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特開2024-176123摺動部材、定着装置、及び画像形成装置
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  • 特開-摺動部材、定着装置、及び画像形成装置 図1
  • 特開-摺動部材、定着装置、及び画像形成装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176123
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】摺動部材、定着装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094388
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 秀明
(72)【発明者】
【氏名】大森 健司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 淳子
(72)【発明者】
【氏名】吉川 亮平
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BB12
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB37
2H033BE00
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供すること。
【解決手段】摺動面が、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含んで構成され、前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上10μm以下であり、前記摺動面の表面粗度Rskが1.0以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が2%以上である、摺動部材。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動面が、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含んで構成され、
前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上10μm以下であり、
前記摺動面の表面粗度Rskが1.0以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が2%以上である、
摺動部材。
【請求項2】
前記樹脂粒子の平均粒径が0.5μm以上4μm以下である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項3】
前記摺動面の表面粗度Rskが0.6以下である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項4】
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%以上である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項5】
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項6】
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項7】
前記樹脂粒子が、熱硬化シリコーン樹脂粒子である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項8】
前記熱硬化シリコーン樹脂粒子が、変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子である請求項7に記載の摺動部材。
【請求項9】
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項10】
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して3質量%以上25質量%以下である請求項9に記載の摺動部材。
【請求項11】
前記樹脂粒子の平均粒径が0.5μm以上4μm以下であり、
前記摺動面の表面粗度Rskが0.6以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%以上である請求項1に記載の摺動部材。
【請求項12】
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下であり、
前記樹脂粒子が、熱硬化シリコーン樹脂粒子である、請求項1に記載の摺動部材。
【請求項13】
第1回転体と、
前記第1回転体に接して配設された第2回転体と、
前記第2回転体の内周面に配設され、前記第2回転体の内周面から前記第2回転体を前記第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内周面と前記押圧部材との間に介在する、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の摺動部材と、
前記第2回転体の内周面と前記摺動部材との間に介在する潤滑剤と、
を備える定着装置。
【請求項14】
前記第2回転体の内周面が、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂を含んで構成される請求項13に記載の定着装置。
【請求項15】
前記潤滑剤は、シロキサン基を主鎖とするオイルを含む請求項13に記載の定着装置。
【請求項16】
像保持体と、
像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を定着する、請求項13に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動部材、定着装置、及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、「回転可能に配置された加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま走行可能に配置されたエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトの内側に配置され、かつ前記エンドレスベルトと前記加熱定着ロールとの間に、未定着トナー像を保持する記録シートが通過可能なニップ部が形成されるように、前記エンドレスベルトを介して前記加熱定着ロールを押圧する押圧パッドとを備えてなり、前記押圧パッドと前記エンドレスベルトとの間に潤滑剤として変性シリコーンオイルを介在させたことを特徴とする画像定着装置。」が開示されている。
【0003】
また、特許文献には、「フィルム管状体の内側に配置した押圧部材でそのフィルム管状体を加熱駆動ロールに押圧して、前記フィルム管状体の外面に記録材を通過させるニップ部を形成すると共に、前記押圧部材の摺接面にフッ素樹脂を配置しつつ、前記フィルム管状体の内面との間に潤滑剤を介在させて、そのフィルム管状体を走行可能にしてある画像定着装置において、
前記押圧部材の摺接面に、親油化処理したフッ素樹脂を使用するか、又は親油化剤をフッ素樹脂と併用することを特徴とする画像定着装置。」が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、「ポリイミド樹脂中に、メジアン径が10μm以上100μm以下の範囲内である第1フッ素樹脂粉末と、メジアン径が0.1μm以上5μm以下の範囲内である第2フッ素樹脂粉末とが分散して含有されている低摩擦部材であって、表面粗度Rskが0.500以上であり、フッ素樹脂の表面露出率が15.0%以上である
低摩擦部材。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-213984号公報
【特許文献2】特開2001-249558号公報
【特許文献2】特許6142385号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1>
摺動面が、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含んで構成され、
前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上10μm以下であり、
前記摺動面の表面粗度Rskが1.0以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が2%以上である、
摺動部材。
<2>
前記樹脂粒子の平均粒径が0.5μm以上4μm以下である<1>に記載の摺動部材。
<3>
前記摺動面の表面粗度Rskが0.6以下である<1>又は<2>に記載の摺動部材。
<4>
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%以上である<1>~<3>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<5>
