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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176094
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車両用電池冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20241212BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241212BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20241212BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241212BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241212BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20241212BHJP
   H01M 10/635 20140101ALI20241212BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B60K11/06 ZHV
B60L50/60
B60L58/26
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/635
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094340
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕亮
【テーマコード(参考)】
3D038
5H030
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC04
3D038AC22
5H030AS08
5H030FF26
5H030FF51
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125CC04
5H125CD07
5H125EE51
5H125EE61
5H125EE64
(57)【要約】
【課題】車両周辺の天気を考慮しながら電池の劣化を効率よく抑制できる車両用電池冷却装置を提供する。
【解決手段】車両10に搭載された電池24へ車室の空気を送風可能なブロア54と、車体12に設けられた開口部14を開閉可能な少なくとも一つのドア16L、16R、18L、18Rが開口部を開放する開状態と開口部を閉じる閉状態のいずれにあるかを検出可能なドア開閉状態検出センサ20と、車両の周辺における雨に関する第1情報及び車両の周辺の外気温度に関する第2情報の少なくとも一方である対象情報を取得可能な情報取得部と、全てのドアが閉状態にあることをドア開閉状態検出センサが検出したとき又は対象情報が特定条件を満たさないときにブロアを作動させる制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電池へ車室の空気を送風可能なブロアと、
前記車両の車体に設けられた開口部を開閉可能な少なくとも一つのドアが前記開口部を開放する開状態と前記開口部を閉じる閉状態のいずれにあるかを検出可能なドア開閉状態検出センサと、
前記車両の周辺における雨に関する第1情報、及び、前記車両の周辺の外気温度に関する第2情報の少なくとも一方である対象情報を取得可能な情報取得部と、
全ての前記ドアが前記閉状態にあることを前記ドア開閉状態検出センサが検出したとき、又は、前記対象情報が特定条件を満たさないときに、前記ブロアを作動させ、少なくとも一つの前記ドアが前記開状態にあることを前記ドア開閉状態検出センサが検出し、且つ、前記対象情報が前記特定条件を満たすときに、前記ブロアを停止させる制御部と、
を備える車両用電池冷却装置。
【請求項2】
前記第1情報が表す単位時間当たりの降雨量が第1閾値以上のとき前記特定条件が満たされる請求項1に記載の車両用電池冷却装置。
【請求項3】
前記情報取得部が、レインセンサ、前記車両に設けられたワイパの作動状態を取得するワイパ情報取得部、及び前記車両の外部に位置する通信装置から前記対象情報を無線通信により取得可能な無線通信機の少なくとも一つである請求項1又は請求項2に記載の車両用電池冷却装置。
【請求項4】
前記車室の温度である車内温度に関する第3情報を取得可能な車内温度センサを備え、
前記第2情報が表す外気温度が第2閾値以上であり、且つ、前記第2情報が表す外気温度が前記第3情報が表す車内温度より第3閾値以上高いとき、前記特定条件が満たされる請求項1に記載の車両用電池冷却装置。
【請求項5】
前記車両が前記車室の車両左右方向の中心より左側と右側の一方側の領域において開口する吸気口を備え、
前記ブロアが、前記吸気口を介して吸引した前記車室の空気を前記電池へ送風可能であり、
前記車体の前記一方側の側面に設けられた前記開口部を開閉可能な前記ドアが前記開状態にあることを前記ドア開閉状態検出センサが検出し、且つ、前記対象情報が前記特定条件を満たすときに、前記制御部が前記ブロアを停止させる請求項1又は請求項2に記載の車両用電池冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電池冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両の駆動源である電動モータと、電動モータへ電力供給可能な電池と、車室の空気を電池へ送風可能なブロア(ファン)と、を備える車両が開示されている。さらにこの車両は、車両の車体に設けられた開口部を開閉可能なドアと、ドアが開口部を開放する開状態と開口部を閉じる閉状態のいずれにあるかを検出可能なドア開閉状態検出センサを備える。
