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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176059
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】繊維機械システム
(51)【国際特許分類】
   D01H 13/00 20060101AFI20241212BHJP
   D01H 13/14 20060101ALI20241212BHJP
   B65H 63/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
D01H13/00 A
D01H13/00 Z
D01H13/14
B65H63/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094270
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】津田 康平
(72)【発明者】
【氏名】小林 修一
(72)【発明者】
【氏名】志賀 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 正俊
(72)【発明者】
【氏名】前浪 佑樹
【テーマコード(参考)】
3F115
4L056
【Fターム(参考)】
3F115AA01
3F115CF41
4L056AA02
4L056AA19
4L056AA45
4L056EA04
4L056EA25
4L056EB30
4L056EC02
4L056EC05
4L056EC52
4L056EC53
4L056EC85
4L056ED01
4L056ED03
4L056ED07
4L056ED11
4L056FB17
(57)【要約】
【課題】巻取装置の情報と精紡装置の情報の両方の閲覧を効率的に行う。
【解決手段】繊維機械システム100は、給糸ボビンB1から糸Y1を巻き取ってパッケージP1を形成する巻取装置11を有する第1繊維機械1と、繊維束Tに旋回空気流を作用させて紡績糸Y2を生成し、生成した紡績糸Y2を巻き取ってパッケージP2を形成する精紡装置21を有する第2繊維機械2と、第1繊維機械1及び第2繊維機械2と通信を行う管理装置3と、を備える。管理装置3は、第1繊維機械1に関する第1情報IN1を第1繊維機械1から取得し、第2繊維機械2に関する第2情報IN2を第2繊維機械2から取得し、取得した第1情報IN1と第2情報IN2とを第1表示画面GUI1、GUI1’、第2表示画面GUI2、GUI2’に表示させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置を有する第1繊維機械と、
繊維束に旋回空気流を作用させて糸を生成し、生成した糸を巻き取ってパッケージを形成する精紡装置を有する第2繊維機械と、
前記第1繊維機械及び前記第2繊維機械と通信を行う管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
前記第1繊維機械に関する第1情報を前記第1繊維機械から取得し、前記第2繊維機械に関する第2情報を前記第2繊維機械から取得し、
取得した前記第1情報と前記第2情報とを表示画面に表示させる、
繊維機械システム。
【請求項2】
前記表示画面は、前記第1情報又は前記第2情報のいずれを表示するかを選択する表示情報選択部を有する、請求項1に記載の繊維機械システム。
【請求項3】
前記第1情報及び前記第2情報は、前記第1繊維機械及び前記第2繊維機械の稼働に関する情報、又は、パッケージの生産に関する情報を含む、請求項1又は2に記載の繊維機械システム。
【請求項4】
前記第1情報及び前記第2情報は、前記第1情報と前記第2情報とで意義が共通する共通情報と、前記第1情報と前記第2情報とで意義が異なる固有情報と、を有する、請求項3に記載の繊維機械システム。
【請求項5】
前記表示画面は、前記第1情報又は前記第2情報のいずれを表示するかを選択する表示情報選択部を有し、 前記管理装置は、前記第1情報を前記表示画面に表示させる場合であっても、前記第2情報を前記表示画面に表示させる場合であっても、前記共通情報の少なくとも1つを前記表示画面において同じ位置に表示させる、請求項4に記載の繊維機械システム。
【請求項6】
前記共通情報は、前記巻取装置又は前記精紡装置の識別情報、糸に関する情報、及び前記パッケージの生産日に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項4又は5に記載の繊維機械システム。
【請求項7】
前記第1情報の固有情報は、前記巻取装置において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、及び前記ドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つを含み、
第2情報の固有情報は、前記精紡装置における前記繊維束のドラフトに関する情報、前記繊維束の紡績に関する情報、及び巻取りに関する情報の少なくとも1つを含む、請求項4~6のいずれかに記載の繊維機械システム。
【請求項8】
前記第2情報の固有情報は、前記精紡装置における糸の欠陥を検出するクリアラの設定を含み、
前記表示画面において、前記ドラフトに関する情報、前記紡績に関する情報及び巻取りに関する情報の少なくとも1つと、前記クリアラの設定とは切り替えて表示可能である、請求項7に記載の繊維機械システム。
【請求項9】
前記第1情報の固有情報は、前記巻取装置における糸の欠陥を検出するクリアラの設定を含み、
前記表示画面において、前記巻取装置において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、及び前記ドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つと、前記クリアラの設定とは切り替えて表示可能である、請求項4~8のいずれかに記載の繊維機械システム。
【請求項10】
前記共通情報は、前記パッケージの生産条件を識別する識別情報を含み、
前記管理装置は、同じ識別情報を有する第1情報の内容を比較し、同じ識別情報を有する第1情報に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で前記表示画面に表示させ、または、
同じ識別情報を有する第2情報の内容を比較し、同じ識別情報を有する第2情報に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で前記表示画面に表示させる、
請求項4~9のいずれかに記載の繊維機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸のパッケージを製造する装置から各種情報を収集し、収集した情報の管理等を行う繊維機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、糸のパッケージを製造する複数の繊維機械と、当該複数の繊維機械から情報を収集し管理する管理装置と、を備えた繊維機械システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。複数の繊維機械から得られた情報を収集、管理することで、複数の繊維機械の状態を全体的に把握し易くし、異常の早期発見等に役立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-92707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糸のパッケージを製造する繊維装置としては、ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置と、繊維束に旋回空気流を作用させて糸を生成し、生成した糸を巻き取ってパッケージを形成する精紡装置と、が知られている。従来の繊維機械システムでは、巻取装置のためのシステムと、精紡装置のためのシステムと、が個別のシステムとなっていた。すなわち、従来の繊維機械システムでは、管理装置が巻取装置と精紡装置とで個別のものとなっていた。
【0005】
このため、従来の繊維機械システムでは、巻取装置の情報を閲覧する場合と、精紡装置の情報を閲覧する場合とで、個別の管理装置にアクセスする必要があった。その結果、巻取装置の情報と精紡装置の情報とを両方確認したい場合などに、情報の閲覧を効率的に行うことができなかった。
【0006】
