(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176071
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 3/10 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G01L3/10 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094290
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐方 拓馬
(57)【要約】
【課題】防水性能を向上させることができるセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置は、基板51と、磁気センサ52と、第1のホルダ31と、第2のホルダ32と、被覆部70とを有する。磁気センサ52は、回転軸に加わるトルクを検出するためのものである。磁気センサ52は、基板51に設けられる。第1のホルダ31は、基板51を収容する。第2のホルダ32は、第1のホルダ31に回転軸の軸方向に組み合わされる。第2のホルダ32は、第1のホルダ31と共に基板51を収容する。被覆部70は、第2のホルダ32に設けられる。被覆部70は、第1のホルダ31と第2のホルダ32との合わせ面である界面を外側から覆う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象である回転軸の回転運動に関する物理量を検出するためのセンサと、
前記センサが設けられる基板と、
前記基板を収容する第1のホルダと、
前記第1のホルダに前記回転軸の軸方向に組み合わされる第2のホルダであって、前記第1のホルダと共に前記基板を収容する第2のホルダと、
前記第1のホルダまたは前記第2のホルダに設けられる被覆部であって、前記第1のホルダと前記第2のホルダとの合わせ面である界面を外側から覆う被覆部と、を有するセンサ装置。
【請求項2】
前記第1のホルダは、前記回転軸が挿入される筒状体である第1の保持部と、
前記基板を保持する箱状体である第1の基板保持部と、
取付け対象に取り付けられる固定部であって、前記第1の基板保持部の側部に前記第1の基板保持部と直交するように設けられる固定部と、
前記固定部と前記第1の基板保持部の側部との間に設けられるリブと、を有し、
前記第2のホルダは、前記回転軸が挿入される筒状体である第2の保持部と、
前記基板が収容される箱状体である第2の基板保持部と、を有し、
前記被覆部は、前記第1の基板保持部と前記第2の基板保持部との合わせ面である界面を外側から覆う第1の覆い部と、
前記リブを内部に収容して覆う第2の覆い部と、を有している請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第1の基板保持部は、前記基板を収容する基板収容部であって、前記第2の基板保持部に向き合う端面に囲壁部を設けることによって形成される基板収容部を有し、
前記第2の基板保持部は、前記囲壁部の外周に嵌合している請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1の保持部に保持される第1の集磁リングであって、前記回転軸のねじれに応じた磁束を誘導する第1の集磁リングと、
前記第2の保持部に保持される第2の集磁リングであって、前記回転軸のねじれに応じた磁束を誘導する第2の集磁リングと、を有し、
前記センサは、前記第1の集磁リングの一部と、前記第2の集磁リングの一部との間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成するように構成される請求項2または請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記回転軸は、車両のステアリングシャフト、または車両の転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフトである請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸に加わるトルクを検出するトルク検出装置が存在する。たとえば、特許文献1のセンサ装置は、回転軸を構成するトーションバーのねじれに伴い変化する磁束に基づきトルクを検出する。センサ装置は、磁束を誘導する集磁リングを保持する集磁ホルダを有する。集磁ホルダは、互いに組み合わされる第1の集磁ホルダと第2の集磁ホルダとを含む。