部は、前記車両の要求駆動力に対する駆動アクチュエータの応答性を決定する走行モードを示す情報を取得する
請求項2に記載の音声対話装置。
【請求項4】
前記車両制御状態取得部は、前記車両の自動運転制御時の車間距離、加速度、速度、車線変更の頻度、または走行モードのうち少なくとも1つを示す自動運転制御情報を取得する
請求項2に記載の音声対話装置。
【請求項5】
前記車両制御状態取得部は、前記車両の自動運転制御に対する前記ドライバのオーバーライドに関する情報を取得する
請求項2に記載の音声対話装置。
【請求項6】
前記車両制御状態取得部は、前記車両の車高の状態を示す情報を取得する
請求項2に記載の音声対話装置。
【請求項7】
前記推定部は、取得した前記車両の制御状態に関する情報に基づいて前記車両のドライバの気分が第1の気分か、前記第1の気分よりも落ち着いた気分である第2の気分かを推定し、
前記対話返答方法設定部は、推定した前記ドライバの気分が前記第1の気分である場合に、推定した前記ドライバの気分が前記第2の気分である場合よりも前記ドライバに対して返答する間が短くなるように、前記返答の仕方を設定する
請求項1~6のいずれか1項に記載の音声対話装置。
【請求項8】
前記対話返答方法設定部は、推定した前記ドライバの気分が前記第1の気分である場合に、前記返答の開始時に第1の所定の言葉を追加して返答するように前記返答の仕方を設定する
請求項7に記載の音声対話装置。
【請求項9】
前記対話返答方法設定部は、推定した前記ドライバの気分が前記第2の気分である場合に、前記返答の開始時に第2の所定の言葉を追加して返答するように前記返答の仕方を設定する
請求項7に記載の音声対話装置。
【請求項10】
前記対話返答方法設定部は、推定した前記ドライバの気分が前記第2の気分である場合に、単語毎に区切りながら返答するように前記返答の仕方を設定する
請求項7に記載の音声対話装置。
【請求項11】
前記対話返答方法設定部は、推定した前記ドライバの気分が前記第1の気分である場合に、体言止めで返答するように前記返答の仕方を設定する
請求項7に記載の音声対話装置。
【請求項12】
前記対話返答方法設定部は、推定した前記ドライバの気分に応じて、前記返答の速度、アクセント、抑揚の大きさのうち少なくとも一つを変更する
請求項7に記載の音声対話装置。
【請求項13】
前記車両制御状態取得部は、前記ドライバにより操作可能な前記車両の制御状態に関する複数の情報を取得し、
前記車両の制御状態に対するドライバの気分による影響の大きさに基づいて前記複数の情報の優先度を設定する優先度設定部をさらに備え、
前記推定部は、前記複数の情報と前記優先度とに基づいて前記車両のドライバの気分を推定する
請求項1に記載の音声対話装置。
【請求項14】
前記車両制御状態取得部は、少なくとも前記車両の自動運転制御に対する前記ドライバのオーバーライドに関する情報を取得し、
前記優先度設定部は、前記ドライバのオーバーライドに関する情報の優先度が最も高くなるように前記複数の情報の前記優先度を設定する
請求項13に記載の音声対話装置。
【請求項15】
前記車両制御状態取得部は、前記車両の自動運転制御時の車間距離、加速度、速度、車線変更の頻度、または走行モードのうち少なくとも1つを示す自動運転制御情報をさらに取得し、
前記優先度設定部は、前記自動運転制御情報の優先度が2番目となるように前記複数の情報の前記優先度を設定する
請求項14に記載の音声対話装置。
【請求項16】
前記車両制御状態取得部は、前記車両の車高の状態を示す情報をさらに取得し、
前記優先度設定部は、前記車両の車高の状態を示す情報の優先度が3番目となるように前記複数の情報の前記優先度を設定する
請求項15に記載の音声対話装置。
【請求項17】
前記推定部は、最も直近に変更された前記車両の制御状態に関する情報に基づいて前記車両のドライバの気分を推定する
請求項1に記載の音声対話装置。
【請求項18】
コンピュータによって実行される音声対話装置の制御方法であって、
車両の制御状態に関する情報を取得し、
取得した前記車両の制御状態に関する情報に基づいて前記車両のドライバの気分を推定し、
推定した前記ドライバの気分に応じて、前記ドライバに対する返答の仕方を設定する
音声対話装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声対話装置及び音声対話装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転者の現在の負荷状態及び将来の負荷状態に基づいて、案内地点を案内する案内情報を出力するタイミング、出力回数または出力内容のうちすくなくとも1つを制御する車載経路案内装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/085833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明によれば、運転者の運転中の負荷の観点から、運転者にとってより適切な案内情報を出力することができる。