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特開2024-176040推測装置、推測方法、及び推測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176040
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】推測装置、推測方法、及び推測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094239
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 僚介
(72)【発明者】
【氏名】檜 一平
(72)【発明者】
【氏名】川井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大祐
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】データベースにそのコーションプレートの位置情報が格納されていない車両であっても、その車両に取り付けてあるコーションプレートの位置を推測する推測装置、推測方法及び推測プログラムを提供する。
【解決手段】推測装置は、複数の車両それぞれの属性を含む属性情報と各車両におけるコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報とを対応付けたデータを記憶する記憶装置と、対象車両の属性情報を取得する取得処理、対象車両の属性情報とデータに含まれる各車両の属性情報とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する推測処理及び推測した対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を出力する出力処理を実行する処理装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両それぞれの属性を含む属性情報と、各車両におけるコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報とを対応付けたデータを記憶する記憶装置と、
対象車両の属性情報を取得する取得処理と、
前記対象車両の属性情報と、前記データに含まれる各車両の属性情報とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する推測処理と、
推測した前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を出力する出力処理と、
を実行する処理装置を備える、推測装置。
【請求項2】
前記属性情報は、車両の形状を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、前記対象車両の形状と、前記データに含まれる各車両の形状とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項3】
前記属性情報は、車両の使用国を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、前記対象車両の使用国と、前記データに含まれる各車両の使用国とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項4】
前記属性情報は、車両の製造工場を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、前記対象車両の製造工場と、前記データに含まれる各車両の製造工場とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項5】
前記属性情報は、車両の製造国を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、前記対象車両の製造国と、前記データに含まれる各車両の製造国とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項6】
前記属性情報は、車両の兄弟車の車種を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、前記対象車両の車種または兄弟車の車種と、前記データに含まれる各車両の車種または兄弟車の車種とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項7】
前記属性情報は、車両の排気量を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、前記対象車両の排気量と、前記データに含まれる各車両の排気量とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項8】
前記処理装置は、
前記推測処理において、複数の前記取り付け位置を推測し、
前記出力処理において、推測した複数の前記取り付け位置を、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置の候補として出力する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項9】
前記処理装置は、
前記取得処理において、前記対象車両を撮像した撮像画像から、前記対象車両の属性情報を取得する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項10】
前記属性情報は、複数の属性を含み、
前記処理装置は、
前記推測処理において、各属性について、前記対象車両の属性と、前記データに含まれる各車両それぞれの属性との類似性を算出し、算出した類似性が所定の条件を満たす車両の前記位置情報を、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置と推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項11】