第1の集磁ホルダと第2の集磁ホルダとの合わせ面は、第1の集磁ホルダの凹凸形状と、第2の集磁ホルダの凹凸形状とが互いに組み合わされることにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のセンサ装置によれば、合わせ面を形成する凹凸形状により、合わせ面から浸入する水の移動が阻害される。このため、集磁ホルダの内部への水の浸入が抑制される。しかし、製品仕様などによっては、センサ装置には、より高い防水性能が要求されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決し得るセンサ装置は、検出対象である回転軸の回転運動に関する物理量を検出するためのセンサと、前記センサが設けられる基板と、前記基板を収容する第1のホルダと、前記第1のホルダに前記回転軸の軸方向に組み合わされる第2のホルダであって、前記第1のホルダと共に前記基板を収容する第2のホルダと、前記第1のホルダまたは前記第2のホルダに設けられる被覆部であって、前記第1のホルダと前記第2のホルダとの合わせ面である界面を外側から覆う被覆部と、を有する。
【0006】
この構成によれば、第1のホルダと第2のホルダとの合わせ面である界面の少なくとも一部が、被覆部によって外側から覆われる。このため、界面からの水の浸入が抑制される。したがって、センサ装置の防水性能を向上させることができる。
【0007】
上記のセンサ装置において、前記第1のホルダは、前記回転軸が挿入される筒状体である第1の保持部と、前記基板を保持する箱状体である第1の基板保持部と、取付け対象に取り付けられる固定部であって、前記第1の基板保持部の側部に前記第1の基板保持部と直交するように設けられる固定部と、前記固定部と前記第1の基板保持部の側部との間に設けられるリブと、を有していてもよい。前記第2のホルダは、前記回転軸が挿入される筒状体である第2の保持部と、前記基板が収容される箱状体である第2の基板保持部と、を有していてもよい。この場合、前記被覆部は、前記第1の基板保持部と前記第2の基板保持部との合わせ面である界面を外側から覆う第1の覆い部と、前記リブを内部に収容して覆う第2の覆い部と、を有していてもよい。
【0008】
この構成によれば、第1の基板保持部と第2の基板保持部との合わせ面である界面が、第1の覆い部によって外側から覆われる。このため、界面からの水の浸入が抑制される。また、リブが、第2の覆い部の内部に収容されるかたちで覆われる。このため、リブに水が付着すること、ひいてはリブを伝って水が界面に到達することを抑制することができる。
【0009】
上記のセンサ装置において、前記第1の基板保持部は、前記基板を収容する基板収容部であって、前記第2の基板保持部に向き合う端面に囲壁部を設けることによって形成される基板収容部を有していてもよい。この場合、前記第2の基板保持部は、前記囲壁部の外周に嵌合していてもよい。
【0010】
この構成によれば、仮に、第1の基板保持部と第2の基板保持部との合わせ面である界面に水が到達したとしても、水が基板収容部の内部に浸入するためには、囲壁部を乗り越える必要がある。このため、水が基板収容部の内部に浸入することを抑制することができる。
【0011】
上記のセンサ装置において、前記第1の保持部に保持される第1の集磁リングであって、前記回転軸のねじれに応じた磁束を誘導する第1の集磁リングと、前記第2の保持部に保持される第2の集磁リングであって、前記回転軸のねじれに応じた磁束を誘導する第2の集磁リングと、を有していてもよい。この場合、前記センサは、前記第1の集磁リングの一部と、前記第2の集磁リングの一部との間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成するように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、センサが生成する電気信号に基づき、回転軸に加わるトルクを求めることが可能となる。
上記のセンサ装置において、前記回転軸は、車両のステアリングシャフト、または車両の転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフトであってもよい。
【0013】
上記のセンサ装置は、防水性能の向上が要求される車両用途に好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のセンサ装置によれば、防水性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】センサ装置の一実施の形態の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】一実施の形態にかかる集磁ユニットの分解斜視図である。
