(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176116
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/533 20060101AFI20241212BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61F13/533 100
A61F13/53 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094378
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 令子
(72)【発明者】
【氏名】川口 宏子
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200CA02
3B200DB05
(57)【要約】
【課題】フィット性に優れ且つ使用中に壊れにくい吸収性コアを備えた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性物品1が備える吸収性コア5は、少なくとも股下部Cに、吸収性コア5を厚み方向に貫通し縦方向Xに延びる開口部6を有する。開口部6に、吸収性コア5の肌対向面に接する肌側シート7Aと吸収性コア5の非肌対向面に接する非肌側シート7Bとの接合領域8と、両シート7A,7Bどうしが接合されていない非接合領域9とが存在する。非接合領域9は、開口部6の縦方向前端6a側に位置する前側非接合領域9Aと、開口部6の縦方向後端6b側に位置する後側非接合領域9Bとを含む。前側非接合領域9Aは、後側非接合領域9Bに比べて面積が小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有するとともに、着用時に着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部と該背側部との間に位置する股下部とを有し、
体液を吸収保持する吸収性コアと、該吸収性コアに沿って前記縦方向に延在し、着用時に着用者の脚周りに沿って配置される部分を有する縦方向伸縮部とを備える、吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、少なくとも前記股下部に、該吸収性コアを厚み方向に貫通し前記縦方向に延びる開口部を有し、
前記開口部に、前記吸収性コアの肌対向面に接する肌側シートと該吸収性コアの非肌対向面に接する非肌側シートとの接合領域と、両シートどうしが接合されていない非接合領域とが存在し、
前記非接合領域は、前記開口部の縦方向前端側に位置する前側非接合領域と、該開口部の縦方向後端側に位置する後側非接合領域とを含み、
前記前側非接合領域は、前記後側非接合領域に比べて面積が小さい、吸収性物品。
【請求項2】
前記開口部は、縦方向長さが横方向長さに比べて長い、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、前記開口部の横方向長さが20mm以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、前記開口部の縦方向長さは、前記吸収性コアの縦方向長さの2/3以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、前記開口部の全面積に対する、前記前側非接合領域及び前記後側非接合領域それぞれの面積の割合が3%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、前記接合領域の縦方向長さは、前記非接合領域の縦方向長さの1.5倍以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、該吸収性物品を前記縦方向に二等分して前記横方向に延びる仮想直線を引いた場合、該仮想直線から前記接合領域の縦方向後端までの縦方向長さは、該仮想直線から該接合領域の縦方向前端までの縦方向長さの80%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、前記開口部と前記縦方向伸縮部との前記縦方向における重なり部の縦方向長さは、該縦方向伸縮部の伸縮領域の縦方向長さの50%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性物品の展開且つ最大伸長状態において、前記非接合領域は、前記縦方向伸縮部の伸縮領域と重なるか、又は該伸縮領域よりも前記縦方向の内方且つ前記横方向の内方に位置する、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記開口部は、前記吸収性物品を前記横方向に二等分して前記縦方向に延びる仮想直線に重ねて配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記開口部は、前記吸収性物品を前記横方向に二等分して前記縦方向に延びる仮想直線を基準として一方側と他方側とに一対配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収性コアは、一対の前記開口部の間における前記仮想直線と重なる位置に、該吸収性コアを厚み方向に貫通し前記縦方向に延びる中央開口部を有する、請求項11に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿等の体液を吸収保持する吸収性コアを備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品においては従来、着用者の身体に対するフィット性の向上、液透過性ないし液拡散性の制御による防漏性の向上等を目的として、吸収性コアに、該吸収性コアを厚み方向に貫通する開口部を設ける場合がある。