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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176115
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】エネルギー管理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241212BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241212BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094377
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 智之
(72)【発明者】
【氏名】石飛 太一
(72)【発明者】
【氏名】望月 義則
(72)【発明者】
【氏名】井川 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】勝賀野 圭介
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA68
3C100BB02
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】算出結果がどれだけ信頼できるかを提示することができるエネルギー管理装置を提供する。
【解決手段】製品の生産に必要なエネルギー消費量を管理するエネルギー管理装置100であって、生産設備の消費エネルギーを含むエネルギーデータを有するエネルギーデータ管理テーブル21のエネルギーデータと生産に関する生産データを有する生産データ管理テーブル22の生産データとの日時に基づいて、製品単位のエネルギーを算出する製品単位エネルギー算出部と、製品単位エネルギー算出部13が算出した製品単位のエネルギー消費量がどれだけ信頼できるかを示す指標として信頼度を求め、信頼度を信頼度管理テーブル24に記録する信頼度算出部14と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の生産に必要なエネルギー消費量を管理するエネルギー管理装置であって、
生産設備の消費エネルギーを含むエネルギーデータを有するエネルギーデータ管理テーブルの前記エネルギーデータと生産に関する生産データを有する生産データ管理テーブルの前記生産データとの日時に基づいて、製品単位のエネルギーを算出する製品単位エネルギー算出部と、
前記製品単位エネルギー算出部が算出した製品単位のエネルギー消費量がどれだけ信頼できるかを示す指標として信頼度を求め、前記信頼度を信頼度管理テーブルに記録する信頼度算出部と、を有する
ことを特徴とするエネルギー管理装置。
【請求項2】
前記信頼度算出部は、複数の生産データに基づき製品単位のエネルギー消費量が算出される場合、複数の生産データに対し、該生産データごとに個別信頼度を算出し、該個別信頼度の最低値を、前記複数の生産データの全体信頼度とする
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項3】
前記信頼度算出部は、前記エネルギーデータと前記生産データを紐づける際に、前記エネルギーデータと日時の粒度が同じ生産データを紐づける場合、前記信頼度を高と設定し、前記エネルギーデータと日時の粒度が異なる前記生産データを紐づける場合、前記信頼度を低と設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項4】
前記信頼度算出部は、前記信頼度をTとすると、前記エネルギーデータと前記生産データを紐づける際に、前記エネルギーデータと日時の粒度が同じ生産データを紐づける場合、前記Tを1と設定し、前記エネルギーデータと日時の粒度が異なる生産データを紐づける場合、前記Tを0と設定し、前記信頼度の重み値をWとすると、該Tと該Wとの乗算値が所定の閾値以上であれば、前記信頼度を高と設定し、前記乗算値が前記閾値未満であれば、前記信頼度を低と設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項5】