【
図3】一実施の形態にかかる第2の集磁ホルダを内側からみた斜視図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【
図5】
図1のIV-IVに沿って切断した要部を示す断面図である。
【
図6】
図1のVI-VI線に沿って切断した要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、センサ装置の一実施の形態について説明する。
<全体構成>
図1に示すように、センサ装置10は、検出対象である回転軸11に設けられる。回転軸11は、入力軸11A、トーションバー11B、および出力軸11Cを有している。入力軸11Aと出力軸11Cとは、トーションバー11Bを介して互いに連結される。回転軸11は、たとえば、車両の操舵装置を構成するステアリングシャフト、あるいは車両の転舵輪を転舵させる転舵シャフトに噛み合うピニオンシャフトである。
【0017】
センサ装置10は、回転軸11に加わるトルクを検出する。センサ装置10は、永久磁石12、磁気ヨーク13、および集磁ユニット14を有している。
永久磁石12は、円筒状である。永久磁石12は、その周方向において、S極とN極とが交互に着磁されている。永久磁石12の内周面と入力軸11Aの外周面とは、互いに嵌り合っている。永久磁石12の内周面は、入力軸11Aの外周面に固定される。
【0018】
磁気ヨーク13は、円形の断面形状を有する筒状体である。磁気ヨーク13の内部には、永久磁石12が非接触状態で挿入される。磁気ヨーク13は、第1のヨーク21、第2のヨーク22、およびホルダ23を有している。第1のヨーク21および第2のヨーク22は、磁性体からなる環状の部材である。第1のヨーク21および第2のヨーク22は、回転軸11の軸線に沿って並んでいる。第1のヨーク21の外周面と、第2のヨーク22の外周面とは、磁気ヨーク13の外周面に露出している。磁気ヨーク13は、第1のヨーク21および第2のヨーク22が合成樹脂材料によりモールドされることにより形成される。ホルダ23は、磁気ヨーク13の合成樹脂材料により形成された部である。ホルダ23は、第1のヨーク21と第2のヨーク22との位置関係を保持する。磁気ヨーク13は、出力軸11Cに固定される。
【0019】
第1のヨーク21は、複数の第1の歯部21Aを有している。第1の歯部21Aは、第1のヨーク21の周方向において、等間隔に並んでいる。第2のヨーク22は、複数の第2の歯部22Aを有している。第2の歯部22Aは、第2のヨーク22の周方向において、等間隔に並んでいる。第1の歯部21Aと第2の歯部22Aとは、軸方向に互いに反対側に延びている。また、第1の歯部21Aと第2の歯部22Aとは、第1のヨーク21および第2のヨーク22の周方向において、交互に配置されている。トーションバー11Bに捩れ変形が生じていない状態において、第1の歯部21Aの周方向における中心と、第2の歯部22Aの周方向における中心とは、永久磁石12のN極とS極との境界に一致する。第1の歯部21Aと第2の歯部22Aとは、磁気ヨーク13の内周面に露出している。
【0020】
集磁ユニット14は、第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを有している。第1のホルダ31と、第2のホルダ32とは、軸方向において互いに組み合わされている。集磁ユニット14は、円形の断面形状を有する筒状部分を有している。筒状部分には、磁気ヨーク13が非接触状態で挿入される。
【0021】
なお、永久磁石12、磁気ヨーク13、および集磁ユニット14の一部は、合成樹脂製のセンサハウジングの内部に収容される。回転軸11は、センサハウジングを貫通する。
<第1のホルダ31>
図2に示すように、第1のホルダ31は、合成樹脂製であって、第1の保持部41と、第1の基板保持部42と、2つの固定部43と、2つのリブ44とを有している。
【0022】
第1の保持部41は、円形の断面形状を有する筒状体である。第1の保持部41は、第1の集磁リング41Aを有している。第1の集磁リング41Aは、インサート成形によって、第1の保持部41と一体的に設けられる。第1の集磁リング41Aは、磁気ヨーク13の外周に沿って湾曲する円弧状の板部材であって、第1の保持部41の内周面に露出している。第1の集磁リング41Aは、第1のヨーク21に対応する。センサ装置10が組み立てられた状態において、第1の集磁リング41Aは、第1のヨーク21の外周面に径方向に対向する。第1の集磁リング41Aは、第1のヨーク21からの磁束を誘導する。