例えば特許文献1及び2には、吸収性物品が備える吸収性コアに、縦方向(着用者の前後方向に対応する方向)に延びる開口部(特許文献1では非積繊部、特許文献2ではチャンネル)を横方向(該縦方向と直交する方向)に複数間欠配置することが記載されている。一方、吸収性コアにこのような開口部を設けると、吸収性コアの湿潤状態における保形性が低下し、吸収性コアを構成する吸収性材料(吸水性繊維、吸水性ポリマー等)が体液を吸収して膨潤した場合に、主に開口部の周辺部において吸収性コアが壊れて形状が崩れ、開口部によって吸収性コアが複数の領域に分断されてしまう等の不都合が生じるおそれがある。そこで、特許文献1及び2に記載の吸収性物品では、吸収性コアを挟んでその厚み方向の両側に配置された2枚のシートどうしを、該吸収性コアに設けられた開口部にて接合することで、吸収性コアの湿潤状態における保形性を高めて、開口部に起因する吸収性コアの壊れの防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-112404号公報
【特許文献2】特表2014-515981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、開口部に起因する吸収性コアの壊れを防止するためには、吸収性コアを挟んでその厚み方向の両側に配置された2枚のシートどうしを該開口部にて接合することが有効ではあるが、本発明者が種々検討した結果、該2枚のシートどうしの開口部における接合方法次第では、吸収性物品の着用者の身体に対する吸収性コアのフィット性が低下することが判明した。開口部が設けられた吸収性コアにおいてフィット性と壊れ防止とを両立させる技術は未だ提供されていない。
【0005】
本発明の課題は、フィット性に優れ且つ使用中に壊れにくい吸収性コアを備えた吸収性物品を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着用者の前後方向に対応する縦方向とこれに直交する横方向とを有するとともに、着用時に着用者の腹側に配される腹側部と、着用者の背側に配される背側部と、該腹側部と該背側部との間に位置する股下部とを有し、
体液を吸収保持する吸収性コアと、該吸収性コアに沿って前記縦方向に延在し、着用時に着用者の脚周りに沿って配置される部分を有する縦方向伸縮部とを備える、吸収性物品である。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記吸収性コアは、少なくとも前記股下部に、該吸収性コアを厚み方向に貫通し前記縦方向に延びる開口部を有している。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記開口部に、前記吸収性コアの肌対向面に接する肌側シートと該吸収性コアの非肌対向面に接する非肌側シートとの接合領域と、両シートどうしが接合されていない非接合領域とが存在している。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記非接合領域は、前記開口部の縦方向前端側に位置する前側非接合領域と、該開口部の縦方向後端側に位置する後側非接合領域とを含む。
本発明の吸収性物品の一実施形態では、前記前側非接合領域は、前記後側非接合領域に比べて面積が小さい。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィット性に優れ且つ使用中に壊れにくい吸収性コアを備えた吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの展開且つ最大伸長状態における肌対向面側の展開平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すおむつのI-I線に沿う断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すおむつのII-II線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すおむつの着用状態における吸収性コアの状態を模式的に示す図であり、該吸収性コアにおける開口部と縦方向において同位置にある領域の縦方向に沿う断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の吸収性物品の他の実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの展開且つ最大伸長状態における肌対向面側の展開平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すおむつのIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、複数の図面どうしで互いに同一の部分には、共通の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、寸法、ある部分と他の部分との寸法比などは、現実のものとは異なる場合がある。
【0010】
図1~3には、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1が示されている。おむつ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有するとともに、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側に配される背側部Bと、腹側部Aと背側部Bとの間に位置する股下部Cとを有している。縦方向Xは、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bに延びる方向である。