前記処理装置は、
前記推測処理において、複数の属性それぞれに予め設定された重みに基づいて、前記類似性を算出し、算出した類似性が所定の条件を満たす車両の前記位置情報を、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置と推測する、
請求項10に記載の推測装置。
【請求項12】
前記処理装置は、
前記推測処理において、複数の車両それぞれの属性を入力データの学習データとし、前記複数の車両それぞれのコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報を出力データの学習データとすることによりモデルを生成し、生成したモデルに、前記対象車両の属性情報を入力することにより、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する、
請求項1に記載の推測装置。
【請求項13】
情報処理装置が、
対象車両の属性情報を取得する取得処理と、
複数の車両それぞれの属性を含む属性情報と、各車両におけるコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報とを対応付けたデータに含まれる各車両の属性情報と、前記対象車両の属性情報とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する推測処理と、
推測した前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を出力する出力処理とを実行する
推測方法。
【請求項14】
情報処理装置に、
対象車両の属性情報を取得する取得処理と、
複数の車両それぞれの属性を含む属性情報と、各車両におけるコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報とを対応付けたデータに含まれる各車両の属性情報と、前記対象車両の属性情報とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する推測処理と、
推測した前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を出力する出力処理とを実行させる
推測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推測装置、推測方法、及び推測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のリサイクル処理プロセスでは、自動車を解体し、その部品を回収する際に、販売時に価値のある部品、または、在庫数が少なく積極的に回収しておきたい部品などを絞り込むことで作業を効率化することができる。そのため、自動車の解体の際に、解体対象となる車両に関する情報を即時に把握することは、業務の効率化において重要な工程である。車両に関する情報を把握するために必要なものに、コーションプレートと呼ばれる車特有の情報が記載されているプレートがある。コーションプレートに記載されている情報を把握することで、解体業務、及び、解体部品の販売における情報管理をより容易にすることができる。しかしながら、コーションプレートは、メーカ、車種、製造年代、または型式などによりその取り付け位置が異なる。さらに、コーションプレートは、シート裏等、目視だけでは確認が難しい位置に取り付けられていることもある。そのため、作業者が目視でコーションプレートの位置を探索した場合には、探索に作業時間を多くとられ、業務負荷が重くなる。
【0003】
このような課題に対し、特許文献1には、自動車のリサイクルシステムの各プロセスの前処理において、データベースより車種により異なる年式等が記載してあるコーションプレートの位置の指示がなされることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-44573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、データベースに予め格納されていない車種については、コーションプレートの位置が特定できない、という問題がある。そのため、データベースに格納されていない車種の車両を解体する場合には、作業者が目視で車両内のコーションプレートの位置を探索しなければならず、探索に作業時間の多くをとられる。コーションプレートの位置情報は多く流通している車両においては公開されている一方、製造が古いものや高級車など流通数の少ない車両においてはコーションプレートの位置情報を取得するのが困難である。車種が多様化している現状を考慮すると、今後希少車種が増加し、データベースに格納されていない車両を解体する機会が多くなると考えられる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、データベースにそのコーションプレートの位置情報が格納されていない車両であっても、その車両に取り付けてあるコーションプレートの位置を推測可能な推測装置、推測方法、及び推測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つは、複数の車両それぞれの属性を含む属性情報と、各車両におけるコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報とを対応付けたデータを記憶する記憶装置と、対象車両の属性情報を取得する取得処理と、前記対象車両の属性情報と、前記データに含まれる各車両の属性情報とに基づいて、前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する推測処理と、推測した前記対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を出力する出力処理と、を実行する処理装置を備える、推測装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、データベースにそのコーションプレートの位置情報が格納されていない車両であっても、その車両に取り付けてあるコーションプレートの位置を推測することができる。
