IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イノアックコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-スタック代替部品 図1
  • 特開-スタック代替部品 図2
  • 特開-スタック代替部品 図3
  • 特開-スタック代替部品 図4
  • 特開-スタック代替部品 図5
  • 特開-スタック代替部品 図6
  • 特開-スタック代替部品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176132
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】スタック代替部品
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/293 20210101AFI20241212BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241212BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20241212BHJP
【FI】
H01M50/293
H01M50/209
H01M50/291
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094412
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】奥 信介
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA31
5H040AS04
5H040AS07
5H040AT02
5H040CC20
(57)【要約】
【課題】バッテリケース内に結露が生じることを抑制する。
【解決手段】スタック代替部品は、バッテリケース内に設けられる複数のスタック配置部のうちバッテリスタックが配置されずに空きとなる空きスタック配置部に配置されるスタック代替部品であって、前記スタック代替部品の外面を形成する外殻体と、前記外殻体に収容された発泡体と、を備えるスタック代替部品である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリケース内に設けられる複数のスタック配置部のうちバッテリスタックが配置されずに空きとなる空きスタック配置部に配置されるスタック代替部品であって、
前記スタック代替部品の外面を形成する外殻体と、
前記外殻体に収容された発泡体と、を備えるスタック代替部品。
【請求項2】
前記外殻体は、ブロー成形品である請求項1に記載のスタック代替部品。
【請求項3】
前記発泡体は、独立気泡構造をなしている請求項1又は2に記載のスタック代替部品。
【請求項4】
前記外殻体を前記空きスタック配置部に固定する固定部を備える請求項1又は2に記載のスタック代替部品。
【請求項5】
前記外殻体に設けられたブロー成形の空気吹き込み用の孔を塞ぐ閉塞部材を有し、
前記閉塞部材は、
前記孔から前記外殻体内に挿入される挿入部と、
前記外殻体内で前記挿入部の外周面から張り出すとともに前記孔よりも幅広な抜け止め部と、を含み、
前記発泡体には、前記抜け止め部が嵌合される凹部が備えられている請求項2に記載のスタック代替部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリケース内に配置される部品に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリケースとして、バッテリスタックを配置するスタック配置部を複数備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-179190(段落[0021]~[0023]、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、仕様に応じて必要なバッテリスタックの数が異なることがある。そのため、バッテリケース内のスタック配置部全てにバッテリスタックが配置されていない場合、バッテリケース内に空きスペースが生じ、そのスペースの空気に含まれる水蒸気によって結露が生じ易くなる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一態様は、バッテリケース内に設けられる複数のスタック配置部のうちバッテリスタックが配置されずに空きとなる空きスタック配置部に配置されるスタック代替部品であって、前記スタック代替部品の外面を形成する外殻体と、前記外殻体に収容された発泡体と、を備えるスタック代替部品である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】スタック代替部品が備えられたバッテリパックの斜視図