また、おむつ1は、体液を吸収保持する吸収性コア5と、吸収性コア5に沿って縦方向Xに延在し、着用時に着用者の脚周りに沿って配置される部分を有する縦方向伸縮部として、防漏カフ10(第1の縦方向伸縮部)及びレッグカフ13(第2の縦方向伸縮部)とを備える。
【0011】
股下部Cは、おむつ1の縦中心線CLxを縦方向Xに跨いで縦方向Xに延在している。縦中心線CLxは、
図1に示す如き展開且つ最大伸長状態のおむつ1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線である。
股下部Cは、着用者の陰茎等の排泄部に対向する排泄部対向部(図示せず)を含み、典型的には、おむつ1において横方向Yの長さ(幅)が最も短い部分を含む。
本発明において、腹側部A、股下部C及び背側部Bは、展開且つ最大伸長状態の吸収性物品を縦方向Xに三等分した場合の各領域であり得る。
【0012】
本明細書において、「展開且つ最大伸長状態」とは、吸収性物品を平面状に拡げて展開状態とし、その展開状態の吸収性物品の各部の弾性部材を最大伸長させて、設計寸法、すなわち弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じとなるまで拡げた状態をいう。サイドシール部を有する吸収性物品の場合は、該吸収性物品をサイドシール部で切り離して平面状に拡げて前記展開状態とする。
【0013】
本実施形態では、おむつ1は、
図1に示す如き展開且つ最大伸長状態において、横中心線CLyを挟んで一方側と他方側とで対称に形成されている。横中心線CLyは、展開且つ最大伸長状態のおむつ1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線である。
おむつ1は、吸収性コア5を含む吸収性本体2と、吸収性本体2の非肌対向面側に配された外装体20とを備えている。吸収性本体2と外装体20とは接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
【0014】
本明細書において「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち、着用者の肌から相対的に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち、着用者の肌から相対的に遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち、当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0015】
本実施形態では、外装体20は、腹側部Aを構成する腹側外装体20Aと、背側部Bを構成する背側外装体20Bとを含む。両外装体20A,20Bは個々独立した部材であり、縦方向Xに所定間隔を置いて配置されている。一方、吸収性本体2は、平面視長方形形状をなし、その長手方向をおむつ1の縦方向Xに一致させて、両外装体20A,20Bの間に架け渡されている。おむつ1はこのように、外装体20が腹側に配される部材20Aと背側に配される部材20Bとに分割されたいわゆる分割タイプのパンツ型使い捨ておむつである。図示していないが、おむつ1の着用状態では、腹側外装体20Aと背側外装体20Bとは、それらの縦方向Xに沿う両側部S,Sにて連結されており、外装体20は環状をなしている。この環状の外装体20を含むおむつ1は、着用者の胴が通されるウエスト開口部と、着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部とを有する。
【0016】
両外装体20A,20Bは、それぞれ、おむつ1の外面を形成する外層シート(図示せず)と、おむつ1の内面を形成する内層シート21と、両シート間に介在配置された胴周り弾性部材22とを含む。胴周り弾性部材22は、横方向Yに延在し、縦方向Xに複数間欠配置されている。両外装体20A,20Bは、それぞれ、前記外層シートと内層シート21との間に、胴周り弾性部材22を横方向Yに伸長させた状態で固定した後、胴周り弾性部材22を伸長状態から解放することにより作製されており、これにより、横方向Yに伸縮性を有している。前記外層シート及び内層シート21としては、それぞれ、この種の吸収性物品において外装体として使用されているものを特に制限なく用いることができ、例えば、各種製法による不織布を用いることができる。
【0017】
吸収性本体2は、着用者の肌から相対的に近い位置に配置された液透過性の表面シート3と、着用者の肌から相対的に遠い位置に配置された液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性の裏面シート4と、両シート3,4間に介在配置された吸収性コア5と、吸収性コア5を被覆するコアラップシート7とを含んで構成されている。吸収性本体2を構成するこれらの部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により一体とされている。吸収性コア5とコアラップシート7(7A,7B)とからなる部材は、「吸収体」とも呼ばれる。
【0018】
表面シート3、裏面シート4及びコアラップシート7としては、それぞれ、この種の吸収性物品において通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。表面シート3及びコアラップシート7としては、液透過性を有する各種のシートを用いることができ、例えば、不織布、織布、紙が挙げられる。裏面シート4としては、防漏性を有するシート、具体的には液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂フィルム、該樹脂フィルムと不織布との積層体が挙げられる。