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、運転者の負荷状態に基づいて案内情報を出力するタイミング、出力回数または出力内容を変更するだけあり、車載経路案内装置が運転者と対話を行うような場合に、運転者との対話の一体感を高めることはできない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両のドライバが音声対話装置と対話するときに、ドライバと音声対話装置の一体感を高めることが可能な音声対話装置及び音声対話装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る音声対話装置及び音声対話装置の制御方法は、車両の制御状態に関する情報を取得し、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分を推定し、推定したドライバの気分に応じて、ドライバに対する返答の仕方を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両のドライバが音声対話装置と対話するときに、ドライバと音声対話装置の一体感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る音声対話装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、ドライバ気分推定部が車両の制御状態に関する情報に基づいてドライバの気分を推定する具体例を示した表である。
図3図3は、対話返答方法設定部114がドライバの気分に基づいて返答の仕方を設定する具体例を示した表である。
図4図4は、一実施形態に係る音声対話装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[音声対話装置の構成]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、一実施形態に係る音声対話装置1の構成例を示す。本実施形態に係る音声対話装置1は、車両内に設置される。音声対話装置1は、対話生成装置10、車両制御状態入力部20、音声入力部30、音声出力部40を備える。
【0010】
車両制御状態入力部20は、車両に搭載された各種のセンサ、スイッチまたは装置であり、ドライバの操作により設定可能な車両の制御状態に関する情報を対話生成装置10に入力する。
【0011】
車両制御状態入力部20は、例えば車両の現在の走行モードを示す情報を対話生成装置10へ入力する。車両の走行モードとは、アクセル操作による要求駆動力に対する駆動アクチュエータの応答性を異ならしめた走行仕様であって、例えば、要求駆動力に対する駆動アクチュエータの応答性が高い「スポーツモード」と、要求駆動力に対する駆動アクチュエータの応答性を低くして燃費を高くした「エコモード」とが含まれる。走行モードは、ドライバによって選択される。
【0012】
また、車両制御状態入力部20は、車両が自動運転制御を行っている場合には、自動運転制御時の先行車両との車間距離、車両の加速度、速度、車線変更の頻度、または走行モードのうち少なくとも1つを示す自動運転制御情報を対話生成装置10へ入力する。車間距離は、例えば「短距離」、「中距離」、「長距離」といった複数段の設定からいずれかがドライバによって選択される。加速度及び速度は、車両がドライバにより設定された設定速度となるように自律制御される。車線変更の開始はドライバによって承認され、所定時間内に車線変更が承認された回数が、車線変更の頻度として算出される。また、自度運転制御時の走行モードは、ドライバによって選択される。
【0013】
また、車両制御状態入力部20は、車両の自動運転制御に対するドライバの介入操作(オーバーライド)に関する情報を対話生成装置10へ入力する。オーバーライドに関する情報には、例えば、自動運転制御時にドライバの操作によって生じた車両の加減速度、予備動作時の減速の有無、操舵の有無等の情報が含まれる。なお、ここで言う予備動作とは、ドライバが自動運転制御時に白線の手前、交差点、踏切の手前などで停止するために減速する動作を意味する。ドライバは、自動運転制御による減速よりも速いタイミングで減速したい場合、又は自動運転制御による減速よりもさらに減速したい場合に、オーバーライドして車両を減速させることがある。
【0014】
さらに、車両制御状態入力部20は、車両の車高の状態を示す情報を対話生成装置10へ入力する。車両の車高は、未舗装の道路である「オフロード」の走行に適した高さにするか、舗装道路である「オンロード」の走行に適した高さするかがドライバによって選択される。
【0015】
音声入力部30には、車両内に設置されたマイクロホン等の集音装置を用いて、車両内のドライバが発話した音声情報が入力される。集音装置は、マイクロホンに限らず、音声を入力できるセンサであればよい。音声入力部30は、集音装置から入力される車両内の音声情報を対話生成装置10へ入力する。
【0016】
音声出力部40は、車両内に設置されたスピーカを用いて、対話生成装置10が生成した対話データを車両内で音声出力する。
【0017】
対話生成装置10は、対話相手となる車両のドライバが発話した音声情報を、音声入力部30を介して取得し、ドライバへの質問または返答を行うための対話データを生成する。対話生成装置10は、生成した対話データを、音声出力部40を介して音声出力する。対話生成装置10は、コントローラ11及び対話データ記憶部12を備える。
【0018】
コントローラ11は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ11は、車両制御状態入力部20、音声入力部30、音声出力部40と接続される。
【0019】
コントローラ11には、対話生成装置10として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ11は対話生成装置10が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0020】
なお、ここでは、ソフトウェアによって対話生成装置10が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0021】
