(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017604
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 3/00 20060101AFI20240201BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E05B3/00 E
E05B1/00 311H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120352
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】不破 幸治
(72)【発明者】
【氏名】大野 学
(72)【発明者】
【氏名】有馬 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】山瀬 健太
(57)【要約】
【課題】簡単な構造でドアの開放における初期の開放力を軽減できるドアハンドル装置を提供する。
【解決手段】ドアの第1面に装着される内側台座部と第2面に装着される外側台座部と、ドアの凹部に取り付けられる箱錠と、内側台座部、外側台座部及び箱錠をドアの厚さ方向に貫通する角軸と、角軸の両端に設けられるハンドルと、角軸を挟んで第1方向の両側に配置され、内側台座部及び外側台座部の何れか一方に係合し他方にねじ止めされ、箱錠を厚さ方向に貫通する一対の取付ねじと、箱錠に角軸を挟んだ第1方向の両側に配置され、箱錠を厚さ方向に貫通し、取付ねじが挿し通される一対の孔部と、箱錠に着脱可能に取り付けられるアタッチメントと、を有する。アタッチメントは、厚さ方向に延びて一対の孔部に嵌め合わされ、少なくとも第2方向で取付ねじの外周を保持する一対の保持部と、一対の保持部を連結して位置決めする連結部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの第1面に装着される内側台座部と、
前記ドアの前記第1面と反対側の第2面に装着される外側台座部と、
前記ドアの端面に設けられた凹部に挿入して取り付けられる箱錠と、
前記内側台座部、前記外側台座部及び前記箱錠をそれぞれ前記ドアの厚さ方向に貫通する角軸と、
前記角軸の両端にそれぞれ設けられるハンドルと、
前記角軸を挟んで前記厚さ方向と直交する第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記内側台座部及び前記外側台座部の何れか一方に係合し何れか他方にねじ止めされ、前記箱錠を前記厚さ方向に貫通する一対の取付ねじと、
前記箱錠に前記角軸を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記第1方向に延び前記箱錠を前記厚さ方向に貫通し、前記取付ねじが挿し通される一対の孔部と、
前記箱錠に着脱可能に取り付けられるアタッチメントと、
を有し、
前記アタッチメントは、
前記厚さ方向に延びて一対の前記孔部にそれぞれ嵌め合わされ、少なくとも前記厚さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向で前記取付ねじの外周を保持する一対の保持部と、
一対の前記保持部を連結して位置決めする連結部と、
を有する、ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記厚さ方向に見て、前記第1方向の外側に向かうにつれて前記第2方向の両側に湾曲して延びるC字状である、
請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
前記第2方向の両側に延びる前記保持部のうち、前記ハンドルの回転方向について、解錠方向側の前記保持部は施錠方向側の前記保持部よりも長い、
請求項2に記載のドアハンドル装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記孔部の全体に亘って充填され、前記取付ねじが挿し通される位置に前記保持部を前記厚さ方向に貫通する保持孔を有する
