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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176097
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】巻芯保持装置および無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/12 20060101AFI20241212BHJP
   B65H 19/30 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B65H19/12 A
B65H19/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094346
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】槇野 弘章
(72)【発明者】
【氏名】大野 淳士
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064AA03
3F064EA04
3F064EA08
(57)【要約】
【課題】巻芯をシート巻取装置に供給する際などに、巻芯から粘着剤が剥がれることを抑制することができる巻芯保持装置を提供すること。
【解決手段】無人搬送車20は、巻芯保持装置であって、表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、前記巻芯保持部は、保持部本体と、保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を備え、前記転動部の表面は、前記巻芯保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯保持装置であって、
表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、
前記巻芯保持部は、保持部本体と、前記保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、前記巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を有し、
前記転動部の表面は、前記保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている、巻芯保持装置。
【請求項2】
前記保持部本体は、前記巻芯が前記転動部に載置されたときに前記巻芯に対向する2つの面を有する、請求項1に記載の巻芯保持装置。
【請求項3】
前記2つの面は、上方に向かうに従って互いに離れるように傾斜する、請求項2に記載の巻芯保持装置。
【請求項4】
前記巻芯保持部は、前記転動部を少なくとも4つ以上有する、請求項1又は2に記載の巻芯保持装置。
【請求項5】
前記巻芯保持部は、前記2つの面にそれぞれ2つ以上の前記転動部を有する、請求項2に記載の巻芯保持装置。
【請求項6】
前記転動部は、ローラである、請求項1又は2に記載の巻芯保持装置。
【請求項7】
前記昇降部は、前記保持部本体を上昇位置と下降位置との間を昇降させて移動可能であり、
巻芯保持装置はさらに、前記保持部本体が前記下降位置に設定されている場合は前記転動部に載置された前記巻芯の巻芯軸方向への移動の規制をし、前記保持部本体が前記上昇位置に設定されている場合は前記転動部に載置された前記巻芯の端部を露出させる移動規制部を備える、請求項1又は2に記載の巻芯保持装置。
【請求項8】
前記転動部の少なくとも前記巻芯が載置される表面は、フッ素樹脂を含む材料により形成されている、請求項1又は2に記載の巻芯保持装置。
【請求項9】
前記転動部は、フッ素樹脂により形成されている、請求項8に記載の巻芯保持装置。
【請求項10】
前記転動部の前記巻芯が載置される前記表面に、フッ素樹脂含有無電化ニッケルめっきが形成されている、請求項8に記載の巻芯保持装置。
【請求項11】
前記転動部の前記巻芯が載置される前記表面に、フッ素樹脂コーティングが形成されている、請求項8に記載の巻芯保持装置。
【請求項12】
無人搬送車であって、
表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、
前記巻芯保持部は、保持部本体と、前記保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、前記巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を有し、
前記転動部の表面は、前記保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている、無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻芯保持装置および無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持装置としての無人搬送車が知られている。例えば特許文献1には、巻芯をシート巻取装置に供給し、ロールをシート巻取装置から回収する無人搬送車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-91007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、巻芯の表面に粘着テープ等の粘着剤が設けられている場合、シート巻取装置が巻芯をチャックした後に搬送装置の巻芯保持部を下降させたときに、巻芯の表面の粘着剤が巻芯保持部にくっついてしまい、巻芯から粘着剤がはがれてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、巻芯をシート巻取装置に供給する際などに、巻芯から粘着剤が剥がれることを抑制することができる巻芯保持装置および無人搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の巻芯保持装置は、表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、前記巻芯保持部は、保持部本体と、前記保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を有し、前記転動部の表面は、前記保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている。
【0007】
本発明の無人搬送車は、表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、前記巻芯保持部は、保持部本体と、前記保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、前記巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を有し、前記転動部の表面は、前記保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、巻芯をシート巻取装置に供給する際などに、巻芯から粘着剤が剥がれることを抑制することができる巻芯保持装置および無人搬送車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る無人搬送車を含む製造システムを示す模式図である。
図2】本実施形態に係る巻取部を正面(搬送方向下流側)から見た模式図である。
図3】本実施形態に係る巻芯保持部の保持部本体の鳥観図である。
図4】無人搬送車の正面から見た場合の巻芯保持部の模式図である。
図5】巻芯保持部の昇降動作を示す模式図である。
図6】ロール保持部の昇降動作を示す模式図である。
図7】本実施形態に係る無人搬送車のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】本実施形態に係る無人搬送車制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図9】本実施形態に係るセラミックグリーンシート成型装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図10】本実施形態に係る制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図11】本実施形態に係るロール製造工程の流れを説明するためのフローチャートである。
図12図11のロール製造工程に含まれるロール巻取工程の流れを説明するためのフローチャートである。
図13図12のロール巻取工程を連続して行う場合のロール取り外し工程及び巻芯セット工程の流れを説明するためのフローチャートである。
図14図13の巻芯セット工程に含まれるロール回収動作のうちの前半部分を説明するための模式図である。
図15図13の巻芯セット工程に含まれるロール回収動作のうちの後半部分を説明するための模式図である。
