(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176096
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/65 20230101AFI20241212BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241212BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H04N23/65
H04N23/60 300
H04N7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094345
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】原田 智博
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CF06
5C054CF07
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA07
5C054FC15
5C054FD07
5C054FF02
5C054GB01
5C054GB05
5C054HA19
5C122DA03
5C122DA11
5C122EA06
5C122EA22
5C122EA63
5C122GC07
5C122GC37
5C122GC52
5C122GC75
5C122GC86
5C122GF04
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA46
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】状況に応じて、電力および通信データの適切な送受信を行うことが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(10)は、被写体を撮像する撮像手段(102)と、撮像手段に供給される電力と、撮像手段から取得される通信データとを重畳して送受信可能な第1通信手段(110a)および第2通信手段(110b)と、第1通信手段または第2通信手段の少なくとも一つを介して送受信される電力と通信データとの比率を変更する変更手段(211)とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段に供給される電力と、前記撮像手段から取得される通信データとを重畳して送受信可能な第1通信手段および第2通信手段と、
前記第1通信手段または前記第2通信手段の少なくとも一つを介して送受信される前記電力と前記通信データとの比率を変更する変更手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記通信データに関する情報に応じて前記比率を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記通信データに関する情報は、前記第1通信手段または前記第2通信手段の少なくとも一つを介して送信される前記通信データの通信エラーであることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記変更手段は、前記第1通信手段を介して送信される前記通信データの前記通信エラーがあると判定された場合、
前記第1通信手段を介した前記電力に対する前記通信データの前記比率を下げ、
前記第2通信手段を介した前記電力に対する前記通信データの前記比率を上げることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記通信データに関する情報は、前記通信データのデータ量であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記データ量が所定のデータ量よりも多いと判定された場合、前記第1通信手段または前記第2通信手段の少なくとも一つを介した前記電力に対する前記通信データの前記比率を上げることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記変更手段は、前記撮像装置の消費電力に応じて前記比率を変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記変更手段は、消費電力が所定の電力よりも多いと判定された場合、前記第1通信手段または前記第2通信手段の少なくとも一つを介した前記通信データに対する前記電力の前記比率を上げることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像装置は、
ネットワークを介して外部装置と接続可能な第1ユニットと、
前記撮像手段を有し、前記第1通信手段および前記第2通信手段を介して前記第1ユニットから前記電力を受信するとともに前記第1ユニットへ前記通信データを送信する第2ユニットとを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
撮像手段を用いて被写体を撮像するステップと、
第1通信手段および第2通信手段を介して、前記撮像手段に供給される電力と、前記撮像手段から取得される通信データとを重畳して送受信するステップと、