【0019】
コアラップシート7は、吸収性コア5の肌対向面に接する肌側シート7Aと、吸収性コア5の非肌対向面に接する非肌側シート7Bとを含む。
本実施形態では、コアラップシート7は1枚のシートであり、肌側シート7A及び非肌側シート7Bは、それぞれ、該1枚のシートの一部であるが、本発明では、コアラップシートの形態はこれに限定されず、肌側シート7Aと非肌側シート7Bとは互いに別個のシートであってもよい。すなわちコアラップシート7は、複数のシート7A,7Bを含んで構成されていてもよい。
【0020】
本実施形態では、防漏カフ10(第1の縦方向伸縮部)は、
図1に示すように、おむつ1の肌対向面側において、吸収性コア5の横方向Yの両側に一対配置されている。防漏カフ10は、防漏カフ10の主体をなすサイドシート11と、サイドシート11に固定され、縦方向Xに伸縮可能な防漏カフ形成用弾性部材12とを含む。
サイドシート11は、表面シート3とともにおむつ1の肌対向面を形成しており、吸収性本体2の縦方向Xの略全長にわたって同方向に延在している。サイドシート11は、おむつ1の肌対向面側において、横方向Yの外方側(横中心線CLyから相対的に遠い側)に位置する外側縁部と、横方向Yの内方側(横中心線CLyから相対的に近い側)に位置する内側縁部とを有し、該外側縁部は、他の部材(本実施形態では裏面シート4)に固定され、該内側縁部は、他の部材に固定されていない自由縁部である。また、サイドシート11における、前記外側縁部と横方向Yにおいて隣接し且つ前記内側縁部とは反対側に位置する部分は、
図2及び3に示すように、裏面シート4の非肌対向面側に折り返され、裏面シート4とその非肌対向面側に配置された外層不織布40との間に固定されている。また、サイドシート11の縦方向Xの両端部は、その横方向Yの全長にわたって他の部材(本実施形態では表面シート3及び裏面シート4)に固定されている。つまり、サイドシート11における前記内側縁部以外の部分は、他の部材に固定されている。一方、弾性部材12は、サイドシート11の前記内側縁部(自由縁部)に配置されている。より具体的には、サイドシート11の前記内側縁部は、サイドシート11が折り畳まれてなる、サイドシート11の二層構造からなり、その二層構造を構成する相対向するサイドシート11,11の間に、縦方向Xに延びる弾性部材12が伸長状態で固定されている。
防漏カフ10における弾性部材12が伸長状態で固定された部分は、防漏カフ10すなわち第1の縦方向伸縮部の伸縮領域である。本実施形態では、
図1において点線で示す弾性部材12が存在する部分が、防漏カフ10(第1の縦方向伸縮部)の伸縮領域であり、該伸縮領域は、股下部Cの縦方向Xの全長にわたり、更には、腹側部A及び背側部Bに延出している。おむつ1の着用状態又は自然状態(外力が作用していない状態)では、防漏カフ10の前記伸縮領域が着用者の肌に向かって起立し、それにより、尿等の排泄された体液がおむつ1から横方向Yの外方へ流出する不都合(いわゆる横漏れ)が効果的に防止される。
サイドシート11としては、この種の吸収性物品において防漏カフの素材として用いられているものを特に制限無く用いることができ、例えば、単層又は多層の撥水性不織布、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。また、防漏カフ10における防漏カフ形成用弾性部材12の配置数は特に制限されず、1本でもよく、3本以上でもよい。
【0021】
本実施形態では、レッグカフ13(第2の縦方向伸縮部)は、
図1に示すように、吸収性コア5の横方向Yの両側で、且つ防漏カフ10よりも横方向Yの外方に一対配置されている。レッグカフ13は、おむつ1における着用者の脚周りに対応する部分(レッグ部)に配置されるもので、レッグカフ形成用シートと、該シートに固定され、着用者の脚周りに沿って伸縮可能なレッグカフ形成用弾性部材14とを含む。
本実施形態では、前記レッグ縁部形成用シートは、
図2及び3に示すように、裏面シート4及びサイドシート11である。また、弾性部材14は、両シート4,11の間において縦方向Xに伸長状態で固定されており、縦方向Xに伸縮可能に配置されている。
レッグカフ13における弾性部材14が伸長状態で固定された部分は、レッグカフ13すなわち第2の縦方向伸縮部の伸縮領域である。本実施形態では、
図1において点線で示す弾性部材14が存在する部分が、レッグカフ13(第2の縦方向伸縮部)の伸縮領域であり、該伸縮領域は、股下部Cの縦方向Xの全長にわたり、更には、腹側部A及び背側部Bに延出している。おむつ1の着用状態又は自然状態では、弾性部材14の収縮により、前記レッグ縁部形成用シートに、弾性部材14の延在方向に連続するレッグギャザー(皺)が形成される。
本実施形態では、レッグカフ13(第2の縦方向伸縮部)の伸縮領域は、防漏カフ10(第1の縦方向伸縮部)の伸縮領域と縦方向Xにおいて同位置にある、すなわち、前者の横方向Yへの投影像と後者のそれとが一致する。
【0022】
以下、おむつ1の主たる特徴部分の1つである吸収性コア5について説明する。
吸収性コア5は、吸水性材料を主体として構成されている。前記吸水性材料としては、例えば、親水性繊維及び吸水性ポリマーが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記親水性繊維としては、例えば、木材パルプ等の天然繊維、親水性合成繊維等を用いることができる。前記吸水性ポリマーとしては、この種の吸収体で従来使用されているものを特に制限なく用いることができ、例えば、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物が挙げられる。