前記信頼度算出部は、複数の生産データに基づき製品単位のエネルギー消費量が算出される場合、複数の生産データに対し、該生産データごとに前記乗算値を算出し、各乗算値の総和が全体閾値以上であれば、前記信頼度を高と設定し、前記総和が前記全体閾値未満であれば、前記信頼度を低と設定する
ことを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理装置。
【請求項6】
前記製品単位エネルギー算出部は、前記生産データが計測された設備ごとのエネルギー消費量の実績値である場合、設備全体のエネルギー消費量の実績値の総和に対する対象設備のエネルギー消費量の実績値の比率で、前記エネルギーデータを按分する
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項7】
前記製品単位エネルギー算出部は、前記生産データが設備の稼働時間である場合、全体の稼働時間に対する対象製品を生産するのに要した稼働時間の比率で、前記エネルギーデータを按分する
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項8】
前記製品単位エネルギー算出部は、前記生産データが生産数である場合、全体の生産数に対する対象製品の生産数の比率で、前記エネルギーデータを按分する
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー管理装置。
【請求項9】
前記エネルギー管理装置は、さらに、前記信頼度算出部が算出した前記生産データごとの個別信頼度と、前記全体信頼度を表示部に表示する算出結果表示処理部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のエネルギー管理装置。
【請求項10】
前記エネルギー管理装置は、さらに、前記信頼度算出部が信頼度を算出する際に用いる信頼度算出方法を入力する入力部を有する
ことを特徴とする請求項4に記載のエネルギー管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国別のCO排出量は、「生産ベースCO排出」と呼ばれる推計を用いて測られている。直接、計器などを使って空中のCOを測定するのではなく、ガソリン・電気・ガスなどの使用量といった経済統計などで用いられる「活動量」に、「排出係数」をかけ算して求められる。
【0003】
生産現場においては、工程や装置のエネルギー(CO排出量情報)と生産情報(個数、稼働状況、品質)をリンクさせ、製品別、ロット別のCO排出量を算出・管理するとともに、製品やロットが経由してきた各工程におけるCO排出量を管理解析して、製品やロット別の観点からCO2排出量の改善に結びつけることが求められる。
【0004】
特許文献1には、製品の生産情報を管理する生産管理システムと製品の製造に関連したエネルギー情報および製造設備の稼動情報を管理するエネルギー管理システムとで構築され、生産管理システムの生産情報とエネルギー管理システムのエネルギー情報および製造設備の稼動情報に基づき、生産に関連した各種のエネルギー解析を行う生産エネルギー管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-67114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CO排出量の算出に必要となるエネルギー消費量は、一般に、製品単位ではなく、工場や設備単位で計測される。製品単位のエネルギー消費量を算出するには、工場や設備単位のエネルギー消費量を、製品の生産データと紐づける必要がある。しかし、通常、エネルギーデータと生産データは異なるシステムで管理されるため、データの紐付けが困難である。特許文献1においては、エネルギーデータと生産データを日時に基づいて紐付けることで、製品単位のエネルギー消費量を算出している。
【0007】
しかし、必ずしもエネルギーデータと生産データを日時に基づいて紐付けできるとは限らないため、算出に使用されたデータによって、算出された製品単位のエネルギー消費量をどれだけ信頼できるかが異なる。ユーザは、算出結果がどれだけ信頼できるか分からないため、活用可能か判断することが困難な場合がある。
