(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176041
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】水準器
(51)【国際特許分類】
G01C 9/28 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01C9/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094245
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】514278256
【氏名又は名称】中尾 許弘
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】中尾 許弘
(57)【要約】
【課題】足場材に取り付ける構成において、設置場所の自由度を向上させた使い勝手のよい水準器を提供すること。
【解決手段】 水準器1は、両端が封止された円筒形状を有し内部に液体と気泡とが封入された気泡管10と、気泡管10を支持する支持部材20とを備え、支持部材20は、足場材に取付けられる取付部21と、気泡管10を保持する保持部22と、取付部21と保持部22とを接続する接続部23とが弾性材料により一体的に形成されたものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡管と前記気泡管を支持する支持部材とを備えた水準器であって、
前記支持部材には、足場材に取り付けるための取付部と、前記気泡管を保持する保持部と、前記取付部と前記保持部とを接続する接続部と、が弾性材料により一体的に形成されている、
水準器。
【請求項2】
前記気泡管は、円筒形状を有し、
前記取付部は、前記気泡管の円筒の中心軸線と平行な平坦面を有する板状である、
請求項1に記載の水準器。
【請求項3】
前記接続部は、前記取付部の平坦面に対して傾斜して設けられている、
請求項2に記載の水準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場材に取り付け可能な水準器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築工事等において、建物の構造体および建物内に設置する棚並びに設備等の水平取付を確認するための器具として、気泡管を備えた水準器が知られている。
【0003】
また、建築工事現場等の屋内外における簡易的な作業足場材として、脚立が用いられている。例えば天井への設備器具の取付などの作業をする際には、作業スペースが限られるため、脚立の様な可搬型の簡易的な作業足場材が用いられる場合が多い。一方で、脚立の安定設置が不十分で、作業者が脚立ごと倒れることがあり、対策が望まれている。
【0004】
特許文献1には、左右の脚を複数の横杆(踏み桟)で接続した梯子状の脚体を2個備え、2個の脚体の上部を開閉可能に枢着した脚立において、設置面の高低差に応じて各脚を長さ調整可能な構成とし、脚立の安定設置を作業者が確認できるようにするために、踏み桟に水準器を併設した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水準器を脚立に取り付ける際には、水準器の破損防止の観点から、水準器を踏み板(踏み桟)の下面等に取り付けることが考えられる。しかしながら、水準器を踏み桟等の下面に取り付けた場合には、作業者が確認の都度、踏み桟の裏側をのぞき込む姿勢をとならければならない。このため、脚立の設置作業の作業性が低下する。また、水準器を踏み桟の下面に取り付けた場合には、作業者が脚立を昇り降りする際には、水準器が作業者の視界に入らない。このため、水準器を見ながら脚部の長さを調整して脚立を設置しても、脚立の昇り降りを繰り返すうちに脚立が傾いたときには、その傾きに気付かずに作業者が脚立に載り、バランスが崩れて脚立ごと転倒することがある。
【0007】
特許文献1に記載の脚立における水準器の取付構造では、互いに向き合う2個の脚体における踏み桟の1つに、内側下方向きに水準器を取り付けている。この水準器の取付位置は、踏み桟において作業者の足が掛るのを避ける位置ではあるが、水準器の形状から気泡管が踏み桟の内向き端面に密着するように取り付けざるを得ない。そうすると、脚立の向きによっては、気泡管が踏み桟の死角となる場合があり、脚立を上る前に作業者が水準器を見逃してしまう。つまり、このような水準器の設置では、作業者が脚立の傾きに気付くことができないため、脚立の転倒防止の対策としては不十分である。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、足場材に取り付ける構成において、設置場所の自由度を向上させた使い勝手のよい水準器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る水準器は、気泡管と前記気泡管を支持する支持部材とを備えた水準器であって、前記支持部材には、足場材に取り付ける取付部と、前記気泡管を保持する保持部と、前記取付部と前記保持部とを接続する接続部と、が弾性材料により一体的に形成されている、ものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る水準器は、前記水準器において、前記気泡管は、円筒形状を有し、前記取付部は、前記気泡管の円筒の中心軸線と平行な平坦面を有する板状である。