図16図13の巻芯セット工程に含まれる巻芯セット動作のうちの前半部分を説明するための模式図である。
図17図13の巻芯セット工程に含まれる巻芯セット動作のうちの後半部分を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態の巻芯保持装置としての無人搬送車を含む製造システムSについて、図1、2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る無人搬送車を含む製造システムSを示す模式図である。図2は、本実施形態に係る巻取部を正面(搬送方向下流側)から見た模式図である。
【0011】
製造システムSは、グリーンシートフィルムGが巻かれたロールRを製造して後工程に運搬するためのシステムである。グリーンシートフィルムGは、積層セラミック電子部品の製造工程における仕掛品である。積層セラミック電子の一例として、例えば積層セラミックコンデンサが挙げられる。
【0012】
なお、製造システムSは、グリーンシートフィルムGに限らず、巻芯Tにシートを巻いてロールRを製造する工程を有する製造システムに適用可能である。
【0013】
製造システムSは、図1に示されるように、セラミックグリーンシート成型装置10と、無人搬送車20と、制御装置30と、を含む。なお、製造システムSは、制御部として、無人搬送車20の後述する無人搬送車制御装置27と、制御装置30と、を有する。以下に詳細を説明する。
【0014】
<セラミックグリーン成型装置>
セラミックグリーンシート成型装置10について、図1、2を用いて説明する。本実施形態のセラミックグリーンシート成型装置10は、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型する装置である。以下の説明において、セラミックグリーンシートが成型されたキャリアフィルムCをまとめてグリーンシートフィルムGとして説明する。また、セラミックグリーンシート成型装置10は、巻芯TにシートとしてのグリーンシートフィルムGを巻き取っていき、ロールRを製造する。即ち、ロールRは、巻芯TにシートとしてのグリーンシートフィルムGが巻かれたものである。
【0015】
ここで、巻芯Tは、グリーンシートフィルムGを巻くためのものである。巻芯Tは、後述する巻取軸を挿入するための中空部が形成された円筒形状部材である。巻芯Tは、表面に粘着剤を有する。このため、グリーンシートフィルムGを巻芯Tに巻く際にグリーンシートフィルムGの一端部を巻芯Tに容易に接着することができる。本実施形態では、巻芯Tは、紙製の紙管である。しかし、巻芯Tの材質は、これに限定されず、樹脂製でもよいし、金属製でもよい。
【0016】
セラミックグリーンシート成型装置10は、図1に示されるように、巻出部11と、塗工部12と、シート巻取装置としての巻取部13と、を備える。また、セラミックグリーンシート成型装置10は、筐体10aを有してもよい。筐体10aは、巻出部11と塗工部12と巻取部13とを覆うための構成であり、外気温の変化や埃等の外部環境から成型されるグリーンシートフィルムGを保護することができる。また、筐体10aは、製造されたロールRを搬送する無人搬送車20が進入及び退出するための開口部が形成され、当該開口部に後述するシャッタ10bが設けられる。
【0017】
巻出部11は、図1に示すようにキャリアフィルムCが巻かれたロールRcの上側から塗工部12に向かってキャリアフィルムCを巻き出して、塗工部12に供給する。キャリアフィルムCとしては、例えば透光性のプラスチックフィルムが用いられる。
【0018】
なお、本実施形態に係る製造システムSでは、巻出部11は、キャリアフィルムCが巻かれたロールRcの上側からキャリアフィルムCを巻き出しているが、これに限らない。例えば、巻出部11は、キャリアフィルムCが巻かれたロールRcの下側からキャリアフィルムCを巻き出してもよい。本実施形態に係る製造システムSでは、巻出部11のロールRcの回転軸は、後述する巻取部13に連動して回転する設定となっている。しかし、巻出部11のロールRcの回転軸の設定は、これに限らない。
【0019】
塗工部12は、キャリアフィルムC上にセラミック材料を含むスラリーを塗工し、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型する。本実施形態においては、例えばドクターブレード法により、キャリアフィルムC上にセラミック材料を含むスラリーを塗布する。塗工部12でキャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートが成型されたグリーンシートフィルムGは、不図示の乾燥部で乾燥された後、巻取部13に搬送される。
【0020】
巻取部13は、図1に示すようにキャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートが成型されたグリーンシートフィルムGを巻芯Tの上側からロール状に巻き取ることでロールRを製造して、回収する。巻取部13は、一対の支持部130と、一対のチャッキング部131と、を備える。なお、本実施形態に係る製造システムSでは、巻取部13は、グリーンシートフィルムGを巻芯Tの上側からロール状に巻き取っているが、これに限らない。例えば、巻取部13は、グリーンシートフィルムGを巻芯Tの下側からロール状に巻き取ってもよい。
【0021】
支持部130は、図1、2に示されるように、チャッキング部131を支持するための構成である。支持部130は、床面から上方に延びるように設けられる。しかし、支持部130の構成は、これに限らない。例えば、チャッキング部131を支持するものであればよく、設備フレームから水平に延びていてもよい。
【0022】
チャッキング部131は、巻芯Tを回転可能に保持するための構成である。例えば、本実施形態に係るチャッキング部131は、図2に示される一対の巻取軸131aと、一対のチャック部131bと、後述の図9に示されるチャック駆動部131cと、巻取駆動部131dと、を有する。
【0023】
一対の巻取軸131aは、巻芯Tをチャックし回転させるための構成である。本実施形態では、一対の巻取軸131aのうちの一方は、支持部130によって一対の支持部130が相互に対向する方向に沿って滑動可能に保持され、チャック駆動部131cの駆動により一対の巻取軸131aの対向方向に滑動するように構成される。なお、これに限らず、一対の巻取軸131aの両方が、相互に対向する方向に沿って滑動可能に保持され、チャック駆動部131cの駆動により一対の巻取軸131aの対向方向に滑動するように構成されてもよい。
【0024】
チャック駆動部131cは、例えばエアシリンダーやモータ等を駆動源として用いてもよい。一対の巻取軸131aの他方は、支持部130に固定される。よって、一対の巻取軸131aは、一対の巻取軸131aのうちの一方がチャック駆動部131cの駆動によって一対の巻取軸131aの間隔が狭くなるように滑動することで、巻芯Tをチャックするチャック位置に移動できる。また、一対の巻取軸131aは、一対の巻取軸131aのうちの一方がチャック駆動部131cの駆動によって一対の巻取軸131aの間隔が広くなるように滑動することで、巻芯Tのチャックを解除するチャック解除位置に移動できる。
【0025】
また、一対のチャック部131bは、巻芯Tを保持するための構成である。チャック部131bは、円錐台状部材であり、中心軸方向のうちの一方に向かうに従い径が小さくなるように形成され、他方に向かうに従い径が大きくなるように形成される。より具体的には、中心軸方向において、チャック部131bのうちの一方側は、巻芯Tの中空部よりも小さく形成される。また、中心軸方向において、チャック部131bのうちの他方側は、巻芯Tの中空部よりも大きく形成される。なお、チャック部131bの形状は、これに限らない。
【0026】
また、チャック部131bの他方側が巻取軸131aの一端部に設けられる。このため、チャック部131bの一方側は、巻芯Tの中空部に挿入可能であり、押し込むことで中空部の内面にチャック部131bの周面を圧接させて嵌合させることができる。即ち、一対のチャック部131bは、一対の巻取軸131aにより両側から巻芯Tの中空部に押し込まれることで嵌合させてチャックすることができる。
【0027】
一対のチャック部131bのうちの一方は、一対の巻取軸131aのうちの一方の一端部に回転可能に保持される。また、一対のチャック部131bのうちの他方は、一対の巻取軸131aのうちの他方の一端部に回転可能に保持され、巻取駆動部131dの駆動により回転するように構成される。巻取駆動部131dは、例えば駆動源としてモータを用いてもよい。なお、本実施形態に係る巻取駆動部131dは、一対のチャック部131bのうちの他方側のみに設けられているが、これに限らず両側に設けてもよい。
【0028】
このように、チャッキング部131は、一対の巻取軸131aの中心線と巻芯Tの中心線とが略一致するように巻芯Tを一対の巻取軸131aの間に配置した状態で、一対の巻取軸131aをチャック位置に移動させることで、巻芯Tをチャックできる。また、チャッキング部131は、巻芯Tをチャックした状態で、一対のチャック部131bのうちの他方を巻取駆動部131dの駆動により回転させ、巻取動作を行うことができる。
