(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024176136
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び車両
(51)【国際特許分類】
B60W 40/12 20120101AFI20241212BHJP
【FI】
B60W40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094419
(22)【出願日】2023-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多賀 柊子
(72)【発明者】
【氏名】飯島 泰昭
(72)【発明者】
【氏名】高畠 元
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA24
3D241BA49
3D241BA62
3D241CB01
3D241CD05
3D241DA12Z
3D241DA22Z
3D241DB00Z
(57)【要約】
【課題】走行対象車両の各種仕様を変更する。
【解決手段】車両制御装置20は、走行対象車両12内に載置された端末から出力されたID情報を取得する。車両制御装置20は、取得されたID情報に基づいて、ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された車両情報を有効にする。車両制御装置20は、有効にされた車両情報に基づいて、走行対象車両12を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にする特定部と、
前記特定部により有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する制御部と、
を含む車両制御装置。
【請求項2】
前記車両情報は、車両の運転特性を表す運転特性情報であり、
前記特定部は、取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報が示す再現対象の車両種別を特定し、特定された前記再現対象の車両種別に対応する前記運転特性情報を、前記走行対象車両の運転特性情報へ反映することにより、前記運転特性情報を有効にし、
前記制御部は、有効にされた前記運転特性情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記走行対象車両は電動車両であり、
前記運転特性情報には、アクセルの応答特性の情報が含まれている、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記走行対象車両は電動車両であり、
前記運転特性情報には、マニュアルトランスミッションのギア比の情報が含まれている、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記取得部によって、少なくとも2つの前記ID情報が取得された場合、2つの前記ID情報のうちの第1ID情報に対応付けられている前記運転特性情報と、2つの前記ID情報のうちの第2ID情報に対応付けられている前記運転特性情報との組み合わせを、前記走行対象車両の運転特性情報へ反映する、
請求項2~請求項3の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
複数の前記車両情報が予め記憶されている記憶部を更に含み、
前記特定部は、複数の前記車両情報のうちの前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を有効にする、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
複数の前記車両情報が予め記憶されている記憶部を更に含み、
前記記憶部に記憶されている複数の前記車両情報の各々は、前記端末が前記走行対象車両内に載置される前に、サーバから予めダウンロードされた情報である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
複数の前記車両情報が予め記憶されている記憶部を更に含み、
複数の前記車両情報の各々が前記記憶部へ記憶されるタイミングは異なり、
前記特定部は、前記取得部により取得された前記ID情報に対応する車両情報が前記記憶部に記憶されていない場合に、サーバに対して指示信号を送信し、
前記サーバは、前記指示信号の受信に応答して、前記取得部により取得された前記ID情報に対応する前記車両情報を前記車両制御装置へ送信し、
前記特定部は、前記サーバから送信された前記車両情報を有効にする、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記端末は、車両を模擬したIDタグ付きの玩具である、
請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記端末は、携帯端末である、
請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置を備えた車両。
【請求項12】
走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得し、
取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にし、
有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する、
処理をコンピュータが実行する車両制御方法。