【0011】
本発明の他の態様に係る水準器は、前記水準器において、前記接続部は、前記取付部の平坦面に対して傾斜して設けられている、ものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水準器によれば、足場材に取り付けるための取付部と、気泡管を保持する保持部と、取付部と保持部とを接続する接続部と、が一体的に形成された支持部材を備えることから、気泡管を適正姿勢で支持する支持部材を簡易に形成することができる。また、支持部材を弾性材料により形成したことから、外部からの衝撃が弾性材料に吸収され、保持部に保持された気泡管が破損から保護される。保持部が弾性変形することで、気泡管の着脱を容易に行うことができる。さらに、作業者が脚立や作業台を昇り降りする際に水準器を足で踏み付けたとしても、例えば、保持部に加えられた押圧力に対して、接続部が曲げ変形することで気泡管への負荷を低減し、気泡管の破損を回避することが可能となる。また、保持部に加えられた押圧力が解除されたときには、弾性変形した接続部が弾性材料の復元力により元の状態に戻り、保持部が元の位置に復帰することから、足場材において作業者の視認しやすい位置に気泡管を配置することができる。すなわち、足場材において作業者に踏まれる場所であっても水準器を設置することができ、設置場所の自由度が向上することで使い勝手の良い水準器となる。
【0013】
本発明の他の態様に係る水準器によれば、気泡管は、円筒形状を有し、取付部は、気泡管の円筒の中心軸線と平行な平坦面を有する板状であることから、取付部を介して水準器を脚立や作業台の水平を確認したい面、若しくは、水平状態を確認したい面と設計上平行に設置された面に水準器を容易に取り付けることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る水準器によれば、接続部は、取付部の平坦面に対して傾斜して設けられていることから、保持部に保持された気泡管を、取付部の平坦面と同一の平面に対して、上方または下方側に突出して配置することが可能となる。これにより、足場材に取り付けた水準器における気泡管を、作業者からより見やすい位置に配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水準器の分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る水準器の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る水準器の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る水準器の右側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る水準器における保持部材の
図3におけるA-A線断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る水準器における保持部材の
図3におけるB-B線断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る水準器の背面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る水準器の平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る水準器の底面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る水準器の設置態様の一例を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る水準器を設置した脚立における水準器の設置部分を拡大して示す説明図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る水準器を設置した脚立における水準器の設置部分を拡大して示す説明図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る水準器の設置態様の一例を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る水準器を設置した作業台における水準器の設置部分を拡大して示す説明図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る水準器を設置した作業台における水準器の設置部分を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、気泡管を備えた水準器において、気泡管の保持構造および足場材への取付構造を工夫することにより、水準器の使い勝手の向上を図るものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係る水準器1の全体構成について