請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項5】
前記保持部における前記厚さ方向の一端は、前記第1面と面一の位置であり、
前記保持部における前記厚さ方向の他端は、前記第2面と面一の位置である、
請求項2から4のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【請求項6】
前記箱錠は、前記角軸が嵌め合わされるハブ部を有し、
前記連結部は、前記ハブ部の外側に位置する環状部を有する、
請求項2から4のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【請求項7】
前記連結部は、前記内側台座部及び前記外側台座部であり、
前記保持部は、
前記内側台座部及び前記外側台座部の何れか前記一方から前記箱錠に向けて突出し、前記取付ねじにおけるヘッド部から延びるねじ部が挿し通される保持孔を有する第1筒部と、
前記内側台座部及び前記外側台座部の何れか前記他方から前記箱錠に向けて突出し、前記ねじ部がねじ止めされる雌ねじ部を有する第2筒部と、
を有する、
請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項8】
前記第1筒部と前記第2筒部の前記厚さ方向の寸法の合計は、前記ドアの前記厚さと同一である、
請求項7に記載のドアハンドル装置。
【請求項9】
前記ハンドルは、レバーハンドルである、
請求項1に記載のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアにハンドルが回転可能に設けられたドアハンドル装置において、ハンドルは、ドアの外側と内側にそれぞれ設けられた台座部を介してドアに取り付けられる。外側と内側の台座部は、ドアの側面に設けられた凹部に取り付けられた箱錠を貫通する一対のねじを用いてドアに固定される。ハンドルは、箱錠のラッチハブと嵌め合わされる角軸を有し、回転することでラッチが解錠及び施錠する。
【0003】
ドアハンドル装置においては、ラッチハブと角軸との間の隙間及びハンドルにおける角穴と角軸との間の隙間の少なくとも何れか一方に起因して、ハンドルのがたつき現象が生じることがある。特許文献1には、ハンドルの軸部の座挿入先端部の外周面にサンドイッチ状に圧接変位する板ばねを設けることによって、ハンドルのがたつき現象を抑える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
意匠性の高い外国製のハンドルが装着された造作建具が増えている。外国製のハンドルは、台座部を固定する一対の取付ねじのピッチが異なる場合がある。ピッチが異なる取付ねじに対応させる場合、例えば、箱錠において取付ねじが貫通する孔部を一対の取付ねじの配置方向に延びる長孔形状とすることが考えられる。例えば、外国製のハンドルに対応する箱錠において一対の取付ねじの中心間距離が38mmの場合、箱錠から取付ねじの一方がはみ出してしまうことで、回転方向の抑制が効かなくなり、ハンドルの回動によってがたつき現象が生じやすくなるという問題が生じている。
【0006】
ねじ径が異なる場合を考慮すると、取付ねじの配置方向と交差する方向の孔部の寸法を大きくすることが考えられる。孔部の寸法がねじ径よりも大きく、孔部と取付ねじとの間に隙間が形成されていると、ハンドルを回転させた際に、孔部と取付ねじの相対移動によりハンドルのがたつき現象が生じることがある。特許文献1には、角軸の周囲に形成された隙間に起因するハンドルのがたつき現象を抑える構成は開示されているが、孔部と取付ねじとの間に形成された隙間に起因するハンドルのがたつき現象を抑える構成については言及されていない。