【0003】
この車両では、ドアが閉状態をあることをドア開閉状態検出センサが検出したとき、ブロアが作動して車室の空気を電池へ供給する。そのためドアが閉状態をあるときは、電池がブロアによって冷却されるので、電池の劣化が抑制される。
【0004】
一方、この車両では、ドアが開状態にあることをドア開閉状態検出センサが検出したとき、ブロアが停止する。そのため、例えば車両の周辺で雨が降っており且つドアが開状態にある場合に、ブロアによって雨(水分)が電池へ供給されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2013/084350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の車両では、車両周辺の天気を考慮せずに、ブロアを作動させるか否かの判断が行われる。そのため上記特許文献1の発明は、ブロアを停止させる必要がない場合にブロアを停止させてしまうことがある。即ち、上記特許文献1の発明は、電池の劣化を効率よく抑制することに関して改善の余地がある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、車両周辺の天気を考慮しながら電池の劣化を効率よく抑制できる車両用電池冷却装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の車両用電池冷却装置は、車両に搭載された電池へ車室の空気を送風可能なブロアと、前記車両の車体に設けられた開口部を開閉可能な少なくとも一つのドアが前記開口部を開放する開状態と前記開口部を閉じる閉状態のいずれにあるかを検出可能なドア開閉状態検出センサと、前記車両の周辺における雨に関する第1情報、及び、前記車両の周辺の外気温度に関する第2情報の少なくとも一方である対象情報を取得可能な情報取得部と、全ての前記ドアが前記閉状態にあることを前記ドア開閉状態検出センサが検出したとき、又は、前記対象情報が特定条件を満たさないときに、前記ブロアを作動させ、少なくとも一つの前記ドアが前記開状態にあることを前記ドア開閉状態検出センサが検出し、且つ、前記対象情報が前記特定条件を満たすときに、前記ブロアを停止させる制御部と、
を備える。
【0009】
請求項1の車両用電池冷却装置の制御部は、少なくとも一つのドアが開状態にあることをドア開閉状態検出センサが検出し、且つ、第1情報が表す雨及び第2情報が表す外気温度の少なくとも一方である対象情報が特定条件を満たすときに、ブロアを停止させる。そのため、例えば、少なくとも一つのドアが開状態にあり且つ第1情報が表す雨が特定条件を満たすときに、雨(水分)がブロアによって電池へ供給されない。請求項1の車両用電池冷却装置の制御部は、全てのドアが閉状態をあることをドア開閉状態検出センサが検出したとき、又は、対象情報が特定条件を満たさないときに、ブロアを作動させる。そのため、例えば、少なくとも一つのドアが開状態にある場合であっても、第1情報が表す雨が特定条件を満たさない場合は、車室の空気がブロアによって電池へ供給される。従って、請求項1の車両用電池冷却装置は、車両周辺の天気を考慮しながら電池の劣化を効率よく抑制できる。
【0010】
請求項2の車両用電池冷却装置は、請求項1において、前記第1情報が表す単位時間当たりの降雨量が第1閾値以上のとき前記特定条件が満たされる。
【0011】
請求項2の車両用電池冷却装置では、第1情報が表す単位時間当たりの降雨量が第1閾値以上のとき特定条件が満たされる。そのため請求項2の車両用電池冷却装置は、少なくとも一つのドアが開状態にある場合であっても、第1情報が表す単位時間当たりの降雨量が第1閾値未満のときは、車室の空気をブロアによって電池へ供給できる。
【0012】
請求項3に記載の車両用電池冷却装置は、請求項1又は請求項2において、前記情報取得部が、レインセンサ、前記車両に設けられたワイパの作動状態を取得するワイパ情報取得部、及び前記車両の外部に位置する通信装置から前記対象情報を無線通信により取得可能な無線通信機の少なくとも一つである。
【0013】
請求項3の車両用電池冷却装置は、レインセンサ、ワイパ情報取得部、及び無線通信機の少なくとも一つを利用して、第1情報及び第2情報の少なくとも一方を取得可能である。
【0014】
請求項4に記載の車両用電池冷却装置は、請求項1から3の何れか1項において、前記車室の温度である車内温度に関する第3情報を取得可能な車内温度センサを備え、前記第2情報が表す外気温度が第2閾値以上であり、且つ、前記第2情報が表す外気温度が前記第3情報が表す車内温度より第3閾値以上高いとき、前記特定条件が満たされる。
【0015】
請求項4の車両用電池冷却装置では、第2情報が表す外気温度が第2閾値以上の場合に、第3情報が表す車内温度より第3閾値以上高い車両周辺の外気(空気)が、ブロアによって電池へ供給されることを防止できる。そのため請求項5の車両用電池冷却装置は、第2情報が表す外気温度が第2閾値以上の場合に、電池の劣化を効率よく抑制できる。
【0016】
請求項5に記載の車両用電池冷却装置は、請求項1から4の何れか1項において、前記車両が前記車室の車両左右方向の中心より左側と右側の一方側の領域において開口する吸気口を備え、前記ブロアが、前記吸気口を介して吸引した前記車室の空気を前記電池へ送風可能であり、前記車体の前記一方側の側面に設けられた前記開口部を開閉可能な前記ドアが前記開状態にあることを前記ドア開閉状態検出センサが検出し、且つ、前記対象情報が前記特定条件を満たすときに、前記制御部が前記ブロアを停止させる。
【0017】
請求項5の車両用電池冷却装置は、車体の左側と右側の他方側の開口部を開閉可能なドアが開状態にある場合は、対象情報が特定条件を満たすか否かに拘わらず、ブロアを停止させない。この場合は、特定条件を満たす雨及び外気温度の外気(空気)が、ブロアによって電池へ供給されるおそれが小さい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る車両用電池冷却装置は、車両周辺の天気を考慮しながら電池の劣化を効率よく抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る車両用電池冷却装置を備える車両の平面図である。