本発明の目的は、繊維機械システムにおいて、巻取装置の情報と精紡装置の情報の両方の閲覧を効率的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る繊維機械システムは、第1繊維機械と、第2繊維機械と、管理装置と、を備える。第1繊維機械は、ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する巻取装置を有する。第2繊維機械は、繊維束に旋回空気流を作用させて糸を生成し、生成した糸を巻き取ってパッケージを形成する精紡装置を有する。管理装置は、第1繊維機械及び第2繊維機械と通信を行う。また、管理装置は、第1繊維機械に関する第1情報を第1繊維機械から取得し、第2繊維機械に関する第2情報を第2繊維機械から取得し、取得した第1情報と第2情報とを表示画面に表示させる。
【0008】
上記の繊維機械システムでは、管理装置が、第1繊維機械に関する第1情報と、第2繊維機械に関する第2情報と、を両方取得し、取得した第1情報と第2情報のいずれも表示画面に表示させることができる。すなわち、上記の繊維機械システムでは、管理装置が第1情報と第2情報とを両方取得及び管理しており、当該管理装置にアクセスすれば、第1情報と第2情報の両方を閲覧できるので、これら2種類の情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【0009】
上記の繊維機械システムにおいて、表示画面は、第1情報又は第2情報のいずれを表示するかを選択する表示情報選択部を有してよい。このように、表示画面において第1情報と第2情報を切り替えて表示することにより、ユーザが一方の繊維機械の情報を他方の繊維機械の情報と取り違えることを防止できる。この結果、情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【0010】
上記の繊維機械システムにおいて、第1情報及び第2情報は、第1繊維機械及び第2繊維機械の稼働に関する情報 、又は、パッケージの生産に関する情報を含んでいてもよい。これにより、第1繊維機械及び第2繊維機械の両方について、稼働に関する情報とパッケージの生産に関する情報とを効率的に閲覧できる。
【0011】
上記の繊維機械システムにおいて、第1情報及び第2情報は、第1情報と第2情報とで意義が共通する共通情報と、第1情報と第2情報とで意義が異なる固有情報と、を有してもよい。これにより、第1繊維機械と第2繊維機械で共通の情報と、第1繊維機械と第2繊維機械とで異なる情報とを個別に管理できる。
【0012】
上記の繊維機械システムにおいて、情報表示画面は、第1情報又は第2情報のいずれを表示するかを選択する表示情報選択部を有してもよい。この場合、管理装置は、第1情報を表示画面に表示させる場合であっても、第2情報を表示画面に表示させる場合であっても、共通情報の少なくとも1つを表示画面において同じ位置に表示させてもよい。
【0013】
ここで「同じ位置」とは、表示画面に第1情報を表示する場合でも第2情報を表示する場合でも、同じ共通情報を同じ位置に表示することをいう。例えば、第1情報及び第2情報を、それぞれ、項目ごとに一行で表示したときに、第1情報及び第2情報に含まれる特定の共通項目を表示画面において同じN番目に表示することをいう。このように、第1情報の表示画面と第2情報の表示画面で、共通情報の少なくとも1つを同じ位置に表示することにより、ユーザの情報把握を容易にできる。
【0014】
上記の繊維機械システムにおいて、共通情報は、巻取装置又は精紡装置の識別情報、糸に関する情報、及びパッケージの生産日に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、巻取装置と精紡装置とで共通とできる情報を、共通情報として管理できる。
【0015】
上記の繊維機械システムにおいて、第1情報の固有情報は、巻取装置において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、及びドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。また、第2情報の固有情報は、精紡装置における繊維束のドラフトに関する情報、繊維束の紡績に関する情報、及び巻取りに関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、巻取装置と精紡装置とで固有の情報を、固有情報として管理できる。
【0016】
上記の繊維機械システムにおいて、第2情報の固有情報は、精紡装置における糸の欠陥を検出するクリアラの設定を含んでもよい。この場合、表示画面において、ドラフトに関する情報、紡績に関する情報、及び巻取りに関する情報の少なくとも1つと、クリアラの設定とは切り替えて表示可能であってもよい。これにより、ドラフトに関する情報及び紡績に関する情報と、紡績機械におけるクリアラの設定とを切り替えて表示して、効率的に情報を閲覧できる。
【0017】
上記の繊維機械システムにおいて、第1情報の固有情報は、巻取装置における糸の欠陥を検出するクリアラの設定を含んでもよい。この場合、表示画面において、巻取装置において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、及びドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つと、クリアラの設定とは切り替えて表示可能であってもよい。これにより、巻取装置に備わるクリアラの設定を、巻取装置の固有情報として管理できる。また、クリアラの設定と他の固有情報とを切り替えて表示して、効率的に情報を閲覧できる。
【0018】
上記の繊維機械システムにおいて、共通情報は、パッケージの生産条件を識別する識別情報を含んでもよい。この場合、管理装置は、同じ識別情報を有する第1情報の内容を比較し、同じ識別情報を有する第1情報に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で表示画面に表示させてもよい。または、同じ識別情報を有する第2情報の内容を比較し、同じ識別情報を有する第2情報に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で前記表示画面に表示させてもよい。これにより、同じ識別情報の生産条件について、異なる設定がされていることを視覚的に素早く把握できる。
【発明の効果】
【0019】
上記の繊維機械システムでは、管理装置が巻取装置の情報と精紡装置の情報とを両方取得及び管理しており、当該管理装置にアクセスすれば、巻取装置の情報と精紡装置の情報の両方を閲覧できるので、情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】繊維機械システムの構成を示す図。
図2】第1繊維機械の具体的構成を示す図。
図3】第2繊維機械の具体的構成を示す図。
図4】管理装置の具体的構成を示す図。
図5A】第1情報を表示する第1表示画面の一例を示す図。
図5B】第2情報を表示する第1表示画面の一例を示す図。
図6A】第1情報を表示する第2表示画面の一例を示す図。
図6B】第2情報を表示する第2表示画面の一例を示す図。
図7】第1情報、第2情報の取得動作を示すフローチャート。
図8】第1情報、第2情報の閲覧動作を示すフローチャート
図9】内容が異なる部分が他の部分とは異なる表示形態で表示された第2表示画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.第1実施形態
(1)繊維機械システムの概要
以下、繊維機械システム100を説明する。繊維機械システム100は、複数の巻取装置を有する第1繊維機械1に関する情報(第1情報IN1と呼ぶ)を収集し、複数の精紡装置を有する第2繊維機械2に関する情報(第2情報IN2と呼ぶ)を収集し、これら情報を管理する管理装置3を備える。このため、繊維機械システム100では、端末から管理装置3にアクセスすることで、当該端末を用いて第1情報IN1と第2情報IN2とを両方閲覧できる。
【0022】
(2)繊維機械システムの構成
図1を用いて、繊維機械システム100の構成を説明する。図1は、繊維機械システム100の構成を示す図である。繊維機械システム100は、第1繊維機械1と、第2繊維機械2と、管理装置3と、第1端末4と、を主に備える。第1繊維機械1、第2繊維機械2、管理装置3、第1端末4は、例えば、紡績工場などの所定の施設Fに設けられる。
【0023】
第1繊維機械1は、複数の巻取装置11(図2)から構成される。巻取装置は、ボビンから糸を巻き取ってパッケージを形成する装置である。つまり、巻取装置は、ボビンに巻き取られた糸を、ボビンから解舒してパッケージとして巻き取るための装置である。なお、第1繊維機械1は、施設F内に1つだけ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。
【0024】