【0023】
第1の集磁リング41Aは、2つの集磁突部41A1を有している。集磁突部41A1は、第1の集磁リング41Aの一部である。集磁突部41A1は、第1の保持部41の周壁を径方向外側に貫通し、外部に露出している。
【0024】
第1の保持部41は、複数の係合突部41Bを有している。係合突部41Bは、第1の保持部41の第1の端面に設けられている。第1の端面は、第1の保持部41のうち、軸方向において第2のホルダ32と向き合う面である。係合突部41Bは、第1の端面から軸方向に延びている。係合突部41Bの先端には、係合爪が設けられている。複数の係合突部41Bは、周方向に間隔をあけて配置されている。
【0025】
第1の基板保持部42は、長方形の断面形状を有する箱状体である。第1の基板保持部42は、第1の保持部41の外周面から径方向外側に延びている。第1の基板保持部42の長辺は、第1の保持部41の外周面に対して交わる方向に延びている。第1の基板保持部42の短辺は、第1の保持部41の外周面に対する接線方向に延びている。
【0026】
第1の基板保持部42は、基板収容部42Aを有している。基板収容部42Aは、第1の基板保持部42の第1の端面に設けられている。第1の端面は、第1の基板保持部42のうち、軸方向において第2のホルダ32と向き合う面である。基板収容部42Aは、第1の基板保持部42の第1の端面に、囲壁部42Bを設けることにより形成される。囲壁部42Bは、第1の基板保持部42の長辺方向に延びる2つの長側壁と、第1の基板保持部42の短辺方向に延びる1つの短側壁とを有している。長側壁の第1の端部は、第1の保持部41の周壁に連結されている。短側壁は、2つの長側壁の第2の端部を連結している。囲壁部42Bは、第1の保持部41の周壁の一部と協働して、長方形の断面形状を有する非貫通の穴を形成している。穴の深さは、第1の基板保持部42の第1の端面を基準とした囲壁部42Bの高さよりも深くてもよい。
【0027】
基板収容部42Aの内部には、2つの集磁突部41A1が露出している。基板収容部42Aには、基板51が収容される。基板51は、2つの磁気センサ52を有している。磁気センサ52は、基板51の第1の端面に設けられている。第1の端面は、基板51のうち、軸方向において第2のホルダ32と向き合う面である。2つの磁気センサ52は、各々、軸方向において2つの集磁突部41A1に向き合うように配置される。2つの磁気センサ52は、第1の基板保持部42の短辺方向に間隔をあけて配置されている。
【0028】
第1の基板保持部42には、ハーネス53が取り付けられている。ハーネス53は、第1の基板保持部42の第1の保持部41と反対側の第1の端部から引き出されている。ハーネス53は、複数の絶縁電線を絶縁皮膜であるシースで束ねた多芯電線である。ハーネス53の第1の端部は、複数の端子を介して基板51に接続される。端子と基板51のパターン配線とは、電気的に接続されている。ハーネス53の第2の端部は、外部機器に接続される。外部機器は、たとえば操舵装置の制御装置である。
【0029】
2つの固定部43は、集磁ユニット14をセンサハウジングに固定するために使用される。固定部43は、たとえば、ボルトによりセンサハウジングに取り付けられる。センサハウジングは、集磁ユニット14の取付け対象である。
【0030】
2つの固定部43は、各々、第1の基板保持部42の長辺方向に延びる2つの長側面に設けられている。固定部43は、長方形の断面形状を有する板状部材であって、第1の基板保持部42に直交している。すなわち、固定部43の短辺方向と、第1の基板保持部42の長辺方向とは、互いに直交している。固定部43は、第1の保持部41に隣接している。固定部43は、第1の基板保持部42に対して、第1の保持部41の軸方向の両側に延在している。
【0031】
固定部43は、案内溝43Aを有している。案内溝43Aは、第1の基板保持部42の短辺方向において互いに向き合う2つの固定部43の側面のうち、第1の基板保持部42の第1の端面に対して第2のホルダ32側の領域に設けられている。案内溝43Aは、固定部43の短辺方向に延びている。案内溝43Aは、第1の基板保持部42の第1の端面に対して第2のホルダ32側に開放されている。
【0032】
リブ44は、第1のホルダ31の補強するためのものであって、固定部43と、第1の基板保持部42の長側面とから形成される角部に設けられている。長側面は、第1の基板保持部42の長辺方向に延びる面である。リブ44は、たとえば、三角形の断面形状を有している。リブ44の第1の端面は、第1の基板保持部42の第1の端面と面一である。第1の端面は、リブ44または第1の基板保持部42のうち、軸方向において第2のホルダ32と向き合う面である。面一は、2つの面の間に段差がないフラットな状態である。