図2】車両のリアシート及びブロアの吸気口を示す斜視図である。
図3】車両のECUの制御ブロック図である。
図4】ECUの機能ブロック図である。
図5】ECUのROMに記録された特定条件判定マップを示す図である。
図6】ECUのCPUが実行する処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態のECUの制御ブロック図である。
図8】第2実施形態のECUのCPUが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る車両用電池冷却装置70(以下、冷却装置70)の第1実施形態について、図1図6を参照しながら説明する。図中に適宜示される矢印FRは車両前後方向の前側を示し、矢印LHは車両左右方向の左側を示し、矢印UPは車両上下方向の上側を示す。
【0021】
図1に示されるように、本実施形態の冷却装置70が搭載された車両10は、車体12に固定されたフロントウィンド13と、車体12の前部に形成された左右の開口部14をそれぞれ開閉するフロントドア16L、16R(ドア)と、車体12の後部に形成された左右の開口部14をそれぞれ開閉するリアドア18L、18R(ドア)と、を備える。さらに車両10は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rが、対応する開口部14を閉じる閉状態と、対応する開口部14を開放する開状態と、のいずれにあるかを検出する4つのカーティシスイッチ(ドア開閉状態検出センサ)20を備える。
【0022】
図1に示されたように車両10は、電動モータ22、電池24、電池温度センサ26及び充電器28を備える。車両10は駆動源として、電動モータ22及び内燃機関(図示省略)を有する。電池24は駆動輪を駆動する電動モータ22に電力を供給可能且つ充放電可能である。図2に示されたように、電池24は、ケース25と、ケース25の内部に設けられた多数の電池セル(図示省略)とを備える。ケース25の内部には電池セルの温度を検知可能な電池温度センサ26が設けられている。充電器28は、家庭用電源等の外部電源(図示省略)から供給された電力によって電池24を充電する。即ち、車両10はプラグインハイブリッド車両(PHEV)である。
【0023】
図1に示されたように、車体12には、フロントウィンド13の直前に位置する可動部材であるワイパ32が設けられている。ワイパ32は、アクチュエータ34(図3参照)の駆動力によってフロントウィンド13に対して揺動し、フロントウィンド13の表面上を摺動する。
【0024】
図3に示されたように、車両10にはモード切替スイッチ36及びワイパスイッチ38が設けられている。モード切替スイッチ36はアクチュエータ34の制御モードを、マニュアル制御モードとオートワイパ制御モードとの間で切り替え可能である。
【0025】
例えば、モード切替スイッチ36によってマニュアル制御モードが選択された場合は、ワイパスイッチ38がOFFのときアクチュエータ34は作動させられない。一方、マニュアル制御モードが選択された場合にワイパスイッチ38がONに切り替えられると、後述するECU(Electronic Control Unit)60がアクチュエータ34に作動信号を送信し、アクチュエータ34を作動させる。これによりワイパ32がフロントウィンド13の表面上を摺動する。
【0026】
さらに図1及び図3に示されたように、車両10は、フロントウィンド13の上部の直後に位置するレインセンサ(情報取得部)40を有する。レインセンサ40が前方へ出射した光波(電磁波)はフロントウィンド13を通り抜けてフロントウィンド13の外側へ向かう。そして、光波がフロントウィンド13の前方に位置する水分(雨)によって反射されると、この反射光がフロントウィンド13を通り抜けてレインセンサ40によって受光される。レインセンサ40の検出結果は、後述するECU60へ送信される。
【0027】
車両10の周辺で雨が降ると、レインセンサ40が雨(水分)を検出する。オートワイパ制御モードが選択された場合、後述するようにECU60は、レインセンサ40から受信した雨に関する情報(第1情報)に基づいて、アクチュエータ34に作動信号を送信するか否かを決定する。アクチュエータ34に作動信号が送信されると、アクチュエータ34の駆動力によってワイパ32がフロントウィンド13上を摺動する。一方、アクチュエータ34に作動信号が送信されなくなると、ワイパ32が摺動動作を停止する。
【0028】
図3に示されたように、車両10はレインセンサ40の感度を調整するための感度設定部42を備える。車両10の乗員は感度設定部42を操作することにより、レインセンサ40の感度を「高」「中」「低」の3つの中から選択できる。ここで、車両10の周辺における単位時間当たりの降雨量が所定の一定量の場合を想定する。この場合にレインセンサ40の感度が「低」に設定されている場合は、レインセンサ40が雨を検出しないことがある。一方、レインセンサ40の感度が「高」に設定されている場合は、レインセンサ40が雨を検出することがある。
【0029】
車両10の内部空間である車室12Aには、左右一対のフロントシート(図示省略)と、フロントシートの後方に位置するリアシート46(図2参照)と、が設けられている。リアシート46は、車室12Aの床面12A1に固定された中空体である支持部材48と、支持部材48の上部に固定されたシート本体50と、を有する。
【0030】