【0023】
本実施形態では、吸収性コア5は、
図1に示すように、平面視において一方向に長い形状(具体的には長方形形状)をなし、その長手方向をおむつ1の縦方向Xに一致させて、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bにわたって延在している。股下部Cは、着用者の排泄部から排泄された体液が集中する部位であるので、体液の吸収保持能を有する吸収性コア5は、少なくとも股下部Cに配置されることが好ましい。
【0024】
吸収性コア5は、少なくとも股下部Cに、吸収性コア5を厚み方向に貫通し縦方向Xに延びる開口部6を有している。開口部6は、
図1に示す如きおむつ1の平面視において、縦方向Xに長い形状を有する貫通孔であり、吸収性コア5の肌対向面及び非肌対向面の双方に開口を有する。開口部6は、吸収性コア5の形成材料が実質的に存在しない空間部である。
【0025】
本実施形態では、開口部6は、
図1に示すように、おむつ1を横方向Yに二等分して縦方向に延びる仮想直線である横中心線CLyを基準として一方側と他方側とに一対配置されている。一対の開口部6,6は、それぞれ、
図1に示す如き吸収性コア5の平面視において、縦方向Xに長い長方形形状をなし、股下部Cの縦方向Xの全長にわたり、更には、腹側部A及び背側部Bに延出している。
【0026】
開口部6は、吸収性コア5の製造工程において、開口部6の形成予定部位に吸収性コア5の形成材料(吸水性材料)を堆積させないことで形成することができる。開口部6の他の形成方法として、形成材料の堆積量が均一な吸収性コア5の前駆体を製造し、該前駆体における開口部6の形成予定部位から形成材料を排除する方法が挙げられる。中央開口部6Cも、開口部6と同様の方法で形成することができる。
【0027】
開口部6には、
図1に示すように、吸収性コア5の肌対向面に接する肌側シート7Aと吸収性コア5の非肌対向面に接する非肌側シート7Bとの接合領域8と、両シート7A,7Bどうしが接合されていない非接合領域9とが存在する。
非接合領域9は、開口部6の縦方向前端6a側に位置する前側非接合領域9Aと、開口部6の縦方向後端6b側に位置する後側非接合領域9Bとを含む。
開口部6の縦方向前端6aは、開口部6における、腹側部A又は腹側部A寄りの縦方向Xの端を指し、開口部6の縦方向後端6bとは、開口部6における、背側部B又は背側部B寄りの縦方向Xの端を指す。前側非接合領域9Aは、開口部6の縦方向前端6aから縦方向Xの内方に所定距離離間した位置にわたる連続した領域であり、後側非接合領域9Bは、開口部6の縦方向後端6bから縦方向Xの内方に所定距離離間した位置にわたる連続した領域である。
【0028】
接合領域8において、肌側シート7Aと非肌側シート7Bとの接合手段は特に制限されず、例えば、接着剤でもよく、融着でもよく、2種類以上の接合手段を組み合わせたものでもよい。両シート7A,7Bを融着によって接合する場合、両シート7A,7Bを加熱して融着させてもよく、両シート7A,7Bに超音波を印加して融着させてもよい。
【0029】
接合領域8としては、その全部が両シート7A,7Bの接合部である形態(以下、「第1形態」とも言う。)と、両シート7A,7Bの非接合部を含む形態(以下、「第2形態」とも言う。)とがあり得る。例えば、両シート7A,7Bの接合手段として接着剤を用いた場合に、接合領域8の形成予定部位の全域に接着剤を塗布(いわゆるベタ塗り)した場合は、第1形態の接合領域8が得られ、接合領域8の形成予定部位に接着剤を間欠的に塗布した場合は、第2形態の接合領域8が得られる。
第2形態の接合領域8と前側非接合領域9Aとの境界は、両シート7A,7Bの接合部のうち、開口部6の縦方向前端6aに最も近いものの縦方向Xの外方端(縦方向前端6a寄りの縦方向Xの端)である。また、第2形態の接合領域8と後側非接合領域9Bとの境界は、両シート7A,7Bの接合部のうち、開口部6の縦方向後端6bに最も近いものの縦方向Xの外方端(縦方向後端6b寄りの縦方向Xの端)である。
【0030】
本実施形態では、
図1に示すように、中央開口部6Cにも、接合領域8及び非接合領域9(前側非接合領域9A、後側非接合領域9B)が存在する。中央開口部6Cも、開口部6と同様に、縦方向前端6aと縦方向後端6bとを有する。中央開口部6Cについては、特に断らない限り、開口部6についての説明が適宜適用される。
【0031】
おむつ1に代表される本発明の吸収性物品の主たる特徴の1つとして、前側非接合領域9Aは、後側非接合領域9Bに比べて面積が小さい点が挙げられる。
前述したように、吸収性コア5に開口部6を形成することで、吸収性コア5の柔軟性(変形容易性)が向上し、吸収性コア5のフィット性が向上し得る一方で、吸収性コア5の湿潤状態における保形性が低下し、体液吸収後に吸収性コア5が壊れやすくなるが、この吸収性コア5の壊れの問題は、吸収性コア5を挟んでその厚み方向の両側に配置された2枚のシート7A,7Bどうしを開口部6にて接合することで防止可能であり、本実施形態では接合領域8がその役割を担う。しかしながら、接合領域8の如き、吸収性コアの開口部におけるシートどうしの接合部には改善すべき課題があることが、本発明者の検討により判明した。すなわち接合領域8は、2枚のシート7A,7Bが接着剤又は融着等により接合した部分を主体とするものであるため、非接合領域9等の、吸収性コア5における他の領域に比べて剛性が高い。そのため、開口部6の全面積に占める接合領域8の面積の割合(接合領域の面積率)が高いと、吸収性コア5の剛性が高まり、吸収性コア5のフィット性が低下する。例えば、開口部6の全部が接合領域8であると、特に、開口部6の縦方向前端6a側及び縦方向後端6b側が着用者の身体に沿いにくくなり、縦方向前端6a及び縦方向後端6bのような、おむつ1の縦中心線CLxからの縦方向Xにある程度離間した部分のフィット性が低下する。