コントローラ11は、複数の情報処理回路として、車両制御状態取得部111、優先度設定部112、ドライバ気分推定部113、対話返答方法設定部114、対話生成部115、出力制御部116、を備える。
【0022】
車両制御状態取得部111は、車両制御状態入力部20から、ドライバの操作により設定可能な車両の制御状態に関する情報を取得する。車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する1種類の情報を取得してもよく、車両の制御状態に関する複数の情報を取得してもよい。車両制御状態取得部111が取得する、車両の制御状態に関する情報の数及び種類は、特に限定されるものではない。
【0023】
車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、例えば車両の要求駆動力に対する駆動アクチュエータの応答性を決定する走行モードを示す情報を取得する。
【0024】
また、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、例えば車両の自動運転制御時の車間距離、加速度、速度、車線変更の頻度、または走行モードのうち少なくとも1つを示す自動運転制御情報を取得する。
【0025】
また、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、例えば車両の自動運転制御に対するドライバのオーバーライドに関する情報を取得する。
【0026】
また、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、例えば車両の車高の状態を示す情報を取得する。
【0027】
優先度設定部112は、車両制御状態取得部111が、車両の制御状態に関する複数の情報を取得する場合に、車両の制御状態に対するドライバの気分による影響の大きさに基づいて複数の情報の優先度を設定する。後述するドライバ気分推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報と優先度とに基づいて車両のドライバの気分を推定する。
【0028】
例えば、自動運転制御に対するドライバのオーバーライドの操作はドライバの最も直近の操作であり、車両の制御状態に対する最も直近のドライバの気分の影響が最も大きいと考えられる。よって、優先度設定部112は、例えば、取得した車両の制御状態に関する複数の情報のうち、ドライバのオーバーライドに関する情報の優先度が最も高くなるように、複数の情報の優先度を設定する。また、ドライバの自動運転制御に関する操作に対しても、ドライバの気分が影響していると考えられる。よって、優先度設定部112は、自動運転制御情報の優先度が2番目となるように複数の情報の優先度を設定してもよい。自動運転制御情報の優先度を2番目に設定することにより、ドライバ気分推定部113は、ドライバによる自動運転のオーバーライドが行われていない場合でも、ドライバの気分を推定することができる。
【0029】
また、ドライバの車両の車高の状態に関する操作に対しても、ドライバの気分が影響していると考えられる。よって、優先度設定部112は、車両の車高の状態を示す情報の優先度が3番目となるように複数の情報の優先度を設定してもよい。車両の車高の状態を示す情報の優先度を3番目に高く設定することにより、ドライバ気分推定部113は、自動運転のオーバーライドが行われておらず、自動運転制御が行われていない場合でも、ドライバの気分を推定することができる。
【0030】
ドライバ気分推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分を推定する。ドライバ気分推定部113は、車両制御状態取得部111が、車両の制御状態に関する複数の情報を取得する場合に、複数の情報と優先度とに基づいて車両のドライバの気分を推定する。例えば、ドライバ気分推定部113は、車両の制御状態に関する複数の情報のうち、優先度が最も高い情報に基づいて車両のドライバの気分を推定する。ドライバ気分推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分が「せっかち(第1の気分)」か、「せっかち」より落ち着いた気分である「のんびり(第2の気分)」かを推定する。
【0031】
なお、ドライバ気分推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報と優先度とに基づいて車両のドライバの気分を推定する代わりに、最も直近に変更された車両の制御状態に関する情報に基づいて、車両のドライバの気分を推定してもよい。また、ドライバ気分推定部113は、優先度が高い順に、車両の制御状態に関する複数の情報を重み付けすることにより、ドライバの気分が「せっかち」である度合い及び「のんびり」である度合いを算出してもよい。
【0032】
ここで、図2を参照して、ドライバ気分推定部113が車両の制御状態に関する情報に基づいてドライバの気分を推定する具体例について説明する。
【0033】
ドライバ気分推定部113は、例えば、走行モードを示す情報に基づいて、ドライバの気分を推定する。この場合、ドライバ気分推定部113は、走行モードが「スポーツモード」である場合には、ドライバの気分が「せっかち」、走行モードが「エコモード」である場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0034】