第2繊維機械2は、複数の精紡装置21(図3)から構成される。精紡装置は、繊維束に旋回空気流を作用させて糸を生成し、生成した糸を巻き取ってパッケージを形成する装置である。つまり、精紡装置は、繊維束から糸を生成し、生成した糸をパッケージとして巻き取るための装置である。このように、巻取装置と精紡装置とは、パッケージの形成工程が異なっている。なお、第2繊維機械2は、施設F内に1つだけ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。
【0025】
管理装置3は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、HDD、SSDなど)、ネットワークインタフェースなどの各種インタフェースなどにて構成されるコンピュータシステムである。管理装置3は、施設F内のネットワーク(例えば、有線LAN、無線LAN)を介して第1繊維機械1及び第2繊維機械2と接続されており、これら機械と通信可能となっている。
【0026】
管理装置3は、第1繊維機械1に関する第1情報IN1を第1繊維機械1から取得し、第2繊維機械に関する第2情報IN2を第2繊維機械2から取得し、これら情報を管理する。また、管理装置3は、第1端末4からアクセスがあった場合には、第1情報IN1、第2情報IN2を表示させた表示画面(第1表示画面、第2表示画面)を第1端末4に提供する。
【0027】
第1端末4は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、HDD、SSDなど)、各種インタフェースなどにて構成されるコンピュータシステムである。第1端末4は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯端末である。第1端末4は、施設F内のネットワークを介して管理装置3と接続されており、管理装置3と通信可能となっている。
【0028】
第1端末4の主なユーザは、例えば、施設Fの管理者である。ユーザが第1端末4を操作し管理装置3にアクセスすると、管理装置3が、第1情報IN1又は第2情報IN2を表示させた表示画面を第1端末4に送信する。この表示画面を受信した第1端末4は、その表示装置に表示画面を表示させる。これにより、第1端末4のユーザは、表示画面を通じて、管理装置3で管理されている第1情報IN1と第2情報IN2とを両方閲覧できる。
【0029】
なお、第1端末4は、Webブラウザにおいて管理装置3のアドレス(例えば、IPアドレス)を指定することでアクセスできる。その他、第1端末4は、専用のアプリケーション(ソフトウェア)により管理装置3にアクセスしてもよい。
【0030】
繊維機械システム100は、クラウドサーバ5と、第2端末6と、をさらに備えてもよい。クラウドサーバ5と第2端末6は、施設Fの外に配置される。
【0031】
クラウドサーバ5は、CPU、記憶装置、各種インタフェースなどで構成されたコンピュータシステムである。なお、クラウドサーバ5は、上記ハードウェアをソフトウェア的に実現した仮想のコンピュータシステムであってもよい。クラウドサーバ5は、ネットワークN(例えば、インターネット)を介して、管理装置3と接続されて、管理装置3と通信可能となっている。クラウドサーバ5は、第1繊維機械1及び/又は第2繊維機械2に関する各種情報(例えば、第1情報IN1、第2情報IN2、診断レポートなど)を管理装置3から受信して管理する。
【0032】
第2端末6は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、HDD、SSDなど)、各種インタフェースなどにて構成されるコンピュータシステムである。第2端末6は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯端末である。第2端末6は、ネットワークNを介して管理装置3及びクラウドサーバ5と接続されており、管理装置3及びクラウドサーバ5と通信可能となっている。第2端末6のユーザは、クラウドサーバ5にアクセスして、クラウドサーバ5で管理された情報を閲覧できる。また、管理装置3にアクセスして、管理装置3で管理されている情報を閲覧できる。
【0033】
(3)第1繊維機械の具体的構成
以下、図2を用いて、第1繊維機械1の具体的構成を説明する。図2は、第1繊維機械1の具体的構成を示す図である。第1繊維機械1は、併設された複数の巻取装置11と、玉揚装置13と、機台コントローラ15と、を有する。
【0034】
(3-1)巻取装置
巻取装置11は、給糸ボビンB1から解舒された糸Y1を巻取管B2に巻き取ってパッケージP1を形成する。巻取装置11は、糸Y1の移動の上流から下流に向かって、給糸ボビンB1と、糸解舒補助装置111と、テンション付与装置112と、糸継装置113と、ヤーンクリアラ114と、下糸案内部材115と、上糸案内部材116と、綾振ドラム117と、クレードル118と、を有する。
【0035】
給糸ボビンB1は、パッケージP1を形成するための糸Y1を供給する。糸解舒補助装置111は、給糸ボビンB1の芯管に被さる規制部材を給糸ボビンB1からの糸Y1の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビンB1からの糸Y1の解舒を補助する。テンション付与装置112は、走行する糸Y1に所定のテンションを付与する。
【0036】
糸継装置113は、ヤーンクリアラ114が糸欠陥を検出して糸Y1を切断したとき、又は、給糸ボビンB1からの解舒中に糸Y1の糸切れが発生したときに、給糸ボビンB1側の下糸と、パッケージP1側の上糸とを糸継ぎする。糸継装置113としては、例えば、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用できる。
【0037】
ヤーンクリアラ114は、糸Y1の太さや異物を検出し、検出結果に基づいて糸Y1に糸欠陥(糸の太さなどに異常がある箇所や糸に含まれる異物)があるかを判定する。ヤーンクリアラ114は、例えば、糸Y1に光を照射したときの当該光の透過量及び/又は反射量により糸Y1の太さ及び/又は異物を検出する光学式クリアラ、又は、電極間を糸Y1が通過しているときの当該電極間の静電容量に基づいて糸Y1の太さを検出する静電容量式クリアラである。
【0038】
ヤーンクリアラ114は、例えば測定された糸Y1の太さが所定の太さ以上又は所定の太さ以下となっていることを検出すると、当該糸Y1に糸欠陥があると判定できる。糸Y1に糸欠陥があると判定されると、ヤーンクリアラ114に設けられているカッタが、糸Y1の糸欠陥が発生した箇所を切断する。
【0039】
下糸案内部材115(給糸側の案内部材)は、糸Y1が糸切れしたときに、給糸ボビンB1側の糸Y1(下糸)を捕捉して糸継装置113に案内する。下糸案内部材115の先端には吸引口が設けられ、この吸引口に吸引流を発生させて下糸を吸引捕捉できる。
【0040】
上糸案内部材116(パッケージ側の案内部材)は、糸Y1が糸切れしたときに、パッケージP1側の糸Y1(上糸)を捕捉して糸継装置113に案内する。上糸案内部材116の先端にはサクションマウスが設けられ、このサクションマウスに吸引流を発生させて上糸を吸引捕捉できる。
【0041】
糸欠陥を検出して糸Y1を切断した場合、又は、糸Y1の糸切れが発生した場合には、下糸案内部材115が給糸ボビンB1側の糸を捕捉して糸継装置113に案内し、上糸案内部材116がパッケージP1側の糸を捕捉して糸継装置113に案内する。その後、糸継装置113が、これら案内部材により案内された糸Y1を糸継ぎする。糸継装置113による糸継ぎ後に、糸Y1の巻き取りが再開される。
【0042】
綾振ドラム117は、巻取管B2の周面又はパッケージP1の周面に接触して従動回転可能な部材である。綾振ドラム117には、糸Y1を綾振りするための綾振溝が設けられている。綾振ドラム117は、巻取管B2又はパッケージP1の回転により従動回転するときに、綾振溝によって、糸Y1を巻取管B2又はパッケージP1の長手方向に沿って綾振りできる。
【0043】
本実施形態において、綾振ドラム117にはワインド数が異なる複数種類の溝が設けられ、パッケージP1の径に従って綾振りに使用する溝を切り替え可能となっている。これにより、パッケージP1におけるリボン巻きを抑制できる。
【0044】
クレードル118は、パッケージP1を形成するための巻取管B2を、所定の軸回りに回転可能かつ着脱可能に支持する。クレードル118は、回動軸を中心に回動可能となっている。これにより、クレードル118は、回動軸を中心に回動して、巻取管B2への糸Y1の巻取に伴うパッケージP1の径の増大を吸収できる。クレードル118には、クレードル118を回動軸周りに回動させる駆動機構が設けられる。
【0045】