これに対し、おむつ1では、開口部6の全部を接合領域8とせずに、開口部6の縦方向前端6a側を前側非接合領域9A、開口部6の縦方向後端6b側を後側非接合領域9Bとし、且つ両非接合領域9A,9Bの面積に関して前記大小関係「前側非接合領域9Aの面積<後側非接合領域9Bの面積」を成立させることにより、
図4に示すように、吸収性コア5における、開口部6の縦方向前端6aから縦方向後端6bにわたる部分と縦方向Xにおいて同位置にある部分が、着用者100の身体に密着性良く追従し得る。おむつ1はこのように、接合領域8のメリット(おむつ1の着用中における吸収性コア5の壊れ防止)を活かしつつ、接合領域8のデメリット(吸収性コア5のフィット性低下)を低減しており、フィット性に優れ且つ使用中に壊れにくい吸収性コアを備えた吸収性物品である。
【0032】
このように、前記大小関係が成立することで吸収性コアのフィット性向上と壊れ防止とが両立することには、「吸収性コアに沿って縦方向に延在し、着用時に着用者の脚周りに沿って配置される部分を有する縦方向伸縮部」が関係する。すなわち、例えばおむつ1においては、前記縦方向伸縮部として、防漏カフ10(第1の縦方向伸縮部)及びレッグカフ13(第2の縦方向伸縮部)が存在するところ、吸収性コア5が
図4に示す如くに、着用者100の身体側に向かって凹の舟形に変形し、着用者100の身体に追従性良く密着するためには、おむつ1の着用時において、吸収性コア5の横方向Yの両側に配置された防漏カフ10及びレッグカフ13の伸縮性が発現し、吸収性コア5の斯かる舟形変形を促すことが重要である。ここで、仮に、開口部6の全部が接合領域8であると、防漏カフ10及びレッグカフ13の伸縮性が阻害されるため、吸収性コア5の舟形変形が困難となるおそれがある。これに対し、おむつ1では、前記大小関係が成立することで、接合領域8による防漏カフ10及びレッグカフ13の伸縮性阻害が低減されており、そのため、接合領域8を有しつつも、着用状態では吸収性コア5の舟形変形が発現し、吸収性コア5が
図4に示す如くに着用者の身体にフィットする。
【0033】
本発明において、前記大小関係「前側非接合領域の面積<後側非接合領域の面積」は、吸収性コアが複数の開口部を有する場合は、その複数の開口部の全部について成立することが好ましい。おむつ1はその好ましい形態であり、一対の開口部6,6それぞれについて前記大小関係が成立する。また、後述する開口部6、接合領域8及び非接合領域9に関する構成は、特に断らない限り、当該吸収性コアが有する複数の開口部それぞれが有することが好ましい。
【0034】
前記大小関係「前側非接合領域9Aの面積<後側非接合領域9Bの面積」による効果を一層確実に奏させるようにする観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、前側非接合領域9Aの面積と後側非接合領域9Bとの面積との比率は、前者/後者として、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、そして、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。
前記前側非接合領域9Aの面積は、後側非接合領域9Bの面積に比べて小さいことを前提として、好ましくは75mm
2以上、より好ましくは80mm
2以上、そして、好ましくは110mm
2以下、より好ましくは105mm
2以下である。
前記後側非接合領域9Bの面積は、前側非接合領域9Aの面積に比べて大きいことを前提として、好ましくは115mm
2以上、より好ましくは120mm
2以上、そして、好ましくは175mm
2以下、より好ましくは170mm
2以下である。
【0035】
開口部6における接合領域8及び非接合領域9(9A,9B)の面積は、それぞれ、常法に従って測定することができる。具体的には例えば、開口部6に紙を押し当てて、該紙に開口部6の形状(開口部6の輪郭、接合領域8と非接合領域9との境界等)を写し取る等して、開口部6の型を採取し、その採取した型に基づいて、開口部6の所望の領域(例えば非接合領域9A,9B)の面積を算出することによって測定することができる。
【0036】
本実施形態では、開口部6は、
図1に示すように、縦方向長さが横方向長さに比べて長い。ここで言う「縦方向長さ」は、開口部6の縦方向Xの全長を指し、「横方向長さ」は、開口部6の横方向Yの長さ(幅)を指す。本実施形態では、開口部6の横方向長さは、開口部6の縦方向Xの全長にわたって一定であるが、開口部6の横方向長さが部分的に異なる場合、該開口部6の縦方向長さは、該開口部6の最大横方向長さ(最大幅)に比べて長いことが好ましい。
前記大小関係「開口部6の縦方向長さ>開口部6の横方向長さ」が成立することにより、吸収性コア5のフィット性向上と壊れ防止との両立が図られ、本発明の所定の効果(フィット性に優れ且つ使用中に壊れにくい吸収性コアを備えた吸収性物品の提供)が一層確実に奏され得る。また開口部6は、おむつ1の着用者が排泄した尿等の体液の流路として機能するところ、前記大小関係が成立するような縦長の開口部6を有する吸収性コア5は、縦方向Xにおける液拡散性に優れ、その全体を液吸収に用いることが可能であるため、このような吸収性コア5を備えるおむつ1は、液吸収性に優れる。
前記大小関係「開口部6の縦方向長さ>開口部6の横方向長さ」による効果を一層確実に奏させるようにする観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、開口部6の縦方向長さと開口部6の横方向長さとの比率は、前者/後者として、好ましくは5以上、より好ましくは7以上、そして、好ましくは26以下、より好ましくは24以下である。
【0037】