前記第1通信手段または前記第2通信手段の少なくとも一つを介して送受信される前記電力と前記通信データとの比率を変更するステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサユニットとメインユニットとを分割して同軸ケーブルでこれらを接続して構成される撮像装置(監視カメラ)が知られている。特許文献1には、センサユニットとメインユニットとを接続する同軸ケーブルを用いて、センサからの画像信号(データ信号)と、電源とを重畳して送受信を行う構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、メインユニットの1チャンネル当たりのデータ信号の転送量および電源の供給量は限られている。例えば、データ信号の転送量に関しては、4K画素または8K画素等の高画素撮像素子を備えたセンサユニットを用いる場合、センサユニットからのデータ信号の転送量が多くなり、データ信号を適切に転送することが困難となる。また、パンニング、チルティング、およびズーム等の撮像方向の変更が可能なセンサユニットでは、パンニング、チルティング、およびズームを変更するためのアクチュエータの駆動のための消費電力が大きいため、電源を適切に供給することが困難となる。
【0005】
また、特許文献1に開示された構成では、センサユニットにおける負荷変動によるノイズ(負荷ノイズ)が発生すると、負荷ノイズが同軸ケーブルに回り込みデータ信号に重畳される。このため、センサユニットとメインユニットとの間でのデータ通信がエラーとなり、データ通信を適切に行うことが困難となる。
【0006】
そこで本発明は、状況に応じて電力および通信データの適切な送受信を行うことが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段に供給される電力と、前記撮像手段から取得される通信データとを重畳して送受信可能な第1通信手段および第2通信手段と、前記第1通信手段または前記第2通信手段の少なくとも一つを介して送受信される前記電力と前記通信データとの比率を変更する変更手段とを有する。
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、状況に応じて電力および通信データの適切な送受信を行うことが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1における電力および通信の切り替え方法の説明図である。
【
図3】実施例1における通信制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】実施例2における電力および通信の切り替え方法の説明図である。
【
図7】実施例3における電力および通信の切り替え方法の説明図である。
【
図8】実施例4における撮像装置のハードウェア構成例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【実施例0012】
まず、
図1を参照して、実施例1の撮像装置10におけるシリアライザの複数のチャンネル(伝送路)による接続方法に関して説明する。
図1は、撮像装置10の説明図である。
【0013】
撮像装置10は、センサユニット(第2ユニット)100、同軸ケーブル110(110a、110b)、およびメインユニット(第1ユニット)120を有する。このような構成において、撮像装置10は、IPネットワーク網(ネットワーク)130を介して、クライアント端末装置(外部装置)140と相互通信可能な状態で接続されている。同軸ケーブル110は、撮像素子102に供給される電力と、撮像素子102から取得される通信データとを重畳して送受信可能な同軸ケーブル(第1通信手段)110aおよび同軸ケーブル(第2通信手段)110bを含む。同軸ケーブル110a、110bはそれぞれ、チャンネル(伝送路)CH1、CH2を介して、メインユニット120とセンサユニット100とを接続している。
【0014】
撮像装置10は、クライアント端末装置140に対して情報の入出力を行う通信処理部123を有する。一方、クライアント端末装置140は、撮像装置10に対して各種の制御コマンドを送信する。制御コマンドは、撮像パラメータの設定、および撮像ストリーミングの開始/停止命令等を含むが、これらに限定されるものではない。クライアント端末装置140から送信された制御コマンドを受信した通信処理部123は、受信した制御コマンドに対するレスポンスをクライアント端末装置140に送信する。なお本実施例において、クライアント端末装置140は、外部装置であるパソコン、サーバ、または情報端末等の情報処理端末であるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
IPネットワーク網130は、例えばEthernet等の通信規格を満足する複数のルータ、スイッチ、およびケーブル等から構成される。ただし本実施例は、撮像装置10とクライアント端末装置140との間の通信が可能であれば、その通信規格、規模、または構成は問わない。例えば、IPネットワーク網130は、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、WAN(Wide Area Network)等により構成されても良い。