【請求項13】
走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得し、
取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にし、
有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する、
処理をコンピュータに実行させるための車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、近接ID携帯通信端末から送信される設定情報を受信し、受信した設定情報に基づいて、車載装置または表示装置の表示を制御することで、車両を利用するユーザの利便性を高める近接ID制御装置が開示されている(例えば、要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両内の表示装置の表示仕様のみならず、車両のその他の仕様も変更可能な方が好ましい。特許文献1に開示されている技術は、ユーザが自分の好みに合うように、車両内の表示装置を調整する技術であるものの、車両のその他の仕様を変更することは考慮されていない。
【0005】
本開示は、上記事実を考慮し、走行対象車両の各種仕様を変更することができる車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る車両制御装置は、走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にする特定部と、前記特定部により有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する制御部と、を含む車両制御装置である。
【0007】
車両制御装置は、走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得する。車両制御装置は、取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にする。車両制御装置は、有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する。これにより、走行対象車両の各種仕様を変更することができる。
【0008】
第2態様の車両制御装置は、第1態様の車両制御装置において、前記車両情報は、車両の運転特性を表す運転特性情報であり、前記特定部は、取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報が示す再現対象の車両種別を特定し、特定された前記再現対象の車両種別に対応する前記運転特性情報を、前記走行対象車両の運転特性情報へ反映することにより、前記運転特性情報を有効にし、前記制御部は、有効にされた前記運転特性情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する。これにより、再現対象の車両種別に対応する運転特性情報が再現され、再現された運転特性情報により走行対象車両を走行させることができる。
【0009】
第3態様の車両制御装置は、第1態様又は第2態様の車両制御装置において、前記走行対象車両は電動車両であり、前記運転特性情報には、アクセルの応答特性の情報が含まれている。これにより、再現対象の車両種別に対応するアクセルの応答特性が再現され、再現されたアクセルの応答特性により走行対象車両を走行させることができる。
【0010】
第4態様の車両制御装置は、第1態様~第3態様の何れか1つの車両制御装置において、前記走行対象車両は電動車両であり、前記運転特性情報には、マニュアルトランスミッションのギア比の情報が含まれている。これにより、再現対象の車両種別に対応するマニュアルトランスミッションのギア比が再現され、再現されたマニュアルトランスミッションのギア比により走行対象車両を走行させることができる。
【0011】
第5態様の車両制御装置は、第1態様~第4態様の何れか1つの車両制御装置において、前記取得部によって、少なくとも2つの前記ID情報が取得された場合、2つの前記ID情報のうちの第1ID情報に対応付けられている前記運転特性情報と、2つの前記ID情報のうちの第2ID情報に対応付けられている前記運転特性情報との組み合わせを、前記走行対象車両の運転特性情報へ反映する。これにより、複数の運転特性情報の組み合わせが再現され、再現された運転特性情報により走行対象車両を走行させることができる。
【0012】
第6態様の車両制御装置は、第1態様~第5態様の何れか1つの車両制御装置において、複数の前記車両情報が予め記憶されている記憶部を更に含み、前記特定部は、複数の前記車両情報のうちの前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を有効にする。これにより、再現対象となる車両情報のみを有効にすることができる。
【0013】
第7態様の車両制御装置は、第1態様~第6態様の何れか1つの車両制御装置において、複数の前記車両情報が予め記憶されている記憶部を更に含み、前記記憶部に記憶されている複数の前記車両情報の各々は、前記端末が前記走行対象車両内に載置される前に、サーバから予めダウンロードされた情報である。これにより、例えば、データ量が多い車両情報に関しては予めダウンロードを済ませておくことにより、事後的にダウンロードする必要が無くなり、即時に車両情報を利用することができる。
【0014】