また、ドライバ気分推定部113は、例えば自動運転制御時の車間距離を示す自動運転制御情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、車間距離が「短距離」である場合には、ドライバの気分が「せっかち」、車間距離が「長距離」である場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0035】
ドライバ気分推定部113は、例えば自動運転制御時の加速度を示す自動運転制御情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、加速度が第1閾値より大きい場合には、ドライバの気分が「せっかち」、加速度が第1閾値より小さい場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0036】
ドライバ気分推定部113は、例えば自動運転制御時の速度を示す自動運転制御情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、速度が第2閾値より速い場合には、ドライバの気分が「せっかち」、速度が第2閾値より遅い場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0037】
ドライバ気分推定部113は、例えば自動運転制御時の車線変更の頻度を示す自動運転制御情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、車線変更の頻度が第3閾値より多い場合には、ドライバの気分が「せっかち」、加速度が第3閾値より少ない場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0038】
ドライバ気分推定部113は、例えばドライバのオーバーライド時の加減速に関する情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、ドライバが自動運転制御よりも速い加減速を行った場合には、ドライバの気分が「せっかち」、自動運転制御よりも遅い加減速を行った場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。ドライバ気分推定部113は、予備動作時に自動運転よりも減速する操作を行った場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。ドライバ気分推定部113は、自動運転時にドライバが操舵を行った場合には、ドライバの気分が「せっかち」であると推定する。
【0039】
ドライバ気分推定部113は、例えばドライバのオーバーライド時の予備動作時の減速に関する情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、ドライバが予備動作時に自動運転よりも減速する操作を行った場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0040】
ドライバ気分推定部113は、例えばドライバのオーバーライド時の操舵に関する情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、ドライバが自動運転時に操舵を行った場合には、ドライバの気分が「せっかち」であると推定する。
【0041】
ドライバ気分推定部113は、例えば車両の車高の状態を示す情報に基づいて、ドライバの気分を推定してもよい。この場合、ドライバ気分推定部113は、車両の車高が「オフロード」の走行に適した状態に設定されている場合には、ドライバの気分が「せっかち」、車両の車高が「オンロード」の走行に適した状態に設定されている場合には、ドライバの気分が「のんびり」であると推定する。
【0042】
対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分に応じて、ドライバに対する返答の仕方を設定する。
【0043】
ここで、図3を参照して、対話返答方法設定部114がドライバの気分に基づいて返答の仕方を設定する具体例を説明する。
【0044】
対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、ドライバに対して返答する間がより短く、推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、ドライバに対して返答する間がより長くなるように、返答の仕方を設定する。対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、ドライバに対して返答する間を「短い」と設定し、推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、ドライバに対して返答する間を「長い」と設定する
【0045】
また、対話返答方法設定部114は、例えば、推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、返答の開始時に「ええと」「あの」等の、焦って対話を返す素振りの言葉(第1の所定の言葉)を追加して返答するように返答の仕方を設定してもよい。また、対話返答方法設定部114は、例えば、推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、返答の開始時に「うーん」「そうですね」等の、考える素振りの言葉(第2の所定の言葉)を追加して返答するように返答の仕方を設定してもよい。
【0046】
また、対話返答方法設定部114は、例えば、推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、単語毎に区切りながら返答するように返答の仕方を設定してもよい。