上記した以外の構成及び効果等は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における推測装置の構成例を示す図である。
図2】形状情報テーブルの一例を示す図である。
図3】対応テーブルの一例を示す図である。
図4】位置情報テーブルの一例を示す図である。
図5】コーションプレートの設置位置の一例を示す図である。
図6】推測装置で行われる処理の概要を説明する処理フロー図である。
図7】属性情報入力画面の一例を示す図である。
図8】推測処理の詳細を説明する処理フロー図である。
図9】位置候補表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
以下の説明では、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGAやASIC)を含んでいてもよい。
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0011】
<システム構成>
図1は、本実施形態における推測装置1の構成例を示す図である。推測装置1は、例えば、自動車のリサイクル処理プロセスにおいて、解体の対象の車両(以下、「対象車両」とする。)に取り付けてあるコーションプレートの位置を推測する情報処理装置である。コーションプレートとは、各車両特有の情報が記載されている金属板である。例えば、コーションプレートには、車両の製造元、車台番号、車体色番号などが記載されている。
【0012】
推測装置1は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置11と、CPU(Central Processing Unit)、及び、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリから構成される処理装置12と、キーボード、マウス、又はタッチパネル等の入力装置13と、ディスプレイ又はプリンタ等の出力装置14と、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB (Universal Serial Interface)モジュール、又はシリアル通信モジュール等で構成される通信装置15等を備える。
【0013】
記憶装置11は、形状情報テーブル200、対応テーブル300、及び、位置情報テーブル400をそれぞれ記憶している。形状情報テーブル200は、各車両の形状に関する情報を格納したデータベースである。対応テーブル300は、各車両の属性情報と、各車両に取り付けられたコーションプレートの位置とを対応付けたデータベースである。位置情報テーブル400は、コーションプレートの位置に関する情報を格納したデータベースである。
【0014】
(形状情報テーブル)
図2は、形状情報テーブル200の一例を示す図である。形状情報テーブル200は、車両の各形状を識別する形状情報IDが設定される形状情報ID201、形状の画像情報のファイル名又はアドレスが設定される形状画像202、及び、形状の名称が設定される形状名203の各データ項目を有する。形状の画像情報は、例えば、車両を撮像した撮像画像のデータである。図示する例では、1つのレコードに対し、1つの画像情報が形状画像202に設定されているが、これに限らず、複数の画像情報を設定してもよい。例えば、形状画像202には、車両の正面、側面、背面、上面、下面等、異なる方向それぞれから車両を撮像した複数の画像情報を設定してもよい。
【0015】
本実施形態における車両の形状は、車両全体の外観形状である。例えば、車両の形状の種類として、セダン、ステーションワゴン、軽乗用車、ミニバン、コンパクトカー、スポーツ、クーペ、SUV(Sport Utility Vehicle)、オープンカー、ステーションワゴン、商用車等がある。
【0016】
セダンは、エンジンルーム、乗車空間、及び荷物空間がそれぞれ別になっている点に特徴がある。ステーションワゴンは、セダンの変型であり、車室を長くし後面にもドアを設置、後部を荷物入れとした作りが特徴である。形状情報テーブル200には、このような情報を含めてもよい。
【0017】
軽乗用車は、総排気量、全長、全幅、全高、乗車定員に関する各条件を満たす車両であって、比較的小さいボディに特徴がある。ミニバンは、エンジンルームが室内空間(乗車空間及び荷物空間)と別になっており、乗車空間、及び荷物空間が一体になっている。ミニバンは、室内空間に3列のシートを持ち、そのシートをスライドさせたり倒したりと用途に合わせてアレンジができることに特徴がある。形状情報テーブル200には、このような情報を含めてもよい。
【0018】
コンパクト―カーは、ボディが比較的小さめで、排気量の小さなエンジンを積んだ車両である。コンパクトカーは、エンジンルームが室内空間と別になっており、乗車空間及び荷物空間が一体となった2ボックスタイプである。形状情報テーブル200には、このような情報を含めてもよい。
【0019】
スポーツは、運動性能を一番に重視して製造されており、大きなパワーの出るエンジンや高回転までスムーズに回るエンジン等が使用されていることが特徴である。クーペは、2ドアの乗用車の一種であり、屋根が低くスポーティなデザインを特徴としている。クーペは、車高が低く、広いホイールベースとワイドトレッドで安定感を持たせることが多い。形状情報テーブル200には、このような情報を含めてもよい。
【0020】
SUVは、エンジンルームが室内空間と別になっており、乗車空間及び荷物空間が一体となった2ボックスタイプである。SUVは、最低地上高が高く、ボディが比較的大きいことが特徴である。形状情報テーブル200には、このような情報を含めてもよい。
【0021】