図2に示されたように、支持部材48の内部に電池24及び電池温度センサ26が設けられている。さらに支持部材48の前面には吸気口48A及び排気口48Bが設けられている。支持部材48の内部には吸気ダクト52が設けられている。吸気ダクト52の一端側の開口部は吸気口48Aに接続され、他端側の開口部はケース25内に位置する。吸気ダクト52の内部にはブロア(冷却ファン)54が設けられている。ブロア54は、アクチュエータ56(図3参照)の駆動力によって回転する。ブロア54が回転すると、車室12Aの空気が吸気口48Aから吸気ダクト52に吸引され、吸気ダクト52の他端側の開口部からケース25内の電池セルへ供給される。電池セルより低温の空気流が電池セルに供給されると、電池セルが冷却される。
【0031】
続いて、ECU60の構成及び機能について説明する。図3に示されるようにECU60は、CPU(Central Processing Unit)(制御部)60A、ROM(Read Only Memory)60B、RAM(Random Access Memory)60C、ストレージ60D、通信I/F60E及び入出力I/F60Fを含んで構成されている。CPU60A、ROM60B、RAM60C、ストレージ60D、通信I/F60E及び入出力I/F60Fは、内部バス60Zを介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU60Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。CPU60Aは、ROM60B又はストレージ60Dからプログラムを読み出し、RAM60Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU60Aは、ROM60B又はストレージ60Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0033】
ROM60Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM60Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ60Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。
【0034】
通信I/F60Eは、ECU60とは別のECU(図示省略)と、外部バス(図示省略)を介して接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、例えばCANプロトコルによる通信規格が用いられている。
【0035】
入出力I/F60Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。これらの装置には、カーティシスイッチ20、電動モータ22、電池24、電池温度センサ26、アクチュエータ34、モード切替スイッチ36、ワイパスイッチ38、レインセンサ40、感度設定部42及びアクチュエータ56が含まれる。
【0036】
図4には、ECU60の機能構成の一例がブロック図で示されている。ECU60は、機能構成として、ドア状態認識部601、感度制御部602、ワイパ制御部603、ワイパ作動頻度取得部(情報取得部)(ワイパ情報取得部)604及びブロア制御部(情報取得部)605を有する。ドア状態認識部601、感度制御部602、ワイパ制御部603、ワイパ作動頻度取得部604及びブロア制御部605は、CPU60AがROM60Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0037】
ドア状態認識部601は、各カーティシスイッチ20から受信した情報に基づいて、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rが閉状態と開状態の何れかにあるかを認識する。
【0038】
感度制御部602は、感度設定部42が操作されたときに、レインセンサ40の感度を調整する。
【0039】
ワイパ制御部603は、モード切替スイッチ36が操作されたときにワイパ32の制御モードを切り替える。
【0040】
さらにワイパ制御部603は、ワイパ32の制御モードがマニュアル制御モードに設定されている場合に、ワイパスイッチ38がONに切り替えられると、アクチュエータ34に作動信号を送信しアクチュエータ34を作動させる。一方、ワイパ32の制御モードがマニュアル制御モードにある場合に、ワイパスイッチ38がOFFに切り替えられると、ワイパ制御部603はアクチュエータ34へ作動信号を送信しない。
【0041】
さらにワイパ制御部603は、ワイパ32の制御モードがオートワイパ制御モードに設定されている場合に、レインセンサ40から受信した検出結果を利用して、アクチュエータ34に作動信号を送信するか否かを決定する。即ち、受信した検出結果が、レインセンサ40が雨(水分)を検出したことを表す場合に、ワイパ制御部603はアクチュエータ34に作動信号を送信する。
【0042】
ワイパ作動頻度取得部604は、アクチュエータ34の作動情報に基づいて、単位時間当たりのワイパ32の作動回数である作動頻度を認識する。ワイパ作動頻度取得部604は、ワイパ32の作動頻度を、「高」「中」「低」「停止」のいずれかとして認識する。ワイパ制御部603が単位時間の間にアクチュエータ34へ作動信号を1回も送信しないときに、ワイパ作動頻度取得部604はワイパ32の作動頻度を「停止」と認識する。
【0043】
ブロア制御部605は、電池温度センサ26から受信した情報に基づいて、ブロア54の単位時間当たりの目標回転数を演算する。
【0044】
さらにブロア制御部605は、取得した目標回転数に基づいてアクチュエータ56を制御する。車両10に設けられたイグニッションスイッチ(図示省略)がオフ状態にあるとき、ブロア制御部605はアクチュエータ56に作動信号を送信しない。一方、イグニッションスイッチがオン状態にあるとき、ブロア制御部605は、所定の停止条件が成立している場合及び目標回転数がゼロの場合を除いて、アクチュエータ56に作動信号を送信する。なお本明細書の「イグニッションスイッチ」には、キーによって操作されるイグニッションスイッチ及びその他のスイッチが含まれる。その他のスイッチには、例えばプッシュ式のスタートボタンが含まれる。