開口部6の横方向長さは特に制限されないが、吸収性コア5の壊れ防止の観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。また、開口部6の横方向長さの下限は、吸収性コア5のフィット性及び液吸収性の向上の観点から、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上である。ここで言う「横方向長さ」は、開口部6の横方向長さが部分的に異なる場合は、最大横方向長さを指す。
【0038】
開口部6の縦方向長さは特に制限されないが、吸収性コア5の壊れ防止の観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、吸収性コア5の縦方向長さ(縦方向Xの全長)に対して、好ましくは2/3以下、より好ましくは7/12以下である。また、開口部6の縦方向長さの下限は、吸収性コア5のフィット性及び液吸収性の向上の観点から、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、吸収性コア5の縦方向長さ(縦方向Xの全長)に対して、好ましくは1/4以上、より好ましくは2/5以上である。
【0039】
開口部6の縦方向長さは、該開口部6の横方向長さに比べて長いこと、及び吸収性コア5の縦方向長さの2/3以下であることを前提として、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、好ましくは80mm以上、より好ましくは100mm以上、そして、好ましくは250mm以下、より好ましくは240mm以下である。
【0040】
吸収性コア5のフィット性の向上の観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、開口部6の全面積に対する、前側非接合領域9A及び後側非接合領域9Bそれぞれの面積の割合(非接合領域の面積率)は、好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上である。また、前記非接合領域の面積率の上限は、吸収性コア5の壊れ防止の観点から、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、好ましくは30%以下、より好ましくは26%以下である。
【0041】
吸収性コア5のフィット性の向上の観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、接合領域8の縦方向長さは、非接合領域9の縦方向長さに対して、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは1.8倍以上である。ここで言う「非接合領域9の縦方向長さ」とは、前側非接合領域9A及び後側非接合領域9Bそれぞれの縦方向長さの合計を指す。また、吸収性コア5の壊れ防止の観点から、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、接合領域8の縦方向長さは、非接合領域9の縦方向長さに対して、好ましくは3.2倍以下、より好ましくは3.0倍以下である。
【0042】
吸収性コア5のフィット性の向上の観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、縦中心線CLx(おむつ1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線)から接合領域8の縦方向後端(接合領域8と後側非接合領域9Bとの境界)までの縦方向長さ(以下、「接合領域の縦方向後側長さ」とも言う。)は、縦中心線CLxから接合領域8の縦方向前端(接合領域8と前側非接合領域9Aとの境界)までの縦方向長さ(以下、「接合領域の縦方向前側長さ」とも言う。)に対して、好ましくは80%以下、より好ましくは78%以下である。また、吸収性コア5の壊れ防止の観点から、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、接合領域8の縦方向後側長さは、接合領域8の縦方向前側長さに対して、好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上である。
【0043】
吸収性コア5のフィット性の向上の観点から、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、開口部6と縦方向伸縮部(防漏カフ10、レッグカフ13)との縦方向Xにおける重なり部の縦方向長さは、該縦方向伸縮部の伸縮領域の縦方向長さに対して、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上である。前記「重なり部」は、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、開口部6及び縦方向伸縮部それぞれを横方向Yに投影した場合にそれらの投影像どうしの重なり部である。
本実施形態では、前記縦方向伸縮部として防漏カフ10及びレッグカフ13の2種類が存在するところ、このように吸収性物品が複数種類の縦方向伸縮部を備える場合は、各縦方向伸縮部について、当該縦方向伸縮部の伸縮領域の縦方向長さに対する前記重なり部の縦方向長さの割合が50%以上であることが好ましい。本実施形態は斯かる好ましい形態であり、防漏カフ10の伸縮領域(防漏カフ形成用弾性部材12が伸長状態で固定された領域)の縦方向Xの長さ(
図1において弾性部材12を示す点線の長さ)に対する前記重なり部の縦方向長さの割合が50%以上であるとともに、レッグカフ13の伸縮領域(レッグカフ形成用弾性部材14が伸長状態で固定された領域)の縦方向Xの長さ(