巻取装置11の各構成要素の配置順は、図2における下側から上側に向かって、給糸ボビンB1、糸解舒補助装置111、テンション付与装置112、糸継装置113、ヤーンクリアラ114、下糸案内部材115、上糸案内部材116、綾振ドラム117、クレードル118、との順番に限られない。例えば、図2における上側から下側に向かって上記の並び順となっていてもよい。
【0046】
(3-2)玉揚装置
第1繊維機械1の構成の説明に戻る。玉揚装置13は、各巻取装置11においてパッケージP1が満巻となった際に、当該巻取装置11まで走行し、満巻のパッケージP1を回収するとともに、空の巻取管B2を供給する。
【0047】
(3-3)機台コントローラ
機台コントローラ15は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、HDD、SSDなど)、各種インタフェースにて構成されたコンピュータシステムである。機台コントローラ15は、各種情報を表示する表示装置151(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置)と、各種設定を行う入力装置152(例えば、タッチパネル、キーボード、操作板など)と、を有する。なお、表示装置151と入力装置152は、タッチパネルを備えた表示装置として実現されてもよい。第1繊維機械1においては、機台コントローラ15と管理装置3とが接続され通信可能となっている。
【0048】
機台コントローラ15は、第1繊維機械1毎に設けられている。機台コントローラ15は、機台コントローラ15が設けられた第1繊維機械1における巻取装置11の管理を行う。具体的には、機台コントローラ15は、入力装置152などを用いてユーザにより入力された設定値を記憶し、当該設定値を各巻取装置11のコントローラへ送信する。また、機台コントローラ15は、各巻取装置11のコントローラから巻取装置11に関する各種情報を収集する。例えば、各巻取装置11における糸欠陥の発生に関する情報、発生した各種イベントの発生に関する情報などを収集する。機台コントローラ15は、各巻取装置11に関する情報、第1繊維機械1の情報を統合し、1つの第1繊維機械1(1つの基台)の情報(すなわち、第1情報IN1)として管理装置3に出力する。
【0049】
(4)第2繊維機械の具体的構成
以下、図3を用いて、第2繊維機械2の具体的構成を説明する。図3は、第2繊維機械2の具体的構成を示す図である。第2繊維機械2は、並設された複数の精紡装置21と、機台コントローラ23と、を有する。
【0050】
(4-1)精紡装置
精紡装置21は、繊維束Tを紡績して紡績糸Y2を生成し、当該紡績糸Y2を巻き取ってパッケージP2を形成する装置である。具体的には、各精紡装置21は、糸の移動の上流から下流へ向かって、ドラフト装置211と、紡績装置212と、糸貯留装置213と、パッケージ形成装置214と、を有する。
【0051】
ドラフト装置211は、精紡装置21が備えるフレームFLに設けられている。ドラフト装置211は、スライバケースからスライバガイドを介して供給される繊維束Tを、所定の幅になるまで引き伸ばす。ドラフト装置211で引き伸ばされた繊維束Tは、紡績装置212に供給される。
【0052】
紡績装置212は、ドラフト装置211から供給された繊維束Tに撚りを加えて、紡績糸Y2を生成する。紡績装置212は、旋回空気流を利用して繊維束Tに撚りを与えて紡績糸Y2を生成する。
【0053】
糸貯留装置213は、その外周面に一定量の紡績糸Y2を巻き付けて一時的に貯留する軸回りに回転可能なローラ部材である。外周面に紡績糸Y2を巻き付けた状態の糸貯留装置213を所定の回転速度で回転させることにより、糸貯留装置213は、紡績装置212から紡績糸Y2を所定の速度で引き出して下流に搬送できる。
【0054】
パッケージ形成装置214は、巻取ドラムに接触するパッケージP2を回転させ、紡績糸Y2を綾振りしつつ当該パッケージP2に巻き取ることで、紡績糸Y2のパッケージP2を生成する。
【0055】
精紡装置21には、紡績装置212と糸貯留装置213との間の紡績糸Y2の通り道に、ヤーンクリアラ215が設けられている。ヤーンクリアラ215は、紡績糸Y2の太さや異物を検出し、検出結果に基づいて紡績糸Y2に糸欠陥があるかを判定する。ヤーンクリアラ215によって紡績糸Y2に糸欠陥があると判定されると、ドラフト装置211又は紡績装置212の駆動を停止させることで、紡績糸Y2を切断する。
【0056】
その後、糸継装置217が、紡績装置212側の糸端とパッケージP2側の糸端とを糸継する。このようにして、精紡装置21においては、紡績糸Y2にて発生した糸欠陥を除去できる。上記の糸継後、紡績糸Y2の生成と、紡績糸Y2のパッケージP2への巻き取りが再開される。なお、紡績糸Y2の切断は、精紡装置21にカッタを設けて実行してもよい。
【0057】
精紡装置21の各構成要素の配置順は、図3における上側から下側に向かって、ドラフト装置211、紡績装置212、糸貯留装置213、パッケージ形成装置214、との順番に限られない。例えば、図3における下側から上側に向かって上記の並び順となっていてもよい。
【0058】
(4-2)機台コントローラ
機台コントローラ23は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、SSD、HDDなど)、各種インタフェースにて構成されたコンピュータシステムである。機台コントローラ23は、各種情報の表示と各種設定を行うタッチパネル231(例えば、液晶ディスプレイなどの薄型ディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたディスプレイ)をさらに有する。第2繊維機械2においては、機台コントローラ23と管理装置3とが接続され通信可能となっている。
【0059】
機台コントローラ23は、第2繊維機械2毎に設けられている。機台コントローラ23は、機台コントローラ23が設けられた第2繊維機械2における精紡装置21の管理を行う。具体的には、機台コントローラ23は、タッチパネル231などを用いてユーザにより入力された設定値を記憶し、当該設定値を各精紡装置のコントローラへ送信する。また、機台コントローラ23は、各精紡装置21のコントローラから精紡装置21に関する各種情報を収集する。例えば、各精紡装置21における糸欠陥の発生に関する情報、発生した各種イベントの発生に関する情報などを収集する。機台コントローラ23は、各精紡装置21に関する情報、第2繊維機械2の情報を統合し、1つの第2繊維機械2(1つの基台)の情報(すなわち、第2情報IN2)として管理装置3に出力する。
【0060】
(5)管理装置の具体的構成
以下、図4を用いて、管理装置3の具体的構成を説明する。図4は、管理装置3の具体的構成を示す図である。管理装置3は、情報処理部31と、記憶部33と、を有する。情報処理部31は、管理装置3のCPU、各種インタフェース、記憶装置の一部であり、管理装置3における各種情報処理を実行する。情報処理部31は、記憶装置(記憶部33)に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、管理装置3における各種情報処理を実行する。
【0061】
記憶部33は、上記コンピュータプログラム、各種パラメータ、各種情報を記憶する。記憶部33は、第1情報IN1と、第2情報IN2と、第1表示画面GUI1、GUI1’と、第2表示画面GUI2、GUI2’と、を記憶する。
【0062】
第1情報IN1は、第1繊維機械1から送信されてきた情報であり、当該第1繊維機械1に関する各種情報を含む。第2情報IN2は、第2繊維機械2から送信されてきた情報であり、当該第2繊維機械2に関する各種情報を含む。このように、管理装置3の記憶部33には、第1繊維機械1に関する第1情報IN1と、第2繊維機械2に関する第2情報IN2と、が両方記憶されている。すなわち、管理装置3では、第1情報IN1と第2情報IN2の両方が管理されている。
【0063】
記憶部33は、第1情報IN1、第2情報IN2を、所定の期間(例えば、2週間)記憶する。所定の期間を経過した第1情報IN1、第2情報IN2は、クラウドサーバ5にて管理される。これにより、記憶部33の記憶容量を節約できる。なお、クラウドサーバ5には所定の期間内の第1情報IN1、第2情報IN2が記憶されていてもよい。
【0064】
第1表示画面は、第1情報IN1又は第2情報IN2の集計値(合計値、平均値)を表示するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。図5Aに示す第1表示画面GUI1は、第1繊維機械1に関する第1情報IN1の集計値を表示するものである。図5Bに示す第1表示画面GUI1’は、第2繊維機械2に関する第2情報IN2の集計値を表示するものである。図5Aは、第1情報IN1を表示する第1表示画面GUI1の一例を示す図である。図5Bは、第2情報IN2を表示する第1表示画面GUI1’の一例を示す図である。