【0007】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、孔部と取付ねじとの間に形成された隙間に起因するハンドルのがたつき現象を抑えることができるドアハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、ドアの第1面に装着される内側台座部と、前記ドアの前記第1面と反対側の第2面に装着される外側台座部と、前記ドアの端面に設けられた凹部に挿入して取り付けられる箱錠と、前記内側台座部、前記外側台座部及び前記箱錠をそれぞれ前記ドアの厚さ方向に貫通する角軸と、前記角軸の両端にそれぞれ設けられるハンドルと、前記角軸を挟んで前記厚さ方向と直交する第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記内側台座部及び前記外側台座部の何れか一方に係合し他方にねじ止めされ、前記箱錠を前記厚さ方向に貫通する一対の取付ねじと、前記箱錠に前記角軸を挟んだ前記第1方向の両側にそれぞれ配置され、前記第1方向に延び前記箱錠を前記厚さ方向に貫通し、前記取付ねじが挿し通される一対の孔部と、前記箱錠に着脱可能に取り付けられるアタッチメントと、を有し、前記アタッチメントは、前記厚さ方向に延びて一対の前記孔部にそれぞれ嵌め合わされ、少なくとも前記厚さ方向と前記第1方向とに直交する第2方向で前記取付ねじの外周を保持する一対の保持部と、一対の前記保持部を連結して位置決めする連結部と、を有する、ドアハンドル装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示のドアハンドル装置を含むドアを示す斜視図である。
【
図2】第1ハンドルが取り付けられる本開示のドアハンドル装置の分解斜視図である。
【
図3】本開示のドアハンドル装置における箱錠の正面図である。
【
図4】第1ハンドルが取り付けられる本開示のドアハンドル装置の内部構成を示す図である。
【
図5】本開示のアタッチメントを箱錠から分解した斜視図である。
【
図6】第2ハンドルが取り付けられる本開示のドアハンドル装置の分解斜視図である。
【
図7】第2ハンドルが取り付けられる本開示のドアハンドル装置の内部構成を示す図である。
【
図8】本開示のアタッチメントの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示のドアハンドル装置の実施の形態を、
図1から
図9を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0011】
図1に示すように、ドアハンドル装置DAは、ドア1に設けられる。ドア1は、開き戸である。ドアハンドル装置DAは、箱錠23と、第1ハンドル31A及び第2ハンドル31Bの何れか一方と、を有する。ドアハンドル装置DAは、同一の箱錠23に対して一対の取付ねじのピッチが異なる第1ハンドル31A又は第2ハンドル31Bを取り付け可能である。
【0012】
図2から
図5に示すドアハンドル装置DAは、第1ハンドル31A、32Aが取り付けられる。
図2に示すように、ドアハンドル装置DAは、外側台座部21Aと、内側台座部22Aと、箱錠23と、角軸24Aと、取付ねじ25Aと、第1ハンドル31A、32Aと、アタッチメント50Aと、を有する。第1ハンドル31A、32Aは、ハンドルに対応する。
【0013】
箱錠23は、ドア1の端面1cに設けられた凹部1dに挿入して取り付けられる。箱錠23は、ドア1に対して交換可能である。ドア1には、室外側の第1ハンドル31Aと室内側の第1ハンドル32Aが取り付けられている。第1ハンドル31A、32Aを操作したときに、ラッチボルト10がドア1の端面1cに対して出没する。ドア1を閉めた状態のときに、ラッチボルト10がドア1の端面1cから突出してドア枠5のストライカー3に挿入される。ラッチボルト10がドア枠5のストライカー3に挿入されたときに、ドア1を閉めた状態が維持される。
【0014】
以下の説明では、ラッチボルト10の進退移動方向を左右方向と呼ぶ。左右方向は、第1方向に対応する。ドア1の厚さ方向を厚さ方向と呼ぶ。
図2において、ドア1に対して厚さ方向における第1ハンドル31Aが設けられる側を室外側と呼び、第1ハンドル32Aが設けられる側を室内側と呼ぶ。
図1及び
図2における上下方向を上下方向と呼ぶ。上下方向は、左右方向と厚さ方向とに直交する第2方向に対応する。