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である<1>~<4>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<6>
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である<1>~<5>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<7>
前記樹脂粒子が、熱硬化シリコーン樹脂粒子である<1>~<6>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<8>
前記熱硬化シリコーン樹脂粒子が、変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子である<7>に記載の摺動部材。
<9>
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下である<1>~<8>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<10>
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して3質量%以上25質量%以下である<9>に記載の摺動部材。
<11>
前記樹脂粒子の平均粒径が0.5μm以上4μm以下であり、
前記摺動面の表面粗度Rskが0.6以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%以上である<1>~<10>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<12>
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下であり、
前記樹脂粒子が、熱硬化シリコーン樹脂粒子である、<1>~<11>のいずれか1項に記載の摺動部材。
<13>
第1回転体と、
前記第1回転体に接して配設された第2回転体と、
前記第2回転体の内周面に配設され、前記第2回転体の内周面から前記第2回転体を前記第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内周面と前記押圧部材との間に介在する、<1>~<12>のいずれか1項に記載の摺動部材と、
前記第2回転体の内周面と前記摺動部材との間に介在する潤滑剤と、
を備える定着装置。
<14>
前記第2回転体の内周面が、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂を含んで構成される<13>に記載の定着装置。
<15>
前記潤滑剤は、シロキサン基を主鎖とするオイルを含む<13>又は<14>に記載の定着装置。
<16>
像保持体と、
像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を定着する、<13>~<15>のいずれか1項に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
<1>に係る発明によれば、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0009】
<2>に係る発明によれば、樹脂粒子の平均粒径が0.5μm未満又は4μm超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
<3>に係る発明によれば、摺動面の表面粗度Rskが0.6超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
<4>に係る発明によれば、摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%未満である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0010】
<5>に係る発明によれば、耐熱熱可塑性樹脂がフッ素樹脂である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
<6>に係る発明によれば、耐熱熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィド樹脂である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0011】
<7>に係る発明によれば、樹脂粒子がフッ素樹脂粒子である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
<8>に係る発明によれば、熱硬化シリコーン樹脂粒子が、未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0012】
<9>に係る発明によれば、樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%未満又は20.0質量%超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
<10>に係る発明によれば、樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して3質量%未満又は25質量%超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0013】
<11>に係る発明によれば、樹脂粒子の平均粒径が0.5μm未満若しくは4μm超えである場合、摺動面の表面粗度Rskが0.6超えである場合、又は摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%未満である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
<12>に係る発明によれば、耐熱熱可塑性樹脂がフッ素樹脂である場合、樹脂粒子がフッ素樹脂粒子である場合、又は樹脂粒子の含有量が耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%未満若しくは20.0質量%超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0014】
<13>に係る発明によれば、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材を適用した場合に比べ、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる定着装置が提供される。
<14>に係る発明によれば、第2回転体の内周面がポリイミド樹脂で構成されている場合に比べ、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる定着装置が提供される。
<15>に係る発明によれば、潤滑剤がフルオロポリエーテルオイルのみで構成されている場合に比べ、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる定着装置が提供される。
【0015】
<16>に係る発明によれば、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材を適用した場場合に比べ、定着装置の第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0018】
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0019】
図面を参照しつつ、実施形態について説明する場合、実質的に同一の機能を有する部材には全図を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0020】
<摺動部材>
本実施形態に係る摺動部材は、摺動面が、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含んで構成される。
樹脂粒子の平均粒径は0.1μm以上10μm以下である。
摺動面の表面粗度Rskは1.0以下である。
摺動面における樹脂粒子の表面露出率は2%以上である。
【0021】
本実施形態に係る摺動部材は、上記構成により、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材となる。その理由は、次の通り推測される。
【0022】
通常、摺動部材には、低摩擦及び耐熱性が得られるフッ素樹脂が使用される。具体的には、摺動部材には、フッ素樹脂シート、繊維状のフッ素樹脂を編み込んだシート、ガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させたシート、ポリイミド樹脂中にフッ素樹脂粒子を分散させたシート等が使用される。
しかし、フッ素樹脂は、摩耗が短期に進行してしまう。また、フッ素樹脂は、強度が低いために、引張又は圧縮力に対して顕著に変形が発生してしまう。そのため、摺動面の摺動抵抗の上昇を引き起こす。
【0023】
加えて、ガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させたシートでは、フッ素樹脂が摩耗すると、摺動面の摺動抵抗は、ガラスクロスの摺動抵抗が支配的となり、やなり経時では摺動面の摺動抵抗の上昇を引き起こす。