【0065】
第2表示画面は、第1情報IN1又は第2情報IN2の内容を表示するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。図6Aに示す第2表示画面GUI2は、第1繊維機械1に関する第1情報IN1を表示した場合の第2表示画面である。図6Bに示す第2表示画面GUI2’は、第2繊維機械2に関する第2情報IN2を表示した場合の第2表示画面である。図6Aは、第1情報IN1を表示する第2表示画面GUI2の一例を示す図である。図6Bは、第2情報IN2を表示する第2表示画面GUI2’の一例を示す図である。
【0066】
第2表示画面GUI2、GUI2’は、表示情報選択部L1と、表示条件設定部SE1と、情報表示部Dと、を有する。
【0067】
表示情報選択部L1は、第2表示画面に、第1情報IN1又は第2情報IN2のいずれを表示するかを選択するためのインタフェース(例えば、プルダウンメニュー)である。表示情報選択部L1において「巻取装置」が選択されると、図6Aに示すような、情報表示部Dに第1情報IN1が表示された第2表示画面GUI2が表示される。一方、表示情報選択部L1において「精紡装置」が選択されると、図6Bに示すような、情報表示部Dに第2情報IN2が表示された第2表示画面GUI2’が表示される。
【0068】
このように、第2表示画面に表示情報選択部L1を設けることにより、情報表示部Dに表示する対象の情報を切り替えて第2表示画面に表示できる。これにより、ユーザが一方の繊維機械の情報を他方の繊維機械の情報と取り違えることを防止できる。この結果、情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【0069】
表示条件設定部SE1は、第1情報IN1又は第2情報IN2に含まれる情報のうち、情報表示部Dに表示したい情報の条件を設定するためのインタフェース(例えば、複数のプルダウンメニュー)である。情報表示部Dは、第1情報IN1又は第2情報IN2を表として表示するための領域である。
【0070】
図6A及び図6Bに示すように、第2表示画面GUI2、GUI2’は、情報切替部SW1をさらに有する。情報切替部SW1は、第2表示画面、GUI2、GUI2’において、上記のヤーンクリアラ114、215の設定を表示するか、又は、第1情報IN1又は第2情報IN2の他の情報を表示するかを切り替えるインタフェース(例えば、ラジオボタン)である。第2情報IN2を表示する場合、情報切替部SW1は、繊維束のドラフトに関する情報及び繊維束の紡績に関する情報を表示するか、上記のヤーンクリアラ215の設定を表示するか、を切り替える。
【0071】
図6A及び図6Bに示すように、第1情報IN1を表示する第2表示画面GUI2における表示情報選択部L1、表示条件設定部SE1、情報切替部SW1の配置位置と、第2情報IN2を表示する第2表示画面GUI2’における表示情報選択部L1、表示条件設定部SE1、情報切替部SW1の配置位置とは同じとなっている。これにより、第1情報IN1を表示しているか、第2情報IN2を表示しているかにより、表示画面の操作が異なることにより混乱を来すことを防止できる。
【0072】
本実施形態の繊維機械システム100では、上記にて説明した管理装置3の機能を、繊維機械が配置された施設Fに設けられたコンピュータシステム(すなわち、管理装置3)に持たせている。これにより、施設F外からの要因による繊維機械の稼働効率の低下を防止できる。
【0073】
例えば、クラウドサーバ5などの施設F外に配置された外部装置に上記管理装置3の機能を持たせることも可能である。しかし、当該外部装置と施設F内の装置(繊維機械)との間の通信が途切れると、施設Fにおける繊維機械の稼働効率の低下につながる。
【0074】
また、上記管理装置3の機能を、施設Fに設けられたコンピュータシステムに持たせることにより、クラウドサーバ5などの外部装置の情報処理の負荷を減少できる。
【0075】
(6)繊維機械システムの動作
(6-1)情報取得動作
以下、上記の構成を有する繊維機械システム100の動作を説明する。まず、図7を用いて、第1情報IN1、第2情報IN2の取得動作を説明する。図7は、第1情報IN1、第2情報IN2の取得動作を示すフローチャートである。この情報の取得動作は、所定の周期で実行される。
【0076】
管理装置3の情報処理部31が、第1繊維機械1の機台コントローラ15から第1情報IN1を取得する(ステップS11)。機台コントローラ15から送信される第1情報IN1には、当該第1情報IN1がどの第1繊維機械1の情報であるか、当該第1繊維機械1のどの巻取装置11に関する情報であるかを示す識別情報が関連付けられている。情報処理部31は、上記の識別情報に基づいて、受信した第1情報IN1に含まれる各種情報に識別番号を付与する。これにより、その識別番号を有する情報が、どの第1繊維機械1のどの情報に該当するかを判断できる。
【0077】
また、情報処理部31は、第2繊維機械2の機台コントローラ23から第2情報IN2を受信する(ステップS12)。機台コントローラ23から送信される第2情報IN2には、当該第2情報IN2がどの第2繊維機械2の情報であるか、当該第2繊維機械2のどの精紡装置21に関する情報であるかを示す識別情報が関連付けられている。情報処理部31は、上記の識別情報に基づいて、受信した第2情報IN2に含まれる各種情報に識別番号を付与する。これにより、その識別番号を有する情報が、どの第2繊維機械2のどの情報に該当するかを判断できる。
【0078】
次に、情報処理部31は、受信した第1情報IN1、第2情報IN2を、記憶部33に記憶して管理する(ステップS13)。なお、情報処理部31は、第1情報IN1、第2情報IN2を、所定の期間、記憶部33に記憶する。また、情報処理部31は、当該第1情報IN1、当該第2情報IN2をクラウドサーバ5に送信する。
【0079】
(6-2)情報閲覧動作
次に、図8を用いて、繊維機械システム100における第1情報IN1、第2情報IN2の閲覧動作を説明する。図8は、第1情報IN1、第2情報IN2の閲覧動作を示すフローチャートである。
【0080】
管理装置3の情報処理部31は、第1情報IN1、第2情報IN2の閲覧のために、第1端末4又は第2端末6からアクセスがあったか否かを判断する(ステップS21)。いずれかの端末からアクセスがあった場合(ステップS21で「Yes」)、記憶部33に記憶した第1情報IN1の集計値を表示した第1表示画面GUI1、又は、記憶部33に記憶した第2情報IN2の集計値を表示した第1表示画面GUI1’を、アクセスのあった端末に提供する(ステップS22)。これにより、第1端末4又は第2端末6にて、図5A図5Bに示すような第1表示画面GUI1、GUI1’が表示される。第1表示画面に第1情報IN1又は第2情報IN2のいずれを表示するかは、例えば、端末によるアクセス時に指定される。また、第1表示画面GUI1、GUI1’では、第1情報IN1又は第2情報IN2のいずれを表示するかを選択可能となっている。
【0081】
図5Aに示すように、第1情報IN1に関する第1表示画面GUI1は、第1繊維機械1の稼働に関する情報を表示する。
【0082】
第1表示画面GUI1に表示される稼働に関する情報としては、例えば、第1繊維機械1の全体の稼働率(稼働率)、巻取装置11の稼働に関する情報(巻取装置11における糸継ぎの失敗率(MIS%)、糸Y1の所定の距離当たりの継ぎ目個数(JO/Y)、糸Y1の所定の距離当たりの糸欠陥個数(YF/Y)、巻取装置11の停止時間比率(DAS%)、1つの継目あたりの糸継ぎミスなどによる停止回数(YLW%))、ADの成功率(DOF%)、パッケージP1の生産量に関する情報(パッケージP1の生産量(PRKG)、満管回数(NDOF)、ボビン本数(NCOP)など)がある。
【0083】
第1表示画面GUI1には、その他、第1繊維機械1の効率に関する情報(生産効率(AEF%)、機械効率(SEF%))、第1繊維機械1のCBFに関する情報(口出し率(YEF%)、満玉排出率(FBE%)、トラブル回数(NT/T))が表示される。第1表示画面GUI1には、第1情報IN1に含まれる他の情報が表示されてもよい。
【0084】
一方、図5Bに示すように、第2情報IN2に関する第1表示画面GUI1’は、第2繊維機械2の稼働に関する情報を表示する。
【0085】
第1表示画面GUI1’に表示される稼働に関する情報としては、例えば、第2繊維機械2の全体の稼働率(稼働率)、精紡装置21の稼働に関する情報(精紡装置21における紡績糸Y2の所定の距離当たりのカット数(Cut/Y)、強制停止発生回数(Forced stop)、精紡装置21における糸継ぎの失敗率(MISS)、玉揚げ成功率(DOF%)など)、パッケージP2の生産量に関する情報(パッケージP2の生産量(PRKG)、満管回数(NDOF)など)、がある。
