(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176074
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241212BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094298
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 直輝
(72)【発明者】
【氏名】松下 真人
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕子
(72)【発明者】
【氏名】水間 隼人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 耕平
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】カーシェアリングサービスの利用者に対する客観的な評価を可能とする。
【解決手段】カーシェアリングサービスに関する情報処理を行う情報処理システムを、カーシェアリングサービスに供される車両に設置された車内カメラ11と、車内カメラ11により撮影された車内の映像に基づき、カーシェアリングサービスの利用者の、前記車両の扱いに関する評価値を演算するサーバ20と、を備える構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリングサービスに供される車両に設置された撮影装置と、
前記撮影装置により撮影された車内の映像に基づき、前記カーシェアリングサービスの利用者の、前記車両の扱いに関する評価値を演算する演算部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記評価値は、前記車両の貸し手が同車両の貸し出しの可否を判断する際の、同車両の借り手の評価を提示するために用いられる請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記評価値は、前記車両の借り手が借り出す車両を選択する際の同車両の評価を提示するために用いられる請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記利用者の許諾を得たことを条件に、前記評価値の演算に用いる前記映像の撮影を行う請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記映像として、前記車両の利用後の車内の清掃時の映像を用いる請求項1に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングサービスに利用される情報の処理を行う情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ライドシェアサービスに利用される情報処理システムが記載されている。ライドシェアサービスは、出発地や目的地が同一である同乗希望者をドライバに案内するサービスである。情報処理システムは、相乗りしているサービスの利用者を撮像した映像に基づき、各利用者の満足度を評価している。そして、同システムは、その評価結果をライドシェアのマッチングに反映している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーシェアリングサービスにおいても、利用者の評価求められる場合がある。しかしながら、客観的な評価基準が存在しなかったため、利用者を適切に評価できていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する情報処理システムは、カーシェアリングサービスに供される車両に設置された撮影装置と、前記撮影装置により撮影された車内の映像に基づき、前記カーシェアリングサービスの利用者の、前記車両の扱いに関する評価値を演算する演算部と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
上記情報処理システムには、カーシェアリングサービスの利用者に対する客観的な評価を可能とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】情報処理システムの一実施形態の構成を模式的に示す図である。
【
図2】同情報処理システムにおいてサーバが実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、情報処理システムの一実施形態を、
図1及び
図2を参照して詳細に説明する。
<情報処理システムの構成について>
まず、