また、ポリイミド樹脂中にフッ素樹脂粒子を分散させたシートでは、フッ素樹脂粒子が摩耗又は離脱すると、摺動面の摺動抵抗は、ポリイミド樹脂の摺動抵抗が支配的となり、経時では摺動面の摺動抵抗の上昇を引き起こす。
【0024】
それに対して、本実施形態に係る摺動部材は、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂に平均粒径0.1μm以上10μm以下でロキサン基を有する樹脂粒子を含有させた上で、摺動面の表面粗度Rsk及び摺動面における樹脂粒子の表面露出率は2%以上とする。
それにより、摺動面において、露出した樹脂粒子が潤滑能を発揮し、かつ摺動面から離脱し難く、摺動面で伸びて薄膜化する。
【0025】
以上から、本実施形態に係る摺動部材は、摺動抵抗の維持性に優れると推測される。
【0026】
以下、本実施形態に係る摺動部材について、詳細に説明する。
【0027】
摺動シートは、摺動面が、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含んで構成される。
具体的には、摺動シートは、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含む樹脂基材層の単層体で構成されている。つまり、摺動シートは、これら成分を含む樹脂シートである。
ただし、摺動シートは、摺動面を構成する樹脂基材層と、樹脂基材層の摺動面とは反対側に設けられる、その他の層との積層体であってもよい。
【0028】
耐熱熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニルサルフォン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルサルホン樹脂等が挙げられる。
【0029】
これらの中でも、耐熱熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましく、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂がより好ましい。
これら樹脂(特に、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂)は、耐摩耗性が高く、高靭性であり、高弾性率であるため、好ましい。
【0030】
シロキサン基を有する樹脂粒子は、例えば、ポリシロキサン構造を主鎖又は側鎖に有する樹脂が挙げられる。
シロキサン基を有する樹脂粒子として具体的には、熱硬化シリコーン樹脂粒子、シリコーンオイルガム、シリコーンエラストマー、シロキサン変性ポリエーテルイミド等の粒子が挙げられる。
【0031】
これらの中でも、シロキサン基を有する樹脂粒子は、熱硬化シリコーン樹脂粒子が好ましい。この成分は、摺動面の摺動抵抗が低下し、摺動抵抗の維持性が向上し易くなる。
【0032】
ここで、熱硬化シリコーン樹脂粒子とは、熱により硬化してゴム状弾性を有するシリコーン樹脂粒子である。熱硬化シリコーン樹脂粒子は、未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子であると、潤滑剤との親和性が高まり、加圧ベルト40の回転トルクの上昇が抑制され易くなることから好ましい。
シリコーンガムとは、分子量が30万以上のシリコーンオイルをペレット状に成型したものである。
【0033】
シロキサン基を有する樹脂粒子の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下である。摺動抵抗の維持性向上の観点から、平均粒径は、0.5μm以上4μm以下が好ましく、1μm以上3μm以下がより好ましい。
【0034】
樹脂粒子の平均粒径の測定方法は、次の通りである。
測定対象となる摺動部材から、部材厚さ方向に沿って切断した切断面を有する試料を得る。
試料の切断面に対して、電子顕微鏡により観察し、画像解析によって、樹脂粒子の面積値を求め、面積値から円相当径を算出する。この円相当径の算出を、樹脂粒子100個について実施する。そして、得られた円相当径の体積基準の累積頻度における50%径(D50)を樹脂粒子の平均粒径とする。
【0035】
シロキサン基を有する樹脂粒子の含有量は、耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下がより好ましく、5.0質量%以上10.0質量%以下がさらに好ましい。
シロキサン基を有する樹脂の含有量を上記範囲とすることで、摺動面の表面粗度Rsk及び摺動面における樹脂粒子の表面露出率を上記範囲と調整し易くなる。
そのため、摺動シートに耐摩耗性を持たせつつ、摺動抵抗が低下させる。摺動抵抗の維持性が向上し易くなる。
【0036】
摺動面を構成する樹脂基材層には、樹脂以外に、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、例えば、導電剤、機械的強度向上のためのフィラー、熱劣化を防止するための酸化防止剤、界面活性剤、耐熱老化防止剤等が挙げられる。
【0037】
本実施形態に係る摺動部材において、摺動面の表面粗度Rskは1.0以下である。摺動抵抗の維持性向上の観点から、表面粗度Rskは、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。ただし、潤滑剤の保持量と形状に起因する相手材との引っ掛かり抵抗の観点から、表面粗度Rskの下限は、例えば、0.2以上である。
なお、表面粗度Rskの上記範囲は絶対値を示す。そして、表面粗度Rskは、摺動面における、摺動方向の粗さ曲線のスキューネスRskである。
【0038】
摺動面の表面粗度Rskは、JIS B0601(2001年)に準拠して測定される。具体的には、表面粗さ計(サーフコム1500SD、東京精密社製)を用い、下記条件にて測定される。
・測定種別:粗さ測定
・測定長さ:1.0mm
・カットオフ波長:0.025mm
・測定レンジ:±32.0μm
・測定速度:0.03mm/s
・カットオフ種別:2RC(位相非補償)
・傾斜補正最小二乗直線補正
・λsカットオフ300
・λsカットオフ:0.0833μm
【0039】
本実施形態に係る摺動部材において、摺動面における樹脂粒子の表面露出率は2%以上である。摺動抵抗の維持性向上の観点から、樹脂粒子の表面露出率は、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。ただし、摺動面の耐摩耗強度の観点から、樹脂粒子の表面露出率の上限は、例えば、10%以下である。
【0040】
樹脂粒子の表面露出率の測定方法は、次の通り測定される。
測定対象となる摺動部材から、摺動面を有する試料を得る。
試料の摺動面に対して、電子顕微鏡により倍率2000倍で観察し、画像解析によって、露出する樹脂粒子の面積値を求める。観察視野の面積値に対する露出する樹脂粒子の面積値の割合を算出する。この樹脂粒子の面積値の割合の算出を、5視野で実施する。そして、樹脂粒子の面積値の割合の算術平均値を、得られた円相当径の体積基準の累積頻度における50%径(D50)を樹脂粒子の表面露出率とする。
【0041】
ここで、摺動面の表面粗度Rsk及び摺動面における樹脂粒子の表面露出率は、例えば、樹脂粒子の平均粒径及び含有量により調整する。
【0042】
<定着装置/画像形成装置>
本実施形態に係る定着装置は、特定の定着装置であり、第1回転体と、第1回転体に接して配設された第2回転体と、2回転体の内周面に配設され、第2回転体の内周面から第2回転体を第1回転体へ押圧する押圧部材と、第2回転体の内周面と押圧部材との間に介在する摺動部材と、第2回転体の内周面と摺動部材との間に介在する潤滑剤と、を備える。以下、これら部材を備える定着装置を「特定の定着装置」とも称する)
そして、本実施形態に係る定着装置は、摺動部材として、上記本実施形態に係る摺動部材を適用する。
【0043】
本実施形態に係る画像形成装置は、
像保持体と、
像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を定着する定着装置と、
を備える。
そして、本実施形態に係る画像形成装置は、定着装置として、上記本実施形態に係る定着装置が適用される。
【0044】
本実施形態に係る定着装置及び画像形成装置は、摺動部材として、上記本実施形態に係る摺動部材を適用すると、例えば、定着装置の第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる。
【0045】
特に、本実施形態に係る定着装置及び画像形成装置において、第2回転体の回転トルクの上昇抑制及び光沢むら低減の観点から、第2回転体の内周面が、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂を含んで構成されることが好ましい。
また、同観点から、潤滑剤は、シロキサン基を主鎖とするオイルを含むことが好ましい。
【0046】
ここで、従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式画像形成装置に画像を形成するには、記録紙等の記録媒体上にトナー像を転写した後、トナー像が転写された記録媒体を定着装置で加熱加圧することにより、記録媒体表面にトナー像を定着させる。