【0047】
また、対話返答方法設定部114は、例えば、推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、体言止めで返答するように返答の仕方を設定してもよい。
【0048】
また、対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分に応じて、返答の速度、アクセント、抑揚の大きさのうち少なくとも一つを変更してもよい。対話返答方法設定部114は、例えば、推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、返答の速度をより速く、アクセントをより強く、抑揚をより大きくし、推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、返答の速度をより遅く、アクセントをより弱く、抑揚をより小さくするように、返答の仕方を設定する。なお、対話返答方法設定部114は、上述した複数の返答の仕方を1つだけ設定してもよく、複数の返答の仕方を組み合わせてもよい。設定する返答の仕方の種類及び数は特に限定されない。また、対話返答方法設定部114は、ドライバ気分推定部113が、ドライバの気分が「せっかち」である度合い及び「のんびり」である度合いを算出する場合に、「せっかち」及び「のんびり」の度合いに基づいて段階的に返答の仕方を設定してもよい。
【0049】
対話生成部115は、音声入力部30から入力された音声情報を認識し、対話データ記憶部12から、認識した音声情報に対応する対話データを取得する。対話生成部115は、取得した対話データを、対話返答方法設定部114により設定された返答の仕方に基づいて変更し、出力用の対話データを生成する。
【0050】
対話生成部115は、例えば、対話返答方法設定部114が焦って対話を返す素振りの言葉又は考える素振りの言葉を追加して返答するように返答の仕方を設定した場合には、対話データの先頭に、追加する言葉に対応する音声データを追加して、出力用の対話データを生成する。また、対話生成部115は、対話返答方法設定部114が体言止めで返答するように返答の仕方を設定した場合には、対話データの最後が名詞で終わるような出力用の対話データを生成する。
【0051】
出力制御部116は、対話生成部115により生成された出力用の対話データを、対話返答方法設定部114により設定された返答の仕方に基づいて制御して、音声出力部40を介して音声出力する。出力制御部116は、例えば、対話返答方法設定部114が返答する間を「短い」に設定した場合には、音声入力部30から取得したドライバの音声が終了してから0.4秒後に、出力用の対話データの出力を開始する。また、出力制御部116は、対話返答方法設定部114が返答する間を「長い」に設定した場合には、音声入力部30から取得したドライバの音声が終了してから1.4秒後に、出力用の対話データの出力を開始する。
【0052】
また、出力制御部116は、例えば、対話返答方法設定部114が単語毎に区切りながら返答するように返答の仕方を設定した場合には、対話生成部115により生成された出力用の対話データを、単語毎に区切りながら出力する。
【0053】
また、出力制御部116は、対話生成部115により生成された出力用の対話データを、対話返答方法設定部114が変更した返答の速度、アクセント、抑揚の大きさで出力する。
【0054】
[音声対話装置が実行する処理]
次に、対話生成装置10が実行する処理の一例について、図4のフローチャートを参照して説明する。対話生成装置10は、音声入力部30から音声情報が入力されたタイミングで、図4の処理を開始する。
【0055】
ステップS11において、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する複数の情報を取得する。車両制御状態取得部111は、例えば、車両の自動運転制御に対するドライバのオーバーライドに関する情報と、車両の自動運転制御情報と、車両の車高の状態を示す情報とを取得する。
【0056】
処理はステップS12に進み、優先度設定部112は、車両の制御状態に対するドライバの気分による影響の大きさに基づいて、複数の情報の優先度を設定する。優先度設定部112は、例えば、ステップS11で取得した車両の制御状態に関する複数の情報のうち、ドライバのオーバーライドに関する情報の優先度が最も高くなるように、複数の情報の優先度を設定する。また、優先度設定部112は、自動運転制御情報の優先度が2番目、車両の車高の状態を示す情報の優先度が3番目となるように複数の情報の優先度を設定する。
【0057】
処理はステップS13に進み、ドライバ気分推定部113は、ステップS11で取得した車両の制御状態に関する情報と、ステップS12で設定された優先度とに基づいて車両のドライバの気分を推定する。ドライバ気分推定部113は、車両の制御状態に関する複数の情報のうち、優先度が最も高い情報に基づいて車両のドライバの気分を推定する。ドライバ気分推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分が「せっかち(第1の気分)」か、「せっかち」より落ち着いた気分である「のんびり(第2の気分)」かを推定する。
【0058】
処理はステップS14に進み、対話返答方法設定部114は、ステップS13で推定したドライバの気分に応じて、ドライバに対する返答の仕方を設定する。対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、ドライバに対して返答する間がより短く、推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、ドライバに対して返答する間がより長くなるように、返答の仕方を設定する。