図1において弾性部材14を示す点線の長さ)に対する前記重なり部の縦方向長さの割合が50%以上である。
また、締め付け防止の観点から、おむつ1の展開且つ最大伸長状態において、開口部6と縦方向伸縮部(防漏カフ10、レッグカフ13)との縦方向Xにおける重なり部の縦方向長さは、該縦方向伸縮部の伸縮領域の縦方向長さに対して、好ましくは67%以下、より好ましくは65%以下である。
【0044】
本実施形態では、
図1に示す如きおむつ1の展開且つ最大伸長状態において、非接合領域9(9A,9B)は、縦方向伸縮部(防漏カフ10、レッグカフ13)の伸縮領域と重なるか、又は該伸縮領域よりも縦方向Xの内方且つ横方向Yの内方に位置している。これにより、前記大小関係「前側非接合領域9Aの面積<後側非接合領域9Bの面積」の成立による効果と相まって、吸収性コア5のフィット性が一層向上し得る。
図1に示す形態では、非接合領域9(9A,9B)は、防漏カフ10の伸縮領域(防漏カフ形成用弾性部材12が伸長状態で固定された領域)と重なり、レッグカフ13の伸縮領域(レッグカフ形成用弾性部材14が伸長状態で固定された領域)よりも縦方向Xの内方且つ横方向Yの内方に位置している。
【0045】
本実施形態では、吸収性コア5は、
図1~3に示すように、一対の開口部6,6の間における横中心線CLyと重なる位置に、吸収性コア5を厚み方向に貫通し縦方向Xに延びる中央開口部6Cを有している。このように、吸収性コア5に一対の開口部6,6に加えて更に中央開口部6Cが存在することで、前記大小関係「前側非接合領域9Aの面積<後側非接合領域9Bの面積」の成立による効果と相まって、吸収性コア5のフィット性が一層向上し得る。
図示の形態では、中央開口部6Cは、平面視において開口部6と同形状・同寸法であり、且つ一対の開口部6,6それぞれと縦方向Xにおいて同位置にあるが、中央開口部6Cの平面視における形状及び寸法は特に制限されず、任意に設定できる。
また、図示の形態では、中央開口部6Cに接合領域8が存在せず、中央開口部6Cでは、吸収性コア5を挟んでその厚み方向の両側に配置された2枚のシート7A,7Bどうしは接合されていないが、中央開口部6Cにおいて両シート7A,7Bどうしは接合されていてもよい。その場合、中央開口部6Cに、開口部6と同様に、前側非接合領域9A及び後側非接合領域9Bが存在してもよく、更には、両接合領域9A,9Bの面積について前記大小関係が成立してもよい。
【0046】
図5及び6には、本発明の吸収性物品の他の実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1Aが示されている。後述する実施形態については、前述のおむつ1と異なる構成を主に説明し、後述する実施形態におけるおむつ1と同様の構成は、その同様の構成と同一の符号を付して説明を省略する。後述する実施形態において特に説明しない構成は、前述したおむつ1についての説明が適宜適用される。
【0047】
おむつ1Aでは、開口部6は、横中心線CLy(おむつ1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線)に重ねて配置されている。おむつ1Aが有する吸収性コア5の開口部6は、この横中心線CLyと重なる1個のみである。おむつ1Aによっても、基本的にはおむつ1と同様の効果が奏される。
【0048】
本発明は、吸収性物品全般に適用できる。ここで言う「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、前記実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの他に、例えば、展開型使い捨ておむつ、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。前記展開型使い捨ておむつは、未使用状態において腹側部と背側部とが連結しておらず、着用者の胴回りに配置される胴周り部が環状をなしていない使い捨ておむつであり、典型的には、背側部にファスニングテープが設けられており、使用時には、該ファスニングテープを腹側部の非肌対向面に止着させて身体に装着する。
【0049】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の所定の効果が阻害されない範囲で適宜変更可能である。
例えば前記実施形態では、開口部6の平面視形状が長方形であったが、本発明では、開口部の平面視形状は任意に選択可能であり、例えば、縦方向に長い楕円形でもよい。
また前記実施形態では、吸収性コア5の平面視形状が長方形(横方向長さが一定の形状)であったが、本発明では、吸収性コアの平面視形状は任意に選択可能であり、例えば、横方向長さが部分的に異なる形状であってもよく、その具体例として、股下部に括れ部を有する砂時計形形状が挙げられる。
また前記実施形態では、おむつ1は、縦方向伸縮部として防漏カフ10及びレッグカフ13を備えていたが、どちらか一方のみを備えていてもよい。
また前記実施形態では、外装体20は、腹側に配される部材20Aと背側に配される部材20Bとに分割された分割タイプの外装体であったが、腹側部Aから股下部Cを介して背側部Bにわたって連続するタイプの外装体であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A 使い捨ておむつ(吸収性物品)
5 吸収性コア
6 開口部
6C 中央開口部
7 コアラップシート
7A 肌側シート
7B 非肌側シート
8 接合領域
9 非接合領域
9A 前側非接合領域
9B 後側非接合領域
10 防漏カフ(第1の縦方向伸縮部)
13 レッグカフ(第2の縦方向伸縮部)
A 腹側部
B 背側部
C 股下部
X 縦方向
Y 横方向
CLx 縦中心線(仮想直線)
CLy 横中心線(仮想直線)