図1から
図9を用いて説明する。
図1は水準器1における気泡管10の支持部材20を分離して示す分解斜視図である。
図2は水準器1の斜視図、
図3はその正面図、
図4はその左側面図である。また、
図5は支持部材20の
図3におけるA-A線断面図であり、
図6は支持部材20の
図3におけるB-B線断面図である。
図7は水準器1の背面図、
図8はその平面図、
図9はその底面図である。
【0018】
水準器1は、所謂、気泡式の水準器であり、気泡管10と、気泡管10を支持する支持部材20とを備える。
【0019】
気泡管10は、両端が封止された円筒形状を有し、内部には液体と気泡とが封入されている。気泡管10は、透光性を有する硬質の合成樹脂(所謂、透明樹脂)から形成され、内部の気泡の位置を外部より視認可能となっている。気泡管10の円筒の端部付近には、気泡の位置の目安となる複数の目盛り線11a,11b,11c,11dが設けられている。目盛り線11a,11b,11c,11dは、気泡管10の中心軸線L1方向に気泡管10の長手方向の中心から所定の距離だけ離間させて気泡管10の円筒の外周部に円環状に設けられている。気泡管10の気泡は、水準器1の傾きにより移動し、気泡管10の中心軸線L1が地面と平行(水平)となっているときには、気泡は目盛り線11bと目盛り線11cとの間に位置することになる。
【0020】
支持部材20は、取付部21と、気泡管10を保持する保持部22と、取付部21と保持部22とを接続する接続部23とから構成されている。取付部21、保持部22および接続部23は、弾性材料により一体的に形成したものである。また、取付部21、保持部22および接続部23のそれぞれは、平面視において、保持部22に保持させた気泡管10の中心を通る仮想直線L3(
図8参照)に対して線対称に形成されている。支持部材20を形成する弾性材料としては、ゴム弾性体の性質を有する、例えば、熱可塑性エストラマー(TPE)、ラバー材等を採用することができる。弾性材料は、物理的な力に対して適度な柔軟性および衝撃吸収性を有する材料であれば、特に限定されるものではない。
【0021】
取付部21は、水準器1において、脚立もしくは作業台等の足場材に取り付けられる部分である。取付部21は、矩形平板状の形状を有し、裏面側が取付対象物との接触面となる取付面21aとなっている。取付面21aは、平坦に形成された気泡管10の円筒形状の中心軸線L1に平行な面であり、取付対象物の水平を検出したい面に密着可能となっている。また、取付部21には、板厚方向を貫通してネジが挿通可能な一対のネジ孔21b、21bが設けられている。
【0022】
水準器1を取付対象物に取り付けるときには、取付対象物の水平を検出したい面に取付面21aを密着させる。その状態で、一対のネジ孔21b、21bを介してネジ49(
図11,12,14,15参照)を取付対象物の所定の面に締結することにより、水準器が取付対象物に設置される。
【0023】
保持部22は、気泡管10を横置きに保持する部分であり、気泡管10よりもやや大きい両端が塞がれた概略円筒形状を有する。保持部22は、気泡管10の円筒形状の両端を保持する一対の端部保持部22a,22aと、横置きした気泡管10の円筒形状の下側となる部分を覆う半円筒状の底部22bとを有する。保持部22の円筒形状の上方を向く所定の部分は、平面視で一対の端部保持部22aの間の矩形状、側面視で底部22bの上方の略半円状の開口部22dが形成されている。開口部22dは、気泡管10の気泡および目盛り線11a,11b,11c,11dを目視可能とするものである。底部22bには、一対のスリット状(長穴状)の孔部22c,22cが設けられている。一対の孔部22c,22cの各々は、一対の端部保持部22aに対向して設けられ、気泡管10の円筒の径方向を長穴の長さ方向として設けられている。なお、一対の孔部22c,22cにおける幅(スリットの幅)は、保持部22を形成する弾性材料の肉厚よりも大きく、保持部22における端部保持部22aの中心軸線L1に沿った方向の長さよりも短く設定されている。
【0024】
気泡管10が破損して取り替えが必要となった場合には、一対の端部保持部22aを互いに離間する方向に弾性変形させて開口部22dを開拡することにより、気泡管10を保持部22から取り外すことが可能である。このとき、開口部22d側の変形を底部22b側の一対の孔部22c,22cで吸収することにより、保持部22に対する気泡管10の取り外し並びに挿入が、少ない力で容易に行うことが可能となっている。
【0025】
接続部23は、取付部21と保持部22とを接続する部分である。接続部23は、取付部21の長辺側の一端から斜め上方に延設され、保持部22の側部に接続されている。接続部23は、取付部21と同等の板厚、および、保持部22と同等の幅を有する板状の部分である。なお、保持部22と取付部21との間の接続部23の長さおよび傾斜度は、
図4の右側面図に示すように、保持部22の下端が取付面21aから水平に延伸した直線L2の位置、すなわち、保持部22の下端が取付面21aを拡張した仮想平面上に位置するように調整されている。
【0026】