【0059】
また、対話返答方法設定部114は、ステップS13で推定したドライバの気分が「せっかち」である場合に、返答の開始時に「ええと」「あの」等の、焦って対話を返す素振りの言葉(第1の所定の言葉)を追加して返答するように返答の仕方を設定する。また、対話返答方法設定部114は、ステップS14で推定したドライバの気分が「のんびり」である場合に、返答の開始時に「うーん」「そうですね」等の、考える素振りの言葉(第2の所定の言葉)を追加して返答するように返答の仕方を設定する。
【0060】
処理はステップS15に進み、対話生成部115は、音声入力部30から入力された音声情報を認識し、対話データ記憶部12から、認識した音声情報に対応する対話データを取得する。対話生成部115は、取得した対話データを、ステップS14で設定された返答の仕方に基づいて変更し、出力用の対話データを生成する。対話生成部115は、ステップS14で設定された返答の仕方に基づいて、対話データの先頭に追加する言葉に対応する音声データを追加して、出力用の対話データを生成する。
【0061】
処理はステップS16に進み、出力制御部116は、ステップS15で生成された出力用の対話データを、ステップS14で設定された返答の仕方に基づいて制御して、音声出力部40に出力する。出力制御部116は、ステップS14において対話返答方法設定部114が返答する間を「短い」に設定した場合には、音声入力部30から取得したドライバの音声が終了してから0.4秒後に、出力用の対話データの出力を開始する。また、出力制御部116は、ステップS14において対話返答方法設定部114が返答する間を「長い」に設定した場合には、音声入力部30から取得したドライバの音声が終了してから1.4秒後に、出力用の対話データの出力を開始する。その後、対話生成装置10は、図4の処理を終了する。
【0062】
[作用効果]
以上説明したように、一実施形態に係る音声対話装置1は、車両制御状態取得部111と、推定部(ドライバ気分推定部)113と、対話返答方法設定部114と、を備える。車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報を取得する。推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分を推定する。対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分に応じて、ドライバに対する返答の仕方を設定する。なお、車両制御状態取得部111は、ドライバの操作により設定可能な車両の制御状態に関する情報を取得する。
【0063】
車両の制御状態はドライバにより制御可能であるため、車両の制御状態に関する情報には、ドライバの気分が反映されている。このため、車両の制御状態に関する情報に基づいて、推定部113はドライバの気分を推定することができる。対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分に合った返答の仕方を設定できる。対話生成部115が設定された返答の仕方に基づいて対話データを生成し、出力制御部116が設定された返答の仕方に基づいて、対話データを制御して出力することができる。これにより、音声対話装置1は、車両のドライバが音声対話装置1と対話するときのドライバと音声対話装置1の一体感を高めることが可能となる。
【0064】
また、一実施形態に係る音声対話装置1の車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、車両の要求駆動力に対する駆動アクチュエータの応答性を決定する走行モードを示す情報を取得してもよい。
【0065】
ドライバにより設定された車両の走行モードを示す情報を取得することにより、推定部113は、走行モードに基づいてドライバの気分を推定できる。
【0066】
また、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、車両の自動運転制御時の車間距離、加速度、速度、車線変更の頻度、または走行モードのうち少なくとも1つを示す自動運転制御情報を取得してもよい。ドライバにより設定された自動運転制御情報を取得することにより、推定部113は、自動運転制御情報に基づいてドライバの気分を推定できる。
【0067】
また、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、車両の自動運転制御に対するドライバのオーバーライドに関する情報を取得してもよい。推定部113は、ドライバのオーバーライドに関する情報に基づいてドライバの気分を推定できる。
【0068】
また、車両制御状態取得部111は、車両の制御状態に関する情報として、車両の車高の状態を示す情報を取得してもよい。車両の車高の状態を示す情報を取得することにより、推定部113は、車両の車高の状態に基づいてドライバの気分を推定できる。
【0069】
また、推定部113は、取得した車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分が第1の気分か、第1の気分よりも落ち着いた気分である第2の気分かを推定する。対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が第1の気分である場合に、推定したドライバの気分が第2の気分である場合よりもドライバに対して返答する間が短くなるように、返答の仕方を設定する。