【0029】
よって、巻取部13においては、チャッキング部131にセットされた巻芯Tを巻取駆動部131dにより回転駆動させることで巻芯Tの周りに、キャリアフィルムC上に成型されたグリーンシートフィルムGが巻き取られ、ロールRが形成される。
【0030】
製造システムSの巻取部13は、エア吹き出し部132を備えていてもよい。例えば、本実施形態に係る製造システムSでは、エア吹き出し部132は、筐体10a内部における巻取部13の付近の上部に設けられている。
【0031】
なお、本実施形態では、エア吹き出し部132は、筐体10aにおける巻取部13の付近の上部に設けられているが、これに限らない。例えば、エア吹き出し部132は、無人搬送車20に設けられてもよい。
【0032】
エア吹き出し部132は、図1に示されるように、透光性フィルムが巻取部13にセットされたロールから垂れている場合に、垂れている透光性フィルムが揺れるようにエアWを吹き出す。エア吹き出し部132は、ロールRから垂れている透光性フィルムにエアを直接吹き当ててもよいし、他の部材を介してエアを吹き当てる態様であってもよい。
【0033】
エア吹き出し部132により、垂れたグリーンシートフィルムGにエアを吹き当てることができ、効率的に透光性フィルムを揺らすことができる。これにより、検知部による透光性フィルムの検知効率が向上する。
【0034】
また、製造システムSの巻取部13は、図1、2に示されるように、無人搬送車20の進入を遮るシャッタ10bを備えていてもよい。シャッタ10bの一例としては、例えば、扉体と、扉体を上下方向に滑動可能に支持するレールと、扉体を上下方向に滑動させるシャッタ駆動部と、で構成される。シャッタ10bは、扉体を上方に滑動させて最上部に移動させた状態であって無人搬送車の進入を許容する開放状態と、扉体を下方に滑動させて最下部に移動させた状態であって無人搬送車20の進入を許容しない遮蔽状態と、を有する。
【0035】
<無人搬送車>
次に、無人搬送車20について、図1、3~8を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る巻芯保持部21の保持部本体210の鳥観図である。図4は、無人搬送車20の正面から見た場合の巻芯保持部21の模式図である。なお、図4では、説明の便宜上、後述するローラ212の図示は、省略している。図5は、巻芯保持部21の昇降動作を示す模式図である。図6は、ロール保持部22の昇降動作を示す模式図である。図7は、本実施形態に係る無人搬送車20のハードウェア構成を示すブロック図である。図8は、本実施形態に係る無人搬送車制御装置27の機能的構成を示すブロック図である。
【0036】
無人搬送車20は、巻芯Tをシート巻取装置としての巻取部13に供給し、ロールRを巻取部13から回収する。より詳細には、無人搬送車20は、巻取部13のチャッキング部131に巻芯Tを搬送して、巻芯Tを供給する。また、無人搬送車20は、巻芯TにグリーンシートフィルムGを巻き取ることによって製造されたロールRを巻取部13から回収し、回収したロールRを所定の場所に搬送する。
【0037】
本実施形態に係る無人搬送車20は、例えば、無人搬送車20の走行ルートとして定められたルート上に予め敷設されたレールに沿って、走行する。なお、無人搬送車20は、後述する記憶部277に走行ルート情報を記憶させ、自らの位置情報を取得し、走行ルート情報及び取得した位置情報に基づき所定のルートを走行してもよい。
【0038】
無人搬送車20は、図1、3~8に示されるように、巻芯Tを保持する巻芯保持部21と、ロールを保持するロール保持部22と、巻芯の巻芯軸方向の移動を規制する移動規制部としてのストッパ213と、検知部23と、照明部24と、車体部25と、床面障害物検知部26と、図7に示される無人搬送車制御装置27と、を有する。なお、説明の便宜上、図4を除き、ストッパ213の図示は省略している。
【0039】
〔巻芯保持部〕
巻芯保持部21は、図3、5~8に示されるように、昇降部211と、保持部本体210と、転動部としてのローラ212と、を備える。
【0040】
(昇降部)
昇降部211は、図4、5~8に示されるように、保持部本体210を昇降させるための構成である。例えば、本実施形態の昇降部211は、不図示の油圧機構と、当該油圧機構により昇降自在に構成された巻芯用リフタと、により構成されている。巻芯用リフタは、車体部25の後述する台車部25aに形成された中空部25a1に伸縮自在に配置される。巻芯用リフタは、例えば、テレスコピックパイプや多節リンク機構等の公知の伸縮機構を有し、上昇時に巻芯用リフタは伸び、下降時に巻芯用リフタは縮むように構成される。即ち、巻芯用リフタは、油圧機構により伸縮させられ昇降する。なお、昇降機構の駆動源は、油圧機構に限らない。例えば、電動モータであってもよい。
【0041】
(保持部本体)
保持部本体210は、巻芯Tを保持するための部材である。保持部本体210は、巻芯Tがローラ212に載置されたときに巻芯Tに対向する2つの面を有する。例えば、保持部本体210は、図3に示されるように表面がV字状となるような2つの斜面としての表面210aを有する。言い換えると、2つの表面210aは、上方に向かうに従って互いに離れるように傾斜する。
【0042】
保持部本体210は、例えばステンレスにより構成されている。ただし、保持部本体210の材料はステンレスに限らない。保持部本体210は、剛性を有する材料によって構成されていることが好ましく、例えば金属により構成されていることが好ましい。この場合、保持部本体210の表面は、金属である。なお、保持部本体210は、ステンレス等の金属の表面に、ウレタンゴムシート等のゴムが配置されて構成されていてもよい。
【0043】
保持部本体210は、昇降可能に構成されている。例えば、保持部本体210は、昇降部211の巻芯リフタにより保持され、昇降部211の駆動により昇降する。保持部本体210は、昇降部211により、下降位置h1と上昇位置h2との間で位置制御される。例えば、下降位置h1は、図1、4、6に示される保持部本体210の位置である。また、上昇位置h2は、図5に示される保持部本体210の位置である。なお、保持部本体210は、巻芯Tを保持しているか否かを検出するための近接センサやタッチセンサ等の検出手段を備えていてもよい。
【0044】
(ローラ)
ローラ212は、巻芯Tを、巻芯軸方向に移動可能に載置するための構成である。ローラ212は、保持部本体210に対して転動可能に保持されている。また、ローラ212は、巻芯軸方向に交わる方向に軸支される。このため、ローラ212は、巻芯Tを、巻芯Tの軸方向に移動自在に載置可能である。ローラ212の表面212aは、保持部本体210の表面210aよりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている。
【0045】
ローラ212の少なくとも表面212aは、フッ素樹脂を含む材料により形成されていてもよい。例えば、ローラ212は、フッ素樹脂により形成されていてもよい。又は、ローラ212の表面212aに、フッ素樹脂含有無電化ニッケルめっきが形成されていてもよい。又は、ローラ212の表面212aに、フッ素樹脂コーティングが形成されていてもよい。また、ローラ212の表面212aは、離型性表面処理が施されていてもよい。例えばローラ212の表面212aは、サンドブラスト加工等により凹凸が形成された、巻芯Tとの接触面積が低減された離型性表面であってもよい。
【0046】
巻芯保持部21は、ローラ212を少なくとも4つ以上有する。例えば、巻芯保持部21は、保持部本体210の2つの斜面それぞれに2つ以上のローラ212を有する。なお、本実施形態では、転動部として円柱形状のローラを用いているが、転動部は円柱形状のローラに限らない。例えば球状のボールローラであってもよい。
【0047】
<ストッパ>
無人搬送車20はさらに、巻芯保持部21の保持部本体210が下降位置h1に設定されている場合は巻芯保持部21の保持部本体210に保持された巻芯Tの巻芯軸方向への移動を規制し、巻芯保持部21の保持部本体210が上昇位置h2に設定されている場合は巻芯保持部21の保持部本体210に保持された巻芯Tの端部を露出させる移動規制部としてのストッパ213を有する。
【0048】
ストッパ213は、図4に示されるように、保持部本体210の巻芯軸方向両端側の車体部25上にそれぞれ配置された一対の板状部材により構成されている。即ち、ストッパ213は、車体部25上に固定されるように設けられる。このため、ストッパ213は、図4に示されるように保持部本体210が下降位置h1に設定されている場合は、遮蔽部としての板状部材がローラ212に載置された巻芯Tの両端部を遮蔽することで巻芯Tの巻芯軸方向への移動の規制をする。また、保持部本体210が上昇位置h2に設定されている場合は、遮蔽部としての板状部材がローラ212に載置された巻芯Tの両端部を露出させることで巻芯Tの巻芯軸方向への移動の規制を解除する。
