(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176088
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】多目的ハンガー
(51)【国際特許分類】
A47G 25/40 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
A47G25/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094324
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】523217765
【氏名又は名称】濱田 知
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】濱田 知
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA01
3K099BA16
3K099CA12
3K099CA49
3K099CA55
3K099CA57
3K099CA58
3K099DA05
3K099DA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不使用時に折り畳み可能で且つ設置スペースが狭い多目的ハンガーを提供する。
【解決手段】本発明の多目的ハンガー1は、上下方向に回転可能となるように支柱10に軸支される第1アーム20及び第2アーム30と、各アームの回転を止めるストッパーを備える。第1アームは第1基部21と第1水平バー22を備える。第2アームは第2基部31と第2水平バー32を備える。第1基部よりも第2基部の方が長く、不使用時にストッパーは第1基部及び第2基部が上下方向にのびた状態で第1アーム及び第2アームの回転を止める。使用時にストッパーは第1水平バーと第2水平バーの上下方向の高さが異なる状態で第1アーム及び第2アームの回転を止める。不使用時に第1基部及び第2基部が上下方向にのびた状態になることで折り畳み可能である。また、折り畳むことで多目的ハンガーを狭いスペースに設置できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向にのびる支柱と、上下方向に回転可能となるように前記支柱に軸支される第1アーム及び第2アームと、前記第1アーム及び前記第2アームの回転を止めるストッパーとを備えており、
前記第1アームは、一方の端部が前記支柱に軸支される第1基部と、前記第1基部の他方の端部から水平方向にのびる第1水平バーとを備えており、
前記第2アームは、一方の端部が前記支柱に軸支される第2基部と、前記第2基部の他方の端部から水平方向にのびる第2水平バーとを備えており、
前記第1基部よりも前記第2基部の方が長く、
不使用時に前記ストッパーは前記第1基部及び前記第2基部が上下方向にのびた状態で前記第1アーム及び前記第2アームの回転を止めるものであり、
使用時に前記ストッパーは前記第1水平バーと前記第2水平バーの上下方向の高さが異なる状態で前記第1アーム及び前記第2アームの回転を止めることを特徴とする多目的ハンガー。
【請求項2】
使用時の前記第1アーム及び前記第2アームの回転方向が一致していることを特徴とする請求項1に記載の多目的ハンガー。
【請求項3】
使用時の前記第1アーム及び前記第2アームの回転方向が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の多目的ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不使用時に折り畳み可能で且つ設置スペースが狭い多目的ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
衣類・タオル等の洗濯物、ネクタイ等(以下、これらをまとめて「衣類等」と表記する。)を吊るすためのハンガーについて種々開発されている。
例えば特許文献1には2つのピンチハンガー(角ハンガー)を上下に配置することでピンチハンガー1つ分のスペースで2つ分の洗濯物を干すことができる技術が開示されている。
特許文献2にはパラソルハンガーであって、アーム支持部の最下部に第1アーム群、中央部に第2アーム群、最上部に第3アーム群を配置する技術が開示されている。衣類等を干す作業や取り込む作業が容易になるとともに、アームの数を増加させてもアームの先端側と基端側とで衣類等の乾燥の程度に差が生じ難いという利点がある。