【0047】
従来、この定着装置として種々の方式の装置が提案されているが、その一つに、上記特定の定着装置が知られている。
【0048】
特定の定着装置において、摺動部材には、低摩擦及び耐熱性が得られるフッ素樹脂が使用される。具体的には、摺動部材には、フッ素樹脂シート、繊維状のフッ素樹脂を編み込んだシート、ガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させたシートが使用される。
しかし、フッ素樹脂は、摩耗が短期に進行してしまう。また、フッ素樹脂は、強度が低いために、引張又は圧縮力に対して顕著に変形が発生してしまう。そのため、第2回転体の回転トルクの上昇を引き起こす。
加えて、繊維状のフッ素樹脂を編み込んだシート、ガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させたシートは、表面に凹凸ができるため、凸部に応力集中し、得られた画像の光沢むらを引き起こす。
【0049】
また、特定の定着装置において、潤滑剤としては、例えば、パーフルオロポリエーテルオイルを含むPTFEグリース等が使用される。
しかし、第2回転体の内周面及び摺動部材の摺動面と潤滑剤との親和性が低く、第2回転体の内周面と摺動部材の摺動面との間に、潤滑剤の薄膜が経時的に介在し難くなる。このことも、第2回転体の回転トルクの上昇を引き起こす原因となる。
【0050】
それに対して、本実施形態に係る定着装置及び画像形成装置では、第2回転体の内周面には、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基が存在している。これら極性基が存在する第2回転体の内周面は、潤滑剤として適用する、シロキサン基を主鎖とするオイルと親和性が高い。
また、摺動部材の摺動面には、シロキサン基を有する樹脂粒子に由来するシロキサン基が存在している。そのため、摺動部材の摺動面も、潤滑剤として適用する、シロキサン基を主鎖とするオイルと親和性が高い。
それにより、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる。
【0051】
加えて、摺動部材の摺動面は、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂を含むため、摩耗が短期に進行し難い。それにより、第2回転体の回転トルク上昇が低減される。
【0052】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例について、図面を参照しつつ説明する。
【0053】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
【0054】
(画像形成装置の構成)
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10K(画像形成ユニットの一例)を備えている。これらのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト20の外周面に沿って互いに離間して並設されている。なお、これらプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能となっている。
【0055】
各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの上方(図1中)には、中間転写体としての中間転写ベルト20がその外周面を各プロセスカートリッジに対して対向するように設けられている。中間転写ベルト20は、互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内周面に接する支持ローラ24に巻回されて張力を付与されつつ配設され、第1プロセスカートリッジ10Yから第4プロセスカートリッジ10Kに向う方向に無端走行されるようになっている。
【0056】
なお、支持ローラ24は、不図示のバネ等の弾性部材により駆動ローラ22から離れる方向に押し付けされており、両者の間に巻回された中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の外周面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置20aが備えられている。
【0057】
第1乃至第4プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1プロセスカートリッジ10Yについて代表して説明する。尚、第1プロセスカートリッジ10Yと同一の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符号を付すことにより、第2乃至第4プロセスカートリッジ10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0058】
第1プロセスカートリッジ10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電装置の一例)2Y、現像剤に含む帯電したトナーを静電潜像に供給して静電潜像を現像する現像装置4Y、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yが順に配設されている。これらはハウジング11Y(筐体)内に一体的に構成されている。第1プロセスカートリッジ10M乃至10Yも同様に、各部材がハウジング11M乃至11Y(筐体)内に一体的に構成されている。
【0059】
そして、第1プロセスカートリッジ10Yと共に、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写装置の一例)、及び帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電潜像を形成する露光装置3が配置され、画像形成部を構成している。
なお、帯電ローラ2Yと露光装置3とが潜像形成装置の一例に該当する。
【0060】
なお、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0061】
(定着装置の構成)
定着装置28は、図2に示すように、加熱ロール30(第1回転体の一例)及び加圧ベルト40(第2回転体の一例)が備えられており、加熱ロール30及び加圧ベルト40が対向して設けられている。加圧ベルト40は、その周内部に配置された押圧パッド50(押圧部材の一例)により加熱ロール30に押圧され、圧接して接触部が形成されつつ、ベルト走行ガイド52に沿ってガイドされ、加熱ロール30からの駆動力を受けることで従動する。
加圧ベルト40と押圧パッド50との間には、摺動シート60(摺動部材の一例)が介在している。そして、摺動シート60と加圧ベルト40の内周面との間には、潤滑剤62(潤滑剤の一例)が介在している。なお、潤滑剤62は、例えば、ベルト走行ガイド52の一部に設けられた潤滑剤供給部材64により加圧ベルト40の内周面に供給され、摺動シート60と加圧ベルト40の内周面との間に介在する。
ここで、図2中、Tはトナー像を示す。
【0062】
-加熱ロール30(第1回転体の一例)-
加熱ロール30は、例えば、内部にハロゲンランプ等の加熱源31を有する金属製の中空芯金属コア30aに弾性体層30b及び離型層30cが順次形成されて構成されている。
【0063】
金属コア30aは、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属製の円筒状体で構成される。弾性体層30bは、例えば、HTVシリコーンゴムやフッ素ゴム等(JIS-Aのゴム硬度45度程度、ゴム硬度は、Teclock社製のスプリングタイプのA型硬度計により、JIS K6301に準拠して、荷重1,000gfを付加して計測したもの)を2mm以上5mm以下程度の厚さで構成される。離型層30cは、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が20μm以上50μm以下の厚さで構成される。無論、これらに限られず、従来公知の材料により構成してもよい。
【0064】
加熱ロール30は、定着ロールは図示しない駆動源によって速度を調整、例えば260mm/secの周速で回転駆動される。加熱ロール30の外径は一般に例えば25mm以上80mm以下程度である。
【0065】
加熱ロール30の表面温度は、表面に接触する不図示の温度センサーで検出され、表面温度が例えば175℃となるように、不図示の制御回路によって制御される。
【0066】
-加圧ベルト40(第2回転体の一例)-
加圧ベルト40は、内周面が、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂を含んで構成される。この樹脂は、耐熱性樹脂である。なお、「耐熱性」とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
【0067】
具体的には、加圧ベルト40は、内周面を構成し、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂を含む樹脂基材層を有する。