【0070】
対話返答方法設定部114がドライバの気分に合わせてドライバに対して返答する間を変更することにより、出力制御部116は、その時のドライバの気分に合った間で対話データを出力できる。これにより、ドライバが、自身の気分に合った間で音声対話装置1との対話を行うことができ、音声対話装置1が対話時にドライバに与える違和感を低減できる。その結果、音声対話装置1は、車両のドライバが音声対話装置1と対話するときのドライバと音声対話装置の一体感を高めることが可能となる。
【0071】
また、対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が第1の気分である場合に、返答の開始時に第1の所定の言葉を追加して返答するように返答の仕方を設定してもよい。また、対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が第2の気分である場合に、返答の開始時に第2の所定の言葉を追加して返答するように返答の仕方を設定してもよい。これにより、対話生成部115がドライバに対する返答の開始時にドライバの気分に合わせた所定の言葉を追加した対話データを生成し、出力制御部116が生成された対話データを出力できる。これにより、音声対話装置1は、ドライバと音声対話装置1の一体感をより高めることが可能となる。
【0072】
また、対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が第2の気分である場合に、単語毎に区切りながら返答するように返答の仕方を設定してもよい。これにより、対話生成部115が単語毎に区切りながら返答する対話データを生成し、出力制御部116が生成された対話データを出力できる。これにより、対話生成部115は、出力制御部116は、その時のドライバ気分に合った対話の傾向で対話データを出力できる。音声対話装置1は、ドライバと音声対話装置1の一体感をより高めることが可能となる。
【0073】
また、対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分が第1の気分である場合に、体言止めで返答するように返答の仕方を設定してもよい。これにより、対話生成部115が体言止めで返答する対話データを生成し、出力制御部116が生成された対話データを出力できる。これにより、対話生成部115は、出力制御部116は、その時のドライバ気分に合った対話の傾向で対話データを出力できる音声対話装置1は、ドライバと音声対話装置1の一体感をより高めることが可能となる。
【0074】
また、対話返答方法設定部114は、推定したドライバの気分に応じて、返答の速度、アクセント、抑揚の大きさのうち少なくとも一つを変更してもよい。これにより、出力制御部116は、ドライバの気分に合った速度、アクセント、抑揚の大きさで対話データを出力できる。ドライバが、自身の気分に合った速度、アクセント、抑揚で音声対話装置と対話を行うことができ、音声対話装置が対話時にドライバに与える違和感を低減できる。その結果、音声対話装置は、車両のドライバが音声対話装置1と対話するときのドライバと音声対話装置1の一体感を高めることが可能となる。
【0075】
また、一実施形態に係る音声対話装置は、優先度設定部112をさらに備える。車両制御状態取得部111は、ドライバにより操作可能な車両の制御状態に関する複数の情報を取得する。優先度設定部112は、車両の制御状態に対するドライバの気分による影響の大きさに基づいて複数の情報の優先度を設定する。推定部113は、複数の情報と優先度とに基づいて車両のドライバの気分を推定する。推定部113は、車両の制御状態に関する複数の情報と優先度とに基づいて車両のドライバの気分を推定することにより、車両の制御状態に対するドライバの気分による影響の大きさを考慮して、より正確にドライバの気分を推定できる。
【0076】
また、優先度設定部112は、ドライバのオーバーライドに関する情報の優先度が最も高くなるように複数の情報の優先度を設定してもよい。ドライバのオーバーライドに関する情報の優先度を最も高く設定することにより、推定部113は、最も直近のドライバの行動からドライバの気分を推定することができ、より正確にドライバの気分を推定できる。
【0077】
また、優先度設定部112は、自動運転制御情報の優先度が2番目となるように複数の情報の優先度を設定してもよい。自動運転制御情報の優先度を2番目に設定することにより、推定部113は、自動運転のオーバーライドが行われていない場合でも、ドライバの行動からドライバの気分を推定することができる。
【0078】
また、優先度設定部112は、車両の車高の状態を示す情報の優先度が3番目となるように複数の情報の優先度を設定してもよい。車両の車高の状態を示す情報を3番目に高く設定することにより、推定部113は、自動運転のオーバーライドが行われておらず、自動運転制御が行われていない場合でも、ドライバの行動からドライバの気分を推定することができる。
【0079】
また、推定部113は、最も直近に変更された車両の制御状態に関する情報に基づいて車両のドライバの気分を推定してもよい。これにより、推定部113は、最も直近のドライバの気分を反映した情報に基づいて、ドライバの気分を推定できるため、より正確に現在のドライバの気分を推定することができる。
【0080】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0081】
1 音声対話装置
111 車両制御状態取得部
113 ドライバ気分推定部(推定部)
114 対話返答方法設定部
図1
図2
図3
図4