特許文献3には室内の壁面に取り付ける物干し具であり、載置台を平行状態と垂直状態の二様に変化させる技術が開示されている。平行状態の載置台にタオル等を載せたり、複数のハンガーを水平方向に並べて引っ掛けたりすることができ、垂直状態の載置台に複数のハンガーを上下方向に引っ掛けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3236185号公報
【特許文献2】特開2021-137078号公報
【特許文献3】特開2021-191369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の技術は多くの衣類等を吊ることができる一方で設置スペースを広くとる必要があるので、例えば使用者が一人暮らしで衣類等が少なく且つ部屋が狭い場合には必ずしも有用とはいえない。
特許文献3の技術は壁面に取り付けるため設置スペースを狭くできるという利点はあるが、平行状態の載置台に複数のハンガーを水平方向に並べて引っ掛けた場合には隣り合うハンガー間の距離が近くなるので衣類等が乾き難いという問題がある。また、壁面に取り付けるという特性上賃貸物件などでは使用しづらく、また一度設置したら移動が困難という問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題を考慮して、不使用時に折り畳み可能で且つ設置スペースが狭い多目的ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多目的ハンガーは、上下方向にのびる支柱と、上下方向に回転可能となるように前記支柱に軸支される第1アーム及び第2アームと、前記第1アーム及び前記第2アームの回転を止めるストッパーとを備えており、前記第1アームは、一方の端部が前記支柱に軸支される第1基部と、前記第1基部の他方の端部から水平方向にのびる第1水平バーとを備えており、前記第2アームは、一方の端部が前記支柱に軸支される第2基部と、前記第2基部の他方の端部から水平方向にのびる第2水平バーとを備えており、前記第1基部よりも前記第2基部の方が長く、不使用時に前記ストッパーは前記第1基部及び前記第2基部が上下方向にのびた状態で前記第1アーム及び前記第2アームの回転を止めるものであり、使用時に前記ストッパーは前記第1水平バーと前記第2水平バーの上下方向の高さが異なる状態で前記第1アーム及び前記第2アームの回転を止めることを特徴とする。
また、使用時の前記第1アーム及び前記第2アームの回転方向が一致していることを特徴とする。
また、使用時の前記第1アーム及び前記第2アームの回転方向が異なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の多目的ハンガーは不使用時に第1基部及び第2基部が上下方向にのびた状態になることで折り畳み可能である。また、折り畳むことで狭いスペースに多目的ハンガーを設置できる。
また、第1基部よりも第2基部を長くして、且つ第1アームの傾斜角と第2アームの傾斜角を異ならせることで第1水平バーと第2水平バーの上下方向の高さを異ならせることができる。第1水平バーと第2水平バーの高さを異ならせることで衣類等をできるだけ重ならずに干すことができて乾燥効率を向上させることができる。
また、使用時の第1アーム及び第2アームの回転方向を一致させることで多目的ハンガーを壁に接触させた状態で使用できる。
また、使用時の第1アーム及び第2アームの回転方向を異ならせることで支柱の前後の空間を利用して衣類等を吊るすことができて空間の利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態の多目的ハンガーの不使用時の状態を示す斜視図
【
図3】多目的ハンガーの不使用時の状態を示す右側面図(a)及び正面図(b)
【
図4】多目的ハンガーの使用時の状態を示す右側面図(a)及び正面図(b)
【
図5】回転式ストッパーの斜視図(a)、平面図(b)、回転式ストッパーの動作を示す部分拡大正面図(c)及び(d)
【
図6】第2の実施の形態の多目的ハンガーの不使用時の状態を示す右側面図(a)及び正面図(b)、使用時の状態を示す右側面図(c)及び正面図(d)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の多目的ハンガーの第1の実施の形態について説明する。
図1~
図4に示すように本実施の形態の多目的ハンガー1は支柱10、第1アーム20、第2アーム30、ストッパー40及びフック50で概略構成される。
図1及び