第8態様の車両制御装置は、第1態様~第7態様の何れか1つの車両制御装置において、複数の前記車両情報が予め記憶されている記憶部を更に含み、複数の前記車両情報の各々が前記記憶部へ記憶されるタイミングは異なり、前記特定部は、前記取得部により取得された前記ID情報に対応する前記車両種別に関連付けられた運転特性情報が前記記憶部に記憶されていない場合に、サーバに対して指示信号を送信し、前記サーバは、前記指示信号の受信に応答して、前記取得部により取得された前記ID情報に対応する前記車両種別に関連付けられた前記運転特性情報を前記車両制御装置へ送信し、前記特定部は、前記サーバから送信された前記運転特性情報を有効にする。これにより、記憶部に対象の車両情報が記憶されていなかったとしても、対象の車両情報を事後的に取得することができる。
【0015】
第9態様の車両制御装置は、第1態様~第8態様の何れか1つの車両制御装置において、前記端末は、車両を模擬したIDタグ付きの玩具である、車両制御装置である。これにより、車両を模擬した玩具の種類に応じて、走行対象車両の車両情報を設定することができる。
【0016】
第10態様の車両制御装置は、前記端末は、携帯端末である、車両制御装置である。これにより、携帯端末から出力される情報の種類に応じて、走行対象車両の車両情報を設定することができる。
【0017】
第11態様の車両は、第1態様~第8態様の何れか1つの車両制御装置を備えた車両である。これにより、走行対象車両の各種仕様を変更することができる。
【0018】
第12態様の車両制御方法は、走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得し、取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にし、有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する、処理をコンピュータが実行する車両制御方法である。これにより、第1態様と同様に、走行対象車両の各種仕様を変更することができる。
【0019】
第13態様の車両制御プログラムは、走行対象車両内に載置された端末から出力されたID情報を取得し、取得された前記ID情報に基づいて、前記ID情報に予め対応付けられた車両情報を特定すると共に、特定された前記車両情報を有効にし、有効にされた前記車両情報に基づいて、前記走行対象車両を制御する、処理をコンピュータに実行させるための車両制御プログラムである。これにより、第1態様と同様に、走行対象車両の各種仕様を変更することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本開示によれば、走行対象車両の各種仕様を変更することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の概要を説明するための説明図である。
【
図2】本実施形態に係る車両制御システムの概略ブロック図である。
【
図3】情報記憶部に格納される情報の一例を説明するための図である。
【
図4】車両制御装置のコンピュータの構成例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る車両制御装置で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
【0023】
以下、図面を用いて実施形態の車両制御装置について説明する。なお、本実施形態では、その一例として、走行対象車両が電動車両である場合を例に説明する。本実施形態の車両制御装置が適用可能な電動車両としては、例えば、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug‐in Hybrid Electric Vehicle)、及びハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等が挙げられる。
【0024】
図1は、本実施形態を説明するための図である。
図1に示されるように、本実施形態の車両制御装置(図示省略)は、車両を模擬した玩具M(以下、単にミニカーMとも称する。)が走行対象車両のセンターコンソールCに載置された場合、その玩具Mに埋め込まれているIDタグ(図示省略)が出力したID情報に応じて、走行対象車両内の表示装置19へミニカーMが模擬している車両の映像を出力させる。具体的には、
図1(A)に示されているように、あるミニカーMがセンターコンソールCへ載置された場合に、車両制御装置(図示省略)は、そのミニカーMの外観と同様の車両(例えば、ミニカーMの外観と同様のスポーツカー)の映像を表示装置19へ表示させる。また、
図1(B)(C)に示されているように、
図1(A)とは異なるミニカーMがセンターコンソールCへ載置された場合には、車両制御装置(図示省略)は、そのミニカーMの外観と同様の車両の映像を表示装置19へ表示させる。
【0025】
更に、本実施形態の車両制御装置は、ミニカーMに埋め込まれているIDタグ(図示省略)が出力したID情報に応じて、走行対象車両12の各種仕様を変更する。具体的には、本実施形態の車両制御装置(図示省略)は、ミニカーMが模擬している車両の車両情報を、走行対象車両12の車両情報へ反映させる。例えば、乗員がミニカーMをセンターコンソールCへ載置した場合、そのミニカーMが模擬している車両が有する運転特定操作情報が、走行対象車両12の運転特性操作情報へ反映される。より具体的には、例えば、ミニカーMが模擬している車両のアクセルの応答特性等が、走行対象車両12のアクセルの応答特性へ反映される。これにより、走行対象車両の走行に関する各種仕様を変更することができる。また、乗員は走行対象車両12の運転特性を楽しむことができる。以下、具体的に説明する。