【0008】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、算出結果がどれだけ信頼できるかを提示することができるエネルギー管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明のエネルギー管理装置は、製品の生産に必要なエネルギー消費量を管理するエネルギー管理装置であって、生産設備の消費エネルギーを含むエネルギーデータを有するエネルギーデータ管理テーブルの前記エネルギーデータと生産に関する生産データを有する生産データ管理テーブルの前記生産データとの日時に基づいて、製品単位のエネルギーを算出する製品単位エネルギー算出部と、前記製品単位エネルギー算出部が算出した製品単位のエネルギー消費量がどれだけ信頼できるかを示す指標として信頼度を求め、前記信頼度を信頼度管理テーブルに記録する信頼度算出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、算出結果がどれだけ信頼できるかを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るエネルギー管理装置を示す図である。
図2A】エネルギーデータと生産データを紐づける際の一例を示す図である。
図2B】エネルギーデータと生産データを紐づける際の他の例を示す図である。
図3】エネルギーデータ管理テーブルの例を示す図である。
図4】生産データの例を示す図である。
図5】算出結果管理テーブルを示す図である。
図6】信頼度管理テーブルの例を示す図である。
図7】エネルギーデータと生産データとの関係の例を示す図である。
図8】第1実施形態に係るデータ入力画面の例を示す図である。
図9】第1実施形態に係る信頼度管理処理を示すフローチャートである。
図10】第1実施形態に係る信頼度導出処理を示すフローチャートである。
図11】第1実施形態に係る算出結果表示画面の例を示す図である。
図12】第2実施形態に係るデータ入力画面の例を示す図である。
図13】第2実施形態に係る信頼度算出方法入力画面の例を示す図である。
図14】第2実施形態に係る信頼度導出処理を示すフローチャートである。
図15】第2実施形態に係る算出結果表示画面の例を示す図である。
図16】第2実施形態に係る信頼度算出方法の他の入力例を示す図である。
図17】第2実施形態に係る算出結果表示画面の他の例を示す図である。
図18図17の算出結果のエネルギーデータと生産データとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るエネルギー管理装置100を示す図である。エネルギー管理装置100は、処理部10、記憶部20、入出力GUI30(入出力部)、通信部40を含んで構成される。処理部10には、エネルギーデータを管理するエネルギーデータ管理部11、生産データを管理する生産データ管理部12、エネルギーデータと生産データとの日時に基づいて製品単位のエネルギーを算出する製品単位エネルギー算出部13と、製品単位エネルギー算出部13が算出した製品単位のエネルギー消費量がどれだけ信頼できるかを示す指標として信頼度を求め、信頼度を信頼度管理テーブル24に記録する信頼度算出部14と、製品単位エネルギー算出部13及び信頼度算出部14が算出した算出結果表示処理部15などを有する。なお、エネルギーデータ管理部11及び生産データ管理部12は、外部システムから通信部40を介して、エネルギーデータ及び生産データを入手する。
【0013】
記憶部20には、生産設備の消費エネルギーを含むエネルギーデータを有するエネルギーデータ管理テーブル21と、生産に関する生産データを有する生産データ管理テーブル22と、エネルギーデータ管理部11の算出結果を管理する算出結果管理テーブル23と、信頼度算出部14の算出結果を管理する信頼度管理テーブル24などを含んで記憶されている。
【0014】
記憶部20は、HDD(Hard disk drive)装置などにより構成される。処理部10は、CPU(Central Processing Unit)によって、RAM(Random Access Memory)やHDD上のプログラムを実行することで実現される。入出力GUI30は、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface)であり、コンピュータへ出す命令や指示などを、ユーザが画面上で視覚的に捉えて行動を指定でき、出力結果を表示できるものである。通信部40は、ネットワーク300を介して、他のサーバなどと各種データやコマンドを交換する。