図2】バッテリパックの断面図
図3図3Aは、全てのスタック配置部にバッテリスタックが配置されているバッテリパックの正断面図、図3Bは、一部のスタック配置部にバッテリスタックが配置されていないバッテリパックの正断面図
図4】スタック代替部品の側断面図
図5図5Aは、ブロー成形された外殻体の正断面図、図5Bは、発泡樹脂原料が内部に注入された外殻体の正断面図
図6図6Aは、閉塞部材が貫通孔に挿入された外殻体の拡大正断面図、図6Bは、発泡体により押し上げられた閉塞部材で貫通孔が閉塞された外殻体の拡大正断面図
図7図7Aは、他の実施形態に係るスタック代替部品に用いられる閉塞部材の正断面図、図7Bは、他の実施形態に係るスタック代替部品の貫通孔付近の拡大正断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態]
図1及び図2に示すように、本実施形態のスタック代替部品10は、バッテリパック70に用いられ、バッテリケース71内に配置されるものである。バッテリケース71内には、複数のバッテリスタック72が配置可能になっている。バッテリスタック72には、互いに電気的に接続された複数のバッテリセルが一列に重ねて配置されている。なお、バッテリセルは、例えば、板状をなし、その厚さ方向に複数積層されている。本実施形態の例ではバッテリスタック72は、平面視略長四角形の板状をなし、その長手方向がバッテリセルの積層方向になっている。なお、例えば、バッテリスタック72には、複数のバッテリセルを収容するケースも備えられている。
【0008】
バッテリケース71には、バッテリスタック72が配置されるスタック配置部74が、複数備えられている。バッテリスタック72には、バッテリスタック72をスタック配置部74に固定するための固定部72Kが設けられている。本実施形態の例では、バッテリスタック72は、長四角形の板状をなし、その長手方向の両端部に固定部72Kが設けられている。バッテリスタック72の固定部72Kは、例えば、ボルトやピン等の結合部材が挿通される挿通孔72Aを備え、その結合部材が、スタック配置部74の取付孔に係合してバッテリスタック72がバッテリケース71に固定される。なお、例えば、バッテリケース71には、バッテリスタック72を冷却するための冷却機構(例えば、冷却水が流れる冷却路を有するもの)が隣接して配置されている(例えばバッテリスタック72の厚さ方向の一方側から隣接して配置されている)。
【0009】
バッテリパック70の用途は、特に限定されるものではない。例えば、バッテリパック70は、車両(例えば、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車)等の乗り物用の電池(例えば、リチウムイオン電池、燃料電池等)に用いられてもよい。
【0010】
ところで、バッテリパック70の仕様に応じて、必要なバッテリスタックの数が異なることがあり、バッテリケース71内に設けられるバッテリスタック72の数が異なることがある(図3A及び図3B参照)。言い換えれば、バッテリケース71は、収容するバッテリスタック72の数が異なる複数の仕様に兼用することが可能である。そのため、バッテリケース71内のスタック配置部74全てにバッテリスタック72が配置されていない場合では(図3B参照)、バッテリケース71内に空きスペース、即ち、バッテリスタック72が配置されずに空きとなるスタック配置部74(以下、「空きスタック配置部74A」と適宜呼ぶ。)が生じる。この場合、その空きスペースの分だけ、バッテリケース71内に空気が多く含まれることとなる。その結果、冷却機構で冷却されるバッテリパック70では、バッテリケース71内の空気に含まれる水蒸気等の水分により内部で結露が生じ易くなる虞があり、電気部品に不具合を生じさせる虞がある。そのため、その対策が求められている。
【0011】
これに対し、本実施形態のスタック代替部品10は、バッテリスタック72の代わりに、上記空きスタック配置部74Aに配置され、バッテリケース71内の空きスペースを埋めることができる。これにより、空きスタック配置部74Aに何も配置されていない場合に比べて、バッテリケース71内の空気(及び空気に含まれる水蒸気等の水分)を少なくすることが可能となり、バッテリケース71内で結露が発生することを抑制可能となる。