【0033】
<第2のホルダ32>
図2に示すように、第2のホルダ32は、合成樹脂製であって、第2の保持部61と、第2の基板保持部62とを有している。
【0034】
第2の保持部61は、円形の断面形状を有する筒状体である。ただし、第2の保持部61の周壁の一部には、接線方向に延びる平坦な壁面が形成されている。第2の保持部61は、軸方向からみて、半長円形の輪郭形状を有する。第2の保持部61は、第2の集磁リング61Aを有している。第2の集磁リング61Aは、インサート成形によって、第2の保持部61と一体的に設けられる。第2の集磁リング61Aは、磁気ヨーク13の外周に沿って湾曲する円弧状の板部材であって、第2の保持部61の内周面に露出している。第2の集磁リング61Aは、第2のヨーク22に対応する。センサ装置10が組み立てられた状態において、第2の集磁リング61Aは、第2のヨーク22の外周面に径方向に対向する。第2の集磁リング61Aは、第2のヨーク22からの磁束を誘導する。
【0035】
第2の保持部61は、複数の係合凹部61Bを有している。係合凹部61Bの数は、係合突部41Bの数と同じである。係合凹部61Bは、第2の保持部61の軸方向に延びるとともに、軸方向の両側が開放されている。
【0036】
第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付ける際、係合突部41Bが係合凹部61Bに軸方向に挿入される。係合突部41Bの先端の係合爪は、第2の保持部61の第1の端面の一部に係合する。第1の端面は、第2の保持部61のうち、軸方向において第1の保持部41と反対側にある面である。第2の保持部61の第2の端面は、係合突部41Bの先端の係合爪が、第2の保持部61の第1の端面の一部に係合することにより、第1の保持部41の第1の端面との接触状態が維持される。第2の保持部61の第2の端面は、第2の保持部61の軸方向において第1の端面とは反対側の面である。
【0037】
第2の基板保持部62は、長方形の断面形状を有する箱状体である。第2の基板保持部62は、第2の保持部61の平坦な壁面から径方向外側に延びている。第2の基板保持部62の長辺は、第2の保持部61の平坦な壁面に直交する方向に延びている。第2の基板保持部62の短辺は、第2の保持部61と同じ方向に延びている。
【0038】
第2の基板保持部62は、嵌合壁62Aを有している。嵌合壁62Aは、第2の基板保持部62の第1の端面に設けられている。第1の端面は、第2の基板保持部62のうち、軸方向において第1の基板保持部42と反対側にある面である。嵌合壁62Aは、長方形の断面形状を有する板状部材であって、第2の基板保持部62の第1の端面に直交している。嵌合壁62Aは、第2の基板保持部62の短辺方向に延びている。嵌合壁62Aは、第2の保持部61に隣接している。
【0039】
第2の基板保持部62の短辺方向において互いに反対側にある嵌合壁62Aの2つの側面は、各々、短辺方向において互いに反対側にある第2の基板保持部62の2つの側面と面一である。面一は、2つの面の間に段差がないフラットな状態である。嵌合壁62Aの第1の基板保持部42の短辺方向の長さは、第1の基板保持部42の短辺方向において互いに向かい合う2つの固定部43の間の距離とほぼ同じ長さである。
【0040】
第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付ける際、第1の基板保持部42の短辺方向において互いに向き合う2つの固定部43の間に嵌合壁62Aが嵌め込まれる。ただし、嵌合壁62Aが嵌め込まれる2つの固定部43の間の部分は、2つの固定部43のうち、第1の基板保持部42の第1の端面に対して第2のホルダ32側の部分である。
【0041】
嵌合壁62Aは、案内突部62Bを有している。案内突部62Bは、第2の基板保持部62の短辺方向において互いに反対側にある嵌合壁62Aの2つの側面に設けられている。案内突部62Bは、第2の基板保持部62の第1の端面に直交する方向に延びている。案内突部62Bは、嵌合壁62Aの側面から、第2の基板保持部62の側面まで連続して設けられている。
【0042】
第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付ける際、案内突部62Bは、案内溝43Aに軸方向に嵌め込まれる。