【0086】
第1表示画面GUI1’には、その他、第2繊維機械2の効率に関する情報(稼働効率(OEFF)、機械効率(MEFF))、第2繊維機械2における各種消費量に関する情報(消費電力量(EPC)、空気消費量(IFR(C)))、第2繊維機械2の周囲の環境に関する情報(温度(TEMP.)、湿度(RH))が表示される。第1表示画面GUI1’には、第2情報IN2に含まれる他の情報が表示されてもよい。
【0087】
図5A及び図5Bに示すように、第1繊維機械1の稼働に関する情報と、第2繊維機械2の稼働に関する情報とは、繊維機械の全体の稼働率(稼働率)、パッケージの生産量(生産)、繊維機械が有する装置(巻取装置11、精紡装置21)の稼働に関する情報(ユニット稼働)、ADの成功率(AD稼働)、繊維機械の効率(効率)に関する情報が共通している。つまり、これら情報が、稼働に関する共通情報である。稼働に関する他の情報は、第1繊維機械1と第2繊維機械2とでは異なる固有情報となる。
【0088】
なお、例えば、パッケージの生産量に関する情報について、パッケージの生産量(PRKG)のみを共通情報に含めるようにしてもよい。また、他の情報についても、これら情報に含まれる項目の全てではなくその一部(1つ、又は複数)を共通情報としてもよい。
【0089】
第1表示画面GUI1、GUI1’においては、上記の共通情報のうち、繊維機械の全体の稼働率が一番左側、パッケージの生産量が左から二番目、繊維機械の効率に関する情報が左から三番目、繊維機械が有する装置の稼働に関する情報が左から四番目に表示されている。すなわち、第1情報IN1が第1表示画面GUI1に表示された場合であっても、第2情報IN2が第1表示画面GUI1’に表示された場合であっても、稼働に関する共通情報の少なくとも1つは、第1表示画面GUI1、GUI1’において同じ位置に表示されている。このように、第1情報IN1の第1表示画面GUI1と第2情報IN2の第1表示画面GUI1’で、共通情報の少なくとも1つを同じ位置に表示することにより、ユーザの情報把握が容易となる。
【0090】
次に、第1端末4又は第2端末6で所定の操作がなされると、情報処理部31は、第1情報IN1を表示した第2表示画面GUI2、又は、第2情報IN2を表示した第2表示画面GUI2’を、所定の操作を行った端末に提供する(ステップS23)。第2表示画面GUI2、第2表示画面GUI2’のいずれが最初に表示されるかは、例えば、管理装置3における設定により決定される。これにより、第1端末4又は第2端末6にて、図6A図6Bに示すような第2表示画面GUI2、GUI2’が表示される。
【0091】
図6A図6Bに示す第2表示画面GUI2、GUI2’は、第1情報IN1、第2情報IN2に含まれるパッケージの生産に関する情報を表示する。
【0092】
パッケージの生産に関する第1情報IN1、第2情報IN2には、第1情報IN1と第2情報IN2とで情報の意義が共通する共通情報と、第1情報IN1と第2情報IN2とで情報の意義が異なる固有情報とが含まれている。
【0093】
第1情報IN1に含まれる情報のうち共通情報は、例えば、巻取装置11の識別情報、糸Y1に関する情報、パッケージP1の生産日に関する情報、パッケージの生産条件を識別する識別情報である。巻取装置11の識別情報には、例えば、所定の条件により予め定められた第1繊維機械1のグループを示す機台グループ名、第1繊維機械1の番号を示す機台番号(基台No.)、巻取装置11の種類を示す機種タイプが項目として含まれている。糸Y1に関する情報には、例えば、番手種類、番手数、糸種が項目として含まれている。パッケージP1の生産日に関する情報には、例えば、パッケージP1の生産開始日が項目として含まれている。パッケージの生産条件を識別する識別情報には、例えば、パッケージP1の生産ロット名が項目として含まれている。
【0094】
第1情報IN1に含まれる情報のうち固有情報は、例えば、綾振ドラム117が1回転したときに巻き取られる糸Y1の長さに関する情報、糸Y1を巻き取るときの張力に関する情報、綾振ドラム117のトラバース制御に関する情報、ヤーンクリアラ114の設定である。張力に関する情報には、例えば、糸Y1を巻き取るときの張力の基準値(基準巻取りテンション)、張力の基準レベルが項目として含まれている。綾振ドラム117のトラバース制御に関する情報には、例えば、使用する綾振ドラム117の種類、綾振ドラム117において綾振に使用する溝の切り替え方法が項目として含まれている。ヤーンクリアラ114の設定には、各種の糸欠陥(例えば、ネップ欠点、スラブ欠点、長欠点、短欠点)について、当該糸欠陥の太さと長さの情報が項目として含まれる。
【0095】
その他、第1情報IN1の固有情報には、錘グループ番号(グループNo.)、グループ開始錘番号、グループ終了錘番号が含まれる。錘グループ番号は、1つの第1繊維機械1において定められているグループである。グループ開始錘番号は、錘グループ番号において起点となる巻取装置11を識別する情報である。グループ終了錘番号は、錘グループ番号において終点となる巻取装置11を識別する情報である。
【0096】
第1情報IN1の固有情報には、さらに、糸Y1の糸速、パッケージP1の重量、パッケージP1の長さ(定長)、パッケージサイズ揚げ直径、ワキシング装置に関する表示、スプライサのタイプ、解撚時間、糸継時間、継ぎ目長さなどがある。
【0097】
一方、第2情報IN2に含まれる情報のうち共通情報は、例えば、精紡装置21の識別情報、紡績糸Y2に関する情報、パッケージP2の生産日に関する情報、パッケージの生産条件を識別する識別情報である。精紡装置21の識別情報には、例えば、第2繊維機械2のグループを示す機台グループ名、第2繊維機械2の番号を示す機台番号、精紡装置21の種類を示す機種タイプが項目として含まれている。紡績糸Y2に関する情報には、例えば、番手種類、番手数、紡績糸Y2の原料が項目として含まれている。パッケージP2の生産日に関する情報には、例えば、パッケージP2の生産開始日が項目として含まれている。パッケージの生産条件を識別する識別情報には、例えば、パッケージP2の生産ロット名が項目として含まれている。
【0098】
第2情報IN2に含まれる情報のうち固有情報は、例えば、繊維束のドラフトに関する情報、繊維束の紡績に関する情報、巻取りに関する情報、ヤーンクリアラ215の設定である。ドラフトに関する情報には、例えば、ドラフトローラ毎の回転速度、一部のドラフトローラにおける回転速度比が項目として含まれる。紡績に関する情報には、例えば、紡績速度(糸速)、糸貯留装置213などの紡績装置212から糸を引き出す部材とドラフト装置211の最下流のドラフトローラの速度比、紡績装置212における添加剤の有無が項目として含まれる。巻取りに関する情報には、例えば、トラバースするときの綾角度、糸貯留装置213などの紡績装置212から糸を引き出す部材とパッケージP2の回転速度比が項目として含まれる。ヤーンクリアラ215の設定には、各種の糸欠陥(例えば、ネップ欠点、スラブ欠点、長欠点、短欠点)について、当該糸欠陥の太さと長さの情報が項目として含まれる。
【0099】
なお、 例えば、糸Y1/紡績糸Y2に関する情報については、番手数のみを共通情報に含めるようにしてもよい。また、他の情報についても、これら情報に含まれる項目の全てではなくその一部(1つ、又は複数)を共通情報としてもよい。
【0100】
第2表示画面GUI2、GUI2’では、表示情報選択部L1において、第1情報IN1を第2表示画面に表示させること(すなわち、第2表示画面GUI2を表示させること)、第2情報IN2を第2表示画面に表示させること(すなわち、第2表示画面GUI2’を表示させること)、のいずれが選択されていても、共通情報の少なくとも一部は、第2表示画面GUI2、GUI2’において同じ位置に表示される。
【0101】
ここで、「同じ位置」とは、第2表示画面に第1情報IN1を表示する場合でも、第2情報を表示する場合でも、同じ共通情報を同じ位置に表示することをいう。具体的には、例えば、第1情報IN1及び第2情報IN2を、それぞれ、項目ごとに一行で表示したときに、共通情報の少なくとも1つが、第2表示画面GUI2、GUI2’の情報表示部Dの同じ列に表示されることをいう。
【0102】
例えば、第1情報IN1の共通情報である巻取装置11の識別情報、第2情報IN2の共通情報である精紡装置21の識別情報は、第2表示画面GUI2、GUI2’の情報表示部Dの列C1~列C3に表示される。
【0103】
また、第1情報IN1の固有情報、及び、第2情報IN2の固有情報は、第2表示画面GUI2、GUI2’において、情報表示部Dの右側(列の番号が大きい側)に表示される。なお、図6Aに示す第2表示画面GUI2では情報表示部Dの右端が列C14となっており、図6Bに示す第2表示画面GUI2’では情報表示部Dの右端が列C12となっているが、実際には、さらに多くの列が情報表示部Dの右端に続いている。右端に続いている情報、例えば、情報表示部Dに設けられたスクロールバーを動かすことにより閲覧できる。