図2にはストッパー40の図示を省略している。
多目的ハンガー1を構成する各部材の材質は例えばプラスチックや金属が挙げられるがこれらに限定されない。
【0010】
支柱10は上下方向にのびる棒状部材であり、その上端にフック50を備える。
第1アーム20は上下方向に回転可能となるように支柱10に軸支される。具体的には第1アーム20は第1基部21と第1水平バー22を備える。
第1基部21はその一方の端部が支柱10に軸支されており、他方の端部から水平方向に第1水平バー22がのびている。第1基部21が軸支された箇所Aを中心にして鉛直面内で回転することで第1水平バー22が上下方向に移動する。
第2アーム30は上下方向に回転可能となるように支柱10に軸支される。具体的には第2アーム30は第2基部31と第2水平バー32を備える。
第2基部31はその一方の端部が支柱10に軸支されており、他方の端部から水平方向に第2水平バー32がのびている。第2基部31の方が第1基部21よりも長くなっている。第2基部31が軸支された箇所Aを中心にして鉛直面内で回転することで第2水平バー32が上下方向に移動する。
【0011】
図3~
図5に示すようにストッパー40は支柱10に固定される部材であり、2つの固定式ストッパー41,42及び2つの回転式ストッパー43,44を備える。ストッパー40は多目的ハンガー1の使用時及び不使用時に第1アーム20及び第2アーム30の回転を所定位置で止める役割を果たす。ストッパー40の機能については後述する。
本実施の形態の多目的ハンガー1は更に第3アーム60、支柱10の最上部から水平方向にのびる棒状の第5水平バー61、支柱10の最下部から水平方向にのびる棒状の第6水平バー62を備える。
第3アーム60は上下方向に回転可能となるように支柱10に軸支される。具体的には第3アーム60は第3基部63と第3水平バー64及び第4水平バー65を備える。
第3基部63はその一方の端部が支柱10に軸支されており、他方の端部から水平方向に第3水平バー64がのびている。また、第3基部63の長手方向の中間位置から水平方向に第4水平バー65がのびている。第3基部63を長くして3本以上の水平バーを取り付けてもよい。
第1~第6水平バー22,32,61,62,64,65の使用方法は特に限定されず、例えば衣類等をそのまま吊るしてもよく、衣類等をハンガーに掛けてこのハンガーを吊るしてもよく、複数の洗濯ばさみを取り付けてもよい。
【0012】
次に、多目的ハンガー1の動作について説明する。
図1及び
図3は多目的ハンガー1の不使用時の状態を示している。
第1基部21及び第2基部31は軸支された箇所Aを中心に回転して上下方向にのびており、ストッパー40によって第1アーム20及び第2アーム30の回転が止められている。
具体的には、第1基部21及び第2基部31の前側の側面が前側の固定式ストッパー41に接触しており、後側の側面が後側の固定式ストッパー42に接触している。第1基部21及び第2基部31は固定式ストッパー41,42によって
図3(a)に示す時計回りの回転を規制された状態になっている。
【0013】
また、
図5に示すように回転式ストッパー43は水平面内で回転可能な状態で支柱10に取り付けられている。
図3(b)及び
図5(c)に示すように回転式ストッパー43を右側に回転させて第1基部21及び第2基部31の前側の側面に接触させることで、第1基部21及び第2基部31は反時計回りの回転も規制された状態になっている。
上述のとおり第2基部31の方が第1基部21よりも長いので不使用時には第2水平バー32が第1水平バー22よりも上側に位置する。
第3アーム60も第1アーム20及び第2アーム30と同様に第3基部63が軸支された箇所Aを中心に回転して上下方向にのびており、回転式ストッパー44及び固定式ストッパー44aによって回転を規制された状態になっている。
このように、不使用時に第1~第3アーム20,30,60を折り畳むことで多目的ハンガー1の前後方向の長さを最小限に抑えることができる。
【0014】
図2及び
図4は多目的ハンガー1の使用時の状態を示している。
図4(b)及び
図5(d)に示すように回転式ストッパー43を左側に回転させることで、第1アーム20及び第2アーム30は回転式ストッパー43による規制が解かれて反時計回りに回転する。本実施の形態の多目的ハンガー1は使用時に第1アーム20と第2アーム30の両者を反時計回りに回転させる、つまり両者の回転方向が一致している。
【0015】
図4(a)に示すように第1アーム20は第1基部21の後側の側面が後側の固定式ストッパー42と接触することで鉛直線に対して反時計回りに角度θ1だけ傾斜した状態で停止している。
