(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176099
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】金属製フロアパネル
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
E04F15/024 601F
E04F15/024 601H
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094355
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】594095936
【氏名又は名称】藤澤建機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 久文
(72)【発明者】
【氏名】樋口 英治
(72)【発明者】
【氏名】平田 修
(72)【発明者】
【氏名】吉川 高正
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA20
2E220AA26
2E220AB06
2E220AC03
2E220BA01
2E220BA22
2E220BA23
2E220BA24
2E220BB12
2E220BB14
2E220BC02
2E220BC04
2E220CA13
2E220FA02
2E220GA22X
2E220GA25X
2E220GB02X
2E220GB32Z
(57)【要約】
【課題】底板や天板を薄型化しても、かしめ不良の発生を抑えることができる金属製フロアパネルを提供する。
【解決手段】金属製フロアパネル100は、金属板で構成された底板1と、金属板で構成され、底板1の上方に配置された天板2と、を備える。底板1は、天板2に固定される固定部10を有する。固定部10は、天板2に接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板で構成された底板と、
金属板で構成され、前記底板の上方に配置された天板と、を備え、
前記底板は、
前記天板に固定される固定部を有し、
前記固定部は、前記天板に接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
ことを特徴とする金属製フロアパネル。
【請求項2】
前記底板は、前記天板から下方に離れて位置する下板部と、前記下板部の外周縁から上方に突出した外周板部と、前記下板部の一部から上方に窪んだ複数のディンプルと、を有し、
前記固定部は、前記外周板部の頂部と、前記複数のディンプルの頂部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属製フロアパネル。
【請求項3】
前記下板部は、底面視矩形状であり、
前記複数のディンプルは、前記下板部の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプルと、前記下板部の前記一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプルと、を含み、
前記複数の第二ディンプルのそれぞれの頂部の上面の面積は、前記複数の第一ディンプルのそれぞれの頂部の上面の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の金属製フロアパネル。
【請求項4】
前記天板は、下方に突出した複数のビード部を有し、
前記複数のビード部のそれぞれは、前記複数のディンプルのうち互いに隣接する2つのディンプルに接している、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の金属製フロアパネル。
【請求項5】
前記下板部は、底面視矩形状であり、
前記複数のディンプルは、前記下板部の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプルと、前記下板部の前記一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプルと、を含み、
前記下板部は、前記4つの三角部分において、上方に突出し、下方に凹んだ台部を有し、
前記台部は、三角形状の上底部と、前記上底部の外周縁から下方に延びた周壁部と、を有し、
前記複数の第二ディンプルは、前記上底部に設けられ、前記上底部の3つの端辺に沿うように間隔をおいて位置し、
前記天板は、下方に突出した複数のビード部を有し、
前記複数のビード部のそれぞれは、前記上底部の中央部の上方に位置して、前記複数の第二ディンプルのうち隣接する2つの第二ディンプルに接している、
請求項2に記載の金属製フロアパネル。
【請求項6】
前記ビード部の底部と、前記隣接する2つの第二ディンプルの前記頂部とが、前記接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
請求項5に記載の金属製フロアパネル。
【請求項7】
前記複数のビード部のそれぞれは、前記上底部の中央部の上方にのみ位置し、
前記天板の中央部と、その下方に位置する前記第一ディンプルの前記頂部とは、前記接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
請求項5又は6に記載の金属製フロアパネル。
【請求項8】
前記天板の下面に取り付けられる補強リブを更に備え、
前記補強リブは、前記天板に接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の金属製フロアパネル。
【請求項9】
前記底板のうち前記固定部を除いた残りの部分と、前記天板との間に充填された芯材を更に備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の金属製フロアパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属製フロアパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金属製のフロアパネルが開示されている。このフロアパネルは、金属板で構成された底板と天板とを備える。底板と天板とは、一部を穴状に塑性変形させてかしめ固定することによって、一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したフロアパネルでは、底板や天板を薄型化した場合、かしめ部分に裂け目が生じたり、かしめ部分が適切な厚みにつぶされていない等の、かしめ不良が生じるおそれがある。このようにかしめ不良が生じると、底板と天板の固定が不十分となったり、かしめ不良部分を踏んだときに、音鳴りが生じるといった問題が生じる。
【0005】
上記事情に鑑みて、本開示は、底板や天板を薄型化しても、かしめ不良の発生を抑えることができる金属製フロアパネルを提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の金属製フロアパネルは、金属板で構成された底板と、金属板で構成され、前記底板の上方に配置された天板と、を備える。前記底板は、前記天板に固定される固定部を有する。前記固定部は、前記天板に接着剤で固定され、且つかしめ固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る一態様の金属製フロアパネルでは、底板や天板を薄型化しても、かしめ不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係る実施形態1の金属製フロアパネルの平面図である。
【
図2】
図2は、同上の金属製フロアパネルの底面図である。
【
図3】
図3は、同上の金属製フロアパネルが備える底板の斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の金属製フロアパネルの変形例の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図6】
図6Aは、本開示に係る実施形態2の金属製フロアパネルを示す平面図であり、
図6Bは、
図6AのC-C線断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の金属製フロアパネルの変形例1を示す平面図であり、
図7Bは、
図7AのD-D線断面図である。
【
図8】
図8Aは、同上の金属製フロアパネルの変形例2を示す平面図であり、
図8Bは、
図8AのE-E線断面図である。
【
図9】
図9は、同上の金属製フロアパネルの変形例3を示す平面図である。
【
図11】
図11は、本開示に係る実施形態3の金属製フロアパネルの平面図である。
【
図12】