【0015】
最初に、エネルギーデータと生産データを紐づける際の課題を再度説明する。
図2Aは、エネルギーデータと生産データを紐づける際の一例を示す図である。図2Aは、理想的な場合であり、エネルギーデータと日時の粒度が同じデータを紐付けることができる場合である。設備Aのエネルギーデータ51と設備Aの生産データ52とが入手できると、各日時の按分比率53によって、エネルギーデータ51を按分し、製品Aのエネルギー量54が算出することができる。
【0016】
なお、生産数について、その単位は、「個」といった個数であったり、「kg」といった質量であったり、「リットル」といった容積であったり、製品に応じて適宜に決められるものである。
【0017】
図2Bは、エネルギーデータと生産データを紐づける際の他の例を示す図である。図2Bは、工場などでみられる実際の場合であり、エネルギーデータと日時の粒度が異なる生産データを紐づける場合である。設備Aのエネルギーデータ51は、1時間ごとの電力使用量が入手できている。しかし、設備Aの生産データ52Dは、月ごとの生産数しか入手できていない。この場合、月平均の按分比率53Dによって、エネルギーデータ51を按分し、製品Aのエネルギー量54Dが算出することになる。
【0018】
なお、図2Bにおいて、製品Aのエネルギー量54Dは、設備Aのエネルギーデータ51の値と月平均案分比率53Dの値とを掛け合わせることで算出される。例えば、2022/4/1の10:00の電力使用量40kWhに、2022/4の按分比率0.6を掛けることで、2022/4/1の10:00の製品Aの電力使用量が24kWhと算出される。2022/4/1の11:00や同12:00についても、同様に2022/4の按分比率0.6を掛けることで算出される。
【0019】
図2A図2Bとを比較すると、時間ごとに製品Aの電力使用量に差異が生じていることがわかる。このように、製品単位のエネルギー消費量の算出結果は、使用データによって異なる。そのため、ユーザは、算出結果がどれだけ信頼できるかわからないのが課題となっている。
【0020】
記憶部20のデータ例を説明する。
図3は、エネルギーデータ管理テーブル21の例を示す図である。即ち、日時ごとの電力使用量である。例えば、生産工場の分電盤に、自動検針通信ネットワークへの接続に必要となる自動検針端末を取り付けることで時間ごとの電力使用量のデータを得ることができる。
【0021】
図4は、生産データ管理テーブル22の例を示す図である。生産データ管理テーブル22は、製品の生産数以外にも、設備のエネルギー消費量の実績値の比率、設備の稼働時間などが含まれる。生産データ22Aは、年ごとの設備のエネルギー消費量の実績値の比率の例であり、設備全体のエネルギー消費量の実績値の総和に対する対象設備のエネルギー消費量の実績値の比率である。生産データ22Bは、生産設備の稼働時間である。設備1の稼働時間と設備1を用いて項番1による作業時間とが示されている。対象製品は項番1内に含まれる。生産データ22Cは、日ごとの項番1の生産数と対象製品である製品Aの生産数である。時間ごとの生産数が得られない場合の例である。なお、項番とは製品を生産する際の作業の番号を意味する。
【0022】
図5は、算出結果管理テーブル23を示す図である。日時ごとの製品ごとの電力使用量を示している。図5では、製品Aは、10時台では5.3kWhの電力使用量があり、11時台では16.0kWhの電力使用量があることがわかる。
【0023】
図6は、信頼度管理テーブル24の例を示す図である。図6は、信頼度算出部14が算出した算出結果である。信頼度管理テーブル24は、製品名ごとに、信頼度(全体信頼度)、エネルギーデータ、製品に関係する複数の生産データ名とその個別信頼度から構成されている。具体的には、製品Aは、エネルギーデータとして「電力データA」を用い、製品Aに関係する生産データとして、「生産データA」、「生産データB」、「生産データC」があり、それぞれの生産データの個別信頼度は、「低」、「高」、「低」と判定されている。また、全体信頼度は、「低」と判定されている。
【0024】
エネルギーデータと生産データとの関係を、図7を参照して説明する。