【0049】
また、一対の板状部材は、上方に向かうにしたがって広がるように形成されている。これにより、巻芯Tをセットする際の間口が広くなるため、保持部本体210に巻芯Tをセットするのが容易となる。また、巻芯Tのセット時に、巻芯Tの巻芯軸方向の位置が、保持部本体210の適切な場所に位置決めされるように誘導される。巻芯Tは、保持部本体210にセットされた後、巻芯軸方向への移動が規制される。
【0050】
〔ロール保持部〕
ロール保持部22は、セラミックグリーンシート成型装置10の巻取部13によって巻き取られたロール状のグリーンシートフィルムGであるロールRを回収して保持する。ロール保持部22は、図5~8に示されるように、ロール昇降部221と、保持部本体220と、を備える。
【0051】
(ロール昇降部)
ロール昇降部221は、保持部本体220を昇降させるための構成である。例えば、本実施形態のロール昇降部221は、不図示の油圧機構と、当該油圧機構により昇降自在に構成されたロール用リフタと、により構成されている。ロール用リフタは、巻芯リフタと同様に、車体部25の台車部25aに形成された中空部に配置され、油圧機構により昇降される。なお、昇降機構の駆動源は、油圧機構に限らない。例えば、電動モータであってもよい。
【0052】
(ロール保持部の保持部本体)
保持部本体220のロールRを保持する表面は、回収するロールRのサイズに適合した曲面を有する。この曲面は、回収するロールRよりも、やや曲率半径の大きい曲面であることが好ましい。ただし、保持部本体220のロールRを保持する表面は、曲面に限らない。例えば、2つの斜面を有していてもよい。
【0053】
保持部本体220は、例えばステンレスにより構成されている。ただし、保持部本体220の材料はステンレスに限らない。保持部本体220は、剛性を有する材料によって構成されていることが好ましく、例えば金属により構成されていることが好ましい。なお、保持部本体220は、ステンレス等の金属の表面に、ウレタンゴムシート等のゴムが配置されて構成されていてもよい。即ち、保持部本体220の表面は、ゴムであってもよい。これにより、ロールと金属面の直接の接触を防ぐことができ、ロールを保護することができる。また、ゴム層を設けることで、ロールを保持する際の圧力分散、衝撃吸収の効果が得られる。
【0054】
保持部本体220は昇降可能に形成されている。保持部本体220は、ロール昇降部221により、下降位置H1と上昇位置H2との間で位置制御される。例えば、下降位置H1は、図1、5に示される保持部本体210の位置である。また、上昇位置H2は、図6に示される保持部本体210の位置である。なお、保持部本体220は、ロールRを保持しているか否かを検出するための近接センサやタッチセンサ等の検出手段を備えていてもよい。
【0055】
〔床面障害物検知用の検知部〕
無人搬送車20は、図1、7、8に示されるように、無人搬送車20が走行する床面に位置する障害物の有無を検知するための床面障害物検知用の床面障害物検知部26を備えていてもよい。なお、本明細書において、説明の便宜上、床面障害物検知部26の図示が省略される場合がある。床面障害物検知部26は、無人搬送車20の進行方向の一方向と進行方向の他方向に設けられていてもよい。例えば、床面障害物検知部26は、無人搬送車20の進行方向前方と進行方向後方に設けていてもよい。
【0056】
床面障害物検知部26は、画像センサ、レーザースキャナ、超音波センサ等の非接触センサ、その他のセンサであってもよい。例えばレーザースキャナを用いる場合、図1に示されるように走査されながら照射されるレーザー光L2の反射光を検出することにより平面方向を検知し、床面に位置する障害物を検知する。
【0057】
〔検知部〕
検知部23は、ロール保持部通過領域の情報を取得する。本実施形態の検知部23は、ロールRから垂れたシートの存在を検知するシート垂れ検知部である。ロールRの巻取において、ロールRの巻き終わり部分は、ロールRが巻き終わった後に、垂れてしまう場合がある。このため、ロールRからシートが垂れている場合に、無人搬送車20がシート巻取装置としての巻取部13に進入すると、垂れたシートに無人搬送車20が接触し、その結果としてロールがダメージを受けてしまう等の不具合が発生するおそれがある。
【0058】
より具体的には、巻取部13にセットされているロールRからフィルムが垂れている状況下において無人搬送車20が巻取部13に進入してしまうと、無人搬送車20のロール保持部22の保持部本体220やロール昇降部221に、ロールRから垂れているシートが接触し、その結果としてロールRがダメージを受けてしまう場合がある。
【0059】
また、巻取部13にセットされているロールRからフィルムが垂れている状況下において無人搬送車20が巻取部13に進入してしまうと、無人搬送車20の走行部25bの車輪に、ロールRから垂れているシートが巻き込まれてしまい、その結果としてロールRがダメージを受けてしまう場合がある。
【0060】
また、無人搬送車20が巻芯保持部21を有している場合、巻取部13にセットされているロールRからフィルムが垂れている状況下において無人搬送車20が巻取部13に進入してしまうと、無人搬送車20の巻芯保持部21に保持されている巻芯Tと、ロールRから垂れているフィルムとがくっついてしまい、その結果としてロールRがダメージを受けてしまう場合がある。
【0061】
そこで、本実施形態の無人搬送車20は、巻取部13にセットされたロールRから垂れたシートの存在を検知する検知部23を有する。そして、後述の制御部としての無人搬送車制御装置27が、垂れたシートが存在する場合に無人搬送車20が垂れたシートに接触しないように制御する。
【0062】
なお、キャリアフィルムCへのグリーンシートフィルムGの成型は、通常、ロールRの巻き始めと巻き終わりを除く部分に対して行われる。よって、ロールRの巻き始めの部分及び巻き終わりの部分はキャリアフィルムCのみにより構成されており、グリーンシートフィルムGは成型されていない。本実施形態においては、キャリアフィルムCが透光性のフィルムにより構成されている。よって、ロールRから垂れたシートは、透光性のフィルムにより構成されている。
【0063】
検知部23は、無人搬送車20が進行したときにロール保持部22が通過する位置を含むロール保持部通過領域の情報を取得する。このため、検知部23は、ロール保持部22が通過する経路に障害物がないことを確認できる。
【0064】
また、本実施形態の検知部23は、無人搬送車20が進行したときに巻芯保持部21に保持された巻芯Tが通過する位置を含む巻芯通過領域の情報を取得する。このため、検知部23は、巻芯保持部21が通過する経路に障害物がないことを確認できる。
【0065】
本実施形態の検知部23は、ロール保持部通過領域及び巻芯通過領域の少なくともいずれかの画像情報を取得する画像センサである。本実施形態においては、検知部23は、ロール保持部通過領域の情報を取得する。また、検知部23は、巻芯通過領域の情報を取得する。
【0066】
本実施形態に係る検知部23は、後述の照明部24による複数回の照明光L1の出射タイミングに対応する複数のタイミングのロール保持部通過領域及び巻芯通過領域の画像情報を取得する。
【0067】
なお、ロール保持部通過領域及び巻芯通過領域の少なくともいずれかの情報を取得する検知部23は、無人搬送車20の近傍の床面に位置する障害物の有無は検知しなくてもよい。この検知部23は、前述の床面障害物検知部26の検知領域よりも上方の検知領域の情報を取得する検知部であることが好ましい。
【0068】
また、床面障害物検知部26の検知領域よりも広い領域の情報を取得する検知部であることが好ましい。より詳細には、床面障害物検知部の検知領域よりも高さ方向において広い領域の情報を取得する検知部であることが好ましい。シート垂れ検知部としての検知部23は、ロールRから垂れたシートが床面に到達していない場合であっても、床面に到達していないシートの存在を検知することも可能である。
【0069】
〔照明部〕
照明部24は、検知部23による検知効率を向上させるための構成である。照明部24は、無人搬送車20が進行したときにロール保持部22が通過する位置を含むロール保持部通過領域に向けて照明光L1を出射する。また、照明部24は、無人搬送車20が進行したときに巻芯保持部21に保持された巻芯Tが通過する位置を含む巻芯通過領域に向けて照明光L1を出射する。
【0070】
照明部24は検知部23と一体型で構成されていてもよい。本実施形態の照明部24は、照明光L1としてフラッシュ光を出射する。本実施形態に係る照明部24は、時間を空けて複数回の照明光L1を出射するように制御される。例えば、照明部24は、シャッタ10bが開放されてから無人搬送車20がロール回収位置に到達するまでの間、1秒以下の間隔で間欠照射する。
【0071】
〔車体部〕