第2の基板保持部62は、2つの係合突部62Cを有している。係合突部62Cは、第2の基板保持部62の第2の端面に設けられている。第2の端面は、第2の基板保持部62のうち、軸方向において第1のホルダ31と向き合う面である。係合突部62Cは、第2の端面から軸方向に延びている。2つの係合突部62Cは、第2の基板保持部62の短辺方向において互いに向き合っている。第2の基板保持部62の短辺方向における2つの係合突部62Cの間の距離は、第1の基板保持部42の短辺方向の長さとほぼ同じである。係合突部62Cの先端には、係合爪が設けられている。
【0043】
第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付ける際、係合突部62Cの先端の係合爪は、第1の基板保持部42の第2の端面の一部に係合する。第2の端面は、第1の基板保持部42のうち、軸方向において第2の基板保持部62と反対側にある面である。係合突部62Cの先端の係合爪が第1の基板保持部42の第2の端面の一部に係合した状態において、係合突部62Cの内側面は、第1の基板保持部42の外側面に接触した状態に維持される。
【0044】
第2の基板保持部62は、2つの被覆部70を有している。被覆部70は、第2の基板保持部62の短辺方向において互いに反対側にある2つの長側面に設けられている。2つの長側面は、第2の基板保持部62の短辺方向における側部である。被覆部70は、第1の覆い部71と、第2の覆い部72とを有している。
【0045】
第1の覆い部71は、被覆部70のうち、L字状の断面形状を有する板状の部分である。第1の覆い部71は、第1の連結壁71Aと、第1の側壁71Bとを有している。
第1の連結壁71Aは、第2の基板保持部62の長側面のうち、第2の基板保持部62の第2の端面に近い部分に設けられている。第1の連結壁71Aは、第2の基板保持部62の長辺方向において、係合突部62Cの近傍の位置から、第2の基板保持部62の長手方向中央部の近傍の位置まで設けられている。第2の基板保持部62の長側面を基準とした第1の連結壁71Aの高さは、わずかである。
【0046】
第1の側壁71Bは、第1の連結壁71Aを介して、第2の基板保持部62の長側面に連結されている。第2の基板保持部62の長辺方向において、第1の側壁71Bの長さは、第1の連結壁71Aの長さと同じである。第1の側壁71Bは、第2の基板保持部62の第2の端面に直交する方向であって、第2の基板保持部62の第2の端面から離れる方向に延びている。第1の側壁71Bは、第2の基板保持部62の長側面と平行である。
【0047】
第2の覆い部72は、被覆部70のうち、三角形の断面形状を有する箱状の部分である。第2の覆い部72の内部形状は、第1のホルダ31のリブ44の外部形状に対応している。第2の覆い部72は、第2の連結壁72Aと、第2の側壁72Bとを有している。
【0048】
第2の連結壁72Aは、直角三角形の板状であって、第2の基板保持部62の長側面から側方へ張り出している。第2の連結壁72Aは、第2の基板保持部62の長側面のうち、第2の基板保持部62の第2の端面に近い部分に設けられている。第2の連結壁72Aは、第2の基板保持部62の長辺方向において、第2の基板保持部62の長手方向中央部の近傍の位置から、嵌合壁62Aの近傍の位置まで設けられている。第2の連結壁72Aは、第2の基板保持部62の長手方向中央部の近傍の位置において、第1の連結壁71Aに滑らかに連結されている。第2の連結壁72Aは、第1の連結壁71Aと面一である。第2の連結壁72Aの直交する2つの辺のうち、第2の基板保持部62の短辺方向に延びる辺は、嵌合壁62Aの近傍に位置している。
【0049】
第2の側壁72Bは、第2の連結壁72Aの斜辺に連結されている。第2の側壁72Bは、第2の連結壁72Aの斜辺の全長にわたって設けられている。第2の側壁72Bは、第2の基板保持部62の第2の端面に直交する方向であって、第2の基板保持部62の第2の端面から離れる方向に延びている。第2の側壁72Bは、第2の基板保持部62の長手方向中央部の近傍の位置において、第1の側壁71Bに滑らかに連結されている。
【0050】
図3に示すように、第2の基板保持部62の第2の端面は、開放されている。第2の端面は、第2の基板保持部62のうち、軸方向において第1の基板保持部42と向き合う面である。第2の基板保持部62は、嵌合部62Dを有している。嵌合部62Dは、第2の基板保持部62のうち、長方形の断面形状を有する非貫通の穴状部分である。嵌合部62Dは、第2の基板保持部62の内部を仕切壁62Eで仕切ることにより形成されている。仕切壁62Eは、第2の基板保持部62の短辺方向に延びている。仕切壁62Eの両端は、第2の基板保持部62の長辺方向に延びる2つの長側壁に連結されている。仕切壁62Eは、第2の基板保持部62の短辺方向に延びる短側壁よりも第2の保持部61に近い。嵌合部62Dは、囲壁部42Bの外周に嵌合可能である。