図12は、同上の金属製フロアパネルの底面図である。
【
図13】
図13Aは、同上の金属製フロアパネルが備える補強リブを示す斜視図であり、
図13Bは、同上の補強リブの変形例を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本開示に係る実施形態4の金属製フロアパネルの平面図である。
【
図16】
図16は、同上の金属製フロアパネルの底面図である。
【
図18】
図18Aは、同上の金属製フロアパネルが備える底板の底板本体を示す斜視図であり、
図18Bは、同上の底板の縁材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
1.概要
図1から
図4A,Bに示す実施形態1の金属製フロアパネル100(以下「パネル100」と記載する)は、金属板で構成された底板1と、金属板で構成され、底板1の上方に配置された天板2と、を備える。底板1は、天板2に固定される固定部10を有する。固定部10は、天板2に接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【0010】
上記構成を備える実施形態1のパネル100では、底板1の固定部10が天板2に接着剤3とかしめ固定で固定されるため、かしめ部分に接着剤3が入り込んで、かしめ不良の発生を抑えることができる。加えて、実施形態1のパネル100では、接着剤3とかしめ固定によって底板1と天板2を固定できるため、かしめ固定のみで固定する場合に比べて、底板1と天板2の固定に必要なかしめ固定の数を抑えることができる。そのため、実施形態1のパネル100では、かしめ不良の発生を抑えることができるうえ、製造しやすい。
【0011】
2.詳細
続いて、実施形態1のパネル100について更に詳しく説明する。本実施形態のパネル100は、建物の床下地の上に複数の支持脚(図示せず)を介して設置されて二重床を形成する。このように設置されたパネル100と床下地との間には、配線又は機器を配置するための床下空間が形成される。
【0012】
パネル100は、
図1及び
図2に示すように、平面視(上方から見て)及び底面視(下方から見て)において矩形状に形成されており、詳しくは正方形状に形成されている。パネル100は、底板1と、底板1の上方に配置された天板2と、を備える。
【0013】
2-1.底板
図2、
図3及び
図4Aに示す底板1は、パネル100の下面を構成する。底板1は、金属板で構成されており、例えば、金属板をプレス成形することにより形成される。金属板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板が用いられる。金属板の板厚は、例えば、0.8mmであり、0.6mm以上0.9mm以下であることが好ましい。なお、金属板の厚みは、パネル100に必要な強度、金属板の材質等に合わせて、適宜変更可能である。
【0014】
底板1は、上方に開口した浅底の矩形箱状に形成されている。底板1は、天板2に固定される固定部10を有する。底板1は、天板2から下方に離れて位置する下板部11と、下板部11の外周縁から上方に突出した外周板部12と、下板部11の一部から上方に窪んだ複数のディンプル13と、を備えている。固定部10は、外周板部12の頂部120と、複数のディンプル13の頂部130と、を含む。
【0015】
下板部11は、平面視又は底面視において矩形状であり、詳しくは、正方形状である。下板部11には、上方に突出し、下方に凹んだ複数の台部14が設けられている。具体的に、下板部11には、平面視又は底面視において三角形状の台部14が4つ設けられている。4つの台部14のそれぞれは、矩形状の下板部11の四辺と一対の対角線とで囲まれた部分を、上方に突出するように屈曲させることで形成されている。各台部14は、平面視又は底面視において、三角形の一つの頂点が下板部11の中心に最も近くなるように配置され、且つ、前記頂点に対向する辺が下板部11の四辺のうちの一辺に沿うように配置されている。
【0016】
各台部14は、平面視又は底面視において三角形状の上底部140と、上底部140の外周縁から下方に延びた周壁部141と、を有する。上底部140は、平板状である。上底部140は、天板2から下方に離れて位置する。
【0017】
下板部11は、下板部11の四辺に沿った4つの帯状部110と、下板部11の一対の対角線が交差する部分に位置する中央部111と、下板部11の一対の対角線の両端部に位置する4つの角部112と、中央部111と4つの角部112の間に位置する4つの中間部113と、を更に備える。
【0018】
4つの帯状部110、中央部111、及び4つの角部112のそれぞれの下面は、上下位置が互いに同じであり、下板部11の最下面を構成している。4つの中間部113は、中央部111及び4つの角部112よりも若干上方に位置しており、中央部111及び4つの角部112に対して滑らかに連続している。
【0019】
下板部11には、上方に窪んだ複数のディンプル13が形成されている。複数のディンプル13のそれぞれは、上方に突出し、下方に開口した半球面状である。複数のディンプル13のそれぞれは、円板状の頂部130と、半球面状の周壁部131と、を有する。複数のディンプル13のそれぞれは、下板部11の一部を上方に突出するように屈曲させることで形成される。複数のディンプル13のそれぞれは、下板部11の一部に絞り成形加工を行うことで形成される。
【0020】
複数のディンプル13は、下板部11の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプル13aと、下板部11の一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプル13bと、を含む。
【0021】
第一ディンプル13aは、下板部11の中央部111、4つの角部112、及び4つの中間部113のそれぞれに設けられている。一部の第一ディンプル13aは、角部112から中間部113にわたるように設けられている。第二ディンプル13bは、4つの台部14のそれぞれの上底部140に設けられている。各台部14の上底部140には、6つの第二ディンプル13bが形成されている。なお、下板部11の4つの帯状部110は、ディンプル13が形成されておらず、平板状である。
【0022】
第一ディンプル13aと第二ディンプル13bのそれぞれは、天板2に固定される円板状の頂部130a,130bと、半球面状の周壁部131a,131bと、を有する。複数の第二ディンプル13bのそれぞれの頂部130bの上面の面積は、複数の第一ディンプル13aのそれぞれの頂部130aの上面の面積よりも大きい。頂部130aの上面の直径は、例えば18mmであり、頂部130bの上面の直径は、例えば20mmである。なお、頂部130a,130bの上面の直径は、上記数値に限定されず、適宜設定可能である。
【0023】
第一ディンプル13aは、第二ディンプル13bよりも上下方向に長い。第一ディンプル13aの周壁部131aの頂部130aに対する傾きは、第二ディンプル13bの周壁部131bの頂部130bに対する傾きよりも大きい。
【0024】
下板部11の外周縁には、上方に突出した外周板部12が形成されている。
図4Bに示すように、外周板部12は、下板部11の外周縁から上方に突出した外周片部121と、外周片部121の上縁から水平面に沿って底板1の外側に突出したフランジ片部122と、フランジ片部122の外周縁から下方に突出した突片部123とを有している。外周片部121、フランジ片部122、及び突片部123のそれぞれは、平板状である。フランジ片部122が、外周板部12の頂部120(つまり固定部10)を構成している。
【0025】
底板1の固定部10の上面の合計面積、つまり、複数のディンプル13a,13bの頂部130a,130bの上面の面積と、外周板部12の頂部120(フランジ片部122)の上面の面積とを足し合わせた合計面積は、天板2の下面(詳しくは後述する上板部20の下面)の面積に対して、例えば12%程度である。なお、この割合は、10%以上30%未満であることが好ましい。
【0026】
2-2.天板
図1及び
図4Aに示す天板2は、パネル100の上面を構成する。天板2は、金属板で構成されており、例えば、金属板をプレス成形することにより形成される。金属板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板が用いられる。金属板の板厚は、例えば、0.8mmであり、0.6mm以上0.9mm以下であることが好ましい。なお、金属板の厚みは、パネルに必要な強度、金属板の材質等に合わせて、適宜変更可能である。
【0027】
天板2は、下方に開口した浅底の矩形箱状に形成されており、上板部20と、上板部20の外周縁から下方に向かって突出した外周板部21とを備えている。
【0028】