車体部25は、台車部25aと、走行部25bと、を有する。台車部25aは、無人搬送車20の各種の構成を搭載する。例えば、台車部25aは、巻芯保持部21と、ロール保持部22と、検知部23と、照明部24と、床面障害物検知用の床面障害物検知部26と、を搭載する。また、走行部25bは、台車部25aを移動可能に支持する構成である。走行部25bは、例えば台車部25aに回転可能に設けられた複数の車輪と、当該複数の車輪を回転駆動する駆動部と、を備える。なお、走行部25bの構成は、これに限らない。
【0072】
[無人搬送車制御装置]
次に、無人搬送車制御装置27の一例について、図7を用いて説明する。無人搬送車制御装置27は、無人搬送車20のロール回収動作や巻芯セット動作、走行動作の制御やフィルム垂れ検知処理等の各種の制御を行うための構成である。無人搬送車制御装置27は、プロセッサ等を有し、プロセッサが演算処理を実行することにより各種の動作の制御が実現される。無人搬送車制御装置27は、図7に示されるように、プロセッサ270と、ROM271と、RAM272と、バス273と、入出力インターフェース274と、入力部275と、出力部276と、記憶部277と、通信部278と、電源部279と、を有する。なお、無人搬送車制御装置27の構成は、これに限らない。
【0073】
プロセッサ270は、例えば、無人搬送車制御装置27の動作に必要な各種の演算及び制御等の処理を行う。プロセッサ270は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、SoC(System on a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等やこれらの組合せである。また、プロセッサ270は、これらのプロセッサにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものあってもよい。
【0074】
プロセッサ270は、ROM271又はRAM272等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等のプログラムに基づいて、無人搬送車制御装置27の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ270は、プログラムに基づく後述の処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ270の回路内に組み込まれていてもよい。
【0075】
プロセッサ270、ROM271及びRAM272は、バス273を介して相互に接続されている。このバス273にはまた、入出力インターフェース274も接続されている。入出力インターフェース274には、入力部275、出力部276、記憶部277、通信部278、電源部279が接続されている。
【0076】
入力部275及び出力部276は、有線又は無線により電気的に不図示の入出力インターフェースに接続されるユーザインターフェースである。入力部275は、例えば無人搬送車20の操作ボタン等によって構成される。出力部276は、無人搬送車20の操作のための画像を表示するモニタ276aや警告音等の音声を拡声するスピーカ276b等によって構成される。なお、入力部275及び出力部276は、タッチパネルのように表示機能と入力機能が一体となった構成を有していてもよい。
【0077】
記憶部277は、例えば、不揮発メモリであるROM(Read Only Memory)や、揮発メモリであるRAM(Random Access Memory)等によって構成される主記憶装置と、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等で構成される補助記憶装置と、によって構成される。本実施形態に係る記憶部277には、無人搬送車20による搬送ルート情報や出力部276のスピーカ276bで発する音声情報や制御部280が実行する各種プログラムが記憶されている。
【0078】
通信部278は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)やWi-Fi(Wireless Fidelity)の通信規格に基づいた通信方式で他のコンピュータ等と無線によって通信を行う装置である。しかし、これに限らず、例えば、通信部278は、ネットワークケーブルを介して他のコンピュータ等との間で有線によって通信を行ってもよい。
【0079】
電源部279は、無人搬送車20に電力を供給するためのバッテリである。電源部279は、例えばリチウムイオン二次電池等の公知のバッテリでもよいし、乾電池等の一次電池でもよい。なお、電源部279は、バッテリに限らず、電源ケーブル等により外部の電源に接続されることにより、無人搬送車20に電力を供給してもよい。
【0080】
(制御ブロック)
次に、無人搬送車制御装置27の機能的構成について、図8を用いて説明する。無人搬送車20の各種の制御を行う制御部280は、演算処理を実行するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。本実施形態の制御部280は、入力制御部281と、出力制御部282と、通信制御部283と、運搬管理部284と、照明制御部285と、情報取得部286と、判定部287と、走行制御部288と、報知部289と、巻芯保持部昇降制御部290と、ロール保持部昇降制御部291と、を備える。
【0081】
入力制御部281は、無人搬送車20の管理者等による入力部275への操作を受け付ける処理を実行する。例えば、入力制御部281は、管理者等による無人搬送車20の電源を入れる操作を受け付ける処理を実行する。
【0082】
出力制御部282は、出力部276のモニタ276aに画像を表示するための処理を実行する。例えば、出力制御部282は、モニタ276aに無人搬送車20の操作用のメニュー画面を出力する処理を実行する。
【0083】
通信制御部283は、通信部278を介して外部の機器と通信するための処理を実行する。例えば、通信制御部283は、通信部278を介して制御装置30から送信されたロールRや巻芯Tの運搬指示情報を受信する処理を実行する。
【0084】
運搬管理部284は、無人搬送車20によるロールR等の運搬を管理する処理を実行する。
【0085】
照明制御部285は、照明部24の駆動制御を行う。例えば、照明制御部285は、セラミックグリーンシート成型装置10のシャッタ10bが開放している間に、照明部24に、複数回の照明光L1を出射する照明動作を行わせる。
【0086】
情報取得部286は、検知部23が取得した情報を取得する。また、情報取得部286は、床面障害物検知部26が取得した情報を取得してもよい。
【0087】
判定部287は、情報取得部286が取得した情報に基づき、巻取部13にセットされたロールRから垂れた透光性フィルムの存在の有無を判定する。例えば、制御部280の判定部287は、検知部23により取得されたロール保持部通過領域及び巻芯通過領域の少なくともいずれかの情報に基づき、巻取部13にセットされたロールRから垂れたシートとしての透光性フィルムの存在の有無を判定する。
【0088】
本実施形態においては、判定部287は、検知部23により取得されたロール保持部通過領域の情報に基づき、ロールRから垂れたシートとしての透光性フィルムの存在の有無を判定する。また、判定部287は、検知部23により取得された巻芯通過領域の情報に基づき、ロールRから垂れたシートとしての透光性フィルムの存在の有無を判定する。
【0089】
走行制御部288は、ロール搬送制御と、ロール回収準備制御と、替芯セット準備制御と、フィルム垂れ検知時処理と、を実行する。
【0090】
ロール搬送制御は、走行部25bに予め定められたルートを走行させる制御である。例えば、予め定められたルート上にレールが敷設され、無人搬送車20を当該レールに沿って走行させてもよい。
【0091】
ロール回収準備制御は、後述の図14に示すように、ロール保持部22の保持部本体220が巻取軸131aの下方のロール回収位置に移動するように、走行部25bに走行させる制御である。巻芯セット準備制御は、後述の図16に示すように、巻芯保持部21の保持部本体210が巻取軸131aの下方の巻芯セット位置に移動するように、走行部25bに走行させる制御である。なお、レール上に所定の間隔でセンサを設け、制御部280が無人搬送車20の位置を把握できるように構成されてもよい。
【0092】
走行制御部288は、フィルム垂れ検知時処理において、巻取部13にセットされたロールRから垂れた透光性フィルムが存在していると判定した場合、無人搬送車20の進行を停止させるための制御を行う。例えば、無人搬送車20の走行部25bの駆動を停止する制御を行う。
【0093】
報知部289は、巻取部13にセットされたロールから垂れた透光性フィルムであるシートが存在していると判定した場合、報知を行う。例えば、報知部289は、巻取部13にセットされたロールRから垂れたシートが存在していると判定した場合、出力部276のスピーカ276bに警告音を出力させる。
【0094】
巻芯保持部昇降制御部290は、巻芯保持部21の昇降部211の動作の制御を実行する。例えば、走行制御部288による巻芯セット準備制御により巻芯保持部21の保持部本体210が巻取軸131aの下方の巻芯セット位置に移動したタイミングで巻芯保持部21の保持部本体210を上昇させて上昇位置h2に移動させる。