図7は、エネルギーデータと生産データとの関係の例を示す図である。「電力データA」は、分電盤の電力量(kWh)であり、その分電盤から設備1及び設備2の電力が供給されている。「生産データA」は、年ごとの設備1及び設備2の電力量の比率である。設備1によって、項番1、項番2の生産の作業が行われる。「生産データB」は、時間ごとの設備1と項番1の稼働時間である。項番1により製品A、製品Bが生産される。「生産データC」は、日ごとの項番1と製品Aの生産数である。このように、「生産データA」は年ごとのでデータ、「生産データB」は、時間ごとのデータ、「生産データC」は日ごとのデータであり、データの粒度が異なっている。本実施形態では、異なる粒度のデータから、データの信頼度、すなわち、製品Aの電力量の信頼度を算出することが特徴となっている。以下、その算出方法について説明する。
【0025】
なお、製品単位エネルギー算出部13は、製品単位エネルギー算出部は、生産データが計測された設備ごとのエネルギー消費量の実績値である場合、設備全体のエネルギー消費量の実績値の総和に対する対象設備のエネルギー消費量の実績値の比率で、エネルギーデータを按分する。具体的には、2022年4月1日10:00(10時台)として、
40×0.4/(0.4+0.6)=16(kWh)となる。
【0026】
さらに説明すると、図7の場合、分電盤の電力量は把握できているが、設備1および設備2ごとの電力量は把握できていない。設備ごとのエネルギー消費量は常時、計測できることが望ましいが、コストがかかるため、年に一度、メンテナンス時などにだけ、計測機器を取り付けて計測される場合がある。このような場合において、設備全体のエネルギー消費量の実績値の総和に対する対象設備のエネルギー消費量の実績値の比率で、エネルギーデータを按分する。
【0027】
製品単位エネルギー算出部13は、生産データ22Bに示す生産データが設備の稼働時間である場合、全体の稼働時間に対する対象製品を生産するのに要した稼働時間の比率で、エネルギーデータを按分する。具体的には、2022年4月1日10:00(10時台)として、
16×20/40=8(kWh)となる。
【0028】
製品単位エネルギー算出部13は、生産データ22Cに示す生産データが生産数である場合、全体の生産数に対する対象製品の生産数の比率で、エネルギーデータを按分する。具体的には、2022年4月1日10:00(10時台)として、
8×100/150≒5.3となる。
【0029】
図8は、第1実施形態に係るデータ入力画面31の例を示す図である。データ入力画面31には、製品名入力部311、エネルギーデータ入力部312、生産データ入力部313、算出実行部314を有する。ユーザは、製品名入力部311の選択にマウスカーソルを合わせてボタンをクリックするとプルダウンメニューがでて、その中から対象とする製品名を選択する。同様に、ユーザは、エネルギーデータ入力部312の選択にマウスカーソルを合わせてボタンをクリックするとプルダウンメニューがでて、その中から対象とするデータ名を選択する。ユーザは、生産データ入力部313の選択にマウスカーソルを合わせてボタンをクリックするとプルダウンメニューがでて、その中から対象とするデータ名を選択する。複数のデータが関係する場合は、ユーザは、複数のデータを選択する。
【0030】
具体的には、図8の場合、「製品A」、「電力データA」、「生産データA」、「生産データB」、「生産データC」が選択されており、ユーザが、算出実行部314の実行ボタンを押下すると、製品単位エネルギー使用量とその使用量の信頼度が高いか低いかが算出される。
【0031】
図9は、第1実施形態に係る信頼度管理処理S60を示すフローチャートである。信頼度算出部14は、製品単位エネルギーの算出が実行されたか否かを判定し(ステップS61)、製品単位エネルギーの算出が実行された場合(ステップS61,Yes)、ステップS62に進み、製品単位エネルギーの算出が実行されていない場合(ステップS61,No)、ステップS61に戻る。
【0032】
ステップS62において、信頼度算出部14は、データ読み出しのサブルーチンに移行する。ステップS62では、信頼度算出部14は、エネルギーデータ管理テーブル21からエネルギーデータを読み出し(ステップS621)、生産データ管理テーブル22から生産データを読み出し(ステップS622)、メインルーチンに戻る。そして、信頼度算出部14は、信頼度導出処理S70を実行する。
【0033】