加圧ベルト40は、加圧ベルト40の内周面を構成する樹脂基材層の単層体であってもよいし、加圧ベルト40の内周面を構成する樹脂基材層と樹脂基材層上に設けられた弾性層と弾性層上に設けられた離型層とを有する積層体、又は加圧ベルト40の内周面を構成する樹脂基材層と樹脂基材層上に設けられた離型層とを有する積層遺体であってもよい。
【0068】
樹脂基材層について説明する。
アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂として具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリフェニルサルホン樹脂等が挙げられる。
【0069】
これらの中でも、樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましく、ポリイミド樹脂がより好ましい。
これら樹脂(特にポリイミド樹脂)は、耐摩耗性が高く、潤滑剤との親和性も高い。そのため、加圧ベルト40の回転トルクの上昇が抑制され易くなる。
【0070】
ポリイミド樹脂としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物が挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示される構成単位を有する樹脂が挙げられる。
【0071】
【化1】
【0072】
一般式(I)中、Rは4価の有機基を表し、Rは2価の有機基を表す。
で表される4価の有機基としては、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基、又はそれらが置換された基が挙げられる。4価の有機基として具体的には、例えば、後述するテトラカルボン酸二無水物の残基が挙げられる。
で表される2価の有機基としては、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基とを組み合わせた基、又はそれらが置換された基が挙げられる。2価の有機基として具体的には、例えば、後述するジアミン化合物の残基が挙げられる。
【0073】
ポリイミド樹脂の原料として用いるテトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0074】
ポリイミド樹脂の原料として用いるジアミン化合物の具体例としては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジメチル4,4’-ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、3,3’-ジメトキシベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、2,4-ビス(β-アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p-β-アミノ-第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-アミノフェニル)ベンゼン、ビス-p-(1,1-ジメチル-5-アミノ-ペンチル)ベンゼン、1-イソプロピル-2,4-m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、ジ(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、4,4-ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11-ジアミノドデカン、1,2-ビス-3-アミノプロボキシエタン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、3-メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5-ジメチルヘプタメチレンジアミン、3-メチルヘプタメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、2,17-ジアミノエイコサデカン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,10-ジアミノ-1,10-ジメチルデカン、12-ジアミノオクタデカン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
【0075】
ポリアミドイミド樹脂としては、繰り返し単位にイミド結合とアミド結合とを有する樹脂が挙げられる。
より具体的には、ポリアミドイミド樹脂は、酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物(トリカルボン酸ともいう)と、ジイソシアネート化合物又はジアミン化合物と、の重合体が挙げられる。
【0076】
トリカルボン酸としては、トリメリット酸無水物及びその誘導体が好ましい。トリカルボン酸の他に、テトラカルボン酸二無水物、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などを併用してもよい。
【0077】
ジイソシアネート化合物としては、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-3,3’-ジイソシアネート、ビフェニル-3,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、ナフタレン-2,6-ジイソシアネート等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、上記のイソシアネートと同様の構造を有し、イソシアナト基
の代わりにアミノ基を有する化合物が挙げられる。
樹脂基材層には、樹脂以外に、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、例えば、導電剤、機械的強度向上のためのフィラー、熱劣化を防止するための酸化防止剤、界面活性剤、耐熱老化防止剤等が挙げられる。
【0078】
ここで、第一回転体が加熱ロールであり、第二回転体が加圧ベルトである例を挙げたが、第一回転体が加圧ロールであり、第二回転体が加熱ベルトである態様も含まれる。
第一回転体が加圧ロールである場合の加圧ロールの構成は、上述した加熱ロール30の構成と同様であることが好ましい。
第二回転体が加熱ベルトである場合の加熱ベルトの構成は、上述した加圧ベルト40の構成と同様であることが好ましい。
特に、第二回転体が加熱ベルトである場合には、加熱ベルトの内周面を構成する樹脂基材層の単層体であってもよいし、加熱ベルトの内周面を構成する樹脂基材層と樹脂基材層上に設けられた弾性層と弾性層上に設けられた離型層とを有する積層体、又は加熱ベルトの内周面を構成する樹脂基材層と樹脂基材層上に設けられた離型層とを有する積層体、又は加熱ベルトの内周面を構成する樹脂基材層上に金属層とその上に弾性層を設け、弾性層の上に離型層を設けた積層体であってもよい
【0079】
弾性層について説明する。
弾性層は、耐熱性弾性材料を含んで構成される。
耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴム、HTV(High Temperature Vulcanizing)シリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0080】
弾性層は、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、例えば、充填材、導電剤、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填材(アルミナ等)等が挙げられる。
【0081】
離型層について説明する。
離型層は、例えば、耐熱性離型材料を含む。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂として具体的には、例えば、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。さらに、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。
離型層の厚さは、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10μm~30μmに設定される。
【0082】
-押圧パッド50(押圧部材の一例)-
押圧パッド50は、記録媒体Pの進行方向に沿って、異なる硬度の2つの押圧部51a、51bを有する。押圧パッド50における記録媒体P突入側の押圧部51aをゴム状弾性部材から構成させ、記録媒体P排出側の押圧部51bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、接触領域の圧力を記録媒体P突入側より記録媒体P排出側が高くさせている。押圧部51a、51bは、ホルダ51cにより支持され、摺動シート60(摺動部材の一例)を介して加圧ベルト40内周面から加熱ロール30を押圧している。
【0083】
-摺動シート60(摺動部材の一例)-
摺動シート60は、本実施形態に係る摺動部材が適用される。
【0084】
-潤滑剤62(潤滑剤の一例)-
潤滑剤62は、シロキサン基を主鎖とするオイルを含む。
シロキサン基を主鎖とするオイルとしては、ポリシロキサン構造を主鎖に有するオイルであり、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0085】
