(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176113
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】鉄筋洗い機および鉄筋洗い機システム
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094373
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】509042482
【氏名又は名称】株式会社平林工業
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】平林 努
(72)【発明者】
【氏名】平林 実
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AA46
3B201AB52
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB92
(57)【要約】
【課題】大がかりな装置を用いることなく、また、作業者に依存することなく、非力、高齢者の作業員であっても、比較的短い作業時間で、比較的綺麗に、鉄筋に付着したコンクリート等の汚れを除去できる鉄筋洗い機および鉄筋洗い機システムを提供すること。
【解決手段】鉄筋洗い機システム1は、鉄筋洗い機10とエアコンプレッサー20から構成される。鉄筋洗い機10は、ノズル33から鉄筋洗浄用の水を噴射する持ち運び可能なクリーニングガン30と、クリーニングガン30に供給される水を溜める持ち運び可能な貯水バッグ40と、クリーニングガン30の圧縮空気取込口35に一端が接続された圧縮空気供給用ホース60と、貯水バッグ40の水供給口44とクリーニングガン30の水取込口36との間を連通する給水用ホース50とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから鉄筋洗浄用の液体を噴射する持ち運び可能なクリーニングガンと、
前記液体を溜める持ち運び可能な液体バッグと、
前記クリーニングガンの圧縮空気取込口に一端が接続された圧縮空気供給用ホースと、
前記液体バッグの液体供給口と前記クリーニングガンの液体取込口との間を連通する液体供給用ホースと、
を備えていることを特徴とする鉄筋洗い機。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄筋洗い機において、
前記液体バッグは、前記クリーニングガンを用いて鉄筋の洗浄を行う作業員の身体に当該液体バッグを取り付けるための身体取付け部を備えている鉄筋洗い機。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄筋洗い機において、
前記液体バッグは前記作業員が担うことのできるリュックサック式あるいはバックパック式の液体バッグである鉄筋洗い機。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれか一つの項に記載の鉄筋洗い機と、
エアコンプレッサーと、
を備えており、
前記圧縮空気供給用ホースの他端は、前記エアコンプレッサーの圧縮空気吐出口に接続されている鉄筋洗い機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート打設時に鉄筋に付着したコンクリート等を除去するために用いる鉄筋洗い機および鉄筋洗い機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設作業においては、職人、作業員の高齢化、女性労働者の増加に伴い、手作業で行っている作業の省力化に対する要望が高い。このような作業には、コンクリート打設工事における鉄筋の洗い作業がある。例えば、コンクリートの打ち増し工事では、打ち増し部位において既設のコンクリートから露出している鉄筋の部分に、コンクリート等の汚れが付着している場合がある。コンクリート等の汚れをそのままにしてコンクリートの打ち増しを行うと、打設したコンクリートと鉄筋の間の付着力が劣化するおそれがある。
【0003】
従来においては、作業員が、鉄筋に水を掛けながら、手に持ったブラシ等により、鉄筋の表面を擦って、付着コンクリート等の汚れを落としていた。手作業での鉄筋の洗いは大変であるので、例えば、高圧洗浄装置を用いることが考えられる。特許文献1には、鋼板などの表面を洗浄するための高圧洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブラシを用いた手作業による鉄筋の洗い作業には、大きな力を必要とし、作業時間、出来栄えは作業者に大きく依存し、ばらつきが大きい。特に、非力、高齢な作業員も同じように作業できるように、作業者に依存しない鉄筋の洗い作業を行えることが望ましい。高圧洗浄装置を用いる場合には、作業者に依存せずに、短時間でコンクリート等の汚れを除去できるが、装置が大掛かりでありコスト増につながる。
【0006】
本発明の目的は、大がかりな装置を用いることなく、また、作業者に依存することなく、非力、高齢者の作業員であっても、比較的短い作業時間で、比較的綺麗に、鉄筋に付着したコンクリート等の汚れを除去できる鉄筋洗い機および鉄筋洗い機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鉄筋洗い機は、
ノズルから鉄筋洗浄用の液体(通常は水)を噴射する持ち運び可能なクリーニングガンと、
前記クリーニングガンに供給される前記液体を溜める持ち運び可能な液体バッグと、
外部から液体噴射用の圧縮空気を供給するために、前記クリーニングガンの圧縮空気取込口に一端が接続された圧縮空気供給用ホースと、