【0015】
図3及び
図4に示すように、箱錠23は、ハブ部26と、一対の孔部27、28とを有する。ハブ部26は、嵌合凹部26Aを有する。嵌合凹部26Aは、厚さ方向に貫通する。嵌合凹部26Aは、厚さ方向に延び断面が正方形の2つの角穴が、中心軸を合致させ、且つ、中心軸回りに45°ずれた形状である。各角穴における断面の辺の寸法は、一例として8mmである。嵌合凹部26Aには、断面が正方形の角軸24Aが嵌め合わされて挿し通される。嵌合凹部26Aに挿し通された角軸24Aは、箱錠23を厚さ方向に貫通し、厚さ方向の両側において、ドア1から突出する。嵌合凹部26Aに挿し通された角軸24Aが、
図3において時計回り方向に回転したときに、ラッチボルト10がストライカー3から離脱してドア1が解錠される。
【0016】
孔部27、28は、左右方向に延びており、箱錠23を厚さ方向に貫通する。孔部27、28は、嵌合凹部26A及び角軸24Aを挟んだ左右方向の両側にそれぞれ配置されている。ラッチボルト10に近い左側に位置する孔部27は、厚さ方向に見て長円形状である。右側に位置する孔部28における嵌合凹部26Aに対して遠い側の端部は、箱錠23における右側の端縁に開口している。孔部27、28には、取付ねじ25Aが室外側からそれぞれ挿し通される。
【0017】
孔部27、28における嵌合凹部26Aに近い側の円弧中心間の距離W1は、一例として、28mmである。孔部27、28に挿し通される一対の取付ねじ25Aの中心間距離W2は、一例として、38mmである。
【0018】
ドア1は、室外側に臨む第2面1aに箱錠23の一部を室外側に露出させる開口部2aを有する。開口部2aは、嵌合凹部26A及び取付ねじ25Aを室外側に露出させるとともに外側台座部21Aの外形よりも小さい範囲に形成されている。ドア1は、室内側に臨む第1面1bに箱錠23の一部を室内側に露出させる開口部2bを有する。第2面1aは、第1面1bの反対側である。開口部2bは、嵌合凹部26A及び取付ねじ25Aを室内側に露出させ、内側台座部22Aの外形よりも小さい範囲に形成されている。
【0019】
外側台座部21Aは、上下方向に延びる長円状の貫通孔21aを有する円環状である。
図4に示すように、外側台座部21Aは、ドア1の第2面1aに装着される。外側台座部21Aは、室外側から室内側に向けて窪んだ窪み41Aを有する。窪み41Aは、左右方向に離れて対で設けられている。窪み41Aは、室内側に向かうにつれて径が小さくなっている。
【0020】
内側台座部22Aは、上下方向に延びる長円状の貫通孔22aを有する円環状である。内側台座部22Aは、ドア1の第1面1bに装着される。内側台座部22Aは、室外側に突出する円筒部42Aを有する。円筒部42Aは、窪み41Aと厚さ方向に対向する。円筒部42Aは、開口部2bを介して箱錠23の内部に突出している。円筒部42Aは、左右方向に離れて対で設けられている。円筒部42Aの内周面には、雌ねじ部42aが形成されている。
【0021】
一対の取付ねじ25Aは、嵌合凹部26A及び角軸24Aを挟んだ左右方向の両側にそれぞれ配置されている。取付ねじ25Aは、箱錠23を厚さ方向に貫通する。取付ねじ25Aは、ヘッド部45aと、ねじ部45bとを有する。取付ねじ25Aは、外側台座部21A及び内側台座部22Aの何れか一方に係合し何れか他方にねじ止めされる。取付ねじ25Aは、ねじ部45bが室外側から開口部2aを介して、外側台座部21Aにおける窪み41Aに挿し通されるとともに、ヘッド部45aが室外側から外側台座部21Aにおける窪み41Aに係合する。窪み41Aに挿し通された取付ねじ25Aは、ねじ部45bが円筒部42Aの雌ねじ部42aにねじ止めされる。ねじ部45bを雌ねじ部42aにねじ込むことで、外側台座部21A及び内側台座部22Aは、厚さ方向において両側からドア1を挟み込む状態でドア1に固定される。
【0022】