図1を参照して、本実施形態の情報処理システムの構成を説明する。本実施形態の情報処理システムは、カーシェアリングサービスの利用者の評価に関する情報処理を行うシステムとして構成されている。本実施形態の情報処理システムは、カーシェアリングサービスに供される車両10と、サーバ20と、を備えている。ここでは、車両10を管理・提供する業者が、各所に設けられたステーションに配置した車両10を利用者に提供する形態のカーシェアリングサービスを前提に説明する。この場合、車両10を提供する業者が車両10の貸し手となり、利用者が車両10の借り手となる。
【0009】
車両10には、車内の映像を撮影する撮影装置である車内カメラ11が設置されている。また、車両10は、制御部12、記憶部13、及び通信部14を備えている。制御部12は、車内カメラ11の制御、及び車内カメラ11が撮影した映像の処理等を行う電子制御ユニットである。記憶部13は、制御部12が実行するプログラム、車内カメラ11が撮影した映像等を記憶する記憶媒体である。通信部14は、車外のネットワーク30と通信可能に車両10を接続する通信モジュールを備えている。
【0010】
サーバ20は、処理部21、記憶部22、及び通信部23を備えている。処理部21は、カーシェアリングサービスに関する各種処理を実行するプロセッサを備えている。記憶部22は、処理部21が実行する処理のプログラムや、カーシェアリングサービスのための各種データが記憶されている。通信部23は、ネットワーク30に接続するための通信モジュールを備えている。サーバ20の記憶部22は、車両10及び利用者の情報が記憶するためのデータベースを備えている。データベースには、利用者の情報として、利用者の識別子に紐づいたかたちで当該利用者の車両10の扱いに関する評価値が記憶される。
【0011】
シェアリングの対象となる各車両10は、ネットワーク30を介してサーバ20と通信可能に接続されている。さらにサーバ20は、ネットワーク30を介して、利用者の携帯端末40と通信可能に接続されている。利用者の携帯端末40には、カーシェアリングサービスを利用するためのアプリケーション・プログラムがインストールされている。利用者は、このアプリケーション・プログラムを通じてサーバ20にアクセスして、借り受けする車両10の検索、予約、解錠等を行う。
【0012】
<利用者の評価について>
本実施形態の情報処理システムは、カーシェアリングサービスの利用者の、車両10の扱いに関する評価を実施する。
図2は、この評価のため、サーバ20が実施する処理の流れを示す。
【0013】
なお、こうした評価は、利用者の許諾を得たことを条件に実施される。具体的には、車両10の貸し出しに際して上記アプリケーション・プログラムは、携帯端末40において、利用者の評価を目的とした車内撮影を許諾するか否かを利用者に問い合わせる。そして、サーバ20は、利用者が車内撮影を許諾したことを条件に、
図2の処理を実行する。
【0014】
図2に示すように、本処理に際してサーバ20はまず、ステップS100において、車両10の利用中の車内カメラ11が撮像した映像を、利用者の識別子とともに取得する。ここでの映像の取得は、車両10の利用中に車内カメラ11が撮影した映像を逐次、サーバ20に送信することで行うようにしてもよい。また、車内カメラ11が撮影した映像を車両10の記憶部13に一旦保存しておき、車両10の利用終了後等に纏めてサーバ20に送信することで、映像を取得するようにしてもよい。
【0015】
次に、サーバ20は、ステップS110において、取得した映像から、車内での利用者の行動を解析する。そして、サーバ20は、ステップS120において、その解析結果に基づき、評価項目として設定された特定の行動を利用者が行ったか否かを判定する。特定の行動としては、例えば車内での飲食や喫煙、ドア等の車両装備の粗雑或いは丁寧な操作、車内清掃が挙げられる。本実施形態では、車内での飲食及び禁煙、及び車両装備の粗雑な操作は、車両10の扱いに関する利用者の評価を下げる、好ましくない行動としている。これに対して、車両装備の丁寧な操作、及び車内清掃は、車両10の扱いに関する利用者の評価を上げる、好ましい行動としている。
【0016】
そして、サーバ20は、特定の行動が確認された場合(S120:YES)、その行動の種別に応じて利用者の評価値を操作する(S130)。具体的には、サーバ20は、行動の種別毎に予め設定された値の分、利用者の評価値を増減する。カーシェアリングサービスの登録時の利用者の評価値には、既定の初期値が設定されている。本実施形態の場合、評価値は、値が大きいほど、車両10の扱いに関する利用者の評価が高いことを示す値として設定されている。そして、サーバ20は、確認された特定の行動が、好ましくない行動として設定された種別の場合には利用者の評価値を減少させる側に操作する。これに対してサーバ20は、確認された特定の行動が、好ましい行動として設定された種別である場合には利用者の評価値を増加させる側に操作する。評価値の増減幅は、行動の種別に依らず一律としても、行動の種別により異ならせても、よい。サーバ20は、車両10の利用中に特定の行動が複数回確認された場合、行動毎に評価値を操作している。本実施形態の情報処理システムでは、こうしたサーバ20が、車両10の扱いに関する利用者の評価値を演算する演算部に対応している。