前記液体バッグの液体供給口と前記クリーニングガンの液体取込口との間を連通する液体供給用ホースと、
を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の鉄筋洗い機システムは、上記構成の鉄筋洗い機とエアコンプレッサーとの組み合わせから構成される。
【0009】
ここで、持ち運び可能な液体バッグとしては、肩掛け用バンド、腰掛用バンドなどの身体取付け具を備えたものを用いることができる。特に、作業員が背に担うリュックサック式あるいはバックパック式の液体バッグを用いると、作業員は両手を自由に使うことができるので作業をし易くなる。また、圧縮空気供給用ホースを引き回すだけでよく、作業員は、固定した位置に設置した給水タンク等から洗浄用の水がクリーニングガンに圧送される場合に比べて、作業場所での移動が自由になり、作業がし易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業に必要な力が小さくて済み、また、作業者に依存せずに、比較的短い作業時間で、比較的綺麗に鉄筋に付着したコンクリート等の汚れを除去することができる。よって、特に、非力、高齢の作業者による作業に適した鉄筋洗い機、鉄筋洗い機システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を適用した鉄筋洗い機システムの一例を示す説明図である。
【
図2】鉄筋洗い機システムを用いた鉄筋洗い作業を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して本発明を適用した鉄筋洗い機システムの実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
図1を参照して説明すると、本実施の形態に係る鉄筋洗い機システム1は、鉄筋洗い機10と、想像線で示すエアコンプレッサー20から構成される。鉄筋洗い機10は、クリーニングガン30と、リュックサック式の貯水バッグ40(液体バッグ)と、給水用ホース50(液体供給用ホース)と、圧縮空気供給用ホース60を備えている。
【0014】
クリーニングガン30は、片手で握ることのできる取手部31と、取手部31に取り付けた操作レバー32と、取手部31の先端部から直線状に延びている細長い円筒状のノズル33と、ノズル33の先端部から鈍角に折れ曲がった方向に延びるノズル噴射口部34とを備えている。取手部31の内部には、ノズル33に連通する圧縮空気通路(図示せず)が形成されており、また、圧縮空気通路の途中位置に合流する給水路(図示せず)が形成されている。圧縮空気通路の後端の圧縮空気取込口35には、圧縮空気供給用ホース60の先端61が接続されている。給水路の後端の水取込口36には、給水用ホース50の先端51が接続されている。
【0015】
貯水バッグ40は、鉄筋洗浄用の水を溜める貯水バッグ本体部41と、貯水バッグ本体部41の左右に取り付けた肩掛け用の左右の長さ調整可能なバンド42、43とを備えている。貯水バッグ本体部41の上端部には、水供給口44が開口しており、ここに、給水用ホース50の後端52が接続されている。一方、エアコンプレッサー20の圧縮空気吐出口21には、圧縮空気供給用ホース60の後端の接続口62が接続されている。
【0016】
図2は鉄筋洗い作業を示す説明図である。鉄筋洗い作業を行う作業者70は、作業現場80における作業に邪魔にならない位置にエアコンプレッサー20を置き、その圧縮空気吐出口21(
図1参照)に、圧縮空気供給用ホース60の後端の接続口62(
図1参照)を接続する。また、貯水バッグ40を担い、クリーニングガン30を手に持ち、そのノズル噴射口部34を、作業対象の鉄筋(主筋91、あばら筋92等)の汚れ部分(付着コンクリート)に向け、操作レバー32を操作する。ノズル噴射口部34から、鉄筋に付着したコンクリート等の汚れの部位に、水が高圧噴射され、汚れが除去される。
【0017】
このように、本例では、従来は手作業で行っていた鉄筋洗い(コンクリート打設時に鉄筋に付着したコンクリートの除去)の省力化として、持ち運び可能で、水を高圧噴射する鉄筋洗い機10が用いられている。鉄筋洗い機10を用いた鉄筋洗い作業は、作業者に必要な力が従来のブラシ洗浄の場合に比べて小さくて済む。また、ブラシ洗浄の場合に比べて、作業者に依存せずに、比較的短い作業時間で、比較的綺麗に汚れを除去できる。よって、本例の鉄筋洗い機10は、特に、非力、高齢の作業者が用いるのに適している。
【0018】
また、本例の鉄筋洗い機10の構成部品およびエアコンプレッサー20は、市販品を用いることが可能である。よって、鉄筋洗い機10、鉄筋洗い機10およびエアコンプレッサー20からなるシステムを、廉価に構築できる。
【0019】
さらに、クリーニングガン30としてノズル形状、口径が異なる各種のものが市販されており、また、貯水バッグ40(ウォータバッグ)として容量の大きなものから小さなものまで多数の種類のバッグが市販されている。これらを、作業者、作業対象に応じて適切に設定することで、効率良く鉄筋洗い作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0020】
1 鉄筋洗いシステム
10 鉄筋洗い機
20 エアコンプレッサー
21 圧縮空気吐出口
30 クリーニングガン
31 取手部
32 操作レバー
33 ノズル
34 ノズル噴射口部
35 圧縮空気取込口
36 水取込口
40 貯水バッグ
41 貯水バッグ本体部
42、43 バンド
44 水供給口
50 給水用ホース
51 先端
52 後端
60 圧縮空気供給用ホース
61 先端
62 接続口
70 作業員
80 作業現場
91 主筋
92 あばら筋