角軸24Aは、外側台座部21A、内側台座部22A、及び箱錠23をそれぞれ厚さ方向に貫通する。角軸24Aは、断面が正方形である。角軸24Aにおける断面の辺の寸法は、一例として8mmより小さい。角軸24Aは、嵌合凹部26Aに嵌め合わされて挿し通される。角軸24Aの両端には、第1ハンドル31Aと第1ハンドル32Aが設けられている。第1ハンドル31A及び第1ハンドル32Aは、レバーハンドルである。
【0023】
第1ハンドル31Aは、室外側に位置する。第1ハンドル31Aは、角穴46Aとフランジ部47Aを有する。角穴46Aは、断面が正方形であり、厚さ方向に延びる。角穴46Aは、嵌合凹部26Aと同軸であり、嵌合凹部26Aと対向する位置に開口する。角穴46Aには、角軸24Aにおける室外側の端部が嵌め合わされて挿入される。フランジ部47Aは、ドア1の第2面1aに装着される。フランジ部47Aは、ドア1に臨んで開口する窪み48Aを有する。窪み48Aには、室内側から外側台座部21Aが挿入される。窪み48Aに外側台座部21Aが挿入された第1ハンドル31Aは、外側台座部21Aの外周面に沿って回転可能である。
【0024】
第1ハンドル32Aは、室内側に位置する。第1ハンドル32Aは、角軸24Aとフランジ部49Aを有する。角軸24Aは、第1ハンドル32Aから室外側に突出し厚さ方向に延びる。第1ハンドル32Aは、角軸24Aが突出する構成の他に、角穴が設けられ角穴に角軸24Aが挿入される構成であってもよい。
【0025】
フランジ部49Aは、ドア1の第1面1bに装着される。フランジ部49Aは、ドア1に臨んで開口する窪み43Aを有する。窪み43Aには、室外側から内側台座部22Aが挿入される。窪み43Aに内側台座部22Aが挿入された第1ハンドル32Aは、内側台座部22Aの外周面に沿って回転可能である。
【0026】
アタッチメント50Aは、箱錠23に着脱可能に取り付けられる。
図4及び
図5に示すように、アタッチメント50Aは、一対の保持部51Aと、連結部52Aとを有する。一対の保持部51Aは、厚さ方向に延びており、孔部27、28に室内側から開口部2bを介してそれぞれ嵌め合わされる。アタッチメント50Aは、一例として、弾性変形可能な樹脂材で形成されている。
【0027】
保持部51Aは、少なくとも上下方向で取付ねじ25Aの外周を保持する。保持部51Aは、厚さ方向に見て、ハブ部26及び嵌合凹部26Aの中心軸Jに対して、左右方向の外側に向かうにつれて上下方向の両側に湾曲して延びるC字状である。左右方向の外側に湾曲して延びた保持部51Aは、孔部27、28において上下方向で取付ねじ25Aのねじ部45bと箱錠23との間に位置し、ねじ部45bを上下方向で保持する。本実施形態では、保持部51Aは厚さ方向に見てC字状を有するが、これに限定されず、例えば厚さ方向に見て円形状で厚さ方向に延びる円筒状であってもよい。
【0028】
第1ハンドル31A、32Aの何れか一方を解錠方向に回転させた際には、孔部27、28においてねじ部45bと箱錠23との間に、中心軸Jを中心とする周方向となる上下方向に隙間が形成されていると、孔部27、28を有する箱錠23とねじ部45bとが相対移動して、がたつき現象が生じることがある。ドアハンドル装置DAにおいては、保持部51Aがねじ部45bを上下方向で保持することで隙間が狭くなりがたつき現象を抑制することができる。
【0029】
上下方向に湾曲して延びるC字状の保持部51Aのうち、中心軸Jを中心とする第1ハンドル31A、32Aの回転方向について、解錠方向側の保持部51Aは施錠方向側の保持部51Aよりも長い。力が加わりやすい解錠方向側の保持部51Aを施錠方向側の保持部51Aよりも長くすることで、安定してがたつき現象を抑制することができる。
【0030】
保持部51Aにおける厚さ方向の室外側に位置する一端は、第2面1aと面一の位置である。保持部51Aにおける厚さ方向の室内側に位置する他端は、第1面1bと面一の位置である。ねじ部45bを雌ねじ部42aにねじ込むことで外側台座部21A及び内側台座部22Aをドア1に固定する際に、ねじ込み量が過度に大きくなると、外側台座部21A及び内側台座部22Aが撓んで変形する可能性がある。保持部51Aにおける一端を第2面1aと面一の位置とし、他端を第1面1bと面一の位置とすることで、保持部51Aの弾性力が抵抗となりねじ込み量が過度に大きくなることを抑制できる。ねじ込み量が過度に大きくなることを抑制することで、外側台座部21A及び内側台座部22Aの変形を抑制できる。