オープンカーは、屋根がないことが特徴である。オープンカーは、屋根を取り外せるリトラクタブルハードトップや、折り畳み式のソフトトップを備えたものが一般的である。ステーションワゴンは、車体後部に大きな荷室を備えた車両であり、セダンやハッチバック等の車種に比べ、荷物を多く積載できるのが特徴である。商用車は、主に荷物を積んで運搬することを目的とした車両であり、積める量や、積みやすさにおいて工夫がされていることが特徴である。形状情報テーブル200には、このような情報を含めてもよい。
【0022】
なお、本実施形態では、車両の形状を、車両の全体形状かつ外観形状としているが、これに限らず、車両の一部の形状、または、内観の形状であってもよい。
【0023】
(対応テーブル)
図3は、対応テーブル300の一例を示す図である。対応テーブル300は、レコードの番号が設定されるNo301、コーションプレートの位置を識別するCP位置IDが設定されるCP位置ID302、車両の車種が設定される車種303、車両が製造又は販売された年代が設定される年代304、車両のメーカの名称が設定されるメーカ名305、車両の形状名が設定される形状306、車両の排気量が設定される排気量307、車両が使用された国が設定される車両使用国308、車両が製造された国が設定される製造国309、車両が製造された工場が設定される製造工場310、及び、車両の兄弟車の車種が設定される兄弟車種311の各データ項目を有する。車種303、年代304、メーカ名305、形状306、排気量307、車両使用国308、製造国309、製造工場310、及び、兄弟車種311の各データ項目に設定される情報が、車両の属性情報に相当する。
【0024】
製造国309は、車両の一部が製造された国であってもよいし、車両が最終的に組み立てられた国であってもよいし、車両のメーカの本拠地がある国であってもよい。ここで、車両の製造時の設計方針とコーションプレートの設置位置とは、相関がある可能性が高い。そして、製造の設計方針と製造国とは相関があると考えられる。例えば、車両のデザイン(形状)又は機能は、メーカのある国の環境が大きく影響する。例えば、安全性、走行安定性、実用性等といった各評価要素が製造国毎に異なることがあるため、そのような評価情報を属性情報に含めてもよい。
【0025】
製造工場310は、車両の一部が製造された工場であってもよいし、車両が最終的に組み立てられた工場であってもよい。ここで、車両の製造プロセスと、コーションプレートの設置位置とは、相関する可能性が高い。そして、車両の製造プロセスと製造工場とは相関があると考えられる。そのため、例えば、車両が最終的に組み立てられた工場を製造工場310に設定することにより、その工場における車両の製造プロセスを属性「製造工場」に反映させることができる。
【0026】
兄弟車とは、商品名または外観等を変更して別の商品として販売されている車両である。兄弟車は、基本的な構造はほぼ同一であるが、ボディカラーのバリエーション、バンパー、フロントグリル、灯火類の形状、ボディ外板パネル、エンブレム等、外観に差を設けて別の車種として販売される。兄弟車は、形状及び製造方法が近しくなるため、コーションプレートの設置位置も近しくなると考えられる。
【0027】
(位置情報テーブル)
図4は、位置情報テーブル400の一例を示す図である。位置情報テーブル400は、CP位置IDが設定されるCP位置ID401、位置の名称が設定される位置名402、及び、位置を作業者に案内するための画像情報のファイル名又はアドレスが設定される位置画像403の各データ項目を有する。
【0028】
図5は、コーションプレートの設置位置の一例を示す図である。図示する例では、コーションプレートの取り付け位置の一例として、(1)運転席側センターピラー、(2)エンジンルーム左上、(3)エンジンルーム中央上、(4)エンジンルーム右上、(5)助手席側フロントピラー、(6)助手席側センターピラー、(7)運転席シート下のそれぞれの位置が示されている。コーションプレートが設置される位置は、メーカ、車種、製造年代、または型式などにより異なる。また、図示するように、コーションプレートは、目視だけでは確認し難しい位置に取り付けられていることもある。
【0029】
また、記憶装置11は、処理装置12が、情報取得部120、形状推測部123、位置推測部124、及び、出力部125の各機能を実現するためのプログラムを予め記憶している。処理装置12は、記憶装置11からプログラムを読み出して実行することにより、情報取得部120、形状推測部123、位置推測部124、及び、出力部125の各機能を実現する。
【0030】
情報取得部120は、対象車両の属性情報を取得する取得処理を実行する。情報取得部120は、車両情報取得部121、及び、画像情報取得部122を有する。車両情報取得部121は、対象車両の属性情報の入力を受け付ける属性情報入力画面を出力装置14に表示し、入力装置13において対象車両の属性情報の入力をユーザから受け付ける。属性情報入力画面の詳細については後述する。画像情報取得部122は、対象車両の画像情報を1又は複数取得する。例えば、画像情報取得部122は、カメラなどの撮像装置から、所定の方向から対象車両を撮像した画像情報(撮像画像のデータ)を受信する。画像情報取得部122は、例えば、対象車両の正面、側面、背面、上面、下面等、異なる複数の方向それぞれから対象車両を撮像した複数の画像情報を取得してもよい。
【0031】
形状推測部123は、画像情報取得部122が取得した画像情報と、形状情報テーブル200の形状画像202に設定されている画像情報とを比較することにより、対象車両の形状を推測する。なお、本実施形態では、形状推測部123は、対象車両の画像情報から、対象車両の形状を推測して取得しているが、これに限らず、対象車両の画像情報から、他の属性情報(車種、年代、メーカ名、形状、排気量、車両使用国、製造国、製造工場、又は、兄弟車種)を取得してもよい。
【0032】
位置推測部124は、車両情報取得部121が取得した対象車両の属性情報、形状推測部123が推測した対象車両の形状、及び、対応テーブル300に格納されている各車両の属性情報に基づいて、対象車両に取り付けられているコーションプレートの位置を推測する推測処理を実行する。