【0104】
情報表示部Dの右側に表示される第1情報IN1の固有情報には、例えば、綾振ドラム117が1回転したときに巻き取られる糸Y1の長さ、糸Y1を巻き取るときの張力に関する情報、綾振ドラム117のトラバース制御に関する情報、糸Y1の糸速、パッケージP1の重量、パッケージP1の長さ(定長)、パッケージサイズ揚げ直径、ワキシング装置に関する表示、スプライサのタイプ、解撚時間、糸継時間、継ぎ目長さ、ヤーンクリアラ114の設定などが含まれる。
【0105】
一方、情報表示部Dの右側に表示される第2情報IN2の固有情報には、例えば、繊維束のドラフトに関する情報、繊維束の紡績に関する情報、巻取りに関する情報、ヤーンクリアラ215の設定がある。
【0106】
また、第2表示画面GUI2の情報切替部SW1において「クリアラ設定」が選択されていると、第2表示画面GUI2の情報表示部Dの右側(固有情報の表示範囲)には、ヤーンクリアラ114の設定が表示される。一方、情報切替部SW1において「生産設定」が選択されていると、情報表示部Dの右側(固有情報の表示範囲)には、その他の固有情報(巻取装置11において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、ドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つ)が表示される。なお、図6Aの第2表示画面GUI2では、情報切替部SW1において「生産設定」が選択されている。
【0107】
第2表示画面GUI2’の情報切替部SW1において「クリアラ設定」が選択されていると、第2表示画面GUI2’の情報表示部Dの右側(固有情報の表示範囲)には、ヤーンクリアラ215の設定が表示される。一方、情報切替部SW1において「生産設定」が選択されていると情報表示部Dの右側(固有情報の表示範囲)には、繊維束のドラフトに関する情報及び繊維束の紡績に関する情報が表示される。なお、図6Bの第2表示画面GUI2’では、情報切替部SW1において「生産設定」が選択されている。
【0108】
このように、第2表示画面GUI2、GUI2’において、ヤーンクリアラの設定と他の固有情報とを切り替えて表示可能とすることで、第2表示画面GUI2、GUI2’において効率的に情報を閲覧できる。
【0109】
上記のように、繊維機械システム100では、第1情報IN1と第2情報IN2とで共通する情報を共通情報として管理し、第1情報IN1と第2情報IN2とで異なる情報を固有情報として管理している。これにより、第1繊維機械1と第2繊維機械2で共通の情報と、第1繊維機械1と第2繊維機械2とで異なる情報とを個別に管理できる。
【0110】
また、第2表示画面GUI2、GUI2’の表示情報選択部L1おいて、第1情報IN1を表示させることが選択されているか、第2情報IN2を表示させることが選択されているかに関わらず、共通情報の少なくとも1つを第2表示画面GUI2、GUI2’において同じ位置に表示させることにより、ユーザの情報把握を容易にできる。
【0111】
さらに、繊維機械システム100においては、第2表示画面GUI2を表示するときに、管理装置3の情報処理部31は、パッケージの生産条件を識別する識別情報が同じである第1情報IN1の内容を比較し、同じ識別情報を有する第1情報IN1に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で第2表示画面GUI2に表示させている。
【0112】
例えば、図6Aに示す第2表示画面GUI2においては、ロット名(列C7)が「ロット1」となっているロット(情報表示部Dの第2行~第4行)では、番手種類(列C8)、糸種(列C10)、糸速(列C12)の内容が互いに異なっている。この場合、図9に示すように、「ロット1」の番手種類が書き込まれた列C8の第2行~第4行、「ロット1」の糸種が書き込まれた列C10の第2行~第4行、「ロット1」の糸速が書き込まれた列C12の第2行~第4行が、他の行とは別の色で着色されて表示される。図9は、内容が異なる部分が他の部分とは異なる表示形態で表示された第2表示画面GUI2の例を示す図である。
【0113】
また、ロット名が「ロット2」となっているロット(情報表示部Dの第5行~第6行)では、機種タイプ(列C3)、終了錘(列C6)、糸種(列C10)、パッケージ重量(列C13)の内容が互いに異なっている。この場合、図9に示すように、「ロット2」の機種タイプが書き込まれた列C3の第5行~第6行、「ロット2」の終了錘が書き込まれた列C6の第5行~第6行、「ロット2」の糸種が書き込まれた列C10の第5行~第6行、「ロット2」のパッケージ重量が書き込まれた列C13の第5行~第6行が、他の行とは別の色で着色されて表示される。
【0114】
このように、同じロット情報を有する第1情報IN1に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で第2表示画面GUI2に表示することにより、同じ識別情報の生産条件について、異なる設定がされていることを視覚的に素早く把握できる。
【0115】
特にロット情報における比較による効果を以下に説明する。同じロット情報を有する第1情報IN1に対しては同じロット条件が設定されるが、繊維機械ごとに異なるロット条件が設定される可能性がある。つまり、同じロット条件を含むはずの第1情報IN1において、実際には異なるロット条件が設定される可能性がある。このような場合には、異なって設定されたロット条件の設定変更をする必要がある。従って、上記のように、同じロット情報を有する第1情報IN1に異なる内容の情報が含まれている場合に、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で第2表示画面GUI2に表示することで、設定の変更が容易となる。
【0116】
なお、第2情報IN2を表示する第2表示画面GUI2’においても、第1情報IN1を表示する第2表示画面GUI2と同様に、パッケージの生産条件を識別する識別情報が同じである第2情報IN2の内容を比較し、同じ識別情報を有する第2情報IN2に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式に表示させる。
【0117】
以上、繊維機械システム100を説明した。繊維機械システム100では、管理装置3が、第1繊維機械1に関する第1情報IN1と、第2繊維機械2に関する第2情報IN2と、を両方取得し、取得した第1情報IN1と第2情報IN2のいずれも第1表示画面GUI1、GUI1’、第2表示画面GUI2、GUI2’に表示させることができる。すなわち、繊維機械システム100では、管理装置3が第1情報IN1と第2情報IN2とを両方取得及び管理しており、当該管理装置3にアクセスすれば、第1情報IN1と第2情報IN2の両方を閲覧できるので、これら2種類の情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【0118】
2.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)上記の繊維機械システム100において、上記にて説明した情報閲覧は、情報取得動作が実行されていないときに実行されてもよいし、情報取得動作の実行中に実行されてもよい。また、図7及び図8に示すフローチャートの各ステップの処理内容、及び/又は各ステップの処理順は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0119】
(B)上記の繊維機械システム100では、第1情報IN1のヤーンクリアラ114の設定、第2情報IN2のヤーンクリアラ215の設定は、それぞれ、固有情報とされていた。これは、第1繊維機械1に含まれる巻取装置11と第2繊維機械2に含まれる精紡装置21とでは、パッケージを形成するための糸の形成方法が異なっており、不適切な糸であると判断する条件が異なっているため、固有情報としておく方が都合がよいことを理由とする。
【0120】
しかし、これに限られず、ヤーンクリアラの設定を、その意義が共通しているので、第1情報IN1と第2情報IN2の共通情報とすることもできる。
【0121】
(C)第1情報IN1及び/又は第2情報IN2の固有情報にヤーンクリアラ114の設定が含まれていなくてもよい。また、ヤーンクリアラ114の設定を、第2表示画面GUI2、GUI2’の情報表示部Dに表示しなくてもよい。この場合、第2表示画面GUI2、GUI2’には情報切替部SW1が設けられていなくてもよい。
【0122】