第2アーム30は第2基部31の前側の側面が前側の固定式ストッパー41と接触することで鉛直線に対して反時計回りに角度θ2だけ傾斜した状態で停止している。
第1基部21よりも第2基部31を長くして、且つ第1アーム20の傾斜角θ1と第2アーム30の傾斜角θ2を異ならせることで第1水平バー22と第2水平バー32の上下方向の高さを異ならせることができる。第1水平バー22と第2水平バー32の高さを異ならせることで衣類等をできるだけ重ならずに干すことができて乾燥効率を向上させることができる。
【0016】
第3アーム60も回転式ストッパー44による規制が解かれて反時計回りに回転し、第3基部63が第6水平バー62と接触することで鉛直線に対して反時計回りに角度θ3だけ傾斜した状態で停止している。第4水平バー65が第3水平バー64よりも上側に位置している。第3水平バー64と第4水平バー65の高さを異ならせることで衣類等をできるだけ重ならずに干すことができて乾燥効率を向上させることができる。
なお、ストッパー40は第1アーム20及び第2アーム30の回転を止める機能を果たすことができればよく、上記固定式ストッパー41,42及び回転式ストッパー43,44とは異なる形状であっても構わない。例えば支柱10に弾性体を固定しておき、当該弾性体を第1基部21や第2基部31で押しつぶして弾性変形させることでストッパーとしての機能を果たすようにしてもよい。
【0017】
[第2の実施の形態]
次に本発明の多目的ハンガーの第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と同一の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように本実施の形態の多目的ハンガー2は第4アーム70及び第5アーム80の回転方向が異なる点に特徴を有する。なお、多目的ハンガー2は第4アーム70及び第5アーム80のセットを上下に2つ備えている。
【0018】
図6(a)及び(b)は多目的ハンガー2の不使用時の状態を示している。
第4基部71及び第5基部81は軸支された箇所Aを中心に回転して上下方向にのびており、ストッパー40によって第4アーム70及び第6アームの回転が止められている。
具体的には、第4基部71及び第5基部81はそれぞれその前側が回転式ストッパー45に接触し、後側が回転式ストッパー46に接触している。これにより第4基部71及び第5基部81は回転を規制された状態になっている。
第5基部81の方が第4基部71よりも長いので不使用時には第8水平バー82が第7水平バー72よりも上側に位置する。
【0019】
図6(c)及び(d)は多目的ハンガー2の使用時の状態を示している。
前後の回転式ストッパー45,46を回転させることで第4アーム70及び第5アーム80は回転式ストッパー45,46による規制が解かれる。第4アーム70は
図6(c)に示す時計回りに角度θ4だけ回転し、固定式ストッパー47に接触して停止する。第5アーム80は反時計回りに角度θ5だけ回転し、固定式ストッパー47に接触して停止する。このように、本実施の形態の多目的ハンガー2は使用時に第4アーム70と第5アーム80の回転方向が異なっている。
本実施の形態の多目的ハンガー2の場合、支柱10を挟んで前後に衣類等を吊るすことができるという利点がある。
なお、上記第1及び第2の実施の形態では支柱10の右側のみに各アームを配置する構成を採用したが、
図7に示すように支柱10の右側と左側の両方に各アーム20,30,60を配置する構成でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は不使用時に折り畳み可能で且つ設置スペースが狭い多目的ハンガーであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0021】
1 多目的ハンガー
2 多目的ハンガー
10 支柱
20 第1アーム
21 第1基部
22 第1水平バー
30 第2アーム
31 第2基部
32 第2水平バー
40 ストッパー
41,42 固定式ストッパー
43,44 回転式ストッパー
44a 固定式ストッパー
45 回転式ストッパー
46 回転式ストッパー
47 固定式ストッパー
50 フック
60 第3アーム
61 第5水平バー
62 第6水平バー
63 第3基部
64 第3水平バー
65 第4水平バー
70 第4アーム
71 第4基部
72 第7水平バー
80 第5アーム
81 第5基部
82 第8水平バー