【0051】
第2の集磁リング61Aは、2つの集磁突部61A1を有している。集磁突部61A1は、第2の集磁リング61Aの一部である。集磁突部61A1は、第2の保持部61の周壁を径方向外側に貫通し、嵌合部62Dの内部に露出している。2つの集磁突部61A1は、第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付けた際、軸方向において2つの磁気センサ52に向き合うように配置される。2つの集磁突部61A1は、第2の基板保持部62の短辺方向に間隔をあけて配置されている。
【0052】
<センサ装置10の組立状態>
図4に示すように、第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付けた状態において、第2のホルダ32の嵌合部62Dは、第1のホルダ31の囲壁部42Bの外周に嵌合している。基板51に直交する方向において、第1の集磁リング41Aの2つの集磁突部41A1は、各々、第2の集磁リング61Aの2つの集磁突部61A1に向き合っている。磁気センサ52は、第1の集磁リング41Aの集磁突部41A1と、第2の集磁リング61Aの集磁突部61A1との間に介在している。磁気センサ52は、第1の集磁リング41Aに誘導される磁束と、第2の集磁リング61Aに誘導される磁束とを検出する。
【0053】
入力軸11Aにトルクが加わる場合、トーションバー11Bは、ねじれ変形する。入力軸11Aに加えられるトルクに応じて、入力軸11Aと出力軸11Cとの間に相対的な回転変位が生じる。すると、永久磁石12と第1のヨーク21との回転方向における相対位置が変化する。このため、永久磁石12から第1のヨーク21を通じて第1の集磁リング41Aに誘導される磁束が変化する。また、永久磁石12と第2のヨーク22との回転方向における相対位置が変化する。このため、永久磁石12から第2のヨーク22を通じて第2の集磁リング61Aに誘導される磁束が変化する。
【0054】
磁気センサ52は、第1の集磁リング41Aの集磁突部41A1と、第2の集磁リング61Aの集磁突部61A1との間に漏出する磁束に応じた電気信号を生成する。磁気センサ52により生成される電気信号は、トーションバー11Bのねじれ変形、すなわちトーションバー11Bのねじれ角に応じて変化する。操舵装置の制御装置は、磁気センサ52により生成される電気信号に基づき、トーションバー11Bに作用するトルクを演算する。トルクは、回転軸11の回転運動に関する物理量である。
【0055】
図4に示すように、第1のホルダ31と、第2のホルダ32とを軸方向に組み付けた状態において、第2の基板保持部62の2つの側壁は、第1の基板保持部42の第1の端面のうち、囲壁部42Bの周辺の領域に接触した状態に維持される。
【0056】
図5に示すように、第1の基板保持部42と第2の基板保持部62との合わせ面である界面S1は、被覆部70によって、外側から覆われている。界面S1は、第1のホルダ31と第2のホルダ32とが互いに接触する境界面である。被覆部70の第1の覆い部71は、第2の基板保持部62から回り込むかたちで、界面S1の外側を覆っている。界面S1は、第1のホルダ31と第2のホルダ32との合わせ面でもある。第1の基板保持部42の外側面と、第1の覆い部71の内側面との間には、隙間が設定されている。
【0057】
図6に示すように、第1の基板保持部42のリブ44は、被覆部70の第2の覆い部72の内部に位置している。第2の覆い部72の第2の連結壁72Aと、リブ44との合わせ面である界面S2は、第2の側壁72Bによって、外側から覆われている。界面S2は、第2の連結壁72Aと、リブ44とが、互いに向き合う境界面である。界面S2は、第2の側壁72Bの内側面とリブ44の外側面とが互いに接触することにより、外側から塞がれている。製品仕様によっては、第2の連結壁72Aと、リブ44とが互いに接触していてもよい。
【0058】
<実施の形態の作用および効果>
つぎに、本実施の形態の作用および効果について説明する。
(1)センサ装置10は、たとえば、第2のホルダ32が鉛直上向きとなるように搭載されることがある。この場合、センサ装置10の搭載位置などによっては、第2のホルダ32に水が滴り落ちるおそれがある。この水は、重力によって、第2のホルダ32の表面を伝って、第2のホルダ32から第1のホルダ31に向って流れる。
【0059】