上板部20は、天板2の上面を構成している。上板部20は、平面視矩形状であり、詳しくは平面視正方形状である。上板部20は、平板状である。
【0029】
外周板部21は、平面視矩形状の上板部20の四辺のそれぞれから突出した4つのパーツで構成されている。4つのパーツは、互いに間隔をおいて位置しており、連続していない。
【0030】
外周板部21の4つのパーツのそれぞれは、
図4Bに示すように、上板部20の外周縁から下方に突出した垂下片部210と、垂下片部210の下端部から垂下片部210の内面に沿って上方に突出した折り返し片部211とを備えている。垂下片部210及び折り返し片部211のそれぞれは、平板状である。垂下片部210は、天板2の外周面を構成している。
【0031】
2-3.接着剤
接着剤3は、底板1の固定部10(つまり外周板部12の頂部120と複数のディンプル13a,13bの頂部130a,130b)と天板2とを接着する。接着剤3は、例えば、湿気硬化型接着剤である。接着剤3の塗布は、例えば、弾力を有するロールコーターに底板1を通すことで、行われる。接着剤3は、底板1のうち、固定部10(頂部120,130a,130b)にのみ塗布される。
【0032】
2-4.パネルの構造
パネル100では、天板2と底板1とは、接着剤3とかしめ固定によって固定されている。
【0033】
図4A及び
図4Bに示すように、パネル100では、天板2の上板部20は、底板1の下板部11の上方に位置する。天板2の外周板部21の垂下片部210は、底板1の外周板部12の突片部123の外面に沿うように位置する。外周板部21の折り返し片部211は、突片部123の下方に位置する。上板部20の下面に、複数のディンプル13a,13bのそれぞれの頂部130a,130bの上面と、フランジ片部122(外周板部12の頂部120)の上面とが、接着剤3によって接着されている。そして、底板1の複数のディンプル13a,13bの頂部130a,130bとフランジ片部122のそれぞれは、上板部20にかしめ固定されている。これにより、天板2と底板1とは、接着剤3とかしめ固定によって固定されている。
【0034】
本実施形態では、下板部11の各ディンプル13a,13bの頂部130a,130bの中央部と、フランジ片部122の周方向における複数箇所が、これらの上に重ねられた上板部20の一部と共に、下方に凹んだ穴状に塑性変形されて、かしめ固定されている。
【0035】
底板1及び天板2には、穴状に塑性変形した複数のかしめ部15,22が形成されている。すなわち、底板1の各ディンプル13a,13bの頂部130a,130bの中央部と、フランジ片部122の周方向の複数箇所の各々と、天板2の上記各箇所の上方の部分には、かしめ部15,22が形成されている。各かしめ部15,22は、平面視円形状であり、天板2の各かしめ部22は、底板1の対応するかしめ部15に全体が密着し、かつかしめ部15,22間に接着剤3が入り込んだ状態で嵌まり込んでいる。かしめ部15,22は、底板1の複数のディンプル13a,13bの頂部130a,130bと天板2とを接着剤3を介して重ねた状態で、この重なった部分にプレス加工を行うことで、底板1及び天板2に形成される。
【0036】
本実施形態のパネル100では、底板1は、各ディンプル13a,13bの頂部130a,130b及びフランジ片部122の複数箇所のそれぞれにおいて、天板2にかしめ固定され、かつ接着剤3で固定されるため、天板2に対して強固に接合される。
【0037】
なお、底板1、天板2、底板1と天板2との間のいずれかには、接着剤3を硬化させるための空気が流入可能な空気孔を設けることが好ましい。
【0038】
2-5.パネルの製造方法
上述したパネル100は、例えば、以下に示す、接着剤塗布工程、天板配置工程、及びかしめ工程を順に経て製造される。
【0039】
接着剤塗布工程では、底板1が、ロールコーターに通されて、底板1の固定部10(つまり、複数のディンプル13a,13bの頂部130a,130bの上面、及びフランジ片部122(頂部120)の上面)に、接着剤3が塗布される。接着剤3は、各頂部130a,130b,120の上面の全体に、塗布される。
【0040】
次いで、天板配置工程では、底板1の上に天板2が被せられる。これにより、天板2の上板部20が、各ディンプル13a,13bの頂部130a,130b及びフランジ片部122の上に載置され、且つ、天板2の外周板部21が底板1の外周板部12の外側に配置される。このとき、天板2の上板部20の下面は、各ディンプル13a,13bの頂部130a,130bの上面と、フランジ片部122の上面に、接着剤3を介して、接着される。
【0041】
次いで、かしめ工程では、底板1の各ディンプル13a,13bの頂部130a,130bの中央部と、フランジ片部122の複数個所が、天板2の上板部20にかしめ固定され、これにより、天板2が底板1に対して固定される。ここで、かしめ固定は、重ねた天板2と底板1の一部を、パンチとダイで挟み込んで、天板2と底板1の一部を下方に凹んだ穴状に塑性変形させる、いわゆるスポットカシメ加工によって行われる。
【0042】
2-6.作用効果
以上説明した本実施形態のパネル100では、底板1の下板部11の各ディンプル13a,13bの頂部130a,130bのかしめ部15と、フランジ片部122の複数箇所のかしめ部15が、天板2の上板部20のかしめ部22に対して、接着剤3を間に挟んだ状態で、かしめ固定される。
【0043】
これにより、本実施形態のパネル100では、プレス加工時にかしめ部15,22間に微小な隙間が生じても、この隙間を接着剤3で埋めることができる。また、本実施形態のパネル100では、かしめ部15,22に裂け目が生じても、接着剤3で塞ぐことができる。また、かしめ部15,22の密着が不十分であっても、接着剤3の接着力によってかしめ部15,22同士を密着させることができる。
【0044】
したがって、本実施形態のパネル100では、かしめ不良の発生を抑制することができる。また、本実施形態のパネル100では、かしめ固定と接着剤3による固定によって、底板1と天板2を固定するため、かしめ固定のみで固定する場合に比べて、かしめ固定の数を減らすことができて、この点でも、かしめ不良の発生を抑制することができる。そのため、本実施形態のパネル100では、かしめ不良部分を上から踏んだときに生じる音鳴りを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態のパネル100では、底板1と天板2を薄型化しても、かしめ不良が発生しにくいため、パネル100の軽量化が図れ、また、パネル100の材料コストを抑えることができる。
【0046】
また、本実施形態のパネル100では、底板1と天板2とは、部分的(10~30%)に接着するため、全体的に接着する場合に比べて、接着剤3の塗布量を抑えることができる。そのため、本実施形態のパネル100では、接着剤3の硬化時間を抑えることができて、パネル100の製造時間の短縮化を図れる。
【0047】
また、本実施形態のパネル100では、底板1と天板2とが、接着剤3による固定とかしめ固定によって固定されるため、かしめ固定のみで固定される場合に比べて、底板1と天板2とを強固に接合しやすい。そのため、本実施形態のパネル100では、静荷重や、ローリングロード時の局所的荷重に対する天板2の変形を抑制しやすい。
【0048】
3.変形例
続いて、上述した実施形態1のパネル100の変形例について説明する。以下に示す各変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0049】
パネル100は、
図5に示す変形例のように、底板1のうち固定部10を除いた残りの部分と、天板2との間に充填された芯材5を更に備えてもよい。芯材5は、例えば、モルタルである。この場合、変形例のパネル100では、モルタルの充填の際に、かしめ部15,22に裂け目があっても、この裂け目からモルタルが漏れ出すことを接着剤3によって抑制できる。
【0050】
かしめ部15,22は、底板1及び天板2の一部で構成されなくてもよく、底板1及び天板2とは別部材であってもよい。つまり、天板2と底板1のかしめ固定は、別部材のかしめ部材を用いて行ってもよい。
【0051】
また、底板1は、
図3等に示す形状に限定されない。つまり、下板部11の形状や、複数のディンプル13の配置及び形状は、
図3等に示す形状及び配置に限定されない。底板1は、天板2に接着剤3及びかしめ固定で固定される固定部10を有すればよく、固定部10は、上述した複数のディンプル13a,13bの頂部130a、130bとフランジ片部122(頂部120)に限定されない。
【0052】
また、下板部11は、底面視矩形状に限らず、底面視円形状、底面視多角形状等のその他の形状であってもよい。また、下板部11は、全体が平板状に設けられてもよく、複数のディンプル13は、互いに同じ形状及び寸法に設けられてもよい。複数のディンプル13の頂部130の上面の面積は、互いに同じであってもよい。