接続部23は、
図8に示す平面視において、保持部22から取付部21に向かうにつれて、幅が太くなるR形状で取付部21に連結されている。すなわち、保持部22から取付部21にかけて、接続部23が全体として末広がりに形成される。このような接続部23の形状により、押圧力を受けて下方に変位した保持部22の位置を元の高さ(自然状態の姿勢)に戻しやすくしている。
【0027】
このような構成の水準器1を、足場材に取り付けるときには、取付対象物において水平状態を確認したい面、若しくは、水平状態を確認したい面と平行な面(取付対象面)に、取付部21の取付面21aを密着させて、取付位置を決める。続いて、取付部21のネジ孔21b,21bにネジを挿通し、取付部21を取付対象面にネジ締結により固定する。これにより、水準器1が取付対象物に固定される。
【0028】
本実施形態に係る水準器1の足場材への取付例について、
図10から
図12を参照しつつ説明する。
図10は、水準器1が取り付けられた脚立30を示す斜視図であり、
図11および
図12は、水準器1の取り付け部分を拡大して示す説明図である。なお、
図11は水準器1の自然状態を示し、
図12は作業者が脚立30を昇降する際に水準器1を上から踏んだときに水準器1が弾性変形した状態を示す。
【0029】
図10に示すように、脚立30は、2つの梯子状の脚体31,32を備える。脚体31は、縦部材である一対の支柱33a,33aと、一対の支柱33a,33a間に所定の間隔で架設された横部材である複数の踏み桟34を有する。同様に脚体32は、一対の支柱33b,33bと間に所定の間隔で架設された横部材である複数の踏み桟34を有する。支柱33a,33a,33b,33b及び踏み桟34の各々は、例えば、アルミニウム等の押出部材により形成された中空部材から成る。
【0030】
脚体31の支柱33a,33bの下端には、伸縮脚35a,35aが摺動可能に嵌挿されている。伸縮脚35a,35aは、支柱33a,33aと同様に、アルミニウム等の押出部材により形成された中空部材からなる。伸縮脚35a,35aの下端には、滑り止めのためのラバー材からなるカバー部材36a,36aが取り付けられている。伸縮脚35a,35aは、図示しないロック機構により、支柱33a,33aに対して所望の長さで固定可能に構成されている。
【0031】
脚体32の支柱33b,33bの下端には、縦方向および横方向の伸縮を可能とする伸縮機構が設けられている。伸縮機構は、脚体32の支柱33b,33bの下端近傍を貫通して支柱33b,33bを連結する水平連結部37と、水平連結部37の両端にそれぞれに摺動可能に嵌挿された伸縮腕部37a,37aと、伸縮腕部37a,37aの先端に連結されたホルダ部38,38に摺動可能に嵌挿された伸縮脚35b,35bとから構成されている。水平連結部37は、複数の踏み桟34と平行に設けられ、脚体32の最下段の踏み桟として機能する。また、一対の伸縮腕部37a,37aのそれぞれは、支柱33b,33bに対する横方向の突出長さを変えることにより一対の伸縮脚35b,35b間の距離を変更可能に構成されている。さらに、一対の伸縮脚35b,35bのそれぞれは略上下方向の長さをそれぞれ変更することにより、脚立30の高さを変更可能に構成されている。
【0032】
脚体31,32の上端側は、支柱33aと支柱33c、支柱33bと支柱33dとをそれぞれ継手金具を介して回動可能に接続することにより、互いに連結されている。すなわち、脚体31と脚体32は、その上端部において、踏み桟34の長さ方向に沿った方向を回動軸方向として、回動可能に連結されている。支柱33aと支柱33c間に開き止め金具39を架け渡すことにより、脚体31と脚体32との間での開きが所定の角度で固定される。開き止め金具39が脚体31と脚体32とに架け渡された状態では、脚体31と脚体32の最上段の踏み桟34の上面が略面一となる。
【0033】
図10では、脚立30の脚体32の上から3段目(下から2段目)の踏み桟34の上面に、水準器1を取り付けている。
図10に示すような障害物Wによる段差のある場所においては、踏み桟34の上面が水平となるように、伸縮脚35b,35bの支柱33b,33bの側端部からの横方向の飛び出し量を調整し、さらに伸縮脚35a、35a,35b,35bの水平連結部37よりも下方側の飛び出し量(高さ方向の長さ)をそれぞれ調整する。これにより、脚立30を安定に設置することが可能となっている。
【0034】
図10に示すように、水準器1は、脚体31と脚体32が互いに向き合う内向きに気泡管10が配置されるように取り付けていることから、作業者が脚体31側で伸縮脚35a,35aを調整する場合、脚体32側で伸縮脚35b,35bを調整する場合のどちらにおいても、容易に水準器1の状態を確認することが可能である。また、作業者が脚立30を昇る場合においても、作業者の視界に入りやすく、作業前の脚立30の水平確認を容易に行うことが可能となる。
【0035】
また、水準器1は、