ここで、シロキサン基を主鎖とするオイルは、側鎖に極性基を持つ構造を有するオイルであることが好ましい。極性基を有すると、加圧ベルト40の内周面との親和性が高く、加圧ベルト40の回転トルクの上昇が抑制され易くなる。
極性基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、フェニル基、エポキシ基、メルカプト基、メタクリル基、フェノール基、ポリエーテル基、フッ素基が挙げられる。これらの中でも、加圧ベルト40の内周面との親和性が高く、加圧ベルト40の回転トルクの上昇が抑制され易くなる観点から、極性基としてはアミノ基が好ましい。
【0086】
潤滑剤62として具体的には、アルキル変性シリコーンオイル(ジメチル変性シリコーンオイル等)アミノ変性シリコーンオイル、メチルフェニル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等の変性オイルが挙げられる。
これらの中でも、加圧ベルト40の内周面との親和性が高く、加圧ベルト40の回転トルクの上昇が抑制され易くなる観点から、潤滑剤62としては、アミノ変性シリコーンオイルが好ましい。
【0087】
潤滑剤62は、オイル以外に、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、グリース(シリコングリース等)、熱伝導剤、酸化防止剤、界面活性剤、シリコーン粒子、有機金属塩、ヒンダードアミン等が挙げられる。
【0088】
(画像形成装置の画像形成動作)
以下、本実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作について説明する。なお、第1プロセスカートリッジ10Yにおいてイエロー画像を形成する動作を代表して、画像形成動作について説明する。
【0089】
まず、画像形成動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が例えば-600V以上-800V以下程度の電位に帯電される。
【0090】
感光体1Yは、例えば導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、例えば通常は高抵抗であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
【0091】
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
【0092】
現像装置4Y内には、例えば、イエロートナー及びキャリアを含む現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が1次転写位置へ搬送される。
【0093】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1プロセスカートリッジ10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に定電流制御されている。
【0094】
また、第2プロセスカートリッジ10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも同様に制御されている。
【0095】
こうして、第1プロセスカートリッジ10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4プロセスカートリッジ10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。
【0096】
第1乃至第4プロセスカートリッジを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内周面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写装置の一例)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
なお、中間転写ベルト20、1次転写ローラ5Y及び2次転写ローラ26が転写装置の一例に該当する。
【0097】
この後、記録媒体Pは定着装置28へ送り込まれ、矢印方向に回転駆動される加熱ロール30と、加圧ベルト40とが圧接し形成された接触領域に挿通される。この際、記録媒体Pの未定着のトナー像が形成された面と、加熱ロール30の表面とが、向き合うように記録媒体Pが挿通される。この接触領域を記録媒体Pが通過した際に、熱及び圧力が記録媒体Pに加えられることにより、未定着のトナー像が、記録媒体Pに定着される。定着後の記録媒体は接触領域を通過後、加熱ロール30から剥離され、定着装置28から排出される。
【0098】
このようにして定着処理が成され、記録媒体P上へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【実施例0099】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0100】
<加圧ベルトの作製>
(加圧ベルト(1)の作製)
ショットブラスト加工により表面に凹凸形状を形成したアルミニウム製円筒状芯体表面に、シリコーン系離型剤を塗布し、300℃にて1時間の焼き付け処理を行った後、この表面にポリイミド(PI)前駆体のN-メチルピロリドン溶液をディッピングコートし、100℃にて1時間乾燥した。それにより、加圧ベルトの内周面を構成する樹脂基材層を形成した。
次に、樹脂基材層の外周面に、フッ素樹脂分散液(具体的にはPTFE分散液)をコートし、次いで、焼成炉内において60℃にて10分間乾燥した後、380℃まで徐々に加熱し、20分間の焼成後、常温まで冷却し、離型層を形成した。
その後、離型層が形成された樹脂基材層を芯体から抜き取り、カット機により、目的のサイズに切断し、加圧ベルト(1)を得た。
【0101】
(加圧ベルト(2)の作製)
ショットブラスト加工により表面に凹凸形状を形成したアルミニウム製円筒状芯体表面に、シリコーン系離型剤を塗布し、300℃にて1時間の焼き付け処理を行った後、この表面に、ポリアミドイミド樹脂をN-メチルピロリドンにて溶解させたワニスをディッピングコートし、120℃にて1時間乾燥した。それにより、加圧ベルトの内周面を構成する樹脂基材層を形成した。
次に、樹脂基材層の外周面に、フッ素樹脂分散液(具体的にはPTFE分散液)をコートし、次いで、焼成炉内において60℃にて10分間乾燥した後、320℃まで徐々に加熱し、20分間の焼成後、常温まで冷却し、離型層を形成した。
その後、離型層が形成された樹脂基材層を芯体から抜き取り、カット機により、目的のサイズに切断し、加圧ベルト(2)を得た。
【0102】
(加圧ベルト(3)の作製)
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂ペレット(Victrex社製450G)を一軸押出成形機内の材料供給ホッパーに投入し、バレル温度を360℃に設定し、樹脂を排出する管状ダイス温度を380℃に設定し、引き取り機によって引き取りながら溶融押出しさせ、直後に円筒状の溶融樹脂の内周面を30mmの円筒状サイジングダイの表面に接触させ、かつ、外周面に冷却空気を吹きつけながら冷却したフィルムを円筒状に引き取り、カット機により切断することで、加圧ベルト(3)を得た。
【0103】
(加圧ベルト(4)の作製)
ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂ペレット(東レ(株)製A900)を一軸押出成形機内の材料供給ホッパーに投入し、バレル温度を260℃に設定し、樹脂を排出する管状ダイス温度を300℃に設定し、引き取り機によって引き取りながら溶融押出しさせ、直後に円筒状の溶融樹脂の内周面を30mmの円筒状サイジングダイの表面に接触させ、かつ、外周面に冷却空気を吹きつけながら冷却したフィルムを円筒状に引き取り、カット機により切断することで、加圧ベルト(4)を得た。
【0104】
<摺動シートの作製>
(摺動シート(1)の作製)
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂(Victrex450G(Victrex社製))を二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション(株)製))で380℃加熱にて溶融し、溶融されたPEEK樹脂100質量部中に、未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」、平均粒径=2μm)10質量部を当該混錬機のサイドからサイドフィーダーを用いて供給し、溶融混練し、混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化、目的とするサイズにカットし、シリコーン樹脂粒子の配合された混合樹脂ペレットを得た。
得られた混合樹脂ペレットを一軸押出装置に投入し、溶融された混合樹脂を380℃に加熱されたTダイ金型(溶融吐出間隙200μm)からシート状に押出し、190℃の冷却ロールに巻き付けて冷却し、該冷却シートを250℃に加熱したロール表面に100メッシュSUS金網が巻き付いているロールと耐熱性シリコーンゴムが表面に具備しているロールの間を40Mpa圧力にて形状付与して凹凸シートを得た。凹凸シートを所定のサイズにカットし、摺動シート(1)とした。