【0026】
図2は、実施形態に係る車両制御システム10の構成の一例を示すブロック図である。車両制御システム10は、
図2に示されるように、走行対象車両12とサーバ14とを備える。走行対象車両12は、読取装置18と、表示装置19と、車両制御装置20とを備える。走行対象車両12とサーバ14とは、所定のネットワーク16により通信可能に接続される。
【0027】
(読取装置)
読取装置18は、走行対象車両12の所定箇所に設置される。例えば、読取装置18は、
図1に示されているセンターコンソールCの内部に設置される。読取装置18は、センターコンソールCに載置されたミニカーM内部のIDタグが出力するID情報を読み取る。なお、読取装置18とIDタグとは、既知の近距離通信方法によってデータのやり取りを行う。
【0028】
(表示装置)
表示装置19は、車両制御装置20の制御に応じて各種画面を表示する。例えば、表示装置19は、
図1に示されるような画面を表示する。
【0029】
(車両制御装置)
図2に示されるように、車両制御装置20は、機能的には、情報記憶部22と、取得部24と、特定部26と、制御部28とを備える。
【0030】
情報記憶部22には、複数の車両種別に対応付けられた車両情報が予め記憶されている。車両情報は、ミニカーMが表す車両に関連する情報である。本実施形態では、車両情報が、車両の運転特性を表す運転特性情報である場合を例に説明する。情報記憶部22に記憶されている複数の運転特性情報の各々は、ミニカーMが走行対象車両12内に載置される前に、サーバ14から予めダウンロードされた情報である。
【0031】
図3は、情報記憶部22に格納される情報の一例を示す図である。
図3に示されているように、情報記憶部22には、複数のID情報の各々に対して、ID情報と車両種別情報と運転特性情報とが対応付けられて格納される。車両種別情報は、ミニカーMの外観に対応する車両の種別を表す情報である。また、運転特性情報は、ミニカーMに対応する車両種別に属する車両が有している運転特性を表す情報である。例えば、運転特性情報としては、アクセルの応答特性の情報及びマニュアルトランスミッションのギア比の情報等が含まれている。
【0032】
例えば、
図3に示されているID情報「00001」に対応付けられている車両種別「A」が、あるスポーツカーを表している場合、そのスポーツカーが有している運転特性情報「X」が、ID情報「00001」及び車両種別「A」に対応付けられて情報記憶部22へ格納される。
【0033】
取得部24は、走行対象車両12内に載置されたミニカーMから出力されたID情報を取得する。具体的には、取得部24は、読取装置18によって読み取られたID情報を取得する。
【0034】
特定部26は、取得部24により取得されたID情報に基づいて、当該ID情報に予め対応付けられた運転特性情報を特定する。次に、特定部26は、特定された運転特性情報を有効にする。
【0035】
より具体的には、特定部26は、取得されたID情報に基づいて、当該ID情報が示す再現対象の車両種別を特定する。そして、特定部26は、特定された再現対象の車両種別に対応する運転特性情報を、走行対象車両12の運転特性情報へ反映することにより、特定された再現対象の車両種別に対応する運転特性情報を有効にする。
【0036】
制御部28は、特定部26により有効にされた運転特性情報に基づいて、走行対象車両12を制御する。
【0037】
例えば、取得部24により取得されたID情報が「00001」である場合、特定部26は、情報記憶部22を参照することにより、当該ID情報「00001」が示す再現対象の車両種別「A」を特定する。そして、特定部26は、特定された再現対象の車両種別「A」に対応する運転特性情報「X」を、走行対象車両12の運転特性情報へ反映することにより、運転特性情報「X」を有効にする。例えば、再現対象の車両種別「A」が有しているアクセルの応答特性が、走行対象車両12のアクセルの応答特性へ反映される。そして、制御部28は、特定部26により有効にされた運転特性情報「X」に基づいて、走行対象車両12を制御する。
【0038】
これにより、ミニカーMが模擬している車両の車両種別「A」が有するであろう運転特性情報「X」が走行対象車両12において再現されるため、走行対象車両12の乗員は、その運転特性を楽しむことが可能となる。
【0039】
車両制御装置20は、例えば、
図4に示すようなコンピュータによって実現することができる。車両制御装置20を実現するコンピュータは、CPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータは、読取装置18及び表示装置19等の入出力装置(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータは、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0040】
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータを機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU51は、プログラムを記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0041】
次に、実施形態の車両制御システム10の作用について説明する。
【0042】
センターコンソールCにミニカーMが載置されると、読取装置18は、ミニカーMのIDタグから出力されるID情報を読み取る。そして、読取装置18は、ID情報が検知されたことを表す制御信号を車両制御装置20へ出力する。