図10は、第1実施形態に係る信頼度導出処理S70を示すフローチャートである。信頼度算出部14は、生産データの数Nを取得し(ステップS71)、変数nをn=Nで初期化し(ステップS72)、生産データnの個別信頼度を導出する(ステップS73)。
【0034】
個別信頼度導出にあたって、信頼度算出部14は、エネルギーデータと生産データの日時の粒度が一致するか否かを判定し(ステップS731)、粒度が一致する場合(ステップS732,Yes)、信頼度を「高」と判定し(ステップS732)、粒度が一致しない場合(ステップS731,No)、信頼度を「低」と判定する(ステップS733)。
【0035】
そして、信頼度算出部14は、nをデクリメントし(ステップS74)、n=0であるか否かを判定し(ステップS75)、n=0でなければ、ステップS73に戻る。
【0036】
信頼度算出部14は、n=0であれば(ステップS75,Yes)、すべての個別信頼度の最低値を算出し、全体信頼度として設定し(ステップS76)、メインルーチンのステップS63(図9参照)に進む。
【0037】
図9のステップS63において、信頼度算出部14は、全体信頼度、個別信頼度を信頼度管理テーブル24に登録し、信頼度管理処理S60を終了する。
【0038】
図11は、第1実施形態に係る算出結果表示画面32の例を示す図である。算出結果表示画面32には、製品名表示部321、製品単位エネルギー算出結果表示部322、信頼度算出結果表示部323を有する。信頼度算出結果表示部323には、個別信頼度表示部3231、信頼度表示部3232(全体信頼度表示部)を有する。
【0039】
図11によれば、製品Aの製品単位エネルギー算出結果、信頼度算出結果が表示され、ユーザは、製品単位エネルギー算出結果の信頼度が高いか低いかを知ることができる。具体的には、生産データAの個別信頼度は「低」、生産データBの個別信頼度は「高」、生産データCの個別信頼度は「低」であり、全体の信頼度は「低」であることがわかる。
【0040】
第1実施形態のエネルギー管理装置100によれば、製品単位エネルギー算出結果がどれだけ信頼できるかを提示することができる。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態は、ユーザが信頼度条件を設定できるように、データ入力画面31A(図12参照)、信頼度算出方法入力画面33(図13参照)、信頼度導出処理S70A(図14参照)を設けている。実施形態1と同様の機能については説明を省略する。
【0042】
図12は、第2実施形態に係るデータ入力画面31Aの例を示す図である。データ入力画面31Aは、第1実施形態のデータ入力画面31(図8参照)に対し、信頼度条件設定部315が追加されている。ユーザが信頼度条件設定部315の設定ボタンを押下すると、信頼度算出方法入力画面33が、別ウィンドウで開かれる。
【0043】
図13は、第2実施形態に係る信頼度算出方法入力画面33の例を示す図である。信頼度算出方法入力画面33には、信頼度算出方法名入力部331、しきい値入力部332、重み入力部333、登録部334を有する。ユーザは、信頼度算出方法名入力部331にユーザが希望する名称(例えば、算出方法1)を入力する。
【0044】
しきい値入力部332には、信頼度を判定する際のしきい値(閾値)が入力される。図13の例は、信頼度を「高」、「低」の2段階評価の例であり、「高」のとき、0.5以上と判定される。信頼度を「高」、「中」、「低」として3段階評価として設定してもよい。また、信頼度を「1」(信頼度が最も高い)、「2」、「3」、「4」、「5」(信頼度が最も低い)の5段階評価としてもよい。
【0045】
重み入力部333には、複数の生産データの重み値が入力される。図13の例は、生産データA、生産データB、生産データCの3つの例であり、重み値の総和が1である。ユーザは、生産データAを最も重要視していると考えられる。
【0046】
ユーザが算出名称、しきい値、重み値を入力後、登録部334の登録ボタンを押下すると、記憶部20の信頼度算出方法テーブルに記憶される。
【0047】
図14は、第2実施形態に係る信頼度導出処理S70Aを示すフローチャートである。図14については、図10の信頼度導出処理S70との相違点について説明する。