【0017】
<実施形態の作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態の情報処理システムにおいてサーバ20は、車両10に設置された車内カメラ11が撮影した車内の映像に基づき、カーシェアリングサービスの利用者の、車両10の扱いに関する評価値を演算している。演算された各利用者の評価値は、サーバ20の記憶部22に構築されたデータベースに格納される。
【0018】
こうした本実施形態の情報処理システムによれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態の情報処理システムは、カーシェアリングサービスに供される車両10に設置された車内カメラ11と、サーバ20と、を備えている。サーバ20は、車内カメラ11により撮影された車内の映像に基づき、カーシェアリングサービスの利用者の、車両10の扱いに関する評価値を演算している。そのため、カーシェアリングサービスの利用者に対する客観的な評価を可能となる。
【0019】
(2)サーバ20は、車内カメラ11の映像の解析により、利用者が車内で特定の行動を行ったか否かを確認している。そして、サーバ20は、確認した行動の種別に応じて値を増減することで、評価値を演算している。これにより、車内での利用者の行動を反映した値として評価値を演算できる。
【0020】
<評価値の利用について>
本情報処理システムにおいて演算する利用者の評価値は、例えば下記の用途に利用できる。
【0021】
・車両10を提供する業者が、車両10を丁寧に扱う利用者に対して、料金割引等のインセンティブを与えることが考えられる。こうした場合、上記情報処理システムが演算する利用者の評価値は、インセンティブ付与の判断基準として用いることができる。
【0022】
・車両10の借り受けの申し出に際して、車両10の貸し手が車両10の貸し出しの可否を判断する場合がある。こうした場合に、車両10の借り受けを申し出た利用者の評価値を貸し手に提示する。これにより、上記情報処理システムが演算する利用者の評価値を、貸し出しの可否の判断基準として用いることができる。
【0023】
・車両10の貸し手と借り手とのマッチングを行うサービスとしてカーシェアリングを実施する場合がある。この場合、車両10の貸し手、借り手の双方がカーシェアリングサービスの利用者となる。こうした場合に、車両10の借り手が借り受ける車両10を選定する際に、貸し手の評価値を借り手に提示する。これにより、上記情報処理システムが演算する利用者の評価値を、借り出す車両10を選択する際の同車両10の状態、例えば車内の清潔度等の評価基準として用いることができる。
【0024】
(他の実施形態)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0025】
<演算部について>
・車両10の制御部12が、車内カメラ11が撮影した車内の映像に基づき、利用者の行動を解析するとともに、その解析結果を車両10からサーバ20へと送信する。そして、サーバ20が、受信した解析結果に基づき利用者の評価値を演算する。この場合、車両10の制御部12及びサーバ20の双方により、演算部が構成される。なお、この場合には、制御部12による解析の完了後、その解析に用いた車内映像のデータを消去するようにしてもよい。
【0026】
・車両10の制御部12だけで、車内映像に基づく利用者の評価値の演算を行うとともに、その演算結果をサーバ20に送信するようにしてもよい。この場合、車両10の制御部12が演算部に対応する。
【0027】
<車内撮影の期間等について>
・上記実施形態では、評価値の演算に用いる車内の撮影を、車両10の利用中、終始に亘って実施していたが、撮影期間を限定してもよい。例えばカーシェアリングサービスの提供者が、車両返却時の車内清掃を推奨、又は義務付ける場合がある。こうした場合においては、評価値の演算に用いる車内の撮影を、車両10の利用後の車内清掃時に限定して行うようにしてもよい。この場合の評価値の演算は、例えば車内清掃時の車内の映像から利用者が実際に清掃を行っていたか否かを判定して、その判定結果に基づき評価値を増減することで行うことができる。
【0028】
・上記実施形態では、利用者の許諾を得たことを条件に、評価値の演算に用いる車内の映像の撮影を行っていた。例えば次の場合には、許諾の確認を行わずに、評価値の演算に用いる車内の映像の撮影を実施するようにしてもよい。すなわち、許諾が得られない場合には車両10の貸し出しを許可しない場合、サービスへの登録時に利用者の許諾を得る場合等である。
【符号の説明】
【0029】
10 車両
11 車内カメラ(撮影装置)
12 制御部
13 記憶部
14 通信部
20 サーバ
21 処理部
22 記憶部
23 通信部
30 ネットワーク
40 携帯端末