【0012】
図4に示すように、スタック代替部品10は、スタック代替部品10の外面を形成する外殻体20と、外殻体20に収容された発泡体30と、を備えている。
【0013】
外殻体20には、貫通孔21が形成されており、貫通孔21は、閉塞部材40により閉塞されている(図6B参照)。これにより、外殻体20の内部領域が閉じられている。本実施形態の例では、外殻体20は、ブロー成形品であり、貫通孔21は、ブロー成形の空気吹き込み用の孔である(図5A参照)。
【0014】
なお、本実施形態のスタック代替部品10では、外形及びサイズが、バッテリスタック72と略同じになっていて、外殻体20は、平面視略長四角形の板状をなしている。本実施形態の例では、外殻体20は、その厚さ方向で対向する1対の対向壁22と、外殻体20の長手方向で対向する1対の端壁23と、外殻体20の短手方向で対向する1対の側壁24(図5A参照)と、を備えている。上述の貫通孔21は、例えば、一方の対向壁22に設けられている(図5A参照)。なお、スタック代替部品10とバッテリスタック72との外形やサイズが異なっていてもよい。
【0015】
図1に示すように、スタック代替部品10には、外殻体20を空きスタック配置部74Aに固定する固定部28が設けられている。固定部28は、外殻体20と一体になっていて、例えば、外殻体20と一体形成されている。本実施形態の例では、固定部28は、1対の端壁23からそれぞれ外側に張り出している。また、例えば、固定部28は、結合部材(ボルトやピン等)が挿通される挿通孔28Aを有している。スタック代替部品10は、バッテリスタック72の固定に用いられるのと同じ結合部材(ボルトやピン等)で固定可能であることが好ましい。この場合、例えば、固定部28の挿通孔28Aは、バッテリスタック72の固定部72Kの挿通孔72Aと同様の構成になっている。このような構成によれば、上記結合部材を、バッテリスタック72を固定する場合にも、スタック代替部品10を固定する場合にも、兼用(共通化)することができ、部品点数の増加を抑えることができる。また、本実施形態の例では、スタック代替部品10を、バッテリスタック72を固定するためにバッテリケース71に設けられた取付孔(ボルト孔やピン孔等)を用いて固定可能であり、バッテリケース71に専用の被結合構造を形成する必要がない。
【0016】
図6Aに示すように、上述の閉塞部材40には、挿入部41と抜け止め部42が備えられている。挿入部41は、貫通孔21から外殻体20内に挿入される。抜け止め部42は、外殻体20内で挿入部41の外周面から張り出すとともに、貫通孔21よりも幅広(大径)になっている。抜け止め部42は、外殻体20内側から貫通孔21の開口縁に対向し、外殻体20に対して閉塞部材40を抜け止め可能になっている。閉塞部材40は、貫通孔21から外殻体20内に抜け止め部42を挿入できるように、少なくとも抜け止め部42が変形可能であるものが好ましく、例えば、少なくとも抜け止め部42がゴム等の弾性体で形成されているものが好ましい。
【0017】
本実施形態の例では、発泡体30は、外殻体20の内部領域に充填され、該内部領域を埋めている。また、本実施形態の例では、発泡体30のうち閉塞部材40と対向する部分には、閉塞部材40の抜け止め部42が嵌合される凹部31が形成されている。なお、発泡体30は、外殻体20の内部領域の一部のみに設けられていてもよい。外殻体20の内部領域が発泡体30で埋まっている方が、外殻体20の内部に空気(及び空気に含まれる水蒸気等の水分)が含まれ難くなり、結露の発生をより抑制し易くなる。また、発泡体30によりスタック代替部品10の断熱性を高めることで、スタック代替部品10の表面における温度変化を抑制可能となり、結露の発生をさらに抑制可能となる。また、外殻体20内に発泡体30が充填されていることで、スタック代替部品10の耐衝撃性を向上させることが可能となる。
【0018】
発泡体30は、独立気泡構造をなしていることが好ましいが、連続気泡構造をなしていてもよい。前者の場合、発泡体30が水分(水蒸気等)を含み難くなるので、バッテリケース71内に結露が発生し難くなり、好ましい。このように、発泡体30が吸水し難い材料で構成されている場合、貫通孔21がシールされていなくてもよい(即ち、閉塞部材40が設けられていなくてもよい)。なお、後者の場合のように、発泡体30が吸水し易い材料で構成されている場合、外殻体20が閉塞部材40で密閉されていることが好ましい。
【0019】