生産データnの個別信頼度を導出する(ステップS73A)。個別信頼度導出にあたって、信頼度算出部14は、エネルギーデータと生産データの日時の粒度が一致するか否かを判定し(ステップS731)、粒度が一致する場合(ステップS732,Yes)、信頼度を「高」と判定し、個別信頼度値Tnを1に設定し(ステップS732A)、粒度が一致しない場合(ステップS731,No)、信頼度を「低」と判定し、個別信頼度値Tnを0に設定する(ステップS733A)。
【0048】
そして、信頼度算出部14は、nをデクリメントし(ステップS74)、n=0であるか否かを判定し(ステップS75)、n=0でなければ、ステップS73Aに戻る。
【0049】
信頼度算出部14は、n=0であれば(ステップS75,Yes)、信頼度値Pを算出し(ステップS77)、信頼度値Pが図13で設定されたしきい値に基づいて全体信頼度として判定し(ステップS78)、メインルーチンのステップS63(図9参照)に進む。ステップS63において、信頼度算出部14は、全体信頼度、個別信頼度を信頼度管理テーブル24に登録し、信頼度管理処理S60を終了する。
【0050】
(信頼度値Pの算出)
ステップS77の信頼度値Pの算出には、式(1)、式(2)を用いる。
【数1】
ここで、pnは重み付き個別信頼度値、Tnは個別信頼度値、Wnは重み値
【0051】
式(1)、式(2)を用いて、実施形態1を表現すると、Wn=1であるので、式(3)で示すことができる。
【数2】
【0052】
信頼度値Pが予め設定されているしきい値P以上であれば、信頼度を「高」として設定している。例えば、しきい値P=0.5に設定されているが、任意に変更することができる。
【0053】
図15は、第2実施形態に係る算出結果表示画面32Aの例を示す図である。算出結果表示画面32Aは、第1実施形態の算出結果表示画面32(図11参照)に対し、信頼度算出結果表示部323に、信頼度算出方法名表示部3233が追加されている。これにより、図15の場合、算出結果は、算出方法1(図13参照)により算出されていることがわかる。信頼度表示部3232の信頼度は「低」であり、図11と変更されていない。
【0054】
図16は、第2実施形態に係る信頼度算出方法の他の入力例を示す図である。図16は、図13に対し、設定値を変更した信頼度算出方法入力画面33Aの例を示す。算出方法2として、重み入力部333の生産データの重み値を変更している。すなわち、ユーザが生産データBを重要視していると考えられる。
【0055】
図17は、第2実施形態に係る算出結果表示画面の他の例を示す図である。図17は、算出結果表示画面32Bであり、図16の条件に基づく算出結果である。これをみると、信頼度表示部3232の信頼度が「高」と変更されている。この変更理由を、図18を参照して説明する。
【0056】
図18は、図17の算出結果のエネルギーデータと生産データとの関係を示す図である。図18は、生産データA(重み値は0.2)、生産データB(重み値が0.6)、生産データC(重み値が0.2)を用い、信頼度が「高」のしきい値(全体閾値)としてP=0.5が設定されている(図16参照)。これにより、生産データAの重み付き個別信頼度値pA=0、生産データBの重み付き個別信頼度値pB=0.6、生産データCの重み付き個別信頼度値pC=0となり、式(1)から信頼度値P=0.6と算出された。P≧Pであるので、その結果、信頼度は「高」となり、図15の結果とは異なる評価が得られている。
【0057】
即ち、図16の入力例として、3つの生産データの各個別信頼度値が0、1、0の場合に、各重み値が0.2、0.6、0.2とすると、式(4)のように、信頼度は「高」と判定される。
P=0×0.2+1×0.6+0×0.2=0.6(≧0.5) …(4)
【0058】
第2実施形態のエネルギー管理装置100によれば、ユーザの考えを考慮にいれながら、製品単位エネルギー算出結果がどれだけ信頼できるかを提示することができる。
【0059】
本実施形態のエネルギー管理装置100は、次の特徴を有する。
(1)製品の生産に必要なエネルギー消費量を管理するエネルギー管理装置100であって、生産設備の消費エネルギーを含むエネルギーデータを有するエネルギーデータ管理テーブル21のエネルギーデータと生産に関する生産データを有する生産データ管理テーブル22の生産データとの日時に基づいて、製品単位のエネルギーを算出する製品単位エネルギー算出部13と、製品単位エネルギー算出部13が算出した製品単位のエネルギー消費量がどれだけ信頼できるかを示す指標として信頼度を求め、信頼度を信頼度管理テーブル24に記録する信頼度算出部14と、を有する。これによれば、製品単位のエネルギー消費量の算出結果がどれだけ信頼できるかを提示することができる。