【0045】
さらにブロア制御部605は停止条件が成立しているか否かを判定する。フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあり、且つ、所定の特定条件が成立したときに、停止条件が成立する。換言すると、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの全てが閉状態にあるとき、又は、特定条件が成立しないとき、停止条件は成立しない。
【0046】
ブロア制御部(情報取得部)605は、レインセンサ40から雨(水分)を検出したことを表す検出結果を受信した場合に、図5に示され且つROM60Bに記録された特定条件判定マップ65を利用して、特定条件が成立するか否かを判定する。特定条件判定マップ65は、レインセンサ40の3つの感度ごとに作成されている。
【0047】
特定条件判定マップ65は、ワイパ32の作動頻度を「高」「中」「低」「停止」の4つで規定している。「高」「中」「低」は、オートワイパ制御モードが選択されているときの頻度である。一方、「停止」は、マニュアル制御モードが選択され且つワイパスイッチ38がOFF状態にあるときの頻度である。
【0048】
例えばブロア制御部605は、レインセンサ40の感度が「高」であり且つワイパ32の作動頻度が「高」の場合、車両10周辺の単位時間当たりの推定雨量(対象情報)が多いと判定する。換言すると、車両10周辺の単位時間当たりの推定雨量が、所定の第1閾値以上であると判定される。また、ブロア制御部605は、レインセンサ40の感度が「高」であり且つワイパ32の作動頻度が「中」「低」「停止」のいずれかの場合、車両10周辺の単位時間当たりの推定雨量が少ないと推定する。換言すると、車両10周辺の単位時間当たりの推定雨量が、第1閾値未満であると推定される。さらにブロア制御部605は、推定雨量が多いと推定したときに、特定条件が成立すると判定する。一方、ブロア制御部605は、推定雨量が少ないと推定したときに、特定条件が成立しないと判定する。
【0049】
なお、レインセンサ感度が「高」の場合、雨量が少量であってもレインセンサ40が雨を検出可能である。そのためレインセンサ感度が「高」で且つワイパ32が停止している場合は、少量の雨が降っている可能性があると考えられる。そのため特定条件判定マップ65は、レインセンサ感度が「高」で且つワイパ作動頻度が「停止」の場合に、推定雨量が少ない旨を規定する。また、レインセンサ感度が「低」の場合は、雨量がある程度多量でないとレインセンサ40が雨を検出しない。そのためレインセンサ感度が「低」で且つワイパ作動頻度が「停止」の場合は、多量の雨が降っている可能性がある。そのため特定条件判定マップ65は、レインセンサ感度が「低」で且つワイパ作動頻度が「停止」の場合に、推定雨量が多い旨を規定する。また、レインセンサ感度が「中」の場合は、雨量が少量のときにレインセンサ40が雨を検出する可能性が、レインセンサ感度が「低」の場合より高い。そのためレインセンサ感度が「中」で且つワイパ32が停止している場合は、多量の雨が降っている可能性があると考えられる。そのため特定条件判定マップ65は、レインセンサ感度が「中」で且つワイパ作動頻度が「停止」の場合に、推定雨量が多い旨を規定する。
【0050】
なお、特定条件判定マップ65におけるカッコ付の「多」である「(多)」は、カッコ無の「多」よりも推定精度が低いことを表している。同様に、特定条件判定マップ65におけるカッコ付の「少」である「(少)」は、カッコ無の「少」よりも推定精度が低いことを表している。
【0051】
以上説明した構成の中で電池温度センサ26、レインセンサ40、感度設定部42、支持部材48(吸気口48A、排気口48B)、吸気ダクト52、ブロア54、アクチュエータ56及びECU60が冷却装置70の構成要素である。
【0052】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0053】
ECU60のCPU60Aが実行する処理について説明する。CPU60Aは所定時間が経過する毎に図6に示されたフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0054】
ステップS10(以下、ステップの文字を省略する)においてCPU60Aは、電池温度センサ26から受信した情報に基づいて、ブロア54の単位時間当たりの目標回転数を演算する。
【0055】
S10の処理を終えたCPU60AはS11へ進み、目標回転数がゼロより大きいか否かを判定する。
【0056】
S11の処理を終えたCPU60AはS12へ進み、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあるか否かを判定する。
【0057】
S12でNoと判定した場合、CPU60AはS18へ進み、アクチュエータ56に作動信号を送信する。これによりブロア54がS10で取得された目標回転数で回転する。
【0058】
一方、S12でYesと判定した場合、CPU60AはS13へ進み、感度設定部42によって設定されたレインセンサ40の感度に関する情報、及び、ワイパ32の作動頻度を取得する。
【0059】
S13の処理を終えたCPU60AはS14へ進み、特定条件判定マップ65を利用して、車両10周辺の単位時間当たりの降雨量を推定する。
【0060】
S14の処理を終えたCPU60AはS15へ進み、推定された降雨量が多いか否かを判定する。
【0061】
S15でYesと判定した場合、CPU60AはS16へ進み、ブロア54を停止させる。換言すると、このときCPU60Aはアクチュエータ56に作動信号を送信しない。
【0062】
S16の処理を終えたCPU60AはS17へ進み、ブロア54が回転を停止した時刻から所定の設定時間が経過したか否かを判定する。
【0063】