【0095】
ロール保持部昇降制御部291は、ロール保持部22のロール昇降部221の動作の制御を実行する。例えば、走行制御部288によるロール回収準備制御によりロール保持部22の保持部本体220が巻取軸131aの下方のロール回収位置に移動したタイミングでロール保持部22の保持部本体220を上昇させて上昇位置H2に移動させる。
【0096】
[制御装置]
次に、制御装置30の一例について、図9を用いて説明する。図9は、本実施形態に係るセラミックグリーンシート成型装置のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称を付けて詳細な説明を省略する場合がある。
【0097】
制御装置30は、製造システムSのグリーンシートフィルムGが巻かれたロールRを製造して後工程に運搬するための各種の制御を行うための構成である。制御装置30は、プロセッサ等を有し、プロセッサが演算処理を実行することにより各種の動作の制御が実現される。制御装置30は、図9に示されるように、プロセッサ300と、ROM301と、RAM302と、バス303と、入出力インターフェース304と、入力部305と、出力部306と、記憶部307と、通信部308と、電源部309と、を有する。なお、制御装置30の構成は、これに限らない。
【0098】
(制御ブロック)
次に、制御装置30の機能的構成について、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係る制御装置の機能的構成を示すブロック図である。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称を付けて詳細な説明を省略する場合がある。製造システムSの各種の制御を行う制御部310は、演算処理を実行するプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。本実施形態の制御部310は、入力制御部311と、出力制御部312と、通信制御部313と、シャッタ制御部314と、巻出制御部315と、塗工制御部316と、エア吹き出し制御部317と、チャック制御部318と、巻取制御部319と、を備える。
【0099】
シャッタ制御部314は、セラミックグリーンシート成型装置10のシャッタ10bの開閉を制御する。例えば、シャッタ制御部314は、シャッタ10bを昇降させて、シャッタ10bが開放された開位置と、シャッタ10bが閉鎖された閉位置と、を移動させる処理を実行する。また、シャッタ制御部314は、無人搬送車20がシャッタ10bに近接したタイミングでシャッタ10bを開放させてもよい。無人搬送車20がシャッタ10bに近接したか否かについては、公知の方法により検知させることができる。例えば近接センサ等により無人搬送車20の接近を検知させてもよい。
【0100】
或いは、シャッタ制御部314は、無人搬送車20からのシャッタ10bの開放指令を受信したタイミングでシャッタ10bを開放させてもよい。この場合、無人搬送車20は、シャッタ10bに近接したタイミングで制御装置30にシャッタ10bの開放指令を送信してもよい。
【0101】
巻出制御部315は、巻出部11の各種の制御を実行する。例えば、巻出制御部315は、巻出部11によるキャリアフィルムCが巻かれたロールRcのチャック動作を制御する。巻出制御部315によるロールRcのチャック動作の制御は、後述するチャック制御部318によるロールRのチャック動作の制御と同様のため、説明を省略する。
【0102】
塗工制御部316は、塗工部12の各種の制御を実行する。例えば、塗工制御部316は、塗工部12によるキャリアフィルムC上へのセラミック材料を含むスラリーの塗工動作や、不図示の乾燥部により乾燥動作を制御する。
【0103】
エア吹き出し制御部317は、エア吹き出し部132のエア吹き出し動作の制御を実行する。例えば、エア吹き出し制御部317は、巻取部13によるキャリアフィルムC上に成型されたグリーンシートフィルムGをロール状に巻き取る巻取動作中に、エア吹き出し部132のエア吹き出し動作を行う。なお、エア吹き出し動作の制御は、これに限らない。
【0104】
チャック制御部318は、チャッキング部131によるチャック動作の制御を実行する。例えば、チャック制御部318は、チャッキング部131が巻芯Tをチャックしていない状態でチャック動作の制御を行う。この場合、チャック制御部318は、無人搬送車20の巻芯保持部21の保持部本体210が巻芯Tを載置した状態で上昇位置h2に移動か否かを確認する。チャック制御部318は、保持部本体210が上昇位置h2に移動したタイミングで巻芯Tをチャックするチャック位置に移動させるチャック動作を開始する。
【0105】
また、チャック制御部318は、チャッキング部131が巻き終わった後のロールRをチャックした状態でチャック動作の制御を行う。この場合、チャック制御部318は、無人搬送車20のロール保持部22の保持部本体220が上昇位置H2に移動したか否かを確認する。チャック制御部318は、保持部本体220が上昇位置H2に移動したタイミングでロールRのチャックを解除するチャック解除位置に移動させるチャック動作を開始する。
【0106】
なお、無人搬送車20の巻芯保持部21の保持部本体210が上昇位置h2に移動したか否か、又は、ロール保持部22の保持部本体220が上昇位置H2に移動したか否か、についての検知方法は、公知の技術を用いることができる。例えば、一対の支持部130それぞれに設けた光電センサを用いてもよい。この場合、当該光電センサ間の光を遮ることで巻芯保持部21の保持部本体210が上昇位置h2に移動した、又は、ロール保持部22の保持部本体220が上昇位置H2に移動した、と判定してもよい。
【0107】
巻取制御部319は、巻取部13の各種の制御を実行する。例えば、巻取制御部319は、巻取部13によるキャリアフィルムC上に成型されたグリーンシートフィルムGをロール状に巻き取る巻取動作の制御を実行する。なお、巻取制御部319による巻取動作は、巻出制御部315による巻出動作の制御及び塗工制御部316による塗工動作や乾燥動作の制御と連動して行われる。
【0108】
<ロール製造工程>
次に、本発明に係る製造システムSが実行するロール製造工程について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態に係るロール製造工程の流れを説明するためのフローチャートである。ロール製造工程は、ロール巻出工程(ステップS10)と、ロール塗工工程(ステップS11)と、ロール巻取工程(ステップS12)と、を含む。
【0109】
ロール巻出工程(ステップS10)は、ロール状に巻かれたキャリアフィルムCを巻き出して、キャリアフィルムCを塗工部に供給する工程である。
【0110】
ロール塗工工程(ステップS11)は、キャリアフィルムC上にセラミック材料を含むスラリーを塗布し、キャリアフィルムC上にセラミックグリーンシートを成型する工程である。また、ロール塗工工程(ステップS11)では、キャリアフィルムC上に成形されたセラミックグリーンシートを乾燥させてもよい。
【0111】
ロール巻取工程(ステップS12)は、グリーンシートフィルムGをロール状に巻き取り、回収する工程である。
【0112】
<ロール巻取工程>
次に、巻取部13にセットされた巻芯TにグリーンシートフィルムGが巻き取られてロールRが形成されるまでの動作フローであるロール巻取工程について、図12を用いて説明する。図12は、図11のロール製造工程に含まれるロール巻取工程の流れを説明するためのフローチャートである。本発明に係る製造システムSが実行するロール巻取工程(ステップS12)は、巻芯セット工程(ステップS20)と、フィルム貼付工程(ステップS21)と、塗工済シート巻取工程(ステップS22)と、シートカット工程(ステップS23)と、ロール取外工程(ステップS24)と、を含む。
【0113】
なお、本実施形態では、ロール巻取工程(ステップS12)を連続して行う場合、先のロール巻取工程(ステップS12)のロール取り外し工程(ステップS24)と後のロール巻取工程(ステップS12)の巻芯セット工程(ステップS20)とを連続して行う。詳細は、後述する。
【0114】
巻芯セット工程(ステップS20)は、巻芯Tを巻取軸131aにセットする工程である。詳細は、後述する。
【0115】
フィルム貼付工程(ステップS21)は、巻取軸131aにセットした巻芯TにキャリアフィルムCのフィルム端面を貼り付ける工程である。フィルム貼付は、手動により行われてもよいし、フィルムを貼付する装置等を設けてフィルム貼付させてもよい。
【0116】
塗工済シート巻取工程(ステップS22)は、巻取軸131aにセットされた巻芯Tで塗工済シートを巻き取る工程である。例えば、巻取制御部319は、巻取駆動部131dに巻取軸131aを回転させ、巻取軸131aにセットされた巻芯Tで塗工済シートを巻き取らせる。
【0117】