【0053】
(実施形態2)
続いて、
図6A及び
図6Bに示す実施形態2のパネル100について説明する。以下では、実施形態2のパネル100について、実施形態1と同じ構成については図中に同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1とは異なる構成については詳しく説明する。
【0054】
1.詳細
実施形態2のパネル100では、天板2は、下方に突出した複数のビード部23を有する。複数のビード部23のそれぞれは、複数のディンプル13のうち互いに隣接する2つのディンプル13に接している。各ビード部23は、天板2の上板部20の一部にビード加工を行うことで形成される。
【0055】
本実施形態では、天板2の上板部20に4つのビード部23が形成されている。各ビード部23は、一方向に延びた溝状である。各ビード部23は、上板部20の一部を、下方に突出し、かつ上方に開口するように、湾曲させることによって、形成されている。
【0056】
4つのビード部23は、上板部20のうち、4つの台部14の上底部140の中央部の上方の部分に、形成されている。各ビード部23は、各台部14の上底部140の中央部を挟むように位置する2つの第二ディンプル13bに接している。各ビード部23は、平面視矩形状の上板部20の四辺のうちの隣接する一辺に対して平行に延びている。
【0057】
各ビード部23は、2つの第二ディンプル13bの半球面状の周壁部131bの外面に接しており、2つの第二ディンプル13bの頂部130bの上面には接していない。天板2の上板部20には、上方に向けて突出する複数の位置決め用の凸部24が設けられている。凸部24は、複数のパネル100を上下に積み重ねて搬送する際に、上下に並ぶパネル100間での位置ズレを抑制するための構造である。
【0058】
以上説明した実施形態2のパネル100では、底板1の互いに隣接する2つの第二ディンプル13bに接するビード部23が天板2の上板部20に設けられているため、上板部20に下向きに荷重がかかった際に、上板部20にたわみが生じにくい。
【0059】
また、実施形態2のパネル100では、天板2の上板部20のうち、下向きの荷重に対して変位しやすい箇所(台部14の中央部の上方部分)にのみ、ビード部23を設けている。そのため、実施形態2のパネル100では、ビード部23の個数を抑えたうえで、上板部20の曲げ剛性を向上させることができる。
【0060】
2.変形例
続いて、上述した実施形態2のパネル100の変形例について説明する。以下に示す各変形例は、適宜組み合わせ可能である。なお、実施形態2のパネル100は、上述した実施形態1のパネル100の変形例も、適宜組み合わせ可能である。
【0061】
複数のビード部23の数及び位置は、
図6Aに示す数及び位置に限定されない。
【0062】
例えば、
図7A及び
図7Bに示す変形例1のように、ビード部23は、隣接する2つの第二ディンプル13bの頂部130bにわたるように延びてもよい。変形例1では、ビード部23の底部と第二ディンプル13bの頂部130bとが、かしめ固定されている。つまり、かしめ部22は、ビード部23の底部に形成されている。
【0063】
変形例1では、複数のビード部23のそれぞれは、4つの上底部140の中央部の上方にのみ位置する。天板2の中央部と、その下方に位置する第一ディンプル13aの頂部130aとは、ビード部23を介さずに、接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【0064】
ここで、変形例1のパネル100では、天板2のうち、4つの上底部140の中央部の上方の部分は、荷重性能の最弱部(つまり下向きの荷重を受けた際に、最も変形しやすい部分)である。天板2のうち、4つの上底部140の中央部の上方の部分は、周壁部141からの水平方向の距離が大きく、かつ隣接する2つの第二ディンプル13b間の距離が大きい部分であるため、パネル100における荷重性能の最弱部となっている。
【0065】
変形例1のパネル100では、4つの最弱部のそれぞれにビード部23を設けて、ビード部23を隣接する2つの第二ディンプル13bの頂部130bに直接、接着及びかしめ固定しているため、各最弱部における下向きの荷重に対する変形量を効果的に抑えることができる。
【0066】
また、変形例1のパネル100では、天板2の中央部が、ローリングロード性能の最弱部(つまりローリングロード試験をしたときに最も深いわだちが形成されやすい部分)である。変形例1のパネル100では、天板2の中央部には、ビード部23を設けずに、天板2の中央部とその下方に位置する第一ディンプル13aの頂部130aとを直接、接着及びかしめ固定しているため、最弱部における残留変形量を効果的に抑えることができる。
【0067】
また、複数のビード部23は、
図8A及び
図8Bに示す変形例2のように、上板部20のうち、台部14の上方の部分に形成されるビード部23aに加えて、上板部20のうち、底板1の下板部11の中央部111の上方の部分に形成されるビード部23bを含んでもよい。ビード部23bは、ビード部23aに対して平行であり、ビード部23aよりも上板部20の中心寄りに位置する。
【0068】
本変形例では、下板部11の中央部111とこれと連続する1つの中間部113にわたるように配置された1つの第一ディンプル13aと、下板部11の中央部111とこれと連続する他の1つの中間部113にわたるように配置された他の1つの第一ディンプル13aとに接するように、ビード部23bが上板部20に形成されている。
【0069】
ビード部23bは、2つの第一ディンプル13aの半球面状の周壁部131aの外面に接しており、2つの第一ディンプル13aの頂部130aの上面には接していない。
【0070】
変形例2のパネル100によれば、ビード部23a,23bによって、パネル100の曲げ剛性を更に向上させることができる。
【0071】
また、複数のビード部23は、
図9、
図10A及び
図10Bに示す変形例3のように、ビード部23a,23bに加えて、上板部20のうち、底板1の台部14の上方の部分から底板1の一対の対角線上の部分の上方の部分にわたって形成されるビード部23c,23dを含んでもよい。
【0072】
ビード部23cは、ビード部23aに対して一直線状に並んで位置する。ビード部23dは、ビード部23a,23cよりも上板部20の中心から離れて位置する。
【0073】
本変形例では、複数のビード部23は、ビード部23aを挟むように位置する2つのビード部23cを、4組含んでいる。また、複数のビード部23は、直角に並んだ2つのビード部23dを、4組含んでいる。
【0074】
ビード部23c,23dのそれぞれは、第一ディンプル13aと第二ディンプル13bとに接するように、天板2に形成されている。ビード部23c,23dのそれぞれは互いに、隣接する2つのディンプル13a,13bの半球面状の周壁部131a,131bの外面に接しており、2つのディンプル13a,13bの頂部130a,130bの上面には接していない。
【0075】
ビード部23a,23bのそれぞれは、隣接する2つのディンプル13の半球面状の周壁部131の外面には接しておらず、2つのディンプル13の頂部130の上面に接している。かしめ部22は、ビード部23a,23bの底部分に形成されている。
【0076】
4つのビード部23bは、互いに連続しており、矩形枠状に設けられている。なお、ビード部23aと、このビード部23aを挟むように位置する2つのビード部23cとは、連続しておらず、互いに離れて位置している。また、直角に並んだ2つのビード部23dは、連続しておらず、互いに離れて位置している。
【0077】
変形例3のパネル100によれば、ビード部23a,23b,23c,23dによって、天板2の上板部20の四辺に沿った方向の曲げ剛性を向上させることができる。
【0078】
また、変形例3のパネル100によれば、ビード部23a,23bがかしめ部22によって互いに隣接する2つのディンプル13の頂部130に固定されているため、ビード部23a,23bが互いに隣接する2つのディンプル13により確実に接する。そのため、変形例3のパネル100によれば、ビード部23a,23bによって、上板部20の曲げ剛性をより確実に向上させることができる。
【0079】
また、変形例3のパネル100では、ビード部23a,23bが接着剤3とかしめ部22によって互いに隣接する2つのディンプル13の頂部130に固定されている。そのため、変形例3のパネル100では、ビード部23a,23bが互いに隣接する2つのディンプル13により強固に固定されて、ビード部23a,23bと互いに隣接する2つのディンプル13による曲げ抑制の機能をより発揮させやすい。