【0031】
連結部52Aは、一対の保持部51Aを連結して位置決めする。連結部52Aは、中心軸Jを中心としてハブ部26の外側に位置する環状部を有する。連結部52Aが一対の保持部51Aを連結することで、保持部51Aがねじ部45bを保持する位置を固定できる。取付ねじ25Aの左右方向の位置に応じて保持部51Aの位置が設定されたアタッチメント50Aを用いることで、取付ねじ25Aによって取り付けられる第1ハンドル31A、32Aを用いることができる。
【0032】
図6から
図7に示すドアハンドル装置DBは、第2ハンドル31B、32Bが取り付けられる。これらの図において、
図2から
図5に示したドアハンドル装置DAの構成要素と同一の要素については、符号の末尾に付した「A」を「B」とし、その説明を省略又は簡略化する。ドアハンドル装置DAに対して、ドアハンドル装置DBが新たに有する構成要素については、符号の末尾に「C」を付している。
【0033】
図6に示すように、ドアハンドル装置DBは、外側台座部21Bと、内側台座部22Bと、箱錠23と、角軸24Bと、取付ねじ25Bと、第2ハンドル31B、32Bと、アタッチメント50Bと、カバー61Cとカバー62Cと、を有する。孔部27、28に挿し通される一対の取付ねじ25Bの中心間距離W2は、一例として、32mmである。第2ハンドル31B、32Bは、ハンドルに対応する。第2ハンドル31B及び第2ハンドル32Bは、レバーハンドルである。
【0034】
外側台座部21Bは、円形の貫通孔21bを有する円環状である。
図7に示すように、外側台座部21Bは、ドア1の第2面1aに装着される。ドア1の第2面1aに装着された外側台座部21Bは、室外側に向く面及び側面がカバー61Cによって覆われる。外側台座部21Bは、第1筒部63Cと窪み41Bとを有する。
【0035】
第1筒部63Cは、外側台座部21Bから開口部2bを介して箱錠23に向けて突出している。第1筒部63Cは、左右方向に離れて対で設けられている。第1筒部63Cは、室外側に位置する孔部27、28に挿入されて嵌め合わされている。第1筒部63Cの中心には厚さ方向に延びる保持孔64Cが形成されている。窪み41Bは、保持孔64Cと同軸に配置され、室外側から室内側に向けて窪んでいる。窪み41Bの底部には、保持孔64Cが開口している。
【0036】
内側台座部22Bは、円形の貫通孔22bを有する円環状である。内側台座部22Bは、ドア1の第1面1bに装着される。ドア1の第1面1bに装着された内側台座部22Bは、室内側に向く面及び側面がカバー62Cによって覆われる。内側台座部22Bは、室外側に突出する第2筒部42Bを有する。第2筒部42Bは、開口部2bを介して箱錠23に向けて突出している。第2筒部42Bは、第1筒部63Cと同軸に配置され厚さ方向に対向する。第2筒部42Bは、左右方向に離れて対で設けられている。第2筒部42Bは、室内側に位置する孔部27、28に挿入されて嵌め合わされている。第2筒部42Bの内周面には、雌ねじ部42aが形成されている。第1筒部63Cと第2筒部42Bの厚さ方向の寸法の合計は、ドア1の厚さと同一である。
【0037】
一対の取付ねじ25Bは、嵌合凹部26A及び角軸24Bを挟んだ左右方向の両側にそれぞれ配置されている。取付ねじ25Bは、箱錠23を厚さ方向に貫通する。取付ねじ25Bは、ねじ部45bが室外側から外側台座部21Bにおける窪み41B及び保持孔64Cに挿し通されるとともに、ヘッド部45aが室外側から外側台座部21Bにおける窪み41Bに係合する。窪み41B及び保持孔64Cに挿し通された取付ねじ25Bは、ねじ部45bが第2筒部42Bの雌ねじ部42aにねじ止めされる。ねじ部45bは、第1筒部63C及び第2筒部42Bを介して孔部27、28に挿入されている。ねじ部45bを雌ねじ部42aにねじ込むことで、外側台座部21B及び内側台座部22Bは、厚さ方向において両側からドア1を挟み込む状態でドア1に固定される。