シートカット工程(ステップS23)は、キャリアフィルムCのシートをカットしてロールを完成させる工程である。キャリアフィルムCの一端部がロールRcの巻芯に接着していることから、キャリアフィルムCのシートを一定量巻き取ってロールRを形成した後は、キャリアフィルムCを介してロールRcとロールRとが接続された状態となっている。このため、ロールRcの巻芯からキャリアフィルムCのシートを切り離すためにシートカットが行われる。シートカットは、手動により行われてもよいし、シートをカットする装置等を設けてカットさせてもよい。
【0118】
ロール取外工程(ステップS24)は、巻取軸131aからロールRを取り外す工程である。詳細は、後述する。
【0119】
なお、ロールRの取り外し完了後は、制御装置30は、シャッタ10bを開放させ、無人搬送車20は、ロールRを所定のルートを走行して倉庫等に運搬していく。その後、制御装置30は、シャッタ10bを閉じるように制御する。また、巻取部13は、オートリールチェンジ機能のある巻取部13の場合であってもよい。
【0120】
次に、ロール巻取工程(ステップS12)を連続して行う場合において連続して実行される、先のロール巻取工程(ステップS12)のロール取り外し工程(ステップS24)、及び、後のロール巻取工程(ステップS12)の巻芯セット工程(ステップS20)について、図13~17を用いてより詳細に説明する。
【0121】
図13は、図12のロール巻取工程を連続して行う場合のロール取り外し工程及び巻芯セット工程の流れを説明するためのフローチャートである。図14は、図13の巻芯セット工程に含まれるロール回収動作のうちの前半部分を説明するための模式図である。図15は、図13の巻芯セット工程に含まれるロール回収動作のうちの後半部分を説明するための模式図である。図16は、図13の巻芯セット工程に含まれる巻芯セット動作のうちの前半部分を説明するための模式図である。図17は、図13の巻芯セット工程に含まれる巻芯セット動作のうちの後半部分を説明するための模式図である。
【0122】
連続して行われる場合のロール取り外し工程(ステップS24)及び巻芯セット工程(ステップS20)は、巻芯運搬工程(ステップS30)と、ロール回収工程(ステップS31)と、巻芯セット工程(ステップS32)と、ロール運搬工程(ステップS33)と、を含む。
【0123】
巻芯運搬工程(ステップS30)は、無人搬送車20が巻芯Tを運搬しつつ巻取部13まで移動する工程である。例えば、無人搬送車20は、制御装置30から発信される呼び出し指令を受信すると、走行制御部288は、走行部25bに所定のルートを経由してセラミックグリーンシート成型装置10のシャッタ10bの前まで移動するように制御する。
【0124】
まず、シャッタ制御部314は、例えばセラミックグリーンシート成型装置10のシャッタ10bを開放する。具体的には、制御装置30は、例えば不図示の近接センサにより無人搬送車20の近接を判定し、無人搬送車20が近接したと判定すると、シャッタ10bを開位置に移動させる。例えば、制御装置30は、不図示の近接センサに近接物を検知した時、無人搬送車20を呼び出し中の場合は、シャッタ10bを開位置に移動させ、無人搬送車を呼び出し中ではない場合は、シャッタ10bは閉位置のままとするといった制御をしてもよい。
【0125】
シャッタ10bが開くと、無人搬送車20は内部に移動する。無人搬送車20の全体が筐体10a内部に移動したときに、制御装置は、シャッタ10bを閉位置に移動させてもよい。
【0126】
ロール回収工程(ステップS31)は、巻取シートとしてのグリーンシートフィルムGを巻き取ったロールRを回収する工程である。セラミックグリーンシート成型装置10の内部に移動した無人搬送車20は、図14に示すようにロール回収位置に移動する。例えば、走行制御部288は、走行部25bにロール回収位置まで走行させる。
【0127】
次に、ロール回収位置に移動した無人搬送車20は、ロール保持部を下降位置H1から上昇位置H2に上昇させる。具体的には、ロール保持部昇降制御部291は、図15に示すようにロール昇降部221にロール保持部22の保持部本体220を上昇させて下降位置H1から上昇位置H2に移動させる。
【0128】
次に、ロール保持部22の保持部本体220が上昇位置H2に到達すると、制御装置30は、巻取部13のチャッキング部131にロールRのチャックを解除させる。具体的には、不図示のセンサ等により保持部本体220が上昇位置H2に到達したことを検知すると、チャック制御部318は、チャック駆動部131cに一対の巻取軸131aの間隔が広くなるように滑動させて巻芯Tのチャックを解除させロール取り外しが完了する。
【0129】
次に、無人搬送車20は、ロール保持部を上昇位置H2から下降位置H1に下降させる。具体的には、ロール保持部昇降制御部291は、ロール昇降部221にロール保持部22の保持部本体220を下降させて上昇位置H2から下降位置H1に移動させる。
【0130】
引き続き、巻芯セット工程(ステップS32)が開始される。巻芯セット工程(ステップS32)は、無人搬送車20が巻芯をセットする工程である。まず、無人搬送車20は、巻芯セット位置に移動する。例えば、走行制御部288は、無人搬送車20に巻芯Tを搬送させて図16に示すように走行部25bに巻芯セット準備位置まで走行させる。
【0131】
次に、巻芯セット位置に移動した無人搬送車20は、巻芯保持部21の保持部本体210を下降位置h1から上昇位置h2に上昇させる。具体的には、巻芯保持部昇降制御部290は、図17に示すように昇降部211に巻芯保持部21の保持部本体210を上昇させて下降位置h1から上昇位置h2に移動させる。
【0132】
次に、制御装置30は、保持部本体210が上昇位置h2に到達したタイミングで、巻取部13に巻芯Tのチャック動作を行わせる。具体的には、不図示のセンサ等により保持部本体210が上昇位置h2に到達したことを検知すると、チャック制御部318は、チャック駆動部131cが一対の巻取軸131aにチャック解除位置からチャック位置に滑動させるように制御する。一対の巻取軸131aの間隔が狭くなるように滑動し巻芯Tをチャックさせ巻芯セットが完了する。
【0133】
次に、巻芯保持部昇降制御部290は、巻芯保持部21の保持部本体210を上昇位置h2から下降位置h1に下降させる。具体的には、巻芯保持部昇降制御部290は、図17に示すように昇降部211に巻芯保持部21の保持部本体210を下降させて上昇位置h2から下降位置h1に移動させる。
【0134】
ロール運搬工程(ステップS33)は、無人搬送車20がロールを運搬しつつ不図示の倉庫や次の工程等に移動する工程である。制御装置30は、シャッタ10bを開位置に移動させる。次に、無人搬送車20は、所定のルートを走行して不図示の倉庫や次の工程等に移動し、所定の運搬動作を行う。なお、制御装置は、無人搬送車20の全体が筐体から出たときに、シャッタ10bを閉位置に移動させる。
【0135】
以上のように構成される巻芯保持装置としての無人搬送車20は、以下のような効果を得ることができる。表面に粘着剤を有する巻芯を巻芯保持部に保持させた場合に生じるトラブルを防止するために、巻芯表面の粘着剤に保護フィルムを貼り付け、この保護フィルムが貼り付けられた巻芯を巻芯保持部に保持させた場合は、巻芯をシート巻取装置のチャッキング部に取り付けた後に、保護フィルムを剥がす作業が必要となる。しかしながら、本開示によれば、このような作業が不要となる。
【0136】
また、表面に粘着剤を有する巻芯を巻芯保持部に保持させた場合に生じるトラブルを防止するために、表面に粘着剤を有しない巻芯を巻芯保持部に保持させた場合は、巻芯をシート巻取装置のチャッキング部に取り付けた後に、巻芯に両面テープを貼る作業が必要となる。しかしながら、本開示によれば、このような作業が不要となる。
【0137】
このように、本開示によれば、巻芯をシート巻取装置のチャッキング部に取り付けた後の追加の作業が不要となるため、作業忘れによるトラブルの発生を防止することができる。また、表面の全面に粘着剤が設けられた巻芯であっても、巻芯保持部に適切に保持させることができる。
【0138】
さらに、本開示によれば、シート巻取装置のチャッキング部と巻芯との間で巻芯軸方向のズレがあっても、巻芯が巻芯軸方向に移動可能となっており、かつ、巻芯の表面の粘着剤と転動部の間の接着力が低いため、チャッキング部による巻芯のチャッキング動作をスムーズに行うことができる。例えば、チャッキング動作時に巻芯から粘着剤が剥がれることを抑制することができる。
【0139】
本実施形態に係る巻芯保持装置としての無人搬送車20は、表面に粘着剤を有する巻芯Tを保持する巻芯保持部21を備え、巻芯保持部21は、保持部本体210と、保持部本体210を昇降させる昇降部211と、保持部本体210に対して転動可能に保持され、巻芯Tを、巻芯軸方向に移動可能に載置するローラ212(転動部212)と、を有し、ローラ212の表面212aは、保持部本体210の表面210aよりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている。
【0140】