【0033】
出力部125は、位置推測部124が推測した対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置の情報を出力する出力処理を実行する。例えば、出力部125は、コーションプレートの取り付け位置をユーザに案内する位置候補表示画面を出力装置14に表示する。位置候補表示画面の詳細については、後述する。又は、出力部125は、コーションプレートの取り付け位置の情報を出力装置14で紙媒体などに印字してもよい。又は、出力部125は、解体作業者が使用する端末に、通信装置15を介して、コーションプレートの取り付け位置の情報を送信し、コーションプレートの取り付け位置の情報を端末に表示させてもよい。解体作業者が使用する端末は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又は、スマートフォンなどの情報処理装置である。
【0034】
情報取得部120、形状推測部123、位置推測部124、及び、出力部125の各機能を実現するプログラムは、例えば、可搬性の又は固定された記録媒体に記録して配布することができる。
次に、推測装置1で行われる処理について説明する。
【0035】
<処理の概要>
図6は、推測装置1で行われる処理の概要を説明する処理フロー図である。本図に示す処理は、例えば、推測装置1にユーザから所定の入力がされた場合、又は所定のタイミング(例えば、所定の時刻、所定の時間間隔)で実行される。
【0036】
まず、車両情報取得部121は、属性情報入力画面を出力装置14に表示し、属性情報の入力をユーザから受け付ける(S100)。
【0037】
(属性情報入力画面)
図7は、属性情報入力画面500の一例を示す図である。属性情報入力画面500は、対象車両の車種の入力をユーザから受け付ける領域501、対象車両の年代の入力をユーザから受け付ける領域502、対象車両のメーカ名の入力をユーザから受け付ける領域503、対象車両の排気量の入力をユーザから受け付ける領域504、対象車両の車両使用国の入力をユーザから受け付ける領域505、対象車両の製造国の入力をユーザから受け付ける領域506、対象車両の製造工場の入力をユーザから受け付ける領域507、及び、対象車両の兄弟車種の入力をユーザから受け付ける領域508を備える。
【0038】
続いて、画像情報取得部122は、対象車両の画像情報を取得する(S200)。このとき、画像情報取得部122は、対象車両を異なる複数の方向それぞれから撮像した複数の画像情報(例えば、正面から対象車両を撮像した画像情報、側面から対象画像を撮像した画像情報、及び、背面から対象画像を撮像した画像情報)を取得してもよい。
【0039】
続いて、形状推測部123は、対象車両の画像情報と、形状情報テーブル200の形状画像202に設定されている画像情報とを比較することにより、対象車両の形状を推測する(S300)。例えば、形状推測部123は、形状情報テーブル200の形状画像202に設定されている画像情報をテンプレート画像とし、画像情報に対してパターンマッチング等の画像処理を行い、対象車両と同一又は類似する形状を、形状情報テーブル200から抽出する。
【0040】
続いて、形状推測部123は、S300において対象車両の形状の推測に成功したか否かを判定する(S400)。例えば、形状推測部123は、画像処理の結果、対象車両と同一又は類似する形状を形状情報テーブル200から抽出できた場合に、形状の推測に成功したと判定し、対象車両と同一又は類似する形状を形状情報テーブル200から抽出できなかった場合に、形状の推測に失敗したと判定する。
【0041】
車両情報取得部121は、対象車両の形状の推測に失敗した場合(S400:No)、対象車両の形状に関する情報の入力を受け付ける画面を表示し、対象車両の形状の入力をユーザから受け付ける(S500)。その後、S600の処理に進む。
【0042】
一方、位置推測部124は、対象車両の形状の推測に成功した場合(S400:Yes)、又は、S500の処理に続いて、対象車両のコーションプレートの位置情報(CP位置ID)が対応テーブル300に格納されているか否かを判定する(S600)。具体的には、位置推測部124は、対象車両の車種と車種303が一致するレコードが、対応テーブル300にあるか否かを判定する。
【0043】
位置推測部124は、対象車両のコーションプレートの位置情報が対応テーブル300に格納されている場合(S600:Yes)、対象車両の車種303のレコードのCP位置ID302を読み出し、S800の処理に進み、読み出したCP位置ID302が示す位置の情報を出力部125に出力させる。
【0044】
一方、位置推測部124は、対象車両のコーションプレートの位置情報が対応テーブル300に格納されていない場合(S600:No)、対象車両の属性情報と対応テーブル300に格納されている各車両の属性情報とに基づいて、コーションプレートの位置を推測する推測処理を実行する(S700)。
【0045】
<推測処理>
図8は、推測処理S700の詳細を説明する処理フロー図である。
【0046】
まず、位置推測部124は、対応テーブル300から1つレコードを読み出す(S701)。
【0047】
続いて、位置推測部124は、対象車両の属性情報と、読み出したレコードの属性情報とを比較し、その類似性を算出する(S702)。類似性は、属性の値同士が類似する度合である。まず、位置推測部124は、各属性について、対象車両の属性と、レコードの属性との類似性を算出する。具体的には、位置推測部124は、属性「メーカ名」、「形状」、「車両使用国」、「製造国」、及び「製造国」に関しては、属性の値が一致した場合には、類似性を大きくし、属性の値が一致しない場合には、類似性を小さくする。一方、位置推測部124は、属性「年代」、及び「排気量」に関しては、属性の値の差が小さいほど類似性を高くし、属性の値の差が大きいほど類似性を小さくする。また、位置推測部124は、属性「兄弟車種」に関しては、対象車両の車種と、読み出したレコードの兄弟車種とを比較した結果、または、対象車両の兄弟車種と、読み出したレコードの車種あるいは兄弟車種とを比較した結果、属性の値が一致した場合には、類似性を大きくし、属性の値が一致しない場合には、類似性を小さくする。