【0080】
また、変形例3のパネル100では、4つのビード部23bが矩形枠状に連続しているため、上板部20の曲げ剛性をいずれの方向に対しても向上させやすい。
【0081】
なお、ビード部23c,23dは、ビード部23a,23bと同様に、かしめ部22によって互いに隣接する2つのディンプル13の頂部130に固定されてもよい。
【0082】
(実施形態3)
続いて、
図11から
図14に示す実施形態3のパネル100について説明する。以下では、実施形態3のパネル100について、実施形態1と同じ構成については図中に同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1とは異なる構成については詳しく説明する。なお、
図11から
図14では、底板1及び天板2に形成されるかしめ部の図示を省略しているが、本実施形態のパネル100においても、実施形態1のパネル100のかしめ部15,22と同様のかしめ部が底板1及び天板2に形成される。
【0083】
1.詳細
実施形態3のパネル100は、天板2の下面に取り付けられる補強リブ4を更に備える。補強リブ4は、天板2に接着剤3で固定され、かつかしめ固定されている。
【0084】
図13Aには、補強リブ4の一例が示されている。補強リブ4は、金属板で構成されており、例えば、金属板をプレス成形することにより形成される。金属板としては、例えば、鋼板が用いられる。金属板の板厚は、例えば、1.2mmである。なお、金属板の厚みは、パネル100に必要な強度、金属板の材質等に合わせて、適宜変更可能である。補強リブ4は、底板1又は天板2と同じ材料で形成されてもよい。
【0085】
補強リブ4は、天板2の上板部20に固定される板状の固定部40と、固定部40の一端から下方に延びた板状の桁部41と、を有する。本実施形態では、固定部40は、一方向に延びた帯状の矩形板である。補強リブ4は、固定部40の幅方向の端から下方に突出した桁部41を有している。本実施形態では、補強リブ4は、固定部40の幅方向の両端から下方に突出した一対の桁部41を有する。
【0086】
一対の桁部41のそれぞれは、固定部40に対して直角に設けられている。一対の桁部41のそれぞれは、固定部40の長さ方向の全長にわたる長さを有している。本実施形態では、一対の桁部41のそれぞれは、台形状に設けられている。一対の桁部41のそれぞれは、桁部41の長さ方向の両端部に、端に近い部分ほど上下方向に短いスロープ部410を有する。スロープ部410は、ディンプル13又は台部14への干渉を避けるように、その形状が設定されている。一対の桁部41は、
図13Aに示す例では、上下長さが互いに同じであるが、台部14やディンプル13への干渉を避けるために、上下長さが互いに異なってもよい。
【0087】
本実施形態のパネル100は、
図11に示すように、複数の補強リブ4を備えている。複数の補強リブ4は、下板部11の中央部111の上方に配置される複数の第一補強リブ4aと、下板部11の台部14の上底部140の上方に配置される複数の第二補強リブ4bと、を含む。複数の補強リブ4は更に、下板部11の隣接する2つの台部14の上方にまたがるように配置される複数の第三補強リブ4cと、下板部11の4つの帯状部110の上方に配置される複数の第四補強リブ4dと、を含む。
【0088】
複数の第一補強リブ4aは、本実施形態では、8つの第一補強リブ4aである。8つの第一補強リブ4aは、中央部111に設けられたディンプル13を四方から囲むように位置している。中央のディンプル13と、4つの台部14のそれぞれとの間に、2つの第一補強リブ4aが互いに平行に配置されている。2つの第一補強リブ4aは、天板2の上板部20の四辺のうちの一辺に対して平行に配置されている。本実施形態では、2つの第一補強リブ4aのうち、台部14側の第一補強リブ4aは、一対の桁部41のうち、台部14側の桁部41の上下長さが、他側の桁部41の上下長さよりも短い。これにより、台部14側の第一補強リブ4aは、台部14への桁部41の干渉を避けている。
【0089】
複数の第二補強リブ4bは、本実施形態では、4つの第二補強リブ4bである。4つの第二補強リブ4bのそれぞれは、台部14の上底部140に設けられた複数のディンプル13間に位置している。4つの第二補強リブ4bのそれぞれは、天板2の上板部20の四辺のうちの一辺に対して平行に配置されている。4つの第二補強リブ4bのそれぞれは、中央のディンプル13との間に位置する2つの第一補強リブ4aに対して平行である。
【0090】
複数の第三補強リブ4cは、本実施形態では、4つの第三補強リブ4cである。4つの第三補強リブ4cのそれぞれは、4つの台部14のうち、下板部11の中間部113を挟んで隣接する2つの台部14の上底部140にまたがるように配置されている。4つの第三補強リブ4cのそれぞれは、隣接する2つの台部14のそれぞれに設けられた複数のディンプル13間に位置している。4つの第三補強リブ4cのそれぞれは、4つの第二補強リブ4bよりも外側に位置する。4つの第三補強リブ4cのそれぞれは、天板2の上板部20の四辺のうちの一辺に対して、45°の角度をなすように配置されている。4つの第三補強リブ4cは、平面視正方形状に配置されている。
【0091】
複数の第四補強リブ4dは、本実施形態では、4つの第四補強リブ4dである。4つの第四補強リブ4dのそれぞれは、4つの帯状部110のうちの1つの上方に配置されている。4つの第四補強リブ4dのそれぞれは、4つの第三補強リブ4cよりも外側に位置する。4つの第四補強リブ4dのそれぞれは、天板2の上板部20の四辺のうちの一辺に対して平行に配置されている。4つの第四補強リブ4dは、平面視正方形状に配置されている。4つの第四補強リブ4dのそれぞれは、4つの第二補強リブ4bのうちの1つに対して平行である。
【0092】
本実施形形態のパネル100では、底板1及び天板2を形成する金属板の厚みが、例えば、0.6mmである。また、本実施形形態のパネル100では、
図12に示すように、下板部11に設けられた複数のディンプル13の形状が、実施形態1の複数のディンプル13とは異なる。また、下板部11の4つの中間部113は、中央部111及び4つの角部112に対して面一に設けられている。
【0093】
下板部11の中央部111及び中間部113には、互いに同じ形状の複数のディンプル13cが形成されている。複数のディンプル13cのそれぞれは、円板状の頂部130cと、波板状の周壁部131cと、を有する。周壁部131cは、頂部130cに近い部分ほど開口面積が小さくなるように、平板状の中央部111又は中間部113に対して傾いている。本実施形態では、周壁部131cの下端開口部は、十八角形の星型である。
【0094】
下板部11の角部112には、ディンプル13cとは異なる形状のディンプル13dが形成されている。ディンプル13dは、頂部130dと、波板状の周壁部131dを有する。周壁部131dは、平板状の角部112に対して略直角であり、下端の開口面積よりも上端の開口面積が僅かに小さい。周壁部131dの下端の形状と、周壁部131dの上端の形状とは、相似である。
【0095】
台部14の上底部140には、ディンプル13cとは異なる形状の複数のディンプル13eが形成されている。複数のディンプル13eは、頂部130eと、波板状の周壁部131eを有する。周壁部131eは、平板状の上底部140に対して略直角であり、下端の開口面積よりも上端の開口面積が僅かに小さい。周壁部131eの下端の形状と、周壁部131eの上端の形状とは、相似である。頂部130eの形状は、略三角形状であり、三角形の各辺が波状に湾曲している。
【0096】
台部14の周壁部141は、波板状の部分を含む。周壁部141は、底面視略三角形状であり、三辺のそれぞれが、波板状の部分を含む。各辺のうち、長さ方向の両端部を除いた残りの部分全体が、波板状である。
【0097】
底板1の外周板部12の外周片部121は、波板状の部分を含む。外周片部121は、底面視略矩形状であり、四辺のそれぞれが、波板状の部分を含む。各辺のうち、長さ方向の両端部を除いた残りの部分全体が、波板状である。
【0098】
本実施形態のパネル100では、底板1のディンプル13c,13d,13eの頂部130c,130d,130eと外周板部12の頂部120(フランジ片部122)が、接着剤3とかしめ固定で天板2の上板部20に固定されている。そして、補強リブ4a,4b,4c,4dの固定部40が、接着剤3とかしめ固定で上板部20に固定されている。これにより、補強リブ4a,4b,4c,4dが、天板2の上板部20からリブ状に下方に突出して、上板部20の曲げ剛性を高めることができる。
【0099】
以上説明した本実施形態のパネル100では、複数の補強リブ4によって、天板2の上板部20の曲げ剛性を高めることができるため、上板部20に、上方に開口した溝状のビード部を設ける必要がなくて、上板部20の上面をフラットに設けやすい。