【0060】
(2)前記(1)において、信頼度算出部14は、複数の生産データに基づき製品単位のエネルギー消費量が算出される場合、複数の生産データに対し、該生産データごとに個別信頼度を算出し、該個別信頼度の最低値を、複数の生産データの全体信頼度とすることができる。
【0061】
(3)前記(1)において、信頼度算出部14は、エネルギーデータと生産データを紐づける際に、エネルギーデータと日時の粒度が同じ生産データを紐づける場合、信頼度を高と設定し、エネルギーデータと日時の粒度が異なる生産データを紐づける場合、信頼度を低と設定することができる。なお、本実施形態では、信頼度を高・低の2段階評価したが、これに限定されるわけではない。図13のしきい値の設定により、3段階評価、5段階評価などができる。
【0062】
(4)前記(1)において、信頼度算出部14は、信頼度値をTとすると、エネルギーデータと生産データを紐づける際に、エネルギーデータと日時の粒度が同じ生産データを紐づける場合、Tを1と設定し、エネルギーデータと日時の粒度が異なる生産データを紐づける場合、Tを0と設定し、信頼度値の重み値をWとすると、該Tと該Wとの乗算値が所定の閾値(しきい値)以上であれば、信頼度を高と設定し、乗算値が閾値未満であれば、信頼度を低と設定することができる。
【0063】
(5)前記(4)において、信頼度算出部14は、複数の生産データに基づき製品単位のエネルギー消費量が算出される場合、複数の生産データに対し、該生産データごとに乗算値を算出し、各乗算値の総和が全体閾値以上であれば、信頼度を高と設定し、総和が前記全体閾値未満であれば、信頼度を低と設定することができる。
【0064】
(6)前記(1)において、製品単位エネルギー算出部13は、生産データが計測された設備ごとのエネルギー消費量の実績値である場合、設備全体のエネルギー消費量の実績値の総和に対する対象設備のエネルギー消費量の実績値の比率で、エネルギーデータを按分する(例えば、図4の生産データ22A参照)。
【0065】
(7)前記(1)において、製品単位エネルギー算出部13は、生産データが設備の稼働時間である場合、全体の稼働時間に対する対象製品を生産するのに要した稼働時間の比率で、エネルギーデータを按分する(例えば、図4の生産データ22B参照)。
【0066】
(8)前記(1)において、製品単位エネルギー算出部13は、生産データが生産数である場合、全体の生産数に対する対象製品の生産数の比率で、エネルギーデータを按分する(例えば、図4の生産データ22C参照)。
【0067】
(9)前記(2)において、エネルギー管理装置100は、さらに、信頼度算出部14が算出した生産データごとの個別信頼度と、全体信頼度を表示部に表示する算出結果表示処理部15を有する。
【0068】
(10)前記(4)において、エネルギー管理装置100は、さらに、信頼度算出部14が信頼度を算出する際に用いる信頼度算出方法を入力する入力部(例えば、信頼度算出方法入力画面33参照)を有する。これにより、ユーザの生産データに対する考えを考慮することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 処理部
11 エネルギーデータ管理部
12 生産データ管理部
13 製品単位エネルギー算出部
14 信頼度算出部
15 算出結果表示処理部
20 記憶部
21 エネルギーデータ管理テーブル
22 生産データ管理テーブル
23 算出結果管理テーブル
24 信頼度管理テーブル
30 入出力GUI
31,31A データ入力画面
32,32A,32B 算出結果表示画面
33,33A 信頼度算出方法入力画面
40 通信部
100 エネルギー管理装置
311 製品名入力部
312 エネルギーデータ入力部
313 生産データ入力部
314 算出実行部
315 信頼度条件設定部
321 製品名表示部
322 製品単位エネルギー算出結果表示部
323 信頼度算出結果表示部
331 信頼度算出方法名入力部
332 しきい値入力部
333 重み入力部
334 登録部
S60 信頼度管理処理
S70,S70A 信頼度導出処理
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18