【0048】
続いて、位置推測部124は、各属性の類似性に基づいて、車両の属性全体の類似性を算出する。ここで、位置推測部124は、属性全体の類似性を算出する際、各属性に重みを付けてもよい。例えば、位置推測部124は、形状又は兄弟車種の重みを、他の属性の重みより重くしてもよい。各属性の重みは、ユーザが予め設定する。
【0049】
続いて、位置推測部124は、対応テーブル300の全てのレコードの属性情報と、対象車両の属性情報とを比較したか否かを判定する(S703)。すなわち、位置推測部124は、対応テーブル300の全てのレコードに対し、類似性を算出したか否かを判定する。全てのレコードと比較していない場合(S703:No)、S701の処理に戻り、次のレコードを対応テーブル300から取得する。
【0050】
一方、位置推測部124は、対応テーブル300の全てのレコードと比較した場合(S703:Yes)、類似性が所定の条件を満たすレコードのCP位置IDを全て抽出する(S704)。所定の条件は、例えば、類似性が所定の基準値よりも高いこと、又は、類似性が最も高いこと等である。なお、類似性の基準値は、ユーザが予め設定する。
【0051】
続いて、位置推測部124は、取得した各CP位置IDそれぞれの評価値を算出する(S705)。具体的には、位置推測部124は、CP位置ID毎の抽出数を集計することにより、各CP位置IDの評価値を算出する。例えば、位置推測部124は、S704においてCP位置ID「1」を抽出した合計値を、CP位置ID「1」の評価値とする。すなわち、位置推測部124は、類似性が所定の条件を満たすレコードのうち、CP位置ID302が「1」であるレコードの数を、CP位置ID「1」の評価値とする。なお、評価値の算出方法は、これに限らず、類似性の大きい属性の種別に基づいて評価値を算出する方法でもよい。例えば、位置推測部124は、属性「兄弟車種」の類似性が大きいレコードのCP位置IDの評価値が最も高くなるよう評価値を算出するようにしてもよい。
【0052】
続いて、位置推測部124は、評価値の高い1または複数のCP位置IDを、対象車両のコーションプレートの位置の候補として、その評価値とともに出力部125に出力する(S706)。評価値の高いCP位置IDは、評価値が所定の基準値より高いCP位置IDであってもよいし、評価値が上位から所定数(例えば、上位2つ)のCP位置IDであってもよい。その後、位置推測部124は、本推測処理を終了する。
【0053】
なお、位置推測部124が実行する推測処理は、上述したフローに限られず、対象車両の属性情報に基づいて対象車両のコーションプレートの位置を推測するものであればよい。例えば、位置推測部124は、対応テーブル300に格納されているデータを学習データとして機械学習することにより構築される学習済みモデルを用いて、対象車両のコーションプレートの位置を推測してもよい。具体的には、位置推測部124は、複数の車両それぞれの属性を入力データの学習データとし、複数の車両それぞれのコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報を出力データの学習データとすることにより学習済みモデルを生成する。当該学習済みモデルは、例えば、ニューラルネットワーク、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン(SVM: Support Vector Machine)のアルゴリズムに基づき構築される。ニューラルネットワークは、入力データされる入力層と、入力データから特徴量を抽出して出力する1又は複数の中間層(隠れ層)と、出力データを出力する出力層とを有するニューラルネットワークであり、例えばCNN(Convolution Neural Network)である。例えば、学習済みモデルは、属性情報を入力データとし、CP位置IDを出力データとする。よって、位置推測部124は、対象車両の属性情報を学習済みモデルに入力し、その出力データを取得することで、対象車両のコーションプレートの位置を推測する。
【0054】
続いて、出力部125は、位置推測部124が推測したコーションプレートの位置の情報を出力する(S800)。例えば、出力部125は、推測したコーションプレートの位置をユーザに案内する位置候補表示画面を出力装置14に表示する。
【0055】
(位置候補表示画面)
図9は、位置候補表示画面600の一例を示す図である。位置候補表示画面600は、推測したコーションプレートの位置を、対象車両におけるコーションプレートの位置の候補として表示する表示領域を備える。図示する例では、位置候補表示画面600は、第1候補を表示する第1表示領域610と、第2候補を表示する第2表示領域620とを備える。第1表示領域610には、第1候補の位置名611と、第1候補の位置画像612とが表示されている。第2表示領域620には、第2候補の位置名621と、第2候補の位置画像622とが表示されている。出力部125は、位置推測部124から入力された1または複数のCP位置ID401それぞれに対応する位置名402及び位置画像403を位置情報テーブル400から読み出し、読み出した位置名402及び位置画像403を、位置候補表示画面600の各表示領域に表示する。
【0056】
このとき、出力部125は、評価値の高い候補(CP位置ID)を、評価値の低い候補よりも優先的に表示させる。「優先的に表示させる」とは、評価値の高い候補から順に表示させること、または、評価値の高い候補を強調して表示させることを含む。「強調して表示させる」ことには、表示色の変更、文字の大きさの変更、背景色の変更、またはマーク等の付与などが含まれる。本実施形態では、出力部125は、評価値の高い候補から順に表示させる。例えば、出力部125は、評価値の最も高い候補(位置名「運転席側センターピラー」)を、第1表示領域610に表示し、その次に評価値の高い候補(位置名「エンジンルーム内」)を、第2表示領域620に表示する。