S17でYesと判定した場合、CPU60AはS18へ進み、ブロア54をS10で取得した目標回転数で回転させる。
【0064】
またS15でNoと判定した場合も、CPU60AはS18へ進む。
【0065】
S18の処理を終えたとき、CPU60Aは図6のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0066】
以上説明したように本実施形態の冷却装置70は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあることをカーティシスイッチ20が検出し、且つ、特定条件が満たされるときに、ブロア54を停止させる。そのため、例えば、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあり且つ推定された車両10周辺の降雨量が多いときに、雨(水分)が吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給されない。さらに冷却装置70は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの全てが閉状態にあることをカーティシスイッチ20が検出したとき、又は、特定条件が満たされないときに、ブロア54を作動させる。そのため、例えば、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にある場合であっても特定条件が満たされない場合は、車室12Aの空気が吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給される。従って、冷却装置70は、車両10周辺の天気を考慮しながら電池24(電池セル)の劣化を効率よく抑制できる。
【0067】
さらに冷却装置70は、レインセンサ40の検出結果、レインセンサ40の感度に関する情報、ワイパ32の作動頻度、及び特定条件判定マップ65に基づいて、車両10周辺の降雨量を推定する。そのため、冷却装置70は車両10周辺の降雨量を高い精度で推定できる。従って、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあり且つブロア54が車外の水分(雨)を吸引できないほど車両10周辺の降雨量が少ないときに、ブロア54が停止させられない。従って、レインセンサ40が雨を検出したときに必ずブロア54を停止させる場合と比べて、冷却装置70は電池24(電池セル)の劣化を効率よく抑制できる。
【0068】
電池温度センサ26、レインセンサ40及びECU60は多くの車両に一般的に搭載される装置である。そのため本実施形態の車両10は、冷却装置70を具備することに起因して、通常の車両と比べて、特別に製造コストが高くなったり、車両重量が大きくなったりし難い。
【0069】
続いて、本発明に係る車両用電池冷却装置の第2実施形態について図7及び図8を参照しながら説明する。なお第1実施形態と同じ部材には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0070】
図7に示されたように、本実施形態の車両10は、ワイパ32、アクチュエータ34、モード切替スイッチ36、ワイパスイッチ38、レインセンサ40及び感度設定部42を具備しない代わりに、外気温度センサ(情報取得部)72及び車内温度センサ74を備える。外気温度センサ72は車体12に設けられ、車両10周辺の気温(外気温度)を検出し、この外気温度に関する情報(第2情報)をECU60へ送信する。車内温度センサ74は車室12Aに設けられ、車室12Aの気温(車内温度)を検出し、この車内温度に関する情報(第3情報)をECU60へ送信する。外気温度センサ72及び車内温度センサ74は入出力I/F60Fに接続されている。
【0071】
本実施形態のECU60は機能構成として感度制御部602、ワイパ制御部603及びワイパ作動頻度取得部604を具備しない。
【0072】
本実施形態のブロア制御部605の機能は、特定条件が成立するか否かを判定するための要領を除いて、第1実施形態のブロア制御部605と同じである。本実施形態のブロア制御部605は、特定条件判定マップ65を利用せずに、外気温度センサ72及び車内温度センサ74の検出結果を用いて特定条件が成立するか否かを判定する。具体的には、ブロア制御部605は、外気温度センサ72が検出した外気温度が第2閾値以上か否かを判定する。第2閾値の値は任意に設定可能である。季節が夏の場合に外気温度が第2閾値以上になり易く、季節が冬の場合に外気温度が第2閾値未満になり易くなるように、第2閾値が設定されるのが好ましい。
【0073】
外気温度センサ72が検出した外気温度が第2閾値以上の場合、ブロア制御部605は、外気温度センサ72が検出した外気温度が、車内温度センサ74が検出した車内温度より第3閾値以上高いか否かを判定する。外気温度が第2閾値以上であり、且つ、外気温度が車内温度より第3閾値以上高い場合にブロア制御部605は特定条件が成立すると判定する。この特定条件が成立する場合の外気温度を有する外気(空気)は、吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給された場合に、電池セルを劣化させるおそれがあるほど高温であると考えられる。
【0074】
一方、外気温度センサ72が検出した外気温度が第2閾値未満の場合、ブロア制御部605は、外気温度センサ72が検出した外気温度が、車内温度センサ74が検出した車内温度より第4閾値以上低いか否かを判定する。外気温度が第2閾値未満であり、且つ、外気温度が車内温度より第4閾値以上低い場合にブロア制御部605は特定条件が成立すると判定する。この特定条件が成立する場合の外気温度を有する外気(空気)は、吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給された場合に、電池セルを劣化させるおそれがあるほど低温であると考えられる。
【0075】