【0105】
(摺動シート(2)の作製)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)の量を15質量部としたこと以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(2)を得た。
【0106】
(摺動シート(3)の作製)
ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂(トレリナA900(東レ(株)製))を二軸押出溶融混練機(二軸溶融混練押出機L/D60(パーカーコーポレーション(株)製))で300℃加熱にて溶融し、溶融されたPPS樹脂100質量部中に、未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」、平均粒径=2μm)10質量部を当該混錬機のサイドからサイドフィーダーを用いて供給し、溶融混練し、混練された溶融物を水槽中に入れて冷却固化、目的とするサイズにカットし、シリコーン樹脂粒子の配合された混合樹脂ペレットを得た。
得られた混合樹脂ペレットを一軸押出装置に投入し、溶融された混合樹脂を300℃に加熱されたTダイ金型(溶融吐出間隙200μm)からシート状に押出し、160℃の冷却ロールに巻き付けて冷却し、該冷却シートを250℃に加熱したロール表面に100メッシュSUS金網が巻き付いているロールと耐熱性シリコーンゴムが表面に具備しているロールの間を40Mpa圧力にて形状付与して凹凸シートを得た。凹凸シートを所定のサイズにカットし、摺動シート(3)とした。
【0107】
(摺動シート(4)の作製)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)の量を20質量部としたこと以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(2)を得た。
【0108】
(摺動シート(C1)の作製)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)に代えて、アクリル変性シリコーン粒子(日信化学工業社製「シャリーヌR180S」、平均粒径=30μm)10質量部を使用した以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(C1)を得た。
【0109】
(摺動シート(C2)の作製)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)に代えて、アクリル変性シリコーン樹脂粒子(日信化学工業社製「シャリーヌR200」(平均粒径=2μm)を粉砕し、平均粒径0.08μmにした粒子10質量部を使用した以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(C2)を得た。
【0110】
(摺動シート(C3)の作製)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)に代えて、アクリル変性シリコーン樹脂粒子(日信化学工業社製「シャリーヌR200」(平均粒径=2μm)を粉砕し、平均粒径0.08μmにした粒子25質量部としたこと以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(C3)を得た。
【0111】
(摺動シート(C4)の作製)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)に代えて、アクリル変性シリコーン樹脂粒子(日信化学工業社製「シャリーヌR200」(平均粒径=2μm)を粉砕し、平均粒径0.08μmにした粒子5質量部としたこと以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(C4)を得た。
【0112】
(摺動シート(C5)の作製:PTFE使用)
未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製)「KMP590」)に代えて、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)粒子(テクノケミカル(株)社製「Microdispers-3000)、平均粒径=3μm」10質量部を使用した以外は、摺動シート(1)と同様にして、摺動シート(C5)を得た。
【0113】
(摺動シート(C6)の作製:ガラスクロスにフッ素樹脂を含浸させたシート)
ガラスクロスにPTFE樹脂分散液を浸みこませて、150℃にて乾燥させた後に、380℃にて加熱焼成して冷却して得られる、中興化成工業(株)製のフッ素樹脂(製品名FGF400)含浸ガラスクロスシートを、摺動シート(C6)とした。
【0114】
<潤滑剤>
・潤滑剤(1):ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名「KF96」)
・潤滑剤(2):アミノ変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名「KF8009」)
・潤滑剤(3):ジメチルシリコーンオイル含有シリコングリース(信越化学工業(株)製「G503」)
・潤滑剤(C1)::フルオロポリエーテルオイル(ダイキン工業(株)製「デムナムS100」)
・潤滑剤(C2)::フルオロポリエーテルオイル含有PTFEグリース(三井デュポンフロロケミカル(株)製「HP300」)
【0115】
<実施例1~7、比較例1~8>
表1に示す組み合わせで、加圧ベルト、摺動シート、及び潤滑剤を、富士フイルムビジネスイノベーション(株)製の画像形成装置「APEOS PORT PrintC5570の改造機」の定着装置に装着した。
【0116】
この装置を、各例の画像形成装置とし、次の評価を実施した。
【0117】
<評価>
(加圧ベルトのトルク上昇)
加圧ベルトのトルク上昇について、次の通り測定した。
定着ロールの駆動に要するトルクは定着ロールを駆動するモーターの電流値と相関があることがわかっている。これより、モーター電流値をトルクの代用特性として測定した(単位:A)。この定着ロール駆動モータ電流値上昇を、加圧ベルトのトルク上昇として評価した。
駆動トルクが上昇しすぎると、駆動源である定着ロールの駆動ギヤに負担がかかり、実用上の問題がある。特に不具合を示す現象としては、画像を得る用紙に紙皺が発生したり、ギヤの異音が発生する。
ここで、モーター電流値が初期の2倍になると上述の品質課題が発生することがわかっている。
本評価は、本定着装置の寿命である300,000枚の通紙を行い、モーター電流値が2倍未満であれば問題無し(「〇」と表記)、2倍以上の場合問題有り(「×」と表記)、と判定した。
【0118】
以上の結果を表1に示す。なお、表1中の略称の詳細は次の通りである。
PI :ポリイミド樹脂
PAI :ポリアミドイミド樹脂、
PEEK :ポリエーテルエーテルケトン樹脂
PPS:ポリフェニレンスルフィド樹脂
PPSU:ポリフェニルサルフォン樹脂
PEI :ポリエーテルイミド樹脂
PTFE :ポリテトラフルオロエチレン樹脂
【0119】
KMP590:未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子(信越化学工業(株)製「KMP-590」、平均粒径=2μm)
R180S:アクリル変性シリコーン粒子(日信化学工業社製「シャリーヌR180S」、平均粒径=30μm)
R200:アクリル変性シリコーン粒子(日信化学工業社製「シャリーヌR200」、平均粒径=2μm)
Microdispers-3000:ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)粒子(テクノケミカル(株)社製「Microdispers-3000)、平均粒径=3μm」
【0120】
DSO:ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業(株)製「KF96」)
ASO:アミノ変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製「KF8009」)
DSO-G :ジメチルシリコーンオイル含有シリコングリース(信越化学工業(株)製、商品名「G503」)
FPEO: フルオロポリエーテルオイル(ダイキン工業(株)製「デムナムS100」)
FPEO-PTFEG:フルオロポリエーテルオイル含有PTFEグリース(三井デュポンフロロケミカル(株)製「HP300」)
【0121】
【表1】
【0122】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、摺動部材の摺動抵抗の維持性に優れることがわかる。
また、本実施例では、比較例に比べ、加圧ベルトの回転トルクの上昇が抑制されていることがわかる。
【0123】
本実施形態は、下記態様を含む。
(((1)))
摺動面が、フッ素樹脂以外の耐熱熱可塑性樹脂と、前記耐熱熱可塑性樹脂以外の、シロキサン基を有する樹脂粒子と、を含んで構成され、
前記樹脂粒子の平均粒径が0.1μm以上10μm以下であり、
前記摺動面の表面粗度Rskが1.0以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が2%以上である、