【0038】
第1筒部63C及び第2筒部42Bは、厚さ方向に延びて孔部27、28にそれぞれ嵌め合わされ、少なくとも上下方向で取付ねじ25Bの外周を保持する保持部51Bに対応する。外側台座部21Bは、一対の第1筒部63Cを連結して位置決めする連結部52Bに対応する。内側台座部22Bは、一対の第2筒部42Bを連結して位置決めする連結部52Bに対応する。連結部52Bとしての外側台座部21B及び内側台座部22Bと、保持部51Bとしての第1筒部63C及び第2筒部42Bは、アタッチメント50Bに対応する。
【0039】
角軸24Bは、外側台座部21B、内側台座部22B、及び箱錠23をそれぞれ厚さ方向に貫通する。角軸24Bは、断面が正方形である。角軸24Bにおける断面の辺の寸法は、一例として、7mmである。嵌合凹部26Aの角穴における断面の辺の寸法は、8mmであり、角軸24Bを嵌合凹部26Aの角穴に嵌め合わせるためには、角軸用アタッチメントを用いることが好ましい。角軸用アタッチメントは、例えば、断面正方形の角筒状であり、外周の辺の長さが8mm、内周の辺の長さが7mmとし、角軸24Bを内周側に嵌め合わせた角軸用アタッチメントの外周側を、嵌合凹部26Aの角穴に嵌め合わせればよい。角軸24Bの両端には、第2ハンドル31Bと第2ハンドル32Bが設けられている。
【0040】
第2ハンドル31Bは、室外側に位置する。第2ハンドル31Bは、角穴46Bと嵌合突部65Cとを有する。嵌合突部65Cは、室内側に突出する円筒状であり、外側台座部21Bの貫通孔21bに回転可能に嵌め合わされる。角穴46Bに角軸24Bが挿入された第2ハンドル31Bは、貫通孔21bに沿って回転可能である。
【0041】
第2ハンドル32Bは、室内側に位置する。第2ハンドル32Bは、角穴46Cと嵌合突部66Cとを有する。嵌合突部66Cは、室外側に突出する円筒状であり、内側台座部22Bの貫通孔22bに回転可能に嵌め合わされる。角穴46Cに角軸24Bが挿入された第2ハンドル32Bは、貫通孔22bに沿って回転可能である。
【0042】
ドアハンドル装置DBにおいては、第1筒部63C及び第2筒部42Bがねじ部45bを少なくとも上下方向で保持することで孔部27、28における隙間が狭くなり、第2ハンドル31B、32Bの何れか一方を解錠方向に回転させた際にがたつき現象を抑制することができる。
【0043】
第1筒部63Cと第2筒部42Bの厚さ方向の寸法の合計がドア1の厚さと同一であるため、第1筒部63C及び第2筒部42Bの厚さ方向の弾性力が抵抗となりねじ込み量が過度に大きくなることを抑制できる。ねじ込み量が過度に大きくなることを抑制することで、外側台座部21B及び内側台座部22Bの変形を抑制できる。
【0044】
実施形態のドアハンドル装置DA、DBを使用したときには、取付ねじ25A、25Bのピッチが異なるハンドルに対しても、アタッチメント50A、50Bを用いることで孔部27、28と取付ねじ25A、25Bとの間に形成された隙間に起因するハンドルのがたつき現象を抑えることができる。
【0045】
実施形態のドアハンドル装置DAを使用したときには、保持部51Aが左右方向の外側に向かうにつれて上下方向の両側に湾曲して延びるC字状であるため、取付ねじ25Aの左右方向の外側には保持部51Aが配置されない。取付ねじ25Aの左右方向の外側に保持部51Aが配置されないことによって、取付ねじ25Aのピッチが大きい場合でも、ハンドルのがたつき現象を抑制しやすくできる。実施形態のドアハンドル装置DAを使用したときには、保持部51Aが左右方向の外側に延び左右方向の内側から取付ねじ25Aを保持するため、箱錠23からはみ出した取付ねじ25Aに対しても周方向の両側で保持することによって、ハンドルのがたつき現象を抑制できる。
【0046】