以上説明した構成の中で電池温度センサ26、支持部材48(吸気口48A、排気口48B)、吸気ダクト52、ブロア54、アクチュエータ56、ECU60、外気温度センサ72及び車内温度センサ74が、第2実施形態の冷却装置80の構成要素である。
【0076】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0077】
ECU60のCPU60Aが実行する処理について説明する。CPU60Aは所定時間が経過する毎に図8に示されたフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0078】
CPU60AはS20、21、22の処理を実行する。S20、21、22の処理は、第1実施形態のS10、11、12とそれぞれ同じである。
【0079】
S22でNoと判定した場合、CPU60AはS29へ進み、アクチュエータ56に作動信号を送信する。これによりブロア54がS20で取得された目標回転数で回転する。
【0080】
一方、S22でYesと判定した場合、CPU60AはS23へ進み、外気温度センサ72から外気温度に関する情報を取得し、車内温度センサ74から車内温度に関する情報を取得する。
【0081】
S23の処理を終えたCPU60AはS24へ進み、外気温度センサ72が検出した外気温度が第2閾値以上か否かを判定する。
【0082】
S24でYesと判定した場合、CPU60AはS25へ進み、外気温度センサ72が検出した外気温度が車内温度センサ74が検出した車内温度より第3閾値以上高いか否かを判定する。
【0083】
S25でYesと判定した場合、CPU60AはS26へ進む。S26の処理は、第1実施形態のS16と同じである。S26の処理を終えた場合、CPU60AはS28へ進む。S28の処理は、第1実施形態のS17と同じである。さらにS28でYesと判定した場合、CPU60AはS29へ進む。S29の処理は、第1実施形態のS18と同じである。
【0084】
一方、S24でNoと判定した場合、CPU60AはS27へ進み、外気温度センサ72が検出した外気温度が車内温度センサ74が検出した車内温度より第4閾値以上低いか否かを判定する。
【0085】
S27でYesと判定した場合、CPU60AはS26へ進む。またS21でNoと判定した場合も、CPU60AはS26へ進む。
【0086】
S26の処理を終えたCPU60AはS28へ進む。
【0087】
一方、S27でNoと判定した場合、CPU60AはS29へ進む。
【0088】
S29の処理を終えたとき、CPU60Aは図8のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0089】
以上説明したように本実施形態の冷却装置80は、外気温度センサ72が検出した外気温度(対象情報)が第2閾値以上であり、且つ、外気温度センサ72が検出した外気温度が車内温度センサ74が検出した車内温度より第3閾値以上高いとき、特定条件が成立したと判定する。さらに冷却装置80は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあることをカーティシスイッチ20が検出し、且つ、特定条件が満たされるときに、ブロア54を停止させる。そのためフロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあり且つ車両10周辺の外気(空気)が電池セルを劣化させるおそれがあるほど高温であるときに、この外気(空気)が吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給されない。一方、冷却装置80は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの全てが閉状態にあることをカーティシスイッチ20が検出したとき、又は、特定条件が満たされないときに、ブロア54を作動させる。そのため、例えば、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にある場合であっても特定条件が満たされない場合は、車室12Aの空気及び車両10周辺の外気(空気)が吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給される。従って冷却装置80は、外気温度が第2閾値以上の場合に、電池24(電池セル)の劣化を効率よく抑制できる。
【0090】
また冷却装置80は、外気温度センサ72が検出した外気温度(対象情報)が第2閾値未満であり、且つ、外気温度センサ72が検出した外気温度が車内温度センサ74が検出した車内温度より第4閾値以上低いとき、特定条件が成立したと判定する。さらに冷却装置80は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあることをカーティシスイッチ20が検出し、且つ、特定条件が満たされるときに、ブロア54を停止させる。そのためフロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にあり且つ車両10周辺の外気(空気)が電池セルを劣化させるおそれがあるほど低温であるときに、この外気(空気)が吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給されない。一方、冷却装置80は、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの全てが閉状態にあることをカーティシスイッチ20が検出したとき、又は、特定条件が満たされないときに、ブロア54を作動させる。そのため、例えば、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかが開状態にある場合であっても特定条件が満たされない場合は、車室12Aの空気及び車両10周辺の外気(空気)が吸気口48A、吸気ダクト52及びブロア54によって電池24(電池セル)へ供給される。従って、冷却装置80は、外気温度が第2閾値未満の場合に、電池24(電池セル)の劣化を効率よく抑制できる。