これにより、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを抑制することができる。
【0141】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、保持部本体210は、巻芯Tがローラ212に載置されたときに巻芯Tに対向する2つの表面210a(面210a)を有する。
【0142】
これにより、巻芯Tが巻芯保持部21に適切に保持される。
【0143】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、2つの表面210aは、上方に向かうに従って互いに離れるように傾斜する。
【0144】
これにより、巻芯Tが巻芯保持部21に適切に保持される。
【0145】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、巻芯保持部21は、ローラ212を少なくとも4つ以上有する。
【0146】
これにより、安定して巻芯Tを保持しつつ、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを抑制することができる。
【0147】
本実施形態に係る無人搬送車20は、巻芯保持部21は、2つの表面210aにそれぞれ2つ以上のローラ212を有する。
【0148】
これにより、より安定して巻芯Tを保持しつつ、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを抑制することができる。
【0149】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、転動部は、ローラ212である。
【0150】
これにより、安定して巻芯Tを巻き芯軸方向へ移動可能に保持しつつ、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを抑制することができる。
【0151】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、昇降部211は、保持部本体210を上昇位置h2と下降位置h1との間を昇降させて移動可能であり、無人搬送車20はさらに、保持部本体210が下降位置h1に設定されている場合はローラ212に載置された巻芯Tの巻芯軸方向への移動の規制をし、保持部本体210が上昇位置h2に設定されている場合はローラ212に載置された巻芯Tの端部を露出させるストッパ213を備える。
【0152】
これにより、保持部本体210が上昇位置h2に設定されているときに巻芯Tのチャッキングを可能にしつつ、保持部本体210が下降位置h1に設定されているときに巻芯Tが巻芯軸方向にずれて巻芯保持部21から脱落することを抑制することができる。
【0153】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、ローラ212の少なくとも巻芯Tが載置される表面212aは、フッ素樹脂を含む材料により形成されている。
【0154】
これにより、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを適切に抑制することができる。
【0155】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、ローラ212は、フッ素樹脂により形成されている。
【0156】
これにより、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを適切に抑制することができる。
【0157】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、ローラ212の巻芯Tが載置される表面212aに、フッ素樹脂含有無電化ニッケルめっきが形成されている。
【0158】
これにより、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを適切に抑制することができる。
【0159】
本実施形態に係る無人搬送車20においては、ローラ212の巻芯Tが載置される表面212aに、フッ素樹脂コーティングが形成されている。
【0160】
これにより、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを適切に抑制することができる。
【0161】
本実施形態に係る無人搬送車20は、表面に粘着剤を有する巻芯Tを保持する巻芯保持部21を備え、巻芯保持部21は、保持部本体210と、保持部本体210を昇降させる昇降部211と、保持部本体210に対して転動可能に保持され、巻芯Tを、巻芯軸方向に移動可能に載置するローラ212と、を有し、ローラ212の表面212aは、保持部本体210の表面210aよりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている。
【0162】
これにより、巻芯Tを巻取部13に供給する際などに、巻芯Tから粘着剤が剥がれることを抑制することができる。
【0163】
なお、巻芯保持装置としての無人搬送車20を含む製造システムSの通常動作の制御について、上述の実施形態に限定されず、無人搬送車制御装置27と制御装置30に分散して設けられていてもよいし、その一部又は全部がネットワーク上のサーバ等に設けられていてもよい。制御部が分散して設けられている場合でも、無人搬送車20の機能と機能的に協働している場合、実質的に無人搬送車20の制御部280として考えることができる。
【0164】
なお、上記実施形態においては、巻芯保持装置として無人搬送車を例示しているが、巻芯保持装置は無人搬送車に限らない。巻芯Tを保持する巻芯保持部を備えた各種の装置に適用可能である。
【0165】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、上記実施形態において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0166】
<1>
巻芯保持装置であって、
表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、
前記巻芯保持部は、保持部本体と、前記保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、前記巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を有し、
前記転動部の表面は、前記保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている、巻芯保持装置。
<2>
前記保持部本体は、前記巻芯が前記転動部に載置されたときに前記巻芯に対向する2つの面を有する、<1>に記載の巻芯保持装置。
<3>
前記2つの面は、上方に向かうに従って互いに離れるように傾斜する、<2>に記載の巻芯保持装置。
<4>
前記巻芯保持部は、前記転動部を少なくとも4つ以上有する、<1>から<3>のいずれか1つに記載の巻芯保持装置。
<5>
前記巻芯保持部は、前記2つの面にそれぞれ2つ以上の前記転動部を有する、<2>に記載の巻芯保持装置。
<6>
前記転動部は、ローラである、<1>から<5>のいずれか1つに記載の巻芯保持装置。
<7>
前記昇降部は、前記保持部本体を上昇位置と下降位置との間を昇降させて移動可能であり、
巻芯保持装置はさらに、前記保持部本体が前記下降位置に設定されている場合は前記転動部に載置された前記巻芯の巻芯軸方向への移動の規制をし、前記保持部本体が前記上昇位置に設定されている場合は前記転動部に載置された前記巻芯の端部を露出させる移動規制部を備える、<1>から<6>のいずれか1つに記載の巻芯保持装置。
<8>
前記転動部の少なくとも前記巻芯が載置される表面は、フッ素樹脂を含む材料により形成されている、<1>から<7>のいずれか1つに記載の巻芯保持装置。
<9>
前記転動部は、フッ素樹脂により形成されている、<8>に記載の巻芯保持装置。
<10>
前記転動部の前記巻芯が載置される前記表面に、フッ素樹脂含有無電化ニッケルめっきが形成されている、<8>に記載の巻芯保持装置。
<11>
前記転動部の前記巻芯が載置される前記表面に、フッ素樹脂コーティングが形成されている、<8>に記載の巻芯保持装置。
<12>
無人搬送車であって、
表面に粘着剤を有する巻芯を保持する巻芯保持部を備え、
前記巻芯保持部は、保持部本体と、前記保持部本体を昇降させる昇降部と、前記保持部本体に対して転動可能に保持され、前記巻芯を、巻芯軸方向に移動可能に載置する転動部と、を有し、
前記転動部の表面は、前記保持部本体の表面よりも離型性が高い高離型系性表面により形成されている、無人搬送車。
【符号の説明】
【0167】
20 無人搬送車(巻芯保持装置)
21 巻芯保持部
210 保持部本体
210a 表面
211 昇降部
212 ローラ(転動部)
212a 表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17