【0043】
車両制御装置20は、読取装置18から出力された制御信号を受け付けると、
図5に示す車両制御処理ルーチンを実行する。
【0044】
ステップS100において、取得部24は、読取装置18によって読み取られたID情報を取得する。
【0045】
ステップS102において、特定部26は、ステップS100で取得されたID情報に基づいて、当該ID情報に予め対応付けられた車両種別情報と運転特性情報とを特定する。また、特定部26は、特定された車両種別情報を特定し、
図1に示されているように、その車両種別情報に対応する車両の映像を表示装置19へ表示させる。
【0046】
ステップS104において、特定部26は、ステップS102で特定された運転特性情報を有効にする。なお、特定された運転特性情報を有効にする際には、例えば、該当する車両種別の運転特性情報を有効にするか否かを乗員へ問い合わせる画面を表示装置19に表示させ、乗員からOKの指示を受け付けた場合に、特定された運転特性情報を有効にするようにしてもよい。
【0047】
ステップS106において、制御部28は、ステップS104で有効にされた運転特性情報に基づいて、走行対象車両12を制御する。具体的には、制御部28は、再現対象の運転特性情報が再現されるように、走行対象車両12を制御する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る車両制御システム10の車両制御装置は、走行対象車両内に載置された玩具から出力されたID情報を取得する。そして、車両制御装置は、取得されたID情報に基づいて、当該ID情報に予め対応付けられた運転特性情報を特定すると共に、特定された運転特性情報を有効にする。車両制御装置は、有効にされた運転特性情報に基づいて、走行対象車両を制御する。これにより、走行対象車両の走行に関する各種仕様を変更することができる。また、IDタグの種別によって、走行対象車両に反映させるデータを特定することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る車両制御装置によれば、ミニカーの外観と、運転特性との間に関連性を持たせることにより、乗員であるユーザに没入感を与えることができ、ユーザエクスペリエンスを向上させることができる。また、本実施形態では、ミニカーに対応する車両種別の運転特性が走行対象車両において再現されるため、乗員は様々な運転特性を楽しむことが可能となる。具体的には、乗員であるユーザが、様々なミニカーを収集することにより、乗員は様々な運転特性を楽しむことが可能となる。
【0050】
また、従来技術としては、メータ又はセンターディスプレイの表示態様を変更可能な技術が知られているものの、それらを変更したとしても乗員が受ける印象を大きく変えることは難しく、乗員はメータ又はセンターディスプレイの表示態様を見飽きてしまうということがあった。一方、通常の車両の場合、車両の乗り味は常に一定であり、乗員は運転特性に新鮮味を感じなくなる。しかし、通常の車両の場合、車両の乗り味を変更するためには、車両の構造上の理由から、多大な時間とコストがかかる、という課題があった。
【0051】
これに対して、本実施形態に係る車両制御装置によれば、IDタグから出力されるID情報に応じて、走行対象車両の運転特性を変更することが可能となり、簡易に車両の乗り味を変更することが可能となる。
【0052】
以上、実施形態に係る車両制御システム10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0053】
例えば、上記実施形態では、走行対象車両12内に載置される端末がミニカーMである場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、走行対象車両12内に載置される端末は、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、車両情報が運転特性情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。車両に関連するような情報であって、かつ走行対象車両12へ反映させることが可能な情報であれば、車両情報はどのような情報であってもよい。例えば、車両の運転特性だけでなく、車両情報に応じて、走行対象車両12の内装又は走行対象車両12のエンジン音を変化させるようにしてもよい。この場合の走行対象車両12の内装とは、例えば、走行対象車両12の各箇所に配置された発光素子又は表示装置から出力される光を変化させることにより、走行対象車両12の内装を変化させる。また、本実施形態では、運転特性情報が、アクセルの応答特性の情報及びマニュアルトランスミッションのギア比の情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。運転特性情報は、車両の運転特性を表す情報であれば、どのような情報であってもよい。
【0055】