実施形態のドアハンドル装置DBを使用したときには、外側台座部21Bと第1筒部63Cが一体化され、内側台座部22Bと第2筒部42Bが一体化されているため、外側台座部21B及び内側台座部22Bをドア1の第2面1a及び第1面1bにそれぞれ装着する際に、第1筒部63C及び第2筒部42Bを孔部27、28に嵌め合わせることができる。外側台座部21Bと第1筒部63Cが一体化され、内側台座部22Bと第2筒部42Bが一体化されることによって、第1筒部63C及び第2筒部42Bを孔部27、28に嵌め合わせる作業を別途行う必要が無くなり、組み立てに要する作業時間を短くできる。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0048】
例えば、ドアハンドル装置DAの保持部51Aは、中心軸Jを中心とする第1ハンドル31A、32Aの回転方向について、解錠方向側の保持部51Aが施錠方向側の保持部51Aよりも長い構成を例示したが、解錠方向側の保持部51Aと施錠方向側の保持部51Aが同じ長さであってもよい。
【0049】
実施形態のドアハンドル装置DA、DBにおいては、保持部51A、51Bが孔部27、28の一部を占有する構成を例示したが、
図8に示すように、孔部27、28の全体に亘って充填された保持部51Cが連結部52Cによって連結され、取付ねじが挿し通される位置に保持部51Cを厚さ方向に貫通する保持孔67Cが設けられるアタッチメント50Cを有する構成であってもよい。孔部27、28の全体に亘って保持部51Cを充填して設けることで、孔部27、28と取付ねじ25A、25Bとの間に形成された隙間をさらに小さくでき、ハンドルのがたつき現象を一層抑えることが可能になる。
【0050】
実施形態のドアハンドル装置DAにおいては、連結部52Aがハブ部26の外側に位置する環状部を有する構成を例示した。連結部52Aとしては、全周に亘る環状部の他に環状部の一部である半円弧形状であってもよい。連結部52Aとしては、線形状の他に、ハブ部26の外側に位置する面状であってもよい。
【0051】
実施形態のドアハンドル装置DA、DBにおいては、ラッチボルト10を用いた機械式ラッチが設けられる構成を例示したが、マグネットラッチが設けられる構成であってもよい。マグネットラッチを用いた場合には、ハンドルの操作角度を小さくできるとともに、ラッチボルトの出っ張りがなく、ドア枠5の見付面にストライクの金属ベロ部が見えないように納めることができる。
【0052】
実施形態のドアハンドル装置DA、DBにおいては、ハンドルがレバーハンドルである構成を例示した。ドアハンドル装置DA、DBを構成するハンドルとしては、レバーハンドルの他に、握り玉式のハンドルであってもよい。
【0053】
実施形態で示したアタッチメント50A、50Bは、一体成形でもよいし、2以上の部材によって組み合わせた別体構成でもよい。
【0054】
実施形態のドアハンドル装置DA、DBにおいては、保持部51A、51Bが孔部27、28の一部または全体に亘って占有する構成を例示したが、実施形態で示した取付ねじ25A、25Bがねじ止めされる雌ねじ部42aを有する第2筒部42Bによって孔部27、28の全体を占有するようにしてもよい。例えば、一対の取付ねじの中心間距離が38mmの場合において、雌ねじ部42aを有する第2筒部42Bを、
図9に示すように、楕円形状にすることで、第2筒部42Bによって取付ねじ25A、25Bの周囲を囲繞するとともに孔部27、28の全体に亘って充填される。この場合は、必ずしもアタッチメント50A、50Bを用いることなく、取付ねじ25A、25Bのピッチが異なるハンドルに対しても、孔部27、28と取付ねじ25A、25Bとの間に形成された隙間に起因するハンドルのがたつき現象を抑えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1…ドア、1a…第2面、1b…第1面、1c…端面、1d…凹部、21A、21B…外側台座部、22A、22B…内側台座部、23…箱錠、24A、24B…角軸、25A、25B…取付ねじ、26…ハブ部、27、28…孔部、31A、32A…第1ハンドル、31B、32B…第2ハンドル、42a…雌ねじ部、42B…第2筒部、50A、50B、50C…アタッチメント、51A、51B、51C…保持部、52A、52B…連結部、63C…第1筒部、64C、67C…保持孔、DA、DB…ドアハンドル装置