図11に示すように、取付部21の接続部23が延設されている側の端縁21cが踏み桟34の端縁34aに位置するように、保持部22に保持された気泡管10および接続部23を、踏み桟34の上面よりも水平方向に突出させて設けている。また、接続部23が取付部21に対して傾斜して設けられていることから、保持部22に保持された気泡管10が踏み桟34の上面よりも上方に突出した状態で脚立30に取り付けられる。すなわち、接続部23の弾性変形による保持部22に保持された気泡管10の下方への移動を許容するように設けられている。支持部材20がゴム弾性を有する部材で形成されていることから、作業者が踏み桟34に足Fをかけて水準器1を踏んだときには、
図12に示すように、上からの押圧力(矢印D1)により接続部23が曲がり保持部22を下方に押し下げられる。気泡管10を保持した保持部22は、上からの押圧力に対して下方に逃げることができるため、気泡管10が圧縮されて潰されることがない。そして、押圧力が解除されると、ゴム弾性の復元力により接続部23が弾性変形した状態から元の自然状態に戻り、保持部22が元の位置に復帰する。このように、接続部23が適度に撓むことから、水準器1が作業者の脚立30の昇り降りの妨げとなることがない。
【0036】
本実施形態に係る水準器1の足場材への他の取付例、について、
図13から
図15を参照しつつ説明する。
図13は、水準器1が取り付けられた作業台40を示している。なお、
図14は水準器1の自然状態を示し、
図15は作業者が作業台40上で水準器1を上から踏んだときに水準器1が弾性変形した状態を示す。
【0037】
図13に示すように、作業台40は、長方形状の天板41を4本の脚部45a,45b,45c,45dで支持するテーブル状のものである。天板41および脚部45a,45b,45c,45dは、アルミニウム等から形成され、必要な強度を確保しつつ、可搬性を考慮して軽量化が図られている。脚部45a,45b,45c,45dのそれぞれは天板41の四隅の裏面に、略直角となる角度でネジ止めもしくは溶接等により接続されている。脚部45a,45b,45c,45dの下端には、滑り止めのためのラバー材からなるカバー部材46a,46b,46c,46dがそれぞれ取り付けられている。
【0038】
天板41には、板厚を貫通して略矩形状の孔部42が設けられている。言い換えると、孔部42は、矩形の長辺側となる一対の長辺壁部42a,42aと、短辺側となる一対の短辺壁部42b,42bで構成される枠で囲まれた部分である。孔部42は、天板41の長辺側に近い中央部に設けられている。なお、孔部42の形状は、水準器1の気泡管10を保持させた保持部22が通過可能な形状であればよく、矩形に限定されない。
【0039】
水準器1は、孔部42の上方に気泡管10を保持した保持部22が位置するように、取付部21を天板41の上面に取り付けることにより設置される。すなわち、取付部21の接続部23が延設されている側の端縁21cが、孔部42の矩形の一辺と重なるように位置決めして取付部21のネジ孔21b,21bにネジ49を挿通して、天板41にネジ止めにより水準器1を固定している。これにより、接続部23と保持部22に保持された気泡管10が、孔部42の枠の上方に位置することになる。
【0040】
図14に示すように、水準器1に上方から押圧力が付与されていない自然状態では、保持部22に保持された気泡管10が孔部42より上方にあり、作業台40に昇る前の作業者に対して見やすい状態にある。一方で、
図15に示すように、作業者の足Fに踏まれる等して、水準器1に上方から押圧力(矢印D2)が付与されたときには、接続部23が折れ曲がるように変形し、気泡管10を保持した保持部22が孔部42内に入り込む。気泡管10を保持した保持部22は、上からの押圧力に対して下方に逃げることができるため、気泡管10が圧縮されて潰されることがない。また、作業台40の上に資材を置いた場合でも、同様に、気泡管10が資材と天板41の間に挟まれて潰れることが回避される。そして、押圧力が解除されると、ゴム弾性の復元力により接続部23が弾性変形した状態から元の自然状態に戻り、保持部22が元の位置に復帰する。このような水準器1を作業台40に配置することで、例えば、丸管などの転がりやすい資材を作業台40に置きたいときであっても、作業者は水準器1を確認することで、資材が作業台40から落下することを回避することが可能となる。
【0041】
本発明に係る水準器1の取付例として、脚立30および作業台40への取付例を説明したが、水平状態が推奨される他の足場材にも、場所を選ぶことなく取付可能である。水準器1は、支持部材20を弾性材料で構成したことから、例えば、足場材をトラックの荷台に乗せて現場に移動させる場合でも、気泡管10の破損を気にすることなく、水準器1を取り付けた足場材を積み重ねることができる。このように、本発明に係る水準器1は、足場材の移動時に水準器を取り外す必要がない使い勝手の良いものとなっている。
【0042】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係る水準器は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 水準器
10 気泡管
11a,11b,11c,11d 目盛り線
20 支持部材
21 取付部
21a 取付面(平坦面)
22 保持部
23 接続部
30 脚立
34 踏み桟
40 作業台
41 天板
42 孔部