摺動部材。
(((2)))
前記樹脂粒子の平均粒径が0.5μm以上4μm以下である(((1)))に記載の摺動部材。
(((3)))
前記摺動面の表面粗度Rskが0.6以下である(((1)))又は(((2)))に記載の摺動部材。
(((4)))
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%以上である(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((5))) )))
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である(((1)))~(((4)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((6)))
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である(((1)))~(((5)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((7)))
前記樹脂粒子が、熱硬化シリコーン樹脂粒子である(((1)))~(((6)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((8)))
前記熱硬化シリコーン樹脂粒子が、変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子である(((7)))に記載の摺動部材。
(((9)))
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下である(((1)))~(((8)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((10)))
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して3質量%以上25質量%以下である(((9)))に記載の摺動部材。
(((11)))
前記樹脂粒子の平均粒径が0.5μm以上4μm以下であり、
前記摺動面の表面粗度Rskが0.6以下であり、
前記摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%以上である(((1)))~(((10)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((12)))
前記耐熱熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、及びポリフェニルサルフォン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であり、
前記樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%以上20.0質量%以下であり、
前記樹脂粒子が、熱硬化シリコーン樹脂粒子である、(((1)))~(((11)))のいずれか1項に記載の摺動部材。
(((13)))
第1回転体と、
前記第1回転体に接して配設された第2回転体と、
前記第2回転体の内周面に配設され、前記第2回転体の内周面から前記第2回転体を前記第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内周面と前記押圧部材との間に介在する、(((1)))~(((12)))のいずれか1項に記載の摺動部材と、
前記第2回転体の内周面と前記摺動部材との間に介在する潤滑剤と、
を備える定着装置。
(((14)))
前記第2回転体の内周面が、アミド基、イミド基、ケトン基、及びスルフィド基よりなる群から選択される少なくとも1種の基を持つ樹脂を含んで構成される(((13)))に記載の定着装置。
(((15)))
前記潤滑剤は、シロキサン基を主鎖とするオイルを含む(((13)))又は(((14)))に記載の定着装置。
(((16)))
像保持体と、
像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を定着する、(((13)))~(((15)))のいずれか1項に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【0124】
上記態様の効果は、次の通りである。
(((1)))に係る発明によれば、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0125】
(((2)))に係る発明によれば、樹脂粒子の平均粒径が0.5μm未満又は4μm超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
(((3)))に係る発明によれば、摺動面の表面粗度Rskが0.6超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
(((4)))に係る発明によれば、摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%未満である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0126】
(((5)))に係る発明によれば、耐熱熱可塑性樹脂がフッ素樹脂である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
(((6)))に係る発明によれば、耐熱熱可塑性樹脂がポリフェニレンスルフィド樹脂である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0127】
(((7)))に係る発明によれば、樹脂粒子がフッ素樹脂粒子である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
(((8)))に係る発明によれば、熱硬化シリコーン樹脂粒子が、未変性の熱硬化シリコーン樹脂粒子である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0128】
(((9)))に係る発明によれば、樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%未満又は20.0質量%超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
(((10)))に係る発明によれば、樹脂粒子の含有量が、前記耐熱熱可塑性樹脂に対して3質量%未満又は25質量%超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0129】
(((11)))に係る発明によれば、樹脂粒子の平均粒径が0.5μm未満若しくは4μm超えである場合、摺動面の表面粗度Rskが0.6超えである場合、又は摺動面における前記樹脂粒子の表面露出率が3%未満である場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
(((12)))に係る発明によれば、耐熱熱可塑性樹脂がフッ素樹脂である場合、樹脂粒子がフッ素樹脂粒子である場合、又は樹脂粒子の含有量が耐熱熱可塑性樹脂に対して1.0質量%未満若しくは20.0質量%超えである場合に比べ、摺動抵抗の維持性に優れた摺動部材を提供できる。
【0130】
(((13)))に係る発明によれば、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材を適用した場合に比べ、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる定着装置が提供される。
(((14)))に係る発明によれば、第2回転体の内周面がポリイミド樹脂で構成されている場合に比べ、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる定着装置が提供される。
(((15)))に係る発明によれば、潤滑剤がフルオロポリエーテルオイルのみで構成されている場合に比べ、第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる定着装置が提供される。
【0131】
(((16)))に係る発明によれば、摺動面が、ガラスクロスとガラスクロスに含浸されたフッ素樹脂とを含んで構成された摺動部材を適用した場場合に比べ、定着装置の第2回転体の回転トルクの上昇を抑制すると共に、光沢むらが低減された画像を形成できる画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0132】
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置
10Y、10M、10C、10K プロセスカートリッジ
20 中間転写ベルト
20a 中間転写体クリーニング装置
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28 定着装置
30 加熱ロール
40 加圧ベルト
50 押圧パッド
52 ベルト走行ガイド
60 摺動シート
62 潤滑剤
64 潤滑剤供給部材
100 画像形成装置
P 記録媒体
図1
図2