【0091】
以上、第1実施形態に係る冷却装置70及び第2実施形態に係る冷却装置80について説明したが、これらは本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0092】
例えばレインセンサ40が雨を検出したときに、CPU60Aが、特定条件判定マップ65を用いずに、特定条件が成立すると判定してもよい。さらにレインセンサ40が雨を検出しないとき、CPU60Aが、特定条件判定マップ65を用いずに、特定条件が成立しないと判定してもよい。この変形例のCPU60Aは、レインセンサ40から取得した車両10周辺において雨が降っているか否かに関する情報(第1情報)にのみ基づいて特定条件が成立するか否かを判定する。そのためCPU60Aは、特定条件判定マップ65(ワイパ32の作動頻度に関する情報)を用いる場合よりも短時間で特定条件が成立するか否かを判定できる。従って、例えば、フロントドア16L、16R及びリアドア18L、18Rの何れかを閉状態から開状態に切り替えながら乗員が車内から車外へ移動したタイミングで、車両10周辺で突然雨が降り始めた場合に、作動中のブロア54を素早く停止できる。さらにこの場合は、車両10周辺の降雨量が僅かな場合もブロア54が停止されるので、雨が電池24に供給されるおそれが殆どない。
【0093】
また、CPU60Aは、特定条件判定マップ65を用いずに、レインセンサ40の検出結果にのみ基づいて、雨量を推定可能である。そのため、CPU60Aは、レインセンサ40の検出結果にのみ基づいて推定した雨量を利用して、特定条件が成立するか否かの判定を行ってもよい。
【0094】
車両10がレインセンサ40を利用したオートワイパ制御モードによる制御を実行不能な場合は、ワイパスイッチ38によって操作されたワイパ32の単位時間当たりの作動頻度に関する情報をCPU60Aが取得し、CPU60Aがこの作動頻度に関する情報に基づいて車両10の周辺の推定雨量を演算してもよい。この場合にCPU60Aは、取得した推定雨量を特定条件判定マップ65に適用して、ブロア54(アクチュエータ56)を作動させるか否かを決定してもよい。
【0095】
また、車両10がレインセンサ40を利用したオートワイパ制御モードによる制御を実行不能な場合は、ワイパスイッチ38によって操作されたワイパ32が作動しているときに、特定条件が成立するとCPU60Aが判定してもよい。またこの場合は、ワイパ32が作動していないときに、特定条件が成立しないとCPU60Aが判定してもよい。
【0096】
第1実施形態及び第1実施形態の変形例に第2実施形態が適用されてもよい。即ち、雨に関する情報、並びに、外気温度及び室内温度に関する情報の少なくとも一方に基づいて特定条件が成立するか否かが判定されてもよい。
【0097】
図1及び図2に示されたように、支持部材48に設けられた吸気口48Aが、車室12Aの車両左右方向の中心より左側の領域において開口する場合は、左側のフロントドア16L及びリアドア18Lの少なくとも一方が開状態にあることをカーティシスイッチ20が検出し、且つ、特定条件が満たされるときに、ブロア54が停止されるようにしてもよい。換言すると、この場合は、右側のフロントドア16R及びリアドア18Rの少なくとも一方が開状態にあることをカーティシスイッチ20が検出し、且つ、特定条件が満たされるときに、ブロア54が停止されない。このように吸気口48Aが車室12Aの左側の領域において開口する場合は、右側のフロントドア16R及びリアドア18Rの少なくとも一方が開状態にある状態でブロア54が作動しても、車両10の周辺の雨がフロントドア16R及びリアドア18Rの少なくとも一方によって開放された開口部14を介してブロア54によって吸引され、電池24へ供給されるおそれが小さい。この変形例によれば、何れか一つのドアが開口部14を開口し且つ特定条件が満たされるときに、ブロア54が必ず停止される場合と比べて、電池24(電池セル)の劣化を効率よく抑制できる。なお、吸気口48Aが車室12Aの車両左右方向の中心より右側の領域において開口する場合は、右側のフロントドア16R及びリアドア18Rの少なくとも一方が開状態にあることをカーティシスイッチ20が検出し、且つ、特定条件が満たされるときに、ブロア54が停止されるようにしてもよい。
【0098】
車両10に搭載された無線通信機(Data Communication Module。図示省略)(情報取得部)が、無線通信を利用して、車両10の外部に位置する通信装置から、車両10周辺の雨の有無に関する情報、降雨量に関する情報、及び外気温度に関する情報の少なくとも一つを受信してもよい。この場合にCPU60Aは、このようにして受信された車両10周辺の雨の有無に関する情報、降雨量に関する情報、及び外気温度に関する情報の少なくとも一つを利用して、特定条件が満たされるか否かを判定可能である。
【0099】
駆動源である電動モータに電力を供給する電池を有するのであれば、車両10は、PEVとは別のハイブリッド車両又はEV(Electric Vehicle)であってもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 車両
12 車体
12A 車室
14 開口部
16L 16R フロントドア(ドア)
18L 18R リアドア(ドア)
20 カーティシスイッチ(ドア開閉状態検出センサ)
24 電池
32 ワイパ
40 レインセンサ(情報取得部)
48A 吸気口
54 ブロア(冷却ファン)
60A CPU(制御部)
604 ワイパ作動頻度取得部(情報取得部)(ワイパ情報取得部)
70 車両用電池冷却装置(冷却装置)
72 外気温度センサ(情報取得部)
74 車内温度センサ
80 車両用電池冷却装置(冷却装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8