発泡体30は、熱硬化性樹脂の発泡体であってもよいし、熱可塑性樹脂の発泡体であってもよい。本実施形態の例では、発泡体30は、ポリウレタン系樹脂の発泡体であるが、ゴムの発泡体であってもよいし、フェノール系樹脂の発泡体であってもよいし、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂の発泡体であってもよい。
【0020】
本実施形態のスタック代替部品10は、例えば以下のようにして製造される。まず、押出機からパリソンがブロー成形用の1対の成形金型80(図5A参照)の間に押し出される。そして、パリソンに空気が吹き込まれてパリソンが膨らみ、成形金型80の内面に押し付けられて冷却される。これにより、外殻体20が成形されると共に、固定部28が外殻体20と一体成形される。このときのブロー成形の空気吹き込み用の孔が、外殻体20の上記貫通孔21となる。
【0021】
次に、得られた外殻体20の内部に、発泡樹脂原料G(例えば、ポリウレタン発泡体の原料)が注入される。本実施形態の例では、発泡樹脂原料Gの注入は、外殻体20の貫通孔21から行われる。このように、ブロー成形の空気吹き込み用の貫通孔21を、発泡樹脂原料Gの注入用の孔として利用することで、注入用の孔を別途形成する工程を省くことが可能となる。なお、ブロー成形の空気吹き込み用の貫通孔21と、発泡樹脂原料Gの注入用の孔とが、互いに異なる孔であってもよい。
【0022】
外殻体20に発泡樹脂原料Gが注入されたら、閉塞部材40で貫通孔21が外側から塞がれる(図6A参照)。閉塞部材40の挿入部41が貫通孔に挿入される際には、例えば、抜け止め部42が縮径変形されることで貫通孔21を通過可能となる。なお、外殻体20の貫通孔21の開口縁が変形可能に構成され、閉塞部材40の抜け止め部42が変形しない構成であってもよい。
【0023】
外殻体20内で、発泡樹脂原料Gが発泡硬化すると、発泡体30が発泡成形される(図6B参照)。このとき、発泡体30により閉塞部材40が押し上げられて、閉塞部材40の抜け止め部42が、外殻体20の貫通孔21の開口縁に内側から押し付けられる。これにより、貫通孔21がシールされ、外殻体20が密閉される。また、発泡体30には、抜け止め部42が嵌合される凹部31が形成される。以上により、スタック代替部品10が形成される。
【0024】
上述のように、本実施形態では、空きスタック配置部74Aにスタック代替部品10を配置することで、空きスタック配置部74Aにスタック代替部品10が配置されていない場合に比べて、バッテリケース71内の空気(及び空気に含まれる水蒸気等の水分)を少なくすることが可能となり、結露の発生を抑制可能となる。
【0025】
本実施形態では、外殻体20を、ブロー成形品とすることで、外殻体20を容易に製造可能となる。また、一般的に、ブロー成形品は、射出成形品に比べて高分子量の樹脂が使用することができるので、外殻体20を割れ難くすることが可能となる。また、例えば、ブロー成形では、射出成形よりも、外殻体20の製造コストの削減を図ることが可能となり(例えば、成形金型を安価にすることが可能となり)、スタック代替部品10の生産性の向上を図ることが可能となる。
【0026】
[他の実施形態]
上記実施形態において、固定部28は、外殻体20と一体に形成されたものでなくてもよく、別体で形成されたものであってもよい。例えば、固定部28が、外殻体20に取り付けられた部品であってもよい。
【0027】
外殻体20は、ブロー成形品でなくてもよい。また、外殻体20は、樹脂製でなくてもよい。
【0028】
上記実施形態では、バッテリケース71内の空きスペースを埋める物品が、バッテリスタック72の代わりに配置されるスタック代替部品10であったが、このような物品として、スタック代替部品10以外に、外殻体20とその内側に収容される発泡体30とを備える物品がバッテリケース内に設けられてもよい。また、このように外殻体と発泡体を備える物品が、バッテリパック70以外の用途において、空きスペースを埋めるために用いられてもよい。また、外形やサイズがバッテリスタック72とは全く異なる物品を、空きスタック配置部74Aに配置してもよい。
【0029】
上記実施形態において、外殻体20に収容される発泡体30が、一かたまりのものでなくてもよく、複数に分かれていてもよい。また、発泡体30は、外殻体20内で発泡成形されたものでなくてもよく、発泡成形された後に外殻体20内に収容されたものであってもよい。この場合、発泡体30が複数に分かれたものであると、外殻体20内に収容させ易い。
【0030】
上記実施形態において、外殻体20内に、発泡体30に加えて又は発泡体30の代わりに、非発泡体を設けてもよい。非発泡体としては、例えば、ゴム等の弾性体や、繊維体や、粒体等が挙げられる。