また、センターコンソールCにおけるミニカーMの位置に応じて走行対象車両12の特性を変化させるようにしてもよい。例えば、ミニカーMを前にスライドさせると、走行対象車両12と先行車両との間の車間距離縮めるように走行対象車両12を制御するようにしてもよい。また、例えば、ミニカーMを前にスライドさせると、走行対象車両12が、よりスポーツモードになり、走行対象車両12のアクセルの応答特性等が変化するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、1つのミニカーMがセンターコンソールCへ載置され、そのミニカーMに対応する運転特性情報を、走行対象車両12の運転特性情報へ反映させる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2つ以上の運転特性情報を混合させて、走行対象車両12の運転特性情報へ反映するようにしてもよい。例えば、2つのミニカーMがセンターコンソールCへ載置され、取得部24によって少なくとも2つのID情報が取得された場合、2つのID情報のうちの第1ID情報に対応付けられている運転特性情報と、2つのID情報のうちの第2ID情報に対応付けられている運転特性情報との組み合わせを、走行対象車両12の運転特性情報へ反映するようにしてもよい。この場合には、例えば、特定部26は、第1ID情報に対応する車両種別Aのアクセル応答特性を走行対象車両12へ反映させると共に、第2ID情報に対応する車両種別Bのマニュアルトランスミッションのギア比を走行対象車両12へ反映させるようにしてもよい。または、特定部26は、第1ID情報に対応する車両種別Aのアクセル応答特性と第2ID情報に対応する車両種別Bのアクセル応答特性との平均を表すアクセル応答特性を、走行対象車両12へ反映させるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、車両情報の一例である運転特性情報が情報記憶部22に予め記憶されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の車両情報が情報記憶部22へ記憶されるタイミングは異なってもよい。
【0058】
例えば、特定部26は、取得部24により取得されたID情報に対応する車両種別に関連付けられた運転特性情報が情報記憶部22に記憶されていない場合に、サーバ14から対応する運転特性情報をダウンロードするようにしてもよい。具体的には、この場合には、特定部26は、サーバ14に対して指示信号を送信する。そして、サーバ14は、指示信号の受信に応答して、取得部24により取得されたID情報に対応する車両種別に関連付けられた運転特性情報を車両制御装置20へ送信する。そして、車両制御装置20の特定部26は、サーバ14から送信された運転特性情報を有効にする。
【0059】
より詳細には、例えば、車両制御装置20は、対象となるID情報が取得部24により取得された際、当該ID情報に対応する車両種別情報が情報記憶部22に記憶されていない場合には、その車両種別情報と運転特性情報との組み合わせをサーバ14からダウンロードするようにしてもよい。
【0060】
または、例えば、車両制御装置20は、取得部24により取得されたID情報に対応する車両種別情報は情報記憶部22に記憶されている一方で、その車両種別情報に対応する一部の運転特性情報が情報記憶部22に記憶されていない場合には、情報記憶部22に記憶されていない運転特性情報をサーバ14からダウンロードするようにしてもよい。
【0061】
例えば、運転特性情報のうち、アクセルの応答特性の情報は既に情報記憶部22に格納されている一方で、マニュアルトランスミッションのギア比の情報は情報記憶部22に格納されていない場合がある。この場合には、車両制御装置20は、対象となるID情報が取得部24により取得された際、例えば、ユーザからの指示を受け付けたことに応答して、マニュアルトランスミッションのギア比に関する情報を、サーバ14からダウンロードするようにしてもよい。
【0062】
このため、走行対象車両12をユーザが購入した時点においては、車両制御装置20の情報記憶部22へ比較的大きなデータ量を有する情報のみを記憶させておき、比較的小さなデータ量を有する情報は、サーバ14から事後的にダウンロードするようにしてもよい。
【0063】
より具体的には、例えば、車両制御装置20の情報記憶部22に格納される車両情報の種類は様々である。例えば、情報記憶部22に格納される車両情報としては、車両ヒューマンインタフェースに関する情報、運転特性に関する情報、及びダイヤル型の操作スイッチに関する情報などが挙げられる。これら各情報のデータ量は異なり、例えば、ダイヤル型の操作スイッチに関する情報は比較的データ量が大きいため、走行対象車両12をユーザが購入した時点で予め情報記憶部22にダウンロードされていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実施した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実施してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実施させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実施してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実施してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0065】
さらに、上記実施形態では、ストレージに種々のデータを記憶させる構成としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体を記憶部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラム及びデータなどが格納されることとなる。
【符号の説明】
【0066】
10 車両制御システム
12 走行対象車両
14 サーバ
20 車両制御装置
22 情報記憶部
24 取得部
26 特定部
28 制御部