【0100】
また、本実施形態のパネル100では、複数の補強リブ4の取付けは、天板2への底板1の取付けと同じ方法(つまり、接着剤3とかしめ固定)で行えるため、補強リブ4の取付けが容易に行える。
【0101】
また、本実施形態のパネル100では、複数の補強リブ4の配置は、底板1の複数の固定部10(複数のディンプル13及び外周板部21)の配置に対応させることができるため、天板2の上板部20の曲げ剛性を全体にわたって確保しやすい。
【0102】
また、本実施形形態のパネル100では、複数の補強リブ4のそれぞれは、底板1及び天板2に比べて小型であるため、各補強リブ4を形成する金属板の厚みを大きくしても、金属板の使用量の極端な増加を抑えることができる。
【0103】
また、本実施形態のパネル100では、複数の補強リブ4は、天板2とは別部材であるため、天板2の薄型化を図ったうえで、肉厚の補強リブ4を用いることもでき、天板2の上板部20の曲げ剛性を確保しやすい。
【0104】
また、本実施形態のパネル100では、複数の補強リブ4のそれぞれは、桁部41がスロープ部410を有するため、ディンプル13又は台部14への補強リブ4の干渉を避けることができて、補強リブ4の取付けによる不具合の発生を抑えやすい。
【0105】
また、本実施形態のパネル100では、天板2の上板部20のうち、強化したい部分に、後付けで補強リブ4を取り付けることができるため、底板1及び天板2の加工が複雑化することを抑制できる。
【0106】
また、本実施形態のパネル100では、複数のディンプル13c,13d,13eの周壁部131c,131d,131eのそれぞれが、波板状の部分を含むため、下向き荷重に対する剛性の向上を図りやすい。
【0107】
また、本実施形態のパネル100では、複数の台部14の周壁部141と、外周板部12の外周片部121のそれぞれが、波板状の部分を含むため、下向き荷重に対する剛性の向上を図りやすい。
【0108】
2.変形例
続いて、上述した実施形態3のパネル100の変形例について説明する。以下に示す各変形例は、適宜組み合わせ可能である。なお、実施形態3のパネル100は、上述した実施形態1,2のパネル100の変形例も、適宜組み合わせ可能である。
【0109】
底板1は、
図12及び
図14に示す形状に限定されない。底板1は、実施形態1のパネル100の底板1と同じ形状であってもよい。言い換えると、実施形態1のパネル100が、複数の補強リブ4を備えてもよい。
【0110】
また、台部14に設けられた複数のディンプル13eのぞれぞれは、ディンプル13cと類似した形状であってもよく、円板状の頂部130eと、波板状の周壁部131cとを有してもよい。
【0111】
同様に、4つの角部112に設けられた複数のディンプル13dは、ディンプル13cと類似した形状であってもよく、円板状の頂部130dと、波板状の周壁部131dとを有してもよい。
【0112】
また、補強リブ4は、
図13Aに示す形状に限定されない。補強リブ4の一対の桁部41のそれぞれは、台形状に限らず、半円状等の他の形状であってもよい。また、補強リブ4は、
図13Bに示す変形例のように、一対の桁部41のうち一方だけを有してもよい。
【0113】
また、パネル100が備える複数の補強リブ4の配置は、
図11に示す配置に限定されない。また、パネル100は、上述した複数の補強リブ4a,4b,4c,4dのうちの一部のみを備えてもよい。
【0114】
(実施形態4)
続いて、
図15から
図18Bに示す実施形態4のパネル100について説明する。以下では、実施形態4のパネル100について、実施形態1と同じ構成については図中に同じ符号を付して説明を省略し、実施形態1とは異なる構成については詳しく説明する。なお、
図15から
図18Bでは、底板1及び天板2に形成されるかしめ部の図示を省略しているが、本実施形態のパネル100においても、実施形態1のパネル100のかしめ部15,22と同様のかしめ部が底板1及び天板2に形成される。
【0115】
1.詳細
実施形態4のパネル100では、
図16及び
図17に示すように、底板1は、天板2の上板部20から下方に突出したリブ状の構造に設けられる。底板1は、実施形態1のパネル100の底板1の下板部11と複数のディンプル13に相当する構成をいずれも有さない。
【0116】
底板1は、天板2の上板部20のうち外周部を除いた残りの部分に取り付けられる底板本体16と、天板2の上板部20の外周部に取り付けられる4つの縁材17と、備える。
【0117】
底板本体16は、帯状の金属板を折り曲げて形成される。金属板の厚みは、例えば、1.2mmである。底板本体16は、
図16、
図17及び
図18Aに示すように、上板部20に沿うベース160と、ベース160と連続し、ベース160から下方に突出したリブ161と、を有する。
【0118】
本実施形態では、ベース160は、水平方向に間隔をおいて位置する一対の横板部162,163で構成されている。リブ161は、互いに平行な一対の縦板部164,165と、一対の縦板部164,165の下端をつなぐ連結板166とで構成されている。
【0119】
横板部162のうち、横板部163に隣接する側の端部から縦板部164が下方に突出している。横板部163のうち、横板部162に隣接する側の端部から縦板部165が下方に突出している。縦板部164,165は、水平方向に間隔をおいて位置し、互いに平行である。縦板部164,165の下端を、横板部162,163に対して平行な平板状の連結板166がつないでいる。連結板166は、縦板部164,165のそれぞれに対して直角に連続している。縦板部164,165及び連結板166は、略U字状に連続している。
【0120】
図16に示すように、底板本体16は、平面視矩形状の上板部20の中心から八方向に延びた8本の幹部分16a,16bと、8本の幹部分16a,16bのそれぞれから延びた複数本の枝部分16c,16d,16e,16f,16gと、を含む。
【0121】
8本の幹部分16a,16bと、複数本の枝部分16c,16d,16e,16f,16gとは、上板部20の外周の除いた残りの部分の全体にわたるように、拡がっている。
【0122】
8本の幹部分16a,16bは、上板部20の中心周りに45°の間隔で配置されている。8本の幹部分16a,16bは、上板部20の一対の対角線上に位置する4本の幹部分16aと、上板部20の中心から四辺に向けて延びる4本の幹部分16bとを、含む。
【0123】
複数本の枝部分16c,16d,16e,16f,16gは、各幹部分16bの長さ方向の中間部から互いに逆方向に一直線状に延びた2本の第一枝部16cと、各幹部分16bの長さ方向の一端部(中心とは反対側の端部)から互いに逆方向に一直線状に延びた2本の第二枝部16dと、を含む。2本の第一枝部16cと2本の第二枝部16dのそれぞれは、幹部分16bに対して直角に延びている。
【0124】
複数本の枝部分16c,16d,16e,16f,16gは、各幹部分16aの長さ方向の一部(中心に近い側)から互いに逆方向に一直線状に延びた2本の第一枝部16eと、各幹部分16aの長さ方向の中間部から互いに逆方向に一直線状に延びた後、第二枝部16dと平行に延びた2本の第二枝部16fと、各幹部分16aの長さ方向の一部(中心から遠い側)から互いに逆方向に一直線状に延びた2本の第三枝部16gと、を含む。2本の第一枝部16eと2本の第二枝部16fの基部と2本の第三枝部16gのそれぞれは、幹部分16aに対して直角に延びている。
【0125】
各幹部分16a,16bと、各枝部分16c,16d,16e,16f,16gは、ベース160とリブ161とを有している。各幹部分16a,16bと、各枝部分16c,16d,16e,16f,16gは、ベース160同士が上下方向に重ならないように、配置されている。各幹部分16a,16bと、各枝部分16c,16d,16e,16f,16gは、リブ161の上下長さが互いに同じである。
【0126】
4つの縁材17のそれぞれは、帯状の金属板を折り曲げて形成される。4つの縁材17のそれぞれは、
図17及び
図18Bに示すように、上板部20に沿うベース170と、ベース170から下方に突出したリブ171と、を有する。
【0127】
本実施形態では、ベース170は、一方向に延びた矩形板状である。リブ171は、互いに平行な一対の縦板部172,173と、一対の縦板部172,173の下端をつなぐ連結板174とで構成されている。
【0128】
ベース170の幅方向の一端部から縦板部172が下方に突出している。縦板部172,173は、水平方向に間隔をおいて位置し、互いに平行である。縦板部172,173の下端を、ベース170に対して平行な平板状の連結板174がつないでいる。連結板174は、縦板部172,173のそれぞれに対して直角に連続している。縦板部172,173及び連結板174は、略U字状に連続している。連結板174は、連結板166よりも幅広に設けられている。