【0016】
商用電源装置150は、撮像装置10に対して電源を供給する。撮像装置10は、一般的には商用電源装置150からAC100Vの電源が供給され、撮像装置10内の不図示のAC-DCコンバータ等を用いて必要な電源を生成する。ただし本実施例は、これに限定されるものではなく、撮像装置10への電源供給が可能であれば、商用電源装置150の構成は問わない。商用電源装置150は、例えば有線LANケーブルを通じて電力を供給するPoE(Power Over Ethernet)により構成されても良い。
【0017】
撮像装置10は、センサユニット100とメインユニット120とを有し、センサユニット100とメインユニット120との間は同軸ケーブル110を介して接続されている。撮像装置10は、データ転送システムを有する。具体的には、センサユニット100は、撮像により画像情報を取得する。そしてセンサユニット100は、同軸ケーブル110を介して、メインユニット120に画像情報を送信する。メインユニット120は、受信した画像情報に対して画像処理およびネットワーク処理を行い、処理後の画像情報をIPネットワーク網130に出力する。
【0018】
メインユニット120は、センサユニット100を駆動するための電源を生成する。メインユニット120により生成された電源は、同軸ケーブル110を介して、センサユニット100へ供給される。同軸ケーブル110は、1本のライン上(1芯)において、画像信号だけでなく、電源信号を重畳して送受信が可能である。
【0019】
同軸ケーブル110(110a、110b)は1芯の同軸ケーブルであり、内部導体と外部導体とから構成される。内部導体は、1本の導線であり、例えば、電源信号が重畳された画像信号を伝送する。外部導体は、内部導体を中心に円筒状に配置されたシールド線である。
【0020】
メインユニット120は、複数のチャンネルを有し、複数のセンサユニットが接続可能である。本実施例では4つのチャンネルを有する入力構成であるが、チャンネルの数はこれに限定されるものではない。
【0021】
センサユニット100において、101はレンズ群(撮像光学系)であり、被写体の像(光学像)を形成する光学レンズからなる。102は被写体を撮像する撮像素子(撮像手段)であり、レンズ群101を介して撮像素子面(撮像面)において受光された光学像を電気信号に変換する。増幅器103は、撮像素子102から出力された電気信号を所定レベルに増幅し、所定フォーマットの撮像データ信号(画像データ)を生成する。撮像データのフォーマットは、例えば、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)、またはLVDS(Low Voltage Differential Signaling)等である。ただし、撮像データのフォーマットはこれらに限定されるものではない。
【0022】
104a、104bはシリアライザであり、入力された画像データを直列化して変換する。画像データは、CLK信号およびDATA信号等の複数のパラレル信号から構成されるが、それを直列化変換することで1つのシリアル信号に変換される。105は通信切り替えスイッチであり、撮像データ信号の出力先をシリアライザ104aまたはシリアライザ104bへ切り替える。通信切り替えスイッチ105は、所定のタイミングで、撮像データ信号を切り替え可能である。例えば50%で切り替える場合、チャンネルCH1側とチャンネルCH2側との間で同じ間隔で交互に切り替えられ、シリアライザ104a、104bに対してそれぞれ等間隔で交互に信号を出力する。一方、チャンネルCH1側に100%で切り替える場合、チャンネルCH1側に常に切り替えられており、シリアライザ104aに対して信号が常に出力される。シリアライザ104a、104bの出力信号は、同軸ケーブル110a、110bをそれぞれ介して、メインユニット120に送信される。
【0023】
一方、同軸ケーブル110a、110bには電源信号が重畳されており、電源信号はセンサユニット100へ供給される。電源信号は、フィルタ107を介することで電源信号のみが分離される。本実施例において、同軸ケーブル110a、110bからの電源信号は、電源切り替えスイッチ106にて切り替えられる。電源切り替えスイッチ106は、所定のタイミングで電源信号を切り替え可能である。例えば、50%で切り替える場合、チャンネルCH1側とチャンネルCH2側との間で同じ間隔で交互に切り替えられ、同軸ケーブル110a、110bから交互に電源が供給される。一方、チャンネルCH1側に対して100%で切り替える場合、同軸ケーブル110aから常に電源が供給される。電源部108は、フィルタ107にて分離された電源信号から、センサユニット100で必要な電源を生成する。電源部108により生成された電源は、撮像素子102およびシリアライザ104a、104b等に供給される。
【0024】
本実施例において、通信切り替えスイッチ105および電源切り替えスイッチ106は同軸ケーブル110aまたは同軸ケーブル110bの少なくとも一つを介して送受信される通信データと電力(電源)との比率を変更する。
【0025】