(D)第1繊維機械1に含まれる巻取装置11は、綾振ドラム117により糸Y1を綾振りするものに限られない。すなわち、第1繊維機械1には、他の形式の巻取装置11を有してもよい。例えば、トラバースアームを往復運動させることで糸の綾振りを行う巻取装置が第1繊維機械1に設けられていてもよい。
【0123】
(E)第2繊維機械2は、上記で説明した精紡装置21とは異なる原理でパッケージP2を生産する精紡装置を含んでいてもよい。
【0124】
(F)管理装置3は、施設Fの外に配置されていてもよい。または、管理装置3の機能の一部を、クラウドサーバ5などの外部の装置が有していてもよい。この場合、管理装置3、上記の外部の装置は、施設Fが存在する国の国外に存在してもよい。このように、管理装置3が施設F外(国外を含む)に配置されていても、例えば、第1端末4が、施設F内、又は、施設Fが存在する国内に存在していれば、繊維機械システム100の利用による効果を当該国内で奏することができる。
【0125】
3.実施形態の特徴
上記実施形態は、下記のようにも説明できる。
(1)繊維機械システム(例えば、繊維機械システム100)は、第1繊維機械(例えば、第1繊維機械1)と、第2繊維機械(例えば、第2繊維機械2)と、管理装置(例えば、管理装置3)と、を備える。第1繊維機械は、ボビン(例えば、給糸ボビンB1)から糸(例えば、糸Y1)を巻き取ってパッケージ(例えば、パッケージP1)を形成する巻取装置(例えば、巻取装置11)を有する。第2繊維機械は、繊維束(例えば、繊維束T)に旋回空気流を作用させて糸(例えば、紡績糸Y2)を生成し、生成した糸を巻き取ってパッケージ(例えば、パッケージP2)を形成する精紡装置(例えば、精紡装置21)を有する。管理装置は、第1繊維機械及び第2繊維機械と通信を行う。また、管理装置は、第1繊維機械に関する第1情報(例えば、第1情報IN1)を第1繊維機械から取得し、第2繊維機械に関する第2情報(例えば、第2情報IN2)を第2繊維機械から取得し、取得した第1情報と第2情報とを表示画面(例えば、第1表示画面GUI1、GUI1’、第2表示画面GUI2、GUI2’)に表示させる。
【0126】
上記の繊維機械システムでは、管理装置が、第1繊維機械に関する第1情報と、第2繊維機械に関する第2情報と、を両方取得し、取得した第1情報と第2情報のいずれも表示画面に表示させることができる。すなわち、上記の繊維機械システムでは、管理装置が巻取装置の情報と精紡装置の情報とを両方取得及び管理しており、当該管理装置にアクセスすれば、巻取装置の情報(第1情報)と精紡装置の情報(第2情報)の両方を閲覧できるので、これら2種類の情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【0127】
(2)上記(1)の繊維機械システムにおいて、表示画面は、第1情報又は第2情報のいずれを表示するかを選択する表示情報選択部(例えば、表示情報選択部L1)を有してよい。このように、表示画面において第1情報と第2情報を切り替えて表示することにより、ユーザが一方の機械の情報を他方の機械の情報と取り違えることを防止できる。この結果、情報の閲覧を効率的に行うことができる。
【0128】
(3)上記(1)又は(2)の繊維機械システムにおいて、第1情報及び第2情報は、第1繊維機械及び第2繊維機械の稼働に関する情報、又は、パッケージの生産に関する情報を含んでいてもよい。これにより、第1繊維機械及び第2繊維機械の両方について、稼働に関する情報とパッケージの生産に関する情報とを効率的に閲覧できる。
【0129】
(4)上記(3)の繊維機械システムにおいて、第1情報及び第2情報は、第1情報と第2情報とで意義が共通する共通情報と、第1情報と第2情報とで意義が異なる固有情報と、を有してもよい。これにより、第1繊維機械と第2繊維機械で共通の情報と、第1繊維機械と第2繊維機械とで異なる情報とを個別に管理できる。
【0130】
(5)上記(4)の繊維機械システムにおいて、情報表示画面は、第1情報又は第2情報のいずれを表示するかを選択する表示情報選択部を有してもよい。この場合、管理装置は、第1情報を表示画面に表示させる場合であっても、第2情報を表示画面に表示させる場合であっても、共通情報の少なくとも1つを表示画面において同じ位置に表示させてもよい。これにより、ユーザの情報把握を容易にできる。
【0131】
(6)上記(4)又は(5)の繊維機械システムにおいて、共通情報は、巻取装置又は精紡装置の識別情報、糸に関する情報、及びパッケージの生産日に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、巻取装置と精紡装置とで共通とできる情報を、共通情報として管理できる。
【0132】
(7)上記(4)~(6)のいずれかの繊維機械システムにおいて、第1情報の固有情報は、巻取装置において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、及びドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。また、第2情報の固有情報は、精紡装置における繊維束のドラフトに関する情報、繊維束の紡績に関する情報、及び巻取りに関する情報の少なくとも1つを含んでもよい。これにより、巻取装置と精紡装置とで固有の情報を、固有情報として管理できる。
【0133】
(8)上記(7)の繊維機械システムにおいて、第2情報の固有情報は、精紡装置における糸の欠陥を検出するクリアラの設定を含んでもよい。この場合、表示画面において、ドラフトに関する情報、紡績に関する情報、及び巻取りに関する情報の少なくとも1つと、クリアラの設定とは切り替えて表示可能であってもよい。これにより、ドラフトに関する情報及び紡績に関する情報と、紡績機械におけるクリアラの設定とを切り替えて表示して、効率的に情報を閲覧できる。
【0134】
(9)上記(4)~(8)のいずれかの繊維機械システムにおいて、第1情報の固有情報は、巻取装置における糸の欠陥を検出するクリアラの設定を含んでもよい。この場合、表示画面において、巻取装置において糸をトラバースするドラムが1回転したときに巻き取られる糸の長さに関する情報、糸を巻き取るときの張力に関する情報、及びドラムのトラバース制御に関する情報の少なくとも1つと、クリアラの設定とは切り替えて表示可能であってもよい。これにより、巻取装置に備わるクリアラの設定を、巻取装置の固有情報として管理できる。また、クリアラの設定と他の固有情報とを切り替えて表示して、効率的に情報を閲覧できる。
【0135】
(10)上記(4)~(9)のいずれかの繊維機械システムにおいて、共通情報は、パッケージの生産条件を識別する識別情報を含んでもよい。この場合、管理装置は、同じ識別情報を有する第1情報の内容を比較し、同じ識別情報を有する第1情報に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で表示画面に表示させてもよい。または、同じ識別情報を有する第2情報の内容を比較し、同じ識別情報を有する第2情報に異なる内容の情報が含まれている場合には、異なる内容を含む部分を他とは異なる表示形式で前記表示画面に表示させてもよい。これにより、同じ識別情報の生産条件について、異なる設定がされていることを視覚的に素早く把握できる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、糸のパッケージを製造する装置から各種情報を収集し、収集した情報の管理等を行う繊維機械システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0137】
100 :繊維機械システム
F :施設
1 :第1繊維機械
11 :巻取装置
111 :糸解舒補助装置
112 :テンション付与装置
113 :糸継装置
114 :ヤーンクリアラ
115 :下糸案内部材
116 :上糸案内部材
117 :綾振ドラム
118 :クレードル
B1 :給糸ボビン
B2 :巻取管
13 :玉揚装置
15 :機台コントローラ
151 :表示装置
152 :入力装置
2 :第2繊維機械
21 :精紡装置
211 :ドラフト装置
212 :紡績装置
213 :糸貯留装置
214 :パッケージ形成装置
215 :ヤーンクリアラ
217 :糸継装置
23 :機台コントローラ
231 :タッチパネル
3 :管理装置
31 :情報処理部
33 :記憶部
IN1 :第1情報
IN2 :第2情報
GUI1、GUI1’ :第1表示画面
GUI2、GUI2’ :第2表示画面
L1 :表示情報選択部
SE1 :表示条件設定部
SW1 :情報切替部
D :情報表示部
4 :第1端末
5 :クラウドサーバ
6 :第2端末
N :ネットワーク
P1、P2 :パッケージ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9