【0129】
本実施形態のパネル100では、底板本体16のベース160の一対の横板部162,163と4つの縁材17のベース170のそれぞれが、天板2の上板部20に、接着剤3及びかしめ固定で固定される。つまり、本実施形態では、一対の横板部162,163とベース170が、天板2に固定される底板1の固定部10である。なお、一対の横板部162,163とベース170とは、互いに上下方向に重ならないように、配置されている。
【0130】
以上説明した本実施形態のパネル100では、底板本体16及び4つの縁材17のそれぞれが、天板2の上板部20から下方に突出するリブ161,171を有している。そのため、本実施形態のパネル100では、底板1自体によって天板2の上板部20の曲げ剛性を高めることができて、底板1及び天板2とは別部材の補強リブ(つまり実施形態3のパネル100の補強リブ4)が不要である。
【0131】
また、本実施形態のパネル100では、底板本体16が、一対の横板部162,163で構成されるベース160と、一対の縦板部164,165と連結板166とで構成されるリブ161とを有している。そのため、本実施形態のパネル100では、天板2の上板部20に下向きの荷重が加わった際に、リブ161にねじれが生じにくくて、天板2の上板部20の変形を抑制しやすい。
【0132】
また、本実施形態のパネル100では、底板本体16が、一枚の帯状の金属板を折り曲げて形成されており、天板2の上板部20の全体に固定されているため、底板本体16にねじれが生じにくくて、上板部20の曲げ剛性の向上を図りやすい。
【0133】
2.変形例
続いて、上述した実施形態4のパネル100の変形例について説明する。なお、以下に示す各変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0134】
底板1は、天板2の上板部20から下方に突出するリブ状の構造を有すればよく、底板1の構造は、
図18Aに示す構造に限定されない。例えば、底板本体16は、1つの横板部からなるベース160と、1つの縦板部からなるリブ161と、を有してもよい。
【0135】
また、底板本体16の底面視における配置パターンは、
図16に示す配置パターンに限定されない。底板本体16は、天板2の上板部20の全体に拡がるように配置されていればよく、他の配置パターンで配置されてもよい。
【0136】
また、底板本体16と4つの縁材17とは、別部材でなくてもよく、一体に設けられてもよい。
【0137】
また、底板本体16のリブ161の連結板166は、平板状に限らず、円弧状に湾曲した板であってもよい。
【0138】
また、底板1は、底板本体16のみで構成されてもよい。この場合、4つの縁材17は、天板2の外周板部21を折り曲げて形成してもよい。
【0139】
(まとめ)
以上説明した実施形態1から4及びその変形例のように、第一態様のパネル100は、以下の構成を備える。
【0140】
すなわち、第一態様のパネル100は、金属板で構成された底板1と、金属板で構成され、底板1の上方に配置された天板2と、を備える。底板1は、天板2に固定される固定部10を有する。固定部10は、天板2に接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【0141】
上記構成を備える第一態様のパネル100では、底板1の固定部10が天板2に接着剤3とかしめ固定で固定されるため、かしめ部分に接着剤3が入り込んで、かしめ不良の発生を抑えることができる。加えて、第一態様のパネル100では、接着剤3とかしめ固定によって底板1と天板2を固定できるため、かしめ固定のみで固定する場合に比べて、底板1と天板2の固定に必要なかしめ固定の数を抑えることができる。そのため、第一態様のパネル100では、かしめ不良の発生を抑えることができるうえ、製造もしやすい。
【0142】
また、上述した実施形態1から3及びその変形例のように、第二態様のパネル100は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0143】
すなわち、第二態様のパネル100では、底板1は、天板2から下方に離れて位置する下板部11と、下板部11の外周縁から上方に突出した外周板部12と、下板部11の一部から上方に窪んだ複数のディンプル13と、を有する。固定部10は、外周板部12の頂部120と、複数のディンプル13の頂部130を含む。
【0144】
上記構成を備える第二態様のパネル100では、外周板部12と複数のディンプル13を有することで、底板1の剛性の向上が図れて、その結果、天板2の曲げ剛性の向上が図れる。加えて、第二態様のパネル100では、底板1の一部(外周板部12の頂部120と複数のディンプル13の頂部130)が天板2に接着されるため、接着剤3の塗布量を抑えることができる。また、第二態様のパネル100では、底板1の一部から上方に突出した外周板部12の頂部120と複数のディンプル13の頂部130に接着剤3を塗布すればよいため、ロールコーター等の装置を用いて接着剤3の塗布が簡単に行える。
【0145】
また、上述した実施形態1から3及びその変形例のように、第三態様のパネル100は、第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0146】
すなわち、第三態様のパネル100では、下板部11は、底面視矩形状である。複数のディンプル13は、下板部11の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプル13aと、下板部11の一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプル13bと、を含む。複数の第二ディンプル13bのそれぞれの頂部130bの上面の面積は、複数の第一ディンプル13aのそれぞれの頂部130aの上面の面積よりも大きい。
【0147】
上記構成を備える第三態様のパネル100では、底面視矩形状の下板部11のうち、一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分と、天板2との間での、接着剤3による固定をより強固にできて、天板2の曲げ剛性の向上を図りやすい。
【0148】
また、上述した実施形態2及びその変形例のように、第四態様のパネル100は、第二又は第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0149】
すなわち、第四態様のパネル100では、天板2は、下方に突出した複数のビード部23を有する。複数のビード部23のそれぞれは、複数のディンプル13のうち互いに隣接する2つのディンプル13に接している。
【0150】
上記構成を備える第四態様のパネル100では、互いに隣接する2つのディンプル13に接するビード部23によって、天板2のうち、複数のディンプル13間の部分を補強できて、天板2の曲げ剛性の向上を図りやすい。
【0151】
また、上述した実施形態2及びその変形例のように、第五態様のパネル100は、第二から第四のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0152】
すなわち、第五態様のパネル100では、下板部11は、底面視矩形状である。複数のディンプル13は、下板部11の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプル13aと、下板部11の一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプル13bと、を含む。下板部11は、4つの三角部分において、上方に突出し、下方に凹んだ台部14を有する。台部14は、三角形状の上底部140と、上底部140の外周縁から下方に延びた周壁部141と、を有する。複数の第二ディンプル13bは、上底部140に設けられ、上底部140の3つの端辺に沿うように間隔をおいて位置する。天板2は、下方に突出した複数のビード部23を有する。複数のビード部23のそれぞれは、上底部140の中央部の上方に位置するように、複数の第二ディンプル13bのうち隣接する2つの第二ディンプル13bに接している。
【0153】
上記構成を備える第五態様のパネル100では、天板2のうち、上底部140の中央部の上方の部分を、隣接する2つの第二ディンプル13bに架け渡されたビード部23によって補強でき、この部分にかかる下向きの荷重に対する変形量を抑制することができる。ここで、天板2のうち、上底部140の中央部の上方の部分は、周壁部141及び第二ディンプル13bまでの距離が大きくて、パネル100における荷重性能の最弱部となりやすい部分である。しかし、第五態様のパネル100では、パネル100の荷重性能の最弱部をビード部23によって補強できるため、パネル100全体が荷重性能に優れやすい。