【0057】
また、コーションプレートの位置の候補の位置名611,621とともに、取り付け位置を案内する位置画像612,622を表示することにより、作業者は、コーションプレートが取り付けられている候補の位置を容易に特定することができる。図示する例では、取り付け位置を案内する位置画像612,622は、矢印6121,6221により取り付け位置の候補を指示している。
【0058】
なお、図示する例では、出力部125は、位置候補表示画面600に、対象車両のコーションプレートの位置の候補を2つ表示しているが、これに限らず、表示する候補は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0059】
また、推測装置1は、学習済みモデルを用いて推測処理を行う場合には、位置候補表示画面600において、対象車両のコーションプレートの実際の位置の入力をユーザから受け付け、入力された位置と対象車両の属性情報とを、学習済みモデルの学習データとして用いてもよい。または、推測装置1は、入力された位置と対象車両の属性情報とを対応付けて、対応テーブル300に新たなレコードとして追加してもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の推測装置1は、複数の車両それぞれの属性を含む属性情報と、各車両におけるコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報(CP位置ID)とを対応付けたデータ(対応テーブル300)を記憶し、対象車両の属性情報を取得する取得処理と、対象車両の属性情報と、対応テーブル300に含まれる各車両の属性情報とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する推測処理と、推測した対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を出力する出力処理と、を実行する。
【0061】
すなわち、本実施形態の推測装置1は、データベースに対象車両のコーションプレートの位置情報が格納されていない場合であっても、対象車両に取り付けてあるコーションプレートの位置を推測することができる。これにより、作業者が目視でコーションプレートの位置を探索する手間を省き、作業者の作業工数を削減することができる。
【0062】
また、属性情報は、車両の形状を含み、本実施形態の推測装置1は、対象車両の形状と、対応テーブル300に含まれる各車両の形状とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0063】
コーションプレートは、「解体しなくても見える場所に設置する」ことが原則であり、車両の形状はコーションプレートの設置箇所に影響を与える。例えば、車両の形状によって、コーションプレートを設置可能な位置、設置し易い位置、設置し難い位置、又は、設置不可能な位置等が異なる。よって、車両の形状に基づいて、コーションプレートの取り付け位置を推測することにより、より精度良く対象車両のコーションプレートの取り付け位置を推測することができる。
【0064】
また、属性情報は、車両の使用国を含み、本実施形態の推測装置1は、対象車両の使用国と、対応テーブル300に含まれる各車両の使用国とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0065】
上述したように、車両の形状とコーションプレートの取り付け位置とは、相関する可能性が高い。そして、車両の形状は各国の道路法等に依存するため、使用国とコーションプレートの取り付け位置との間にも相関があると考えられる。よって、車両の使用国に基づいて、コーションプレートの取り付け位置を推測することにより、より精度良く対象車両のコーションプレートの取り付け位置を推測することができる。
【0066】
また、属性情報は、車両の製造工場を含み、本実施形態の推測装置1は、対象車両の製造工場と、対応テーブル300に含まれる各車両の製造工場とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0067】
車両の製造プロセスとコーションプレートを設置する条件とは、相関する可能性が高い。例えば、製造プロセスのうち、どの工程でコーションプレートを設置するかにより、設置位置が異なると考えられる。そして、製造プロセスと車両の製造工場との間にも相関があると考えられる。よって、車両の製造工場に基づいて、コーションプレートの取り付け位置を推測することにより、より精度良く対象車両のコーションプレートの取り付け位置を推測することができる。
【0068】
また、属性情報は、車両の製造国を含み、本実施形態の推測装置1は、対象車両の製造国と、対応テーブル300に含まれる各車両の製造国とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0069】
車両の製造時の設計方針とコーションプレートの取り付け位置とは、相関する可能性が高い。そして、製造の設計方針と製造国との間にも相関があると考えられる。車両のデザイン(形状)又は機能は、製造国(例えば、メーカのある国)の環境が大きく影響するためである。よって、車両の製造国に基づいて、コーションプレートの取り付け位置を推測することにより、より精度良く対象車両のコーションプレートの取り付け位置を推測することができる。
【0070】
また、属性情報は、車両の兄弟車の車種を含み、本実施形態の推測装置1は、対象車両の車種または兄弟車の車種と、対応テーブル300に含まれる各車両の車種または兄弟車の車種とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0071】
兄弟車は、形状および製造方法が近しくなることが考えられる。よって、兄弟車種間のコーションプレートの取り付け位置には、相関があると考えられる。例えば、兄弟車では、コーションプレートの取り付け位置が同一である可能性が高い。よって、車両の兄弟車の車種に基づいて、コーションプレートの取り付け位置を推測することにより、より精度良く対象車両のコーションプレートの取り付け位置を推測することができる。