【0031】
図7A及び図7Bに示すように、上記実施形態において、閉塞部材40に、抜け止め部42が設けられていなくてもよい。同図に示す閉塞部材40は、例えば、ブロー成形品の変形を抑えるために成形金型80に取り付けられる治具であってもよく、貫通孔21に挿入される挿入部41を備えている。そして、図7Bに示すように、発泡体30で外殻体20の内部が満たされれば、発泡体30で貫通孔21が閉塞されるので、閉塞部材40を取り外すこともできる。
【0032】
上記実施形態において、外殻体20の貫通孔21を閉塞する閉塞部材40が設けられていなくてもよい。このように、閉塞部材40が設けられない場合、外殻体20に収容されるものは、水分(水蒸気等)を含み難い構造のものであることが好ましく、発泡体30は、独立気泡構造のものが好ましい。このように、外殻体20に収容されるものを、内部に水分(水蒸気等)が含まれ難い構造のものとすれば、バッテリケース71内の結露の発生を抑制可能となる。
【0033】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、これら特徴群は、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0034】
例えば、本開示の以下の特徴群は、「バッテリケース内に配置される部品」に関し、「バッテリケースとして、バッテリスタックを配置するスタック配置部を複数備えているものが知られている(例えば、特開2006-179190(段落[0021]~[0023]、図3等)参照)。」という背景技術について、「ところで、仕様に応じて必要なバッテリスタックの数が異なることがある。そのため、バッテリケース内のスタック配置部全てにバッテリスタックが配置されていない場合、バッテリケース内に空きスペースが生じ、そのスペースの空気に含まれる水蒸気によって結露が生じ易くなる虞があった。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。
【0035】
[特徴1]
バッテリケース内に設けられる複数のスタック配置部のうちバッテリスタックが配置されずに空きとなる空きスタック配置部に配置されるスタック代替部品であって、
前記スタック代替部品の外面を形成する外殻体と、
前記外殻体に収容された発泡体と、を備えるスタック代替部品。
【0036】
特徴1によれば、空きスタック配置部にスタック代替部品を配置することで、空きスタック配置部にスタック代替部品が配置されていない場合に比べて、バッテリケース内の空気(及び空気に含まれる水蒸気等の水分)を少なくすることが可能となり、結露の発生を抑制可能となる。
【0037】
[特徴2]
前記外殻体は、ブロー成形品である特徴1に記載のスタック代替部品。
【0038】
外殻体を、ブロー成形品とすることで、外殻体を容易に製造可能となるとともに、射出成形品に比べて外殻体20を割れ難くすることが可能となる。
【0039】
[特徴3]
前記発泡体は、独立気泡構造をなしている特徴1又は2に記載のスタック代替部品。
【0040】
発泡体が独立気泡構造をなしていると、発泡体が連続気泡構造をなしている場合に比べて、発泡体に水分(水蒸気等)が含まれ難くなるので、バッテリケース内での結露の発生をより抑制可能となる。
【0041】
[特徴4]
前記外殻体を前記空きスタック配置部に固定する固定部を備える特徴1から3の何れか1の特徴に記載のスタック代替部品。
【0042】
[特徴5]
前記外殻体に設けられたブロー成形の空気吹き込み用の孔(貫通孔21)を塞ぐ閉塞部材を有し、
前記閉塞部材は、
前記孔から前記外殻体内に挿入される挿入部と、
前記外殻体内で前記挿入部の外周面から張り出すとともに前記孔よりも幅広な抜け止め部と、を含み、
前記発泡体には、前記抜け止め部が嵌合される凹部が備えられている、特徴2、又は、特徴2を引用する特徴3もしくは4、に記載のスタック代替部品。
【0043】
[特徴6]
特徴1から5の何れか1の特徴に記載のスタック代替部品の製造方法であって、
前記外殻体をブロー成形してから、前記発泡体を前記外殻体内で発泡成形するスタック代替部品の製造方法。
【0044】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0045】
10 スタック代替部品
20 外殻体
30 発泡体
71 バッテリケース
72 バッテリスタック
74 スタック配置部
74A 空きスタック配置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7