水の一部は、第2の基板保持部62から第1の基板保持部42に向って流れることがある。この場合、
図5に矢印A1で示すように、第2の基板保持部62の表面を伝う水の一部は、第1の覆い部71の表面を伝って滴下する。このため、第1の基板保持部42と第2の基板保持部62との界面S1に水が到達することが抑制される。
【0060】
界面S1の外側を覆う第1の覆い部71の長さは、長い方が好ましい。長さは、第2の基板保持部62から第1の基板保持部42に向かう方向の長さである。第1の覆い部71の長さが長いほど、第1の覆い部71の端部から界面S1までの水の侵入経路を長くすることができ、界面S1に水が到達することを抑制することができる。第1の基板保持部42の外側面と、第1の覆い部71の内側面との間の隙間は、狭い方が好ましい。隙間が狭いほど、界面S1に水が到達することを抑制することができる。
【0061】
また、
図6に矢印A2で示すように、第2の基板保持部62の表面を伝う水の一部、あるいは固定部43の表面を伝う水の一部は、第2の覆い部72の表面を伝って滴下する。このため、第2の連結壁72Aとリブ44との界面S2に水が到達することが抑制される。リブ44に水が付着すること、ひいてはリブ44を伝って水が界面S1に到達することも抑制される。
【0062】
また、界面S2は、第2の側壁72Bの内側面とリブ44の外側面とが互いに接触することにより、外側から塞がれている。このため、第2の側壁72Bが界面S2の外側を覆うだけの場合、すなわち第2の側壁72Bの内側面とリブ44の外側面とが互いに接触しない場合と比べて、界面S2に水が到達することがさらに抑制される。
【0063】
したがって、界面S1,S2を介して、水が基板収容部42Aの内部に浸入することが抑制される。磁気センサ52に水が付着することも回避される。したがって、センサ装置10の防水性能を向上させることができる。
【0064】
(2)仮に、水が界面S1,S2に到達したとしても、水が基板収容部42Aの内部に浸入するためには、囲壁部42Bを乗り越える必要がある。このため、水が基板収容部42Aの内部に浸入することを抑制することができる。
【0065】
(3)センサ装置10は、防水性能の向上が要求される車両用途に好適である。
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
【0066】
・製品仕様によっては、リブ44を割愛してもよい。この場合、たとえば、第2の覆い部72を割愛し、第1の覆い部71を固定部43へ向けて延長してもよい。
・センサ装置10の搭載位置、あるいは搭載姿勢によっては、2つの被覆部70のうちいずれか一方を割愛してもよい。たとえば、センサ装置10が鉛直方向に対して斜めに設けられる場合、上に位置する被覆部70を残す一方、下に位置する被覆部70を割愛する。
【0067】
・製品仕様によっては、被覆部70を第1のホルダ31に設けてもよい。第2のホルダ32が第1のホルダ31に対して上にある場合、被覆部70は上方に開口する。このようにすれば、下方からの水に対する防水性能を確保することができる。
【0068】
・センサ装置10は、回転軸11の回転角度を検出する回転角センサであってもよい。この場合、たとえば、回転軸11の外周面には、主動歯車が一体回転可能に装着される。基板収容部42Aの内部には、2つの従動歯車が回転可能に支持される。2つの従動歯車の歯数は互いに異なっている。基板51には、2つの従動歯車の回転角度に応じた電気信号を各々生成する2つのセンサが設けられる。2つの従動歯車は、第1の保持部41の周壁に設けられる開口部を介して、主動歯車に噛み合う。このため、主動歯車の回転に連動して、2つの従動歯車は回転する。2つの従動歯車の歯数は互いに異なっているため、主動歯車の回転角度に対する2つの従動歯車の回転角度は、それぞれ異なる。このため、第1のセンサおよび第2のセンサが生成する電気信号の位相は、互いに異なる。操舵装置の制御装置は、第1のセンサおよび第2のセンサにより生成される電気信号に基づき、回転軸11の回転角度を検出する。回転軸11の回転角度は、回転軸11の回転運動に関する物理量である。
【符号の説明】
【0069】
10…センサ装置
11…回転軸(ステアリングシャフト、ピニオンシャフト)
31…第1のホルダ
32…第2のホルダ
41…第1の保持部
41A…第1の集磁リング
42…第1の基板保持部
42A…基板収容部
42B…囲壁部
43…固定部
44…リブ
51…基板
52…磁気センサ(センサ)
61…第2の保持部
61A…第2の集磁リング
62…第2の基板保持部
70…被覆部
71…第1の覆い部
72…第2の覆い部