【0154】
また、上述した実施形態2の変形例1のように、第六態様のパネル100は、第五態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0155】
すなわち、第六態様のパネル100では、ビード部23の底部と、隣接する2つの第二ディンプル13bの頂部130bとが、接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【0156】
上記構成を備える第六態様のパネル100では、ビード部23を、隣接する2つの第二ディンプル13bの頂部130bによって下方から支えた状態で、ビード部23と2つの第二ディンプル13bとを固定できる。そのため、第六態様のパネル100では、パネル100の荷重性能の最弱部を、ビード部23によってより確実に補強できて、パネル100全体が荷重性能に優れやすい。
【0157】
また、上述した実施形態2の変形例1のように、第七態様のパネル100は、第五又は第六態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0158】
すなわち、第七態様のパネル100では、複数のビード部23のそれぞれは、上底部140の中央部の上方にのみ位置する。天板2の中央部と、その下方に位置する第一ディンプル13aの頂部130aとは、接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【0159】
上記構成を備える第七態様のパネル100では、ローリングロード性能の最弱部となりやすい天板2の中央部には、ビード部23が設けられないため、この最弱部における残留変形量を効果的に抑えることができて、パネル100全体がローリングロード性能に優れやすい。
【0160】
また、上述した実施形態3及びその変形例のように、第八態様のパネル100は、第一から第七のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0161】
すなわち、第八態様のパネル100では、天板2の下面に取り付けられる補強リブ4を更に備える。補強リブ4は、天板2に接着剤3で固定され、且つかしめ固定されている。
【0162】
上記構成を備える第八態様のパネル100では、補強リブ4によって、天板2の曲げ剛性の向上が図れ、また、天板2にビード部23を形成しなくてもよくて、天板2の上面をフラットに設けやすい。
【0163】
また、上述した実施形態1から4及びその変形例のように、第九態様のパネル100は、第一から第八のいずれか1つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0164】
すなわち、第九態様のパネル100では、底板1のうち固定部10を除いた残りの部分と、天板2との間に充填された芯材5を更に備える。
【0165】
上記構成を備える第九態様のパネル100では、底板1と天板2との間に、モルタル等の流動性材料からなる芯材5を充填する際に、底板1と天板2とのかしめ部分に裂け目があっても、この裂け目から芯材5が漏れ出すことを接着剤3によって抑制できる。そのため、第九態様のパネル100では、底板1と天板2との間に芯材5が充填された構造としやすい。
【0166】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 底板
10 固定部
11 下板部
12 外周板部
120 頂部
13 ディンプル
13a 第一ディンプル
13b 第二ディンプル
130 頂部
130a 頂部
130b 頂部
14 台部
140 上底部
141 周壁部
2 天板
23 ビード部
3 接着剤
4 補強リブ
5 芯材
100 金属製フロアパネル
【手続補正書】
【提出日】2024-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板で構成された底板と、
金属板で構成され、前記底板の上方に配置された天板と、を備え、
前記底板は、
前記天板に固定される固定部を有し、
前記天板と前記固定部のそれぞれには、下方に凹んだ非貫通の穴状に塑性変形されたかしめ部が設けられ、
前記天板の前記かしめ部と前記固定部の前記かしめ部とが間に接着剤が入り込んだ状態で嵌まり込むことで、前記固定部が前記天板に前記接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
ことを特徴とする金属製フロアパネル。
【請求項2】
前記底板は、前記天板から下方に離れて位置する下板部と、前記下板部の外周縁から上方に突出した外周板部と、前記下板部の一部から上方に窪んだ複数のディンプルと、を有し、
前記固定部は、前記外周板部の頂部と、前記複数のディンプルの頂部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属製フロアパネル。
【請求項3】
前記下板部は、底面視矩形状であり、
前記複数のディンプルは、前記下板部の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプルと、前記下板部の前記一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプルと、を含み、
前記複数の第二ディンプルのそれぞれの頂部の上面の面積は、前記複数の第一ディンプルのそれぞれの頂部の上面の面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の金属製フロアパネル。
【請求項4】
前記天板は、下方に突出した複数のビード部を有し、
前記複数のビード部のそれぞれは、前記複数のディンプルのうち互いに隣接する2つのディンプルに接している、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の金属製フロアパネル。
【請求項5】
前記下板部は、底面視矩形状であり、
前記複数のディンプルは、前記下板部の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプルと、前記下板部の前記一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプルと、を含み、
前記下板部は、前記4つの三角部分において、上方に突出し、下方に凹んだ台部を有し、
前記台部は、三角形状の上底部と、前記上底部の外周縁から下方に延びた周壁部と、を有し、
前記複数の第二ディンプルは、前記上底部に設けられ、前記上底部の3つの端辺に沿うように間隔をおいて位置し、
前記天板は、下方に突出した複数のビード部を有し、
前記複数のビード部のそれぞれは、前記上底部の中央部の上方に位置して、前記複数の第二ディンプルのうち隣接する2つの第二ディンプルに接している、
請求項2に記載の金属製フロアパネル。
【請求項6】
金属板で構成された底板と、
金属板で構成され、前記底板の上方に配置された天板と、を備え、
前記底板は、
前記天板に固定される固定部を有し、
前記固定部は、前記天板に接着剤で固定され、且つかしめ固定されており、
前記底板は、前記天板から下方に離れて位置する下板部と、前記下板部の外周縁から上方に突出した外周板部と、前記下板部の一部から上方に窪んだ複数のディンプルと、を有し、
前記固定部は、前記外周板部の頂部と、前記複数のディンプルの頂部を含み、
前記下板部は、底面視矩形状であり、
前記複数のディンプルは、前記下板部の一対の対角線上に位置する複数の第一ディンプルと、前記下板部の前記一対の対角線によって囲まれる4つの三角部分のそれぞれに位置する複数の第二ディンプルと、を含み、
前記下板部は、前記4つの三角部分において、上方に突出し、下方に凹んだ台部を有し、
前記台部は、三角形状の上底部と、前記上底部の外周縁から下方に延びた周壁部と、を有し、
前記複数の第二ディンプルは、前記上底部に設けられ、前記上底部の3つの端辺に沿うように間隔をおいて位置し、
前記天板は、下方に突出した複数のビード部を有し、
前記複数のビード部のそれぞれは、前記上底部の中央部の上方に位置して、前記複数の第二ディンプルのうち隣接する2つの第二ディンプルに接しており、
前記ビード部の底部と、前記隣接する2つの第二ディンプルの前記頂部とが、前記接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
金属製フロアパネル。
【請求項7】
前記複数のビード部のそれぞれは、前記上底部の中央部の上方にのみ位置し、
前記天板の中央部と、その下方に位置する前記第一ディンプルの前記頂部とは、前記接着剤で固定され、且つかしめ固定されている、
請求項5又は6に記載の金属製フロアパネル。