メインユニット120において、121(121a、121b、121c、121d)はデシリアライザである。例えば、デシリアライザ121a、121bは、シリアライザ104a、104bから同軸ケーブル110a、110bを介して送信されたシリアル信号を元の画像データであるCLK信号およびDATA信号等の複数のパラレル信号へ変換する。シリアライザ104a、104bから出力された信号は、デシリアライザ121a、121bによりパラレル信号へ変換され、それらが結合されて出力される。
【0026】
122は画像処理部である。画像処理部122は、入力されたパラレル信号形式の画像データに対して現像処理および各種の画像処理を行って所定の撮像データに変換し、変換された撮像データを出力する。123は通信処理部である。通信処理部123は、画像処理部122から出力された信号(撮像データ)を通信プロトコルに準拠したデータ変換を行い、変換された画像データをIPネットワーク網130を介してクライアント端末装置140へ出力する。また通信処理部123は、クライアント端末装置140との間で各種の制御コマンドの送受信を行う。クライアント端末装置140は、撮像装置10で撮像された画像信号の表示や録画だけでなく、撮像装置10の制御等の各種制御を行う。
【0027】
電源部125は、商用電源装置150から供給された電源を用いて、メインユニット120での必要な各種電源を生成する、また電源部125は、センサユニット100で必要な電源を生成する。センサユニット100用の電源は、フィルタ124(124a)を介して、同軸ケーブル110(110a)に出力される。デシリアライザ121での通信信号に電源信号が重畳されてセンサユニット100に対して出力される。なお、前述はチャンネルCH1に関して説明したが、他のチャンネルCH2、CH3、CH4に対しても同様の処理が行われる。
【0028】
本実施例の撮像装置10は、シリアライザ104とデシリアライザ121との間での通信を監視することが可能である。撮像装置10のCPU(変更手段)211は、通信エラーの発生状況に応じて、通信切り替えスイッチ105および電源切り替えスイッチ106それぞれの切り替え比率を変更する。これにより、通信エラーの無い、最適なシリアライザ―デシリアライザ通信が可能となる。
【0029】
次に、
図2を参照して、通信エラーの状況(通信データに関する情報)に応じた撮像装置10のCPU(変更手段)211の切り替え比率の変更に関して説明する。
図2は、電力および通信(通信データ)の切り替え方法の説明図であり、通信切り替えスイッチ105および電源切り替えスイッチ106の切り替え比率の変更を示す。
図2において、横軸は時間、縦軸は電力および通信の比率をそれぞれ示す。
図2において、実線は通信を示し、破線は電力をそれぞれ示す。
【0030】
初期時(初期通信モード)において、チャンネルCH1、CH2の両方とも、通信と電力との比率はそれぞれ50%に設定される。通信切り替えスイッチ105は、チャンネルCH1側とチャンネルCH2側とに同じ間隔で交互に切り替え、信号はシリアライザ104aとシリアライザ104bとに対して、それぞれ等間隔で交互に出力される。電源切り替えスイッチ106は、チャンネルCH1側とチャンネルCH2側とに同じ間隔で交互に切り替え、同軸ケーブル110aと同軸ケーブル110bとから交互に電源が供給される。
【0031】
撮像装置10は、シリアライザ104とデシリアライザ121との間での通信の監視を行っている。そしてCPU211は、チャンネルCH1側の通信エラーを検出した場合、チャンネルCH1側の通信比率(データ通信の比率)を下げ(例えば通信比率を0%に設定し)、一方、チャンネルCH2側の通信比率を上げる(例えば通信比率を100%に設定する)。通信エラーが発生したチャンネルCH1の通信比率を下げることで通信エラーを抑制することができる。一方、チャンネルCH1の通信比率を下げることで足りなくなる通信に関しては、他方のチャンネルCH2の通信比率を上げることで、トータルの通信量の確保が可能となる。このため本実施例によれば、通信エラーの少ない通信制御が可能となる。
【0032】
次に、
図3を参照して、本実施例における通信エラーの少ない通信制御方法について説明する。
図3は、本実施例における通信制御方法を示すフローチャートである。
【0033】
撮像装置10の電源がオンになると、撮像装置10のCPU211(
図8参照)は本フローを開始する。なお、以下、撮像装置10が行うものとしている各処理もCPU211によって実行される。まずステップS101において、撮像装置10は、初期通信モードに設定する。続いてステップS102において、撮像装置10は、電力およびデータ通信の初期設定を行う。すなわち撮像装置10は、同軸ケーブル110a、110bのそれぞれを介して送受信する電力とデータ通信との割合(比率)に関する初期設定を行う。例えば、
図2に示されるように、初期通信モードにおいて、撮像装置10は、チャンネルCH1、CH2に対応する同軸ケーブル110a、110bのそれぞれにおいて、電力とデータ通信との比率を50%に設定する。ただし本実施例はこれに限定されるものではなく、電力とデータ通信との比率を50%以外に設定しても良い。または、同軸ケーブル110a(チャンネルCH1)と同軸ケーブル110b(チャンネルCH2)とを介して送受信される電力とデータ通信との比率を異なる比率に設定しても良い。
【0034】