【0072】
また、属性情報は、車両の排気量を含み、本実施形態の推測装置1は、対象車両の排気量と、対応テーブル300に含まれる各車両の排気量とに基づいて、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0073】
排気量が近い車種は形状及び製造方法が近しくなることが考えられる。そして、上述したように、車両の形状又は製造方法は、コーションプレートの取り付け位置と相関する可能性が高い。このため、排気量も、コーションプレートの取り付け位置と相関があると考えられる。よって、車両の排気量に基づいて、コーションプレートの取り付け位置を推測することにより、より精度良く対象車両のコーションプレートの取り付け位置を推測することができる。
【0074】
また、本実施形態の推測装置1は、複数の取り付け位置を推測し、推測した複数の取り付け位置を、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置の候補として出力する。
【0075】
このような構成により、対象車両のコーションプレートの取り付け位置について、複数の候補が出力される。これにより、1つの候補が実際のコーションプレートの位置と異なる場合であっても、作業者は、他の候補を手掛かりにコーションプレートを探索することができる。よって、手掛かりがない状態で探索する場合と比べて、作業者の作業負荷を低減することができる。
【0076】
また、本実施形態の推測装置1は、対象車両を撮像した画像情報から、対象車両の属性情報を取得する。
【0077】
このような構成により、作業者は、対象車両を撮像するだけで、推測装置1に属性情報を入力することができる。すなわち、作業者は、対象車両の属性を手入力する必要がない。よって、作業者が対象車両の属性情報を把握していない場合であっても、推測装置1は、属性情報を取得して、対象車両のコーションプレートの位置を推測することができる。
【0078】
また、属性情報は、複数の属性を含み、本実施形態の推測装置1は、各属性について、対象車両の属性と、対応テーブル300に含まれる各車両それぞれの属性との類似性を算出し、算出した類似性が所定の条件を満たす車両の位置情報を、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置と推測する。
【0079】
このような構成により、対象車両と属性が類似する車両のコーションプレートの位置を、対象車両におけるコーションプレートの位置と推測する。属性が類似する車両は、コーションプレートの位置も同一又は類似であると考えられるため、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を精度良く推測することができる。
【0080】
また、本実施形態の推測装置1は、複数の属性それぞれに予め設定された重みに基づいて、前記類似性を算出し、算出した類似性が所定の条件を満たす車両の位置情報を、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置と推測する。
【0081】
このような構成により、例えば、コーションプレートの取り付け位置とより相関のある属性の重みを他の属性の重みより重くして、属性の類似性を算出することができる。これにより、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置をより精度良く推測することができる。
【0082】
また、本実施形態の推測装置1は、複数の車両それぞれの属性を入力データの学習データとし、複数の車両それぞれのコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報を出力データの学習データとすることによりモデルを生成し、生成したモデルに、対象車両の属性情報を入力することにより、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置を推測する。
【0083】
このように、複数の車両それぞれの属性を入力データの学習データとし、複数の車両それぞれのコーションプレートの取り付け位置に関する位置情報を出力データの学習データとして生成したモデルを用いることにより、対象車両におけるコーションプレートの取り付け位置をより精度良く推測することができる。
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。以上説明した実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0085】
例えば、本実施形態の各装置が備えるハードウェアの一部は、他の装置に設けてもよい。
【0086】
また、推測装置1の各プログラムは他の装置に設けてもよいし、あるプログラムを複数のプログラムからなるものとしてもよいし、複数のプログラムを一つのプログラムに統合してもよい。
【0087】
また、本実施形態では、推測装置1は、対象車両を撮像した画像情報から、車両の形状を取得しているが、これに限らず、対象車両を撮像した画像情報から他の属性情報(例えば、車種、年代、メーカ名、排気量、車両使用国、製造国、製造構造、または、兄弟車種等)を推測して取得してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 推測装置、11 記憶装置、12 処理装置、120 情報取得部、121 車両情報取得部、122 画像情報取得部、123 形状推測部、124 位置推測部、125 出力部、13 入力装置、14 出力装置、15 通信装置、200 形状情報テーブル、300 対応テーブル、400 位置情報テーブル、500 属性情報入力画面、600 位置候補表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9