続いてステップS103において、撮像装置10は、例えばチャンネルCH1を介したデータ通信における通信エラーを検出する。続いてステップS104において、撮像装置10は、ステップS103にて検出された通信エラーが少ないか否かを判定する。例えば、所定時間内に発生した通信エラーの回数が所定以上か否かで、通信エラーが少ないか判断する。通信エラーが多い(所定時間内に発生した通信エラーの回数が所定値以上)と判定された場合、ステップS102の初期設定でなされた電力とデータ通信との比率では、通信エラーが多く、適切な通信制御を行うことができないため、ステップS105に進む。一方、通信エラーが少ない(所定時間内に発生した通信エラーの回数が所定値より少ない)と判定された場合、ステップS106に進む。
【0035】
ここで、通信エラーが少ないか否かに関する基準(ステップS104の判定基準)は、適切な通信制御を行うことが可能である程度に通信エラーが少ないか否かを基準として決定することができる。例えば、ステップS103にて通信エラーが無い場合のみを通信エラーが少ないと判定しても良い。
【0036】
ステップS105において、撮像装置10は、複数の同軸ケーブル(同軸ケーブル110a、l110b)のうち少なくとも一つを介して送受信される電力とデータ通信との設定(比率)を変更し、ステップS103に戻る。ステップS105では、例えば、複数の同軸ケーブルのうち少なくとも一つを介して送受信される電力とデータ通信との初期設定における比率を、所定の比率に変更することができる。または、初期設定における比率を、ステップS103にて検出された通信エラーの量または頻度等の通信エラーに関する状況に応じて異なる比率に変更しても良い。また、ステップS105にて変更後の比率で、再度、ステップS104にて通信エラーが多いと判定された場合、更に異なる比率に変更することができる。
【0037】
ステップS106において、撮像装置10は、通信エラーが少ないと判定されたため、電力とデータ通信との比率を決定する。続いてステップS107において、撮像装置10は、初期通信モードから通常モードへ移行し、本フローを終了する。
【0038】
このように本実施例において、変更手段は、状況に応じて、同軸ケーブル110a、110bの少なくとも一つを介した電力とデータ通信との比率(割合)を変更する。ここで状況とは、例えば、同軸ケーブル110a、110bの少なくとも一つを介して送信される通信データの通信エラーである。好ましくは、変更手段は、同軸ケーブル110aを介して送信される通信データの通信エラーがあると判定された場合、同軸ケーブル110aを介した電力に対する通信データの比率を下げ、同軸ケーブル110bを介した電力に対する通信データの比率を上げる。
【0039】
なお本実施例では、通信エラーの状況に応じて切り替えスイッチの比率を変更する方法を説明したが、これに限定されるものではなく、事前に切り替えスイッチの比率を設定しても良い。例えば、初期設定時に想定されるモードでの動作を行ってそのときの通信エラーを測定および記憶し、通常の動作においてはモード変更に応じて切り替えスイッチの比率を変更する方法でも良い。
本実施例の撮像装置10aは、撮像素子102を備えたセンサユニット100に代えて、撮像素子302を備えたセンサユニット300を有する点で、実施例1の撮像装置10と異なる。センサユニット300は、より高画素の撮像素子302を備えた4Kセンサユニットまたは8Kセンサユニット等の高画素センサユニットである。撮像素子302は、4K画素または8K画素等の高画素撮像素子である。なお、撮像装置10aの他の基本構成は、撮像装置10と同様であるため、その説明を省略する。
初期時(初期通信モード)において、チャンネルCH1、CH2の両方とも、通信と電力との比率はそれぞれ50%に設定される。通信切り替えスイッチ105は、チャンネルCH1側とチャンネルCH2側とに同じ間隔で交互に切り替え、信号はシリアライザ104aとシリアライザ104bとに対して、それぞれ等間隔で交互に出力される。電源切り替えスイッチ106は、チャンネルCH1側とチャンネルCH2側とに同じ間隔で交互に切り替え、同軸ケーブル110aと同軸ケーブル110bとから交互に電源が供給される。
続いてメインユニット120は、センサユニット300のステータスを検出する。メインユニット120は、センサユニット300が8Kセンサユニット等の高画素センサユニットであることを検出した場合、チャンネルCH2側の通信比率(データ通信の比率)を上げる(例えば通信比率を100%、電力比率を0%にそれぞれ設定する)。このように、高画素センサユニットとの通信に関しては、チャンネルCH2の通信比率を上げることで、トータルの通信量の確保が可能となる。このため本実施例によれば、4K画素または8K画素等の高画素撮像素子を用いた場合のデータ量の多い高画素センサユニットに対して、適切な通信制御が可能となる。
このように本実施例において、変更手段は、状況に応じて、同軸ケーブル110a、110bの少なくとも一つを介した電力とデータ通信との比率(割合)を変更する。ここで状況とは、例えば、通信データのデータ量(例えば、撮像素子102の画素数)である。好ましくは、変更手段は、データ量が所定のデータ量よりも多いと判定された場合、同軸ケーブル110a、110bの少なくとも一つを介した電力に対する通信データの前記比率を上げる。